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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170332
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】3Dスキャナ測定ターゲット
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/06 20060101AFI20231124BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01C15/06 T
G01C15/00 103A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082006
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】炭谷 秀峰
(72)【発明者】
【氏名】三浦 慶明
(57)【要約】
【課題】地面に設置された測量鋲の位置を3Dスキャナによって正確に検出できるようにするための、3Dスキャナ測定ターゲットを提供する。
【解決手段】3Dスキャナ測定ターゲット1Aは、地面100に載せられる脚部3と、脚部3に対して脚部3の上下方向と直交する直交方向に移動可能なように脚部3に支持されたスライダ57と、地面100に向けてマーカMを送り出す墨だし器11Aを支持するための支持部30Aと、水平面に対する支持部30Aの姿勢を調整可能に構成され、且つ、スライダ57と前記直交方向に一体的に移動可能に構成された傾き調整機構56と、支持部30Aに保持され3Dスキャナ200で検出されるターゲット片12cと、を有している。
【選択図】 図10

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に載せられる脚部と、
前記脚部に対して前記脚部の上下方向と直交する直交方向に移動可能なように前記脚部に支持されたスライダと、
前記地面に向けてマーカを送り出す墨だし器を支持するための支持部と、
水平面に対する前記支持部の姿勢を調整可能に構成され、且つ、前記スライダと前記直交方向に一体的に移動可能に構成された傾き調整機構と、
前記支持部に保持されたターゲット片であって、測量対象物へ向けて電磁波を照射して前記測量対象物の点群データを取得する3Dスキャナで検出されるターゲット片と、
を備えている、3Dスキャナ測定ターゲット。
【請求項2】
前記スライダは、前記脚部の上端部である脚部台にスライド可能に載せられ貫通孔が形成されており、
前記脚部台に形成された貫通孔を通って前記スライダから下方に延び前記スライダに固定された筒状のハンドルをさらに備え、
前記ハンドルと同軸に前記マーカが送り出されるように前記墨だし器が配置される、請求項1に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【請求項3】
前記傾き調整機構に支持されるとともに前記支持部を含む墨出し器収容部をさらに備え、
前記墨出し器収容部は、前記支持部を支持する複数の支柱と、前記支柱が固定され前記傾き調整機構に支持される下台と、を有し、
前記下台に水平器が設置されている、請求項1に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【請求項4】
複数の前記支柱によって前記墨だし器が取り囲まれるように構成されている、請求項3に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【請求項5】
前記傾き調整機構は、前記スライダの円周方向に沿って離隔して配置され上下方向に延びる複数のねじ部材を有し、
前記支持部は複数の前記ねじ部材に支持され、
前記スライダからの複数の前記ねじ部材のそれぞれの高さを変更することで、前記支持部の姿勢を調整する、請求項1に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【請求項6】
前記墨だし器から前記マーカが送り出される送出口と同軸に前記支持部に配置され前記ターゲット片を支持するターゲット柱をさらに備えている、請求項1~請求項5の何れか1項に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3Dスキャナ測定ターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
3Dスキャナによって建築構造物を測量する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、複数の測量基準点での3Dスキャンによるスキャンを実行し、全ての測量基準点における点群データを合成して、モデリング処理によって3Dデータを生成する。なお、3Dスキャナは、例えばレーザー光線を対象物に照射し、対象物からの反射光を受信することで、対象物の形状を認識する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-117041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、3Dスキャナで大型構造物等を計測をする際、測量基準点として、地面に予め埋め込まれた測量鋲を使う場合がある。しかし、測量鋲は、通常、地面に埋め込まれているとともに小さく、さらには凹凸がほとんど無い。このため、レーザー光線等を用いる3Dスキャナでは、測量鋲と地面との境界を認識し難く、測量鋲の位置を正確に計測することが困難である。しかしながら、特許文献1には、測量鋲の位置を正確に把握するための構成についての開示はない。
