(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170341
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20231124BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20231124BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20231124BHJP
F28F 1/40 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L23/36 Z
H05K7/20 N
F28F1/40 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082022
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】西原 淳夫
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA11
5E322DA04
5E322FA01
5F136BA38
5F136CB07
5F136DA27
5F136FA02
5F136FA03
5F136GA06
(57)【要約】
【課題】放熱フィン列の放熱性能が十分に上がる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置(100)は、放熱面(3a)に線状の放熱部である放熱フィン(2)を配置し、放熱フィン(2)を複数並べた放熱フィン列(9)を備える。放熱フィン(2)は、放熱面(3a)への複数かつ間隔を空けた接合部(2a)を有する。放熱フィン(2)の接合部(2a)は、放熱面(3a)に設けられた溝(8)に嵌め込まれかしめ接合されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱面に線状の放熱部である放熱フィンを配置し、前記放熱フィンを複数並べた放熱フィン列を備える冷却装置であって、
前記放熱フィンは、前記放熱面への複数かつ間隔を空けた接合部を有し、
前記放熱フィンの前記接合部は、前記放熱面に設けられた溝に嵌め込まれかしめ接合されている
冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記放熱フィンは、隣り合う前記接合部の中間の部分が前記放熱面から離れる方向に屈曲され、さらに逆方向に屈曲されて前記放熱面に戻る凹凸形状を有し、前記接合部の間隔に合わせて、同形状の繰り返しで連続形成されている
冷却装置。
【請求項3】
請求項1に記載の冷却装置の製造方法であって、
1以上の前記放熱フィンを横切る方向の板状のたがねによって前記接合部を前記放熱面の前記溝に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の冷却装置の製造方法であって、
1以上の前記放熱フィンを横切る方向に棒状の治具を通して前記接合部を押さえ、1以上の前記放熱フィンと平行方向の板状のたがねを隣り合う前記放熱フィンの間に挿入して、前記たがねを用いて前記治具を押して、前記放熱フィンを前記放熱面の前記溝に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記放熱フィン列を成して隣り合う前記放熱フィンの前記接合部は、前記放熱フィンの長手方向に一定の長さでずれて配置されている
冷却装置。
【請求項6】
請求項5に記載の冷却装置であって、
前記放熱フィン列を成して隣り合う前記放熱フィンの前記接合部のずれの幅は、1本の前記放熱フィンの隣り合う前記接合部の間隔の半分であり、
前記放熱フィン列は、隣り合う2本の前記放熱フィンを1単位として繰り返す千鳥配列である
冷却装置。
【請求項7】
請求項1に記載の冷却装置であって、
前記放熱フィンは、前記溝を形成した前記放熱面よりも柔らかい金属であり、
前記溝は、前記接合部以外の前記放熱フィンの断面幅よりも前記放熱フィンの前記接合部を前記溝に嵌め込まれかしめ接合される狭い幅に形成されている
冷却装置。
【請求項8】
放熱面に線状の放熱部である放熱フィンを配置し、前記放熱フィンを複数並べた放熱フィン列を備える冷却装置の製造方法であって、
前記放熱フィンは、前記放熱面への複数かつ間隔を空けた接合部を有し、
前記放熱フィンの前記接合部は、前記放熱面に設けられた溝に嵌め込まれかしめ接合され、
たがねによって前記放熱フィン列の前記接合部の全部を前記放熱面の前記溝の全部に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記放熱フィン列における前記放熱フィンそれぞれ1箇所の前記接合部を横並びに並列した複数の前記接合部を横切る方向の板状のたがねを前記接合部の凹部の全部に亘って配置し、前記たがねを用いて前記接合部の全部を前記放熱面の前記溝の全部に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記放熱フィン列における前記放熱フィンそれぞれ1箇所の前記接合部を横並びに並列した複数の前記接合部を横切る方向、かつ、前記放熱フィンそれぞれがすり抜けるスリットを有する櫛歯状のたがねを前記接合部の凹