(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170369
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】LEDレンズの取付構造
(51)【国際特許分類】
F21V 17/00 20060101AFI20231124BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20231124BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20231124BHJP
F21V 17/16 20060101ALI20231124BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20231124BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231124BHJP
【FI】
F21V17/00 200
F21V5/00 550
F21V5/02
F21V17/16 300
F21V15/01 330
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082069
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】名和 祥平
(72)【発明者】
【氏名】後藤 創
(72)【発明者】
【氏名】村松 諭
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011BA05
3K011JA01
(57)【要約】
【課題】LEDレンズを筐体に簡単に取付けることが可能なLEDレンズの取付構造を提供する。
【解決手段】LED3を収容する表示パネル1(表示部)と、表示パネル1に設けられたLEDレンズ2とを備える。表示パネル1は、LED3を有する表示部本体4とパネル5とを備える。表示部本体4はレンズ収容部26と第1、第2の被係合部27,28とを有する。LEDレンズ2は、LED3と対向する受光部44および表示パネル1の外に露出する発光部45を有する本体部41と、本体部41に突設された第1、第2の腕部42,43とを有する。表示部本体4とパネル5とによってLEDレンズ2が挟まれて保持されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを収容する表示部と、
前記表示部に設けられ、前記LEDの光を前記表示部の外に導くLEDレンズとを備え、
前記表示部は、前記LEDを有する表示部本体と、前記表示部本体のパネル取付面に重ねて取付けられたパネルとを備え、
前記表示部本体は、
前記パネル取付面に開口するとともに前記表示部の外に向けて開口し、前記LEDの光が入るように形成されたレンズ収容部と、
前記パネル取付面と前記レンズ収容部の側壁とに開口する被係合部とを有し、
前記LEDレンズは、
前記LEDと対向する受光部および前記表示部本体の開口から前記表示部の外に露出する発光部を有し、前記レンズ収容部に挿入された本体部と、
前記本体部に凸設されて前記被係合部に係合し、前記被係合部と協働して前記表示部本体に対する前記本体部の移動を規制する腕部とを有し、
前記表示部本体と前記パネルとによって前記LEDレンズが挟まれて保持されていることを特徴とするLEDレンズの取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載のLEDレンズの取付構造において、
前記LEDレンズは、前記表示部の角部分に設けられ、
前記表示部本体の前記被係合部と前記LEDレンズの前記腕部とからなる係合構造は、前記角部分を構成する前記表示部の2辺に沿う2箇所にそれぞれ設けられていることを特徴とするLEDレンズの取付構造。
【請求項3】
請求項2に記載のLEDレンズの取付構造において、
前記本体部に凸設された前記腕部の突出端は、部分的に突出する突起によって形成され、
前記突起が前記被係合部に当接することで前記腕部の突出方向におけるLEDレンズの位置決めが行われることを特徴とするLEDレンズの取付構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一つに記載のLEDレンズの取付構造において、
前記LEDレンズの前記本体部は、前記LEDの光の一部が前記パネルに向けて進み、かつパネル側で反射した反射光も前記発光部に導かれるように形成され、
前記パネルと前記本体部との間に、光の反射に影響を与える層状の反射構造が設けられていることを特徴とするLEDレンズの取付構造。
【請求項5】
請求項4記載のLEDレンズの取付構造において、
