(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170356
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】光モジュール用パッケージおよび光モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231124BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20231124BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20231124BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/46 N
H05K1/11 H
H05K3/40 E
H05K1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082044
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三澤 太一
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓二
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA43
5E316AA52
5E316BB02
5E316BB04
5E316BB06
5E316FF01
5E316HH04
5E317AA21
5E317AA24
5E317GG11
5E338AA03
5E338AA12
5E338BB16
5E338CC02
5E338CC06
5E338CD23
5E338CD24
5E338CD25
5E338EE11
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】本開示は、隣接する信号配線間のクロストークを低減する光モジュール用パッケージを提供する。
【解決手段】第1配線層と、第2配線層と、第3配線層と、を有する基板を備え、前記第1配線層は、第1信号端子と、第2信号端子と、前記第1信号端子と前記第2信号端子との間に設けられ、前記第1方向に沿って延在する第1グランド端子と、を含み、前記第2配線層は、第1間隔で配列された複数の第1ビアを介して前記第1グランド端子と接続される第1グランドパターンを含み、前記第3配線層は、前記第1方向に沿って前記第1間隔で配列された複数の第2ビアおよび前記第1方向に沿って前記第1間隔で配置された複数の第3ビアを介して前記第1グランドパターンと接続され、前記第1方向に沿って延在する第2グランドパターンを含む光モジュール用パッケージ。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線層と、
前記第1配線層との間に第1絶縁層を含む第2配線層と、
前記第2配線層との間に第2絶縁層を含む第3配線層と、
を有する基板を備え、
前記第1配線層は、第1方向に沿って延在する第1信号端子と、前記第1信号端子に対して前記第1方向と交差する第2方向に沿って配置されるとともに前記第1方向に沿って延在する第2信号端子と、前記第1信号端子と前記第2信号端子との間に設けられるとともに前記第1方向に沿って延在する第1グランド端子と、を含み、
前記第2配線層は、前記第1方向に沿って第1間隔で配列された複数の第1ビアを介して前記第1グランド端子と接続されるとともに前記第1方向に延在する第1グランドパターンを含み、
前記第3配線層は、前記第1方向に沿って前記第1間隔で配列された複数の第2ビアおよび前記第1方向に沿って前記第1間隔で配置された複数の第3ビアを介して前記第1グランドパターンと接続されるとともに前記第1方向に沿って延在する第2グランドパターンを含み、
前記複数の第1ビアは、前記基板に垂直な方向からの平面視において、前記第2方向において前記複数の第2ビアと前記複数の第3ビアとの間に配置され、
前記複数の第2ビアおよび前記複数の第3ビアは、前記基板に垂直な方向からの平面視において、前記第1方向において前記第1間隔の半分の距離だけ互いにずれて配置されている、
光モジュール用パッケージ。
【請求項2】
前記複数の第1ビアと前記複数の第2ビアとの間の前記第2方向における距離は、前記複数の第1ビアと前記複数の第3ビアとの間の前記第2方向における距離と等しい、
請求項1に記載の光モジュール用パッケージ。
【請求項3】
前記第1グランド端子の前記第2方向における横幅は、前記第1グランドパターンの前記第2方向における横幅より小さい、
請求項1に記載の光モジュール用パッケージ。
【請求項4】
前記複数の第1ビアのそれぞれの中心は、前記第1グランド端子の前記第1方向に延伸する中心線の上に配置されている、
請求項1に記載の光モジュール用パッケージ。
【請求項5】
前記第1信号端子と前記中心線との間の前記第2方向における距離は、前記第2信号端子と前記中心線との間の前記第2方向における距離と等しい、
請求項4に記載の光モジュール用パッケージ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光モジュール用パッケージを含む光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュール用パッケージおよび光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、両主面上のそれぞれの上面に信号線用配線導体と、グランド線用配線導体と、を有するフレキシブル配線基板が開示されている。特許文献1には、信号線用配線導体と、グランド線用配線導体のそれぞれが上、下で対象になる位置にそれぞれ信号線用配線導体と、グランド線用配線導体を設けることが開示されている。また、特許文献1には、フレキシブル配線基板の互いのそれぞれの信号線用配線導体と、グランド線用配線導体を結びつけるためのビア導体を長さ方向に等ピッチ間隔で形成することが開示されている。
【0003】
特許文献2には、配線基板の上面に半導体素子が実装されている半導体装置が開示されている。特許文献2には、配線基板が有する二列目の信号端子と四列目の信号端子に接続された層間接続ビアの間にグランドの層間接続ビアを配置することが開示されている。特許文献2には、層間接続ビアがシールドの役割を果たし、差動ペアの異なる信号間のクロストークを抑制することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-015513号公報
【特許文献2】特開2010-192767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光モジュールにおいて、高速の電気信号を光信号に変換して送受信する際に、30GHz以上の周波数領域において、隣接する信号配線間のクロストークが大きくなり光信号の送受信特性が制限される場合がある。
【0006】
本開示は、隣接する信号配線間のクロストークを低減する光モジュール用パッケージを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、第1配線層と、前記第1配線層との間に第1絶縁層を含む第2配線層と、前記第2配線層との間に第2絶縁層を含む第3配線層と、を有する基板を備え、前記第1配線層は、第1方向に沿って延在する第1信号端子と、前記第1信号端子に対して前記第1方向と交差する第2方向に沿って配置されるとともに前記第1方向に沿って延在する第2信号端子と、前記第1信号端子と前記第2信号端子との間に設けられるとともに前記第1方向に沿って延在する第1グランド端子と、を含み、前記第2配線層は、前記第1方向に沿って第1間隔で配列された複数の第1ビアを介して前記第1グランド端子と接続されるとともに前記第1方向に延在する第1グランドパターンを含み、前記第3配線層は、前記第1方向に沿って前記第1間隔で配列された複数の第2ビアおよび前記第1方向に沿って前記第1間隔で配置された複数の第3ビアを介して前記第1グランドパターンと接続されるとともに前記第1方向に沿って延在する第2グランドパターンを含み、前記複数の第1ビアは、前記基板に垂直な方向からの平面視において、前記第2方向において前記複数の第2ビアと前記複数の第3ビアとの間に配置され、前記複数の第2ビアおよび前記複数の第3ビアは、前記基板に垂直な方向からの平面視において、前記第1方向において前記第1間隔の半分の距離だけ互いにずれて配置されている光モジュール用パッケージである。