【0005】
本発明は、上記の背景に鑑みることにより、地面に設置された測量鋲の位置を3Dスキャナによって正確に検出できるようにするための、3Dスキャナ測定ターゲットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記の3Dスキャナ測定ターゲットを要旨とする。
【0007】
(1)地面に載せられる脚部と、
前記脚部に対して前記脚部の上下方向と直交する直交方向に移動可能なように前記脚部に支持されたスライダと、
前記地面に向けてマーカを送り出す墨だし器を支持するための支持部と、
水平面に対する前記支持部の姿勢を調整可能に構成され、且つ、前記スライダと前記直交方向に一体的に移動可能に構成された傾き調整機構と、
前記支持部に保持されたターゲット片であって、測量対象物へ向けて電磁波を照射して前記測量対象物の点群データを取得する3Dスキャナで検出されるターゲット片と、
を備えている、3Dスキャナ測定ターゲット。
【0008】
(2)前記スライダは、前記脚部の上端部である脚部台にスライド可能に載せられ貫通孔が形成されており、
前記脚部台に形成された貫通孔を通って前記スライダから下方に延び前記スライダに固定された筒状のハンドルをさらに備え、
前記ハンドルと同軸に前記マーカが送り出されるように前記墨だし器が配置される、前記(1)に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【0009】
(3)前記傾き調整機構に支持されるとともに前記支持部を含む墨出し器収容部をさらに備え、
前記墨出し器収容部は、前記支持部を支持する複数の支柱と、前記支柱が固定され前記傾き調整機構に支持される下台と、を有し、
前記下台に水平器が設置されている、前記(1)に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【0010】
(4)複数の前記支柱によって前記墨だし器が取り囲まれるように構成されている、前記(3)に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【0011】
(5)前記傾き調整機構は、前記スライダの円周方向に沿って離隔して配置され上下方向に延びる複数のねじ部材を有し、
前記支持部は複数の前記ねじ部材に支持され、
前記スライダからの複数の前記ねじ部材のそれぞれの高さを変更することで、前記支持部の姿勢を調整する、前記(1)に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【0012】
(6)前記墨だし器から前記マーカが送り出される送出口と同軸に前記支持部に配置され前記ターゲット片を支持するターゲット柱をさらに備えている、前記(1)~前記(5)の何れか1項に記載の3Dスキャナ測定ターゲット。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、地面に設置された測量鋲の位置を3Dスキャナによって正確に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法で用いられる芯出し器、墨出し器、ターゲット部材、および測量鋲を示す側面図である。
図2図2は、芯出し器の一部拡大図である。
図3図3は、芯出し器、墨出し器、ターゲット部材、および測量鋲101を示す斜視図である。
図4図4(A)は、アダプタの斜視図であり、図4(B)は、アダプタの一部を断面で示す側面図である。
図5図5は、3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法の一例を示すフローチートである。
図6図6(A)は、墨出し器およびターゲット部材の何れもが設置されていない状態を示す芯出し器および測量鋲の側面図である。図6(B)は、水平器が載せられた状態の芯出し器の一部拡大図である。
図7図7(A)は、芯出し器に墨出し器が設置された状態を示す斜視図である。図7(B)は、芯出し器にターゲット部材が取り付けられたことでターゲットが形成された状態を示す側面図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係る3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法で用いられる芯出し器を含むターゲット、墨出し器、および、測量鋲を示す側面図である。
図9図9は、ターゲットの一部拡大図である。
図10図10は、ターゲット、墨出し器、および測量鋲を示す斜視図である。
図11図11は、第2実施形態について、3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法で用いられる芯出し器2、墨出し器11、ターゲット部材12、および測量鋲101を示す側面図である。図2は、芯出し器2の一部拡大図である。図3は、芯出し器2、墨出し器11、ターゲット部材12、および測量鋲101を示す斜視図である。
【0017】
図1図3を参照して、芯出し器2は、地面100に設置された測量鋲101の真上にターゲット片12cを設置するために用いられる。ターゲット片12cは、レーザー光線等の電磁波を用いて測量対象物を測量する3Dスキャナ200で検出される部分として用いられる。3Dスキャナ200は、測量対象物へ向けて電磁波を照射して測量対象物の点群データを取得する。
【0018】
