(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170329
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】電力配分制御装置、電力供給システム、電源車、コンピュータプログラム、および電力配分制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20231124BHJP
H02J 1/10 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02J1/00 306K
H02J1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082001
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(72)【発明者】
【氏名】田中 直樹
(72)【発明者】
【氏名】高田 潤一
(72)【発明者】
【氏名】久保田 裕孝
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165CA01
5G165DA01
5G165DA07
5G165EA02
5G165EA04
5G165HA01
5G165HA07
5G165HA09
5G165JA07
5G165JA09
5G165MA01
5G165MA02
(57)【要約】
【課題】直流出力が連結される複数の電源車および負荷の配線の構成にかかわらず、各電源車の出力のアンバランスを解決すること。
【解決手段】電力配分制御装置は、直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、電源車の直流出力を示す出力情報を取得する出力情報取得部と、複数の電源車のそれぞれの出力情報から、直流出力を平準化させるための制御パラメータを電源車毎に算出する制御パラメータ算出部と、を備える。かかる電力配分制御装置は、複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に制御パラメータを送ることで、車両制御装置により行われるドループ制御に制御パラメータを与える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、前記電源車の前記直流出力を示す出力情報を取得する出力情報取得部と、
前記複数の電源車のそれぞれの前記出力情報から、前記直流出力を平準化させるための制御パラメータを前記電源車毎に算出する制御パラメータ算出部と、を備え、
前記複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に前記制御パラメータを送ることで、前記車両制御装置により行われるドループ制御に前記制御パラメータを与える、電力配分制御装置。
【請求項2】
前記出力情報取得部は、前記出力情報として、次の(1)から(4)のいずれか一つを取得する、
(1)前記電源車の出力電力、
(2)前記電源車の出力電圧および出力電流、
(3)前記電源車の最大出力電力に対する前記出力電力の比率としての負荷率、
(4)上記の(1)または(2)と、前記電源車の発電能力、
請求項1に記載の電力配分制御装置。
【請求項3】
前記制御パラメータ算出部は、前記複数の電源車のそれぞれの前記出力情報が示す出力の平均値に対する前記出力の差に基づいて前記制御パラメータを算出する、
請求項1に記載の電力配分制御装置。
【請求項4】
前記車両制御装置により行われる前記ドループ制御は、負荷の増加に伴い減少する出力電圧の指令値を決定し、
前記制御パラメータは、前記負荷と、前記負荷に対して比例する前記指令値との比例定数に相当する、
請求項1に記載の電力配分制御装置。
【請求項5】
前記車両制御装置により行われる前記ドループ制御は、
負荷の増加に伴い減少する出力電圧の指令値を決定し、
前記制御パラメータは、前記負荷の変化に対する前記指令値の比例定数に相当し、
無負荷時の前記指令値としての基準電圧をVtar、
前記比例定数をK、
前記複数の電源車を含む直流系統の電圧上限値をVdc_max、
前記直流系統の電圧下限値をVdc_minとしたとき、
Vtar<Vdc_maxかつVdc_min<Vtar-100K、である、
請求項1に記載の電力配分制御装置。
【請求項6】
前記電源車の発電能力に関する状態量を取得する状態量取得部と、
前記状態量を用いて前記電源車の前記発電能力を決定する発電能力決定部と、を備え、
前記制御パラメータ算出部は、前記発電能力に対する前記電源車の出力電力の比率としての負荷率に基づいて前記制御パラメータを算出する、
請求項1に記載の電力配分制御装置。
【請求項7】
前記制御パラメータ算出部は、前記制御パラメータの変化率を所定の範囲内に制限する、
請求項1に記載の電力配分制御装置。
【請求項8】
前記複数の電源車の平均出力電圧を算出する平均出力電圧算出部を備え、
前記電力配分制御装置は、
前記複数の電源車を含む直流系統に他の電源車または電源装置を連結するに先立ち、前記他の電源車または電源装置に備えられる制御装置に連結前電圧設定指令を送ることで、前記他の電源車または電源装置の連結時における前記ドループ制御の電圧指令値である初期基準値として、無負荷時の定常電圧指令値よりも低い前記平均出力電圧を設定する、
請求項1に記載の電力配分制御装置。
【請求項9】
前記複数の電源車を含む直流系統の電圧下限値から電圧上限値までの範囲内で前記電圧下限値の近傍に設定される閾値に基づいて、前記複数の電源車のそれぞれの出力電圧を前記範囲内に収める補正制御をオンオフする補正オンオフ部を備え、
前記補正オンオフ部は、
少なくとも一部の前記電源車の前記出力電圧が前記閾値に対して減少すると、前記複数の電源車の前記車両制御装置にそれぞれ補正オン指令を送ることで、前記ドループ制御における比例定数の値を維持しつつ、無負荷時の出力電圧の指令値としての基準値を上昇させる補正制御を開始し、
少なくとも一部の前記電源車の前記出力電圧が前記閾値に対して増加すると、前記複数の電源車の前記車両制御装置にそれぞれ補正オフ指令を送ることで、前記補正制御を終了する、
請求項1に記載の電力配分制御装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電力配分制御装置と、
前記複数の電源車と、を備え、
前記電力配分制御装置は、前記電源車とは別に設けられるか、あるいは、少なくとも一つの前記電源車に設けられ、
一つの前記電源車の前記電力配分制御装置は、他の前記電源車の前記車両制御装置と通信しながら、前記ドループ制御の特性値を制御可能に構成されている、電力供給システム。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電力配分制御装置を備える前記電源車であって、
前記電力配分制御装置は、他の前記電源車の前記車両制御装置と通信しながら、前記ドループ制御の特性値を制御可能に構成されている、電源車。
【請求項12】
直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、前記電源車の前記直流出力を示す出力情報を取得すること、
前記複数の電源車のそれぞれの前記出力情報から、前記直流出力を平準化させるための制御パラメータを前記電源車毎に算出すること、
