(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170383
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ゼロクロス検出装置及び負荷駆動システム
(51)【国際特許分類】
G01R 19/175 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
G01R19/175
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082098
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 夏輝
(72)【発明者】
【氏名】名手 智
【テーマコード(参考)】
2G035
【Fターム(参考)】
2G035AB04
2G035AC06
2G035AC24
2G035AD04
2G035AD10
2G035AD11
2G035AD13
2G035AD23
2G035AD28
(57)【要約】
【課題】半波整流に対応可能なゼロクロス検出装置を提供する。
【解決手段】ゼロクロス検出装置(10)は、基準電位から見た交流電圧(V
AC)の印加端(TM2)よりダイオード(D2)を介して入力電圧(V1)を受けるよう構成された入力端子(IN)と、入力端子と基準電位を有する端子との間に設けられた抵抗を含む入力回路(11)と、入力電圧が閾電圧を超えるタイミングの間隔に基づき交流電圧の周期の長さを検出するよう構成された周期検出回路(13、14)と、交流電圧の各周期において入力電圧がピークをとるピークタイミングを検出するよう構成されたピーク検出回路(15)と、周期検出回路の検出結果及びピーク検出回路の検出結果に基づき交流電圧のゼロクロスタイミングを検出するよう構成されたゼロクロスタイミング検出回路(16)と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準電位から見た交流電圧の印加端よりダイオードを介して入力電圧を受けるよう構成された入力端子と、
前記入力端子と前記基準電位を有する端子との間に設けられた抵抗を含む入力回路と、
前記入力電圧が閾電圧を超えるタイミングの間隔に基づき前記交流電圧の周期の長さを検出するよう構成された周期検出回路と、
前記交流電圧の各周期において前記入力電圧がピークをとるピークタイミングを検出するよう構成されたピーク検出回路と、
前記周期検出回路の検出結果及び前記ピーク検出回路の検出結果に基づき前記交流電圧のゼロクロスタイミングを検出するよう構成されたゼロクロスタイミング検出回路と、を備える
、ゼロクロス検出装置。
【請求項2】
前記入力回路において前記入力電圧に応じた参照電圧が生成され、
前記周期検出回路は、前記参照電圧に基づき前記周期の長さを検出し、
前記ピーク検出回路は、前記参照電圧に基づき前記ピークタイミングを検出する
、請求項1に記載のゼロクロス検出装置。
【請求項3】
前記入力回路は、前記入力端子と前記基準電位を有する端子との間に設けられた複数の分圧抵抗の直列回路を有し、
前記直列回路にて前記入力電圧の分圧が前記参照電圧として生成される
、請求項2に記載のゼロクロス検出装置。
【請求項4】
前記周期検出回路は、
前記参照電圧を所定電圧と比較するよう構成されたコンパレータと、
前記コンパレータの比較結果に基づき前記交流電圧の周期の長さを導出するよう構成された演算回路と、を有する
、請求項2に記載のゼロクロス検出装置。
【請求項5】
前記演算回路は、前記参照電圧が前記所定電圧より低い状態から前記所定電圧より高い状態へ遷移するタイミングの間隔を前記交流電圧の周期の長さとして導出する
、請求項4に記載のゼロクロス検出装置。
【請求項6】
前記ゼロクロスタイミング検出回路は、前記ピークタイミングから遅延時間後に前記交流電圧のゼロクロスが生じると検出し、
前記遅延時間は、前記周期検出回路にて検出された前記周期の長さの1/4倍又は3/4倍に相当する
、請求項1~5の何れかに記載のゼロクロス検出装置。
