IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

特開2023-170355炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置
<>
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図1
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図2
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図3
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図4
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図5
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図6
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図7
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図8
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図9
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図10
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図11
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図12
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図13
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図14
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図15
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図16
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図17
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図18
  • 特開-炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170355
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231124BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20231124BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231124BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 658F
H01L21/28 301B
H01L21/28 301R
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082043
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康晴
【テーマコード(参考)】
4M104
【Fターム(参考)】
4M104AA03
4M104BB01
4M104BB02
4M104BB04
4M104BB25
4M104CC01
4M104DD08
4M104DD37
4M104DD43
4M104DD79
4M104DD84
4M104FF02
4M104FF04
4M104HH15
(57)【要約】
【課題】オーミックコンタクト電極からのアルミニウムの蒸発を抑制できる炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置を提供する。
【解決手段】炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素基板の上にチタン、アルミニウム及び珪素を含む材料から構成される金属膜を形成する工程と、前記金属膜を第1温度に保持し、前記チタンと前記アルミニウムとを合金化する工程と、前記合金化する工程の後、前記金属膜を前記第1温度よりも高い第2温度に保持し、前記金属膜の少なくとも一部を前記炭化珪素基板が含む珪素と反応させてシリサイド化する工程と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素基板の上にチタン、アルミニウム及び珪素を含む材料から構成される金属膜を形成する工程と、
前記金属膜を第1温度に保持し、前記チタンと前記アルミニウムとを合金化する工程と、