部の全部に亘って配置し、前記たがねによって前記接合部の全部を前記放熱面の前記溝の全部に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記放熱フィン列における前記放熱フィンそれぞれ1箇所の前記接合部側の放熱面向きヘアピンカーブ部に、横並びに並列した複数の前記放熱面向きヘアピンカーブ部を横切る方向に棒状の複数の治具それぞれを通して前記接合部の凹部の全部を押さえ、前記放熱フィン列と平行方向の板状のたがねを隣り合う前記放熱フィンの間に挿入して、前記たがねを用いて複数の前記治具の全部を押して、前記接合部の全部を前記放熱面の前記溝の全部に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項12】
請求項8に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記放熱フィン列における前記放熱フィンそれぞれ1箇所の前記接合部側の放熱面向きヘアピンカーブ部に、横並びに並列した複数の前記放熱面向きヘアピンカーブ部を横切る方向に棒状の複数の治具それぞれを通して前記接合部の凹部の全部を押さえ、前記放熱フィン列と平行方向、かつ、前記放熱フィンそれぞれがすり抜けるスリットを有する櫛歯状のたがねを隣り合う前記放熱フィンの間に挿入して、前記たがねを用いて複数の前記治具の全部を押して、前記接合部の全部を前記放熱面の前記溝の全部に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項13】
請求項11に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記放熱フィン列における前記放熱フィンそれぞれ1箇所の前記接合部とは反対側かつ隣り合う前記接合部の中間の部分に形成された反放熱面向きヘアピンカーブ部に、横並びに並列した複数の前記反放熱面向きヘアピンカーブ部を横切る方向に棒状の複数の補助治具それぞれを通して前記放熱フィンを揃え、前記放熱フィン列と平行方向の板状のたがねを、前記補助治具がすり抜けるスリットを通過させて隣り合う前記放熱フィンの間に挿入して、前記たがねを用いて複数の前記治具の全部を押して、前記接合部の全部を前記放熱面の前記溝の全部に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項14】
請求項11に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記放熱フィン列における前記放熱フィンそれぞれ1箇所の前記接合部とは反対側かつ隣り合う前記接合部の中間の部分に形成された反放熱面向きヘアピンカーブ部に、横並びに並列した複数の前記反放熱面向きヘアピンカーブ部を横切る方向に棒状の複数の補助治具それぞれを通して前記放熱フィンを揃え、前記放熱フィン列と平行方向、かつ、前記放熱フィンそれぞれがすり抜ける第1スリットを有する櫛歯状のたがねを、前記補助治具がすり抜ける第2スリットを通過させて隣り合う前記放熱フィンの間に挿入して、前記たがねを用いて複数の前記治具の全部を押して、前記接合部の全部を前記放熱面の前記溝の全部に押し込む
冷却装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記治具又は前記補助治具は、前記放熱フィンの千鳥配列に合わせて前記放熱面に向かう方向と交わる方向にて左右に波型に曲げられている
冷却装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力変換装置では、出力の増大が求められている。また、電力変換装置に搭載される冷却装置の生産性が向上できる構造が要求されている。特に、車載用の電力変換装置は、産業用の電力変換装置と比較すると出力の体積密度が大きく、温度変化の大きい環境にて使用されるため、環境温度が高温になる場合がある。このため、車載用の電力変換装置向けには、熱伝達率の高い冷却装置が要求されている。
【0003】
そのような高性能の冷却装置を提供するために、特許文献1では、一本の線材を曲げた多数のループ部を有する放熱フィンを放熱面上に起立させて嵌め込んで成るヒートシンクが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の技術では、放熱フィンがループしているため、2本重ねた接合部が放熱面に嵌め込まれると、放熱フィンの高さが異なる場合がある。放熱フィンの高さが異なると、放熱フィンの間隔や配置が異なってしまい、最適の間隔と配置とを保った状態で放熱フィンを並べることができない。それにより、放熱フィン列の放熱性能が十分に上がらない可能性がある。
【0006】