前記反射構造は、前記パネルに付着した塗料によって構成されていることを特徴とするLEDレンズの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示部内の基板に搭載したLEDの光を外部に導光するLEDレンズを表示部に取付けるLEDレンズの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電話機等には、着信、発信や保留時に点灯したり点滅することでユーザに電話機の状態を知らせるために、発光部が設けられていることがある。この発光部は、基板上に搭載されたLEDの光源を外部に導光するためのLEDレンズによって構成されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1記載されているLEDレンズは、コードレス電話機の子機に設けられている。この子機のケースの内部であって背面の中央上部には、子機の長手方向に延びる一対のレンズ支持用の壁が設けられている。ケースのこれらの壁の間となる部分には、ケースの外に向けて開口する穴が形成されている。
【0003】
LEDレンズは、一対のレンズ支持用の壁の間に挿入可能な板状に形成されている。このLEDレンズの一端部には、LEDレンズの両面から突出する軸が設けられている。一方、LEDレンズの他端部には係合突起が設けられている。LEDレンズの軸は、レンズ支持用の壁に形成された溝状の凹部に挿入される。係合突起は、ケースに設けられた保持片に係止される。
【0004】
このLEDレンズは、軸をレンズ支持用の壁の凹部に係入し、その状態で軸を中心にしてLEDレンズを回転させて係合突起をケースの保持片に係止させることによって、ケースに固定される。
ケースは、LEDレンズを有するアッパーケースと、アッパーケースの開口部を塞ぐロアケースとによって形成されている。ロアケースには、LEDレンズに光を照射するLEDを有する基板が取付けられている。
特許文献1に記載されているLEDレンズの取付構造においては、ケースの一対のレンズ支持用の壁の間にLEDレンズを挿入して回転させ、LEDレンズの係合突起をケースの保持片に係止させるという作業内容が異なる複数の工程を経てLEDレンズがケースに取付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すLEDレンズの取付構造では、LEDレンズを取り付けるために作業内容が異なる複数の工程を経る必要があるから、作業性が悪いという問題があった。
また、基板上に搭載されたLEDからの光が直接LEDレンズに入ってそのまま外部へ照射されるため、照度を調整するにはLEDに印加する電圧を変えなければならない。この電圧を変えるためには電子部品を交換しなければならず、簡単に行うことはできない。
【0007】
本発明の第1の目的は、LEDレンズを筐体に簡単に取付けることが可能なLEDレンズの取付構造を提供することである。本発明の第2の目的は、LEDレンズから外部に照射される光の明度の調整を、LEDに印加する電圧を変えることなく行うことが可能なLEDレンズの取付構造を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために本発明に係るLEDレンズの取付構造は、LEDを収容する表示部と、前記表示部に設けられ、前記LEDの光を前記表示部の外に導くLEDレンズとを備え、前記表示部は、前記LEDを有する表示部本体と、前記表示部本体のパネル取付面に重ねて取付けられたパネルとを備え、前記表示部本体は、前記パネル取付面に開口するとともに前記表示部の外に向けて開口し、前記LEDの光が入るように形成されたレンズ収容部と、前記パネル取付面と前記レンズ収容部の側壁とに開口する被係合部とを有し、前記LEDレンズは、前記LEDと対向する受光部および前記表示部本体の開口から前記表示部の外に露出する発光部を有し、前記レンズ収容部に挿入された本体部と、前記本体部に凸設されて前記被係合部に係合し、前記被係合部と協働して前記表示部本体に対する前記本体部の移動を規制する腕部とを有し、前記表示部本体と前記パネルとによって前記LEDレンズが挟まれて保持されていることを特徴とするLEDレンズの取付構造。
【0009】
本発明は、前記LEDレンズの取付構造において、前記LEDレンズは、前記表示部の角部分に設けられ、前記表示部本体の前記被係合部と前記LEDレンズの前記腕部とからなる係合構造は、前記角部分を構成する前記表示部の2辺に沿う2箇所にそれぞれ設けられていてもよい。
【0010】
本発明は、前記LEDレンズの取付構造において、前記本体部に凸設された前記腕部の突出端は、部分的に突出する突起によって形成され、前記突起が前記被係合部に当接することで前記腕部の突出方向におけるLEDレンズの位置決めが行われてもよい。
【0011】