前記複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に前記制御パラメータを送ることで、前記車両制御装置により行われるドループ制御に前記制御パラメータを与えること、をコンピュータに実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項13】
直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、前記電源車の前記直流出力を示す出力情報を取得するステップと、
前記複数の電源車のそれぞれの前記出力情報から、前記直流出力を平準化させるための制御パラメータを前記電源車毎に算出するステップと、
前記複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に前記制御パラメータを送ることで、前記車両制御装置により行われるドループ制御に前記制御パラメータを与えるステップと、
前記出力情報を用いて前記電源車毎に前記制御パラメータが調整される結果、前記直流出力が平準化されるステップと、を備える、電力配分制御方法。
【請求項14】
前記複数の電源車の平均出力電圧を算出する平均出力電圧算出ステップと、
前記複数の電源車を含む直流系統に他の電源車または電源装置を連結するに先立ち、前記他の電源車または電源装置に備えられる制御装置に連結前電圧設定指令を送ることで、前記他の電源車または電源装置の連結時における前記ドループ制御の電圧指令値である初期基準値として、無負荷時の定常電圧指令値よりも低い前記平均出力電圧を設定するステップと、
前記直流系統への前記他の電源車または電源装置の連結後において、前記ドループ制御に用いる無負荷時の電圧指令値としての基準値を前記初期基準値から前記定常電圧指令値まで次第に増加させるステップと、を備える、
請求項13に記載の電力配分制御方法。
【請求項15】
前記複数の電源車を含む直流系統の電圧下限値から電圧上限値までの範囲内で前記電圧下限値の近傍に設定される閾値に基づいて、前記複数の電源車のそれぞれの出力電圧を前記範囲内に収める補正制御をオンオフする補正オンオフステップを備え、
前記補正オンオフステップは、
少なくとも一部の前記電源車の前記出力電圧が前記閾値に対して減少すると、前記複数の電源車の前記車両制御装置にそれぞれ補正オン指令を送ることで、前記ドループ制御における比例定数の値を維持しつつ、無負荷時の出力電圧の指令値としての基準値を上昇させる補正制御を開始するステップと、
少なくとも一部の前記電源車の前記出力電圧が前記閾値に対して増加すると、前記複数の電源車の前記車両制御装置にそれぞれ補正オフ指令を送ることで、前記補正制御を終了するステップと、を含む、
請求項13または14に記載の電力配分制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、出力が連結されて並列運転される複数の電源車を含み、外部の負荷への電力供給が可能に構成されている電力供給システム、電源車、複数電源の電力配分を制御可能に構成されている装置、方法、およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置および発電機を備えた電源車が知られている(例えば、特許文献1,2)。このような発電機能を有する車両は、エンジン動力を走行駆動力と発電機を動作させる駆動力として使用し、例えば、災害時等における移動先での電源として、車両外部の負荷に電力を供給することが可能である。
出力電力の大容量化を目的として、複数の電源車のそれぞれの交流出力を連結し、複数の電源車を並列運転させる電力システムが実用化されている。
【0003】
一方、直流の電力線により接続される複数の電源装置を含むマイクログリッドが知られている(特許文献3)。特許文献3においては、ドループ(垂下、droop)制御と呼ばれる手法により、複数の電源装置のうち代表の電源装置の制御部により、直流バスラインの電圧レベルが、所定の傾きで負荷電流の増加に比例して減少するように制御される。各電源装置には、負荷としての機器が接続されている。
ドループ制御は、各電源装置の出力のアンバランスを解決することを目的として行われる。ドループ制御によれば、例えばある電源からの電流が増えると、その電源の電圧が低下し、その分、別の電源から電流が流れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-201987号公報
【特許文献2】特開平7-231579号公報
【特許文献3】国際公開2018/173546号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源車を含め、複数の電源を交流配電方式により連携させる場合は、電圧レベルに加え、周波数と位相を複数の電源の間で合わせる必要があるので、同期運転させるための機器や制御が必要となる。
一方、直流配電方式によれば、電圧レベルを合わせることで複数の電源を連携させることができ、同じ直流の蓄電池や太陽光発電装置等をグリッドに容易に接続することができる。
【0006】
そのため、複数電源を連携させる電力システムを構築する上で直流配電方式が有利であるが、ドループ制御を行うとしても、各電源車の出力のアンバランスを解決することが難しい。必ずしも、マイクログリッドのように全車両を負荷の近傍に配置できるとは限らないので、配線抵抗に起因して各電源車の出力電圧に差が生じるためである。
【0007】
電源車の移動先においては、負荷から離れた場所に電源車を配置し、さらにその電源車を起点に他の電源車や電力装置を必要な電力容量に相応の台数だけ連結していくことが想定される。このように直流系統の電流の流れにおける末端に負荷が集約されていると、配線抵抗に起因する各電源車の出力のアンバランスが最も大きい。電源車間の配線長や電源車と負荷との間の配線長が定まっていないことも、配線抵抗に起因するアンバランスの要因となる。複数の電源車および負荷の配線の構成を変更する都度、配線抵抗を計測して電力配分の制御を更新することは難しい。アンバランスの度合は、負荷電力が増加するほど大きくなる。
【0008】
以上より、本開示は、直流出力が連結される複数の電源車および負荷の配線の構成にかかわらず、各電源車の出力のアンバランスを解決することが可能な電力配分制御装置、電力供給システム、電源車、コンピュータプログラム、および電力配分制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の電力配分制御装置は、直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、電源車の直流出力を示す出力情報を取得する出力情報取得部と、複数の電源車のそれぞれの出力情報から、直流出力を平準化させるための制御パラメータを電源車毎に算出する制御パラメータ算出部と、を備える。かかる電力配分制御装置は、複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に制御パラメータを送ることで、車両制御装置により行われるドループ制御に制御パラメータを与える。
【0010】
本開示の電力供給システムは、上述の電力配分制御装置と、複数の電源車と、を備え、電力配分制御装置は、電源車とは別に設けられるか、あるいは、少なくとも一つの電源車に設けられ、一つの電源車の電力配分制御装置は、他の電源車の車両制御装置と通信しながら、ドループ制御の特性値を制御可能に構成されている。
【0011】