本発明は、放熱フィン列の放熱性能が十分に上がる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による冷却装置は、放熱面に線状の放熱部である放熱フィンを配置し、前記放熱フィンを複数並べた放熱フィン列を備える冷却装置であって、前記放熱フィンは、前記放熱面への複数かつ間隔を空けた接合部を有し、前記放熱フィンの前記接合部は、前記放熱面に設けられた溝に嵌め込まれかしめ接合されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放熱フィン列の放熱性能が十分に上がる冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る冷却装置を示す部品分解斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るヒートシンクを示す部品分解斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る冷却装置の組み立て工程を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るたがねを配置した状態を示す説明図であり、A部が拡大図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るたがねを押した状態を示す説明図であり、B部が拡大図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るたがねを押した状態を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る冷却装置の線材である放熱フィンの変形前後を示す説明図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係るヒートシンクを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係る放熱フィンを示す正面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る冷却装置の組み立て工程を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るたがねを配置した状態を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係るたがねを配置した状態を示す側面図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態に係るたがねを押した状態を示す側面図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係るヒートシンクを示す斜視図である。
【
図15】
図15は、第3実施形態に係るヒートシンクの治具を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態に係るたがねを配置した状態を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係る放熱フィンに治具及び補助治具を配置した状態を示す側面図である。
【
図18】
図18は、第4実施形態に係る放熱フィンに治具及び補助治具を配置した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は、下記の実施形態に限定解釈されるものではなく、公知の他の構成要素を組み合わせて本発明の技術思想を実現してもよい。なお、各図において同一要素については同一の符号が記載され、重複する説明が省略される。また、各図においてU方向が上方向であり、D方向が下方向であり、F方向が正面方向であり、B方向が背面方向であり、R方向が右方向であり、L方向が左方向である。
【0011】
<第1実施形態>
<冷却装置100>
図1は、本実施形態に係る冷却装置100を示す部品分解斜視図である。
図1に示されるように、冷却装置100は、内部に冷媒を流通させ、放熱フィン2とベース板3とからなるヒートシンク1から熱を放散させる。冷却装置100は、接合部にシール部材4を挟んでヒートシンク1とカバー5とを組み合わせ、不図示のねじで締結された箱体である。
【0012】
シール部材4は、ヒートシンク1の上方向Uの表面の凹んだ箇所に嵌り込んで固定され、ヒートシンク1とカバー5との接合面の間隙を埋める。これにより、シール部材4は、冷却装置100から冷媒が漏出することを防止する。
【0013】
カバー5には、正面方向F及び背面方向Bにそれぞれパイプ6、7が設けられている。冷媒は、一方のパイプ6から流入し、他方のパイプ7から流出する。
【0014】
<ヒートシンク1>
図2は、本実施形態に係るヒートシンクを示す部品分解斜視図である。
図2に示されるように、ヒートシンク1は、放熱フィン2と、ベース板3と、を接合して構成されている。ヒートシンク1の下方向Dの裏面には、電力変換装置のスイッチング素子が接合され、スイッチング素子から発生する熱がヒートシンク1のベース板3の上面である放熱面3aに配置された放熱フィン2によって冷媒に放散される。
【0015】
放熱フィン2は、ベース板3の放熱面3aへの複数かつ間隔を空けた接合部2aを有する。放熱フィン2の接合部2aは、ベース板3の放熱面3aに設けられた溝8に嵌め込まれかしめ接合されている。
【0016】
ヒートシンク1を構成する放熱フィン2及びベース板3は、熱伝導率の高い金属、例えば銅又はアルミニウムの合金等で構成されている。腐食防止等の目的により、放熱フィン2及びベース板3の表面は、ニッケル等でメッキすると好適である。
【0017】
ここで、放熱フィン2は、溝8を形成した放熱面3aを有するベース板3よりも柔らかい金属である。このため、放熱フィン2は、接合部2aの部分を押圧力で変形させて溝8に嵌め込まれている。
【0018】
