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特開2023-170353排気ガスの処理方法、及びこの方法を実行する設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170353
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】排気ガスの処理方法、及びこの方法を実行する設備
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/62 20060101AFI20231124BHJP
   B01D 46/04 20060101ALI20231124BHJP
   B01D 53/86 20060101ALI20231124BHJP
   B01D 53/83 20060101ALI20231124BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20231124BHJP
   B01D 53/90 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B01D53/62
B01D46/04 103
B01D53/86 222
B01D53/83
B01D53/78
B01D53/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082040
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】勝木 将利
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 匠
(72)【発明者】
【氏名】向井 洋介
(72)【発明者】
【氏名】乾 正幸
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 秀明
(72)【発明者】
【氏名】小久保 美乃里
【テーマコード(参考)】
4D002
4D058
4D148
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA09
4D002AA19
4D002BA02
4D002BA03
4D002CA07
4D002DA02
4D002DA03
4D002DA04
4D002DA05
4D002DA06
4D002DA12
4D002DA16
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4D002EA13
4D002FA02
4D002FA03
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4D002HA01
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4D058JA04
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4D148BA14Y
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4D148BA27Y
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4D148BA31Y
4D148BA33Y
4D148BA34Y
4D148BA35Y
4D148BA41Y
4D148BA42Y
4D148CA10
4D148CD01
4D148CD02
(57)【要約】
【課題】排気ガス中の微粉と共に、排気ガス中の二酸化炭素を除去する。
【解決手段】排気ガス処理設備は、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタを備える集塵フィルタ装置と、二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む排気ガスを前記集塵フィルタ装置に導入可能な排気ガスラインと、二酸化炭素と反応可能な反応剤を前記排気ガス中に供給可能な反応剤供給機と、を備える。前記排気ガスラインは、前記集塵フィルタ装置の入口に接続されている。前記反応剤供給機は、前記排気ガスライン中又は前記集塵フィルタ装置内の入口側空間に前記反応剤を供給可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集塵フィルタ装置と、
二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む排気ガスを前記集塵フィルタ装置に導入可能な排気ガスラインと、
二酸化炭素と反応可能な反応剤を前記排気ガス中に供給可能な反応剤供給機と、
を備え、
前記集塵フィルタ装置は、ガスが流入する入口とガスが流出する出口とが形成されているケースと、前記ケース内を前記入口の側の入口側空間と前記出口の側の出口側空間とに仕切り、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタと、を備え、
前記排気ガスラインは、前記集塵フィルタ装置の前記入口に接続され、
前記反応剤供給機は、前記排気ガスライン中又は前記入口側空間に前記反応剤を供給可能である、
排気ガス処理設備。
【請求項2】
請求項1に記載の排気ガス処理設備において、
前記反応剤供給機は、前記排気ガスラインに接続され、前記排気ガスライン中に前記反応剤を供給可能である、
排気ガス処理設備。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の排気ガス処理設備において、
前記集塵フィルタ装置としての後段集塵フィルタ装置の他に、前段集塵フィルタ装置と、
前記排気ガスラインとしての後段排気ガスラインの他に、二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む前段排気ガスを前記前段集塵フィルタ装置に導入可能な前段排気ガスラインと、
前記反応剤供給機としての後段反応剤供給機の他に、前記酸性ガスと反応可能な前段反応剤を前記前段排気ガス中に供給可能な前段反応剤供給機と、
を備え、
前記前段集塵フィルタ装置は、ガスが流入する入口とガスが流出する出口とが形成されているケースと、前記前段集塵フィルタ装置の前記ケース内を前記前段集塵フィルタ装置の前記入口の側の入口側空間と前記前段集塵フィルタ装置の前記出口の側の出口側空間とに仕切り、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタと、を備え、
前記前段排気ガスラインは、前記前段集塵フィルタ装置の前記入口に接続され、
前記後段排気ガスラインは、前記前段集塵フィルタ装置の前記出口に接続されていると共に前記後段集塵フィルタ装置の前記入口に接続され、前記排気ガスとしての後段排気ガスを前記後段集塵フィルタ装置に導入可能であり、
前記前段反応剤供給機は、前記前段排気ガスライン及び/又は前記前段集塵フィルタ装置の前記入口側空間に前記前段反応剤を供給可能である、
排気ガス処理設備。
【請求項4】
請求項3に記載の排気ガス処理設備において、
前記前段反応剤供給機は、前記前段反応剤としての金属炭酸塩、又は金属重炭酸塩を蓄えることが可能な貯留部と、前記貯留部に蓄えられている前記金属炭酸塩又は金属重炭酸塩を前記前段排気ガスライン又は前記前段集塵フィルタ装置の前記入口側空間に供給可能な供給部と、を有する、
排気ガス処理設備。
【請求項5】
請求項3に記載の排気ガス処理設備において、
さらに、前記前段排気ガスライン中に、NOx還元剤を供給可能なNOx還元剤供給機70を備え、
前記前段集塵フィルタ装置の前記集塵フィルタには、還元触媒が付着している、
排気ガス処理設備。
【請求項6】
請求項3に記載の排気ガス処理設備において、
さらに、前記後段排気ガスライン中に、NOx還元剤を供給可能なNOx還元剤供給機を備え、
前記後段集塵フィルタ装置の前記集塵フィルタには、還元触媒が付着している、
排気ガス処理設備。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の排気ガス処理設備において、
さらに、前記排気ガスライン中に、NOx還元剤を供給可能なNOx還元剤供給機を備え、
前記集塵フィルタ装置の前記集塵フィルタには、還元触媒が付着している、
排気ガス処理設備。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の排気ガス処理設備において、
前記反応剤供給機は、前記反応剤として、水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又は金属酸化物を蓄えることが可能な貯留部と、前記反応剤供給機の前記貯留部に蓄えられている水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又は金属酸化物を前記排気ガス中に供給可能な供給部と、を有する、
排気ガス処理設備。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の排気ガス処理設備において、
前記集塵フィルタ装置は、前記出口側空間が前記入口側空間よりも高圧になるよう、前記出口側空間に高圧ガスを送って、前記集塵フィルタで捕集された固形物を前記集塵フィルタから離脱させることができる逆洗装置と、前記集塵フィルタから離脱した前記入口側空間内の固形物を外部に排出可能な排出機と、を有する、
排気ガス処理設備。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の排気ガス処理設備において、
前記反応剤供給機は、前記反応剤として水酸化物を蓄えることが可能な貯留部と、前記反応剤供給機の前記貯留部に蓄えられている前記水酸化物を前記排気ガス中に供給可能な供給部と、を有し、
前記集塵フィルタ装置は、前記出口側空間が前記入口側空間よりも高圧になるよう、前記出口側空間に高圧ガスを送って、前記集塵フィルタで捕集された固形物を前記集塵フィルタから離脱させることができる逆洗装置と、前記集塵フィルタから離脱した前記入口側空間内の固形物を外部に排出可能な排出機と、を有し、
さらに、
前記排気ガス中に含まれている前記酸性ガスと前記反応剤としての前記水酸化物との反応生成物から、酸性ガスを分離して塩基性酸化物を生成可能な酸性ガス分離装置と、
前記酸性ガス分離装置からの前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給して、水酸化物を生成可能な再生装置と、
を備え、
前記酸性ガス分離装置は、前記排出機からの前記固形物に含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物を生成可能であり、
前記反応剤供給機は、前記再生装置で生成された前記水酸化物を前記排気ガス中に供給可能である、
排気ガス処理設備。
【請求項11】
請求項3に記載の排気ガス処理設備において、
前記後段反応剤供給機は、前記反応剤として水酸化物を蓄えることが可能な貯留部と、前記後段反応剤供給機の前記貯留部に蓄えられている前記水酸化物を前記排気ガスとしての後段排気ガス中に供給可能な供給部と、を有し、
前記後段集塵フィルタ装置は、前記後段集塵フィルタ装置の前記出口側空間が前記後段集塵フィルタ装置の前記入口側空間よりも高圧になるよう、前記後段集塵フィルタ装置の前記出口側空間に高圧ガスを送って、前記後段集塵フィルタ装置の前記集塵フィルタで捕集された固形物を前記後段集塵フィルタ装置の前記集塵フィルタから離脱させることができる逆洗装置と、前記後段集塵フィルタ装置の前記集塵フィルタから離脱した前記入口側空間内の固形物を外部に排出可能な排出機と、を有し、
さらに、
前記後段排気ガス中に含まれている前記酸性ガスと前記反応剤としての前記水酸化物との反応生成物から、酸性ガスを分離して塩基性酸化物を生成可能な酸性ガス分離装置と、
前記酸性ガス分離装置からの前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給して、水酸化物を生成可能な再生装置と、
を備え、
前記酸性ガス分離装置は、前記排出機からの前記固形物に含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物を生成可能であり、
前記後段反応剤供給機は、前記再生装置で生成された前記水酸化物を前記後段排気ガス中に供給可能である、
排気ガス処理設備。
【請求項12】
請求項11に記載の排気ガス処理設備において、
前記前段反応剤供給機は、前記前段反応剤として、前記再生装置で生成された前記水酸化物を前記前段排気ガス中に供給可能である、
排気ガス処理設備。
【請求項13】
請求項10に記載の排気ガス処理設備において、
さらに、前記集塵フィルタ装置の前記出口から排気された前記排気ガスである処理済み排気ガスと熱媒体とを熱交換させて、前記熱媒体を加熱可能な排熱回収器を備え、
前記反応剤供給機と、前記酸性ガス分離装置と、前記再生装置とのうち、いずれか一の装置は、前記排熱回収器で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する、
又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、前記排熱回収器で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する、
排気ガス処理設備。
【請求項14】
請求項10に記載の排気ガス処理設備において、
前記酸性ガス分離装置は、前記排出機からの前記固形物を加熱して、前記固形物に含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物及びガスを生成可能な加熱装置を有し、
さらに、前記加熱装置で生成された前記塩基性酸化物を含む加熱済み固形物又は前記ガスと熱媒体とを熱交換させて、前記熱媒体を加熱可能な排熱回収器を備え、
前記反応剤供給機と、前記酸性ガス分離装置と、前記再生装置とのうち、いずれか一の装置は、前記排熱回収器で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する、
又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、前記排熱回収器で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する、
排気ガス処理設備。
【請求項15】
請求項10に記載の排気ガス処理設備において、
さらに、前記再生装置で前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給した際に生じる反応熱の一部を熱媒体に吸収させて、前記熱媒体を加熱可能な排熱回収器を備え、
前記反応剤供給機と、前記酸性ガス分離装置と、前記再生装置とのうち、いずれか一の装置は、前記排熱回収器で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する、
又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、前記排熱回収器で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する、
排気ガス処理設備。
【請求項16】
二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む250℃以上の排気ガスに、二酸化炭素と反応可能な反応剤を供給する反応剤供給工程と、
250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタを備える集塵フィルタ装置を用いて、前記集塵フィルタ装置に流入してきた固形物を捕集する捕集工程と、
を実行する排気ガスの処理方法。
【請求項17】
請求項16に記載の排気ガスの処理方法において、
前記反応剤供給工程としての後段反応剤供給工程の他に、二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む250℃以上の前段排気ガスに、前記酸性ガスと反応可能な前段反応剤を供給する前段反応剤供給工程と、
前記捕集工程としての後段捕集工程の他に、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタを備える前段集塵フィルタ装置を用いて、前記前段集塵フィルタ装置に流入してきた固形物を捕集する前段捕集工程と、
