(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170350
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】建造物構築計画支援システム、建造物構築計画支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20231124BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20231124BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20231124BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20231124BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/20
E04B1/00 ESW
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082035
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】591219393
【氏名又は名称】株式会社梓設計
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 圭
(72)【発明者】
【氏名】荻原 久幸
(72)【発明者】
【氏名】大場 翔太
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146DG02
5B146DJ01
5B146DL08
5B146EA01
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】建造物の構築を計画する際の負担を軽減することを可能とする。
【解決手段】建造物構築計画支援システム1は、建造物を構築する計画を支援し、建造物Sを立体的に表示するための3Dデータを受け付けるデータ受付手段110と、計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析するための要素解析情報を受け付ける要素解析情報受付手段120と、3Dデータと要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析する解析手段130と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物を構築する計画を支援する建造物構築計画支援システムにおいて、
建造物を立体的に表示するための3Dデータを受け付けるデータ受付手段と、
前記計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析するための要素解析情報を受け付ける要素解析情報受付手段と、
前記3Dデータと前記要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析する解析手段と、
を備えることを特徴とする建造物構築計画支援システム。
【請求項2】
前記要素解析情報受付手段は、前記要素解析情報として、
前記建造物の位置に応じて変化する位置要素情報、
前記建造物の内部の形態に応じて変化する内部要素情報、
前記建造物の外部の環境に応じて変化する外部要素情報、
前記建造物の建設に関連する建設要素情報のうち、2つ以上を受け付け可能であり、
前記解析手段は、複数種類の前記要素解析情報のうち、前記要素解析情報受付手段が受け付けた前記要素解析情報に基づき、複数種類の前記要素をそれぞれ解析する、
ことを特徴とする請求項1に記載の建造物構築計画支援システム。
【請求項3】
前記建造物に対する、前記解析手段による前記要素の解析結果を記憶する記憶手段を、更に備え、
前記解析手段は、前記記憶手段に記憶された前記建造物に対する前記解析結果を参照して、当該建造物とは別の前記建造物の前記3Dデータに基づき、前記要素を解析する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の建造物構築計画支援システム。
【請求項4】
建造物を構築する計画を支援する建造物構築計画支援システムが実行する方法において、
建造物を立体的に表示するための3Dデータを受け付けるステップと、
前記計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析するための要素解析情報を受け付けるステップと、
前記3Dデータと前記要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析するステップと、
を含むことを特徴とする建造物構築計画支援方法。
【請求項5】
建造物を構築する計画を支援する建造物構築計画支援システムを、
建造物を立体的に表示するための3Dデータを受け付けるデータ受付手段、
前記計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析するための要素解析情報を受け付ける要素解析情報受付手段、