【請求項7】
前記ゼロクロスタイミング検出回路は、前記ピークタイミングから第1遅延時間後に前記交流電圧の正から負へのゼロクロスが生じると検出し、前記ピークタイミングから第2遅延時間後に前記交流電圧の負から正へのゼロクロスが生じると検出し、
前記第1遅延時間は、前記周期検出回路にて検出された前記周期の長さの1/4倍に相当し、
前記第2遅延時間は、前記周期検出回路にて検出された前記周期の長さの3/4倍に相当する
、請求項1~5の何れかに記載のゼロクロス検出装置。
【請求項8】
前記入力電圧が前記閾電圧を超えるタイミングは、前記入力電圧が前記閾電圧より低い状態から前記閾電圧より高い状態へ遷移するタイミングである
、請求項1に記載のゼロクロス検出装置。
【請求項9】
前記ゼロクロスタイミング検出回路は、前記ゼロクロスタイミングの検出結果を示すゼロクロス検出信号を出力する
、請求項1に記載のゼロクロス検出装置。
【請求項10】
前記基準電位を有する第1電力入力端子から見て第2電力入力端子に前記交流電圧が加わり、前記第2電力入力端子が前記ダイオードのアノードに接続されることで前記ダイオードのカソードに前記入力電圧が加わる
、請求項1に記載のゼロクロス検出装置。
【請求項11】
請求項10に記載のゼロクロス検出装置と、
前記第1電力入力端子及び前記第2電力入力端子に接続され、前記交流電圧に基づき駆動するよう構成された負荷装置と、
前記第1電力入力端子及び前記第2電力入力端子に接続され、前記交流電圧の半波整流及び平滑化を行うことで脈流電圧を生成するよう構成された半波整流回路と、
前記脈流電圧に基づき生成された直流電圧を電源電圧として用い、前記ゼロクロス検出装置による前記ゼロクロスタイミングの検出結果に基づき前記負荷装置を制御するよう構成された制御装置と、を備える
、負荷駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゼロクロス検出装置及び負荷駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
交流電圧のゼロクロスを検出する装置が広く用いられている。この種の装置は、基本的に、交流電圧の全波整流が行われるシステムにて用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
他方、システムによっては半波整流が用いられる。半波整流に対応可能なゼロクロス検出技術の開発が要望される。
【0005】
本開示は、半波整流に対応可能なゼロクロス検出装置及び負荷駆動システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るゼロクロス検出装置は、基準電位から見た交流電圧の印加端よりダイオードを介して入力電圧を受けるよう構成された入力端子と、前記入力端子と前記基準電位を有する端子との間に設けられた抵抗を含む入力回路と、前記入力電圧が閾電圧を超えるタイミングの間隔に基づき前記交流電圧の周期の長さを検出するよう構成された周期検出回路と、前記交流電圧の各周期において前記入力電圧がピークをとるピークタイミングを検出するよう構成されたピーク検出回路と、前記周期検出回路の検出結果及び前記ピーク検出回路の検出結果に基づき前記交流電圧のゼロクロスタイミングを検出するよう構成されたゼロクロスタイミング検出回路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半波整流に対応可能なゼロクロス検出装置及び負荷駆動システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る負荷駆動システムの全体構成図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係るゼロクロス検出ICの外観斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係るゼロクロス検出ICの内部構成図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係り、ゼロクロス検出ICの動作に関わるタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係り、ゼロクロス検出ICにおける入力回路の変形構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、機能部、回路、素子又は部品等の名称を省略又は略記することがある。