本発明は、前記LEDレンズの取付構造において、前記LEDレンズの前記本体部は、前記LEDの光の一部が前記パネルに向けて進み、かつパネル側で反射した反射光も前記発光部に導かれるように形成され、前記パネルと前記本体部との間に、光の反射に影響を与える層状の反射構造が設けられていてもよい。
【0012】
本発明は、前記LEDレンズの取付構造において、前記反射構造は、前記パネルに付着した塗料によって構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LEDレンズを表示部本体のレンズ収容部にLEDレンズの本体部を挿入し、表示部本体の被係合部にLEDレンズの腕部を係合させることにより、LEDレンズが表示部本体に組み付けられる。そして、表示部本体にパネルを取付けることにより、LEDレンズが表示部に固定される。
このため、この実施の形態によれば、複数の部材を重ねるという単純な操作でLEDレンズを表示部に固定できるから、LEDレンズを筐体に簡単に取付けることが可能なLEDレンズの取付構造を提供することができる。
【0014】
また、LEDレンズの本体部とパネルとの間に反射構造を備えた発明によれば、パネル側で反射してレンズ本体部に入る光の量を変えることが可能になる。このため、LEDレンズから外部に照射される光の明度の調整を、LEDに印加する電圧を変えることなく行うことが可能なLEDレンズの取付構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明に係るLEDレンズの取付構造によってLEDレンズが取付けられた表示パネルの正面図である。
【
図4】
図4は、アッパーハウジングの正面図である。
【
図5】
図5は、アッパーハウジングの一部を拡大して示す正面図である。
【
図6】
図6は、表示部本体の一部を拡大して示す斜視図である。
【
図10】
図10は、LEDレンズが組み付けられた表示部本体の一部を拡大して示す正面図である。
【
図14】
図14は、LEDレンズとパネルとの接続部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るLEDレンズの取付構造の一実施の形態を
図1~
図14を参照して詳細に説明する。この実施の形態においては、電話機に取付けられる表示パネルに本発明を適用する場合の一例を示す。
【0017】
図1に示す表示パネル1は、図示していない電話機本体に
図1において下側の端部を揺動中心にして揺動可能に取付けられるもので、全体が略板状に形成されている。この表示パネル1の揺動端部の角部分1a(
図1においては右上側の角部分)には、電話機の着信時、発信時や保留時などに光ってユーザに電話機の状態を知らせるためのLEDレンズ2が設けられている。LEDレンズ2は、表示パネル1内に収容されたLED3の光を表示パネル1の外に導くものである。この実施の形態においては、表示パネル1が本発明でいう「表示部」に相当する。
【0018】
表示パネル1は、LED3を有する表示部本体4と、表示部本体4に重ねて固着されたパネル5とを筐体6として構成されている。パネル5は、表示部本体4に対して、板状を呈する表示パネル1の厚み方向に重ねられている。
表示部本体4は、
図3に示すように、複数の部品を組み合わせて形成されている。表示部本体4を形成する部品とは、
図3において最も下に描いてあるロアハウジング11と、このロアハウジング11の上に描いてある液晶表示ユニット12と、液晶表示ユニット12の上に描いてあるアッパーハウジング13などである。
【0019】
ロアハウジング11とアッパーハウジング13は、所定の色に着色されたプラスチック材料によって形成されている。
液晶表示ユニット12は、基板14と液晶パネル15などを備え、ロアハウジング11とアッパーハウジング13との間に収容されている。基板14にはLEDレンズ2に光を照射するLED3が実装されている。
【0020】
アッパーハウジング13の中央部には、
図4に示すように、開口形状が長方形の貫通孔16が形成されている。この貫通孔16は、液晶パネル15を見るための孔である。また、アッパーハウジング13における、
図4において右上側の角部分13aには、本発明に係るLEDレンズ2の取付構造21の一部を構成する穴22が開口している。この穴22は、詳細は後述するが、LEDレンズ2を収容するための穴である。この穴22の説明は後述する。また、アッパーハウジング13のパネル5と対向するパネル取付面23は、平坦に形成されている。
【0021】
パネル5は、透明なプラスチック材料によって形成され、アッパーハウジング13のパネル取付面23に粘着テープ24(
図3参照)によって貼り付けられている。粘着テープ24は、光が透過し易い材料、色のものを使用することが望ましい。