前記3Dデータと前記要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析する解析手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物を構築する計画を支援する建造物構築計画支援システム、建造物構築計画支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来、全体の制御及び演算を行うCPUと、3D-CADの街区設計を実行する3D-CAD部と、3D-CADからの街区設計データをメッシュ化するメッシュデータ化部と、建築物の断面構成及び材料を選択してCPUに入力する断面構成・材料の選択部と、気象条件を設定する気象条件設定部と、面毎に受熱量を平均化すると共に、受熱量を計算する受熱量計算部と、一次元熱伝導及び表面温度を計算する一次元熱伝導・表面温度計算部と、建物をモデル化する建物モデル化部と、建物の熱負荷及び室温を計算する熱負荷・室温計算部と、境界条件を設定する境界条件設定部とを具備し、一次元熱伝導・表面温度計算部は建物外表面の一次元熱伝導・表面温度の計算を行うことを特徴とする建築内外の熱環境予測装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建造物を構築する計画においては、建物外表面の一次元熱伝導・表面温度の解析に限らず、建造物の採光・排煙、日射量、避難計画等の様々な要素を解析し、検討する必要がある。
【0005】
しかしながら、従来、これらの複数の要素を解析するには、要素毎のプログラムが必要であり、ユーザは、建造物の構築を計画する際には、各要素専用のプログラムを用いて解析していた。このため、ユーザは、複数の要素を解析する場合には、それぞれのプログラムを起動し、それぞれ3Dデータ(3D-CADデータ等)を読み込ませ、要素毎に解析するという作業が必要であった。このような作業は、建造物を構築する計画するユーザの負担となっていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、建造物の構築を計画する際の負担を軽減することが可能な建造物構築計画支援システム、建造物構築計画支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面は、
建造物を構築する計画を支援する建造物構築計画支援システムにおいて、
建造物を立体的に表示するための3Dデータを受け付けるデータ受付手段と、
前記計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析するための要素解析情報を受け付ける要素解析情報受付手段と、
前記3Dデータと前記要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析する解析手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、建造物構築計画支援システムは、建造物を構築する計画を支援し、データ受付手段と、要素解析情報受付手段と、解析手段と、を備える。
データ受付手段は、建造物を立体的に表示するための3Dデータを受け付ける。
要素解析情報受付手段は、計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析するための要素解析情報を受け付ける。
解析手段は、3Dデータと要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析する。
【0009】
このような建造物構築計画支援システムによれば、建造物を立体的に表示するための3Dデータと、建造物を構築する計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析するための要素解析情報と、を受け付け、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析する。これにより、ユーザは、本システムだけで、建造物を構築する計画において検討される複数種類の要素を解析することが可能となる。すなわち、ユーザは、本システムに3Dデータを提供してしまえば、この3Dデータに基づき、建造物を構築する計画において検討される複数種類の要素のそれぞれの解析結果を得ることが可能となる。
したがって、建造物の構築を計画する際の負担を軽減することが可能となる。
【0010】
本発明の第1側面について好ましい実施の形態としては、
前記要素解析情報受付手段は、前記要素解析情報として、
前記建造物の位置に応じて変化する位置要素情報、
前記建造物の内部の形態に応じて変化する内部要素情報、
前記建造物の外部の環境に応じて変化する外部要素情報、
前記建造物の建設に関連する建設要素情報のうち、2つ以上を受け付け可能であり、
前記解析手段は、複数種類の前記要素解析情報のうち、前記要素解析情報受付手段が受け付けた前記要素解析情報に基づき、複数種類の前記要素をそれぞれ解析する、
ことを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、要素解析情報受付手段は、要素解析情報として、位置要素情報、内部要素情報、外部要素情報、建設要素情報のうち、2つ以上を受け付け可能である。
位置要素情報は、建造物の位置に応じて変化する情報である。
内部要素情報は、建造物の内部の形態に応じて変化する情報である。
外部要素情報は、建造物の外部の環境に応じて変化する情報である。
建設要素情報は、建造物の建設に関連する情報である。
そして、解析手段は、複数種類の要素解析情報のうち、要素解析情報受付手段が受け付けた要素解析情報に基づき、複数種類の要素をそれぞれ解析する。
【0012】