【発明の効果】
【0008】
本開示の光モジュール用パッケージによれば、隣接する信号配線間のクロストークを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る光トランシーバの構成の概略を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る光モジュールアセンブリの斜視図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る光モジュールの斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板の上面図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板の下面図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係る光モジュールの端子部の上面図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る光モジュールの基板の斜視図である。
【
図8】
図8は、本実施形態に係る光モジュールの端子部を説明する図である。
【
図9】
図9は、本実施形態に係る光モジュールの端子部を説明する図である。
【
図10】
図10は、本実施形態に係る光モジュールの端子部を説明する図である。
【
図11】
図11は、本実施形態に係る光モジュールの評価結果を示す図である。
【
図12】
図12は、比較例の光モジュールの評価結果を示す図である。
【
図13A】
図13Aは、第2配線層のグランドパターンと第3配線層のグランドパターンとを接続するビアの配置を説明する図である。
【
図13B】
図13Bは、第2配線層のグランドパターンと第3配線層のグランドパターンとを接続するビアの配置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の光モジュール用パッケージは、第1配線層と、前記第1配線層との間に第1絶縁層を含む第2配線層と、前記第2配線層との間に第2絶縁層を含む第3配線層と、を有する基板を備える。また、前記第1配線層は、第1方向に沿って延在する第1信号端子と、前記第1信号端子に対して前記第1方向と交差する第2方向に沿って配置されるとともに前記第1方向に沿って延在する第2信号端子と、前記第1信号端子と前記第2信号端子との間に設けられるとともに前記第1方向に沿って延在する第1グランド端子と、を含む。さらに、前記第2配線層は、前記第1方向に沿って第1間隔で配列された複数の第1ビアを介して前記第1グランド端子と接続されるとともに前記第1方向に延在する第1グランドパターンを含む。さらにまた、前記第3配線層は、前記第1方向に沿って前記第1間隔で配列された複数の第2ビアおよび前記第1方向に沿って前記第1間隔で配置された複数の第3ビアを介して前記第1グランドパターンと接続されるとともに前記第1方向に沿って延在する第2グランドパターンを含む。また、前記複数の第1ビアは、前記基板に垂直な方向からの平面視において、前記第2方向において前記複数の第2ビアと前記複数の第3ビアとの間に配置される。さらに、前記複数の第2ビアおよび前記複数の第3ビアは、前記基板に垂直な方向からの平面視において、前記第1方向において前記第1間隔の半分の距離だけ互いにずれて配置されている。
【0012】
本開示の光モジュール用パッケージによれば、隣接する信号配線間のクロストークを低減できる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記複数の第1ビアと前記複数の第2ビアとの間の前記第2方向における距離は、前記複数の第1ビアと前記複数の第3ビアとの間の前記第2方向における距離と等しい。
【0014】
本開示の光モジュール用パッケージによれば、隣接する信号配線間のクロストークを低減できる。
【0015】
(3)上記(1)または(2)において前記第1グランド端子の前記第2方向における横幅は、前記第1グランドパターンの前記第2方向における横幅より小さい。
【0016】
本開示の光モジュール用パッケージによれば、グランド端子と信号端子の間隔を変更せずに、隣接する信号配線間のクロストークを低減できる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、前記複数の第1ビアのそれぞれの中心は、前記第1グランド端子の前記第1方向に延伸する中心線上に配置されている。
【0018】
本開示の光モジュール用パッケージによれば、隣接する信号配線間のクロストークを低減できる。
【0019】
(5)上記(4)において、前記第1信号端子と前記中心線との間の前記第2方向における距離は、前記第2信号端子と前記中心線との間の前記第2方向における距離と等しい。
【0020】
本開示の光モジュール用パッケージによれば、隣接する信号配線間のクロストークを低減できる。
【0021】
(6)本開示の光モジュールは、上記(1)から(5)のいずれかに記載の光モジュール用パッケージを含む。
【0022】
本開示の光モジュールによれば、隣接する信号配線間のクロストークを低減できる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の光モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0024】
なお、各実施形態に係る明細書および図面の記載に関して、実質的に同一のまたは対応する機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
【0025】
平行、直角、直交、水平、垂直などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。例えば、略平行は、2つの線あるいは2つの面が互いに完全に平行でなくても、製造上許容される範囲内で互いに平行として扱うことができることを意味する。他の略直角、略直交、略水平および略垂直についても、略平行と同様に、2つの線または2つの面の相互の位置関係が製造上許容される範囲内であればそれぞれに当該することが意図される。
【0026】
本実施形態に係る光トランシーバ1について説明する。
図1は、本実施形態に係る光トランシーバ1の構成の概略を示す図である。
【0027】
光トランシーバ1は、光モジュール10T、10Rと、フレキシブルプリント基板20T、20Rと、回路基板30と、を備える。光モジュール10T、10Rは、本開示の実施形態に係る光モジュール10の一例である。
【0028】
[光モジュール]
光モジュール10T、10Rは、電気信号と光信号とを相互に変換する。光モジュール10Tは、例えば、TOSA(Transmitter Optical SubAssembly)である。光モジュール10Rは、例えば、ROSA(Receiver Optical SubAssembly)である。
【0029】
光モジュール10Tは、例えば、ドライバ11と、送信用光素子12と、を備える。送信用光素子12は、例えば、発光素子あるいは光変調器である。
【0030】
ドライバ11(駆動回路)は、例えば、回路基板30が備えるDSP(Digital Signal Processor)31からの送信信号Tx2に基づいて、送信用光素子12を駆動する駆動信号Tdを送信用光素子12に出力する。
【0031】
送信用光素子12は、駆動信号Tdに応じて送信光信号Ltを出力する。送信用光素子12から出力された送信光信号Ltは、光ファイバを経由して別の光トランシーバに伝送される。送信用光素子12は、例えば、レーザダイオードあるいはマッハツェンダー型変調器である。
【0032】
光モジュール10Rは、例えば、トランスインピーダンスアンプ13と、受信用光素子14と、を備える。トランスインピーダンスアンプ13は、受信用光素子14からの電流信号である受信信号Riを電圧信号である受信信号Rx2に変換して、回路基板30が備えるDSP31に出力する。
【0033】
受信用光素子14は、例えば、フォトダイオードである。受信用光素子14は、光ファイバを介して別の光トランシーバから受信した受信光信号Lrを受信信号Riに変換する。
【0034】