本開示の電源車は、上述の電力配分制御装置を備える電源車であって、電力配分制御装置は、他の電源車の車両制御装置と通信しながら、ドループ制御の特性値を制御可能に構成されている。
【0012】
本開示のコンピュータプログラムは、直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、電源車の直流出力を示す出力情報を取得すること、複数の電源車のそれぞれの出力情報から、直流出力を平準化させるための制御パラメータを電源車毎に算出すること、複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に制御パラメータを送ることで、車両制御装置により行われるドループ制御に制御パラメータを与えること、をコンピュータに実行させる。
【0013】
本開示の電力配分制御方法は、直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、電源車の直流出力を示す出力情報を取得するステップと、複数の電源車のそれぞれの出力情報から、直流出力を平準化させるための制御パラメータを電源車毎に算出するステップと、複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に制御パラメータを送ることで、車両制御装置により行われるドループ制御に制御パラメータを与えるステップと、出力情報を用いて電源車毎に制御パラメータが調整される結果、直流出力が平準化されるステップと、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、各電源車から電力配分制御装置に取得される電源車の出力情報を用いて算出した制御パラメータを各電源車の制御装置により行われるドループ制御に与えることにより、典型的なドループ制御のみによって各電源車の出力のアンバランスを低減させることが難しいほどに出力アンバランスの度合が大きいとしても、各電源車の出力を平準化することが可能となる。それによって各電源車を平均的に高い能力で動作させることができるので、大容量で安定した給電が可能となる。
【0015】
本開示における電力配分制御に必要な情報としては、各電源車の出力情報で足り、配線抵抗の計測値や直流グリッドのトポロジー等の情報は必要ない。本開示によれば、複数の電源車および負荷の配線の構成や、負荷の接続位置には関わりなく、各電源車の出力のアンバランスを解決することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】上段は、本開示の第1実施形態に係る電力供給システムを模式的に示す図である。下段は、電力供給システムに含まれる複数の電源車のうちの1台の電源車の電力供給に関する構成を示す図である。
【
図2】上段は、各電源車の車両制御装置に採用されるドループ制御の基本ロジックを説明するためのグラフである。下段は、複数の電源車および負荷の配線の一例を示す図である。
【
図3】
図1に示す電力配分制御装置の機能的構成の一例を示す模式図である。
【
図4】各電源車のドループ制御に与えられる制御パラメータの自動調整ロジックの一例を示す図である。
【
図5】上段は、第1実施形態における制御パラメータ(比例定数)の自動調整による電力配分バラツキの改善効果を示すグラフである。下段は、全電源車について一定の比例定数にてドループ制御を行う比較例を示すグラフである。
【
図6】上段は、第1実施形態による電力配分のバラツキが小さいことを示すグラフである。下段は、比較例による電力配分のバラツキが大きいことを示すグラフである。
【
図7】本開示の第2実施形態に関し、各電源車の発電能力を考慮したドループ制御の制御パラメータの自動調整ロジックの一例を示す図である。
【
図8】上段は、発電能力に関する状態量から発電能力を取得する場合の電力配分制御装置の構成例を示す図である。下段は、状態量の例として、燃料残量および蓄電池のSOC(State Of Charge)を示す図である。
【
図9】本開示の第3実施形態に関し、複数の電源車および負荷を含む直流系統への他の電源車の連結について説明するための模式図である。
【
図10】連結される他の電源車におけるドループ制御の特性値の調整を説明するためのグラフである。
【
図11】本開示の第4実施形態に関し、複数の電源車のそれぞれの出力電圧を示す図である。第4実施形態により行われる電圧補正制御によれば、電源車の出力電圧が許容範囲から逸脱することが解決される。
【
図12】上段は、電圧補正制御が未適用の場合の出力電圧の逸脱を示すグラフである。下段は、第4実施形態において、出力電圧の基準指令値を一時的に高める電圧補正制御について説明するためのグラフである。
【
図13】第4実施形態で用いられる閾値を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の一実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
(全体概略構成)
図1の上段に示す電力供給システム1は、それぞれの直流出力が連結されて並列運転される複数の電源車10(10-1,10-2,10-3,…10-n)と、複数の電源車10の電力配分を制御可能に構成されている電力配分制御装置20とを備えている。
電源車10は個々に、内蔵する車両直流系統11を車外へ出力する出力端子10Aを有し、外部の負荷への電力供給が可能である。電力負荷3(以下、負荷)に対して必要な電力容量に相応の台数の電源車10が並列運転される。
なお、明細書および図面において、電源車10のことを「車両」と称する場合がある。
【0018】
電源車10は、発電機能と、発電電力を蓄える機能とを有し、例えば、災害により停電した状況下における重要設備(避難所、病院、市区役所、発電所の始動装置等)への給電や、山間部等の非電化地域における電動機械等への給電に利用することができる。負荷3は、単一または複数の機器等に相当する。
【0019】
電源車10がそれぞれ、電力需要のある場所まで走行により移動し、それぞれの直流の出力端子10Aが電線101を介して連結されると、複数の電源車10を単一の電源として、大容量の給電が可能となる。電力供給システム1に負荷3が接続されると、複数の電源車10は負荷3と共に直流系統100を成し、負荷3を分担する。
なお、直流系統100には、例えば、大容量蓄電池や、太陽光発電装置、風力発電装置等の他の直流の電源装置を接続可能である。
【0020】
図1の上段には、まず、負荷3に電線101を用いて電源車10-1が接続され、その後、電源車10-1を起点として、電力容量を増加させるために電線101により電源車10-1,10-2,10-3…10-nが順次連結された例を示している。その場合、電流は直流系統100を電源車10-nの位置から負荷3に向けて流れるので、負荷3は、直流系統100の末端に配置されている。
これは一例であり、負荷3の位置は、必ずしも直流系統100における末端には限られない。負荷3に加えて、他の負荷が、直流系統100における適宜な位置、例えば電源車10-2と電源車10-3との間に接続されていてもよい。
また、電源車10間の配線長は、図示されているように等しい長さであるとは限らず、各電源車10の駐車位置等に応じて電源車10間の配線長が相違していてもよい。
【0021】
(電源車の構成)
図1の下段には、電源車10の電力供給に関する構成の一例を示す。電力供給システム1に含まれる複数の電源車10のいずれも、同様の構成を備えている。
【0022】