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の注目した信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。任意の注目した信号又は電圧において、ローレベルからハイレベルへの切り替わりをアップエッジと称し、ローレベルからハイレベルへの切り替わりのタイミングをアップエッジタイミングと称する。アップエッジをライジングエッジに読み替えて良い。同様に、任意の注目した信号又は電圧において、ハイレベルからローレベルへの切り替わりをダウンエッジと称し、ハイレベルからローレベルへの切り替わりのタイミングをダウンエッジタイミングと称する。ダウンエッジをフォーリングエッジに読み替えて良い。任意の回路素子、配線、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を指すと解して良い。
【0011】
Wi-Fi(登録商標)、AIスピーカ等の普及により、様々な負荷装置は常時電波を受信できる状態にあることが要求され、故に常時通電が必要となることが多い。一方で負荷装置では待機電力の低減が求められる。この対策にゼロクロス検出(交流電圧のゼロクロス検出)が有効である。しかしながら、一般的なゼロクロス検出装置は、全波整流が行われるシステムで用いられることが前提となっており、半波整流が行われるシステムに対応できない。特に例えば交流電圧で駆動する照明装置では半波整流が利用されることが多く、全波整流を前提としたゼロクロス検出装置では対応ができない。本開示の実施形態では、半波整流に対応可能なゼロクロス検出装置を説明する。
【0012】
図1に本開示の実施形態に係る負荷駆動システムSYSの全体構成図を示す。負荷駆動システムSYSは、一対の電力入力端子TM1及びTM2と、ゼロクロス検出装置の例であるゼロクロス検出IC10と、マイクロコンピュータ20と、電力変換回路30及び40と、整流ダイオードD1及びD2と、入力コンデンサC1と、負荷装置LDと、を備える。ゼロクロス検出IC10は、以下、単にIC10と略記され得る。
【0013】
図2はIC10の外観斜視図である。IC10は、半導体基板上に形成された半導体集積回路を有する半導体チップと、半導体チップを収容する筐体(パッケージ)と、筐体からIC10の外部に対して露出する複数の外部端子と、を備えた電子部品である。半導体チップを樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することでIC10が形成される。尚、
図2に示されるIC10の外部端子の数及びIC10の筐体の種類は例示に過ぎず、それらを任意に設計可能である。
図1には、上記複数の外部端子に含まれる電源端子VCC、入力端子IN、グランド端子GND及び信号出力端子OUTが示されている。これら以外の外部端子もIC10に設けられる。
【0014】
外部の交流電圧源(不図示)から一対の電力入力端子TM1及びTM2に対して交流電圧VACが供給される。交流電圧VACは商用交流電圧であって良い。交流電圧VACは、例えば、50Hz(ヘルツ)又は60Hzの交流100Vである。但し、交流電圧VACの周波数及び大きさは任意である。ここでは、電力入力端子TM1が固定されたグランド電位(基準電位)を持ち、グランド電位から見た交流電圧VACが電力入力端子TM2に加わると考える。故に電力入力端子TM2は交流電圧VACの印加端に相当する。グランド電位は0V(ボルト)である。グランド電位を有する配線又は金属部はグランドとも称される。本実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧はグランド電位から見た電圧を表す。