この実施の形態によるパネル5の裏面 (アッパーハウジング13と対向する面)には、アッパーハウジング13の液晶視認用の貫通孔16の内側と対向する部分を除いて不透明な色で塗装が施されている。パネル5の裏面の塗装される範囲は、
図1中にハッチングを施して示す範囲である。このため、液晶視認用の貫通孔16の内側は、パネル5の表側からパネル5を透かして見ることが可能である。
【0022】
塗装によりパネル5の裏面に付着する塗料25(
図14参照)は、光の反射に影響を与える色のものが用いられている。
図14は、塗料25を理解し易くするために、塗料25の厚みを実際より厚く描いてある。塗料25の色としては、たとえば金色、銀色、黒色、白色、灰色など、所望の明るさの光が反射する色が選択される。この実施の形態においては、塗料25が付着した塗装部分が本発明でいう「光の反射に影響を与える層状の反射構造」に相当する。なお、この反射構造を実現するに当たっては、塗料25を使用する他に、図示してはいないが、膜状のシートをLEDレンズ2とパネル5との間に挟むことによっても実現可能である。
【0023】
アッパーハウジング13のLEDレンズ2を収容するための穴22は、アッパーハウジング13のパネル取付面23に開口しており、複数の機能部によって形成されている。複数の機能部とは、
図5に示すように、アッパーハウジング13の角部分1aを含むレンズ収容部26と、レンズ収容部26に接続された第1の被係合部27および第2の被係合部28である。
アッパーハウジング13の角部分13aは、アッパーハウジング13の2辺となる横壁31と縦壁32とによって形成されている。これらの横壁31と縦壁32とが交差する部分には、
図6に示すようにレンズ収容部26に連なる切欠き33が形成されている。このため、レンズ収容部26は、パネル取付面23の他に、切欠き33を開口縁としてアッパーハウジング13の外に向けて開口している。
【0024】
アッパーハウジング13にレンズ収容部26が形成されていることにより、表示部本体4の内部に位置する基板14がレンズ収容部26の中に露出する。このため、レンズ収容部26と基板14は、表示部本体4に形成された凹部を構成することになる。
基板14上のLED3は、
図6中に矢印で示すようにアッパーハウジング13の角部分13aに向けて光を照射するような位置に配置されている。このLED3の光は、レンズ収容部26に入り、レンズ収容部26内を通って角部分13aに向かう。LED3の光は、基板14と対向する方向から見て切欠き33に向けて末広がり状に拡がるとともに、基板14の主面とは直交する方向においても末広がり状に拡がるように照射される。
【0025】
図6に示すように、レンズ収容部26は、アッパーハウジング13の横壁31と平行に延びる第1の側壁34と、アッパーハウジング13の縦壁32と平行に延びる第2の側壁35と、アッパーハウジング13の角部分13aを含む横壁31の一部および縦壁32の一部とによって囲まれて形成されている。第1の側壁34には第1の被係合部27が開口し、第2の側壁35には第2の被係合部28が開口している。これらの第1および第2の被係合部27,28は、後述するLEDレンズ2と協働してLEDレンズ2を位置決めするためのもので、アッパーハウジング13の角部分13aを構成する2辺に沿う2箇所にそれぞれ設けられている。
【0026】
この実施の形態による第1および第2の被係合部27,28は、
図6に示すように、パネル取付面23に開口してアッパーハウジング13を貫通する貫通孔36と、この貫通孔36とレンズ収容部26とを連通する切欠き37が形成された板片38とによって構成されている。板片38は、第1、第2の側壁34,35の一部である。このように貫通孔36と切欠き37とを有する第1、第2の被係合部27,28は、パネル取付面23とレンズ収容部26の第1、第2の側壁34,35とに開口している。
【0027】
LEDレンズ2は、透明なプラスチック材料によって所定形状に形成されている。このLEDレンズ2は、
図7~
図10に示すように、上述したレンズ収容部26に挿入される本体部41と、上述した第1の被係合部27に挿入される第1の腕部42と、上述した第2の被係合部28に挿入される第2の腕部43とを有している。
本体部41は、
図11~
図13に示すように、パネル5とアッパーハウジング13との間に収容された受光部44と、アッパーハウジング13の切欠き33(開口)を通ってアッパーハウジング13の外(表示パネル1の外)に突出し露出する発光部45とから構成されている。
図11は
図10におけるXI-XI線断面図である。
図12は
図10におけるXII-XII線断面図である。
図13は
図10におけるXIII-XIII線断面図である。
【0028】
受光部44におけるアッパーハウジング13の角部分13aから最も離間する一端部には、