光トランシーバ1は、さらに光源15(不図示)を備えていてもよい。光源15は、例えば波長可変レーザである。光源15は、所定のピーク波長を有する連続光(CW光)Lbを生成し、送信用光素子12に出力する。例えば、送信用光素子12が光変調器の場合、光源15から供給されるCW光Lbを駆動信号Tdに応じて変調して送信光信号Ltを生成する。また、受信用光素子14は、90°光ハイブリッドを備えていてもよい。受信用光素子14は、受信光信号LrをCW光Lbと干渉させて生成された光信号から受信信号Riを生成してもよい。
【0035】
[フレキシブルプリント基板]
フレキシブルプリント基板20T、20Rは、光モジュール10T、10Rと回路基板30とをそれぞれ電気的に接続する。フレキシブルプリント基板20T、20Rは、複数の信号配線を有する。フレキシブルプリント基板20T、20Rの信号配線は、例えば、伝送線路を形成する。例えば、フレキシブルプリント基板20T、20Rは、1つの差動信号を伝送するために、一対の信号配線から成る差動信号配線を備える。差動信号配線は、高速の差動信号を良好な波形品質にて伝送するために、例えば、差動伝送線路を形成する。
【0036】
[回路基板]
回路基板30は、例えば、光トランシーバ1の内部を制御する制御回路を備える。例えば、制御回路は、光モジュール10T、10Rの動作を制御するための検出回路やマイクロコントローラ等を含む。また、回路基板30は、光トランシーバ1が接続されるホスト(伝送装置)と光トランシーバ1の監視・制御のための通信を行う。さらに、回路基板30は、例えば、ホストとの通信に基づいて、光モジュール10T、10Rを制御する。回路基板30は、ホストからの問合せに応じて光モジュール10T、10Rの動作状態に関する情報をホストに送信する。
【0037】
回路基板30は、例えば、DSP31を備える。DSP31は、ホストから送信される送信信号Tx1をドライバ11への送信信号Tx2に変換する。例えば、DSP31がCDR(Clock Data Recovery)回路を含む場合、送信信号Tx1から波形整形された信号を生成して送信信号Tx2として出力する。また、DSP31は、トランスインピーダンスアンプ13からの受信信号Rx2をホストに送信する受信信号Rx1に変換する。例えば、DSP31がCDR回路を含む場合、受信信号Rx2から波形整形された信号を生成して受信信号Rx1として出力する。DSP31は、例えば、送信信号Tx1および受信信号Rx1を伝達する信号配線とは別に用意された専用の信号配線を介してホストと監視制御のための制御信号Ctl1を送受信する。
【0038】
次に、光トランシーバ1に用いられる構成について詳細を説明する。なお、図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が示される場合がある。例えば、図面の紙面に対して垂直な座標軸について、座標軸の丸の中にバツ印を示す場合は紙面に対して奥の方向が座標軸の正の領域であることを表す。また、図面の紙面に対して垂直な座標軸について、座標軸の丸の中に黒丸印を示す場合は紙面に対して手前側が座標軸の正の領域であることを表す。ただし、当該座標系は、説明のために主に方向を示すものであって、本開示の光モジュール等の座標および姿勢のそれぞれについて限定するものではない。
【0039】
なお、本開示では、特に説明しない限り、X軸は光モジュール10T、10Rの端子が並ぶ方向、Y軸は光モジュール10T、10Rの端子の厚み方向、Z軸は光モジュール10T、10Rの端子が延びる方向とする。例えば、送信信号Tx2および受信信号Rx2は、Z軸に沿って回路基板30と光モジュール10T、10Rとの間を伝達される。また、特に断らない限り、各図に示される同一の名称の座標軸は、互いに同一のものを表す。例えば、
図2におけるX軸は、
図3におけるX軸と同一のものを表している。
【0040】
[光モジュールアセンブリ]
光モジュールアセンブリ2は、光モジュール10Tまたは10Rと、光モジュール10Tまたは10Rに対応するフレキシブルプリント基板20Tまたは20Rと、を備える。以下では、光モジュールアセンブリ2が光モジュール10Tとフレキシブルプリント基板20Tとによって構成される場合について説明する。
図2は、本実施形態に係る光モジュールアセンブリ2の斜視図である。光モジュールアセンブリ2が備える光モジュール10Tとフレキシブルプリント基板20Tとは、ハンダ付け等により電気的に接続される。
【0041】
[光モジュール]
光モジュール10Tは、ドライバ11および送信用光素子12に加えてパッケージ16を備える。
図3は、本実施形態に係る光モジュール10Tの斜視図である。パッケージ16の内部には、例えば、ドライバ11、送信用光素子12、が収容されている。
【0042】
パッケージ16は、例えば、直方体状の外形を有する。より詳細には、パッケージ16は、基板16aと、載置基板16bと、側壁部16cと、蓋部16dと、を備える。
【0043】
基板16aは、例えば、光モジュール10Tの外部からの信号を光モジュール10Tの内部に導入する。なお、基板16aは、光モジュール10Tの内部からの信号を光モジュール10Tの外部に出力してもよい。基板16aは、パッケージ16の内部と外部との間で信号を伝達するための信号配線を有する。そのような信号配線をフィードスルーともいう。また、そのような信号配線を有する基板16aのことをフィードスルーということがある。
【0044】
基板16aは、例えば、セラミック基板である。基板16aは、表面および内部に配線層を有する多層配線基板である。基板16aは、例えば、配線層と配線層の間にセラミックで形成される絶縁層を有する。光モジュール10Tは、基板16aに端子部10aを有する。配線層には、送信信号Tx2や受信信号Rx2を伝達するための信号配線、グランド線および内部に電力を供給するための電源線等が設けられる。端子部10aは、例えば、基板16aの表面の配線層(第1配線層)に設けられる。
【0045】
載置基板16bは、四角の平板状の外形を有する。載置基板16bは、例えば、XZ平面に平行な上面を有する。載置基板16bの上面には、例えば、光モジュール10Tが備えるドライバ11および送信用光素子12が載置される。載置基板16bは、側壁部16cの下側(-Y側)を閉塞する。載置基板16bは、例えば、側壁部16cの下側と接合されているか、側壁部16cと一体で形成されている。
【0046】
側壁部16cは、パッケージ16の側壁を形成する。側壁部16cは、YZ面に平行な一対の側壁(以下、横壁という)と、XY面に平行な一対の側壁(以下、前壁および後壁という)と、を有する。
【0047】
前壁には基板16aが設けられている。後壁は、Z軸方向において前壁の反対側に位置する。後壁には、例えば、送信光信号Ltを外部に出力するための光学部品(不図示)が設けられている。前壁および後壁は、それぞれ一対の横壁と接続されている。一対の横壁、前壁および後壁は、内側に空間(内部空間)を構成する。内部空間は、XZ平面において一対の横壁、前壁および後壁によって周囲を囲まれている。内部空間には、光モジュール10Tが備えるドライバ11および送信用光素子12が収容される。
【0048】
蓋部16dは、側壁部16cの上側(+Y側)を閉塞する。例えば、蓋部16dは、側壁部16cの上側と接合される。蓋部16dは、例えば、金属製のリッドであり、シーム溶接によって側壁部16cの上部に接合される。内部空間は、基板16a、載置基板16b、側壁部16cおよび蓋部16dにより画成される。例えば、内部空間がパッケージ16の外部から隔絶されるように、パッケージ16は、気密封止される。なお、光モジュール10Rは、光モジュール10Tのパッケージ16と同様のパッケージを有し、そのパッケージの内部空間にトランスインピーダンスアンプ13および受信用光素子14を収容する。光モジュール10Rのパッケージについての説明は省略する。
【0049】
[フレキシブルプリント基板]
フレキシブルプリント基板20Tの構成について詳細を説明する。
図4は、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板20Tの上面図である。具体的には、
図4は、フレキシブルプリント基板20TをY軸の正の領域からY軸の負の領域に向かって見たときの上面図である。
図5は、本実施形態に係るフレキシブルプリント基板20Tの下面図である。具体的には、
図5は、フレキシブルプリント基板20TをY軸の負の領域からY軸の正の領域に向かって見たときの上面図である。なお、フレキシブルプリント基板20Rは、フレキシブルプリント基板20Tの構成と同様の構成を有する。フレキシブルプリント基板20Rについては詳細な説明を省略する。
【0050】
フレキシブルプリント基板20Tは、Z軸方向に沿って延在する。フレキシブルプリント基板20Tは、例えば、延在する方向(Z軸方向)の両端で同様の形状を有する。なお、両端での形状が異なっていてもよい。