電源車10は、通信系統110を介して電力配分制御装置20と双方向に通信可能に接続される車両制御装置12と、ガソリンや軽油を燃料とする内燃機関式のエンジン13と、車輪Wに結合した図示しない駆動軸に設けられる発電電動機14と、発電電動機14から出力される交流電力を直流電力に変換するAC/DC変換器15と、リチウムイオン電池等の二次電池を含み、充放電が可能な蓄電デバイス16と、蓄電デバイス16の充放電を制御する双方向DC/DC変換器17と、電源車10に搭載される例えばライトやワイパー等の機器に相当する車内負荷18と、車両直流系統11を電力供給システム1の直流系統100に接続する出力端子10Aとを備えている。
【0023】
本実施形態の電源車10は、走行するための動力源としてエンジン13および発電電動機14を備えた所謂ハイブリッド自動車に相当する。但し、電源車10はその限りではなく、エンジンを備えずに、蓄電デバイスからの給電により回転される電動機の駆動力のみによって走行する電気自動車であってもよい。
【0024】
発電電動機14は、蓄電デバイス16から供給される電力により駆動されてエンジン13の駆動力を補助する一方で、エンジン13が出力する動力により回転されることによって、あるいは、減速時の回生ブレーキを伴う回転によって発電し、蓄電デバイス16を充電する。
電源車10は、エンジン13および発電電動機14から、図示しないトランスミッションおよびディファレンシャル装置を介して駆動軸に入力される駆動力により走行する。
【0025】
車両直流系統11には、AC/DC変換器15と、双方向DC/DC変換器17と、車内負荷18とが接続されている。この車両直流系統11を介して、例えば発電電動機14と蓄電デバイス16との間で電力が授受され、また、蓄電デバイス16または発電電動機14から車内負荷18へと電力が供給される。双方向DC/DC変換器17は、昇圧または降圧により、蓄電デバイス16から供給される直流電力を車両直流系統11へと出力可能な電圧の直流電力に変換するとともに、車両直流系統11から供給される直流電力を蓄電デバイス16へと出力可能な電圧の直流電力に変換する。
【0026】
車両直流系統11の出力部には、機器の損傷防止や安全保護のため、遮断器や突入電流防止回路等を備えた接続装置19が配置されることが好ましい。車両直流系統11の電圧と、車両直流系統11が連結される直流系統100の電圧とは同一であっても相違していても良い。それらの電圧レベルに差があるとしても、車両直流系統11の出力部(例えば接続装置19)に昇降圧が可能なDC/DC変換器を配置し、電源車10の直流出力と直流系統100との電圧レベルを合わせれば良い。
【0027】
また、車両直流系統11の出力部には、出力端子10Aから直流系統100への出力電圧を計測する電圧計191と、出力端子10Aから直流系統100への出力電流を計測する電流計192とが設けられる。車両直流系統11の出力部には、出力端子10Aから直流系統100への出力電力を計測する電力計が設けられていてもよい。
車両直流系統11の出力部に接続装置19や昇降圧用DC/DC変換器が設けられる場合、電圧計191および電流計192等の出力計測装置は、接続装置19や昇降圧用DC/DC変換器の二次側に配置される。
【0028】
(車両制御装置によるドループ制御)
車両制御装置12は、電源車10を走行させる際にエンジン13や発電電動機14等の動作を制御する走行制御モードと、外部の負荷3に直流電力を供給する際にエンジン13や発電電動機14、蓄電デバイス16等を制御する給電制御モードとを備えている。
車両制御装置12は、給電制御モードに設定されると、ドループ制御により、車両直流系統11から直流系統100へ出力される出力電圧を制御する。
【0029】
図2の上段に示すように、ドループ制御は、出力電圧が所定の比例定数K(傾き)で負荷の増加に比例して減少するように、出力電圧の指令値(指令電圧V
req)を決定する。
直流系統100を介して連結される電源車10のそれぞれの車両制御装置12により、同様の基本ロジックにてドループ制御が行われる。そうすると、例えば、一部の車両(例えば
図1の10-3)から負荷3への出力電流が増えるとその車両の出力電圧が低下し、その分、別の電源車10(例えば10-1,10-2,…10-n)から負荷3への出力電流が増える。そうした作用に基づいて、ドループ制御は、各車両の出力のアンバランス(ばらつき)の低減に寄与する。
【0030】
図2の下段に示す負荷3と車両1~5との接続例のように、直流系統100の末端に負荷3が集中して接続されていると、直流系統100において負荷3が分散している場合と比べ、車両1~5のそれぞれから負荷3までの配線長の差が大きい。車両1~5のうち、車両1は負荷3に最も近く、車両5は、負荷3から最も遠い。そうすると、電線101の配線抵抗102による電圧降下に起因して各車両1~5の負荷3の分担比率がばらつくことで、各車両1~5の出力はばらつきやすい。ばらつきの度合は、負荷3の電流が大きいほど増加する。
【0031】
(電力配分制御装置による配分制御)
そこで、電力配分制御装置20は、各車両からそれぞれ、車両の直流出力を示す出力情報を取得し、各車両の出力情報から車両毎に算出した制御パラメータを各車両で実施されるドループ制御に与えることで、出力のばらつきを平準化させる。制御パラメータは、負荷と、負荷に対して比例する指令電圧Vreqとの比例定数Kに相当する。
本開示において「平準化」は、ばらついている要素(各車両の出力)のばらつきを低減させることを言うものとする。「平準化」には、平均化、均等化が含まれる。
【0032】
図3は、電力配分制御装置20の機能的構成を示す。電力配分制御装置20は、各車両から出力情報を取得する出力情報取得部21と、各車両の出力情報から制御パラメータを車両毎に算出する制御パラメータ算出部22とを備えている。
出力情報は、
図1の上段に破線で示す通信系統110を介して車両制御装置12から電力配分制御装置20へと送信可能である。また、制御パラメータは、通信系統110を介して電力配分制御装置20から車両制御装置12へと送信可能である。電力配分制御装置20は、各車両の出力情報を監視しつつ、制御パラメータを更新しながら、各車両の出力のばらつきを抑制する。
なお、通信系統110は、例えば、車両の通信端子と電力配分制御装置20の通信端子とを接続するケーブル、または有線LAN(Local Area Network)、あるいは無線LAN等を用いて構成されている。
【0033】
電力配分制御装置20は、車両の外部に車両とは別途設けられていてもよいし、少なくとも一つの車両に設けられていてもよい。後者の場合は、電力配分制御装置20が、車両制御装置12の一部として、車両制御装置12に含まれていてもよい。その場合、電力配分制御の実施に際し、電力配分制御装置20を備える車両のうち、制御権を与える単一の車両が選択される。そして、制御権が与えられる単一の車両の電力配分制御装置20が、他の車両の車両制御装置12と通信系統110を介して通信しながら、ドループ制御の比例定数K等の特性値を制御する。
【0034】
車両制御装置12および電力配分制御装置20は、別々に構成されているにせよ、一つの装置として統合されているにせよ、複数の回路素子を含む制御回路として、あるいは、メモリ、演算部、および記憶部を備えるコンピュータ装置により実行されるコンピュータプログラムとして構成することができる。後者の場合、制御パラメータ算出部22は、コンピュータプログラムのモジュールに相当する。
【0035】