【0015】
電力入力端子TM1は配線WR1に接続され、電力入力端子TM2は配線WR2に接続される。故に、配線WR1にはグランド電位が加わり、配線WR2には交流電圧VACが加わる。負荷装置LDは配線WR1及びWR2に接続され、交流電圧VACに基づいて駆動する。
【0016】
整流ダイオードD1及びD2の各アノードは配線WR2に接続され、故に交流電圧VACを受ける。ダイオードD1のカソードと入力コンデンサC1の正極は配線WR3に接続される。入力コンデンサC1は正極及び負極を2つの端子として有し、入力コンデンサC1の負極から見て正極に高い電位が加わる。入力コンデンサC1の負極は配線WR1に接続される。
【0017】
整流ダイオードD1及び入力コンデンサC1は交流電圧VACを半波整流及び平滑化する半波整流回路(半波整流平滑回路)を形成し、当該半波整流回路により配線WR3に脈流電圧VPが生じる。詳細には整流ダイオードD1により交流電圧VACが半波整流され、整流ダイオードD1の半波整流により得られた電圧が入力コンデンサC1にて平滑化されることで、配線WR3に脈流電圧VPが生じる。
【0018】
電力変換回路30は脈流電圧VPを受け、脈流電圧VPを直流電圧VDC1に変換する。電力変換回路40は直流電圧VDC1を受け、直流電圧VDC1を直流電圧VDC2に変換する。直流電圧VDC1及びVDC2は互いに異なる所定の正の直流電圧値を有する。
【0019】
IC10の電源端子VCCに対し直流電圧VDC1が供給される。IC10は電源端子VCCに供給された直流電圧を電源電圧として用いて動作する。直流電圧VDC1ではなく直流電圧VDC2が電源端子VCCに供給されても良い。IC10の入力端子INは整流ダイオードD2のカソードが接続される。入力端子INに加わる電圧を記号“V1”にて参照し、入力電圧V1と称する。IC10のグランド端子GNDは配線WR1に接続される。故にグランド端子GNDはグランド電位を有する。IC10の信号出力端子OUTはマイクロコンピュータ20に接続される。IC10は信号出力端子OUTからゼロクロス検出信号SZXを出力し、マイクロコンピュータ20に供給する。
【0020】
マイクロコンピュータ20は、電力変換回路40の出力端子及び配線WR1に接続され、電力変換回路40から出力される直流電圧VDC2を電源電圧として用いて動作する。尚、直流電圧VDC1又はVDC2にて動作する他の任意の負荷(不図示)が負荷駆動システムSYSに設けられ得る。マイクロコンピュータ20は負荷装置LDに対する制御装置として機能する。マイクロコンピュータ20はゼロクロス検出信号SZXに基づき負荷装置LDの動作を制御する。例えば、負荷装置LDが調光機能を有する照明装置である場合、マイクロコンピュータ20はゼロクロス検出信号SZXに基づき照明装置の発光輝度(照度)を調整する。
【0021】
図3にIC10の内部構成を示す。IC10は、入力回路11、電圧源12、コンパレータ13、周期演算回路14、ピーク検出回路15及び信号出力回路16を備える。
【0022】
入力回路11は入力端子INとグランドとの間に設けられた1以上の抵抗を有する。ここでは、入力回路11は分圧抵抗11a及び11bの直列回路を有する分圧回路であるとする。分圧抵抗11aの第1端は入力端子INに接続されて入力電圧V1を受ける。分圧抵抗11aの第2端はノードND11にて分圧抵抗11bの第1端に接続される。分圧抵抗11bの第2端はグランドに接続される(即ちグランド電位を有するグランド端子GNDに接続される)。ノードND11には入力電圧V1の分圧が生じ、当該分圧(即ちノードND11に生じる電圧)を参照電圧V2と称する。分圧抵抗11a、11bの抵抗値を、夫々、R11a、R11bで表す。そうすると、参照電圧V2は“V2=V1×R11b/(R11a+R11b)”にて表される。尚、分圧抵抗11a及び11bの各々は、複数の抵抗素子の直列回路にて構成されていても良い。
【0023】
電圧源12は所定の直流電圧である判定電圧VREFを生成及び出力する。判定電圧VREFはグランド電位を基準とする正の直流電圧値(例えば2ボルト)を持つ。