図4および
図5では、フレキシブルプリント基板20Tの光モジュール10Tと接続する側(Z軸の負側)の端部について示し、フレキシブルプリント基板20Tの光モジュール10Tと接続する側の反対側(Z軸の正側)の端部については説明を省略する。
【0051】
フレキシブルプリント基板20Tは、絶縁層Lmの上面LmS1に一対の信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nを有する。一対の信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nは、上面の配線層の一部として形成される。信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nのそれぞれは、Z軸方向に沿って延在する。信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nには、差動信号が伝送される。信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nは、例えば、伝送線路として形成される。
【0052】
フレキシブルプリント基板20Tは、絶縁層Lmの上面LmS1における光モジュール10Tと接続する側の端部に、信号配線WaS1pと接続する信号端子FaS1pを有する。フレキシブルプリント基板20Tは、上面LmS1における光モジュール10Tと接続する側の端部に、信号配線WaS1nと接続する信号端子FaS1nを有する。信号端子FaS1pと信号端子FaS1nとをまとめて差動信号端子FaS1という場合がある。
【0053】
同様に、フレキシブルプリント基板20Tは、絶縁層Lmの上面LmS1に一対の信号配線WaS2pおよび信号配線WaS2nを有する。一対の信号配線WaS2pおよび信号配線WaS2nは、上面の配線層の一部として形成される。信号配線WaS2pおよび信号配線WaS2nのそれぞれは、Z軸方向に沿って延在する。信号配線WaS2pおよび信号配線WaS2nには、信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nが伝送する差動信号とは異なる差動信号が伝送される。信号配線WaS2pおよび信号配線WaS2nは、例えば、伝送線路として形成される。フレキシブルプリント基板20Tは、上面LmS1における光モジュール10Tと接続する側の端部に、信号配線WaS2pと接続する信号端子FaS2pと、信号配線WaS2nと接続する信号端子FaS2nと、を有する。信号端子FaS2pと信号端子FaS2nとをまとめて差動信号端子FaS2という場合がある。
【0054】
また、フレキシブルプリント基板20Tは、上面LmS1に一対の信号配線WaS3pおよび信号配線WaS3nと、一対の信号配線WaS4pおよび信号配線WaS4nと、を有する。一対の信号配線WaS3pおよび信号配線WaS3nは、一対の信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nと同様の構成を有する。一対の信号配線WaS4pおよび信号配線WaS4nは、一対の信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nと同様の構成を有する。一対の信号配線WaS3pおよび信号配線WaS3nと、一対の信号配線WaS4pおよび信号配線WaS4nと、については詳細な説明を省略する。
【0055】
さらに、フレキシブルプリント基板20Tは、信号配線WaS3pと接続する信号端子FaS3pおよび信号配線WaS3nと接続する信号端子FaS3nと、信号配線WaS4pと接続する信号端子FaS4pおよび信号配線WaS4nと接続する信号端子FaS4nと、を有する。信号端子FaS3pおよび信号端子FaS3nと、信号端子FaS4pおよび信号端子FaS4nと、については詳細な説明を省略する。
【0056】
信号配線WaS1p、信号配線WaS1n、信号配線WaS2p、信号配線WaS2n、信号配線WaS3p、信号配線WaS3n、信号配線WaS4pおよび信号配線WaS4nは、X軸の負側から順に上面LmS1に並んで配置される。フレキシブルプリント基板20Tは、上面LmS1に、信号配線WaS1p、信号配線WaS1nおよび他の信号配線を覆うように、絶縁被覆Lgaを有する。絶縁被覆Lgaは、絶縁性を有する材料で形成され、例えば、各信号配線が他の配線等と電気的に接触することや信号配線が外部との接触によって傷つくことを防ぐ。絶縁被覆Lgaは、例えば、カバーレイであってもよいし、ソルダーレジストであってもよい。
【0057】
フレキシブルプリント基板20Tは、光モジュール10Tと接続する側の端部におけるX軸の負側の端部に、グランドパターンFaG1を有する。また、フレキシブルプリント基板20Tは、信号端子FaS1nと信号端子FaS2pとの間、いいかえると、差動信号端子FaS1と差動信号端子FaS2との間に、グランドパターンFaG2を有する。同様に、フレキシブルプリント基板20Tは、信号端子FaS2nと信号端子FaS3pとの間、いいかえると、差動信号端子FaS2と差動信号端子FaS3との間に、グランドパターンFaG3を有する。また、フレキシブルプリント基板20Tは、信号端子FaS3nと信号端子FaS4pとの間、いいかえると、差動信号端子FaS3と差動信号端子FaS4との間に、グランドパターンFaG4を有する。光モジュール10Tと接続する側の端部におけるX軸の正側の端部に、グランドパターンFaG5を有する。
【0058】
フレキシブルプリント基板20Tは、絶縁層Lmの下面LmS2にグランドパターンWbGを有する。グランドパターンWbGは、X軸方向およびZ軸方向に延在する平面状のパターンであり、例えば、いわゆるベタパターンとして形成される。グランドパターンWbGは、下面LmS2の配線層の一部として形成される。また、フレキシブルプリント基板20Tは、絶縁層Lmの下面LmS2における光モジュール10Tと接続する側の端部に、X軸の負側から順に、グランド端子FbG1、グランド端子FbG2、グランド端子FbG3、グランド端子FbG4およびグランド端子FbG5を有する。グランド端子FbG1、グランド端子FbG2、グランド端子FbG3、グランド端子FbG4およびグランド端子FbG5のそれぞれは、Z軸方向に沿って延在してグランドパターンWbGに接続される。なお、X軸方向に沿って配置されるグランド端子FbG1、信号端子FbS1p、信号端子FbS1nおよびグランド端子FbG2による構成をGSSG構成ともいう。ここで、Sは信号配線(信号端子)を意味し、Gはグランド配線(グランド端子)を意味する。
【0059】
グランドパターンFaG1は、スルーホールビア(以下、単にビアという)を介してグランド端子FbG1と電気的に接続される。
図4および
図5に示される円は、ビアを表している。ビアは、Y軸方向に沿って絶縁層Lmを貫通し、上面LmS1の配線層と下面LmS2の配線層とを電気的に接続するよう内部はメッキが施されている。同様に、グランドパターンFaG2は、ビアを介してグランド端子FbG2と電気的に接続される。グランドパターンFaG3、グランドパターンFaG4およびグランドパターンFaG5についても同様に、ビアを介してそれぞれグランド端子FbG3、グランド端子FbG4およびグランド端子FbG5と電気的に接続される。
【0060】
フレキシブルプリント基板20Tは、グランド端子FbG1とグランド端子FbG2との間に、信号端子FbS1pおよび信号端子FbS1nを有する。信号端子FbS1pは、信号端子FaS1pとビアを介して電気的に接続される。信号端子FbS1nは、信号端子FaS1nとビアを介して電気的に接続される。
【0061】
同様に、フレキシブルプリント基板20Tは、グランド端子FbG2とグランド端子FbG3との間に、信号端子FbS2pおよび信号端子FbS2nを有する。信号端子FbS2pは、信号端子FaS2pとビアを介して電気的に接続される。信号端子FbS2nは、信号端子FaS2nとビアを介して電気的に接続される。
【0062】
また、フレキシブルプリント基板20Tは、グランド端子FbG3とグランド端子FbG4との間に、信号端子FbS3pおよび信号端子FbS3nを有する。信号端子FbS3pは、信号端子FaS3pとビアを介して電気的に接続される。信号端子FbS3nは、信号端子FaS3nとビアを介して電気的に接続される。
【0063】