測量鋲101は、例えば、建築構造物等に対する基準となる箇所に設置されており、地面100と略面一に配置されている。測量鋲101は、地面100から露呈している部分が、十字等の刻印102を有しており、例えば数cmの直径を有する円状の外形を有している。なお、測量鋲101のうち地面100に露呈している部分の具体的な形状は問わない。
【0019】
芯出し器2は、脚部3と、脚部3上に設置された水平可動部5と、水平可動部5に着脱可能なアダプタ7と、を有している。
【0020】
芯出し器2には、アダプタ7に取り外し可能な状態で、墨出し器11とターゲット部材12とが択一的に設置される。
【0021】
脚部3は、本実施形態では、三脚である。脚部3は、複数(本実施形態では3つ)の伸縮脚15と、伸縮脚15の上部に配置された脚部台16と、を有している。伸縮脚15は、脚部台16の外周方向に沿って離隔して配置されて脚部台16を3点支持しており、鉛直方向に対して傾斜している。各伸縮脚15は、地面100に載せられる下脚17と、下脚17に対して下脚17の長手方向にスライド可能且つ下脚17との相対位置を規制可能に構成された上脚18と、を有している。各伸縮脚15において、下脚17に対する上脚18の位置を調整することで、各伸縮脚15の全長を変更できる。下脚17と上脚18とは、図示しない固定ねじ等を用いて固定される。各伸縮脚15の全長を適宜設定することで、脚部台16を水平に配置できる。
【0022】
水平可動部5は、脚部3に対する墨出し器11の水平方向の位置を調整するために設けられている。水平可動部5は、筒体21と、筒体21に固定されたアーム22と、アーム22の上端部22bに載せられた支持部本体31と、を有している。
【0023】
筒体21は、脚部台16を上下に貫通する筒状部材であり、例えば円筒状に形成されている。筒体21は、脚部台16に対して上下に位置調整可能に構成されていてもよいし、脚部台16に固定されていてもよい。筒体21の上部にアーム22が固定されている。
【0024】
アーム22は、例えばC字状に形成されており、アーム22の下端部が筒体21に固定されているとともに、アーム22の中間部が上下に延びている。アーム22の上端部22bは、平板状に形成されており、筒体21の上方に位置している。アーム22の下端部および上端部22bには、貫通孔22aが形成されており、墨出し器11から鉛直方向に照射されるマーカM(本実施形態では、レーザ光線)が通過可能とされている。アーム22の上端部22bに支持部本体31が載せられている。すなわち、支持部本体31は、アーム22等を介して脚部3に支持されている。
【0025】
支持部本体31は、筒体21の上方に配置されている。支持部本体31は、アーム22の上端部22bに対して水平方向にスライド可能に載せられている。
【0026】
支持部本体31は、平板状部分31bと、平板状部分31bの上面から上方に突出する雄ねじ31cと、平板状部分31bおよび雄ねじ31cを上下に貫通する貫通孔31aと、を有している。
【0027】
雄ねじ31cは、筒体21と同軸に配置される。また、貫通孔31aは、雄ねじ31cおよび筒体21と同軸に配置される。
【0028】
支持部本体31には、ハンドル33が固定されている。ハンドル33は、支持部本体31およびアダプタ7を含む支持部30を、アーム22(脚部3)に対して水平方向に移動させるために用いられる。ハンドル33は、平板状部分31bの下方に配置されて平板状部分31bから下方に突出しており、貫通孔31aと同軸の筒状(円筒状)に形成されている。ハンドル33は、アーム22の上端部22bに形成された貫通孔22aを通してこの上端部22bの下方に延びている。作業員がハンドル33を水平方向に動かすことで、支持部本体31およびアダプタ7を含む支持部30の水平方向位置を変更できる。
【0029】
アダプタ7は、支持部本体31と協働して支持部30を形成している。アダプタ7は、支持部本体31と墨出し器11とを連結するためのアタッチメントとして設けられている。アダプタ7は、支持部本体31に支持され支持部本体31に対して着脱可能である。図4(A)は、アダプタ7の斜視図であり、図4(B)は、アダプタ7の一部を断面で示す側面図である。
【0030】
図1図4(B)を参照して、アダプタ7は、アダプタ7を上下に貫通する貫通孔7aと、筒状のアダプタ本体7bと、アダプタ本体7bの下部に形成された雌ねじ7cと、アダプタ本体7bの上部に形成された雄ねじ7dと、を有している。
【0031】
アダプタ本体7bの外周面にはアダプタ本体7bの周方向に等ピッチ(例えば、90度ピッチ)で配置された外周雌ねじ7eが形成されている。この外周雌ねじ7eは、ボルト等で形成された操作ハンドル34を取り付けるために設けられている。雌ねじ7cは、支持部本体31の雄ねじ31cと着脱可能にねじ結合する。雄ねじ7dは、アダプタ本体7bの上面から上方に突出している。雄ねじ7dは、墨出し器11の下部に形成された雌ねじ11bと着脱可能にねじ結合する。
【0032】
墨出し器11は、本実施形態では、レーザー墨出し器11であり、マーカMとしてレーザー光線を照射する。なお、墨出し器11は、錘が先端に設けられた糸をマーカとして垂らす構成であってもよい。墨出し器11は、バッテリー等の電源およびレーザー光源を収容するハウジング11aと、ハウジング11aの下面に形成された雌ねじ11bと、を有している。雌ねじ11bの奥側(上側)に、マーカM(レーザー光)の送出口11c(照射口)が配置されている。
【0033】
本実施形態では、アダプタ7は、墨出し器11と、ターゲット部材12とを択一的に取り付け可能とされている。ターゲット部材12は、芯出し器2の上端に配置される。