を実行し、
前記後段反応剤供給工程では、前記前段集塵フィルタ装置から排気された排気ガスである後段排気ガス中に、前記反応剤である後段反応剤を供給する、
排気ガスの処理方法。
【請求項18】
請求項17に記載の排気ガスの処理方法において、
前記前段反応剤供給工程では、前記前段反応剤としての金属炭酸塩、又は金属重炭酸塩を前記前段排気ガス中に供給する、
排気ガスの処理方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の排気ガスの処理方法において、
さらに、前記前段排気ガス中に、NOx還元剤を供給するNOx還元剤供給工程を実行し、
前記前段集塵フィルタ装置内で且つ還元触媒が存在する環境下で、前記前段排気ガス中の前記NOx還元剤と前記前段排気ガス中の一酸化窒素とを反応させて、窒素と水とを生成する、
排気ガスの処理方法。
【請求項20】
請求項17又は18に記載の排気ガスの処理方法において、
さらに、前記後段排気ガス中に、NOx還元剤を供給するNOx還元剤供給工程を実行し、
前記集塵フィルタ装置としての後段集塵フィルタ装置内で且つ還元触媒が存在する環境下で、前記後段排気ガス中の前記NOx還元剤と前記後段排気ガス中の一酸化窒素とを反応させて、窒素と水とを生成する、
排気ガスの処理方法。
【請求項21】
請求項16に記載の排気ガスの処理方法において、
さらに、前記排気ガス中に、NOx還元剤を供給するNOx還元剤供給工程を実行し、
前記集塵フィルタ装置内で且つ還元触媒が存在する環境下で、前記排気ガス中の前記NOx還元剤と前記排気ガス中の一酸化窒素とを反応させて、窒素と水とを生成する、
排気ガスの処理方法。
【請求項22】
請求項16から18のいずれか一項に記載の排気ガスの処理方法において、
前記反応剤供給工程では、前記反応剤として、水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又は金属酸化物を前記排気ガス中に供給する、
排気ガスの処理方法。
【請求項23】
請求項16から18のいずれか一項に記載の排気ガスの処理方法において、
前記集塵フィルタ装置の集塵フィルタで捕集された前記固形物を前記集塵フィルタから離脱させる逆洗工程と、
前記逆洗工程で前記集塵フィルタから離脱した前記固形物を前記集塵フィルタ装置から排出する排出工程と、
をさらに実行する、
排気ガスの処理方法。
【請求項24】
請求項16から18のいずれか一項に記載の排気ガスの処理方法において、
前記反応剤供給工程では、前記反応剤として水酸化物を前記排気ガス中に供給し、
さらに、
前記集塵フィルタ装置の集塵フィルタで捕集された前記固形物を前記集塵フィルタから離脱させる逆洗工程と、
前記逆洗工程で前記集塵フィルタから離脱した前記固形物を前記集塵フィルタ装置から排出する排出工程と、
前記排気ガス中に含まれている前記酸性ガスと前記反応剤としての前記水酸化物との反応生成物から、酸性ガスを分離して塩基性酸化物を生成する酸性ガス分離工程と、
前記酸性ガス分離工程で生成された前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給して、水酸化物を生成する再生工程と、
を実行し、
前記酸性ガス分離工程では、前記排出工程で前記集塵フィルタ装置から排出された前記固形物に含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物を生成し、
前記反応剤供給工程では、前記再生工程で生成された前記水酸化物を前記排気ガス中に供給する、
排気ガスの処理方法。
【請求項25】
請求項17に記載の排気ガスの処理方法において、
前記後段反応剤供給工程では、前記後段反応剤として水酸化物を前記排気ガスとしての後段排気ガス中に供給し、
さらに、
前記後段捕集工程で用いる前記集塵フィルタ装置である後段集塵フィルタ装置の集塵フィルタで捕集された固形物を前記後段集塵フィルタ装置の前記集塵フィルタから離脱させる逆洗工程と、
前記逆洗工程で前記後段集塵フィルタ装置の前記集塵フィルタから離脱した固形物を前記後段集塵フィルタ装置から排出する排出工程と、
前記後段排気ガス中に含まれている前記酸性ガスと前記後段反応剤としての前記水酸化物との反応生成物から、酸性ガスを分離して塩基性酸化物を生成する酸性ガス分離工程と、
前記酸性ガス分離工程で生成された前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給して、水酸化物を生成する再生工程と、
を実行し、
前記酸性ガス分離工程では、前記排出工程で前記後段集塵フィルタ装置から排出された前記固形物に含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物を生成し、
前記後段反応剤供給工程では、前記再生工程で生成された前記水酸化物を前記後段排気ガス中に供給する、
排気ガスの処理方法。
【請求項26】
請求項25に記載の排気ガスの処理方法において、
前記前段反応剤供給工程では、前記前段反応剤として、前記再生工程で生成された前記水酸化物を前記前段排気ガス中に供給する、
排気ガスの処理方法。
【請求項27】
請求項24に記載の排気ガスの処理方法において、
さらに、前記集塵フィルタ装置から排気された前記排気ガスである処理済み排気ガスと熱媒体を熱交換させて、前記熱媒体を加熱する排熱回収工程を実行し、
前記反応剤供給工程と、前記酸性ガス分離工程と、前記再生工程とのうち、いずれか一つの工程は、前記排熱回収工程で加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を含み、
又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、前記排熱回収工程で加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を実行する、
排気ガスの処理方法。
【請求項28】
請求項24に記載の排気ガスの処理方法において、
前記酸性ガス分離工程は、前記集塵フィルタ装置から排出された前記固形物を加熱して、前記固形物に含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物及びガスを生成する生成物加熱工程を含み、
さらに、前記生成物加熱工程の実行で生成された前記塩基性酸化物を含む加熱済み固形物又は前記ガスと熱媒体とを熱交換させて、前記熱媒体を加熱する排熱回収工程を実行し、
前記反応剤供給工程と、前記酸性ガス分離工程と、前記再生工程とのうち、いずれか一つの工程は、前記排熱回収工程で加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を含み、
又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、前記排熱回収工程で加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を実行する、
排気ガスの処理方法。
【請求項29】
請求項24に記載の排気ガスの処理方法において、
さらに、前記再生工程で前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給した際に生じる反応熱の一部を熱媒体に吸収させて、前記熱媒体を加熱する排熱回収工程を実行し、
前記反応剤供給工程と、前記酸性ガス分離工程と、前記再生工程とのうち、いずれか一つの工程は、前記排熱回収工程で加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を含み、
又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、前記排熱回収工程で加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を実行する、
排気ガスの処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気ガスの処理方法、及びこの方法を実行する設備に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスを処理する設備としては、例えば、以下の特許文献1に記載されている設備がある。この設備は、集塵フィルタ装置と、排気ガスを冷却する冷却装置と、冷却装置で冷却された排気ガスを集塵フィルタ装置に導入する排気ガスラインと、この排気ガスライン中に消石灰を供給する供給手段と、を備えている。冷却装置は、排気ガスを200℃以下に冷却する。集塵フィルタ装置には、200℃以下の排気ガスと共に消石灰が流入する。排気ガス中の塩化水素(HCl)や硫黄酸化物(SOx)等の酸性ガスと消石灰(Ca(OH))とは、反応して、Ca塩化物、硫化物が生成される。これらCa塩化物、硫化物は、排気ガス中に含まれる灰等の微粉と共に、集塵フィルタ装置の集塵フィルタで捕集される。
【0003】
よって、特許文献1に記載の設備では、排気ガス中の塩化水素、硫黄酸化物及び微粉を除去できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-154213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、環境保存の観点から、排気ガスから二酸化炭素を除去することが望まれている。
【0006】
そこで、本開示は、排気ガス中の微粉と共に、排気ガス中の二酸化炭素を除去できる排気ガスの処理方法、及びこの方法を実行する設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための一態様としての排気ガス処理設備は、
集塵フィルタ装置と、二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む排気ガスを前記集塵フィルタ装置に導入可能な排気ガスラインと、二酸化炭素と反応可能な反応剤を前記排気ガス中に供給可能な反応剤供給機と、を備える。前記集塵フィルタ装置は、ガスが流入する入口とガスが流出する出口とが形成されているケースと、前記ケース内を前記入口の側の入口側空間と前記出口の側の出口側空間とに仕切り、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタと、を有する。前記排気ガスラインは、前記集塵フィルタ装置の前記入口に接続されている。前記反応剤供給機は、前記排気ガスライン中又は前記入口側空間に前記反応剤を供給可能である。
【0008】
排気ガス中の二酸化炭素は、反応剤と反応して反応生成物になる。この反応生成物は、排気ガス中に含まれている灰や重金属等の微粉と共に、固形物として、集塵フィルタ装置の集塵フィルタで捕集される。よって、本態様では、排気ガス中の微粉と共に、排気ガス中の二酸化炭素を除去することができる。
【0009】
ところで、排気ガス中の二酸化炭素と反応剤との反応効率を高めるためには、反応環境が250℃以上であることが望ましい。本態様では、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタを用いるため、250℃以上の排気ガスを集塵フィルタ装置に流入させることができる。すなわち、本態様では、排気ガス中の二酸化炭素と反応剤との反応環境を250℃以上にすることができる。よって、本態様では、排気ガスからの二酸化炭素の除去効率を高めることができる。
【0010】
前記目的を達成するための一態様としての排気ガスの処理方法は、
二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む250℃以上の排気ガスに、二酸化炭素と反応可能な反応剤を供給する反応剤供給工程と、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタを有する集塵フィルタ装置を用いて、前記集塵フィルタ装置に流入してきた固形物を捕集する捕集工程と、を実行する。
【0011】
本態様では、一態様としての排気ガス処理設備と同様の効果を得ることができる。すなわち、本態様では、排気ガス中の微粉と共に、排気ガス中の二酸化炭素を除去することができる。さらに、本態様では、排気ガスからの二酸化炭素の除去効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一態様では、排気ガス中の微粉と共に、排気ガス中の二酸化炭素を除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示に係る第一実施形態における排気ガス処理設備の系統図である。
図2】本開示に係る第一実施形態における酸性ガス分離装置の構成を示す模式図である。
図3】本開示に係る第一実施形態における他の酸性ガス分離装置の構成を示す模式図である。
図4】本開示に係る第一実施形態における再生装置及び反応剤供給機の構成を示す模式図である。
図5】本開示に係る第一実施形態における排気ガス処理設備での処理の流れを示すフローチャートである。
図6】本開示に係る第二実施形態における排気ガス処理設備の系統図である。
図7】本開示に係る第二実施形態における排気ガス処理設備での処理の流れを示すフローチャートである。
図8】各種酸性ガスと反応剤との反応時間と各種酸性ガスの濃度との関係を示すグラフである。
図9】本開示に係る第三実施形態における排気ガス処理設備の系統図である。
図10】本開示に係る第三実施形態における排気ガス処理設備での処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本開示に係る第四実施形態における排気ガス処理設備の系統図である。
図12】本開示に係る第四実施形態における排気ガス処理設備での処理の流れを示すフローチャートである。
図13】本開示に係る第一実施形態における酸性ガス分離装置の変形例の構成を示す模式図である。
図14】本開示に係る第一実施形態における他の酸性ガス分離装置の変形例の構成を示す模式図である。
図15】本開示に係る第一実施形態における排気ガス処理設備の変形例での処理の流れを示すフローチャートである。
図16】本開示に係る第一実施形態における再生装置及び反応剤供給機の変形例の構成を示す模式図である。
図17】本開示に係る第一実施形態における排気ガス処理設備の他の変形例での処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示に係る排気ガスの処理方法及びこの方法を実行する設備の各種実施形態及び各種変形例について、図面を用いて説明する。
【0015】
「第一実施形態」
以下、本開示に係る排気ガスの処理方法及びこの方法を実行する設備の第一実施形態について、図1図5を用いて説明する。
【0016】
本実施形態及び以下で説明する各実施形態における排気ガス処理設備は、いずれも、図1等に示すように、排気ガス発生源1からの排気ガスEGを処理する設備である。排気ガス発生源1としては、例えば、廃棄物焼却炉、石炭又は天然ガス焚き発電プラント、ガスタービン、ガスエンジン、セメントプラント、製鉄プラント、ガラス溶融プラント等がある。この排気ガス発生源1からの排気ガスEGには、酸性ガス、灰、重金属等が含まれている。酸性ガスには、二酸化炭素(CO)の他、二酸化硫黄(SO)、塩酸(HCl)、一酸化窒素(NO)等が含まれている。また、この排気ガスEGの温度は、250℃以上である。
【0017】
本実施形態における排気ガス処理設備は、集塵フィルタ装置10と、排気ガスライン2と、処理済み排気ガスライン2tと、煙突3と、吸引ブロワー4と、排熱回収器5と、反応剤供給機20と、酸性ガス分離装置30と、再生装置60と、を備える。
【0018】
集塵フィルタ装置10は、ケース11と、固形物SSを捕集できる集塵フィルタ13と、逆洗装置14と、排出機15と、を備える。ケース11には、ガスが流入する入口11iと、ガスが流出する出口11oと、が形成されている。集塵フィルタ13は、250℃以上の耐熱性を有する。この集塵フィルタ13を構成する繊維は、例えば、ガラス繊維、セラミックス繊維等である。この集塵フィルタ13は、ケース11内を入口11iの側の入口側空間12iと出口11oの側の出口側空間12oとに仕切れるように配置されている。集塵フィルタ13を先に説明した繊維で構成すると、集塵フィルタ装置10に流入する排気ガスEGが250℃以上であっても、この集塵フィルタ装置10は機能する。
【0019】