放熱フィン2は、線状の放熱部である銅、アルミニウム又はそれらの合金等の金属製の線材(ワイヤ)を凹凸形状に多連に折り曲げて連続して形成されたワイヤフィンである。放熱フィン2がヒートシンク1を構成する分、複数配置されることによって、放熱フィン列9が構成されている。
【0019】
放熱フィン2は、隣り合う接合部2aの中間の部分を放熱面3aから離れる方向にU字状に屈曲させ、さらに逆方向の放熱面3aに戻る方向にU字状に屈曲させた凹凸形状であり、接合部2aの間隔に合わせて、同形状の繰り返しで1本の線材から連続形成されている。
【0020】
放熱フィン2の両端部は、接合部2aが半分残した状態に形成されている。このため、放熱フィン2の両端部がかしめ接合された溝8は、通常の接合部2aがはめ込まれる長さの半分程度の長さに形成されている。
【0021】
ベース板3は、矩形形状の板材に放熱フィン2を嵌め込むための溝8を形成したものである。溝8は、放熱フィン2の複数の接合部2aの間隔にて放熱フィン2のラインに合わせて縦長に複数形成され、そのライン列の溝8が複数並列している。つまり、溝8は、放熱フィン列9の接合部2aの全部の数だけ複数形成されている。ベース板3には、シール部材4を固定するためのシール溝10及びカバー5を固定するためのねじ穴11が形成されている。
【0022】
このように、冷却装置100は、ベース板3の放熱面3aに線状の放熱部である放熱フィン2を配置し、放熱フィン2を複数並べた放熱フィン列9を備える。
【0023】
<冷却装置100の組み立て工程>
図3は、本実施形態に係る冷却装置100の組み立て工程を示すフローチャートである。
図3に示されるように、冷却装置100の組み立て工程は、複数の放熱フィン2を並べる工程(S301)と、複数のたがね12を配置する工程(S302)と、押圧部13によって複数のたがね12の全部を押す工程(S303)と、を含む。
【0024】
<複数の放熱フィン2を並べる工程>
まず、ステップS301では、複数の放熱フィン2を完成時の放熱フィン列9に合わせて並べる。ここでは、ベース板3の複数の溝8それぞれに合わせて複数の放熱フィン2それぞれを配置する。
【0025】
<複数のたがね12を配置する工程>
図4は、本実施形態に係るたがね12を配置した状態を示す説明図であり、A部が拡大図である。ステップS302では、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2aを横並びに並列した複数の接合部2aを横切る方向の板状のたがね12をステップS301にて並べられた放熱フィン列9の接合部2aの下方向Dに凹んだ凹部の全部に亘って配置する。
【0026】
<押圧部13によって複数のたがね12の全部を押す工程>
図5は、本実施形態に係るたがね12を押した状態を示す説明図であり、B部が拡大図である。
図6は、本実施形態に係るたがね12を押した状態を示す斜視図である。ステップS303では、1以上の放熱フィン2を横切る方向の板状のたがね12によって接合部2aを放熱面3aの溝8に押し込む。ここで、各たがね12が複数の放熱フィン2に跨って配置されているので、押圧部13は、複数のたがね12によって放熱フィン列9の接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に同時に押し込む。この結果、放熱フィン2の接合部2aがベース板3の溝8に嵌め込まれてかしめ接合される。
【0027】
これにより、ヒートシンク1は、放熱フィン2をベース板3に嵌め込んでかしめ接合することで形成されている。つまり、ベース板3の溝8に合わせて放熱フィン2が配置され、押圧部13によって上方向Uより複数のたがね12を用いて放熱フィン2の接合部2aがベース板3の溝8に押し込まれて固定される。
【0028】
<線材である放熱フィン2の変形前後>
図7は、本実施形態に係る冷却装置100の線材である放熱フィン2の変形前後を示す説明図である。
図7は、放熱フィン2である線材がベース板3の溝8に押し込まれる際の様子を示している。
【0029】
溝8は、接合部2a以外の放熱フィン2の断面幅よりも放熱フィン2の接合部2aを溝8に嵌め込まれかしめ接合される狭い幅に形成されている。つまり、溝8の幅及び深さは放熱フィン2の線材の直径よりやや小さく形成されている。言い換えると、接合部2a以外の放熱フィン2の断面幅C1は、溝8の幅C2及び深さC3よりもやや大きく、接合部2aの変形前も同じ寸法である。
【0030】
そして、溝8に放熱フィン2の線材を押し込むことによって放熱フィン2の線材が潰されて、溝8の底及び内壁に密着し、良好な熱伝導性を得ることができる。溝8に押し込まれた放熱フィン2の部分が接合部2aである。
【0031】
ここで、溝8の深さは、放熱フィン2の線材を溝底まで押し込んだ状態で溝8から放熱フィン2の線材がややはみ出る程度の寸法とすることによって、放熱フィン2がしっかりと押し込まれる。
【0032】
<作用>
放熱フィン2は、円柱状のピンを冷媒の流れ方向(縦方向)と冷媒の流れに直角方向(横方向)とに格子状に並べたピンフィン形状である。ピンフィンヒートシンクの性能は、ピン直径、ピンの縦方向のピッチ、ピンの横方向のピッチ、及び、ピンの高さの4つの形状パラメータに依存している。これらの形状パラメータを適切な値に設定することにより、ピンフィンヒートシンクは、放熱と圧力損失の性能とバランスを向上させることができる。