これにより、ユーザは、本システムだけで、建造物の位置に応じて変化する位置要素情報(例えば、日射、日影等を解析するための情報)、建造物の内部の形態に応じて変化する内部要素情報(例えば、サイトライン、採光・排煙、音響、避難計画、動線等を解析するための情報)、建造物の外部の環境に応じて変化する外部要素情報(例えば、風環境、日影等を解析するための情報)、建造物の建設に関連する建設要素情報(例えば、建設時に排出されるCO2量等を解析するための情報)のうち、少なくとも2つ以上の情報に基づき、建造物を構築する計画において検討される複数種類の要素を解析することが可能となる。
【0013】
本発明の第1側面について他の好ましい実施の形態としては、
前記建造物に対する、前記解析手段による前記要素の解析結果を記憶する記憶手段を、更に備え、
前記解析手段は、前記記憶手段に記憶された前記建造物に対する前記解析結果を参照して、当該建造物とは別の前記建造物の前記3Dデータに基づき、前記要素を解析する、
ことを特徴とする。
【0014】
ここで、従来、建造物を構築する計画において検討される複数種類の要素を解析するためのプログラムは、企業、チーム、個人単位で似たようなものが作られており、解析結果が共有されていなかった。このため、計画される建造物毎に、各要素がそれぞれ最初から解析されていた。
【0015】
上記構成によれば、ある建造物に対する解析結果を参照して、別の建造物の3Dデータに基づき、要素を解析することが可能となるので、各要素を最初から解析する場合に比べ、ユーザの作業負担や、システムの処理負荷を軽減することが可能となる。
【0016】
本発明の第2側面は、
建造物を構築する計画を支援する建造物構築計画支援システムが実行する方法において、
建造物を立体的に表示するための3Dデータを受け付けるステップと、
前記計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析するための要素解析情報を受け付けるステップと、
前記3Dデータと前記要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析するステップと、
を含むことを特徴とする建造物構築計画支援方法。
【0017】
本発明の第3側面は、
建造物を構築する計画を支援する建造物構築計画支援システムを、
建造物を立体的に表示するための3Dデータを受け付けるデータ受付手段、
前記計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析するための要素解析情報を受け付ける要素解析情報受付手段、
前記3Dデータと前記要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する前記要素を解析する解析手段、
として機能させるプログラム。
【0018】
このような第2側面及び第3側面によれば、第1側面に係る建造物構築計画支援システムと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、建造物の構築を計画する際の負担を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムの概要を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムの要素解析情報を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムにおける要素解析受付画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムにおける要素解析画面の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムに実行される建造物構築計画支援処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。
【0022】
〈実施形態〉
[建造物構築計画支援システムの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムの概要を説明する図である。
建造物構築計画支援システム1(以下、単に「システム」あるいは「本システム」ともいう)の概要について説明する。建造物構築計画支援システム1は、建造物構築計画支援装置100と、建造物構築計画支援装置100にネットワーク(例えば、インターネット、社内LAN等)を介して接続された複数の端末200を含む。
【0023】
本システムは、建造物S(例えば、建築物や橋梁等)の構築(例えば、建築、建設等)を計画するユーザを支援するものである。ユーザは、建造物Sの構築を計画する場合、複数種類の要素を解析する必要がある。このような要素として、日射、日影、サイトライン、採光・排煙、音響、避難計画、動線、風環境、日影、建設時に排出されるCO2量等がある。
【0024】
本システムにおいて、建造物構築計画支援装置100は、端末200から、建造物Sを立体的に表示するための3Dデータを受け付ける。
【0025】
また、建造物構築計画支援装置100は、建造物Sの構築の計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析するための要素解析情報を受け付ける。例えば、本システムにおいて、端末200には、解析可能な複数種類の要素の選択画面が表示される。ユーザは、この端末200に表示された選択画面において、解析を希望する要素を選択し、この要素を解析するために必要な要素解析情報を、建造物構築計画支援装置100に送信する。