逆洗装置14は、ケース11内の出口側空間12oが入口側空間12iよりも高圧になるよう、出口側空間12oに高圧ガス(例えば、高圧空気)を送って、集塵フィルタ13で捕集された固形物SSを集塵フィルタ13から離脱させることができる。この逆洗装置14は、逆洗用高圧ガスタンク14aと、逆洗用高圧ガスタンク14a内の高圧ガスをケース11内の出口側空間12oの側から集塵フィルタ13に送る高圧ガス案内菅14bと、高圧ガス案内菅14bに設けられている開閉弁14cと、を有する。排出機15は、逆洗装置14の動作で集塵フィルタ13から離脱して、ケース11内の入口側空間12iを落下してきた固形物SSを外部に排出できる。このような排出機15としては、ロータリーバルブやスクリューコンベア等がある。
【0020】
排気ガスライン2の一端は、排気ガス発生源1に接続され、排気ガスライン2の他端は、集塵フィルタ装置10の入口11iに接続されている。よって、この排気ガスライン2により、排気ガス発生源1からの排気ガスEGを集塵フィルタ装置10内に導くことができる。
【0021】
処理済み排気ガスライン2tの一端は、集塵フィルタ装置10の出口11oに接続され、処理済み排気ガスライン2tの他端は、煙突3に接続されている。よって、この処理済み排気ガスライン2tにより、集塵フィルタ装置10を通過した排気ガスEGである処理済み排気ガスEGtを煙突3に導くことができる。
【0022】
吸引ブロワー4及び排熱回収器5は、この処理済み排気ガスライン2tに設けられている。排熱回収器5は、処理済み排気ガスライン2tを流れる処理済み排気ガスEGtと熱媒体とを熱交換させて、熱媒体を加熱する熱交換器である。なお、吸引ブロワー4が無くても、処理済み排気ガスEGtを煙突3から排気することができる場合には、この吸引ブロワー4は不要である。
【0023】
反応剤供給機20は、二酸化炭素を含む酸性ガスと反応可能な反応剤RSを排気ガスEG中に供給することができる。本実施形態における反応剤RSは、水酸化物(金属水酸化物、又は塩基性水酸化物)の一種である水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)である。この反応剤RSは、二酸化炭素(CO)のみならず、二酸化硫黄(SO)、塩酸(HCl)とも反応可能である。なお、反応剤供給機20の構成については、後述する。
【0024】
酸性ガス分離装置30は、図2に示すように、集塵フィルタ装置10からの固形物SSを加熱可能な加熱装置31と、予熱器(排熱利用器)36と、加熱装置31から排出されたガス中から二酸化炭素を分離可能な二酸化炭素分離装置51と、を有する。
【0025】
図2に示す加熱装置31は、ロータリーキルンである。この加熱装置31は、円筒状の胴32と、胴32の外周に配置されている電気ヒータ33と、胴32を回転させる胴回転機構34と、胴32内に固形物SSを送り込むフィーダ35と、を有する。胴32の一方の端にはフィーダ35が接続され、胴32の他方の端にはガス排気口32g及び固形物排出口32sが形成されている。フィーダ35には、集塵フィルタ装置10から排出された固形物SSが供給される。この固形物SSには、酸性ガスと反応剤RSとの反応で生成された反応生成物、未反応の反応剤RS、灰、重金属等が含まれている。反応生成物としては、以下に示すように、反応剤RS(Ca(OH))と二酸化炭素(CO)との反応で生成された炭酸カルシウム(CaCO)と、反応剤RS(Ca(OH))と二酸化硫黄(SO)との反応で生成された硫酸カルシウム(CaSO)と、反応剤RS(Ca(OH))と塩酸(HCl)との反応で生成された塩化カルシウム(CaCl)とがある。なお、反応生成物としては、硫酸カルシム以外の硫化物や、塩化カルシウム以外の塩化物が含まれる場合もある。
Ca(OH)+CO→CaCO+H
Ca(OH)+SO+1/2O→CaSO+H
Ca(OH)+2HCl→CaCl+2H
【0026】
予熱器36は、フィーダ35に接するようフィーダ35の周りに配置されている。この予熱器(排熱利用器)36は、排熱回収器5で加熱された熱媒体とフィーダ35内の固形物SSとを熱交換させて、固形物SSを加熱する。なお、ここでは、予熱器36をフィーダ35の周りに配置しているが、集塵フィルタ装置10から加熱装置31へ固形物SSを送る配管の周りに予熱器36を配置してもよい。予熱器36で加熱された固形物SSは、フィーダ35により胴32内に送り込まれ、この胴32内で電気ヒータ33によりさらに加熱される。固形物SSは、この電気ヒータ33により900℃程度にまで加熱される。固形物SSが胴32内で加熱されると、以下に示すように、固形物SS中の炭酸カルシウム(CaCO)は、酸化カルシウム(CaO、生石灰)と二酸化炭素(CO)とに分離する。固形物SS中の硫酸カルシウム(CaSO)等のカルシウム硫化物は、酸化カルシウム(CaO、生石灰)と二酸化硫黄(SO)と酸素(O)とに分離する。また、固形物SS中の塩化カルシウム(CaCl)等のカルシウム塩化物は、酸化カルシウム(CaO、生石灰)と塩酸(HCl)とに分離する。但し、固形物SS中のカルシウム硫化物やカルシウム塩化物の全てが分解されることはなく、一部、分解されないまま残る。
【0027】
胴32内での固形物SSの加熱で生成された加熱済み固形物SShは、胴32の固形物排出口32sから排出される。この加熱済み固形物SShには、塩基性酸化物(塩基性金属酸化物)の一種である酸化カルシウム(CaO、生石灰)が含まれる。
【0028】
また、胴32内での固形物SSの加熱で生成されたガスは、胴32のガス排気口32gから排気される。このガスには、二酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO)、塩酸(HCl)が含まれている。なお、ここでの加熱装置31は、固形物SSを電気ヒータ33で加熱する。しかしながら、電気ヒータ33の替りに、胴32内に燃料を噴射するバーナを設けて、このバーナからの燃料の燃焼により生じた熱で固形物を加熱してもよい。
【0029】
二酸化炭素分離装置51は、吸収塔52と、吸収液タンク53と、循環ライン54と、排液ライン55と、循環ポンプ56と、吸収原液タンク57と、吸収原液ポンプ58と、を有する。吸収原液タンク57には、二酸化硫黄(SO)及び塩酸(HCl)を吸収し、二酸化炭素(CO)をほとんど吸収しない吸収液の原液が蓄えられる。吸収液としては、例えば、所定の温度の水がある。吸収液タンク53内の液量が少なくなると、吸収原液タンク57内の吸収液の原液が吸収原液ポンプ58により吸収液タンク53内に供給される。吸収塔52の中間部には、充填物が配置されている。吸収塔52の充填物より下の部分には、酸性ガスライン59の一端が接続されている。この酸性ガスライン59の他端は、前述した胴32のガス排気口32gが接続されている。よって、吸収塔52内には、この酸性ガスライン59を介して、加熱装置31からの酸性ガスが流入する。循環ライン54の一端は、吸収塔52の下端に接続され、循環ライン54の他端は、吸収塔52の充填物より上の部分に接続されている。循環ライン54には、吸収液タンク53と循環ポンプ56とが接続されている。よって、吸収塔52の上部には、吸収液タンク53内の吸収液が循環ライン54を経て供給される。また、吸収塔52内の吸収液は、循環ライン54を経て、吸収液タンク53に戻る。循環ライン54には、排液ライン55が接続されている。吸収液タンク53内の吸収液の酸性濃度が予め定められた濃度以上になると、この吸収液は、循環ライン54及び排液ライン55を介して、外部に排出されて回収させる。吸収塔52内で、吸収液に吸収されなかった酸性ガスである二酸化炭素(CO)は、吸収塔52の頂部から外部に排気されて回収される。
【0030】
酸性ガス分離装置30は、他の態様も考えられる。他の態様の酸性ガス分離装置30aは、図3に示すように、集塵フィルタ装置10からの固形物SSを加熱可能な加熱装置31aと、予熱器49と、空気加熱器(排熱利用器)47と、加熱装置31aから排出されたガス中から二酸化炭素を分離可能な二酸化炭素分離装置51と、を有する。この酸性ガス分離装置30aの二酸化炭素分離装置51は、先に説明した酸性ガス分離装置30の二酸化炭素分離装置51と同じである。一方、この酸性ガス分離装置30aの加熱装置31aは、先に説明した酸性ガス分離装置30の加熱装置31と異なる。
【0031】
図3に示す加熱装置31aは、焼成炉41とサイクロン48とを有する。焼成炉41は、炉枠42と、炉枠42内に固形物SSを送り込むフィーダ43と、複数の孔が形成されている拡散板44と、キャリアガスブロワー45と、下段バーナ46dと、上段バーナ46uと、を有する。炉枠42内の空間は、拡散板44により、上部の加熱空間42hsと下部のキャリアガス空間42csとに仕切られる。下段バーナ46dは、キャリアガス空間42cs内に燃料Fと空気とを噴射できるよう、炉枠42の下部に接続されている。上段バーナ46uは、加熱空間42hsの上部に燃料Fと空気とを噴射できるよう、炉枠42の上部に接続されている。
【0032】
フィーダ43は、加熱空間42hsの下部に、集塵フィルタ装置10からの固形物SSを供給可能に、炉枠42の中間部に接続されている。予熱器49は、フィーダ43に接するようフィーダ43の周りに配置されている。この予熱器49は、排熱回収器5で加熱された熱媒体とフィーダ43内の固形部とを熱交換させて、固形物SSを加熱する。なお、ここでは、予熱器49をフィーダ43の周りに配置しているが、集塵フィルタ装置10から加熱装置31aへ固形物SSを送る配管の周りに予熱器49を配置してもよい。
【0033】
キャリアガスブロワー45は、空気をキャリアガス空間42csに送り込む。空気加熱器(排熱利用器)47は、排熱回収器5で加熱された熱媒体とキャリアガスブロワー45からの空気とを熱交換させて、この空気を加熱する。この空気の一部は、キャリアガス空間42csに送られ、残りの一部は、下段バーナ46d及び上段バーナ46uに送られる。
【0034】
サイクロン48は、サイクロンボディ48bと、気体出口菅48pと、排出機48eと、を有する。サイクロンボディ48bは、円錐状を成し、円錐の底面に相当する部分が上になるよう配置されている。気体出口菅48pは、円錐状のサイクロンボディ48bの中心軸上であって、サイクロンボディ48bの上側からサイクロンボディ48b内に貫通するよう配置されている。排出機48eは、サイクロンボディ48bの下部に接続されている。サイクロンボディ48bの上部の側周には、入口48iが形成されている。
【0035】
集塵フィルタ装置10からフィーダ43に供給された固形物SSは、予熱器49により加熱された後、加熱空間42hsの下部に供給される。下段バーナ46d及び上段バーナ46uから噴出した燃料Fの燃焼により、燃焼ガスが生成される。この燃焼ガスにより、固形物SSは、この炉枠42内で900℃程度に加熱される。なお、この焼成炉41は、下段バーナ46d及び上段バーナ46uを有する。しかしながら、燃焼炉は、いずれか一方のバーナのみを有していてもよい。また、ここでは、炉枠42内の空間をバーナから噴射して燃料の燃焼で加熱する。しかしながら、炉枠42に電気ヒータを設け、この電気ヒータにより炉枠42内の空間を加熱してもよい。
【0036】
固形物SSが加熱されると、前述したように、この固形物SSが分解して、加熱済み固形物SSh及び酸性ガスが生成される。さらに、固形物SSの加熱に、燃料の燃焼で生成された燃焼ガスの熱を利用する場合、二酸化炭素を含む燃焼ガスも生成される。
【0037】
加熱済み固形物SSh及び酸性ガスは、サイクロンボディ48bの入口48iからサイクロンボディ48b内に流入する。なお、固形物SSの加熱に、燃料の燃焼で生成された燃焼ガスの熱を利用した場合、サイクロンボディ48b内には燃焼ガスも流入する。このサイクロンボディ48b内で固体である加熱済み固形物SShとガス(酸性ガス、燃焼ガス)とに分離される。加熱済み固形物SShは、排出機48eによりサイクロンボディ48b外に排出される。ガス(酸性ガス、燃焼ガス)は、酸性ガスライン59を介して、二酸化炭素分離装置51の吸収塔52に送られる。ガス(酸性ガス、燃焼ガス)中の二酸化炭素は、この吸収塔52内で、前述したように、ガス中の他のガスから分離された後、回収される。なお、ここでは、加熱済み固形物SSh及びガスとの分離に、サイクロンを用いているが、このサイクロンの替りに、集塵フィルタや流動床を用いてもよい。
【0038】
以上のように、加熱装置は、集塵フィルタ装置10から回収した固形物SSを900℃程度若しくはそれ以上に加熱できれば、如何なる構成であってもよい。また、二酸化炭素分離装置51も、酸性ガス中から二酸化炭素を分離できれば、如何なる構成であってもよい。なお、本実施形態における酸性ガス分離装置30,30aは、酸性ガスから二酸化炭素を分離可能な二酸化炭素分離装置51を備えているが、酸性ガスをそのまま回収可能である場合には、この二酸化炭素分離装置51を省略してもよい。
【0039】
再生装置60は、図4に示すように、反応容器61と、反応容器61内を撹拌する撹拌機62と、を有する。反応容器61は、酸性ガス分離装置30,30aからの加熱済み固形物SShを内部に導く入口61iと、水又は水蒸気SMを内部に導く水入口61smと、加熱済み固形物SShと水又は水蒸気SMとの反応で生成される生成物を排出する排出口61oと、を有する。なお、再生装置60は、さらに、反応容器61内に導かれる水又は水蒸気SMを加熱する加熱器63を有していてもよい。
【0040】
反応容器61内では、以下に示すように、加熱済み固形物SShの主成分である酸化カルシウム(CaO、生石灰)と水又は水蒸気とが反応して、水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)が生成される。
CaO+HO→Ca(OH)
【0041】
反応剤供給機20は、図4に示すように、反応剤RSを蓄えることが可能な貯留部21と、貯留部21に蓄えられている反応剤RSを排気ガスEG中に供給可能な供給部22と、を有する。貯留部21は、反応剤RSを蓄えることが可能な反応剤ホッパーである。供給部22は、定量供給機23と、搬送ライン24と、搬送用空気ブロワー25と、空気加熱器26と、を有する。搬送ライン24の一端は、搬送用空気ブロワー25の吐出口に接続され、搬送ライン24の他端は、排気ガスライン2に接続されている。定量供給機23は、貯留部21の下部に設けられている。この定量供給機23は、貯留部21内から反応剤RSを搬送ライン24中に定量供給する。搬送ライン24中で、搬送用空気ブロワー25の吐出口と定量供給機23から反応剤RSが供給される位置との間には、空気加熱器26が設けられている。この空気加熱器26は、搬送用空気ブロワー25からの空気を加熱する。定量供給機23から搬送ライン24に供給された反応剤RSは、空気加熱器26で加熱された空気により、搬送ライン24内を搬送され、排気ガスライン2内に供給される。
【0042】
次に、以上で説明した排気ガス処理設備での処理の流れについて、図5に示すフローチャートに従って説明する。
【0043】
反応剤供給機20は、排気ガスライン2を流れる排気ガスEGに反応剤RSを供給する(S1:反応剤供給工程)。この排気ガスEGは、前述したように、250℃以上で、例えば、300~600℃程度である。この排気ガスEG中には、酸性ガス、灰、重金属等が含まれている。
【0044】
反応剤RSを含む排気ガスEGは、排気ガスライン2を経て、集塵フィルタ装置10の入口側空間12iに流入する。この結果、排気ガスEG中の固形物SSは、集塵フィルタ13に捕集され、排気ガスEG中のガスが処理済み排気ガスEGtとして集塵フィルタ装置10から流出する(S2:捕集工程)。
【0045】
排気ガスEG中の酸性ガス(CO、SO、HClを含む)は、排気ガスライン2、集塵フィルタ装置10の入口側空間12i、及び、集塵フィルタ13に付着した固形物の層を通過する過程で、反応剤RSと反応して反応生成物が生成される。この反応生成物は、集塵フィルタ13の表面に固形物SSの一部として付着する。反応生成物としては、前述したように、二酸化炭素(CO)の反応で生成された炭酸カルシウム(CaCO)、二酸化硫黄(SO)の反応で生成されたカルシウム硫酸物、塩酸(HCl)の反応で生成されたカルシウム塩化物等がある。集塵フィルタ13の表面に付着する固形物SSとしては、以上の反応生成物の他、灰、重金属等がある。
【0046】
処理済み排気ガスEGtは、処理済み排気ガスライン2t及び排熱回収器5を経て、煙突3から外部に排気される。排熱回収器5は、処理済み排気ガスEGtと熱媒体を熱交換させて、熱媒体を加熱する(S3:排熱回収工程)。