さらに、フレキシブルプリント基板20Tは、グランド端子FbG4とグランド端子FbG5との間に、信号端子FbS4pおよび信号端子FbS4nを有する。信号端子FbS4pは、信号端子FaS4pとビアを介して電気的に接続される。信号端子FbS4nは、信号端子FaS4nとビアを介して電気的に接続される。
【0064】
フレキシブルプリント基板20Tは、下面LmS2に、グランドパターンWbGを覆うように、絶縁被覆Lgbを有する。絶縁被覆Lgbは、絶縁性を有する材料で形成され、例えば、グランドパターンが他の配線等と電気的に接触することやグランドパターンが外部との接触によって傷つくことを防ぐ。絶縁被覆Lgbは、例えば、カバーレイであってもよいし、ソルダーレジストであってもよい。なお、絶縁被覆Lgbは、信号端子FbS1pおよび信号端子FbS1n等の配線層を露出させる必要がある部分以外を覆っていてもよい。
【0065】
フレキシブルプリント基板20Tにおいて、信号配線WaS1pおよび信号配線WaS1nと、グランドパターンWbGとは、伝送線路を構成する。同様に、信号配線WaS2pおよび信号配線WaS2n、信号配線WaS3pおよび信号配線WaS3n並びに信号配線WaS4pおよび信号配線WaS4nと、グランドパターンWbGとは、伝送線路を構成する。これらの伝送線路は、特に差動信号を伝送するのに適した差動伝送線路として構成されている。伝送線路は、例えば、マイクロストリップラインであってもよく、グランデッドコプレーナ線路であってもよい。
【0066】
フレキシブルプリント基板20Tの下面LmS2に形成される複数のグランド端子および複数の信号端子は、光モジュール10Tの端子部10aに形成されるグランド端子および複数の信号端子にハンダにより接続される。このとき、フレキシブルプリント基板20Tのグランド端子は、光モジュール10Tのグランド端子と一対一で接続され、フレキシブルプリント基板20Tの複数の信号端子は、それぞれに対応する光モジュール10Tの複数の信号端子と一対一で接続される。フレキシブルプリント基板20Tと光モジュール10Tとを接続する際には、接続部分での信号の反射を低減するために、フレキシブルプリント基板20Tと光モジュール10Tとの間で接続部分においてインピーダンスが整合するように接続する。なお、フレキシブルプリント基板20Tの上下が反転した状態で、フレキシブルプリント基板20Tの上面LmS1に形成される複数のグランド端子および複数の信号端子が、光モジュール10Tの端子部10aに形成される対応するグランド端子および複数の信号端子にハンダにより接続されてもよい。フレキシブルプリント基板20Tの上下を反転した場合には、差動信号端子FaS1、FaS2、FaS3、FaS4のX軸方向の順番は上下を反転する前と反対になるが、フレキシブルプリント基板20Tの複数の信号端子と光モジュール10Tの複数の信号端子とが互いに正しく対応するように適宜差動信号の順番を入れ替えればよい。
【0067】
<基板16aの詳細>
光モジュール10Tの端子部10aを構成する基板16aについて詳細を説明する。
図6は、本実施形態に係る光モジュール10Tの端子部10aの上面図である。具体的には、
図6は、光モジュール10TをY軸の正の領域からY軸の負の領域に向かって見たときの(あるいは、Y軸方向からの平面視における)上面図である。
【0068】
光モジュール10Tは、端子部10aに、より具体的には基板16aの上面16aSに、X軸の負側の端からX軸の正側に向かって順に、グランド端子TaG1、信号端子TaS1p、信号端子TaS1nおよびグランド端子TaG2を有する。グランド端子TaG1、信号端子TaS1p、信号端子TaS1nおよびグランド端子TaG2は、上面16aSの配線層の一部として形成される。信号端子TaS1pおよび信号端子TaS1nのそれぞれは、Z軸方向に沿って延在する。信号端子TaS1pおよび信号端子TaS1nをまとめて差動信号端子TaS1という場合がある。なお、X軸方向に沿って配置されるグランド端子TaG1、信号端子TaS1p、信号端子TaS1nおよびグランド端子TaG2による構成は、GSSG構成の一例である。
【0069】
また、光モジュール10Tは、上面16aSに、グランド端子TaG2に隣接してX軸の正側に向かって順に、信号端子TaS2p、信号端子TaS2nおよびグランド端子TaG3を有する。信号端子TaS2pおよび信号端子TaS2nのそれぞれは、Z軸方向に沿って延在する。信号端子TaS2pおよび信号端子TaS2nをまとめて差動信号端子TaS2という場合がある。なお、X軸方向に沿って配置されるグランド端子TaG2、信号端子TaS2p、信号端子TaS2nおよびグランド端子TaG3による構成は、GSSG構成の一例である。このように、このGSSG構成と上述のGSSG構成とは、端のグランド端子(G)を互いに共有して構成されてもよい。したがって、例えば、GSSGSSGと表記されるように構成されてもよい。
【0070】
さらに、光モジュール10Tは、上面16aSに、グランド端子TaG3に隣接してX軸の正側に向かって順に、信号端子TaS3p、信号端子TaS3nおよびグランド端子TaG4を有する。信号端子TaS3pおよび信号端子TaS3nのそれぞれは、Z軸方向に沿って延在する。信号端子TaS3pおよび信号端子TaS3nをまとめて差動信号端子TaS3という場合がある。X軸方向に沿って配置されるグランド端子TaG3、信号端子TaS3p、信号端子TaS3nおよびグランド端子TaG4による構成は、GSSG構成の一例である。X軸方向に沿って配置されるグランド端子TaG3、信号端子TaS3p、信号端子TaS3nおよびグランド端子TaG4による構成は、グランド端子TaG2、信号端子TaS2p、信号端子TaS2nおよびグランド端子TaG3による構成と同じ形状や間隔等を有していてもよい。
【0071】
さらにまた、光モジュール10Tは、上面16aSに、グランド端子TaG4に隣接してX軸の正側に向かって順に、信号端子TaS4p、信号端子TaS4n、グランド端子TaG5を有する。信号端子TaS4pおよび信号端子TaS4nのそれぞれは、Z軸方向に沿って延在する。信号端子TaS4pおよび信号端子TaS4nをまとめて差動信号端子TaS4という場合がある。X軸方向に沿って配置されるグランド端子TaG4、信号端子TaS4p、信号端子TaS4nおよびグランド端子TaG5による構成は、GSSG構成の一例である。
【0072】
グランド端子TaG1、グランド端子TaG2、グランド端子TaG3、グランド端子TaG4およびグランド端子TaG5のそれぞれは、上面16aSにおいてZ軸方向に沿って延在する。なお、各グランド端子のX軸方向の長さ(幅)、X軸方向の間隔(ピッチ)およびZ軸方向の長さは、互いに同じ値に設定されていてもよい。例えば、グランド端子TaG1およびグランド端子TaG2の間隔は、グランド端子TaG2およびグランド端子TaG3の間隔と同じ値に設定されてもよい。
【0073】
図7は、本実施形態に係る光モジュール10Tの基板16aの斜視図である。
図7において、基板16aの絶縁層は透明として配線層およびビアを実線にて描いている。
図8は、本実施形態に係る光モジュール10Tの端子部10aについて、
図6の領域Aを拡大した上面図である。具体的には、
図8は、光モジュール10Tの端子部をY軸の正の領域からY軸の負の領域に向かって見たときの上面図である。
図8において、基板16aの絶縁層は透明として配線層を実線にて描き、ビアを破線にて描いている。
【0074】
図9は、
図8のI-I断面における断面図である。具体的には、光モジュール10Tの端子部10aを
図8のI-I断面で切断し、X軸の正の領域からX軸の負の領域に向かって見たときの断面図である。
図9において、基板16aの絶縁層は透明として配線層およびビアを実線にて描いている。
【0075】
基板16aは、基板16aの上面16aSに設けられる第1配線層L1と、第1配線層L1との間に第1絶縁層Li1を含む第2配線層L2と、第2配線層L2との間に第2絶縁層Li2を含む第3配線層L3と、を有する。すなわち、第3配線層L3、第2絶縁層Li2、第2配線層L2、第1絶縁層Li1および第1配線層L1は、この順にY軸方向に沿ってY軸の負の領域からY軸の正の領域に向かって積層されている。第1配線層L1、第2配線層L2および第3配線層L3は、XZ平面に平行に形成されている。第1配線層L1、第2配線層L2および第3配線層L3は、導電性を有する金属(例えば、銅箔)によって形成されている。
【0076】
(第1配線層L1)