前記合金化する工程の後、前記金属膜を前記第1温度よりも高い第2温度に保持し、前記金属膜の少なくとも一部を前記炭化珪素基板が含む珪素と反応させてシリサイド化する工程と、
を有する、炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1温度は300℃以上700℃以下であり、
前記第2温度は900℃以上1000℃以下である、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記合金化する工程は、前記金属膜のシート抵抗を10Ω/sq以上12Ω/sq以下に調整することを含み、
前記シリサイド化する工程は、前記金属膜のシート抵抗を3Ω/sq以上6Ω/sq以下に調整することを含む、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記合金化する工程は、前記金属膜に不活性ガスを供給する工程を含む、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記金属膜を形成する工程は、前記金属膜に含まれる複数種の金属を含む合金ターゲットを用いるスパッタリング法により前記金属膜を形成する工程を含む、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記金属膜を形成する工程は、
前記炭化珪素基板の上にチタン膜を形成する工程と、
前記チタン膜の上にアルミニウム膜を形成する工程と、
前記アルミニウム膜の上に珪素膜を形成する工程と、
を有する、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属膜を形成する工程は、
前記炭化珪素基板の上にチタン膜を形成する工程と、
前記チタン膜の上にアルミニウム膜を形成する工程と、
前記アルミニウム膜の上に珪素膜を形成する工程と、
前記珪素膜の上にチタン膜を形成する工程と、
を有する、
請求項1に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記シリサイド化する工程の後に、前記金属膜のシート抵抗を測定する工程を有する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項9】
炭化珪素基板と、
前記炭化珪素基板の上に形成され、チタン、アルミニウム及び珪素を含む材料から構成される金属膜と、
を備え、
前記金属膜は、
炭化珪素とチタンシリサイド合金とを含む第1領域と、
炭化珪素とアルミニウムチタン合金とを含む第2領域と、
アルミニウムを含む第3領域と、
を有し、
前記第1領域において、チタン原子及び炭素原子の原子濃度の和に対する、前記チタン原子の原子濃度の比率は35at%以上55at%以下であり、
前記第2領域において、アルミニウム原子及び炭素原子の原子濃度の和に対する、前記アルミニウム原子の原子濃度の比率は35at%以上45at%以下である、
炭化珪素半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素半導体装置において、炭化珪素基板に接触して配置され、チタン、アルミニウム及び珪素を含有するオーミックコンタクト電極を含む構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。オーミックコンタクト電極は、炭化珪素基板の上にチタン膜、アルミニウム膜及び珪素膜をこの順に積層した積層膜を形成し、次いで炭化珪素基板を加熱し、チタンと、アルミニウムと、珪素と、炭化珪素基板に含まれる炭素とを合金化することにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-78735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の炭化珪素半導体装置では、オーミックコンタクト電極を形成する際に積層膜が高温となるため、積層膜に含まれるアルミニウムが蒸発する場合がある。この場合、オーミックコンタクト電極に含まれるアルミニウムの比率が低下して抵抗が高くなる。
【0005】
本開示は、オーミックコンタクト電極からのアルミニウムの蒸発を抑制できる炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素基板の上にチタン、アルミニウム及び珪素を含む材料から構成される金属膜を形成する工程と、前記金属膜を第1温度に保持し、前記チタンと前記アルミニウムとを合金化する工程と、前記合金化する工程の後、前記金属膜を前記第1温度よりも高い第2温度に保持し、前記金属膜の少なくとも一部を前記炭化珪素基板が含む珪素と反応させてシリサイド化する工程と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、オーミックコンタクト電極からのアルミニウムの蒸発を抑制できる炭化珪素半導体装置の製造方法及び炭化珪素半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。
図2図2は、コンタクト電極を示す概略図である。