【0034】
図1によく示されているように、ターゲット部材12は、上下に延びる柱12aと、柱12aの上端に固定された枠12bと、枠12bに支持されたターゲット片12cと、を有している。
【0035】
柱12aの下部には、雌ねじ12dが形成されており、アダプタ7の雄ねじ7dに着脱可能にねじ結合する。雌ねじ12dは、墨出し器11の雌ねじ11bと同じ形状を有している。すなわち、アダプタ7と墨出し器11との接続部形状(ねじ形状)と、アダプタ7とターゲット部材12との接続部形状とが共通である。枠12bは、本実施形態では、半円状に形成された部分であり、ターゲット片12cを挟むように配置されている。
【0036】
ターゲット片12cは、3Dスキャナ200からの電磁波(レーザー光線等)を反射可能な材料で形成されていることで、3Dスキャナ200の測定結果である点群データにおいてターゲット片12cの形状が特定されるように構成されている。ターゲット片12cは、本実施形態では、円板状に形成されている。ターゲット片12cの表面および裏面には、扇状の標識がターゲット片12cの周方向に90度ピッチで配置されている。ターゲット片12cの左右両端部は、枠12bに支持されており、左右に延びる軸回りの位置を枠12bに対して変更可能であり、変更された位置を維持可能に構成されている。
【0037】
以上が、芯出し器2等の主要な構成である。次に、3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法を説明する。
【0038】
図5は、3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法の一例を示すフローチャートである。フローチャートを参照しながら説明するときは、適宜図面を参照しながら説明する。
【0039】
3Dスキャナ測定におけるターゲット設定時には、図6(A)に示すように、作業員は、墨出し器11を載せる支持部30と、地面100に載せられる脚部3と、を有する芯出し器2を、地面100に設置された測量鋲101の上方に配置する(ステップS11)。図6(A)は、墨出し器11およびターゲット部材12の何れもが設置されていない状態を示す芯出し器2および測量鋲101の側面図である。このとき、作業員は、例えばアダプタ7の上方から貫通孔7aを覗きつつ、脚部台16が測量鋲101の概ね真上に位置するように脚部3を地面100に置く。
【0040】
次に、作業員は、支持部30の姿勢を水平姿勢に設定する(ステップS12)。具体的には、作業員は、図6(B)に示すように、支持部30のアダプタ7の例えば雄ねじ7dの上面に水平器40を載せる。図6(B)は、水平器40が載せられた状態の芯出し器2の一部拡大図である。作業員は、脚部3の各伸縮脚15について、下脚17に対する上脚18の高さ位置を調節することで、アダプタ本体7bの上面が水平であることを示すような水平器40の表示にする。これにより、支持部30の姿勢が水平姿勢となる。
【0041】
次に、作業員は、水平器40をアダプタ7から取り外すとともに、アダプタ7の雄ねじ7dに墨出し器11の雌ねじ11bをねじ結合することで、図7(A)に示すように、墨出し器11をアダプタ7に取り付ける。図7(A)は、芯出し器2に墨出し器11が設置された状態を示す斜視図である。作業員は、墨出し器11の電源をオンにすることで、墨出し器11からレーザー光線であるマーカMを照射する。このマーカMは、図2および図7(A)に示されているように、アダプタ7の貫通孔7a、支持部本体31の貫通孔31a、ハンドル33の内側、アーム22の貫通孔22a、および、筒体21の内側を通って地面100に到達する。作業員は、このマーカMを確認しつつ、ハンドル33を操作することで、支持部本体31を含む支持部30と墨出し器11とをアーム22に対して水平方向に移動させる。これにより、作業員は、支持部30に保持された墨出し器11から送り出されたマーカM(レーザ光)が測量鋲101の真上を通るように支持部30の水平方向位置を設定する(ステップS13)。
【0042】
これらステップS11~S13の作業により、支持部30の中心軸線(支持部本体31およびアダプタ7の中心軸線)は、測量鋲101の中心と鉛直方向に並ぶ。すなわち、芯出し器2が測量鋲101に芯合わせされる。
【0043】
なお、ステップS13の作業の後にステップS12の作業が行われてもよい。
【0044】
次に、作業員は、墨出し器11をアダプタ7に対して回転することで、墨出し器11をアダプタ7から取り外し、さらに、ターゲット部材12の柱12aの雌ねじ12dをアダプタ7の雄ねじ7dにねじ結合する。これにより、図7(B)に示すように、墨出し器11をターゲット部材12に付け替える(ステップS14)。図7(B)は、芯出し器2にターゲット部材12が取り付けられたことでターゲット1が形成された状態を示す側面図である。このように、支持部30に、測量対象物へ向けて電磁波を照射して測量対象物の点群データを取得する3Dスキャナ200で検出されるターゲット片12cを設置する。本実施形態では、支持部30(アダプタ本体7bの上面)が水平姿勢で、且つ、墨出し器11からのマーカMが測量鋲101の真上を通るように支持部30の水平方向位置が設定された後、墨出し器11がターゲット片12cに置き換えられる。上記の作業を経ることで、ターゲット片12cの中心12eを測量鋲101の真上に高い位置精度で配置できる。
【0045】