基板16aは、第1配線層L1に、グランド端子として、グランド端子TaG1、グランド端子TaG2、グランド端子TaG3、グランド端子TaG4およびグランド端子TaG5を有する。また、基板16aは、第1配線層L1に、信号端子として、信号端子TaS1p、信号端子TaS1n、信号端子TaS2p、信号端子TaS2n、信号端子TaS3p、信号端子TaS3n、信号端子TaS4pおよび信号端子TaS4nを有する。信号端子TaS1pおよび信号端子TaS1nは、1つの差動信号を伝達するために使用される。
図6は、4つの差動信号が互いに並行して伝達される場合の実施形態の一例を示している。1つの差動信号あるいは1つの差動信号配線を、チャネルともいう。すなわち、
図6は、4チャネルを扱う場合の実施形態の一例を示している。1つのチャネルのみ扱う場合には、第1配線層L1は、少なくともグランド端子TaG1、信号端子TaS1p、信号端子TaS1nおよびグランド端子TaG2を有していればよい。その場合に、グランド端子TaG1、信号端子TaS1p、信号端子TaS1nおよびグランド端子TaG2は、上述のGSSG構成となるように構成されてもよい。また、2つのチャネルを扱う場合には、第1配線層L1は、少なくともグランド端子TaG1、信号端子TaS1p、信号端子TaS1n、グランド端子TaG2、信号端子TaS2p、信号端子TaS2nおよびグランド端子TaG3、を有していればよい。その場合に、グランド端子TaG1、信号端子TaS1p、信号端子TaS1n、グランド端子TaG2、信号端子TaS2p、信号端子TaS2nおよびグランド端子TaG3は、上述のGSSGSSG構成となるように構成されてもよい。
【0077】
グランド端子および信号端子のそれぞれは、導電性を有する部材により形成される。グランド端子および信号端子のそれぞれは、Z軸方向に沿って延在する。グランド端子は、X軸方向に横幅W1(
図10参照)を有する。信号端子の横幅、一対の信号端子間の距離および信号端子とグランド端子との距離は、絶縁層のY軸方向の厚さ、絶縁層の比誘電率等に応じて差動伝送線路が形成されるように決められる。なお、一方で、光モジュール10Tの小型化あるいは高密度実装のためには、端子部10aのX軸方向の長さ(例えば、光モジュール10Tの横幅Wに等しい)は、小さい値となることが好ましい(
図6参照)。したがって、グランド端子の横幅W1、信号端子の横幅、一対の信号端子間の距離および信号端子とグランド端子との距離は、小さい値とされることが好ましい。
【0078】
(第1絶縁層Li1)
基板16aは、第1配線層L1および第2配線層L2との間に、第1絶縁層Li1を有する。第1絶縁層Li1は、例えば、セラミック材料を含むグリーンシートとして成形され焼結によって形成される。第1絶縁層Li1は、絶縁性を有する材料によって形成され、第1配線層L1と第2配線層L2とを電気的に絶縁する。第1絶縁層Li1の厚さt1は、例えば、100から300マイクロメートルである。なお、基板16aには、第1配線層L1に設けられた配線あるいは端子と第2配線層L2に設けられた配線とを電気的に接続するために第1絶縁層Li1を貫通するビアが設けられる。ビアについては、後述する。
【0079】
(第2配線層L2)
基板16aは、第2配線層L2に、第1配線層L1のグランド端子TaG1の下にグランドパターンTbG1を有する。同様に、基板16aは、グランド端子TaG2の下にグランドパターンTbG2、グランド端子TaG3の下にグランドパターンTbG3、グランド端子TaG4の下にグランドパターンTbG4およびグランド端子TaG5の下にグランドパターンTbG5を有する。グランドパターンは、X軸方向に横幅W2(
図10参照)を有する。なお、グランド端子の横幅W1は、グランドパターンの横幅W2より小さい。例えば、
図10に示されるように、Y軸方向からの平面視においてグランド端子TaG3はグランドパターンTbG3の中に含まれる。
【0080】
なお、第2配線層L2において、信号端子TaS1p、信号端子TaS1n、信号端子TaS2p、信号端子TaS2n、信号端子TaS3p、信号端子TaS3n、信号端子TaS4pおよび信号端子TaS4nのそれぞれの下には、電極等の導電性部材は設けられていない。この電極等の導電性部材のない領域では、第1絶縁層Li1と第2絶縁層Li2とが互いに接触して形成されている。
【0081】
(第2絶縁層Li2)
基板16aは、第2配線層L2および第3配線層L3との間に、第2絶縁層Li2を有する。第2絶縁層Li2は、例えば、セラミック材料を含むグリーンシートとして成形され焼結によって形成される。第2絶縁層Li2は、絶縁性を有する材料によって形成され、第2配線層L2と第3配線層L3とを電気的に絶縁する。第2絶縁層Li2の厚さt2は、例えば、100から300マイクロメートルである。なお、第2絶縁層Li2には、第2配線層L2に設けられた配線と第3配線層L3に設けられた配線とを電気的に接続するためにビアが設けられる。ビアについては後述する。
【0082】
(第3配線層L3)
基板16aは、第3配線層L3に、グランド端子TaG1の下からグランド端子TaG5の下まで、X軸方向にわたって設けられるグランドパターンTcGを有する。したがって、グランドパターンTcGはY軸方向およびX軸方向に沿って延在する。グランドパターンTcGは、いわゆるベタパターン(ベタグランド)であってもよい。Y軸方向からの平面視において、グランド端子TaG1、TaG2、TaG3、TaG4およびTaG5はグランドパターンTbG3の中に含まれる。
【0083】
(第1配線層L1と第2配線層L2との接続構造)
グランド端子TaG1、グランド端子TaG2、グランド端子TaG3、グランド端子TaG4およびグランド端子TaG5は、同様の構成を有していることから、ここでは、グランド端子TaG3を例に説明する。以下、同様である。グランド端子TaG3は、差動信号端子TaS2と差動信号端子TaS3との間に設けられている(
図6参照)。
【0084】
図10は、
図8の上面図において、説明のために中心線および寸法を追加した図である。
【0085】
基板16aは、第1配線層L1に設けられたグランド端子TaG3と、第2配線層L2に設けられたグランドパターンTbG3とを電気的に接続するビアVa1、ビアVa2、ビアVa3およびビアVa4を有する。ビアVa1、ビアVa2、ビアVa3およびビアVa4は、第1絶縁層Li1をY軸方向に沿って貫通するように形成されている。ビアVa1、ビアVa2、ビアVa3およびビアVa4は、第1配線層L1から第2配線層L2までに設けられた穴であり、内側がメッキされて第1配線層L1および第2配線層L2と電気的に接続されている。ビアVa1、ビアVa2、ビアVa3およびビアVa4は、例えばブラインドビアである。ビアの内側は導電性を有する金属で充填されていてもよい。Y軸方向からの平面視において、ビアVa1、ビアVa2、ビアVa3およびビアVa4のそれぞれの中心は、グランド端子TaG3およびグランドパターンTbG3のそれぞれのZ軸方向に延伸する中心線CL1上に並んで配列される。
【0086】
ビアVa1、ビアVa2、ビアVa3およびビアVa4は、それぞれの中心が中心線CL1に沿って、間隔paにより等間隔で配置される。中心線CL1は、Y軸方向からの平面視において、Z軸方向に沿って延びる仮想の直線である。間隔paは、例えば、ビアVa1の円形の中心とビアVa2の円形の中心との距離である。
【0087】
(第2配線層L2と第3配線層L3との接続構造)
基板16aは、第2配線層L2に設けられたグランドパターンTbG3と、第3配線層L3に設けられたグランドパターンTcGとを接続するビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14を有する。ビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14は、第2絶縁層Li2をY軸方向に沿って貫通するように形成されている。ビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14は、第2配線層L2から第3配線層L3までに設けられた穴であり、内側がメッキされて第2配線層L2および第3配線層L3と電気的に接続されている。ビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14は、例えば、ベリッドビアである。また、基板16aは、第2配線層L2に設けられたグランドパターンTbG3と、第3配線層L3に設けられたグランドパターンTcGとの間を接続するビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24を有する。ビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24は、第2絶縁層Li2をY軸方向に沿って貫通するように形成されている。ビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24は、第2配線層L2から第3配線層L3までに設けられた穴であり、内側がメッキされて第2配線層L2および第3配線層L3と電気的に接続されている。ビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24は、例えば、ベリッドビアである。