【0047】
集塵フィルタ13に付着した固形物SSの層が厚くなり、集塵フィルタ装置10内の入口側空間12iと出口側空間12oとの差圧が大きくなると、若しくは、前回の逆洗から予め定められた時間が経過すると、逆洗工程S4が実行される。この逆洗工程S4では、逆洗装置14の開閉弁14cが開いて、逆洗用高圧ガスタンク14a内の高圧ガスが集塵フィルタ装置10の出口側空間12oの側から集塵フィルタ13に送られる。この高圧ガスにより集塵フィルタ13に付着していた固形物SSが集塵フィルタ13から剥離し、この固形物SSが集塵フィルタ装置10の入口側空間12i内を落下する。入口側空間12i内を落下してきた固形物SSは、排出機15により集塵フィルタ装置10外に排出される(S5:排出工程)。
【0048】
集塵フィルタ装置10から排出された固形物SSは、酸性ガス分離装置30,30aに入って、この酸性ガス分離装置30,30aにより酸性ガス分離工程S6が実行される。この酸性ガス分離工程S6では、加熱工程S7と二酸化炭素分離工程S8とが実行される。
【0049】
図2に示すように、酸性ガス分離装置30が加熱装置31及び予熱器36を有する場合、集塵フィルタ装置10からの固形物SSが加熱装置31のフィーダ35に供給される。加熱工程S7では、まず、予熱器36が、排熱回収器5で加熱された熱媒体とフィーダ35内の固形物SSとを熱交換させて、固形物SSを加熱する(S7a:予熱工程)。この予熱工程S7aでは、排熱回収器5で加熱された熱媒体の熱を利用するので、この予熱工程S7aは、排熱利用工程でもある。さらに、この加熱工程S7では、予熱器36で加熱された固形物SSが、フィーダ35により胴32内に送り込まれ、この胴32内で電気ヒータ33によりさらに加熱される。固形物SSは、この電気ヒータ33により900℃程度にまで加熱される(S7b:生成物加熱工程)。
【0050】
また、図3に示すように、酸性ガス分離装置30aが加熱装置31a、予熱器(排熱利用器)49、及び空気加熱器(排熱利用器)47を有する場合、集塵フィルタ装置10からの固形物SSが加熱装置31aのフィーダ43に供給される。加熱工程S7では、まず、予熱器(排熱利用器)49が、排熱回収器5で加熱された熱媒体とフィーダ43内の固形物SSとを熱交換させて、固形物SSを加熱する。さらに、空気加熱器(排熱利用器)47が、排熱回収器5で加熱された熱媒体とキャリアガスブロワー45からの空気とを熱交換させて、この空気を加熱する(S7a:予熱工程、空気加熱工程)。この予熱工程、空気加熱工程S7aでは、排熱回収器5で加熱された熱媒体の熱を利用するので、この予熱工程、空気加熱工程S7aは、排熱利用工程でもある。予熱器49で加熱された固形物SSは、フィーダ43により、加熱装置31aの加熱空間42hs内に供給される。下段バーナ46dは、空気加熱器47で加熱された空気と燃料Fとをキャリアガス空間42csに噴射する。燃料Fは、このキャリアガス空間42cs内で燃焼する。燃料Fの燃焼で生成された燃焼ガス、及び空気加熱器47で加熱された空気は、高温のキャリアガスとして、キャリアガス空間42csから拡散板44を介して、加熱空間42hs内に流入する。このフィーダ43からの固形物SSは、このキャリアガスにより、加熱空間42hs内で加熱されつつ上方に搬送される。上段バーナ46uは、空気加熱器47で加熱された空気と燃料Fとを加熱空間42hsの上部に噴射する。燃料Fの燃焼で生成された燃焼ガスは、キャリアガスで搬送されてきた固形物SSをさらに加熱する。この結果、固形物SSは、この炉枠42内で900℃程度に加熱される(S7b:生成物加熱工程)。
【0051】
生成物加熱工程S7bで固形物SSが加熱されると、前述したように、反応剤RSとして水酸化カルシウムを用いた場合、この固形物SS中の反応生成物が分解して、加熱済み固形物SSh及び酸性ガスが生成される。具体的に、反応生成物中の炭酸カルシウム(CaCO)は、酸化カルシウム(CaO、生石灰)と二酸化炭素(CO)とに分離する。また、反応生成物中のカルシウム硫化物は、酸化カルシウム(CaO、生石灰)と二酸化硫黄(SO)と酸素(O)とに分離する。また、反応生成物中のカルシウム塩化物は、酸化カルシウム(CaO、生石灰)と塩酸(HCl)とに分離する。加熱済み固形物SShには、以上で説明した酸化カルシウム(CaO、生石灰)の他、灰、重金属が含まれる。酸化カルシウムは、加熱済み固形物SShの主成分である。一方、灰や重金属は、加熱済み固形物SSh中の微量成分である。また、酸性ガスには、二酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO)、塩酸(HCl)が含まれている。すなわち、この酸性ガスには、排気ガスEG中の酸性ガスが含まれている。
【0052】
加熱済み固形物SShは、加熱装置31,31aから再生装置60に送られる。一方、酸性ガスは、加熱装置31,31aから二酸化炭素分離装置51に送られる。二酸化炭素分離装置51に送られた酸性ガスのうち、二酸化硫黄(SO)及び塩酸(HCl)は吸収液に吸収されて回収される。一方、二酸化炭素分離装置51に送られた酸性ガスのうち、二酸化炭素(CO)は、吸収液に吸収されず、外部に排気されて回収される。なお、固形物SSの加熱に、燃料の燃焼で生成された燃焼ガスの熱を利用する場合、前述したように、この燃焼ガスも加熱装置31,31aから二酸化炭素分離装置51に送られる。この二酸化炭素分離装置51では、燃焼ガスに含まれている二酸化炭素も、回収対象として外部に排気される(S8:二酸化炭素分離工程)。
【0053】
以上で、酸性ガス分離工程S6が終了する。
【0054】
前述したように、酸化カルシウムを含む加熱済み固形物SShは、酸性ガス分離装置30,30aの加熱装置31,31aから再生装置60に送られる。再生装置60は、加熱済み固形物SShに水又は水蒸気を供給する。加熱済み固形物SShの主成分である酸化カルシウム(CaO、生石灰)は、前述したように、水又は水蒸気と反応して、水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)になる(S9:再生工程)。
【0055】
水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)は、本実施形態における反応剤RSである。再生装置60からは、反応剤RSである水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)を主成分とする生成物が反応剤供給機20の貯留部21に送られる。反応剤供給機20の供給部22は、排気ガスライン2を流れる排気ガスEG中に、貯留部21に蓄えられた反応剤RSを主成分とする生成物を空気搬送する。すなわち、反応剤供給機20は、前述したように、排気ガスライン2を流れる排気ガスEGに反応剤RSを供給する(S1:反応剤供給工程)。
【0056】
以上のように、本実施形態では、排気ガスEG中の酸性ガス(二酸化炭素を含む)が反応剤RSと反応して反応生成物になる。この反応生成物は、排気ガス中に含まれている灰や重金属等の微粉と共に、固形物SSとして、集塵フィルタ装置10の集塵フィルタ13で捕集される。よって、本実施形態では、排気ガスEG中の微粉と共に、排気ガスEG中の酸性ガス(二酸化炭素を含む)を除去することができる。
【0057】
ところで、排気ガスEG中の二酸化炭素と反応剤RSとの反応効率を高めるためには、反応環境が250℃以上であることが望ましい。本実施形態では、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタ13を用いるため、250℃以上の排気ガスEGを集塵フィルタ装置10に流入させることができる。すなわち、本実施形態では、排気ガスEG中の二酸化炭素と反応剤RSとの反応環境を250℃以上することができる。よって、本態様では、排気ガスEGからの二酸化炭素の除去効率を高めることができる。
【0058】
また、本実施形態では、反応剤RSを排気ガスライン2に供給するので、反応剤RSと排気ガスEG中の酸性ガスとが反応可能な空間は、排気ガスライン2中と集塵フィルタ装置10の入口側空間12iになる。このため、本実施形態では、反応剤RSを集塵フィルタ装置10の入口側空間12iに直接供給する場合よりも、反応可能な空間が広くなり、反応剤RSと排気ガスEG中の酸性ガスとの反応効率を高めることができる。
【0059】
本実施形態では、排気ガスEG中の二酸化炭素と反応剤RSとの反応で生成された反応生成物としての固形物SSを集塵フィルタ装置10から排出し、この反応生成物から反応剤RSとしての水酸化カルシウムを再生することができる。よって、本実施形態では、反応剤RSとしての水酸化カルシウムの消費量を抑えることができる。
【0060】
以上のように、反応剤RSを再生させて繰り返し使用していると、この反応剤は次第に劣化してくる。このため、反応剤RSの再生サイクルから、この再生サイクル中で生成される物質の一部を排出する一方で、新たな物質を再生サイクルに投入する、ことが好ましい。具体的には、図1に示すように、酸性ガス分離装置30(30a)からの加熱済み固形物SShの一部を排出し、酸性ガス分離装置30(30a)へ、炭酸カルシウム(CaCO)を投入する。
【0061】
以上のように、本実施形態では、反応剤RSとして、水酸化物(金属水酸化物、又は塩基性水酸化物)の一種である水酸化カルシウムを用いて、これを再生利用する。しかしながら、再生可能な反応剤RSとしては、例えば、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化バリウム(Ba(OH))等の水酸化物(金属水酸化物、又は塩基性水酸化物)を用いてもよい。
【0062】
反応剤RSとして、水酸化物(金属水酸化物、又は塩基性水酸化物)の一種である水酸化カルシウムを用いた場合、加熱済み固形物SSh中の主成分は、前述したように、塩基性酸化物(塩基性金属酸化物)の一種である酸化カルシウム(CaO、生石灰)である。また、水酸化物(金属水酸化物、又は塩基性水酸化物)の他の一種である水酸化マグネシウム(Mg(OH))や水酸化バリウム(Ba(OH))を用いた場合、加熱済み固形物SSh中の主成分は、塩基性酸化物(塩基性金属酸化物)の他の一種である酸化マグネシウム(MgO)や、酸化バリウム(BaO)になる。
【0063】
反応剤RSとして、以上で説明した水酸化物を用いなくてもよい。この場合、酸性ガスと反応可能な反応剤RSとしては、例えば、以下のような物質がある。
(1)金属重炭酸塩
炭酸水素カルシウム(Ca(HCO)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)、炭酸水素マグネシウム(Mg(HCO)、炭酸水素バリウム(Ba(HCO)、炭酸水素カリウム(KHCO
(2)金属炭酸塩
炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸カリウム(KCO
(3)その他の金属酸化物
酸化カルシウム(CaO)など
【0064】
なお、重炭酸塩や炭酸塩の一部は、酸性ガスの一種である二酸化炭素よりも、酸性ガスの一種である二酸化硫黄や塩酸と反応する。一方、塩基性水酸化物は、二酸化炭素、二酸化硫黄、塩酸と反応可能である。よって、排気ガスEG中の二酸化炭素の除去を主目的とする場合には、水酸化物(金属水酸化物、又は塩基性水酸化物)を反応剤RSとして用いることが多い。
【0065】
「第二実施形態」
以下、本開示に係る排気ガスの処理方法及びこの方法を実行する設備の第二実施形態について、図6図8を用いて説明する。
【0066】
本実施形態における排気ガス処理設備は、図6に示すように、前段集塵フィルタ装置10fと、前段排気ガスライン2fと、後段集塵フィルタ装置10bと、後段排気ガスライン2bと、処理済み排気ガスライン2tと、煙突3と、吸引ブロワー4と、排熱回収器5と、前段反応剤供給機20fと、後段反応剤供給機20bと、酸性ガス分離装置30bと、再生装置60と、を備える。
【0067】
前段集塵フィルタ装置10f及び後段集塵フィルタ装置10bは、第一実施形態における集塵フィルタ装置10と同じ構成である。よって、前段集塵フィルタ装置10f及び後段集塵フィルタ装置10bは、いずれも、ケース11と、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタ13と、逆洗装置14と、排出機15と、を備える。このため、前段集塵フィルタ装置10f及び後段集塵フィルタ装置10bも、第一実施形態における集塵フィルタ装置10と同様、250℃以上でも機能する。
【0068】
前段排気ガスライン2fの一端は、排気ガス発生源1に接続され、前段排気ガスライン2fの他端は、前段集塵フィルタ装置10fの入口11iに接続されている。よって、この前段排気ガスライン2fにより、排気ガス発生源1からの排気ガスEGである前段排気ガスEGfを前段集塵フィルタ装置10f内に導くことができる。
【0069】
後段排気ガスライン2bの一端は、前段集塵フィルタ装置10fの出口11oに接続され、後段排気ガスライン2bの他端は、後段集塵フィルタ装置10bの入口11iに接続されている。よって、この後段排気ガスライン2bにより、前段集塵フィルタ装置10fを通過した排気ガスEGである後段排気ガスEGbを後段集塵フィルタ装置10b内に導くことができる。
【0070】
処理済み排気ガスライン2tの一端は、後段集塵フィルタ装置10bの出口11oに接続され、処理済み排気ガスライン2tの他端は、煙突3に接続されている。よって、この処理済み排気ガスライン2tにより、後段集塵フィルタ装置10bを通過した排気ガスEGである処理済み排気ガスEGtを煙突3に導くことができる。吸引ブロワー4及び排熱回収器5は、この処理済み排気ガスライン2tに設けられている。
【0071】
前段反応剤供給機20f及び後段反応剤供給機20bは、第一実施形態における反応剤供給機20と同じ構成である。このため、図4に示すように、前段反応剤供給機20fは、前段反応剤RSfを蓄えることが可能な貯留部21と、貯留部21に蓄えられている前段反応剤RSfを前段排気ガスEGf中に供給可能な供給部22と、を有する。また、後段反応剤供給機20bは、後段反応剤RSbを蓄えることが可能な貯留部21と、貯留部21に蓄えられている後段反応剤RSbを後段排気ガスEGb中に供給可能な供給部22と、を有する。前段反応剤供給機20fの供給部22及び後段反応剤供給機20bの供給部22は、いずれも、定量供給機23と、搬送ライン24と、搬送用空気ブロワー25と、空気加熱器26と、を有する。前段反応剤供給機20fの搬送ライン24の一端は、前段反応剤供給機20fの搬送用空気ブロワー25の吐出口に接続され、この搬送ライン24の他端は、前段排気ガスライン2fに接続されている。後段反応剤供給機20bの搬送ライン24の一端は、後段反応剤供給機20bの搬送用空気ブロワー25の吐出口に接続され、この搬送ライン24の他端は、後段排気ガスライン2bに接続されている。
【0072】
前段反応剤RSf及び後段反応剤RSbは、いずれも、第一実施形態における反応剤RSと同じ水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)である。このため、例えば、前段反応剤供給機20fの貯留部21と後段反応剤供給機20bの貯留部21とを、前段反応剤供給機20fと後段反応剤供給機20bとで共有してもよい。なお、前段反応剤RSf及び後段反応剤RSbとしては、前述したように、水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)以外の水酸化物(金属水酸化物、又は塩基性水酸化物)を用いてもよい。さらに、前段反応剤供給機20fの定量供給機23、搬送用空気ブロワー25及び空気加熱器26と、後段反応剤供給機20bの定量供給機23と、搬送用空気ブロワー25及び空気加熱器26とを、前段反応剤供給機20fと後段反応剤供給機20bとで共有してもよい。
【0073】
酸性ガス分離装置30bは、第一実施形態における酸性ガス分離装置30,30aの加熱装置31,31aと同じ構成の加熱装置31,31aを有する。但し、この酸性ガス分離装置30bは、第一実施形態における酸性ガス分離装置30,30aの二酸化炭素分離装置51を有していない。この酸性ガス分離装置30bは、後段集塵フィルタ装置10bからの固形物SSから酸性ガスを分離可能である。再生装置60は、第一実施形態における再生装置60と同じ構成である。但し、本実施形態における再生装置60は、この再生装置60で再生された水酸化カルシウムを主成分とする物質を前段反応剤供給機20f及び後段反応剤供給機20bに送ることができる。