図3図3は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図4図4は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図5図5は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図6図6は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図7図7は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図8図8は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図9図9は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図10図10は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
図11図11は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
図12図12は、金属膜を形成する工程の第1例を示す断面図である。
図13図13は、金属膜を形成する工程の第2例を示す断面図である。
図14図14は、金属膜を形成する工程の第3例を示す断面図である。
図15図15は、金属膜を形成する工程の第4例を示す断面図である。
図16図16は、合金化する工程の第1例を示す断面図である。
図17図17は、合金化する工程の第2例を示す断面図である。
図18図18は、シリサイド化する工程の第1例を示す断面図である。
図19図19は、シリサイド化する工程の第2例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一又は対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る炭化珪素半導体装置の製造方法は、炭化珪素基板の上にチタン、アルミニウム及び珪素を含む材料から構成される金属膜を形成する工程と、前記金属膜を第1温度に保持し、前記チタンと前記アルミニウムとを合金化する工程と、前記合金化する工程の後、前記金属膜を前記第1温度よりも高い第2温度に保持し、前記金属膜の少なくとも一部を前記炭化珪素基板が含む珪素と反応させてシリサイド化する工程と、を有する。この場合、金属膜を第2温度で保持する際にチタンとアルミニウムとが合金化されているので、金属膜からのアルミニウムの蒸発が抑制される。このため、コンタクト電極の高抵抗化を抑制できる。また、ゲート絶縁膜、ゲート電極、層間絶縁膜等へのアルミニウムの拡散を抑制できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第1温度は300℃以上700℃以下であり、前記第2温度は900℃以上1000℃以下であってもよい。300℃以上700℃以下では金属膜からのアルミニウムの蒸発を抑制しながら、チタンとアルミニウムとを合金化しやすい。900℃以上1000℃以下ではシリサイド化が進行しやすい。
【0013】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記合金化する工程は、前記金属膜のシート抵抗を10Ω/sq以上12Ω/sq以下に調整することを含み、前記シリサイド化する工程は、前記金属膜のシート抵抗を3Ω/sq以上6Ω/sq以下に調整することを含んでもよい。金属膜のシート抵抗を10Ω/sq以上12Ω/sq以下に調整することにより、チタンとアルミニウムとが安定化した合金になりやすい。金属膜のシート抵抗を3Ω/sq以上6Ω/sq以下に調整することにより、金属膜とソース領域及びコンタクト領域との接触抵抗を低減しやすい。
【0014】
〔4〕 〔1〕~〔3〕において、前記合金化する工程は、前記金属膜に不活性ガスを供給する工程を含んでもよい。この場合、金属膜の酸化を抑制できる。また、不活性ガスの流量を制御することにより、チャンバ内の圧力を調整してチタンとアルミニウムとの合金比率を調整できる。
【0015】
〔5〕 〔1〕~〔4〕において、前記金属膜を形成する工程は、前記金属膜に含まれる複数種の金属を含む合金ターゲットを用いるスパッタリング法により前記金属膜を形成する工程を含んでもよい。この場合、ターゲットの数を削減できる。
【0016】
〔6〕 〔1〕~〔4〕において、前記金属膜を形成する工程は、前記炭化珪素基板の上にチタン膜を形成する工程と、前記チタン膜の上にアルミニウム膜を形成する工程と、前記アルミニウム膜の上に珪素膜を形成する工程と、を有してもよい。この場合、チタン膜、アルミニウム膜及び珪素膜の各々の膜厚を制御することにより、金属膜を構成するチタン、アルミニウム及び珪素の割合を調整できる。
【0017】
〔7〕 〔1〕~〔4〕において、前記金属膜を形成する工程は、前記炭化珪素基板の上にチタン膜を形成する工程と、前記チタン膜の上にアルミニウム膜を形成する工程と、前記アルミニウム膜の上に珪素膜を形成する工程と、前記珪素膜の上にチタン膜を形成する工程と、を有してもよい。この場合、金属膜をシリサイド化する際にアルミニウムが珪素膜の側から蒸発することを抑制しやすい。