【0024】
コンパレータ13は反転入力端子、非反転入力端子及び出力端子を有する。コンパレータ13の非反転入力端子はノードND11に接続されて参照電圧V2を受ける。コンパレータ13の反転入力端子には判定電圧VREFが入力される。コンパレータ13は参照電圧V2を判定電圧VREFと比較し、それらの高低関係を表す比較結果信号SCMPを周期演算回路14に出力する。比較結果信号SCMPはハイレベル又はローレベルの信号レベルを有する二値信号である。コンパレータ13は、参照電圧V2が判定電圧VREFよりも高いときにはハイレベルの比較結果信号SCMPを出力し、参照電圧V2が判定電圧VREFよりも低いときにはローレベルの比較結果信号SCMPを出力する。参照電圧V2が判定電圧VREFとちょうど一致するとき、比較結果信号SCMPのレベルはハイレベル及びローレベルの何れかとなる。
【0025】
周期演算回路14は、コンパレータ13からの比較結果信号SCMPに基づき交流電圧VACの周期の長さを導出及び検出する。このように、コンパレータ13と周期演算回路14との協働により、交流電圧VACの周期の長さを検出する周期検出回路が形成される。以下、交流電圧VACの周期の長さを周期長と称し、記号“tPR”にて表す。導出された周期長tPRは周期演算回路14から信号出力回路16に供給される。周期長tPRは交流電圧VACの1周期の時間長さである。故に例えば、交流電圧VACの周波数が50Hzである場合において周期演算回路14にて導出される周期長tPRに誤差がなければ、導出される周期長tPRは20ミリ秒である。
【0026】
ピーク検出回路15はノードND11に接続されて参照電圧V2を受ける。ピーク検出回路15は、参照電圧V2に基づき交流電圧VACの各周期において入力電圧V1がピークをとるタイミングを検出し、検出結果を示すピーク検出信号SPEAKを生成及び出力する。ピーク検出信号SPEAKはピーク検出回路15から信号出力回路16に供給される。
【0027】
信号出力回路16は、ゼロクロスタイミング検出回路として機能し、周期長tPR及びピーク検出信号SPEAKに基づいて交流電圧VACのゼロクロスタイミングを検出する。そして、信号出力回路16は、ゼロクロスタイミングの検出結果を示す信号をゼロクロス検出信号SZXとして生成及び出力する。ゼロクロス検出信号SZXは信号出力回路16から出力端子OUTを通じてマイクロコンピュータ20に供給される。
【0028】
交流電圧VACのゼロクロスタイミングとは、交流電圧VACのゼロクロスが生じるタイミングを指す。交流電圧VACのゼロクロスには、交流電圧VACの負から正へのゼロクロスと、交流電圧VACの正から負へのゼロクロスと、がある。交流電圧VACの負から正へのゼロクロスとは、詳細には交流電圧VACの瞬時値が負の値から正の値へ切り替わることを指す。交流電圧VACの瞬時値が負の値から正の値へ切り替わる際に交流電圧VACの瞬時値がゼロとなるタイミング(従って電力入力端子TM1及びTM2間の電位差がゼロとなるタイミング)は、交流電圧VACの負から正へのゼロクロスタイミングである。交流電圧VACの正から負へのゼロクロスとは、詳細には交流電圧VACの瞬時値が正の値から負の値へ切り替わることを指す。交流電圧VACの瞬時値が正の値から負の値へ切り替わる際に交流電圧VACの瞬時値がゼロとなるタイミング(従って電力入力端子TM1及びTM2間の電位差がゼロとなるタイミング)は、交流電圧VACの正から負へのゼロクロスタイミングである。
【0029】
図4にIC10の動作に関わるタイミングチャートを示す。
図4では、上から下に向けて、交流電圧V
AC、入力電圧V1、参照電圧V2、比較結果信号S
CMP、ピーク検出信号S
PEAK、ゼロクロス検出信号S
ZXの波形が、実線波形として示される。交流電圧V
ACは正弦波の波形を有し、交流電圧V
ACの振幅の値を振幅値AMPと称する(AMP>0)。
【0030】