そして、作業員は、支持部30にターゲット片12cを設置した後、鉛直軸線回りのターゲット片12cの向きを複数種類設定し、各向きにおいて3Dスキャナ200でターゲット片12cを測量し、測量結果に基づいてターゲット片12cの位置を調整する(ステップS15)。このとき、ターゲット1に対する3Dスキャナ200の位置は、一定でもよいし、ターゲット片12cの向きに応じて変更してもよい。ターゲット片12cの向きは、ターゲット部材12をアダプタ7に対して回転させることで簡単に変更できる。ターゲット片12cの向きは、鉛直軸線回りに一定の角度毎に設定されてもよいし、ランダムな角度毎に設定されてもよい。そして、ターゲット片12cの向き毎に3Dスキャナ200で測定された点群データに基づいて、作業員がハンドル33を操作することで、ターゲット片12cの水平方向位置が調整される。
【0046】
なお、ステップS15の作業は省略されてもよい。
【0047】
ターゲット片12cの設置が完了した後、作業員は、3Dスキャナ200を用いて、ターゲット片12cを測量対象範囲に含めつつ、建築構造物等の測量対象物(図示せず)に対して3次元測量を行う。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によると、測量鋲101の真上において水平姿勢で設置された支持部30にターゲット片12cを設置する。これにより、地面100に埋まっており、地面100と面一であることで3Dスキャナ200で検出し難い測量鋲101を直接測量せずとも、ターゲット片12cを測定することで、3Dスキャナ200による測量で得られた点群データにおいて測量鋲101の位置を正確に検出できる。
【0049】
また、本実施形態では、支持部30が水平姿勢で、且つ、マーカMが測量鋲101の真上を通るように支持部30の水平方向位置が設定された後、墨出し器11がターゲット片に置き換えられる。この構成によると、マーカMの使用が終わった後に墨出し器11を芯出し器2から取り外すことができるので、複数の測量鋲101のそれぞれの真上にターゲット片12cを設置する際でも、墨出し器11は1つで済む。また、支持部30の位置設定の際にターゲット片12cが邪魔にならずに済む。
【0050】
また、本実施形態によると、1つのアダプタ7で芯出し器2への墨出し器11の取り付けと、芯出し器2へのターゲット片12cの取り付けの双方を行うことができる。このようにアダプタ7の汎用性が高いので、芯出し器2の部品点数を少なくできる。
【0051】
また、本実施形態によると、ターゲット片12cの向きが複数種類設定され、各向きにおいてターゲット片12cの測量が行われる。これにより、ターゲット片12cが測量鋲101の真上にあるか否かがより高い精度で判明する。よって、ターゲット片12cを測量鋲101の真上におけるより正確な位置に設置することができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる構成を主に説明し、第1実施形態と同様の構成には図に同様の符号を付して同様の説明を省略する場合がある。
【0053】
図8は、本発明の第2実施形態に係る3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法で用いられる芯出し器2Aを含むターゲット1A、墨出し器11A、および、測量鋲101を示す側面図である。図9は、ターゲット1Aの一部拡大図である。図10は、ターゲット1A、墨出し器11A、および測量鋲101を示す斜視図である。
【0054】
図8図10を参照して、ターゲット1A(芯出し器2A)は、地面100に設置された測量鋲101の真上にターゲット片12cを設置するために用いられる。
【0055】
ターゲット1Aは、墨出し器11Aを支持する芯出し器2Aと、芯出し器2Aの上部に設置されたターゲット部材12と、を有している。
【0056】
芯出し器2Aは、地面100に載せられる脚部3と、脚部3上に設置された位置調整機構50と、位置調整機構50に支持された墨出し器収容部51と、水平器40Aと、を有している。
【0057】
第2実施形態では、芯出し器2Aには、墨出し器11Aとターゲット部材12とが同時に装着されている。
【0058】
脚部3は、本第2実施形態では、三脚である。脚部3は、複数(本実施形態では3つ)の伸縮脚15と、伸縮脚15の上部に配置された脚部台16Aと、を有している。なお、第2実施形態では、伸縮脚15に代えて、全長が固定された脚を用いてもよい。
【0059】
脚部台16Aは、平板状に形成されており、各伸縮脚15の上脚18が取り付けられている。脚部台16Aには、後述するハンドル33Aが貫通する貫通孔16Aaが形成されている。脚部台16Aに位置調整機構50が配置されている。
【0060】
位置調整機構50は、墨出し器11Aおよびターゲット部材12の水平面に対する向きと、脚部3に対する墨出し器11Aおよびターゲット部材12の水平方向の位置(脚部3の上下方向と直交する直交方向の位置)と、を調整するために設けられている。
【0061】
位置調整機構50は、水平位置調整機構55と、水平位置調整機構55上に配置された傾き調整機構56と、を有している。
【0062】
水平位置調整機構55は、脚部台16Aに対する墨出し器11Aおよびターゲット部材12の水平位置を調整するために設けられている。
【0063】
水平位置調整機構55は、脚部台16Aの上面にスライド可能に置かれたスライダ57と、スライダ57から下方に突出するハンドル33Aと、を有している。
【0064】