各車両から取得される出力情報は、例えば負荷率Rpに相当する。負荷率Rpは、各車両の最大出力電力に対する出力電力の比率(出力/最大出力)に相当する。
本実施形態において、各車両(各電源車10)の出力可能な最大出力は同一であるものとする。そのため、出力のばらつきを抑えて平準化させるために、各車両の負荷率Rpから車両毎に制御パラメータを算出することに代えて、各車両の出力電力から車両毎に制御パラメータを算出することができる。そのため、本実施形態の出力情報は、各車両の出力電力であってもよく、その場合は、負荷率Rpを出力電力に読み替えるとよい。
【0036】
また、出力電力は、出力電圧と出力電流との積に相当するので、各車両の出力情報は、出力電力に代えて、出力電圧および出力電流であってもよい。例えば、電圧計191により計測される出力情報としての出力電圧と、電流計192により計測される出力情報としての出力電流は、車両制御装置12により通信系統110を通じて出力情報取得部21へと送られる。
【0037】
出力情報としての負荷率Rpが0%の時における指令電圧としての基準電圧がVtar、直流系統100の電圧上限値がVdc_max、直流系統100の電圧下限値がVdc_minであるとしたときに、次式(1)かつ(2)が成立するように、基準電圧Vtarの値と比例定数Kの値とが設定されると良い。そうすると、負荷率Rpによらず、Vdc_maxからVdc_minまでの直流系統100の規定範囲内に動作点の指令電圧Vreqを収めることが可能となる。
Vtar<Vdc_max …(1)
Vdc_min<Vtar-100K …(2)
【0038】
図4を参照し、各車両のドループ制御に与えられる制御パラメータの自動調整ロジックの一例を説明しつつ、本実施形態の電力配分制御のプロセスを説明する。
出力情報取得部21により各車両から出力情報を取得するステップを経て、制御パラメータ算出部22は、各車両から取得された出力情報としての各車両の出力電圧(V1
_mon,V2
_mon,V3
_mon,V4
_mon,V5
_mon)および出力電流(I1
_mon,I2
_mon,I3
_mon,I4
_mon,I5
_mon)から、車両毎の制御パラメータとしての比例定数K1~K5を算出する(制御パラメータ算出ステップ)。
そのために、制御パラメータ算出部22は、まず、車両毎に出力電圧と出力電流とを乗算することで(221)、各車両の出力電力を算出するとともに、各車両の出力電力の平均値(222)を算出する。
【0039】
続いて、制御パラメータ算出部22は、各車両の出力電力を平均値(222)と比較し、平均値(222)に対する出力電力の差(223)に基づいて制御パラメータとしての比例定数K1~K5を算出する。ここで、各車両の出力の平準化を図るため、平均値(222)よりも出力電力が小さい車両のドループ制御の比例定数を小さくするとともに、平均値(222)よりも出力電力が大きい車両のドループ制御の比例定数を大きくする。そのため、車両のそれぞれについて、平均値(222)と出力電力との差(223)にゲインGpを乗じた値を比例定数の基準値K_iniに加算する(224)ことで、比例定数K1~K5を算出する。
ここで、比例定数は負の値であるから、比例定数をより小さくすることは、絶対値としては大きくすることに相当し、比例定数をより大きくすることは、絶対値としては小さくすることに相当する。
【0040】
負荷3の電力変動等の過渡的な状態変化が発生した際に、制御パラメータの急変による制御の不安定化を防止するために、制御パラメータ算出部22は、比例定数K1~K5毎に、比例定数の変化率を所定の範囲内に制限する機能225を有していても良い。
【0041】
ゲインGpは比例ゲインであり、ゲインGpの値は、各車両の出力平準化の制御追従性や定常偏差の低減を考慮した上で決定すればよい。また、比例ゲインGpに加え、定常偏差を低減するために積分ゲインGiを追加しても良い。
制御パラメータ算出部22により算出された比例定数K1~K5は、対応する車両の車両制御装置12に送られる。例えば、比例定数K1は、
図3の下段に示す車両1の車両制御装置12に送られ、車両1の車両制御装置12により行われるドループ制御に与えられる(制御パラメータ付与ステップ)。比例定数K2~K5も、これと同様である。
【0042】
電力配分制御装置20により車両1~5のそれぞれの出力情報を用いて比例定数K1~K5が自動調整される結果、
図5の上段に示すように、各車両の負荷率は、いずれも同等の値を示し、平準化される(平準化ステップ)。つまり、直流系統100において並列運転されている車両1~5のそれぞれに、負荷3の電力がほぼ均等に配分される。
ここで、白い丸(○)は、車両1~5のそれぞれにおけるドループ制御の動作点であって、いずれも、或る同一のタイミングにおける動作点を示している。白い丸の内側の数字は、車両の番号を意味している。白い丸の1番は、
図2に示す車両1に相当する。他の2~5番も同様である。
【0043】
(本実施形態の電力配分制御による主な作用効果)
比較例を参照しつつ、本実施形態の電力配分制御による作用効果を説明する。
図5の下段に示す比較例のように、車両1~5のそれぞれのドループ制御に同一の比例定数Kが設定されている場合は、配線抵抗102の値の相違に起因し、車両1~5に配分される電力が大きくばらついてしまう。この場合は、一部の車両は30%ほど出力が低下してしまうため、車両1~5の全体として、各車両の発電能力を十分に活用できていない。
図6の下段に示すように、各車両の出力のばらつきは、例えば30%にまで至る。
【0044】
これに対し、本実施形態の電力配分制御によれば、配線抵抗102による電圧降下により、出力情報が示す出力電力の平均値よりも出力電力が小さい車両(例えば
図2の車両1)の比例定数K1を小さくするとともに、平均値よりも出力電力が大きい車両(例えば
図2の車両5)の比例定数K1を大きくするように車両毎に比例定数K1~K5が調整される。その結果、
図5の上段および
図6の上段に示すように、車両1~5の出力が平準化されて差が殆ど無くなる。本実施形態によれば、典型的なドループ制御のみによって各車両の出力のアンバランスを低減させることが難しいほどに、負荷3の接続位置等による配線抵抗102に起因して、あるいは負荷3の電力容量が大きいがために、出力アンバランスの度合が大きいとしても、各車両に負荷3の電力が均等に配分されることで、車両1~5の全体として、比較例と比べて各車両を平均的に高い能力で発電させることができる。そのため大容量で安定した給電が可能となる。
【0045】
本実施形態の電力配分制御に必要な情報としては、各車両の出力電圧および出力電流(あるいは出力電力)で足りるので、配線抵抗の計測値や直流グリッドのトポロジー等の情報は必要ない。本実施形態によれば、複数の電源車10および負荷3の配線の構成や、直流系統100における負荷の接続位置に関わりなく、各車両の出力のアンバランスを解決することができる。
また、直流系統100における負荷3や車両の接続位置の変更、あるいは負荷3や車両の追設および離脱等の状態変化が必要となった場合においても、各車両の出力の情報の他に、検出する必要のある情報は無いので、引き続き、複数車両への電力配分の平準化が図られる。
さらに、電力配分制御装置20から各車両に送信する情報は、主として比例定数(K1~K5)であり、負荷が激しく変動する場合であっても、比例定数を更新すれば足りるので、電圧・電流等の指令値を更新する必要がない。そのため、通信負荷を抑えながら、安定して電力配分を行うことができる。