【0026】
そして、建造物構築計画支援装置100は、3Dデータと要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析し、解析結果を端末200に送信する。ユーザは、この解析結果を端末200で受信する。
【0027】
このような建造物構築計画支援システム1によれば、建造物Sを立体的に表示するための3Dデータと、建造物を構築する計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析するための要素解析情報と、を受け付け、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析する。これにより、ユーザは、本システムだけで、建造物Sを構築する計画において検討される複数種類の要素を解析することが可能となる。すなわち、ユーザは、本システムに3Dデータを提供してしまえば、この3Dデータに基づき、建造物を構築する計画において検討される複数種類の要素のそれぞれの解析結果を得ることが可能となる。
【0028】
[システムの機能構成]
次に、システムの機能構成について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムの機能構成を示すブロック図である。
【0029】
建造物構築計画支援システム1は、建造物構築計画支援装置100と、建造物構築計画支援装置100にネットワーク(例えば、インターネット、社内LAN等)を介して接続された複数の端末200と、を備える。また、建造物構築計画支援システム1は、建造物構築計画支援装置100とは別に、建造物構築計画支援装置100にネットワークを介して接続された記憶手段300を備えてもよい。
【0030】
(建造物構築計画支援装置)
建造物構築計画支援装置100は、データ受付手段110と、要素解析情報受付手段120と、解析手段130と、解析結果提供手段140と、を備える。
【0031】
データ受付手段110は、端末200から、建造物Sを立体的に表示するための3Dデータ(例えば、建造物Sの設計データ(BIM(Building Information Modeling)データ等の3DCADデータ等)を受け付ける。詳細には、データ受付手段110は、端末200から、計画を識別する計画識別情報(例えば、プロジェクト名)と、建造物Sの3Dデータを受け付け、記憶手段300に記憶する。なお、記憶手段300は、建造物構築計画支援装置100が備えてもよいし、建造物構築計画支援装置100とは別に、設けてもよい。
【0032】
要素解析情報受付手段120は、建造物Sの構築の計画において検討される複数種類の要素(例えば、日射、日影、サイトライン、採光・排煙、音響、避難計画、動線、風環境、日影、建設時に排出されるCO2量等)のうち、ユーザにより選択された計画の計画識別情報と、複数の要素のうち解析を希望する要素を示す解析要素選択情報と、当該要素を解析するための要素解析情報とを受け付ける。要素解析情報受付手段120は、受け付けた計画識別情報に、解析要素選択情報と要素解析情報とを対応付けて、記憶手段300に記憶する。
【0033】
図3は、本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムの要素解析情報を説明する図である。
要素解析情報受付手段120は、要素解析情報として、位置要素情報、内部要素情報、外部要素情報、建設要素情報のうち、2つ以上を受け付け可能である。
【0034】
位置要素情報は、建造物Sを構築する位置に応じて変化する情報であり、詳細には、例えば、建造物の住所、緯度・経度等を示す情報である。このような位置要素情報は、解析手段130により、上記計画において、日射、日影等を解析する場合に参照される。
【0035】
内部要素情報は、建造物Sの内部の形態に応じて変化する情報であり、詳細には、例えば、建造物S内部における解析する位置等を示す情報である。このような内部要素情報は、解析手段130により、上記計画において、サイトライン、採光・排煙、音響、避難計画、動線等を解析する場合に参照される。
【0036】
外部要素情報は、建造物Sの外部の環境に応じて変化する情報であり、詳細には、例えば、建造物Sの周囲の環境等を示す情報である。このような外部要素情報は、解析手段130により、上記計画において、風環境、日影等を解析する場合に参照される。
【0037】
建設要素情報は、建造物Sの建設に関連する情報であり、詳細には、例えば、建造物の用途等を示す情報である。このような建設要素情報は、解析手段130により、上記計画において、建設時に排出されるCO2量等を解析する場合に参照される。
【0038】
図2に戻って、解析手段130は、記憶手段300に記憶された3Dデータと、要素解析情報受付手段120が受け付けた要素解析情報に基づき、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析する。解析手段130は、要素の解析結果を、計画識別情報に対応付けて記憶手段300に記憶する。
【0039】
また、解析手段130は、複数種類の要素解析情報のうち、要素解析情報受付手段120が受け付けた要素解析情報に基づき、複数種類の要素をそれぞれ解析する。
【0040】
また、解析手段130は、記憶手段300に記憶された建造物に対する解析結果を参照して、当該建造物Sとは別の建造物Sの3Dデータに基づき、要素を解析してもよい。
【0041】