【0033】
本実施形態では、放熱フィン2は、凹凸形状の線材から成るため、放熱フィン2を構成するピンの形状パラメータを容易に設定することができ、冷却装置100の冷却性能を高めることができる。
【0034】
<効果>
以上述べたように、凹凸形状の多連に折り曲げた線材による放熱フィン2をベース板3に嵌め込んでかしめ接合することによって、冷却性能の高い冷却装置100を効率良く製造することができる。
【0035】
<第2実施形態>
本実施形態では、上記実施形態で説明した事項に同符号を付して説明を省略し、その特徴部分を説明する。
【0036】
<ヒートシンク1>
図8は、本実施形態に係るヒートシンク1を示す斜視図である。
図8に示されるように、本実施形態では、放熱フィン2のピッチが細かく、冷却装置100の冷却性能を高めることができる。
【0037】
<放熱フィン2>
図9は、本実施形態に係る放熱フィン2を示す正面図である。
図9に示されるように、放熱フィン2は、隣り合う接合部2aの中間の部分を放熱面3aから離れる方向にヘアピンカーブを描いて屈曲させた後に逆方向の放熱面3aに戻る方向にヘアピンカーブを描いて屈曲させて凹凸形状に折り曲げられ、接合部2aの間隔に合わせて、同形状の繰り返しで1本の線材から連続形成されている。
【0038】
放熱面向きヘアピンカーブ部2bは、放熱フィン2の1箇所の接合部2aと同じ側かつ隣り合う接合部2aの中間の部分に形成されている。反放熱面向きヘアピンカーブ部2cは、放熱フィン2の1箇所の接合部2aとは反対側かつ隣り合う接合部2aの中間の部分に形成されている。
【0039】
放熱フィン2は、放熱面向きヘアピンカーブ部2b、反放熱面向きヘアピンカーブ部2cが順次この順に繰り返されて形成されている。そして、放熱面向きヘアピンカーブ部2bの途中(中間)には、接合部2aが形成されている。放熱フィン2の両端部は、放熱面向きヘアピンカーブ部2bが接合部2aと共に半分の状態に形成されている。
【0040】
ここで、本実施形態に係る放熱フィン2は、折り曲げのピッチが細かいため、かしめ接合の際にたがね12を差し込むスペースが不足している。
【0041】
<冷却装置100の組み立て工程>
図10は、本実施形態に係る冷却装置100の組み立て工程を示すフローチャートである。
図10に示されるように、冷却装置100の組み立て工程は、複数の放熱フィン2を並べる工程(S301)と、複数の治具14を通す工程(S1001)と、複数のたがね12を配置する工程(S1002)と、押圧部13によって複数のたがね12の全部を押す工程(S1003)と、を含む。
【0042】
<複数の治具14を通す工程>
ステップS1001では、1以上の放熱フィン2を横切る方向に棒状の治具14を通して放熱フィン列9の接合部2aを押さえる。詳しくは、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2a側の放熱面向きヘアピンカーブ部2bを横並びに並列した複数の放熱面向きヘアピンカーブ部2bを横切る方向に棒状の複数の治具14それぞれを通して放熱フィン列9の接合部2aの下方向Dに凹んだ凹部の全部を押さえる。このように、本実施形態のかしめ接合の際には、放熱フィン2の根元部にロッド列より成る治具14を差し込む。
【0043】
<複数のたがね12を配置する工程>
図11は、本実施形態に係るたがね12を配置した状態を示す斜視図である。
図12は、本実施形態に係るたがね12を配置した状態を示す側面図である。ステップS1002では、放熱フィン列9と平行方向の板状のたがね12を隣り合う放熱フィン2の間に挿入する。
【0044】
<押圧部13によって複数のたがね12の全部を押す工程>
図13は、本実施形態に係るたがね12を押した状態を示す側面図である。ステップS1003では、押圧部13は、たがね12を用いて複数の治具14の全部を押して、放熱フィン列9の接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に同時に押し込む。この結果、放熱フィン2の接合部2aがベース板3の溝8に嵌め込まれてかしめ接合される。
【0045】
このように、たがね12を放熱フィン2に平行な方向に差し込んで治具14を押し込むことによって、放熱フィン列9の接合部2aの全部をベース板3の溝8の全部に嵌め込み、接合部2aと溝8とをかしめ接合することができる。
【0046】
<効果>
以上述べたように本実施形態によれば、凹凸形状に多連に折り曲げた線材からなる放熱フィン2によりピッチの細かいヒートシンク1を効率良く製造することができ、冷却装置100の更なる性能向上に寄与することができる。
【0047】
<第3実施形態>
本実施形態では、上記実施形態で説明した事項に同符号を付して説明を省略し、その特徴部分を説明する。
【0048】
<ヒートシンク1>
図14は、本実施形態に係るヒートシンク1を示す斜視図である。
図14に示されるように、本実施形態では、放熱フィン2が1列置きにずれた配列となっている。このため、放熱フィン列9を成して隣り合う放熱フィン2の接合部2aは、放熱フィン2の長手方向に一定の長さでずれて配置されている。放熱フィン列9を成して隣り合う放熱フィン2の接合部2aのずれの幅は、1本の放熱フィン2の隣り合う接合部2aの間隔の半分である。つまり、放熱フィン列9は、隣り合う2本の放熱フィン2を1単位として繰り返す千鳥配列である。