【0046】
比例定数K1~K5の調整が車両1~5の出力を平準化させる機構について、比較例のように各車両の出力が大きくばらついている状態から平準化させる場合を想定して説明する。
負荷3に近いため相対的に電圧降下の大きい車両1について、比較例に示す白丸の動作点と、第1実施形態に示す白丸の動作点とを参照すると、比例定数Kから比例定数K1への減少(絶対値としては増加)に伴い負荷率が減少する。また、相対的に電力降下の小さい車両5については、比較例に示す白丸の動作点が、第1実施形態に示す白丸の動作点へと移動し、比例定数Kから比例定数K5への増加(絶対値としては減少)に伴い負荷率が減少する。
他の車両2~4も含め、車両1~5のそれぞれのドループ制御の比例定数K1~K5の調整により、各車両の負荷率が、比較例における最大負荷率(車両1の負荷率)と最小負荷率(車両5の負荷率)との間で平準化されると、車両1~5の全体として指令電圧Vreqが増加するので出力が増加する。
【0047】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態を説明する。各車両の最大出力電力が同一であると想定されている第1実施形態に対し、第2実施形態は、各車両の発電能力が異なっている場合に、各車両の発電能力に応じた負荷率を各車両から出力情報として取得し、負荷率に基づく車両毎の制御パラメータ(比例定数)を各車両の車両制御装置12で行われるドループ制御に与え、各車両の負荷率を平準化させる。この点を除いて、第2実施形態の電力配分制御装置は、第1実施形態の電力配分制御装置20と同様に構成されている。
本開示において「発電能力」は、各車両の出力可能な最大出力を言う。例えば、発電能力が100kWであり、出力電力が60kWである場合は、負荷率は60%である。
【0048】
図7は、第2実施形態の制御パラメータの自動調整ロジックの一例を示している。ここでは、負荷率を得るため、出力情報取得部21により、各車両から出力電圧(V1
_mon,V2
_mon,V3
_mon,V4
_mon,V5
_mon)、出力電流(I1
_mon,I2
_mon,I3
_mon,I4
_mon,I5
_mon)、および発電能力(P1
_mon,P2
_mon,P3
_mon,P4
_mon,P5
_mon)が取得され、次式(3)により車両毎に車両1~5のそれぞれの負荷率を算出する(226)。
{(出力電圧×出力電流)/発電能力} …(3)
【0049】
各車両1~5の負荷率(226)が得られたならば、制御パラメータ算出部22は、各車両の負荷率の平均値(227)を算出する。これ以降は、第1実施形態(
図4)と同様の演算処理により、各車両の負荷率を平準化させる比例定数K1~K5が算出される。
【0050】
電力配分制御装置20は、負荷率に基づいて算出された比例定数K1~K5を各車両の車両制御装置12で行われるドループ制御に与える。すると、例えば
図5の上段に示す第1実施形態の電力配分の状態と同様に、車両1~5の負荷率のばらつきが抑えられて平準化される。
第2実施形態によれば、発電能力の異なる車両群により直流系統100を構成した場合であっても、直流グリッドのトポロジーや配線抵抗の影響を受けずに各車両の出力配分を均等に制御することが可能となる。これを通じて、直流出力が連結されている全車両の発電能力を最大限まで引き出し、直流系統100の最大容量を高めることができる。
【0051】
〔第2実施形態の変形例〕
出力情報取得部21は、各車両の負荷率を得るために必要な出力情報を各車両から取得すれば足りる。例えば、出力情報取得部21は、車両1~5のうち少なくとも一部の車両について出力電力と発電能力とを出力情報として取得してもよいし、少なくとも一部の車両の車両制御装置12から負荷率が電力配分制御装置20に送られる場合は、当該車両については出力情報として負荷率のみを取得してもよい。
あるいは、各車両の発電能力が電力配分制御装置20等の記憶部に予め設定されている場合は、例えば、制御パラメータ算出部22は、出力情報取得部21により各車両から取得した出力電力(または出力電圧および出力電流)と、記憶部から読み取られた発電能力とから算出した負荷率を制御パラメータの算出に用いることができる。
【0052】
また、発電能力は、出力情報取得部21により各車両から出力情報として取得される他、発電能力に関して各車両から電力配分制御装置20に送られる状態量を用いて、電力配分制御装置20により決定されていても良い。
その場合、電力配分制御装置20は、
図8の上段に示すように、出力情報取得部21および制御パラメータ算出部22に加え、電源車10の発電能力に関する状態量を取得する状態量取得部23と、状態量を用いて発電能力を決定する発電能力決定部24とを備えている。
なお、電力配分制御装置20に備わる平均出力電圧算出部25および補正オンオフ部26は、第3実施形態以降で説明する。
【0053】
発電能力に関する状態量は、例えば、エンジン13に供給される燃料の残量、蓄電デバイス16のSOC(State Of Charge)、温度である。
発電能力決定部24は、例えば、
図8の下段に示すSOCおよび燃料残量と発電能力との相関関係から、発電能力を演算して決定する。例えば、燃料残量がFL1であり、SOCが「中」レベルであるとき、発電能力決定部24は発電能力をC1に決定する。状態量と発電能力との相関関係は、車両1~5に共通であってもよいし、異なっていてもよい。
出力情報取得部21が車両から発電能力を取得する場合、発電能力決定部24は、状態量取得部23により取得された状態量を用いて、車両から取得された発電能力を補正しても良い。
【0054】
状態量が反映されている発電能力を用いて、制御パラメータ算出部22は、例えば上述の式(3)により負荷率を算出する。その負荷率に基づいて算出された制御パラメータ(比例定数K1~K5)が各車両制御装置12に与えられることによれば、状態量が表す状況下で各車両の発電能力をより十分に引き出しつつ、車両1~5の負荷率を平準化させることができる。
【0055】
また、燃料残量やSOCが低下したり温度が上昇したりした場合には、予め設定された相関関係に基づいて発電能力が下がり、それに伴い負荷率が増加すると、ドループ制御の作用により出力電圧が下がる。そのため、燃料残量の低下や、SOCの低下、温度の上昇など、一時的に出力を低下させる必要が車両に生じた際に、当該車両について、定常時と同様、制御パラメータ(比例定数K1~K5)の調整を通じて自動的に出力を低下させることができる。このように定常時と、燃料やSOCの低下時等とに亘り、シームレスな出力配分制御を行いつつ、一時的に発電能力を下げることにより、車両の連続稼働時間を延長させることができる。
【0056】
〔第3実施形態〕
次に、
図9および
図10を参照し、本開示の第3実施形態を説明する。
図9に示すように、直流系統100に車両1~4が連結されており、負荷3に給電されている状態で、同一の直流系統100に車両5を追加して連結することを想定する。車両5の出力電圧が他の車両1~4と同様の基準電圧V
tarにてドループ制御される場合、車両5を直流系統100に接続した瞬間における車両5の出力電圧(接続前は無負荷のため基準電圧V
tar)と直流系統100の電圧との差が大きい。
【0057】
そこで、第3実施形態は、車両5を追設する際には、比例定数K5だけではなく、基準電圧V
tar(切片)を補正することで、接続時の電位差による突入電流を抑制する。
第3実施形態の電力配分制御装置20は、第2実施形態の