【0074】
次に、以上で説明した排気ガス処理設備での処理の流れについて、図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0075】
前段排気ガスEGf中の酸性ガス(CO、SO、HClを含む)は、前段排気ガスライン2f、前段集塵フィルタ装置10fの入口側空間12i、及び、その集塵フィルタ13に付着した固形物の層を通過する過程で、前段反応剤RSfと反応して前段反応生成物が生成される。この前段反応生成物は、集塵フィルタ13の表面に固形物SSfの一部として付着する。前段反応生成物としては、二酸化炭素(CO)の反応で生成された炭酸カルシウム(CaCO)、二酸化硫黄(SO)の反応で生成されたカルシウム硫化物、塩酸(HCl)の反応で生成されたカルシウム塩化物がある。集塵フィルタ13の表面に付着する固形物SSfとしては、以上の反応生成物の他、灰、重金属等がある。
【0076】
前段反応剤供給機20fは、前段排気ガスライン2fを流れる前段排気ガスEGfに前段反応剤RSfを供給する(S11:前段反応剤供給工程)。
【0077】
前段反応剤RSfを含む前段排気ガスEGfは、前段排気ガスライン2fを経て、前段集塵フィルタ装置10fの入口側空間12iに流入する。この結果、前段排気ガスEGf中の固形物SSfは、集塵フィルタ13に捕集され、前段排気ガスEGf中のガスが後段排気ガスEGbとして前段集塵フィルタ装置10fから流出する(S12:前段捕集工程)。
【0078】
ところで、図8に示すように、例えば、400℃の環境下では、水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)に対する排気ガス中の二硫化硫黄(SO)や塩酸(HCl)の反応速度は、水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)に対する排気ガス中の二酸化炭素(CO)の反応速度より遥かに速い。このため、前段排気ガスEGf中の酸性ガスのうち、二硫化硫黄(SO)や塩酸(HCl)のほとんどは、前段反応剤RSfと反応する。一方、前段排気ガスEGf中の酸性ガスのうち、二酸化炭素(CO)の一部は、前段反応剤RSfと反応するものの、残りは前段反応剤RSfと反応せずに、後段排気ガスEGbの一部として前段集塵フィルタ装置10fから排気される。よって、この後段排気ガスEGb中には、二酸化炭素(CO)が含まれるものの、二硫化硫黄(SO)や塩酸(HCl)はほとんど含まれない。また、前段排気ガスEGf中に含まれている灰や重金属は、前段集塵フィルタ装置10fで捕集されるため、後段排気ガスEGb中には、灰や重金属もほとんど含まれない。
【0079】
前段集塵フィルタ装置10fの集塵フィルタ13に付着した固形物SSfの層が厚くなり、前段集塵フィルタ装置10f内の入口側空間12iと出口側空間12oとの差圧が大きくなると、若しくは、前回の逆洗から予め定められた時間が経過すると、前段逆洗工程S14が実行される。この前段逆洗工程S14の実行により、前段集塵フィルタ装置10fの集塵フィルタ13に付着していた固形物SSfが集塵フィルタ13から剥離し、この固形物SSfが前段集塵フィルタ装置10fの入口側空間12i内を落下する。入口側空間12i内を落下してきた固形物SSfは、排出機15により前段集塵フィルタ装置10f外に排出されて、回収される(S15:前段排出工程)。
【0080】
前段集塵フィルタ装置10fから排出された固形物SSfには、前述したように、炭酸カルシウム(CaCO)、カルシウム硫化物、カルシウム塩化物の他、灰、重金属等が含まれている。
【0081】
後段反応剤供給機20bは、後段排気ガスライン2bを流れる後段排気ガスEGbに後段反応剤RSbを供給する(S21:後段反応剤供給工程)。
【0082】
後段反応剤RSbを含む後段排気ガスEGbは、後段排気ガスライン2bを経て、後段集塵フィルタ装置10bの入口側空間12iに流入する。この結果、後段排気ガスEGb中の固形物SSbは、集塵フィルタ13に捕集され、後段排気ガスEGb中のガスが処理済み排気ガスEGtとして後段集塵フィルタ装置10bから流出する(S22:後段捕集工程)。
【0083】
後段排気ガスEGb中の二酸化炭素(CO)は、後段排気ガスライン2b、後段集塵フィルタ装置10bの入口側空間12i、及び、集塵フィルタ13に付着した固形物の層を通過する過程で、後段反応剤RSbと反応して反応生成物が生成される。この反応生成物は、集塵フィルタ13の表面に固形物SSbの一部として付着する。反応生成物としては、二酸化炭素(CO)の反応で生成された炭酸カルシウム(CaCO)がある。後段排気ガスEGb中には、前述したように、二硫化硫黄(SO)や塩酸(HCl)がほとんど含まれていない。このため、後段反応剤RSbと二酸化炭素(CO)との反応効率を高めることができる。さらに、この反応生成物中には、二酸化硫黄(SO)の反応で生成されるカルシウム硫酸物や、塩酸(HCl)の反応で生成されるカルシウム塩化物はほとんど含まれていない。
【0084】
処理済み排気ガスEGtは、処理済み排気ガスライン2t及び排熱回収器5を経て、煙突3から外部に排気される。排熱回収器5は、処理済み排気ガスEGtと熱媒体を熱交換させて、熱媒体を加熱する(S23:排熱回収工程)。
【0085】
後段集塵フィルタ装置10bの集塵フィルタ13に付着した固形物SSbの層が厚くなり、前段集塵フィルタ装置10f内の入口側空間12iと出口側空間12oとの差圧が大きくなると、若しくは、前回の逆洗から予め定められた時間が経過すると、後段逆洗工程S24が実行される。この後段逆洗工程S24の実行により、後段集塵フィルタ装置10bの集塵フィルタ13に付着していた固形物SSbが集塵フィルタ13から剥離し、この固形物SSbが後段集塵フィルタ装置10bの入口側空間12i内を落下する。入口側空間12i内を落下してきた固形物SSbは、排出機15により後段集塵フィルタ装置10b外に排出されて、回収される(S25:後段排出工程)。
【0086】
後段集塵フィルタ装置10bから排出された固形物SSbは、酸性ガス分離装置30bに入って、この酸性ガス分離装置30bにより酸性ガス分離工程S26が実行される。この酸性ガス分離工程S26では、第一実施形態における酸性ガス分離工程S6の加熱工程S7と同様に、予熱工程、空気加熱工程(排熱利用工程)S27a、及び生成物加熱工程S27bを実行する。しかしながら、この酸性ガス分離工程S26では、第一実施形態における酸性ガス分離工程S6の二酸化炭素分離工程S8を実行しなくてもよい。第一実施形態では、生成物加熱工程S7bの実行で生成される酸性ガス中には、二酸化炭素(CO)、二酸化硫黄(SO)、及び塩酸(HCl)が含まれる。このため、第一実施形態では、この酸性ガス中から二酸化炭素(CO)を分離するために、二酸化炭素分離工程S8を実行する。
【0087】
本実施形態における酸性ガス分離工程S26の生成物加熱工程S27bで、固形物SSbが加熱されると、この固形物SSb中の反応生成物が分解して、加熱済み固形物SSh及び酸性ガスが生成される。後段集塵フィルタ装置10bから排出された固形物SSbには、前述したように、炭酸カルシウム(CaCO)が含まれるものの、カルシウム硫化物、カルシウム塩化物、灰、重金属等はほとんど含まれていない。このため、本実施形態での加熱済み固形物SShは、炭酸カルシウム(CaCO)の加熱分解で生成された酸化カルシウム(CaO)が主成分となり、その他の成分は微量である。さらに、本実施形態において、後段集塵フィルタ装置10bから排出された固形物SSb中の反応生成物である炭酸カルシウム(CaCO)の加熱分解で酸化カルシウム(CaO、生石灰)と二酸化炭素(CO)とが生成されるものの、カルシウム硫化物やカルシウム塩化物の加熱分解による二酸化硫黄(SO)や塩酸(HCl)はほんど生成されない。よって、本実施形態では、第一実施形態における二酸化炭素分離工程S8を実行しなくてもよい。言い換えると、必要に応じて二酸化炭素分離工程S8を実行すればよい。
【0088】
酸化カルシウム(CaO)を主成分とする加熱済み固形物SShは、酸性ガス分離装置30bから再生装置60に送られる。再生装置60は、加熱済み固形物SShに水又は水蒸気を供給する。加熱済み固形物SShの主成分である酸化カルシウム(CaO、生石灰)は、前述したように、水又は水蒸気と反応して、水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)になる(S28:再生工程)。
【0089】
水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)は、本実施形態における前段反応剤RSf及び後段反応剤RSbである。再生装置60からは、反応剤である水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)を主成分とする生成物が前段反応剤供給機20fの貯留部21及び後段反応剤供給機20bの貯留部21に送られる。前段反応剤供給機20fの供給部22は、前段排気ガスライン2fを流れる前段排気ガスEGf中に、貯留部21に蓄えられた反応剤RSを主成分とする生成物を空気搬送する。すなわち、前段反応剤供給機20fは、前段排気ガスライン2fを流れる前段排気ガスEGfに前段反応剤RSfを供給する(S11:前段反応剤供給工程)。後段反応剤供給機20bの供給部22は、後段排気ガスライン2bを流れる後段排気ガスEGb中に、貯留部21に蓄えられた反応剤RSを主成分とする生成物を空気搬送する。すなわち、後段反応剤供給機20bは、後段排気ガスライン2bを流れる後段排気ガスEGbに後段反応剤RSbを供給する(S21:後段反応剤供給工程)。
【0090】
以上のように、本実施形態でも、第一実施形態と同様、排気ガス中に反応剤を供給し、排気ガス中の固形物を集塵フィルタ装置10f,10bで捕集するので、排気ガス中の微粉と共に、排気ガス中の酸性ガス(二酸化炭素を含む)を除去することができる。
【0091】
また、本実施形態でも、第一実施形態と同様、反応剤との反応で生成された反応生成物から反応剤を再生するので、反応剤の消費量を抑えることができる。しかも、本実施形態では、反応生成物を含み重金属等をほとんど含まない固形物SSbから、反応剤を再生させるので、排気ガスEG中に、重金属等を含まない純度の高い反応剤を供給することができる。さらに、本実施形態では、複雑な分離工程を実行することなく、純度の高い二酸化炭素を回収することができる。
【0092】
本実施形態における排気ガス処理設備は、以上のように、排気ガス中に、重金属等を含まない純度の高い反応剤を供給するため、2基の集塵フィルタ装置10f,10bを備える。しかしながら、2基それぞれに別の役割を担わせているため、1基の集塵フィルタ装置10f,10bのサイズを第一実施形態における集塵フィルタ装置10のサイズより小さくすることができる。なお、本実施形態における前段集塵フィルタ装置10fの主たる役割は、カルシウム硫酸物、カルシウム塩化物、灰、重金属等を捕集することである。また、本実施形態における後段集塵フィルタ装置10bの主たる役割は、炭酸カルシウム(CaCO)を捕集することである。また、本実施形態における酸性ガス分離工程S26では、第一実施形態における酸性ガス分離工程S6の二酸化炭素分離工程S8を省くことができる。このため、本実施形態の酸性ガス分離装置30bは、第一実施形態における酸性ガス分離装置30,30aの二酸化炭素分離装置51を省くことができる。よって、本実施形態では、2基の集塵フィルタ装置10を備えるものの、設備コストの増加を抑えることができる。
【0093】
「第三実施形態」
次に、本開示に係る排気ガスの処理方法及びこの方法を実行する設備の第三実施形態について、図9及び図10を用いて説明する。
【0094】
本実施形態における排気ガス処理設備は、図9に示すように、第二実施形態における排気ガス処理設備と同様、前段集塵フィルタ装置10fと、前段排気ガスライン2fと、後段集塵フィルタ装置10bと、後段排気ガスライン2bと、処理済み排気ガスライン2tと、煙突3と、吸引ブロワー4と、排熱回収器5と、前段反応剤供給機20faと、後段反応剤供給機20bと、酸性ガス分離装置30bと、再生装置60と、を備える。
【0095】
第二実施形態における前段反応剤供給機20fは、再生装置60からの水酸化カルシウム(Ca(OH)、消石灰)を前段反応剤RSfとして前段排気ガスライン2fに供給する。しかしながら、本実施形態における前段反応剤供給機20faは、金属炭酸塩を前段排気ガスライン2fに供給する。本実施形態における排気ガス処理設備は、係る点のみが第二実施形態における排気ガス処理設備と異なる。
【0096】
本実施形態における前段反応剤供給機20faは、第二実施形態における前段反応剤供給機20fと基本的に同じ構成である。このため、図4に示すように、前段反応剤供給機20faは、前段反応剤RSfを蓄えることが可能な貯留部21と、貯留部21に蓄えられている前段反応剤RSfを前段排気ガスEGf中に供給可能な供給部22と、を有する。但し、本実施形態における前段反応剤供給機20faの貯留部21は、前段反応剤RSfとして前述の金属炭酸塩を蓄える。このため、本実施形態における前段反応剤供給機20faの供給部22は、前段反応剤RSfとしての金属炭酸塩を前段排気ガスEGf中に供給する。なお、図4では、再生装置60から前段反応剤供給機20faが反応剤を受け入れるように描かれているが、この前段反応剤供給機20faは再生装置60から反応剤を受け入れない。
【0097】
本実施形態で用いる金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、炭酸バリウム(BaCO)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸水素カルシウム(Ca(HCO)、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム、重曹)(NaHCO)、炭酸水素マグネシウム(Mg(HCO)、炭酸水素バリウム(Ba(HCO)、炭酸水素カリウム(KHCO)等がある。
【0098】
次に、以上で説明した排気ガス処理設備での処理の流れについて、図10に示すフローチャートに従って説明する。
【0099】
前段反応剤供給機20faは、前段排気ガスライン2fを流れる前段排気ガスEGfに前段反応剤RSfを供給する(S11a:前段反応剤供給工程)。
【0100】
前段反応剤RSfを含む前段排気ガスEGfは、前段排気ガスライン2fを経て、前段集塵フィルタ装置10fの入口側空間12iに流入する。この結果、前段排気ガスEGf中の固形物SSfは、集塵フィルタ13に捕集され、前段排気ガスEGf中のガスが後段排気ガスEGbとして前段集塵フィルタ装置10fから流出する(S12:前段捕集工程)。
【0101】
前段排気ガスEGf中の酸性ガス(CO、SO、HClを含む)は、前段排気ガスライン2f、前段集塵フィルタ装置10fの入口側空間12i、及び、集塵フィルタ13に付着した固形物の層を通過する過程で、前段反応剤RSfと反応して前段反応生成物が生成される。この前段反応生成物は、集塵フィルタ13の表面に固形物SSfの一部として付着する。仮に、前段反応剤RSfとして金属炭酸塩の一種である炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム、重曹)(NaHCO)を用いたとする。この場合、前段反応生成物としては、以下に示すように、前段反応剤RSf(NaHCO)と二酸化硫黄(SO)との反応で生成された硫酸ナトリウム(NaSO)等のナトリウム硫化物及び二酸化炭素(CO)と、前段反応剤RSf(NaHCO)と塩酸(HCl)との反応で生成された塩化ナトリウム(NaCl)等のナトリウム塩化物及び二酸化炭素(CO)と、がある。なお、この反応で生成された二酸化炭素は、後述するように、後段集塵フィルタ装置10bで、炭酸塩として回収される。
【0102】
前段集塵フィルタ装置10fの集塵フィルタ13の表面に付着する固形物SSfとしては、以上で説明した前段反応生成物のうちのナトリウム硫化物及びナトリウム塩化物の他、灰、重金属等がある。また、以上で説明した前段生成物のうち、気体である二酸化炭素(CO)は、前段集塵フィルタ装置10fの集塵フィルタ13を通過して、前段集塵フィルタ装置10fから後段排気ガスライン2bへ流出する。
【0103】
以下、第二実施形態と同様に、前段逆洗工程S14、前段排出工程S15が実行される。