【0049】
このように、ヒートシンク1の伝熱性能を発揮する放熱フィン2が千鳥配列に構成されている。千鳥配列の放熱フィン列9では、上流側の放熱フィン2の間を抜けた冷媒の流れが下流側の放熱フィン2に衝突する。このため、千鳥配列であると、格子配列に比べて冷却性能をより高めることができる。
【0050】
一方、線材からなる放熱フィン2が1列毎にずれて配列されるため、かしめ接合のために直線状のロッドの治具14を通すことができない。
【0051】
<治具14a>
図15は、本実施形態に係るヒートシンク1の治具14aを示す斜視図である。
図15に示されるように、放熱フィン2の千鳥配列に合わせて左右に波型に曲げたロッドの治具14aが用いられる。つまり、治具14aは、放熱フィン2の千鳥配列に合わせて放熱面3aに向かう方向と交わる方向にて左右に波型に曲げられている。
【0052】
<複数のたがね12を配置する工程>
図16は、本実施形態に係るたがね12を配置した状態を示す斜視図である。
図16に示されるように、放熱フィン列9と平行方向の板状のたがね12を隣り合う放熱フィン2の間に挿入する。
【0053】
このように、たがね12を放熱フィン2に平行な方向に差し込んで治具14aを押し込むことによって、放熱フィン列9の接合部2aの全部をベース板3の溝8の全部に嵌め込み、接合部2aと溝8とをかしめ接合することができる。
【0054】
<効果>
以上述べたように本実施形態によれば、凹凸形状に多連に折り曲げた線材からなる千鳥配列された放熱フィン2によりピッチの細かいヒートシンク1を効率良く製造することができ、冷却装置100の更なる性能向上に寄与することができる。
【0055】
<第4実施形態>
本実施形態では、上記実施形態で説明した事項に同符号を付して説明を省略し、その特徴部分を説明する。
【0056】
<補助治具15>
図17は、本実施形態に係る放熱フィン2に治具14及び補助治具15を配置した状態を示す側面図である。
図18は、本実施形態に係る放熱フィン2に治具14及び補助治具15を配置した状態を示す斜視図である。
図17及び
図18に示されるように、棒状の複数の治具14それぞれは、放熱フィン列9の放熱面向きヘアピンカーブ部2bの途中に設けられた接合部2aの下方向Dに凹んだ凹部の全部を押さえる。棒状の複数の補助治具15それぞれは、放熱フィン列9の接合部2aとは反対側の上方向Uに凹んだ反放熱面向きヘアピンカーブ部2cの凹部の全部を押さえる。
【0057】
なお、放熱フィン列9が千鳥配列の場合には、放熱フィン2の千鳥配列に合わせて左右に波型に曲げたロッドの補助治具27が用いられる。つまり、補助治具は、放熱フィンの千鳥配列に合わせて放熱面に向かう方向と交わる方向にて左右に波型に曲げられている。
【0058】
<冷却装置100の組み立て工程>
まず、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2aとは反対側かつ隣り合う接合部2aの中間の部分に形成された反放熱面向きヘアピンカーブ部2cに、横並びに並列した複数の反放熱面向きヘアピンカーブ部2cを横切る方向に棒状の複数の補助治具15それぞれを通して放熱フィン2を揃える。
【0059】
また、上述したように、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2a側かつ隣り合う接合部2aの中間の部分に形成された放熱面向きヘアピンカーブ部2bに、横並びに並列した複数の放熱面向きヘアピンカーブ部2bを横切る方向に棒状の複数の治具14それぞれを通して放熱フィン2を揃える。
【0060】
そして、放熱フィン列9と平行方向の板状のたがね12を補助治具14がすり抜けるスリットを通過させて隣り合う放熱フィン2の間に挿入して、たがね12を用いて複数の治具14の全部を押す。
【0061】
<その他>
上記実施形態では、板状のたがね12を用いる場合を説明した。しかし、複数の板状のたがね12に押圧部13を一体化した櫛歯状のたがねを用いても良い。
【0062】
例えば、冷却装置100の製造方法では、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2aとは反対側かつ隣り合う接合部2aの中間の部分に形成された反放熱面向きヘアピンカーブ部2cに、横並びに並列した複数の反放熱面向きヘアピンカーブ部2cを横切る方向に棒状の複数の補助治具15それぞれを通して放熱フィン2を揃える。
【0063】
次に、冷却装置100の製造方法では、補助治具15と同様に棒状の複数の治具14それぞれを通して放熱フィン2を揃える。
【0064】
さらに、冷却装置100の製造方法では、放熱フィン列9と平行方向、かつ、放熱フィン2それぞれがすり抜ける第1スリットを有する櫛歯状のたがねを補助治具14がすり抜ける第2スリットを通過させて隣り合う放熱フィン2の間に挿入する。
【0065】
そして、冷却装置100の製造方法では、たがねを用いて複数の治具14の全部を押して、接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に押し込む。
【0066】
<<相違点の効果>>
(A)