【0018】
〔8〕 〔1〕~〔7〕において、前記シリサイド化する工程の後に、前記金属膜のシート抵抗を測定する工程を有してもよい。この場合、インライン測定の結果に基づいて、金属膜を構成するチタン、アルミニウム及び珪素の比率を管理できる。
【0019】
〔9〕 本開示の他の一態様に係る炭化珪素半導体装置は、炭化珪素基板と、前記炭化珪素基板の上に形成され、チタン、アルミニウム及び珪素を含む材料から構成される金属膜と、を備え、前記金属膜は、炭化珪素とチタンシリサイド合金とを含む第1領域と、炭化珪素とアルミニウムチタン合金とを含む第2領域と、アルミニウムを含む第3領域と、を有し、前記第1領域において、チタン原子及び炭素原子の原子濃度の和に対する、前記チタン原子の原子濃度の比率は35at%以上55at%以下であり、前記第2領域において、アルミニウム原子及び炭素原子の原子濃度の和に対する、前記アルミニウム原子の原子濃度の比率は35at%以上45at%以下である。この場合、チタンとアルミニウムとが合金化されているので、金属膜からのアルミニウムの蒸発が抑制される。このため、コンタクト電極の高抵抗化を抑制できる。また、ゲート絶縁膜、ゲート電極、層間絶縁膜等へのアルミニウムの拡散を抑制できる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0021】
実施形態に係る炭化珪素半導体装置について説明する。図1は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置を示す断面図である。図2は、コンタクト電極を示す概略図である。
【0022】
実施形態に係る炭化珪素半導体装置100は、炭化珪素基板10と、ゲート絶縁膜81と、ゲート電極82と、層間絶縁膜83と、ソース電極60と、ドレイン電極70とを主に有する。
【0023】
炭化珪素基板10は、炭化珪素単結晶基板50と、炭化珪素単結晶基板50上にある炭化珪素エピタキシャル層40とを含む。炭化珪素基板10は、第1主面1と、第1主面1と反対側の第2主面2とを有する。炭化珪素エピタキシャル層40は第1主面1を構成し、炭化珪素単結晶基板50は第2主面2を構成する。炭化珪素単結晶基板50及び炭化珪素エピタキシャル層40は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。炭化珪素単結晶基板50は、例えば窒素(N)等のn型不純物を含みn型を有する。炭化珪素基板10に半導体素子が形成されている。
【0024】
実施形態では、炭化珪素基板10に半導体素子の一例として電界効果トランジスタが形成されている。炭化珪素エピタキシャル層40は、ドリフト領域11と、ボディ領域12と、ソース領域13と、コンタクト領域18とを主に有する。
【0025】
ドリフト領域11は、例えば窒素又はリン(P)等のn型不純物が添加されていることでn型を有する。ドリフト領域11へのn型不純物の添加は、イオン注入によってではなく、ドリフト領域11のエピタキシャル成長の際の不純物添加によって行われていることが好ましい。
【0026】
ボディ領域12は、ドリフト領域11上に設けられている。ボディ領域12は、例えばアルミニウム(Al)等のp型不純物が添加されていることでp型を有する。
【0027】
ソース領域13は、ボディ領域12によってドリフト領域11から隔てられるようにボディ領域12上に設けられている。ソース領域13は、例えば窒素又はリン等のn型不純物が添加されていることでn型を有する。ソース領域13は、第1主面1を構成する。
【0028】
コンタクト領域18は、例えばアルミニウム等のp型不純物が添加されていることでp型を有する。コンタクト領域18は、第1主面1を構成する。コンタクト領域18は、ソース領域13を貫通し、ボディ領域12に接する。
【0029】
第1主面1には、複数のゲートトレンチ5が設けられている。ゲートトレンチ5は、例えば第1主面1に平行な第1方向に延びており、複数のゲートトレンチ5が第2方向に並んでいる。ゲートトレンチ5は、ドリフト領域11からなる底面4を有する。底面4は、例えば第2主面2と平行な平面である。ゲートトレンチ5は、ソース領域13及びボディ領域12を貫通して底面4に連なる側面3を有する。側面3は、底面4を含む平面に対して傾斜する。
【0030】
側面3及び底面4に接するゲート絶縁膜81が設けられている。ゲート絶縁膜81は、例えば酸化膜である。ゲート絶縁膜81は、例えば二酸化珪素を含む材料により構成されている。ゲート絶縁膜81は、底面4においてドリフト領域11と接する。ゲート絶縁膜81は、側面3においてソース領域13、ボディ領域12及びドリフト領域11の各々と接している。ゲート絶縁膜81は、第1主面1においてソース領域13と接していてもよい。
【0031】
ゲート絶縁膜81上にゲート電極82が設けられている。ゲート電極82は、例えば導電性不純物を含むポリシリコンから構成されている。ゲート電極82は、ゲートトレンチ5の内部に配置されている。
【0032】