【0104】
後段反応剤供給機20bは、第二実施形態と同様、後段排気ガスライン2bを流れる後段排気ガスEGbに後段反応剤RSbを供給する(S21:反応剤供給工程)。
【0105】
後段反応剤RSbを含む後段排気ガスEGbは、後段排気ガスライン2bを経て、後段集塵フィルタ装置10bの入口側空間12iに流入する。この結果、後段排気ガスEGb中の固形物SSbは、集塵フィルタ13に捕集され、後段排気ガスEGb中のガスが処理済み排気ガスEGtとして後段集塵フィルタ装置10bから流出する(S22:後段捕集工程)。
【0106】
後段排気ガスEGb中の二酸化炭素(CO)は、後段排気ガスライン2b、後段集塵フィルタ装置10bの入口側空間12i、及び、集塵フィルタ13に付着した固形物の層を通過する過程で、後段反応剤RSbと反応して反応生成物が生成される。この反応生成物は、集塵フィルタ13の表面に固形物SSbの一部として付着する。反応生成物としては、二酸化炭素(CO)の反応で生成された炭酸カルシウム(CaCO)がある。後段排気ガスEGb中には、前述したように、二硫化硫黄(SO)や塩酸(HCl)がほとんど含まれていない。このため、後段反応剤RSbと二酸化炭素(CO)との反応効率を高めることができる。さらに、この反応生成物中には、二酸化硫黄(SO)の反応で生成されるカルシウム硫酸物や、塩酸(HCl)の反応で生成されるカルシウム塩化物はほとんど含まれていない。
【0107】
以下、第二実施形態と同様に、排熱回収工程S23、後段逆洗工程S24、後段排出工程S25、酸性ガス分離工程S26、再生工程S28が実行される。なお、本実施形態の再生工程S28で再生された反応剤は、後段反応剤RSbとして、後段反応剤供給機20bのみに供給される。
【0108】
以上のように、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、排気ガス中に反応剤を供給し、排気ガス中の固形物を集塵フィルタ装置10f,10bで捕集するので、排気ガスEG中の微粉と共に、排気ガスEG中の酸性ガス(二酸化炭素を含む)を除去することができる。
【0109】
また、本実施形態でも、以上の各実施形態と同様、反応剤との反応で生成された反応生成物から反応剤を再生するので、反応剤の消費量を抑えることができる。しかも、本実施形態では、第二実施形態と同様、反応生成物を含み重金属等をほとんど含まない固形物SSbから、反応剤を再生させるので、排気ガスEG中に、重金属等を含まない純度の高い反応剤を供給することができる。さらに、本実施形態では、複雑な分離工程を実行することなく、純度の高い二酸化炭素を回収することができる。
【0110】
本実施形態における排気ガス処理設備も、第二実施形態と同様、2基の集塵フィルタ装置10を備えるものの、設備コストの増加を抑えることができる。
【0111】
「第四実施形態」
次に、本開示に係る排気ガスEGの処理方法及びこの方法を実行する設備の第四実施形態について、図11及び図12を用いて説明する。
【0112】
本実施形態における排気ガス処理設備は、図11に示すように、第二実施形態における排気ガス処理設備に、NOx還元剤供給機70を追加した設備である。
【0113】
NOx還元剤供給機70は、前段排気ガスライン2f中にNOx還元剤を供給することができる。
【0114】
前段集塵フィルタ装置10fの集塵フィルタ13には、還元触媒17が担持されている。この還元触媒17は、担体と、活性成分とを有する。担体は、例えば、チタン、シリコン、アルミニウム、ジルコニウム、セリウムから選ばれる少なくとも一種以上の元素を含む単一酸化物又は複合酸化物である。また、活性成分は、例えば、バナジウム、タングステン、モリブデン、バリウム、カリウム、白金、銅、銀、ロジウム、パラジウムから選ばれる少なくとも一種以上の元素を含む単一酸化物、複合酸化物、又は合金である。
【0115】
次に、以上で説明した排気ガス処理設備での処理の流れについて、図12に示すフローチャートに従って説明する。
【0116】
前段反応剤供給機20fは、前段排気ガスライン2fを流れる前段排気ガスEGfに前段反応剤RSfを供給する(S11:前段反応剤供給工程)。さらに、NOx還元剤供給機70は、前段排気ガスライン2fを流れる前段排気ガスEGfにNOx還元剤を供給する(S31:NOx還元剤供給工程)。NOx還元剤としては、例えば、アンモニア、ハイドロカーボン、一酸化炭素、水素のうち、少なくとも一種以上を含む物質である。
【0117】
前段反応剤RSf及びNOx還元剤を含む前段排気ガスEGfは、前段排気ガスライン2fを経て、前段集塵フィルタ装置10fの入口側空間12iに流入する。この結果、前段排気ガスEGf中の固形物SSfは、集塵フィルタ13に捕集され、前段排気ガスEGf中のガスが後段排気ガスEGbとして前段集塵フィルタ装置10fから流出する(S12:前段捕集工程)。
【0118】
ここで、前段排気ガスEGf中の一酸化窒素は、NOx還元剤としてアンモニアを用いた場合、以下に示すように、還元触媒17が存在する環境下で、前段排気ガスEGf中のNOx還元剤であるアンモニアと反応して、窒素(N)と水(HO)になる。
4NO+4NH+O→4N+6H
【0119】
以下、第二実施形態と同様に、前段逆洗工程S14、前段排出工程S15、後段反応剤供給工程S21、後段捕集工程S2、排熱回収工程S23、後段逆洗工程S24、後段排出工程S25、酸性ガス分離工程S26、再生工程S28が実行される。
【0120】
本実施形態の排気ガス処理設備は、第二実施形態の排気ガス処理設備の構成の全てを備えているので、第二実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0121】
さらに、本実施形態では、前段排気ガスEGf中の一酸化窒素を除去することができる。
【0122】
以上のように、本実施形態では、前段排気ガスライン2f内の前段排気ガスEGfにNOx還元剤を供給する。しかしながら、前段排気ガスライン2f内の前段排気ガスEGfと後段排気ガスライン2b内の後段排気ガスEGbとのうち、すくなくとも一方にNOx還元剤を供給すれば、排気ガスEG中から一酸化窒素を除去することができる。よって、NOx還元剤供給機70は、後段排気ガスライン2bを流れる後段排気ガスEGbにNOx還元剤を供給してもよい(S31a:NOx還元剤供給工程)。なお、後段排気ガスライン2b内の後段排気ガスEGbにNOx還元剤を供給する場合、後段集塵フィルタ装置10bの集塵フィルタ13に還元触媒17を担持しておく必要がある。
【0123】
本実施形態は、前述したように、第二実施形態における排気ガス処理設備にNOx還元剤供給機70を追加した設備である。しかしながら、第一実施形態及び第三実施形態における排気ガス処理設備にNOx還元剤供給機70を追加してもよい。
【0124】
また、以上の実施形態では、排熱利用器として、予熱器36,49及び空気加熱器47を例示したが、他の機器等が排熱利用器であってもよい。例えば、図4に示す加熱器63や空気加熱器26が熱媒体として排熱回収器5で加熱された熱媒体を用いる排熱利用器であってもよい。すなわち、反応剤供給機20,20f,20fa,20bと酸性ガス分離装置30,30a,30bと再生装置60とのうち、いずれかの装置が排熱利用器を有していてもよい。言い換えると、反応剤供給工程、加熱工程、再生工程のうち、いずれかの工程は、排熱利用工程を含んでもよい。
【0125】
また、以上の実施形態における排熱回収器5は、処理済み排気ガスライン2tを流れる処理済み排気ガスEGtと熱媒体とを熱交換させて、熱媒体を加熱する熱交換器である。しかしながら、図13に示すように、排熱回収器5g,5sは、酸性ガス分離装置30の加熱装置31で生成されたガスと熱媒体とを熱交換させて、熱媒体を加熱可能な熱交換器であってもよい。また、図14に示すように、排熱回収器5ga,5saは、酸性ガス分離装置30aの加熱装置31aで生成された加熱済み固形物と熱媒体とを熱交換させて、熱媒体を加熱可能な熱交換器でもよい。具体的に、これらの排熱回収器5g,5ga,5s,5saは、加熱装置31,31aにおけるガス排気口周り又は固形物排出口周りに設けられる。この場合、図15のフローチャートに示すように、排熱回収器5g,5ga,5s,5saは、生成物加熱工程S7bで生成された加熱済み固形物又はガスと熱媒体とを熱交換させて、熱媒体を加熱する(排熱回収工程S5a)。これら排熱回収器5g,5ga,5s,5saで回収された熱媒体を用いる排熱利用器は、前述と同様、反応剤供給機20,20f,20fa,20bと酸性ガス分離装置30,30a,30bと再生装置60とのうち、いずれかの装置が排熱利用器を有していてもよい。言い換えると、反応剤供給工程、加熱工程、再生工程のうち、いずれかの工程は、排熱利用工程を含んでもよい。
【0126】
また、図16に示すように、排熱回収器5bは、再生装置60で塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給した際に生じる反応熱の一部を熱媒体に吸収させて、熱媒体を加熱可能な熱交換器であてもよい。具体的に、この排熱回収器5bは、再生装置60における反応容器61の周り又は反応容器61の内部に設けられる。この場合、図17のフローチャートに示すように、排熱回収器5bは、再生工程S9で塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給した際に生じる反応熱の一部を熱媒体に吸収させて、熱媒体を加熱する(排熱回収工程S5b)。この排熱回収器で回収された熱媒体を用いる排熱利用器は、前述と同様、反応剤供給機20,20f,20fa,20bと酸性ガス分離装置30,30a,30bと再生装置60とのうち、いずれかの装置が排熱利用器を有していてもよい。言い換えると、反応剤供給工程、加熱工程、再生工程のうち、いずれかの工程は、排熱利用工程を含んでもよい。
【0127】
なお、以上で説明した排熱利用器は、排気ガス処理設備を構成する装置のうちのいずれかの装置である。しかしながら、排熱利用器は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、排熱回収器で加熱された熱媒体の熱を利用してもよい。言い換えると、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、排熱回収工程で加熱された熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を実行してもよい。例えば、排気ガス処理設備を管理する管理棟の温水供給設備や発電設備で、排熱回収器で加熱された熱媒体の熱を利用してもよい。
【0128】
以上で説明した第二実施形態から第四実施形態における排気ガス処理設備は、一つの後段集塵フィルタ装置10bを備える。しかしながら、供給する反応剤と排気ガス中の二酸化炭素等とをより効率的に反応させるために、複数の後段集塵フィルタ装置10bを備えてもよい。この場合、各後段集塵フィルタ装置10bに流入する排気ガスに反応剤を供給する。
【0129】
以上、本開示の実施形態について詳述したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲において、種々の追加、変更、置き換え、部分的削除等が可能である。
【0130】
「付記」
以上の実施形態における排気ガス処理設備は、例えば、以下のように把握される。
【0131】
(1)第一態様における排気ガス処理設備は、
集塵フィルタ装置10,10bと、二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む排気ガスEG,EGbを前記集塵フィルタ装置10,10bに導入可能な排気ガスライン2,2bと、二酸化炭素と反応可能な反応剤RS,RSbを前記排気ガスEG,EGb中に供給可能な反応剤供給機20,20bと、を備える。前記集塵フィルタ装置10,10bは、ガスが流入する入口11iとガスが流出する出口11oとが形成されているケース11と、前記ケース11内を前記入口11iの側の入口側空間12iと前記出口11oの側の出口側空間12oとに仕切り、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタ13と、を備える。前記排気ガスライン2,2bは、前記集塵フィルタ装置10,10bの前記入口11iに接続されている。前記反応剤供給機20,20bは、前記排気ガスライン2,2b中又は前記入口側空間12iに前記反応剤RS,RSbを供給可能である。
【0132】
排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素は、反応剤RS,RSbと反応して反応生成物になる。この反応生成物は、排気ガス中に含まれている灰や重金属等の微粉と共に、固形物SS,SSbとして、集塵フィルタ装置10,10bの集塵フィルタ13で捕集される。よって、本態様では、排気ガスEG,EGb中の微粉と共に、排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素を除去することができる。
【0133】
ところで、排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素と反応剤RS,RSbとの反応効率を高めるためには、反応環境が250℃以上であることが望ましい。本態様では、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタ13を用いるため、250℃以上の排気ガスEG,EGbを集塵フィルタ装置10,10bに流入させることができる。すなわち、本態様では、排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素と反応剤RS,RSbとの反応環境を250℃以上にすることができる。よって、本態様では、排気ガスEG,EGbからの二酸化炭素の除去効率を高めることができる。
【0134】
(2)第二態様における排気ガス処理設備は、
前記第一態様における排気ガス処理設備において、前記反応剤供給機20,20bは、前記排気ガスライン2,2bに接続され、前記排気ガスライン2,2b中に前記反応剤RS,RSbを供給可能である。
【0135】
反応剤RS,RSbを排気ガスライン2,2bに供給すると、反応剤RS,RSbと排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素とが反応可能な空間は、排気ガスライン2,2b中と集塵フィルタ装置10,10bの入口側空間12iになる。このため、本態様では、反応剤RS,RSbを集塵フィルタ装置10,10bの入口側空間12iに直接供給する場合よりも、反応可能な空間が広くなり、反応剤RS,RSbと排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素との反応効率を高めることができる。
【0136】
(3)第三態様における排気ガス処理設備は、
前記第一態様又は前記第二態様における排気ガス処理設備において、前記集塵フィルタ装置10bとしての後段集塵フィルタ装置10bの他に、前段集塵フィルタ装置10fと、前記排気ガスライン2bとしての後段排気ガスライン2bの他に、二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む前段排気ガスEGfを前記前段集塵フィルタ装置10fに導入可能な前段排気ガスライン2fと、前記反応剤供給機20bとしての後段反応剤供給機20bの他に、前記酸性ガスと反応可能な前段反応剤RSfを前記前段排気ガスEGf中に供給可能な前段反応剤供給機20fと、を備える。前記前段集塵フィルタ装置10fは、ガスが流入する入口11iとガスが流出する出口11oとが形成されているケース11と、前記前段集塵フィルタ装置10fの前記ケース11内を前記前段集塵フィルタ装置10fの前記入口11iの側の入口側空間12iと前記前段集塵フィルタ装置10fの前記出口11oの側の出口側空間12oとに仕切り、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタ13と、を備える。前記前段排気ガスライン2fは、前記前段集塵フィルタ装置10fの前記入口11iに接続されている。前記後段排気ガスライン2bは、前記前段集塵フィルタ装置10fの前記出口11oに接続されていると共に前記後段集塵フィルタ装置10bの前記入口11iに接続され、前記排気ガスEGbとしての後段排気ガスEGbを前記後段集塵フィルタ装置10bに導入可能である。前記前段反応剤供給機20fは、前記前段排気ガスライン2f及び/又は前記前段集塵フィルタ装置10fの前記入口側空間12iに前記前段反応剤RSfを供給可能である。