スライダ57は、脚部3の上端部である脚部台16Aに対して脚部3の上下方向と直交する直交方向(水平方向)にスライド移動可能なように、脚部台16Aに載せられている。スライダ57は、後述する支持部30Aおよびターゲット部材12と、脚部台16Aに対して一体的に移動する。スライダ57は、平板状部材であり、脚部台16Aの上面に載せられており、この上面をスライド可能である。スライダ57の中心には貫通孔57aが形成されており、スライダ57を貫通孔57aが上下に貫通している。この貫通孔57aと同軸に筒状のハンドル33Aが固定されている。
【0065】
ハンドル33Aは、作業員が把持しつつ脚部台16Aに対して移動させることで、スライダ57を脚部台16Aの上面上で移動させるために設けられている。ハンドル33Aは、本実施形態では、円筒部材である。ハンドル33Aは、脚部台16Aの貫通孔16Aaを通ってハンドル33Aから脚部台16Aの下方に突出している。
【0066】
傾き調整機構56は、水平面に対する、後述する支持部30Aの姿勢を調整可能に構成され、且つ、スライダ57と水平方向に一体的に移動可能に構成されている。傾き調整機構56は、スライダ57に支持された上台59を有しており、水平面に対する上台59の傾きを調整可能である。
【0067】
傾き調整機構56は、スライダ57と、スライダ57から上方に立ち上がる複数(本実施形態では3つ)の高さ調整ねじ部材58と、これらの高さ調整ねじ部材58に支持された上台59と、を有している。
【0068】
スライダ57は、水平位置調整機構55の一要素であるとともに傾き調整機構56の一要素でもある。なお、スライダ57の上部にブロック状の部材を下台として設け、この下台に高さ調整ねじ部材58を設置してもよい。
【0069】
複数の高さ調整ねじ部材58は、協働して水平面に対する上台59の向きを調整するために設けられている。各高さ調整ねじ部材58は、上下に延びる例えば雄ねじである。なお、各高さ調整ねじ部材58は、少なくとも上端部と下端部に雄ねじが形成されていればよい。高さ調整ねじ部材58は、スライダ57の貫通孔57aの周方向に沿って例えば等ピッチ(本実施形態では、120度ピッチ)で離隔して配置されている。各高さ調整ねじ部材58の下部は、スライダ57の対応する箇所に形成された雌ねじ57bにねじ結合している。また、各高さ調整ねじ部材58の上部は、上台59の対応する箇所に形成された雌ねじ59bにねじ結合している。各高さ調整ねじ部材58の中間部には、作業員が指でつまむためのつまみ部材60が固定されている。
【0070】
上台59は、例えば平板状に形成されたブロック状の部材であり、上述したように、下向きに開放された複数の雌ねじ59bを有している。また、上台59の中心には、上下に延びる貫通孔59aが形成されている。
【0071】
上記の構成により、高さ調整ねじ部材58を回転させることで、当該高さ調整ねじ部材58は、スライダ57および上台59に対する高さ位置が変化する。そして、複数の高さ調整ねじ部材58のそれぞれの高さ位置を調整することで、上台59および支持部30Aの姿勢を調整する。これにより、高さ調整ねじ部材58に支持されている上台59および支持部30Aについて、水平面に対する傾きを調整できる。
【0072】
なお、スライダ57の雌ねじ57bおよび上台59の雌ねじ59bの何れか一方をねじ溝が形成されていない丸孔としてもよい。この場合でも、雌ねじが形成されたスライダ57または上台59と各高さ調整ねじ部材58とのねじ結合によって、各高さ調整ねじ部材58の高さ位置を変更することができる。
【0073】
墨出し器収容部51は、墨出し器11Aを収容するために設けられている。墨出し器収容部51は、上台59から上方に立ち上がるように配置されている。本実施形態では、墨出し器収容部51は、傾き調整機構56に支持されている。
【0074】
墨出し器収容部51は、下台61と、支柱62と、支持部30Aと、を有している。
【0075】
下台61は、例えば円板状に形成された板状部材である。下台61には、上下に延びる貫通孔61aが形成されている。下台61は、傾き調整機構56の上台59に固定されて支持されている。
【0076】
支柱62は、細長い軸状に形成されており、本実施形態は、複数(3つ)設けられている。これらの支柱62は、下台61の周方向に等ピッチ(本実施形態では、120度ピッチ)に配置されている。隣り合う支柱62間の隙間は、墨出し器11Aを出し入れ可能な大きさとされている。支柱62の下端部は下台61の外周部に固定され、支柱62の上端部は支持部30Aの後述する支持部本体31Aの外周部に固定されている。
【0077】
支持部30Aは、墨出し器11Aおよびターゲット部材12Aを支持する部分として設けられている。支持部30Aは、墨出し器収容部51の支柱62および高さ調整ねじ部材58等を介して脚部3に支持されている。
【0078】
支持部30Aは、支持部本体31Aと、支持部本体31Aの下面に設けられた取付部63と、を有している。
【0079】
支持部本体31Aは、例えば円板状に形成された板状部材である。支持部本体31Aは、各支柱62の上端部に支持されている。下台61と支持部本体31と各支柱62とで囲まれた領域が、墨出し器11Aを収容する空間を形成している。取付部63は、墨出し器11Aを取り外し可能に取り付けるために設けられている。取付部63は、支持部本体31Aに支持されており、墨出し器11Aの外周部を例えば締め付けて保持するクランプを有している。なお、取付部63は、墨出し器11Aを固定できればよく、具体的な構成は限定されない。また、取付部63は、墨出し器11Aを取り外し不能に固定してもよい。
【0080】
水平器40Aは、本実施形態では、墨出し器収容部51の下台61に設けられている。水平器40Aは、墨出し器収容部51(支持部30A)が水平姿勢にあるか否かを測定するために設けられている。本実施形態では、水平器40Aは、下台61の上面の外周部に設置されている。