交流電圧VACの瞬時値の上昇過程において交流電圧VACの瞬時値がゼロとなるとき、交流電圧VACの位相は0°であると考える。そうすると、交流電圧VACの位相が90°であるとき、交流電圧VACの瞬時値は振幅値AMPを有し、交流電圧VACの位相が270°であるとき、交流電圧VACの瞬時値は値(-AMP)を有する。交流電圧VACの位相が180°であるとき、交流電圧VACの瞬時値はゼロである。即ち、交流電圧VACの位相が0°となるタイミングは交流電圧VACの負から正へのゼロクロスタイミングであり、交流電圧VACの位相が180°となるタイミングは交流電圧VACの正から負へのゼロクロスタイミングである。
【0031】
IC10が起動した後、交流電圧VACの最初の周期を交流電圧VACの第1番目の周期と捉える。時刻T11は交流電圧VACの第1番目の周期における負から正へのゼロクロスタイミングであり、時刻T11において交流電圧VACの瞬時値はゼロである。時刻T11から後述の時刻T21の直前までは交流電圧VACの第1番目の周期に属する。時刻T11から時刻T12を経由して時刻T13に至るまで交流電圧VACの瞬時値は単調に増大してゆき、時刻T13にて交流電圧VACの瞬時値は振幅値AMPと一致する。時刻T13から交流電圧VACの瞬時値は振幅値AMPより値(-AMP)へと単調に低下し、その低下の過程における時刻T14にて交流電圧VACの瞬時値はゼロとなる。即ち、時刻T14は交流電圧VACの第1番目の周期における正から負へのゼロクロスタイミングである。時刻T14を経由し、交流電圧VACの第1番目の周期において交流電圧VACの瞬時値が値(-AMP)にまで低下した後、交流電圧VACの瞬時値の変化方向は増加方向に転じ、時刻T21にて交流電圧VACの瞬時値はゼロに達する。
【0032】
時刻T21は交流電圧VACの第2番目の周期における負から正へのゼロクロスタイミングであり、時刻T21において交流電圧VACの瞬時値はゼロである。時刻T21から後述の時刻T31の直前までは交流電圧VACの第2番目の周期に属する。時刻T21から時刻T22を経由して時刻T23に至るまで交流電圧VACの瞬時値は単調に増大してゆき、時刻T23にて交流電圧VACの瞬時値は振幅値AMPと一致する。時刻T23から交流電圧VACの瞬時値は振幅値AMPより値(-AMP)へと単調に低下し、その低下の過程における時刻T24にて交流電圧VACの瞬時値はゼロとなる。即ち、時刻T24は交流電圧VACの第2番目の周期における正から負へのゼロクロスタイミングである。時刻T24を経由し、交流電圧VACの第2番目の周期において交流電圧VACの瞬時値が値(-AMP)にまで低下した後、交流電圧VACの瞬時値の変化方向は増加方向に転じ、時刻T31にて交流電圧VACの瞬時値はゼロに達する。
【0033】
時刻T31は交流電圧VACの第3番目の周期における負から正へのゼロクロスタイミングであり、時刻T31において交流電圧VACの瞬時値はゼロである。時刻T31から後述の時刻T41の直前までは交流電圧VACの第3番目の周期に属する。時刻T31から時刻T32を経由して時刻T33に至るまで交流電圧VACの瞬時値は単調に増大してゆき、時刻T33にて交流電圧VACの瞬時値は振幅値AMPと一致する。時刻T33から交流電圧VACの瞬時値は振幅値AMPより値(-AMP)へと単調に低下し、その低下の過程における時刻T34にて交流電圧VACの瞬時値はゼロとなる。即ち、時刻T34は交流電圧VACの第3番目の周期における正から負へのゼロクロスタイミングである。時刻T34を経由し、交流電圧VACの第3番目の周期において交流電圧VACの瞬時値が値(-AMP)にまで低下した後、交流電圧VACの瞬時値の変化方向は増加方向に転じ、時刻T41にて交流電圧VACの瞬時値はゼロに達する。
【0034】
整流ダイオードD2により交流電圧VACの半波整流が行われ、半波整流により得られた電圧が入力電圧V1として入力端子INに加わる。時刻T11において入力電圧V1は0Vであるとする。そうすると、交流電圧VACの第1番目の周期において、時刻T11から時刻T12を経由し時刻T13に至るまで入力電圧V1は単調増加し、その後、入力電圧V1は単調減少する。
【0035】