ゲート電極82及びゲート絶縁膜81に接する層間絶縁膜83が設けられている。層間絶縁膜83は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成されている。層間絶縁膜83及びゲート絶縁膜81には、第2方向に一定の間隔でコンタクトホール90が形成されている。コンタクトホール90は、第2方向で隣り合うコンタクトホール90の間にゲートトレンチ5が位置するように設けられている。コンタクトホール90は、第1方向に延びる。コンタクトホール90を通じて、ソース領域13及びコンタクト領域18が層間絶縁膜83及びゲート絶縁膜81から露出している。
【0033】
第1主面1に接するソース電極60が設けられている。ソース電極60は、コンタクト電極61と、ソース配線62とを有する。
【0034】
コンタクト電極61は、コンタクトホール90内に設けられている。コンタクト電極61は、第1主面1において、ソース領域13及びコンタクト領域18に接している。コンタクト電極61は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)及び珪素(Si)を含む材料から構成されている。コンタクト電極61は、ソース領域13及びコンタクト領域18とオーミック接合している。つまり、コンタクト電極61は、コンタクトホール90を通じて炭化珪素基板10に接続されている。コンタクト電極61は、第1領域61aと、第2領域61bと、第3領域61cとを有する。第1領域61aは、炭化珪素及びチタンシリサイド(TiSi)合金により形成される。第1領域61aにおいて、炭化珪素とチタンシリサイド合金とは斑状に存在する。第1領域61aにおいて、炭化珪素とチタンシリサイド合金との構成比率は、45:55~65:35である。すなわち、第1領域61aにおいて、チタン原子及び炭素原子の原子濃度の和に対する、チタン原子の原子濃度の比率は35at%以上55at%以下である。第2領域61bは、炭化珪素及びアルミニウムチタン(AlTi)合金により形成される。第2領域61bにおいて、炭化珪素とチタンシリサイド合金とは斑状に存在する。第2領域61bにおいて、炭化珪素とアルミニウムチタン合金との構成比率は、55:45~65:35である。すなわち、第2領域61bにおいて、アルミニウム原子及び炭素原子の原子濃度の和に対する、アルミニウム原子の原子濃度の比率は35at%以上45at%以下である。なお、上記の通り、炭化珪素は第1領域61aと第2領域61bの両方に含まれる。そこで、チタンシリサイド合金とアルミニウムチタン合金の両方と接する炭化珪素は、第1領域61aに含まれるものとする。また、チタンシリサイド合金と接し、かつアルミニウムチタン合金と接しない炭化珪素は、第1領域61aに含まれるものとする。また、アルミニウムチタン合金と接し、かつチタンシリサイド合金と接しない炭化珪素は、第2領域61bに含まれるものとする。第3領域61cは、アルミニウムにより形成される。第3領域61cにおいて、炭化珪素とアルミニウムとの構成比率は、0:100である。なお、コンタクト電極61は金属膜の一例である。
【0035】
ソース配線62は、アルミニウム又は銅(Cu)を含む材料から構成されている。ソース配線62は、アルミニウム及び銅を含む材料から構成されていてもよい。ソース電極60は、層間絶縁膜83によりゲート電極82から電気的に絶縁されている。ソース電極60が、ソース配線62と層間絶縁膜83との間に窒化チタン(TiN)膜等のバリアメタル膜を含んでもよい。
【0036】
ドレイン電極70は、第2主面2に接する。ドレイン電極70は、第2主面2において炭化珪素単結晶基板50と接している。ドレイン電極70は、ドリフト領域11と電気的に接続されている。ドレイン電極70は、コンタクト電極61と同じ材料により構成されている。ドレイン電極70は、炭化珪素単結晶基板50とオーミック接合している。
【0037】
コンタクト電極61及びドレイン電極70における各材料の構成比率は、走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)を用いた断面観察及び透過型電子顕微鏡(transmission electron microscopy:TEM)を用いた元素分析により測定できる。
【0038】
次に、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法について説明する。図3図11は、実施形態に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0039】
まず、図3に示されるように、炭化珪素単結晶基板50を準備する。次に、炭化珪素単結晶基板50の上に炭化珪素エピタキシャル層40を形成する。例えば、炭化珪素単結晶基板50は、窒素等のn型不純物を含み、n型を有する。例えば、炭化珪素エピタキシャル層40は窒素等のn型不純物を添加したエピタキシャル成長により形成できる。このようにして、第1主面1と、第2主面2とを有する炭化珪素基板10が得られる。
【0040】