【0081】
水平器40Aは、複数(本実施形態では、3つ)のタブ41を有している。タブ41は、下台61の周方向に沿って支柱62と交互に配置されている。各タブ41は、所定の厚みを有する中空の円板状に形成されており、内部に水等の液体と空気等の気体とが封入されている。また、タブ41の上面には円等の印が付されている。例えば、下台61および支持部本体31Aが水平姿勢にないとき、少なくとも1つのタブ41内の気体が、平面視で上記の印に収まりきらないように構成されている。また、下台61および支持部本体31Aが水平姿勢にあるとき、全てのタブ41内の気体が、平面視で上記の印内に収まるように構成されている。なお、水平器40Aは、下台61および支持部本体31Aが水平姿勢にあるか否かを検出可能な構成であればよく、具体的な構成は限定されない。また、水平器40Aの設置場所は、支柱62でも支持部本体31Aでもよい。
【0082】
墨出し器11Aは、レーザー墨出し器であり、マーカMとしてレーザー光線を地面100に向けて照射する。なお、墨出し器11Aは、錘が先端に設けられた糸をマーカとして垂らす構成であってもよい。墨出し器11Aは、バッテリー等の電源およびレーザー光源を収容する筒状(本実施形態では、円筒状)で且つ先端(下端)が先細り形状に形成されたハウジング11aAと、ハウジング11aAの先端(下端)に形成されマーカM(レーザー光)が照射される送出口11cAと、を有している。
【0083】
墨出し器11Aのハウジング11aAの上部は、取付部63によって支持されている。これにより、墨出し器11Aは、支持部本体31Aを含む墨出し器収容部51と一体的に移動するように構成されている。墨出し器11Aの周囲は複数の支柱62で囲まれている。墨出し器11AからのマーカM(レーザー光)は、下台61の貫通孔61a、水平位置調整部55の上台59の貫通孔59a、スライダ57の貫通孔57a、および、ハンドル33Aの内側を通過して地面100に到達する。本実施形態では、ハンドル33Aと同軸にマーカMが送り出されるように墨出し器11Aが配置されている。
【0084】
ターゲット部材12は、支持部本体31Aの上方に配置されている。
【0085】
ターゲット部材12は、上下に延びる柱12aと、柱12aの上端に固定された枠12bと、枠12bに支持されたターゲット片12cと、を有している。
【0086】
柱12aの下部は、支持部本体31Aに支持されている。柱12aは、支持部本体31Aに対して鉛直軸線回りを回転可能に支持されている。柱12aを支持部本体31Aに対して鉛直軸線回りを回転可能に支持する具体的な構成は、限定されない。柱12aは、墨出し器11AにおけるマーカMが送り出される送出口11cAと上下に同軸に配置されている。
【0087】
ターゲット片12cは、支持部30Aに保持されており、3Dスキャナ200で検出される。
【0088】
以上が、ターゲット1Aの主要な構成である。次に、3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法を説明する。
【0089】
図11は、第2実施形態について、3Dスキャナ測定におけるターゲット設定方法の一例を示すフローチャートである。フローチャートを参照しながら説明するときは、適宜図面を参照しながら説明する。
【0090】
なお、このフローチャートでの説明時には、墨出し器11Aは、予め芯出し器2Aの支持部30Aの取付部63に取り付けられているけれども、適宜のタイミングで取付部63に取り付けられてもよい。
【0091】
本実施形態では、芯出し器2Aが測量鋲101の上方に配置される前の時点で、支持部30Aに、3Dスキャナ200で検出されるターゲット片12cが設置される(ステップS21)。
【0092】
3Dスキャナ測定におけるターゲット設定時には、作業員は、墨出し器11Aを載せる支持部30Aと、地面100に載せられる脚部3と、を有する芯出し器2A(ターゲット1A)を、地面100に設置された測量鋲101の上方に配置する(ステップS22)。このとき、作業員は、脚部台16Aの貫通孔16Aaが測量鋲101の概ね真上に位置するように脚部3を地面100に置く。
【0093】
次に、作業員は、支持部30A(ターゲット片12c)の姿勢を水平姿勢に設定する(ステップS23)。具体的には、作業員は、脚部3の各伸縮脚15について、下脚17に対する上脚18の高さ位置を調節すること、および、傾き調整機構56の各高さ調整ねじ部材58の高さ位置を調整すること、の少なくとも一方を行う。これにより、下台61(支持部本体31A)が水平であることを示すような水平器40Aの表示にする。その結果、支持部30Aの姿勢が水平姿勢となる。なお、脚部3の3つの伸縮脚15に代えて脚長一定の3つの脚が用いられる場合、作業員は、傾き調整機構56の各高さ調整ねじ部材58の高さ位置を調整することで、支持部30Aの姿勢を水平姿勢に設定する。
【0094】
次に、作業員は、墨出し器11Aの電源をオンにすることで、墨出し器11Aからレーザー光線であるマーカMを照射する。このマーカMは、下台61の貫通孔61a、上台59の貫通孔59a、スライダ57の貫通孔57a、および、ハンドル33Aの内側を通って地面100に到達する。作業員は、このマーカMを確認しつつ、ハンドル33Aを操作することで、支持部本体31Aを含む支持部30Aと墨出し器11Aとを脚部台16に対して水平方向に移動させる。これにより、作業員は、支持部30Aに保持された墨出し器11Aから送り出されたマーカM(レーザ光)が測量鋲101の真上を通るように支持部30Aの水平方向位置を設定する(ステップS24)。これらステップS23~S24の作業により、支持部30Aの中心軸線(ターゲット片12cの中心12e)は、測量鋲101の中心と鉛直方向に並ぶ。すなわち、芯出し器2Aが測量鋲101に芯合わせされる。