図8の上段に示す電力配分制御装置20と同様に、複数の電源車10の平均出力電圧を算出する平均出力電圧算出部25を備えている。
【0058】
電力配分制御装置20は、平均出力電圧算出部25により複数車両1~4の平均出力電圧を算出すると(平均出力電圧算出ステップ)、複数車両1~4を含む直流系統100に車両5を連結するに先立ち、車両5の車両制御装置12に連結前電圧設定指令を送る。そうすることで、車両5の連結時におけるドループ制御の初期基準値として、無負荷時の定常指令電圧Vtarよりも低い平均出力電圧Vavrを一時的に設定する(連結前電圧設定ステップ)。
このように車両5の連結前に、車両5の基準電圧を、車両1~4から電力配分制御装置20に取得した出力電圧情報に基づいて平均出力電圧Vavrまで下げると、車両5の接続時における直流系統100と車両5の基準電圧との電位差が減少するので、車両5から直流系統100に流入する突入電流を低減することが可能となる。
この方法によらないとすれば、突入電流を低減するために車両5の接続位置、または車両5の接続位置と最も近い車両4の出力電圧を計測し、車両5の基準電圧を一時的に車両4等における出力電圧まで下げてから車両5を連結することは可能である。これに対し、本実施形態によれば、車両5の接続位置に電圧計を設置したり、接続位置の近傍の車両4を特定するための機構・機能を設けたりする必要がないから簡便である。
【0059】
直流系統100への車両5の連結後は、無負荷時の基準値を平均出力電圧Vavrから定常指令電圧Vtarまで徐々に戻す(基準値増加ステップ)。この間に、車両5の出力が徐々に増加されながら(基準電圧増加ステップ)、車両1~5に負荷電力が均等に配分されるようになる。
第3実施形態によれば、負荷3や車両1~4の並列運転を停止させずに、車両5の接続位置に関係なく、また接続位置を検出する必要なく、突入電流を大幅に抑えて車両5を直流系統100に追加することができ、それによって電源容量を増加させることができる。
なお、車両5に限らず、蓄電デバイスや太陽光発電装置等の電源装置を直流系統100に連結する際にも、連結前に、増設電源装置の指令電圧Vreqの切片の値Vtarを他の電源(車両1~4)の出力電圧の平均値Vavrにまで一時的に下げることで、同様に突入電流を抑えて連結することができる。
【0060】
〔第4実施形態〕
図11~
図13を参照し、本開示の第4実施形態を説明する。直流系統100の各部には電流と配線抵抗との積に相応の電圧降下が発生している。
図11に示すように、負荷が直流系統100の末端に接続されるケース等では、負荷に近づくほど電圧が低下する。負荷の増加により負荷率が高いとき、電圧降下は大きくなる。こうした場合でも、負荷への入力電圧が下限値を下回らないように、第4実施形態は、閾値を用いて、直流系統100に連結されている全車両1~5について、指令電圧V
reqの基準電圧V
tar(切片)を補正する。
【0061】
第4実施形態の電力配分制御装置20は、第2実施形態の
図8の上段に示す電力配分制御装置20と同様に、補正オンオフ部26を備えている。補正オンオフ部26は、直流系統100の電圧下限値V
dc_minから電圧上限値V
dc_maxまでの範囲内で電圧下限値V
dc_minの近傍に設定される閾値(例えば、V
th)に基づいて、車両1~5のそれぞれのドループ制御の出力電圧を規定範囲内に収める補正制御をオンオフする(補正オンオフステップ)。
【0062】
補正オンオフステップの過程を説明する。補正オンオフ部26は、負荷の増加により、車両1~5のうち一部の車両、この例では車両5の出力電圧が閾値Vthを下回ったのならば、全車両1~5の車両制御装置12にそれぞれ補正オン指令を送ることで、指令電圧Vreqの基準電圧Vtarを上昇させる補正制御を開始する(補正制御開始ステップ)。このときドループ制御における比例定数K1~K5の値は維持する。車両1~5のうち一部の車両が閾値Vthを下回るか否かを判定するために、例えば、全車両1~5の出力電圧の最小値と、閾値Vthとを比較すると良い。
【0063】
指令電圧Vreqの基準電圧Vtarを増加させると、車両1~5のいずれの電圧も、切片の増加分だけ等しく増加する。そのとき車両1~5のいずれの電圧も規定範囲内に維持されているが、その後負荷率が低下すると、車両1~5のそれぞれの出力電圧が上限値Vdc_maxを上回ることが想定される。そのため、電力配分制御装置20は、少なくとも一部の車両、この例では車両5の出力電圧が閾値Vthに対して増加すると、各車両制御装置12にそれぞれ補正オフ指令を送ることで、補正制御を終了する(補正制御終了ステップ)。車両1~5のうち一部の車両が閾値Vthを上回るか否かを判定するために、例えば、全車両1~5の出力電圧の最小値と、閾値Vthとを比較すると良い。
【0064】
図13を参照し、閾値V
thの詳細を説明する。電圧下限値をV
dc_minとすると、余裕を持たせるために、下限値V
dc_minよりも少し高い電圧(+V
m)を閾値V
thとする。例えば低下する出力電圧の1[V]あたり、α[V]の電圧補正を加える。αの値は正の値となる。V
mの値は、負荷が100%である時の配線抵抗による電圧降下の大きさに応じて決めることができ、電圧降下が小さい場合は小さく、電圧降下が大きい場合は大きな値とする。但し、V
dc_min+V
mの値がV
dc_maxを超えないようにする。αの値は大きすぎると電圧指令が急変するため、制御安定性を考慮すると小さな値が良いが、小さすぎると電圧補正の機能が不十分となる。これに鑑みて、αの値を例えば0.1~20に設定することができる。
【0065】
第4実施形態によれば、負荷の増加により車両1~5の出力電圧のうちの最小電圧が低下することで、連結された全車両1~5について電圧補正制御が働いて基準電圧Vtarが増加する。その後負荷が低下し、それに伴い車両1~5の最小電圧が増加することで、電圧補正制御が解除されて基準電圧Vtarが低下する。こうした制御によれば、例えば配線抵抗や接触抵抗の増加などの外乱によって、負荷3への入力電圧が想定以上に低下した場合でも、直流系統100の出力電圧を規定範囲内に収めることができる。配線抵抗や負荷3の入力電圧を検出する手段がなくても、各車両1~5の電圧値のみを用いて補正制御のオン/オフの切替が可能となり、直流系統100全体の電圧を一定レベルに保つことが可能となる。
【0066】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0067】
〔付記〕
以上の開示によれば、以下に示す構成が把握される。
〔1〕本開示の電力配分制御装置は、直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、電源車の直流出力を示す出力情報を取得する出力情報取得部と、複数の電源車のそれぞれの出力情報から、直流出力を平準化させるための制御パラメータを電源車毎に算出する制御パラメータ算出部と、を備える。かかる電力配分制御装置は、複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に制御パラメータを送ることで、車両制御装置により行われるドループ制御に制御パラメータを与える。
【0068】
〔2〕〔1〕に記載の電力配分制御装置において、出力情報取得部は、出力情報として、次の(1)から(4)のいずれか一つを取得することが好ましい。
(1)電源車の出力電力、
(2)電源車の出力電圧および出力電流、