次に、図4に示されるように、炭化珪素エピタキシャル層40へのイオン注入を行う。例えば、イオン注入により、ボディ領域12、ソース領域13及びコンタクト領域18が形成される。炭化珪素エピタキシャル層40の残部がドリフト領域11として機能する。ボディ領域12又はコンタクト領域18を形成するためのイオン注入においては、例えばアルミニウム等のp型不純物をイオン注入する。ソース領域13を形成するためのイオン注入においては、例えばリン等のn型不純物をイオン注入する。
【0041】
次に、図5に示されるように、ソース領域13、ボディ領域12及びドリフト領域11に複数のゲートトレンチ5を形成する。ゲートトレンチ5は、次のようにして形成できる。
【0042】
まず、ゲートトレンチ5を形成しようとする領域上に開口を有するマスク(図示せず)を形成する。次に、マスクを用いて、ソース領域13の一部、ボディ領域12の一部及びドリフト領域11の一部をエッチングにより除去する。エッチングは、例えば反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)である。エッチングにより、ゲートトレンチ5を形成しようとする領域に、第1主面1に対してほぼ垂直な側部と、側部と連続的に設けられ、かつ第1主面1とほぼ平行な底部とを有する凹部が形成される。
【0043】
次に、凹部において熱エッチングを行う。熱エッチングは、第1主面1上にマスクが形成された状態で、例えば少なくとも1種類以上のハロゲン原子を有する反応ガスを含む雰囲気での加熱によって行い得る。少なくとも1種類以上のハロゲン原子は、塩素(Cl)原子及びフッ素(F)原子の少なくともいずれかを含む。当該雰囲気は、例えば塩素(Cl)、三塩化ホウ素(BCl)、六フッ化硫黄(SF)又は四フッ化炭素(CF)を含む。例えば、塩素ガスと酸素(O)ガスとの混合ガスを反応ガスとして用い、熱処理温度を800℃以上900℃以下として、熱エッチングが行われる。反応ガスは、塩素ガスと酸素ガスとに加えて、キャリアガスを含んでいてもよい。キャリアガスとしては、例えば窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガス又はヘリウム(He)ガス等を利用できる。
【0044】
上記の熱エッチングにより、第1主面1にゲートトレンチ5が形成される。ゲートトレンチ5は、ドリフト領域11からなる底面4と、ソース領域13及びボディ領域12を貫通して底面4に連なる側面3とを有する。熱エッチングの後に、マスクが第1主面1から除去される。
【0045】
次に、図6に示されるように、ゲート絶縁膜81を形成する。例えば炭化珪素基板10を熱酸化することにより、ソース領域13と、ボディ領域12と、ドリフト領域11と、コンタクト領域18とに接するゲート絶縁膜81が形成される。具体的には、炭化珪素基板10を、酸素を含む雰囲気において、例えば1300℃以上1400℃以下の温度で加熱する。これにより、第1主面1と、側面3と、底面4とに接するゲート絶縁膜81が形成される。ゲート絶縁膜81が熱酸化により形成される場合、厳密には、炭化珪素基板10の一部がゲート絶縁膜81に取り込まれる。このため、以降の処理では、熱酸化の後のゲート絶縁膜81と炭化珪素基板10との間の界面に第1主面1、側面3及び底面4が若干移動したものとする。
【0046】
次に、図7に示されるように、ゲート電極82を形成する。ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81上に形成される。ゲート電極82は、例えば減圧CVD(low pressure - chemical vapor deposition:LP-CVD)法により形成される。ゲート電極82は、ソース領域13と、ボディ領域12と、ドリフト領域11との各々に対面するように形成される。
【0047】
次に、図8に示されるように、層間絶縁膜83を形成する。具体的には、ゲート電極82を覆い、かつゲート絶縁膜81と接するように層間絶縁膜83が形成される。層間絶縁膜83は、例えばCVD法により形成される。層間絶縁膜83は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成される。層間絶縁膜83の一部がゲートトレンチ5の内部に形成されてもよい。
【0048】
次に、図9に示されるように、層間絶縁膜83及びゲート絶縁膜81のエッチングを行うことにより、層間絶縁膜83及びゲート絶縁膜81にコンタクトホール90を形成する。この結果、ソース領域13及びコンタクト領域18が層間絶縁膜83及びゲート絶縁膜81から露出する。
【0049】
次に、図10に示されるように、第1主面1においてソース領域13及びコンタクト領域18に接するコンタクト電極61を形成し、第2主面2において炭化珪素単結晶基板50に接するドレイン電極70を形成する。コンタクト電極61及びドレイン電極70の形成方法については後述する。
【0050】
次に、図11に示されるように、ソース配線62を形成する。具体的には、コンタクト電極61及び層間絶縁膜83を覆うソース配線62が形成される。ソース配線62は、例えばスパッタリング法により形成される。ソース配線62は、例えばアルミニウム又は銅を含む材料から構成される。ソース配線62がアルミニウム及び銅を含む材料から構成されてもよい。このようにして、コンタクト電極61とソース配線62とを有するソース電極60が形成される。