詳細には、解析手段130は、日射解析手段131と、日影解析手段132と、採光解析手段133と、排煙解析手段134と、避難計画解析手段135と、風環境解析手段136と、サイトライン解析手段137と、音響解析手段138と、建設時に排出されるCO2量解析手段139と、を備える。
【0042】
日射解析手段131は、位置要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物Sの外形に対する日射量を解析する。
【0043】
日影解析手段132は、位置要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物Sの外形に対する日影を解析する。
【0044】
採光解析手段133は、内部要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物S内の内部要素情報が示す位置(例えば、ある居室等)の採光を解析する。
【0045】
排煙解析手段134は、内部要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物S内の内部要素情報が示す位置(例えば、ある防煙区画等)の排煙設備が所定の基準(例えば、建築基準法等)を満たしているか否かを解析する。
【0046】
避難計画解析手段135は、内部要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物S内の内部要素情報が示す位置(例えば、ある居室等)から3Dデータで示された避難口までの動線や距離から所定の基準(例えば、建築基準法等)を満たしているか否かを解析する。
【0047】
風環境解析手段136は、外部要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物Sの周囲の環境(例えば、建造物Sの周囲における建物の位置や形状等)によって変化する建造物Sにおける風環境を解析する。
【0048】
サイトライン解析手段137は、内部要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物S内の内部要素情報が示す位置(例えば、建造物Sがスタジアムや劇場であれば、所定の座席とフィールドやステージ等)のサイトライン(所定の座席から、フィールドやステージへの視線(所定の座席から、フィールドやステージがどれくらい見やすいか等))を解析する。
【0049】
音響解析手段138は、内部要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物S内の内部要素情報が示す位置(例えば、建造物Sがスタジアムや劇場であれば、所定の座席や位置等)の音響(所定の座席や位置における音の聞こえ方等)を解析する。
【0050】
建設時に排出されるCO2量解析手段139は、建設要素情報に基づき、3Dデータで示される建造物Sの用途・面積・階数から、建造物Sの躯体量を算出し、公知のCO2原単位データベースと掛け合わせて、建設時に排出されるCO2量を算出する。
【0051】
解析結果提供手段140は、解析手段130における解析結果を、端末200に提供(送信)する。
【0052】
(端末)
端末200は、例えば、スマートフォンやタブレットやパーソナルコンピュータで構成され、制御手段210と、送受信手段220と、入出力手段230と、を備える。
【0053】
制御手段210は、ユーザの操作に基づき、送受信手段220を介して、計画識別情報(例えば、プロジェクト名)とともに、建造物Sの3Dデータを、建造物構築計画支援装置100に送信する。また、制御手段210は、入出力手段230に、3Dデータに基づく建造物Sの3Dモデルを表示する。
【0054】
また、制御手段210は、入出力手段230に、建造物Sの構築の計画における複数の要素を解析するための要素解析受付画面を表示する。そして、制御手段210は、入出力手段230に表示した要素解析受付画面におけるユーザの操作に基づき、要素の解析を希望する計画を示す計画識別情報と、建造物Sの構築の計画において検討される複数種類の要素(例えば、日射、日影、サイトライン、採光・排煙、音響、避難計画、動線、風環境、日影、建設時に排出されるCO2量等)のうち、ユーザが解析を希望する要素を示す解析要素選択情報を、建造物構築計画支援装置100に送信する。
【0055】
また、制御手段210は、要素解析受付画面に表示した複数種類の要素うち、ユーザの操作により選択された要素を解析するための要素解析画面を、入出力手段230に表示する。そして、制御手段210は、入出力手段230に表示した要素解析画面におけるユーザの操作に基づき、解析を希望する要素を解析するための要素解析情報を、建造物構築計画支援装置100に送信する。
【0056】
また、制御手段210は、送受信手段220を介して、建造物構築計画支援装置100から、要素の解析結果を受信し、この解析結果を、入出力手段230に表示した要素解析画面に反映させる。
【0057】
入出力手段230は、例えば、タッチパネルや、キーボード等の入力手段とディスプレイ等の表示手段とで構成され、制御手段210の制御により、例えば、複数の要素を解析するための画面(例えば、要素解析受付画面や要素解析画面等)や、建造物Sの3Dモデルを表示し、ユーザの操作を受け付ける。
【0058】
図4は、本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムにおける要素解析受付画面の一例を示す図である。