図13に示すようにLED3と対向する受光面46が形成されている。受光面46は、本体部41の一部が部分的に凹む形状に形成された凹陥部47の壁面によって構成されている。この凹陥部47にはLED3の一部が挿入される。
また、受光部44におけるアッパーハウジング13の角部分13aに近接する他端部であって、レンズ収容部26の底と対向する背面48は、角部分13aに向かうにしたがって次第にレンズ収容部26の底から離間するように傾斜している。このため、受光部44の他端部内には、角部分13aに向かうにしたがって次第にパネル5に近付くように傾斜した反射面49が形成されている。反射面49は、
図11~
図13に示すように発光部45の中まで延びている。
【0029】
さらに、受光部44におけるレンズ収容部26の底とは反対側の正面50は、
図7および
図8に示すように平坦に形成されている。この正面50には、
図11~
図13に示すようにパネル5の端部が直接あるいは粘着テープ24を介して重ねられる。
発光部45は、
図2に示すように、表示パネル1の角部分1aに沿って湾曲する形状に形成されており、発光部45が表示パネル1の外縁から部分的に突出するように構成されている。
【0030】
第1の腕部42と第2の腕部43は、本体部41に一体に形成されて本体部41に凸設されている。第1の腕部42と第2の腕部43とは、
図8および
図9に示すように、それぞれ断面L字状に形成されており、本体部41から離れた位置でレンズ収容部26の底に向けて延びる突片51を有している。第1、第2の腕部42,43における、レンズ収容部26の底とは反対側の端面52は、受光部44の端面と同一平面上に位置するように形成されている。
【0031】
突片51は、
図11および
図12に示すように、LEDレンズ2の本体部41がレンズ収容部26に挿入された状態で第1、第2の被係合部27,28の貫通孔36に挿入されるように形成されている。
突片51が第1、第2の被係合部27,28の貫通孔36に挿入されることにより、第1、第2の腕部42,43が第1、第2の被係合部27,28に係合することになる。このため、第1、第2の腕部42,43は、第1、第2の被係合部27,28と協働してアッパーハウジング13に対する本体部41の移動を規制する。このため、第1の腕部42と第1の被係合部27とによって第1の係合構造53(
図10参照)が構成され、第2の腕部43と第2の被係合部28とによって第2の係合構造54が構成される。
第1の係合構造53と第2の係合構造54は、アッパーハウジング13の角部分13aを構成する表示パネル1の2辺に沿う2箇所にそれぞれ設けられている。
【0032】
図7~
図9に示すように、本体部41に凸設された第1、第2の腕部42,43の突出端は、部分的に突出する突起55によって形成されている。この実施の形態による突起55は、突片51に沿って延びる突条となるように形成されている。
図10に示すように、第1の腕部42に設けられた突起55が第1の被係合部27の貫通孔36の孔壁面に当接することにより、第1の腕部42の突出方向(アッパーハウジング13の縦壁32が延びる方向と平行な方向)におけるLEDレンズ2の位置決めが行われる。
【0033】
また、第2の腕部43に設けられた突起55が第2の被係合部28の貫通孔36の孔壁面に当接することにより、第2の腕部43の突出方向(アッパーハウジング13の横壁31が延びる方向と平行な方向)におけるLEDレンズ2の位置決めが行われる。このように突起55で位置決めする構成を採ることにより、簡単にLEDレンズ2の位置決め精度を高くすることができる。ここで、簡単に精度向上を図ることができる理由を説明する。
【0034】
LEDレンズ2は、図示していない金型を使用して成型されている。金型の突起55を成型する部分は、突片51を成型する部分の一部を凹ませて形成されている。すなわち、金型に加工を施して凹部の深さを深くすることで、成型される突起55の高さを高くしてLEDレンズ2の位置の調整を行うことができる。なお、突起55が設けられていない場合は、突片51の突出量を変えて位置調整を行う必要があり、金型の突片51を成型する部分に加工を施さなければならない。突片51を成型する部分は突起55を成型する部分より大きい。すなわち、LEDレンズ2の位置の精度を高くするにあたり、突片51を成型する部分より狭い範囲となる凹部に加工を施せばよいから、位置調整を簡単に行うことができる。
【0035】