【0051】
以上により、電界効果トランジスタを含む炭化珪素半導体装置100を製造できる。
【0052】
次に、実施形態に係る炭化珪素半導体装置100の製造方法において、コンタクト電極61を形成する方法について説明する。コンタクト電極61を形成する方法は、金属膜を形成する工程と、合金化する工程と、シリサイド化する工程とを含む。図12図15は、金属膜を形成する工程を示す断面図である。図16及び図17は、合金化する工程を示す断面図である。図18及び図19は、シリサイド化する工程を示す断面図である。
【0053】
金属膜を形成する工程では、第1主面1においてソース領域13及びコンタクト領域18に接するコンタクト電極61用の金属膜(図示せず)を形成する。金属膜は、チタン、アルミニウム及び珪素を含む材料から構成される。金属膜は、例えばスパッタリング法により形成される。
【0054】
金属膜を形成する工程では、図12に示されるように、ソース領域13及びコンタクト領域18の上に、第1チタン膜63、アルミニウム膜64及び珪素膜65をこの順に形成することにより金属膜を形成する。第1チタン膜63、アルミニウム膜64及び珪素膜65は、それぞれチタンターゲット、アルミニウムターゲット及び珪素ターゲットを用いるスパッタリング法により形成される。すなわち、金属膜を形成する工程では、金属膜を構成する金属の各々のターゲットを用いるスパッタリング法により金属膜が形成される。この場合、第1チタン膜63、アルミニウム膜64及び珪素膜65の各々の膜厚を制御することにより、金属膜を構成するチタン、アルミニウム及び珪素の割合を調整できる。第1チタン膜63の膜厚は、例えば20nm以上である。アルミニウム膜64の膜厚は、例えば24nm以上40nm以下である。珪素膜65の膜厚は、例えば10nm以上である。第1チタン膜63、アルミニウム膜64及び珪素膜65は、同じチャンバ内で連続して形成することが好ましい。この場合、第1チタン膜63とアルミニウム膜64との界面及びアルミニウム膜64と珪素膜65との界面の酸化を抑制できる。また、生産性が向上する。金属膜を形成する工程では、図13に示されるように、珪素膜65の上に第2チタン膜66を形成してもよい。この場合、シリサイド化する工程において、アルミニウムが珪素膜65の側から蒸発することを抑制しやすい。第2チタン膜66は、例えば第1チタン膜63と同様に、チタンターゲットを用いるスパッタリング法により形成される。第2チタン膜66の膜厚は、例えば10nm以上である。
【0055】
金属膜を形成する工程では、図14に示されるように、ソース領域13及びコンタクト領域18の上に、TiAl膜67及び珪素膜65をこの順に形成することにより金属膜を形成してもよい。TiAl膜67及び珪素膜65は、それぞれTiAl合金ターゲット及び珪素ターゲットを用いるスパッタリング法により形成される。すなわち、金属膜を形成する工程では、チタン、アルミニウム及び珪素のうちの2つ以上を含む合金ターゲットを用いるスパッタリング法により金属膜が形成されてもよい。この場合、ターゲットの数を削減できる。例えば、TiAl合金ターゲット及び珪素ターゲットを用いることにより、ターゲットの数を3個から2個に削減できる。また、TiAl合金ターゲットを構成するチタンとアルミニウムとの比率を変更することにより、金属膜を構成するチタンとアルミニウムの割合を調整できる。また、TiAl膜67及び珪素膜65の各々の膜厚を制御することにより、金属膜を構成するチタン及びアルミニウムに対する珪素の割合を調整できる。TiAl膜67と珪素膜65とは、同じチャンバ内で連続して形成することが好ましい。この場合、TiAl膜67と珪素膜65との界面の酸化を抑制できる。また、生産性が向上する。金属膜を形成する工程では、図15に示されるように、珪素膜65の上に第2チタン膜66を形成してもよい。この場合、シリサイド化する工程において、アルミニウムが珪素膜65の側から蒸発することを抑制しやすい。
【0056】
合金化する工程は、金属膜を形成する工程の後に行われる。合金化する工程では、金属膜を、第1温度で第1時間保持し、チタンとアルミニウムとを合金化する。これにより、図16及び図17に示されるように、チタンとアルミニウムとが合金化したアルミニウムチタン合金68が形成される。第1温度は、300℃以上700℃以下が好ましく、400℃以上500℃以下がより好ましい。この場合、金属膜からのアルミニウムの蒸発を抑制しながら、チタンとアルミニウムとを合金化しやすい。第1時間は、例えば30秒以上120秒以下である。合金化する工程では、金属膜のシート抵抗を10Ω/sq以上12Ω/sq以下に調整することが好ましい。この場合、チタンとアルミニウムとが安定化した合金になりやすい。合金化する工程は、減圧されたチャンバ内にアルゴン等の不活性ガスを供給しながら行うことが好ましい。この場合、金属膜の酸化を抑制できる。また、不活性ガスの流量を制御することにより、チャンバ内の圧力を調整してチタンとアルミニウムとの合金比率を調整できる。