【0137】
本態様の前段集塵フィルタ装置10fでは、前段排気ガスEGf中の酸性ガスと前段反応剤RSfとの反応生成物の他、灰や重金属を捕集することができる。また、本態様の後段集塵フィルタ装置10bでは、専ら、前段排気ガスEGf中の酸性ガスのうちで前段反応剤RSfと反応しなかった酸性ガスと後段反応剤RSbとの反応生成物を捕集することができる。
【0138】
(4)第四態様における排気ガス処理設備は、
前記第三態様における排気ガス処理設備において、前記前段反応剤供給機20fは、前記前段反応剤RSfとしての金属炭酸塩、叉は金属重炭酸塩を蓄えることが可能な貯留部21と、前記貯留部21に蓄えられている前記金属炭酸塩、又は金属重炭酸塩を前記前段排気ガスライン2f又は前記前段集塵フィルタ装置10fの前記入口側空間12iに供給可能な供給部22と、を有する。
【0139】
本態様では、前段排気ガスEGf中の酸性ガスとして、二酸化硫黄や塩酸が含まれている場合、これらを効率的に反応生成物という形で、前段集塵フィルタ装置10fで捕集することができる。また、本態様では、後段排気ガスEGb中には、二酸化硫黄や塩酸がほとんど含まれなくなるため、後段排気ガスEGb中の二酸化炭素と後段反応剤RSbとの反応効率を高めることができる。
【0140】
(5)第五態様における排気ガス処理設備は、
前記第三態様又は前記第四態様における排気ガス処理設備において、さらに、前記前段排気ガスライン2f中に、NOx還元剤を供給可能なNOx還元剤供給機70を備える。前記前段集塵フィルタ装置10fの前記集塵フィルタ13には、還元触媒17が付着している。
【0141】
本態様では、前段排気ガスEGf中に一酸化窒素が含まれている場合、これを窒素と水に分解することができる。
【0142】
(6)第六態様における排気ガス処理設備は、
前記第三態様から前記第五態様のうちのいずれか一態様における排気ガス処理設備において、さらに、前記後段排気ガスライン2b中に、NOx還元剤を供給可能なNOx還元剤供給機70を備える。前記後段集塵フィルタ装置10bの前記集塵フィルタ13には、還元触媒17が付着している。
【0143】
本態様では、後段排気ガスEGb中に一酸化窒素が含まれている場合、これを窒素と水に分解することができる。
【0144】
(7)第七態様における排気ガス処理設備は、
前記第一態様から前記第四態様のうちのいずれか一態様における排気ガス処理設備において、さらに、前記排気ガスライン2b中に、NOx還元剤を供給可能なNOx還元剤供給機70を備える。前記集塵フィルタ装置10bの前記集塵フィルタ13には、還元触媒17が付着している。
【0145】
本態様では、排気ガスEG中に一酸化窒素が含まれている場合、これを窒素と水に分解することができる。
【0146】
(8)第八態様における排気ガス処理設備は、
前記第一態様から前記第七態様のうちのいずれか一態様における排気ガス処理設備において、前記反応剤供給機20,20bは、前記反応剤RS,RSbとして、水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又は金属酸化物を蓄えることが可能な貯留部21と、前記反応剤供給機20,20bの前記貯留部21に蓄えられている水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又は金属酸化物を前記排気ガスEG,EGb中に供給可能な供給部22と、を有する。
【0147】
(9)第九態様における排気ガス処理設備は、
前記第一態様から前記第八態様のうちのいずれか一態様における排気ガス処理設備において、前記集塵フィルタ装置10,10bは、前記出口側空間12oが前記入口側空間12iよりも高圧になるよう、前記出口側空間12oに高圧ガスを送って、前記集塵フィルタ13で捕集された固形物SS,SSbを前記集塵フィルタ13から離脱させることができる逆洗装置14と、前記集塵フィルタ13から離脱した前記入口側空間12i内の固形物SS,SSbを外部に排出可能な排出機15と、を有する。
【0148】
本態様では、集塵フィルタ装置10,10bの集塵フィルタ13で捕集した固形物SS,SSbを集塵フィルタ装置10,10b外に排出することができる。
【0149】
(10)第十態様における排気ガス処理設備は、
前記第一態様から前記第七態様のうちのいずれか一態様における排気ガス処理設備において、前記反応剤供給機20,20bは、前記反応剤RS,RSbとして水酸化物を蓄えることが可能な貯留部21と、前記反応剤供給機20,20bの前記貯留部21に蓄えられている前記水酸化物を前記排気ガスEG,EGb中に供給可能な供給部22と、を有する。前記集塵フィルタ装置10,10bは、前記出口側空間12oが前記入口側空間12iよりも高圧になるよう、前記出口側空間12oに高圧ガスを送って、前記集塵フィルタ13で捕集された固形物SS,SSbを前記集塵フィルタ13から離脱させることができる逆洗装置14と、前記集塵フィルタ13から離脱した前記入口側空間12i内の固形物SS,SSbを外部に排出可能な排出機15と、を有する。さらに、前記排気ガスEG,EGb中に含まれている前記酸性ガスと前記反応剤RS,RSbとしての前記水酸化物との反応生成物から、酸性ガスを分離して塩基性酸化物を生成可能な酸性ガス分離装置30,30a,30bと、前記酸性ガス分離装置30,30a,30bからの前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給して、水酸化物を生成可能な再生装置60と、を備える。前記酸性ガス分離装置30,30a,30bは、前記排出機15からの前記固形物SS,SSbに含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物を生成可能である。前記反応剤供給機20,20bは、前記再生装置60で生成された前記水酸化物を前記排気ガスEG,EGb中に供給可能である。
【0150】
本態様では、排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素と反応剤RS,RSbとの反応で生成された反応生成物としての固形物SS,SSbを集塵フィルタ装置10,10bから排出することができる。さらに、本態様では、酸性ガス分離装置30,30a,30b及び再生装置60を備えているので、集塵フィルタ装置10,10bから排出された反応生成物から反応剤RS,RSbとしての水酸化物を再生することができる。本態様の反応剤供給機20,20bは、再生装置60からの水酸化物を排気ガスEG,EGb中に供給することができる。よって、本態様では、反応剤RS,RSbとしての水酸化物の消費量を抑えることができる。
【0151】
(11)第十一態様における排気ガス処理設備は、
前記第三態様における排気ガス処理設備において、前記後段反応剤供給機20bは、前記反応剤RSbとして水酸化物を蓄えることが可能な貯留部21と、前記後段反応剤供給機20bの前記貯留部21に蓄えられている前記水酸化物を前記排気ガスEGbとしての後段排気ガスEGb中に供給可能な供給部22と、を有する。前記後段集塵フィルタ装置10bは、前記後段集塵フィルタ装置10bの前記出口側空間12oが前記後段集塵フィルタ装置10bの前記入口側空間12iよりも高圧になるよう、前記後段集塵フィルタ装置10bの前記出口側空間12oに高圧ガスを送って、前記後段集塵フィルタ装置10bの前記集塵フィルタ13で捕集された固形物SSbを前記後段集塵フィルタ装置10bの前記集塵フィルタ13から離脱させることができる逆洗装置14と、前記後段集塵フィルタ装置10bの前記集塵フィルタ13から離脱した前記入口側空間12i内の固形物SSbを外部に排出可能な排出機15と、を有する。さらに、前記後段排気ガスEGb中に含まれている前記酸性ガスと前記反応剤RSbとしての前記水酸化物との反応生成物から、酸性ガスを分離して塩基性酸化物を生成可能な酸性ガス分離装置30bと、前記酸性ガス分離装置30bからの前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給して、水酸化物を生成可能な再生装置60と、を備える。前記酸性ガス分離装置30bは、前記排出機15からの前記固形物SSbに含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物を生成可能である。前記後段反応剤供給機20bは、前記再生装置60で生成された前記水酸化物を前記後段排気ガスEGb中に供給可能である。
【0152】
本態様の前段集塵フィルタ装置10fでは、前段排気ガスEGf中の酸性ガスと前段反応剤RSfとの反応生成物の他、灰や重金属を捕集することができる。また、本態様の後段集塵フィルタ装置10bでは、専ら、前段排気ガスEGf中の酸性ガスのうちで前段反応剤RSfと反応しなかった酸性ガスと後段反応剤RSbとしての水酸化物との反応生成物を捕集し、これを固形物SSbとして、後段集塵フィルタ装置10bから排出することができる。しかも、本態様では、後段排気ガスEGb中には、二酸化硫黄や塩酸がほとんど含まれなくなるため、後段排気ガスEGb中の二酸化炭素と後段反応剤RSbとの反応効率を高めることができる。
【0153】
さらに、本態様では、酸性ガス分離装置30b及び再生装置60を備えているので、後段集塵フィルタ装置10bから排出された反応生成物から反応剤RSbとしての水酸化物を再生することができる。本態様の後段反応剤供給機20bは、再生装置60からの水酸化物を後段排気ガスEGb中に供給することができる。よって、本態様では、反応剤RSbとしての水酸化物の消費量を抑えることができる。しかも、本態様では、後段反応生成物を含み重金属等をほとんど含まない固形物SSbから、反応剤RSbを再生させるので、排気ガスEGb中に、重金属等を含まない純度の高い反応剤RSbを供給することができる。
【0154】
(12)第十二態様における排気ガス処理設備は、
前記第十一態様における排気ガス処理設備において、前記前段反応剤供給機20fは、前記前段反応剤RSfとして、前記再生装置60で生成された前記水酸化物を前記前段排気ガスEGf中に供給可能である。
【0155】
(13)第十三態様における排気ガス処理設備は、
前記第十態様から前記第十二態様のうちのいずれか一態様における排気ガス処理設備において、さらに、前記集塵フィルタ装置10,10bの前記出口11oから排気された前記排気ガスEG,EGbである処理済み排気ガスEGtと熱媒体とを熱交換させて、前記熱媒体を加熱可能な排熱回収器5を備える。前記反応剤供給機20,20f,20fa,20bと前記酸性ガス分離装置30,30a,30bと前記再生装置60とのうち、いずれかの装置が排熱回収器26,36,47,49,63で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な熱利用器を有する。又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、前記排熱回収器26,36,47,49,63で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する。
【0156】
本態様では、処理済み排気ガスEGtの熱を、反応剤供給機20,20f,20fa,20bと前記酸性ガス分離装置30,30a,30bと前記再生装置60のうちのいずれか、又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、有効利用することができる。
【0157】
(14)第十四態様における排気ガス処理設備は、
前記第十態様から前記第十二態様のうちのいずれか一態様における排気ガス処理設備において、前記酸性ガス分離装置30,30a,30bは、前記排出機15からの前記固形物SSを加熱して、前記固形物SSに含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物及びガスを生成可能な加熱装置31,31aを有する。さらに、前記加熱装置31,31aで生成された前記塩基性酸化物を含む加熱済み固形物SSh又は前記ガスと熱媒体とを熱交換させて、前記熱媒体を加熱可能な排熱回収器5g、5s、5ga,5saを備える。前記反応剤供給機20,20f,20fa,20bと前記酸性ガス分離装置30,30a,30bと前記再生装置60とのうち、いずれかの装置が排熱回収器5g、5s、5ga,5saで加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な熱利用器を有する。又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、前記排熱回収器で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する。
【0158】
本態様では、加熱装置31,31aで生成された塩基性酸化物を含む加熱済み固形物SSh又はガスの熱を、反応剤供給機20,20f,20fa,20bと前記酸性ガス分離装置30,30a,30bと前記再生装置60のうちのいずれか、又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、有効利用することができる。
【0159】
(15)第十五態様における排気ガス処理設備は、
前記第十態様から前記第十二態様のうちのいずれか一態様における排気ガス処理設備において、さらに、前記再生装置60で前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給した際に生じる反応熱の一部を熱媒体に吸収させて、前記熱媒体を加熱可能な排熱回収器5bを備える。
前記反応剤供給機20,20f,20fa,20bと、前記酸性ガス分離装置30,30a,30bと、前記再生装置60とのうち、いずれか一の装置は、前記排熱回収器5bで加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する、又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、前記排熱回収器で加熱された前記熱媒体の熱を利用可能な排熱利用器を有する。
【0160】
本態様では、再生装置60で塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給した際に生じる反応熱を、反応剤供給機20,20f,20fa,20bと前記酸性ガス分離装置30,30a,30bとのうちのいずれか、又は、排気ガス処理設備を構成する装置を除く他の装置又は他の設備で、有効利用することができる。
【0161】
以上の実施形態における排気ガスの処理方法は、例えば、以下のように把握される。
【0162】
(16)第十六態様における排気ガスの処理方法は、
二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む250℃以上の排気ガスEG,EGbに、二酸化炭素と反応可能な反応剤RS,RSbを供給する反応剤供給工程S1,S21と、250℃以上の耐熱性を有する集塵フィルタ13を備える集塵フィルタ装置10,10bを用いて、前記集塵フィルタ装置10,10bに流入してきた固形物SS,SSbを捕集する捕集工程S2,S22と、を実行する。
【0163】
本態様では、第一態様としての排気ガス処理設備と同様の効果を得ることができる。すなわち、本態様では、排気ガスEG,EGb中の微粉と共に、排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素を除去することができる。さらに、本態様では、排気ガスEG,EGbからの二酸化炭素の除去効率を高めることができる。
【0164】
(17)第十七態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十六態様における排気ガスの処理方法において、前記反応剤供給工程S21としての後段反応剤供給工程S21の他に、二酸化炭素が含まれている酸性ガスを含む250℃以上の前段排気ガスEGfに、前記酸性ガスと反応可能な前段反応剤RSfを供給する前段反応剤供給工程S11,S11aと、前記捕集工程S21としての後段捕集工程S21の他に、250℃以上の耐熱性を有する前段集塵フィルタを備える集塵フィルタ装置10fを用いて、前記前段集塵フィルタ装置10fに流入してきた固形物SSfを捕集する前段捕集工程S12と、を実行する。前記後段反応剤供給工程S21では、前記前段集塵フィルタ装置10fから排気された排気ガスEGbである後段排気ガスEGb中に、前記反応剤RSbである後段反応剤RSbを供給する。