【0088】
ビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14は、それぞれの中心が中心線CL21に沿って、間隔pb1により等間隔で配列される。中心線CL21は、Y軸方向からの平面視において、Z軸方向に沿って延びる仮想の直線である。間隔pb1は、例えば、ビアVb12の円形の中心とビアVb13の円形の中心との距離である。中心線CL21は、中心線CL1に対して、Y軸方向からの平面視で(Y軸方向の正側から負側をみた場合に)、X軸方向の負側に間隔d1離れて設けられる。したがって、中心線CL21は、中心線CL1と差動信号端子TaS2との間に設けられている。
【0089】
ビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24は、それぞれの中心が中心線CL22に沿って、間隔pb2により等間隔で配列される。中心線CL22は、Y軸方向からの平面視において、Z軸方向に沿って延びる仮想の直線である。間隔pb2は、例えば、ビアVb22の円形の中心とビアVb23の円形の中心との距離である。中心線CL22は、中心線CL1に対して、Y軸方向からの平面視で(Y軸方向の正側から負側をみた場合に)、X軸方向の正側に間隔d2離れて設けられる。したがって、中心線CL22は、中心線CL1と差動信号端子TaS3との間に設けられている。なお、間隔d2は、間隔d1の長さと同じ長さに設定されてもよい。ビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24と、ビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14とは、Z軸方向に沿って間隔pb1または間隔pb2の半分の距離だけ互いにずれて配置される。なお、間隔pb2は、間隔pb1の長さと同じ長さに設定されてもよい。
【0090】
本実施形態に係る光モジュール10Tにおいては、間隔pb1および間隔pb2は、間隔paの長さと同じ長さに設定されてもよい。間隔pa、間隔pb1および間隔pb2は、例えば、ビアの穴あけ加工の精度や絶縁層の厚さ・強度等に応じてできるだけ小さくすることが好ましい。例えば、間隔pa、間隔pb1および間隔pb2は、200~350マイクロメートルに設定される。本実施形態に係る光モジュール10Tにおいては、ビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24と、ビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14とを、互いにずらして配置することにより、差動信号端子TaS2と差動信号端子TaS3との間に設けられるビアの見かけの間隔を狭くできる。
【0091】
例えば、間隔pa、間隔pb1および間隔pb2を300マイクロメートル、ビアの径を75マイクロメートルとすると、例えば、
図9におけるビアVb11とビアVb21との間隔は、75マイクロメートルとなる。例えば、絶縁層を伝搬する周波数80ギガヘルツの電磁波の波長は1~2mm程度である。したがって、ビアの見かけ上の間隔は、絶縁層を伝搬する電磁波の四分の一波長より十分小さくなることから、ビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24と、ビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14が差動信号端子TaS2と差動信号端子TaS3との間のシールドとして作用する。
【0092】
一方、ビアを互いにずらさずに配置した場合には、ビア間の間隔は225マイクロメートルとなり、特に高い周波数において、ビアがシールドとして作用しない可能性がある。例えば、差動信号が80GHz以上の周波数成分を含む場合に、差動信号端子TaS2と差動信号端子TaS3との間にクロストークが生じて、差動信号の波形品質が劣化するおそれがある。
【0093】
<クロストークの影響>
本実施形態に係る光モジュール10Tを用いたときの差動信号間のクロストークについて計算した電磁界解析の結果を
図11に示す。
図11は、領域Rtxに設けられた信号端子に差動信号が入力されたときの電場分布を示す。領域Rgndは、グランド端子が設けられている領域を示す。領域Rctは、信号端子が設けられる領域を示す。なお、領域Rctの信号端子には、差動信号が入力されていない。領域Rtxに設けられた信号端子に入力された差動信号は、実際には
図11のZ軸方向に沿って右側に向かって伝達してゆくが、
図11は、端子部10aに関する結果のみ示している。より詳細には、ビアVb12、ビアVb13、ビアVb21、ビアVb22およびビアVb23に関係する部分の結果のみ示している。
【0094】
図11に示すように、領域Rtxにおいて発生した電場は、領域Rgndにおいて、遮蔽されていることが分かる。したがって、色の濃淡は、差動信号の電界の強度を表しているが、X軸方向の電界の広がりは領域Rgndにおけるグランド端子によって抑えられており、領域Rctにおける電界の発生は見られなくなっている。
【0095】
ここで、比較例に係る光モジュールとして、端子部10aにおいて、第2配線層L2のグランドパターンと第3配線層L3のグランドパターンとをつなぐビアがZ軸方向に一列に配置された場合について電磁界解析を行った結果を
図12に示す。より詳細には、
図12の2つの白い丸は、ビアVa2の真下に設けられた第2配線層と第3配線層とを接続するビアおよびビアVa3の真下に設けられた第2配線層と第3配線層とを接続するビアを示している。第1配線層L1と第2配線層とを接続するビアVa2、ビアVa3は、
図11の2つの黒い丸と同じなので
図12では省略している。
【0096】
図12に示すように、領域Rtxにおいて発生した電場が、X軸方向に広がり、領域Rgndを通過して、領域Rctにまで漏れ出していることが分かる。すなわち、
図12の結果は、比較例に係る光モジュールにおいては、隣接する信号端子を伝達する差動信号間でクロストークが発生することを示している。
【0097】
ところで、Z軸方向に沿って配置されるビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24と、Z軸方向に沿って配置されるビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14とを、Z軸方向に沿って間隔pb1の半分の距離だけ互いにずれて配置することにより、Y軸方向からの平面視において、例えば、ビアVb21、ビアVb22およびビアVb12のそれぞれの中心が正三角形を形成するように配置される(
図13A参照)。このとき、2つのビアの列をZ軸方向に沿って互いにずらして配置することにより、2つのビアの列の間隔pcを、上述の間隔pa(=間隔pb1=間隔pb2)の値より小さくすることができる。例えば、2つのビアの列をZ軸方向に間隔paの半分の距離だけずらさずにZ軸方向に同じ位置に配置した場合、2つのビアの列の間隔pcは間隔paに等しくすることはできても、間隔paより小さくすることはできない(
図13B参照)。間隔pcを間隔paより小さくすることにより、第2配線層L2のグランドパターンTbG3の横幅W2を小さくできる。
【0098】
本実施形態に係る光モジュール10Tのパッケージ16によれば、差動信号によって一方の信号端子で発生した電場が、グランド端子のビアから漏れて、隣接する信号端子を伝達する差動信号に伝わることを防止できる。すなわち、本実施形態に係る光モジュールによれば、隣接する信号端子を伝達する信号間のクロストークを抑制できる。
【0099】