このように構成されたLEDレンズ2の取付構造21を有する表示パネル1を組立てるためには、先ず、液晶表示ユニット12がロアハウジング11とアッパーハウジング13の内部に収容されるようにロアハウジング11とアッパーハウジング13とを組み合わせる。そして、アッパーハウジング13の穴22にLEDレンズ2を挿入する。このとき、LEDレンズ2の本体部41をレンズ収容部26に挿入し、第1、第2の腕部42,43を第1、第2の被係合部27,28に挿入する。LEDレンズ2の挿入方向は、アッパーハウジング13にパネル5を重ねる方向と同一の方向である。第1、第2の腕部42,43が第1、第2の被係合部27,28に挿入されることにより、第1、第2の係合構造53,54が実現されてLEDレンズ2が表示部本体4に対して移動できないように位置決めされる。
【0036】
その後、表示部本体4に粘着テープ24を介してパネル5を重ねて貼り付ける。パネル5が表示部本体4に貼り付けられることにより、表示部本体4とパネル5とによってLEDレンズ2が挟まれて保持される。
このため、この実施の形態によれば、複数の部材を重ねるという単純な操作でLEDレンズ2を表示パネル1に固定できるから、LEDレンズ2を筐体6(表示パネル1)に簡単に取付けることが可能なLEDレンズの取付構造を提供することができる。
【0037】
この取付構造21によってLEDレンズ2が表示パネル1に取付けられた状態でLED3が点灯すると、LED3の光が
図13中に矢印で示すように受光面46からLEDレンズ2内に入る。LED3の光の一部は、LEDレンズ2の受光部44を横切って発光部45からLEDレンズ2の外に出る。LED3の光のうち、LEDレンズ2の反射面49に当たって反射した光は、反射光となって発光部45に向かう。
【0038】
また、LED3の光のうち、受光部44からパネル5に向かう光は、
図14中に矢印Aで示すように主にパネル5の塗料25で覆われた塗装面に当たり、パネル5の塗装面で反射して矢印Bで示す反射光としてLEDレンズ2内に再び入る。パネル5側で反射する反射光の光量は、塗料25の色で決まり、増えることはないが色に応じて減少する。この反射光は、塗装面に照射されたLED3の光より光量が少なくなり、反射面49で更に反射して発光部45に向かったり、直接発光部45に向かい、他の光とともにLEDレンズ2の外に出る。
【0039】
このため、塗料25の色を変えることにより、パネル5側からLEDレンズ2に戻る反射光の量、明るさなどを変えることが可能になる。塗装面で反射する際に減る光量が少なくなればLEDレンズ2の明るさが増す。
したがって、この実施の形態によれば、LEDレンズ2から外部に照射される光の明度の調整を、LEDに印加する電圧を変えることなく行うことが可能なLEDレンズの取付構造を実現することができる。
【0040】
この実施の形態によるLEDレンズ2は、表示パネル1の角部分1aに設けられている。アッパーハウジング13の第1、第2の被係合部27,28とLEDレンズ2の第1、第2の腕部42,43とからなる第1、第2の係合構造53,54は、角部分1aを構成する表示パネル1の2辺に沿う2箇所にそれぞれ設けられている。このため、第1、第2の係合構造53,54によってLEDレンズ2の2方向への移動を規制できるから、簡単な取付構造21を採用しているにもかかわらず、LEDレンズ2を表示パネル1に対して遊動することがないように固定することができる。
【0041】
この実施の形態によるLEDレンズ2の第1、第2の腕部42,43の突出端は、部分的に突出する突起55によって形成されている。この突起55が第1、第2の被係合部27,28の孔壁面に当接することで第1、第2の腕部42,43の突出方向においてLEDレンズ2の位置決めが行われる。このため、第1、第2の腕部42,43の突出端の全体でLEDレンズ2の位置を規定する場合と較べると、LEDレンズ2の位置を調整する際の金型の加工箇所を狭くすることが可能になるから、LEDレンズ2の位置決め精度を簡単に高くすることができる。
【0042】
この実施の形態によるLEDレンズ2の本体部41は、LED3の光の一部がパネル5に向けて進み、かつパネル5側で反射した反射光も発光部45に導かれるように形成されている。パネル5と本体部41との間に、光の反射に影響を与える塗料25(層状の反射構造)が設けられている。このため、LED3に印加する電圧を変える場合と較べて低いコストでLEDレンズ2の発光量を変えることができる。
【0043】
この実施の形態による、光の反射に影響を与える層状の反射構造は、パネル5に付着した塗料25によって構成されている。このため、この反射構造を簡単に実現でき、しかも、色を変えるだけで明るさも簡単に変えることができる。
【符号の説明】
【0044】
1…表示パネル(表示部)、2…LEDレンズ、3…LED、4…表示部本体、5…パネル、13a…角部分、23…パネル取付面、25…塗料(層状の反射構造)、26…レンズ収容部、27…第1の被係合部、28…第2の被係合部、31…横壁、32…縦壁、34…第1の側壁、35…第2の側壁、41…本体部、42…第1の腕部、43…第2の腕部、44…受光部、45…発光部、53…第1の係合構造、54…第2の係合構造、55…突起。