分圧抵抗11a及び11bの夫々に並列に付加される寄生容量(不図示)の作用により、時刻T11の後、交流電圧VACの各周期において入力電圧V1は0Vまで低下しない。交流電圧VACの第2番目の周期において、時刻T21より若干の時間が経過してから入力電圧V1が再び上昇を開始し、その後、時刻T22を経由して時刻T23に至るまで入力電圧V1は単調増加し、時刻T23の後、入力電圧V1は単調減少する。同様に、交流電圧VACの第3番目の周期において、時刻T31より若干の時間が経過してから入力電圧V1が再び上昇を開始し、その後、時刻T32を経由して時刻T33に至るまで入力電圧V1は単調増加し、時刻T33の後、入力電圧V1は単調減少する。
【0036】
参照電圧V2は入力電圧V1の分圧であるため、入力電圧V1と連動して増減する。入力電圧V1及び参照電圧V2は周期的に変動する脈流電圧であり、入力電圧V1及び参照電圧V2の周波数は交流電圧VACの周波数と一致する。
【0037】
時刻T12は、交流電圧VACの第1番目の周期において“V2<VREF”の状態から“V2>VREF”の状態へ切り替わる時刻であり、時刻T12にて比較結果信号SCMPに第1回目のアップエッジが生じる。その後、交流電圧VACの第1番目の周期において“V2>VREF”の状態から“V2<VREF”の状態へ切り替わるときに比較結果信号SCMPに第1回目のダウンエッジが生じる。交流電圧VACの第1番目の周期において比較結果信号SCMPのダウンエッジは時刻T14にて生じることもあるし、時刻T14より前又は後で生じることもある。
【0038】
同様に、時刻T22は、交流電圧VACの第2番目の周期において“V2<VREF”の状態から“V2>VREF”の状態へ切り替わる時刻であり、時刻T22にて比較結果信号SCMPに第2回目のアップエッジが生じる。その後、交流電圧VACの第2番目の周期において“V2>VREF”の状態から“V2<VREF”の状態へ切り替わるときに比較結果信号SCMPに第2回目のダウンエッジが生じる。交流電圧VACの第2番目の周期において比較結果信号SCMPのダウンエッジは時刻T24にて生じることもあるし、時刻T24より前又は後で生じることもある。
【0039】
同様に、時刻T32は、交流電圧VACの第3番目の周期において“V2<VREF”の状態から“V2>VREF”の状態へ切り替わる時刻であり、時刻T32にて比較結果信号SCMPに第3回目のアップエッジが生じる。その後、交流電圧VACの第3番目の周期において“V2>VREF”の状態から“V2<VREF”の状態へ切り替わるときに比較結果信号SCMPに第3回目のダウンエッジが生じる。交流電圧VACの第3番目の周期において比較結果信号SCMPのダウンエッジは時刻T34にて生じることもあるし、時刻T34より前又は後で生じることもある。
【0040】
“V2<V
REF”の状態とは参照電圧V2が判定電圧V
REFより低い状態を指し、“V2>V
REF”の状態とは参照電圧V2が判定電圧V
REFより高い状態を指す。
図4に示される電圧V
THは、“V
TH×R11b/(R11a+R11b)=V
REF”を満たす閾電圧を表す。故に、“V2<V
REF”が成立するときには“V1<V
TH”が成立し、“V2>V
REF”が成立するときには“V1>V
TH”が成立する。“V2<V
REF”と“V1<V
TH”とは互いに等価であり、“V2>V
REF”と“V1>V
TH”とは互いに等価である。
【0041】
尚、時刻T11の後、交流電圧VACの各周期において入力電圧V1は0Vまで低下しないと述べたが、時刻T11の後、入力電圧V1が0Vまで低下することがあっても構わない。何れにせよ、交流電圧VACの各周期において、比較結果信号SCMPにアップエッジが生じた後、交流電圧VACの瞬時値の低下過程にて又は交流電圧VACの瞬時値が負である期間にて“V2>VREF”の状態から“V2<VREF”の状態に切り替わる(換言すれば“V1>VTH”の状態から“V1<VTH”の状態に切り替わる)よう、入力回路11が構成されているものとする。
【0042】