要素解析受付画面は、建造物Sの構築の計画において検討される複数種類の要素のうちのいずれかを選択する要素選択部231と、建造物構築計画支援装置100に登録されている(建造物構築計画支援装置100のデータ受付手段110で3Dデータを受け付けている)計画識別情報が一覧的に表示されたプロジェクト一覧232と、を含む。
【0059】
ユーザは、入出力手段230に表示された要素解析受付画面において、プロジェクト一覧232に表示された計画識別情報の中から、要素の解析を希望する計画識別情報を選択する(例えば、
図4に示す例では、計画識別情報の左横のチェックボックスにチェックを入れる。)。次に、ユーザは、要素選択部231に表示されている複数の要素(例えば、
図4に示す例では、「Radiation」(日射)、「Theater Program」(サイトライン)、「Aviation」(動線)等)の中から、複数の要素のうち解析を希望する要素を選択する(例えば、
図4に示す例では、表示された要素を示す部分をクリックしたり、実行ボタンの左横のプルダウンメニューから、複数の要素のうち解析を希望する要素を選択し、実行ボタンをクリックする。)。
【0060】
これにより、制御手段210は、選択された計画識別情報と、選択された要素を示す解析要素選択情報と、を建造物構築計画支援装置100に送信する。そして、制御手段210は、入出力手段230における表示を、要素解析受付画面から、選択された要素を解析するための要素解析画面に遷移させる。
【0061】
このように、本システムによれば、例えば、ユーザが複数のプロジェクトを担当し、これらが同時に進行している場合でも、それぞれのプロジェクトのそれぞれの要素について、本システムだけで、適宜なタイミングで、所望するプロジェクトについての要素をそれぞれ解析することが可能となる。
【0062】
図5は、本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムにおける要素解析画面の一例を示す図である。
要素解析画面には、要素解析受付画面(
図4参照)で、ユーザの操作により選択された要素を解析するための要素解析情報を受け付ける要素解析情報受付部233と、要素解析情報受付部233で受け付けた要素解析情報に基づき解析された解析結果が表示される解析結果表示部234と、を含む。このような要素解析画面は、複数の要素毎に表示してもよいし、複数の要素を組み合わせたものであってもよい。
【0063】
ユーザは、要素解析情報受付部233に要素解析情報を入力する。すると、制御手段210は、送受信手段220を介して、要素解析情報を、建造物構築計画支援装置100に送信する。建造物構築計画支援装置100は、解析手段130により、この要素解析情報に基づき、解析要素選択情報で選択されている要素について解析し、解析結果提供手段140により、この解析結果を、端末200に提供(送信)する。そして、端末200の制御手段210は、送受信手段220を介して、解析結果を受信し、この解析結果を要素解析画面の解析結果表示部234に表示する。なお、本実施形態では、要素を解析する解析手段を建造物構築計画支援装置100が備えているが、端末200の制御手段210を解析手段として機能させてもよい。
【0064】
上記の本システムの機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能ブロック(データベース及び機能処理部)を分割したり、複数の機能ブロックをまとめて1つの機能ブロックとして構成したりしてもよい。各機能処理部は、装置や端末に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、ハードディスク等の記憶装置(記憶手段)に格納されたコンピュータプログラム(例えば、基幹ソフトや上述の各種処理をCPUに実行させるアプリ等)を読み出し、CPUにより実行されたコンピュータプログラムによって実現される。すなわち、各機能処理部は、このコンピュータプログラムが、記憶装置に格納されたデータベース(DB;Data Base)やメモリ上の記憶領域からテーブル等の必要なデータを読み書きし、場合によっては、関連するハードウェア(例えば、入出力装置、表示装置、通信インターフェース装置)を制御することによって実現される。また、本発明の実施形態におけるデータベース(DB)は、商用データベースであってよいが、単なるテーブルやファイルの集合体をも意味し、データベースの内部構造自体は問わないものとする。
【0065】
[建造物構築計画支援処理]
次に、本システムにより実行される建造物構築計画支援処理について説明する。以下の処理フロー図(フローチャート)においては、各ステップの入力と出力の関係を損なわない限り、各ステップの処理順序を入れ替えてもよい。
図6は、本発明の実施形態に係る建造物構築計画支援システムに実行される建造物構築計画支援処理を示すフローチャートである。
【0066】
ユーザは、建造物構築計画支援装置100から提供されたアプリケーションを端末200で起動することで、建造物構築計画支援システム1に建造物構築計画支援処理を実行させることができる。
【0067】
ステップS1において、端末200の制御手段210は、ユーザの操作に基づき、送受信手段220を介して、計画識別情報(例えば、プロジェクト名)とともに、建造物Sの3Dデータを、建造物構築計画支援装置100に送信する。
【0068】
ステップS2において、建造物構築計画支援装置100のデータ受付手段110は、ステップS1で端末200から送信された、計画を識別する計画識別情報(例えば、プロジェクト名)と、建造物Sの3Dデータを受け付け、記憶手段300に記憶する。