【0095】
なお、ステップS24の作業の後にステップS23の作業が行われてもよい。
【0096】
また、ターゲット部材12を芯出し器2Aに対して着脱可能に構成しておき、ステップS22~S24の何れかが完了した後にステップS21のターゲット片設置作業が行われてもよい。
【0097】
そして、作業員は、測量鋲101の真上にターゲット片12cを設置した後、鉛直軸線回りのターゲット片12cの向きを複数種類設定し、各向きにおいて3Dスキャナ200でターゲット片12cを測量し、測量結果に基づいてターゲット片12cの位置を調整する(ステップS25)。このとき、ターゲット1Aに対する3Dスキャナ200の位置は、一定でもよいし、ターゲット片12cの向きに応じて変更してもよい。ターゲット片12cの向きは、ターゲット部材12の柱12aを支持部本体31Aに対して回転させることで簡単に変更できる。ターゲット片12cの向きは、鉛直軸線回りに一定の角度毎に設定されてもよいし、ランダムな角度毎に設定されてもよい。そして、ターゲット片12cの向き毎に3Dスキャナ200で測定された点群データに基づいて、作業員がハンドル33Aおよび各高さ調整ねじ部材58を操作することで、ターゲット片12cの水平方向位置が調整される。
【0098】
なお、ステップS25の作業は省略されてもよい。
【0099】
ターゲット片12cの設置が完了した後、作業員は、3Dスキャナ200を用いて、ターゲット片12cを測量対象範囲に含めつつ、建築構造物等の測量対象物(図示せず)に対して3次元測量を行う。
【0100】
以上説明したように、本第2実施形態によると、測量鋲101の真上において水平姿勢で設置された支持部30Aにターゲット片12cを設置する。これにより、地面100に埋まっており(地面100と面一であることで)3Dスキャナ200で検出し難い測量鋲101を直接測量せずとも、ターゲット片12cを測定することで、3Dスキャナ200による測量で得られた点群データにおいて測量鋲101の位置を正確に検出できる。
【0101】
また、本第2実施形態によると、ターゲット片12cの向きが複数種類設定され、各向きにおいてターゲット片12cの測量が行われる。これにより、ターゲット片12cが測量鋲101の真上にあるか否かがより高い精度で判明する。よって、ターゲット片12cを測量鋲101の真上におけるより正確な位置に設置することができる。
【0102】
また、本第2実施形態によると、墨出し器11AのマーカMを目印に、測量鋲101の真上にターゲット片12cを設置できる。さらに、傾き調整機構56によって、ターゲット片12cを水平姿勢に設置できる。これにより、地面100に埋まっており3Dスキャナで検出し難い測量鋲101を直接測定せずとも、ターゲット片12cが測定されることで、点群データにおいて測量鋲101の位置を正確に検出できる。
【0103】
また、第2実施形態によると、ハンドル33Aと同軸にマーカMが送り出されるように構成されているので、作業員がハンドル33Aを操作しているときに、直感的にマーカMの位置を把握し易い。
【0104】
また、第2実施形態によると、ターゲット1Aに水平器40Aが予め設置されているので、別途水平器40Aを準備しなくて済む。また、水平器40Aを見やすく且つマーカMの邪魔にならない箇所に設置することができる。
【0105】
また、第2実施形態によると、墨出し器収容部51の支柱62で墨出し器11Aを取り囲むことで、墨出し器11Aがターゲット1Aの周囲の物体と接触して破損することを抑制できる。
【0106】
また、第2実施形態によると、傾き調整機構56の各高さ調整ねじ部材58を回転させる構成であることにより、支持部30Aの姿勢調整作業の後に傾き調整機構56の動きを固定するための作業が不要であり、傾き調整動作に係る手間を少なくできる。
【0107】
また、第2実施形態によると、墨出し器11Aの送出口11cAと同軸にターゲット部材12の柱12aが配置されているので、測量鋲101の真上にターゲット片12cの中心12eを設置する作業を作業員がより直感的に行うことができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されない。本発明は、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能である。
【0109】
例えば、各上記実施形態において、雄ねじと雌ねじとが結合される構成については、雄ねじが形成される部分と雌ねじが形成される部分とを入れ替えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、3Dスキャナ測定ターゲットとして、広く適用できる。
【符号の説明】
【0111】
1A 3Dスキャナ測定ターゲット
3 脚部
11A 墨だし器
11cA 送出口
12a 柱(ターゲット柱)
12c ターゲット片
16A 脚部台
16Aa 脚部台の貫通孔
30A 支持部
33A ハンドル
40A 水平器
51 墨出し器収容部
56 傾き調整機構
57 スライダ
57a スライダの貫通孔
58 高さ調整ねじ部材(ねじ部材)
61 下台
62 支柱
100 地面
200 3Dスキャナ
M マーカ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11