【0165】
本態様では、前段集塵フィルタ装置10fで、前段排気ガスEGf中の酸性ガスと前段反応剤RSfとの反応生成物の他、灰や重金属を捕集することができる。また、本態様では、後段集塵フィルタ装置10bで、専ら、前段排気ガスEGf中の酸性ガスのうちで前段反応剤RSfと反応しなかった酸性ガスと後段反応剤RSbとの反応生成物を捕集することができる。
【0166】
(18)第十八態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十六態様における排気ガスの処理方法において、前記前段反応剤供給工程S11aでは、前記前段反応剤RSfとしての金属炭酸塩、又は金属重炭酸塩を前記前段排気ガスEGf中に供給する。
【0167】
本態様では、前段排気ガスEGf中の酸性ガスとして、二酸化硫黄や塩酸が含まれている場合、これらを効率的に反応生成物という形で、前段集塵フィルタ装置10fで捕集することができる。また、本態様では、後段排気ガスEGb中には、二酸化硫黄や塩酸がほとんど含まれなくなるため、後段排気ガスEGb中の二酸化炭素と後段反応剤RSbとの反応効率を高めることができる。
【0168】
(19)第十九態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十七態様又は前記第十八態様における排気ガスの処理方法において、さらに、前記前段排気ガスEGf中に、NOx還元剤を供給するNOx還元剤供給工程S31を実行する。前記前段集塵フィルタ装置10f内で且つ還元触媒17が存在する環境下で、前記前段排気ガスEGf中の前記NOx還元剤と前記前段排気ガスEGf中の一酸化窒素とを反応させて、窒素と水とを生成する。
【0169】
本態様では、前段排気ガスEGf中に一酸化窒素が含まれている場合、これを窒素と水に分解することができる。
【0170】
(20)第二十態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十七態様から前記第十九態様のうちのいずれか一態様における排気ガスの処理方法において、さらに、前記後段排気ガスEGb中に、NOx還元剤を供給するNOx還元剤供給工程S31aを実行する。前記集塵フィルタ装置10bとしての後段集塵フィルタ装置10b内で且つ還元触媒17が存在する環境下で、前記後段排気ガスEGb中の前記NOx還元剤と前記後段排気ガスEGb中の一酸化窒素とを反応させて、窒素と水とを生成する。
【0171】
本態様では、後段排気ガスEGb中に一酸化窒素が含まれている場合、これを窒素と水に分解することができる。
【0172】
(21)第二十一態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十六態様から前記十八態様のうちのいずれか一態様における排気ガスの処理方法において、さらに、前記排気ガスEG,EGb中に、NOx還元剤を供給するNOx還元剤供給工程S31,S31aを実行する。前記集塵フィルタ装置10,10b内で且つ還元触媒が存在する環境下で、前記排気ガス中の前記NOx還元剤と前記排気ガスEG中の一酸化窒素とを反応させて、窒素と水とを生成する。
【0173】
本態様では、排気ガスEG中に一酸化窒素が含まれている場合、これを窒素と水に分解することができる。
【0174】
(22)第二十二態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十六態様から前記第二十一態様のうちのいずれか一態様における排気ガスの処理方法において、前記反応剤供給工程S1,S21では、前記反応剤RS,RSbとして、水酸化物、金属炭酸塩、金属重炭酸塩、又は金属酸化物を前記排気ガスEG,EGb中に供給する。
【0175】
(23)第二十三態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十六態様から前記第二十二態様のうちのいずれか一態様における排気ガスの処理方法において、前記集塵フィルタ装置10,10bの集塵フィルタ13で捕集された前記固形物SS,SSbを前記集塵フィルタ13から離脱させる逆洗工程S4,S24と、前記逆洗工程S4,S24で前記集塵フィルタ13から離脱した前記固形物SS,SSbを前記集塵フィルタ装置10,10bから排出する排出工程S5,S25と、をさらに実行する。
【0176】
本態様では、集塵フィルタ装置10,10bの集塵フィルタ13で捕集した固形物SS,SSbを集塵フィルタ装置10,10b外に排出することができる。
【0177】
(24)第二十四態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十六態様から前記第二十一態様のうちのいずれか一態様における排気ガスの処理方法において、前記反応剤供給工程S1,S21では、前記反応剤RS,RSbとして水酸化物を前記排気ガスEG,EGb中に供給する。さらに、前記集塵フィルタ装置10,10bの集塵フィルタ13で捕集された前記固形物SS,SSbを前記集塵フィルタ13から離脱させる逆洗工程S4,S24と、前記逆洗工程S4,S24で前記集塵フィルタ13から離脱した前記固形物SS,SSbを前記集塵フィルタ装置10,10bから排出する排出工程S5,S25と、前記排気ガスEG,EGb中に含まれている前記酸性ガスと前記反応剤RS,RSbとしての前記水酸化物との反応生成物から、酸性ガスを分離して塩基性酸化物を生成する酸性ガス分離工程S6,S26と、前記酸性ガス分離工程S6,S26で生成された前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給して、水酸化物を生成する再生工程S9,S28と、を実行する。前記酸性ガス分離工程S6,S26では、前記排出工程S5,S25で前記集塵フィルタ装置10,10bから排出された前記固形物SS,SSbに含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物を生成する。前記反応剤供給工程S1,S21では、前記再生工程S9,S28で生成された前記水酸化物を前記排気ガスEG,EGb中に供給する。
【0178】
本態様では、排気ガスEG,EGb中の二酸化炭素と反応剤RS,RSbとの反応で生成された反応生成物としての固形物SS,SSbを集塵フィルタ装置10,10bから排出することができる。さらに、本態様では、酸性ガス分離工程S6,S26及び再生工程S9,S28を実行するので、集塵フィルタ装置10,10bから排出された反応生成物から反応剤RS,RSbとしての水酸化物を再生することができる。本態様の反応剤供給工程S1,S21では、再生工程S9,S28で得られた水酸化物を排気ガスEG,EGb中に供給する。よって、本態様では、反応剤RS,RSbとしての水酸化物の消費量を抑えることができる。
【0179】
(25)第二十五態様における排気ガスの処理方法は、
前記第十七態様における排気ガスの処理方法において、前記後段反応剤供給工程S21では、前記後段反応剤RSbとして水酸化物を前記排気ガスEGbとしての後段排気ガスEGb中に供給する。さらに、前記後段捕集工程S22で用いる前記集塵フィルタ装置10bである後段集塵フィルタ装置10bの集塵フィルタ13で捕集された固形物SSbを前記後段集塵フィルタ装置10bの前記集塵フィルタ13から離脱させる逆洗工程S24と、前記逆洗工程S24で前記後段集塵フィルタ装置10bの前記集塵フィルタ13から離脱した固形物SSbを前記後段集塵フィルタ装置10bから排出する排出工程S25と、前記後段排気ガスEGb中に含まれている前記酸性ガスと前記後段反応剤RSbとしての前記水酸化物との反応生成物から、酸性ガスを分離して塩基性酸化物を生成する酸性ガス分離工程S26と、前記酸性ガス分離工程S26で生成された前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給して、水酸化物を生成する再生工程S28と、を実行する。前記酸性ガス分離工程S26では、前記排出工程S25で前記後段集塵フィルタ装置10bから排出された前記固形物SSbに含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物を生成する。前記後段反応剤供給工程S21では、前記再生工程S28で生成された前記水酸化物を前記後段排気ガスEGb中に供給する。
【0180】
本態様の前段集塵フィルタ装置10fでは、前段排気ガスEGf中の酸性ガスと前段反応剤RSfとの反応生成物の他、灰や重金属を捕集することができる。また、本態様の後段集塵フィルタ装置10bでは、専ら、前段排気ガスEGf中の酸性ガスのうちで前段反応剤RSfと反応しなかった酸性ガスと後段反応剤RSbとしての水酸化物との反応生成物を捕集し、これを固形物SSbとして、後段集塵フィルタ装置10bから排出することができる。しかも、本態様では、後段排気ガスEGb中には、二酸化硫黄や塩酸がほとんど含まれなくなるため、後段排気ガスEGb中の二酸化炭素と後段反応剤RSbとの反応効率を高めることができる。
【0181】
さらに、本態様では、酸性ガス分離工程S26及び再生工程S28を実行するので、後段集塵フィルタ装置10bから排出された反応生成物から後段反応剤RSbとしての水酸化物を再生することができる。本態様の後段反応剤供給工程S21では、再生工程S28で得られた水酸化物を後段排気ガスEGb中に供給する。よって、本態様では、反応剤RS,RSbとしての水酸化物の消費量を抑えることができる。しかも、本態様では、後段反応生成物を含み重金属等をほとんど含まない固形物SSbから、反応剤RS,RSbを再生させるので、排気ガス中に、重金属等を含まない純度の高い反応剤RS,RSbを供給することができる。
【0182】
(26)第二十六態様における排気ガスの処理方法は、
前記第二十五態様における排気ガスの処理方法において、前記前段反応剤供給工程S11では、前記前段反応剤RSfとして、前記再生工程S28で生成された前記水酸化物を前記前段排気ガスEGf中に供給する。
【0183】
(27)第二十七態様における排気ガスの処理方法は、
前記第二十四態様から前記第二十六態様のうちのいずれか一態様における排気ガスの処理方法において、さらに、前記集塵フィルタ装置10,10bから排気された前記排気ガスEG,EGbである処理済み排気ガスEGtと熱媒体を熱交換させて、前記熱媒体を加熱する排熱回収工程S3,S23を実行する。前記反応剤供給工程S1,S11,S11a,S21と、前記酸性ガス分離工程S6,S26と、前記再生工程S9,S28とのうち、いずれか一つの工程は、前記排熱回収工程S3,S23で加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程S7a,S27aを含む。又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、前記排熱回収工程S3,S23で加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を実行する。
【0184】
本態様では、処理済み排気ガスEGbtの熱を、反応剤供給工程S1,S11,S11a,S21と、前記酸性ガス分離工程S6,S26と、前記再生工程S9,S28とのうち、いずれか一の工程、又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で有効利用することができる。
【0185】
(28)第二十八態様における排気ガスの処理方法は、
前記第二十四態様から前記第二十六態様のうちのいずれか一態様における排気ガスの処理方法において、前記酸性ガス分離工程S6は、前記集塵フィルタ装置10から排出された前記固形物SSを加熱して、前記固形物SSに含まれる前記反応生成物から前記塩基性酸化物及びガスを生成する生成物加熱工程S7bを含む。さらに、前記生成物加熱工程S7bの実行で生成された前記塩基性酸化物を含む加熱済み固形物SSh又は前記ガスと熱媒体とを熱交換させて、前記熱媒体を加熱する排熱回収工程S5aを実行する。前記反応剤供給工程S1と、前記酸性ガス分離工程S6と、前記再生工程S9とのうち、いずれか一つの工程は、前記排熱回収工程S5aで加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を含む。又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、前記排熱回収工程S5aで加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を実行する。
【0186】
本態様では、生成物加熱工程S7bの実行で生成された塩基性酸化物を含む加熱済み固形物SSh又はガスの熱を、反応剤供給工程S1と酸性ガス分離工程S6と再生工程S9とのうちのいずれか、又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、有効利用することができる。
【0187】
(29)第二十九態様における排気ガスの処理方法は、
前記第二十四態様から前記第二十六態様のうちのいずれか一態様における排気ガスの処理方法において、さらに、前記再生工程S9で前記塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給した際に生じる反応熱の一部を熱媒体に吸収させて、前記熱媒体を加熱する排熱回収工程S5bを実行する。前記反応剤供給工程S1と、前記酸性ガス分離工程S6と、前記再生工程S9とのうち、いずれか一つの工程は、前記排熱回収工程S5bで加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を含む。又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、前記排熱回収工程S5bで加熱された前記熱媒体の熱を利用する排熱利用工程を実行する。
【0188】
本態様では、再生工程S9で塩基性酸化物に水又は水蒸気を供給した際に生じる反応熱を、反応剤供給工程S1と酸性ガス分離工程S6とのうちのいずれか、又は、排気ガスの処理方法で実行する工程を除く他の工程で、有効利用することができる。
【符号の説明】
【0189】
1:排気ガス発生源
2:排気ガスライン
2f:前段排気ガスライン
2b:後段排気ガスライン
2t:処理済み排気ガスライン
3:煙突
4:吸引ブロワー
5,5g、5s、5ga,5sa,5b:排熱回収器
10:集塵フィルタ装置
10f:前段集塵フィルタ装置
10b:後段集塵フィルタ装置
11:ケース
11i:入口
11o:出口
12i:入口側空間
12o:出口側空間
13:集塵フィルタ
14:逆洗装置
14a:逆洗用高圧ガスタンク
14b:高圧ガス案内菅
14c:開閉弁
15:排出機
17:還元触媒
20:反応剤供給機
20f,20fa:前段反応剤供給機
20b:後段反応剤供給機
21:貯留部
22:供給部
23:定量供給機
24:搬送ライン
25:搬送用空気ブロワー
26:空気加熱器(排熱利用器)
30,30a,30b:酸性ガス分離装置
31,31a:加熱装置
32:胴
32g:ガス排気口
32s:固形物排出口
33:電気ヒータ
34:胴回転機構
35:フィーダ
36:予熱器(排熱利用器)
41:焼成炉
42:炉枠
42cs:キャリアガス空間
42hs:加熱空間
43:フィーダ
44:拡散板
45:キャリアガスブロワー
46d:下段バーナ
46u:上段バーナ
47:空気加熱器(排熱利用器)
48:サイクロン
48b:サイクロンボディ
48i:入口
48p:気体出口菅
48e:排出機
49:予熱器(排熱利用器)
51:二酸化炭素分離装置
52:吸収塔
53:吸収液タンク
54:循環ライン
55:排液ライン
56:循環ポンプ
57:吸収原液タンク
58:吸収原液ポンプ
59:酸性ガスライン
60:再生装置
61:反応容器
61i:入口
61sm:水入口
61o:排出口
62:撹拌機
63:加熱器(排熱利用器)
70:NOx還元剤供給機
EG:排気ガス
EGf:前段排気ガス
EGb:後段排気ガス
EGt:処理済み排気ガス
SS,SSf,SSb:固形物
SSh:加熱済み固形物
RS:反応剤
RSf:前段反応剤
RSb:後段反応剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17