(3)電源車の最大出力電力に対する出力電力の比率としての負荷率、
(4)上記の(1)または(2)と、電源車の発電能力。
【0069】
〔3〕〔1〕または〔2〕に記載の電力配分制御装置において、制御パラメータ算出部は、複数の電源車のそれぞれの出力情報が示す出力の平均値に対する出力の差に基づいて制御パラメータを算出することが好ましい。
【0070】
〔4〕〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の電力配分制御装置において、車両制御装置により行われるドループ制御は、負荷の増加に伴い減少する出力電圧の指令値を決定し、制御パラメータは、負荷と、負荷に対して比例する指令値との比例定数に相当することが好ましい。
【0071】
〔5〕〔1〕から〔4〕のいずれか一項に記載の電力配分制御装置において、車両制御装置により行われるドループ制御は、負荷の増加に伴い減少する出力電圧の指令値を決定し、制御パラメータは、負荷の変化に対する指令値の比例定数に相当し、無負荷時の指令値としての基準電圧をVtar、比例定数をK、複数の電源車を含む直流系統の電圧上限値をVdc_max、
直流系統の電圧下限値をVdc_minとしたとき、Vtar<Vdc_maxかつVdc_min<Vtar-100K、であることが好ましい。
【0072】
〔6〕〔1〕から〔5〕のいずれか一項に記載の電力配分制御装置は、電源車の発電能力に関する状態量を取得する状態量取得部と、状態量を用いて電源車の発電能力を決定する発電能力決定部と、を備え、制御パラメータ算出部は、発電能力に対する電源車の出力電力の比率としての負荷率に基づいて制御パラメータを算出することが好ましい。
【0073】
〔7〕〔1〕から〔6〕のいずれか一項に記載の電力配分制御装置において、制御パラメータ算出部は、制御パラメータの変化率を所定の範囲内に制限することが好ましい。
【0074】
〔8〕〔1〕から〔7〕のいずれか一項に記載の電力配分制御装置は、複数の電源車の平均出力電圧を算出する平均出力電圧算出部を備え、電力配分制御装置は、複数の電源車を含む直流系統に他の電源車または電源装置を連結するに先立ち、他の電源車または電源装置に備えられる制御装置に連結前電圧設定指令を送ることで、他の電源車または電源装置の連結時におけるドループ制御の電圧指令値である初期基準値として、無負荷時の定常電圧指令値よりも低い平均出力電圧を設定することが好ましい。
【0075】
〔9〕〔1〕から〔8〕のいずれか一項に記載の電力配分制御装置は、複数の電源車を含む直流系統の電圧下限値から電圧上限値までの範囲内で電圧下限値の近傍に設定される閾値に基づいて、複数の電源車のそれぞれの出力電圧を範囲内に収める補正制御をオンオフする補正オンオフ部を備え、補正オンオフ部は、少なくとも一部の電源車の出力電圧が閾値に対して減少すると、複数の電源車の車両制御装置にそれぞれ補正オン指令を送ることで、ドループ制御における比例定数の値を維持しつつ、無負荷時の出力電圧の指令値としての基準値を上昇させる補正制御を開始し、少なくとも一部の電源車の出力電圧が閾値に対して増加すると、複数の電源車の車両制御装置にそれぞれ補正オフ指令を送ることで、補正制御を終了することが好ましい。
【0076】
〔10〕本開示の電力供給システムは、上述の電力配分制御装置と、複数の電源車と、を備え、電力配分制御装置は、電源車とは別に設けられるか、あるいは、少なくとも一つの電源車に設けられ、一つの電源車の電力配分制御装置は、他の電源車の車両制御装置と通信しながら、ドループ制御の特性値を制御可能に構成されている。
【0077】
〔11〕本開示の電源車は、上述の電力配分制御装置を備える電源車であって、電力配分制御装置は、他の電源車の車両制御装置と通信しながら、ドループ制御の特性値を制御可能に構成されている。
【0078】
〔12〕本開示のコンピュータプログラムは、直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、電源車の直流出力を示す出力情報を取得すること、複数の電源車のそれぞれの出力情報から、直流出力を平準化させるための制御パラメータを電源車毎に算出すること、複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に制御パラメータを送ることで、車両制御装置により行われるドループ制御に制御パラメータを与えること、をコンピュータに実行させる。
【0079】
〔13〕本開示の電力配分制御方法は、直流出力が連結される複数の電源車からそれぞれ、電源車の直流出力を示す出力情報を取得するステップと、複数の電源車のそれぞれの出力情報から、直流出力を平準化させるための制御パラメータを電源車毎に算出するステップと、複数の電源車の各々に備えられ、出力電圧を制御可能に構成されている車両制御装置に制御パラメータを送ることで、車両制御装置により行われるドループ制御に制御パラメータを与えるステップと、出力情報を用いて電源車毎に制御パラメータが調整される結果、直流出力が平準化されるステップと、を備える。
【0080】
〔14〕〔13〕に記載の電力配分制御方法において、複数の電源車の平均出力電圧を算出する平均出力電圧算出ステップと、複数の電源車を含む直流系統に他の電源車または電源装置を連結するに先立ち、他の電源車または電源装置に備えられる制御装置に連結前電圧設定指令を送ることで、他の電源車または電源装置の連結時におけるドループ制御の電圧指令値である初期基準値として、無負荷時の定常電圧指令値よりも低い平均出力電圧を設定するステップと、直流系統への他の電源車または電源装置の連結後において、ドループ制御に用いる無負荷時の電圧指令値としての基準値を初期基準値から定常電圧指令値まで次第に増加させるステップと、を備えることが好ましい。
【0081】
〔15〕〔13〕または〔14〕に記載の電力配分制御方法において、複数の電源車を含む直流系統の電圧下限値から電圧上限値までの範囲内で電圧下限値の近傍に設定される閾値に基づいて、複数の電源車のそれぞれの出力電圧を範囲内に収める補正制御をオンオフする補正オンオフステップを備え、補正オンオフステップは、少なくとも一部の電源車の出力電圧が閾値に対して減少すると、複数の電源車の車両制御装置にそれぞれ補正オン指令を送ることで、ドループ制御における比例定数の値を維持しつつ、無負荷時の出力電圧の指令値としての基準値を上昇させる補正制御を開始するステップと、少なくとも一部の電源車の出力電圧が閾値に対して増加すると、複数の電源車の車両制御装置にそれぞれ補正オフ指令を送ることで、補正制御を終了するステップと、を含むことが好ましい。
【符号の説明】
【0082】
1 電力供給システム
3 負荷
10 電源車
10A 出力端子
11 車両直流系統
12 車両制御装置
13 エンジン
14 発電電動機
15 AC/DC変換器
16 蓄電デバイス
17 双方向DC/DC変換器
18 車内負荷
19 接続装置
20 電力配分制御装置
21 出力情報取得部
22 制御パラメータ算出部
23 状態量取得部
24 発電能力決定部
25 平均出力電圧算出部
26 補正オンオフ部
100 直流系統
101 電線
102 配線抵抗
110 通信系統
191 電圧計
192 電流計
Gp 比例ゲイン
K,K1~K5 比例定数
Rp 負荷率
Vavr 平均出力電圧
Vdc_min 電圧下限値
Vdc_max 電圧上限値
Vreq 指令電圧
Vtar 基準電圧,定常指令電圧(定常電圧指令値)
Vth 閾値
W 車輪