冷却装置100は、放熱面3aに線状の放熱部である放熱フィン2を配置している。冷却装置100は、放熱フィン2を複数並べた放熱フィン列9を備える。放熱フィン2は、放熱面3aへの複数かつ間隔を空けた接合部2aを有する。放熱フィン2の接合部2aは、放熱面3aに設けられた溝8に嵌め込まれかしめ接合されている。
【0067】
この構成では、凹凸形状に往復する線状の放熱フィン2の重ならない1本からなる接合部2aを溝8に嵌め込む構造とすることによって、放熱フィン2の縦横の間隔と配置とを最適に設定することができ、冷却装置100の放熱性能を高めることができる。したがって、放熱フィン列9の放熱性能が十分に上がる冷却装置100を提供することができる。
【0068】
(B)
放熱フィン2は、隣り合う接合部2aの中間の部分が放熱面3aから離れる方向に屈曲され、さらに逆方向に屈曲されて放熱面3aに戻る凹凸形状を有し、接合部2aの間隔に合わせて、同形状の繰り返しで連続形成されている。
【0069】
この構成では、凹凸形状に往復する線状の放熱フィン2の重ならない1本分の接合部2aを溝8に嵌め込む構造が構成できる。
【0070】
(C)
冷却装置100の製造方法は、1以上の放熱フィン2を横切る方向の板状のたがね12によって接合部2aを放熱面3aの溝8に押し込む。
【0071】
この構成では、放熱フィン列9の複数の接合部2aがたがね12によって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。
【0072】
(D)
冷却装置100の製造方法は、1以上の放熱フィン2を横切る方向に棒状の治具14、14aを通して接合部2aを押さえ、1以上の放熱フィン2と平行方向の板状のたがね12を隣り合う放熱フィン2の間に挿入して、たがね12を用いて治具14,14aを押して、放熱フィン2を放熱面3aの溝8に押し込む。
【0073】
この構成では、放熱フィン列9の複数の接合部2aが治具14、14aを介するたがね12によって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。
【0074】
(E)
放熱フィン列9を成して隣り合う放熱フィン2の接合部2aは、放熱フィン2の長手方向に一定の長さでずれて配置されている。
【0075】
この構成では、放熱フィン列9が隣り合う2本の放熱フィン2を1単位として繰り返す千鳥配列に構成できる。
【0076】
(F)
放熱フィン列9を成して隣り合う放熱フィン2の接合部2aのずれの幅は、1本の放熱フィン2の隣り合う接合部2aの間隔の半分である。放熱フィン列9は、隣り合う2本の放熱フィン2を1単位として繰り返す千鳥配列である。
【0077】
この構成では、冷却装置100に流れる冷媒が千鳥配列されて隣り合う2本同士を重ねない放熱フィン2に当たり易く、冷却効率が向上できる。
【0078】
(G)
放熱フィン2は、溝8を形成した放熱面3aよりも柔らかい金属である。溝8は、接合部2a以外の放熱フィン2の断面幅よりも放熱フィン2の接合部2aを溝8に嵌め込まれかしめ接合される狭い幅に形成されている。
【0079】
この構成では、放熱フィン2が溝8を形成した放熱面3aよりも柔らかい金属であるので、凹凸形状に往復する線状の放熱フィン2の重ならない1本分の接合部2aが溝8に嵌め込み易い。
【0080】
(H)
冷却装置100は、放熱面3aに線状の放熱部である放熱フィン2を配置している。冷却装置100は、放熱フィン2を複数並べた放熱フィン列9を備える。放熱フィン2は、放熱面3aへの複数かつ間隔を空けた接合部2aを有する。放熱フィン2の接合部2aは、放熱面3aに設けられた溝8に嵌め込まれかしめ接合される。冷却装置100の製造方法は、たがね12によって放熱フィン列9の接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に押し込む。
【0081】
この構成では、放熱フィン列9の複数の接合部2aの全部がたがね12によって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。
【0082】
(I)
冷却装置100の製造方法は、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2aを横並びに並列した複数の接合部2aを横切る方向の板状のたがね12を接合部2aの凹部の全部に亘って配置し、たがね12を用いて接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に押し込む。
【0083】
この構成では、放熱フィン列9の複数の接合部2aの全部がたがね12によって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。
【0084】
(J)
冷却装置100の製造方法は、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2aを横並びに並列した複数の接合部2aを横切る方向、かつ、放熱フィン2それぞれがすり抜けるスリットを有する櫛歯状のたがねを接合部2aの凹部の全部に亘って配置し、たがねによって接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に押し込む。
【0085】