信号間のクロストークは、隣接する信号端子間のグランド端子におけるビアにより抑制される。例えば、ビアを狭いピッチ(間隔)で設けることで信号が含むより高い周波数の周波数成分までクロストークを抑制できる(グランド端子による遮蔽効果)。しかしながら、ビアのピッチはパッケージ製造上の制約がある。大量生産においてビアのピッチをパッケージ製造上の制約より狭くできない場合、信号速度の非常に速い信号では遮蔽効果が不十分となり、クロストークが増加してしまうおそれがある。
【0100】
本実施形態に係る光モジュール10Tのパッケージ16によれば、Z軸方向に沿って配置されるビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24と、Z軸方向に沿って配知されるビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14と、は、Z軸方向において間隔pb1の半分の距離だけ互いにずれて配置される。半分の距離だけ互いにずれて配置することにより、X軸方向から見たときの見かけのビアのピッチをパッケージ製造上の制約より小さくできる。したがって、本実施形態に係る光モジュール10Tのパッケージ16によれば、信号に含まれるより高い周波数の周波数成分まで互いに隣接して伝達される信号間のクロストークを抑制できる。
【0101】
さらに、本実施形態に係る光モジュール10Tのパッケージ16では、ビアVa1、ビアVa2、ビアVa3およびビアVa4は、それぞれの中心がZ軸方向に延伸する中心線CL1に沿って、1列に等間隔で配列される。したがって、本実施形態に係る光モジュール10Tのパッケージ16によれば、第1配線層L1のグランド端子の幅を製造上の制約による最小値に設定できる。それにより、例えば、端子のGSSG構成について、差動信号SSの特性インピーダンスを所望の値に設定するとともに両端のGG間の距離(間隔)を製造上の制約の最小値に設定することができる。このことは、端子部10aのX軸方向の長さ(
図3の横幅Wに相当)を最小にできるため、光モジュール10Tの小型化に好適である。
【0102】
例えば、グランド端子の幅を広くして第1配線層L1と第2配線層L2との間を、それぞれZ軸方向に沿って配置された2列のビアによって接続することができる。しかしながら、2列のビアをそれぞれのビアがZ軸方向に沿って互いに同じ位置となるように配置した場合、グランド端子の幅は、1列のビアのみ含むグランド端子の幅よりもビアの間隔の分だけ広くなってしまう。このように、グランド端子の幅を広くすることは、パッケージ16のX軸方向の長さ(
図6の横幅Wを参照)が制限されている場合には実施が困難である。また、信号端子とグランド端子等の端子部の形状および間隔は、信号端子およびグランド端子によって構成される伝送線路の特性インピーダンスを考慮して設計されているが、グランド端子の幅を広くすることにより、所望の特性インピーダンスが得られなくなるおそれがある。
【0103】
本実施形態に係る光モジュール10Tのパッケージ16によれば、第2配線層のグランドパターンの横幅W2の増加を抑えることにより所望の特性インピーダンスの値を高周波特性への影響が少ない範囲内で維持するとともに、互いに隣接する信号間のクロストークを抑制できる。例えば、第1配線層L1と第2配線層L2との間のビアおよび第2配線層L2と第3配線層L3との間のビアを1列にした場合(比較例1)の差動特性インピーダンスZ0とする。第1配線層L1と第2配線層L2との間のビアを1列および第2配線層L2と第3配線層L3との間のビアを2列にした本実施形態に係る光モジュール10Tのパッケージ16の差動特性インピーダンスZ1は、差動特性インピーダンスZ0より0.7%小さくなると算出される(第2配線層L2のグランドパターンと第3配線層のグランドパターンとを接続するビアの配置については
図13Aを参照)。一方、第1配線層L1と第2配線層L2との間のビアおよび第2配線層L2と第3配線層L3との間のビアを2列にした場合(比較例2)の差動特性インピーダンスZ2は、差動特性インピーダンスZ0より3.9%小さくなると算出される(このときの第2配線層L2のグランドパターンと第3配線層のグランドパターンとを接続するビアの配置については
図13Bを参照)。このように、第2配線層L2のグランドパターンと第3配線層L3のグランドパターンとを接続する2つのビアの列をZ軸方向に沿って互いに間隔paの半分の距離だけずらして配置することにより差動特性インピーダンスZ2の変化を低減できる。
【0104】
上述の結果は、第1配線層L1のグランド端子の幅が、比較例1と同じとなっていること、第2配線層L2のグランドパターンの幅が、比較例2より小さくなっていること、から、信号端子とグランド間の寄生容量の増加が抑えられるためである。したがって、本実施形態に係る光モジュール10Tのパッケージ16によれば、特性インピーダンスの値の変化を抑えるとともに、隣接して伝達される信号間のクロストークを抑制できる。
【0105】
なお、Z軸方向が第1方向の一例、X軸方向が第1方向に交差する第2方向の一例、である。また、例えば、グランド端子TaG3を第1グランド端子として例示すると、差動信号端子TaS2が第1信号端子の一例、差動信号端子TaS3が第2信号端子の一例である。さらに、グランドパターンTbG3が第1グランドパターンの一例、グランドパターンTcGが第2グランドパターンの一例、である。
【0106】
また、ビアVa1、ビアVa2、ビアVa3およびビアVa4が第1ビアの一例、ビアVb11、ビアVb12、ビアVb13およびビアVb14が第2ビアの一例、ビアVb21、ビアVb22、ビアVb23およびビアVb24が第3ビアの一例、である。間隔pa、間隔pb1および間隔pb2が第1間隔の一例、である。
【0107】
<変形例>
本実施形態に係る光モジュール10として、TOSAの例として光モジュール10Tを用いて説明したが、光モジュール10はTOSAに限らない。例えば、光モジュール10として、ROSAの例として光モジュール10Rであってもよい。また、例えば、光モジュール10として、光源、光変調器および光受信器が1つのパッケージに収容された光モジュールであってもよい。すなわち、パッケージ16は、複数の高速信号を入出力するさまざまな光モジュール用パッケージとして適用可能である。
【0108】
また、本実施形態に係る光モジュール10において、信号端子により伝送される信号は、差動信号として説明したが、信号端子に伝送される信号は、シングルエンドの信号であってもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 光トランシーバ
2 光モジュールアセンブリ
10、10T、10R 光モジュール
10a 端子部
11 ドライバ(駆動回路)
12 送信用光素子
13 トランスインピーダンスアンプ
14 受信用光素子
15 光源
16 パッケージ
16a 基板
16aS 上面
16b 載置基板
16c 側壁部
16d 蓋部
20T、20R フレキシブルプリント基板
30 回路基板
A 領域
CL1、CL21、CL22 中心線
d1、d2 間隔
FaG1、FaG2、FaG3、FaG4、FaG5 グランドパターン
FaS1、FaS2、FaS3、FaS4 差動信号端子
FaS1n、FaS1p、FaS2n、FaS2p、FaS3n、FaS3p、FaS4n、FaS4p 信号端子
FbG1、FbG2、FbG3、FbG4、FbG5 グランド端子
FbS1n、FbS1p、FbS2n、FbS2p、FbS3n、FbS3p、FbS4n、FbS4p 信号端子
L1 第1配線層
L2 第2配線層
L3 第3配線層
Li1 第1絶縁層
Li2 第2絶縁層
Lga 絶縁被覆
Lgb 絶縁被覆
Lm 絶縁層
LmS1 上面
LmS2 下面
Lb CW光
Lr 受信光信号
Lt 送信光信号
pa、pb1、pb2 間隔
Rct、Rgnd、Rtx 領域
Ri 受信信号
Rx1 受信信号
Rx2 受信信号
TaG1、TaG2、TaG3、TaG4、TaG5 グランド端子
TaS1、TaS2、TaS3、TaS4 差動信号端子
TaS1n、TaS1p、TaS2n、TaS2p、TaS3n、TaS3p、TaS4n、TaS4p 信号端子
TbG1、TbG2、TbG3、TbG4、TbG5 グランドパターン
TcG グランドパターン
Td 駆動信号
Tx1、Tx2 送信信号
Va1、Va2、Va3、Va4 ビア
Vb11、Vb12、Vb13、Vb14 ビア
Vb21、Vb22、Vb23、Vb24 ビア
W1、W2 横幅
WaS1n、WaS1p、WaS2n、WaS2p、WaS3n、WaS3p、WaS4n、WaS4p 信号配線
WbG グランドパターン
t1、t2 厚さ