【0057】
シリサイド化する工程は、合金化する工程の後に行われる。シリサイド化する工程では、まず、金属膜を、第1温度から、第1温度よりも高い第2温度に昇温する。次に、金属膜を、第2温度で第2時間保持し、金属膜の少なくとも一部を炭化珪素エピタキシャル層40が含む珪素と反応させてシリサイド化する。これにより、図18及び図19に示されるように、ソース領域13及びコンタクト領域18とオーミック接合するコンタクト電極61が形成される。金属膜を第2温度で保持する際にチタンとアルミニウムとが合金化されているので、金属膜からのアルミニウムの蒸発が抑制される。このため、コンタクト電極61の高抵抗化を抑制できる。また、ゲート絶縁膜81、ゲート電極82、層間絶縁膜83等へのアルミニウムの拡散を抑制できる。第2温度は、900℃以上1000℃以下が好ましく、1000℃がより好ましい。この場合、シリサイド化が進行しやすい。第2時間は、例えば180秒以上600秒以下である。シリサイド化する工程では、金属膜のシート抵抗を3Ω/sq以上6Ω/sq以下に調整することが好ましい。この場合、金属膜とソース領域13及びコンタクト領域18との接触抵抗を低減しやすい。シリサイド化する工程は、減圧されたチャンバ内にアルゴン等の不活性ガスを供給しながら行うことが好ましい。この場合、金属膜の酸化を抑制できる。シリサイド化する工程は、生産性の観点から、合金化する工程と同じチャンバ内で連続して行うことが好ましい。ただし、シリサイド化する工程は、合金化する工程とは別のチャンバ内で行ってもよい。また、合金化する工程及びシリサイド化する工程は、例えば金属膜を形成する工程と同じチャンバ内で行ってもよく、別のチャンバ内で行ってもよい。
【0058】
なお、実施形態では、コンタクト電極61を形成する方法を説明したが、ドレイン電極70についてもコンタクト電極61と同様の方法で形成できる。すなわち、ドレイン電極70を形成する方法は、金属膜を形成する工程と、合金化する工程と、シリサイド化する工程とを含んでよい。ドレイン電極70を形成する方法における合金化する工程は、例えばコンタクト電極61を形成する方法における合金化する工程と同時に行ってよい。ドレイン電極70を形成する方法におけるシリサイド化する工程は、例えばコンタクト電極61を形成する方法におけるシリサイド化する工程と同時に行ってよい。この場合、コンタクト電極61及びドレイン電極70を形成するために要する時間を短縮できる。
【0059】
また、シリサイド化する工程の後に、金属膜のシート抵抗を測定する工程を有することが好ましい。この場合、インライン測定の結果に基づいて、金属膜を構成するチタン、アルミニウム及び珪素の比率を管理できる。
【0060】
実施形態に係る炭化珪素半導体装置100は、コンタクト電極61が、炭化珪素とチタンシリサイド合金とを含む第1領域と、炭化珪素とアルミニウムチタン合金とを含む第2領域と、アルミニウムを含む第3領域と、を有する。第1領域において、チタン原子及び炭素原子の原子濃度の和に対する、チタン原子の原子濃度の比率は35at%以上55at%以下である。第2領域において、アルミニウム原子及び炭素原子の原子濃度の和に対する、アルミニウム原子の原子濃度の比率は35at%以上45at%以下である。この場合、チタンとアルミニウムとが合金化されているので、金属膜からのアルミニウムの蒸発が抑制される。このため、コンタクト電極61の高抵抗化を抑制できる。また、ゲート絶縁膜81、ゲート電極82、層間絶縁膜83等へのアルミニウムの拡散を抑制できる。
【0061】
実施形態に係る炭化珪素半導体装置100の製造方法では、まず、炭化珪素基板10の上にチタン、アルミニウム及び珪素を含む材料から構成される金属膜を形成する。次いで、金属膜を第1温度に保持し、チタンとアルミニウムとを合金化する。次いで、金属膜を第1温度よりも高い第2温度に保持し、金属膜の少なくとも一部を炭化珪素基板10が含む珪素と反応させてシリサイド化する。この場合、金属膜を第2温度で保持する際にチタンとアルミニウムとが合金化されているので、金属膜からのアルミニウムの蒸発が抑制される。このため、コンタクト電極61の高抵抗化を抑制できる。また、ゲート絶縁膜81、ゲート電極82、層間絶縁膜83等へのアルミニウムの拡散を抑制できる。
【0062】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 第1主面
2 第2主面
3 側面
4 底面
5 ゲートトレンチ
10 炭化珪素基板
11 ドリフト領域
12 ボディ領域
13 ソース領域
18 コンタクト領域
40 炭化珪素エピタキシャル層
50 炭化珪素単結晶基板
60 ソース電極
61 コンタクト電極
61a 第1領域
61b 第2領域
61c 第3領域
62 ソース配線
63 第1チタン膜
64 アルミニウム膜
65 珪素膜
66 第2チタン膜
67 TiAl膜
70 ドレイン電極
81 ゲート絶縁膜
82 ゲート電極
83 層間絶縁膜
90 コンタクトホール
100 炭化珪素半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19