この構成では、放熱フィン列9の複数の接合部2aの全部がたがねによって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。また、たがねが押圧部13と一体化され、たがねがずれないので、接合部2aの溝8への押し込みが失敗し難い。
【0086】
(K)
冷却装置100の製造方法は、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2a側の放熱面向きヘアピンカーブ部2bに、横並びに並列した複数の放熱面向きヘアピンカーブ部2bを横切る方向に棒状の複数の治具14、14aそれぞれを通して接合部2aの凹部の全部を押さえ、放熱フィン列9と平行方向の板状のたがね12を隣り合う放熱フィン2の間に挿入して、たがね12を用いて複数の治具14、14aの全部を押して、接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に押し込む。
【0087】
この構成では、放熱フィン列9の複数の接合部2aが治具14、14aを介するたがね12によって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。
【0088】
(L)
冷却装置100の製造方法は、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2a側の放熱面向きヘアピンカーブ部2bに、横並びに並列した複数の放熱面向きヘアピンカーブ部2bを横切る方向に棒状の複数の治具14、14aそれぞれを通して接合部2aの凹部の全部を押さえ、放熱フィン列9と平行方向、かつ、放熱フィン2それぞれがすり抜けるスリットを有する櫛歯状のたがねを隣り合う放熱フィン2の間に挿入して、たがねを用いて複数の治具14、14aの全部を押して、接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に押し込む。
【0089】
この構成では、放熱フィン列9の複数の接合部2aが治具14、14aを介するたがね12によって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。また、たがねが押圧部13と一体化され、たがねがずれないので、接合部2aの溝8への押し込みが失敗し難い。
【0090】
(M)
冷却装置100の製造方法は、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2aとは反対側かつ隣り合う接合部2aの中間の部分に形成された反放熱面向きヘアピンカーブ部2cに、横並びに並列した複数の反放熱面向きヘアピンカーブ部2cを横切る方向に棒状の複数の補助治具15それぞれを通して放熱フィン2を揃え、放熱フィン列9と平行方向の板状のたがね12を、補助治具15がすり抜けるスリットを通過させて隣り合う放熱フィン2の間に挿入して、たがね12を用いて複数の治具14、14aの全部を押して、接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に押し込む。
【0091】
この構成では、補助治具15を通して揃えられた放熱フィン列9の複数の接合部2aが治具14、14aを介するたがね12によって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。
【0092】
(N)
冷却装置100の製造方法は、放熱フィン列9における放熱フィン2それぞれ1箇所の接合部2aとは反対側かつ隣り合う接合部2aの中間の部分に形成された反放熱面向きヘアピンカーブ部2cに、横並びに並列した複数の反放熱面向きヘアピンカーブ部2cを横切る方向に棒状の複数の補助治具15それぞれを通して放熱フィン2を揃え、放熱フィン列9と平行方向、かつ、放熱フィン2それぞれがすり抜ける第1スリットを有する櫛歯状のたがねを、補助治具15がすり抜ける第2スリットを通過させて隣り合う放熱フィン2の間に挿入して、たがねを用いて複数の治具14、14aの全部を押して、接合部2aの全部を放熱面3aの溝8の全部に押し込む。
【0093】
この構成では、補助治具15を通して揃えられた放熱フィン列9の複数の接合部2aが治具14、14aを介するたがねによって放熱面3aの溝8に同時に押し込めるので、製造し易い。また、たがねが押圧部13と一体化され、たがねがずれないので、接合部2aの溝8への押し込みが失敗し難い。
【0094】
(O)
治具14a又は補助治具15は、放熱フィン2の千鳥配列に合わせて放熱面3aに向かう方向と交わる方向にて左右に波型に曲げられている。
【0095】
この構成では、治具14a又は補助治具15を通して揃えられた放熱フィン列9の複数の接合部2aが同時に治具14aを介するたがね12によって放熱面3aの溝8に押し込めるので、製造し易く、ヒートシンク1の完成形状が安定し、冷却装置100の歩留まりが良い。
【0096】
以上、実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0097】
1…ヒートシンク、2…放熱フィン、2a…接合部、2b…放熱面向きヘアピンカーブ部、2c…反放熱面向きヘアピンカーブ部、3…ベース板、3a…放熱面、4…シール部材、5…カバー、6、7…パイプ、8…溝、9…放熱フィン列、10…シール溝、11…ねじ穴、12…たがね、13…押圧部、14、14a…治具、15…補助治具、100…冷却装置。