【0069】
ステップS3において、端末200の制御手段210は、入出力手段230に、建造物Sの構築の計画における複数の要素を解析するための要素解析受付画面(
図4参照)を表示する。
【0070】
ステップS4において、端末200の制御手段210は、要素解析受付画面において、ユーザの操作により、要素の解析を希望する計画識別情報と、複数の要素のうち解析を希望する要素を示す解析要素選択情報と、を受け付け、この受け付けた計画識別情報と解析要素選択情報とを、送受信手段220を介して、建造物構築計画支援装置100に送信する。
【0071】
ステップS5において、建造物構築計画支援装置100の要素解析情報受付手段120は、ステップS4で端末200から送信された計画識別情報と解析要素選択情報とを受け付け、受け付けた計画識別情報と解析要素選択情報とを対応付けて、記憶手段300に記憶する。
【0072】
ステップS6において、端末200の制御手段210は、入出力手段230に、要素を解析するための要素解析情報を受け付け、解析結果を表示する要素解析画面(
図5参照)を表示する。
【0073】
ステップS7において、端末200の制御手段210は、要素解析画面において、ユーザの操作により、要素を解析するための要素解析情報を受け付け、この受け付けた要素解析情報を、送受信手段220を介して、建造物構築計画支援装置100に送信する。
【0074】
ステップS8において、建造物構築計画支援装置100の要素解析情報受付手段120は、ステップS7で端末200から送信された要素解析情報を受け付け、受け付けた要素解析情報を、ステップS5で受け付けた計画識別情報と解析要素選択情報とに対応付けて、記憶手段300に記憶する。
【0075】
ステップS9において、建造物構築計画支援装置100の解析手段130は、複数種類の要素解析情報のうち、ステップS5で受け付けた解析要素選択情報が示す要素について、ステップS8で受け付けた要素解析情報に基づき解析し、解析結果を、ステップS5で受け付けた計画識別情報と解析要素選択情報と、ステップS8で受け付けた要素解析情報とに対応付けて、記憶手段300に記憶する。
【0076】
ステップS10において、建造物構築計画支援装置100の解析結果提供手段140は、ステップS9の解析手段130における解析結果を、端末200に提供(送信)する。
【0077】
ステップS11において、端末200の制御手段210は、送受信手段220を介して、ステップS10で建造物構築計画支援装置100から送信された解析結果を受信し、入出力手段230に表示している要素解析画面の解析結果表示部234(
図5参照)に、解析結果を表示する。
【0078】
このような建造物構築計画支援システム1によれば、建造物Sを立体的に表示するための3Dデータと、建造物を構築する計画において検討される複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析するための要素解析情報と、を受け付け、複数種類の要素のうち、ユーザが希望する要素を解析する。これにより、ユーザは、本システムだけで、建造物Sを構築する計画において検討される複数種類の要素を解析することが可能となる。すなわち、ユーザは、本システムに3Dデータを提供してしまえば、この3Dデータに基づき、建造物Sを構築する計画において検討される複数種類の要素のそれぞれの解析結果を得ることが可能となる。
【0079】
また、ユーザは、本システムだけで、建造物Sの位置に応じて変化する位置要素情報(例えば、日射、日影等を解析するための情報)、建造物の内部の形態に応じて変化する内部要素情報(例えば、サイトライン、採光・排煙、音響、避難計画、動線等を解析するための情報)、建造物の外部の環境に応じて変化する外部要素情報(例えば、風環境、日影等を解析するための情報)、建造物の建設に関連する建設要素情報(例えば、建設時に排出されるCO2量等を解析するための情報)のうち、少なくとも2つ以上の情報に基づき、建造物Sを構築する計画において検討される複数種類の要素を解析することが可能となる。
【0080】
また、ある建造物Sに対する解析結果を参照して、別の建造物Sの3Dデータに基づき、要素を解析することが可能となるので、各要素を最初から解析する場合に比べ、ユーザの作業負担や、システムの処理負荷を軽減することが可能となる。
【0081】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施形態及び応用例の内容に限定されないことはいうまでもない。上記実施形態及び変形に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者にとって明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0082】
1 建造物構築計画支援システム
100 建造物構築計画支援装置
110 データ受付手段
120 要素解析情報受付手段
130 解析手段
131 日射解析手段
132 日影解析手段
133 採光解析手段
134 排煙解析手段
135 避難計画解析手段
136 風環境解析手段
137 サイトライン解析手段
138 音響解析手段
139 量解析手段
140 解析結果提供手段
200 端末
210 制御手段
220 送受信手段
230 入出力手段
231 要素選択部
232 プロジェクト一覧
233 要素解析情報受付部
234 解析結果表示部
300 記憶手段