ピーク検出回路15は、参照電圧V2に基づき参照電圧V2がピークをとるタイミングを検出する。参照電圧V2がピークをとるタイミングを参照電圧V2のピークタイミングと称する。参照電圧V2のピークタイミングとは、参照電圧V2の各周期において参照電圧V2がピークをとるタイミング(即ち参照電圧V2の瞬時値が最大となるタイミング)を指す。
【0043】
入力電圧V1の各周期において入力電圧V1がピークをとるタイミング(即ち入力電圧V1の瞬時値が最大となるタイミング)を、入力電圧V1のピークタイミングと称する。交流電圧VACの各周期において交流電圧VACがピークをとるタイミング(即ち交流電圧VACの瞬時値が最大となるタイミング)を、交流電圧VACのピークタイミングと称する。交流電圧VACの瞬時値が最大値(振幅値AMP)を持つときに入力電圧V1の瞬時値も最大となり且つ参照電圧V2の瞬時値も最大となる。このため、交流電圧VACの各周期において、交流電圧VACのピークタイミングと、入力電圧V1のピークタイミングと、参照電圧V2のピークタイミングと、は互いに一致する。
【0044】
ピーク検出回路15は、交流電圧VACの各周期において参照電圧V2に基づき参照電圧V2のピークタイミングを検出することで、入力電圧V1のピークタイミング又は交流電圧VACのピークタイミングを検出するとも言える。
【0045】
ピーク検出信号SPEAKは、比較結果信号SCMPと同様にハイレベル又はローレベルの信号レベルを有する二値信号である。ピーク検出回路15は、ピーク検出信号SPEAKのレベルを原則としてローレベルに設定し、参照電圧V2がピークをとるタイミングにてピーク検出信号SPEAKにアップエッジを生じさせ、微小時間を経てピーク検出信号SPEAKにダウンエッジを生じさせる。即ち、ピーク検出回路15は、参照電圧V2のピークタイミングにてピーク検出信号SPEAKを微小時間だけハイレベルとする。交流電圧VACの第1、第2、第3番目の周期では、夫々、時刻T13、T23、T33が、参照電圧V2のピークタイミングに相当するため、ピーク検出回路15は時刻T13、T23及びT33の夫々にてピーク検出信号SPEAKにアップエッジを生じさせる。
【0046】
周期演算回路14は、比較結果信号SCMPのアップエッジタイミングの間隔に基づき周期長tPR(交流電圧VACの周期の長さ)を導出及び検出する。任意の時刻において、周期演算回路14は、比較結果信号SCMPのアップエッジタイミングの内、互いに隣接する直近の2つのアップエッジタイミングを特定し、特定した2つのアップエッジタイミングの間隔を周期長tPRとして検出する。従って例えば、交流電圧VACの第2番目の周期において時刻T22の後には、時刻T12と時刻T22とが上記2つのアップエッジタイミングとして特定され、時刻T12及びT22間の間隔が周期長tPRとして検出される。同様に例えば、交流電圧VACの第3番目の周期において時刻T32の後には、時刻T22と時刻T32とが上記2つのアップエッジタイミングとして特定され、時刻T22及びT32間の間隔が周期長tPRとして検出される。交流電圧VACの第4番目以降の各周期についても同様である。
【0047】
比較結果信号SCMPのアップエッジは参照電圧V2が判定電圧VREFを超えるときに発生する、即ち“V2<VREF”から“V2>VREF”への遷移タイミングにて発生する。一方、上述したように、“V2<VREF”と“V1<VTH”とは互いに等価であって且つ“V2>VREF”と“V1>VTH”とは互いに等価である。故に、周期演算回路14は、入力電圧V1が閾電圧VTHを超えるタイミング(詳細には、“V1<VTH”から“V1>VTH”への遷移タイミング)の間隔に基づき周期長tPRを導出及び検出する、とも言える。
【0048】
信号出力回路16は、交流電圧VACの各周期において、ピーク検出信号SPEAKのアップエッジタイミングから第1遅延時間後に交流電圧VACの正から負へのゼロクロスが生じると推定及び検出し、ピーク検出信号SPEAKのアップエッジタイミングから第2遅延時間後に交流電圧VACの負から正へのゼロクロスが生じると推定及び検出する。第1遅延時間は周期演算回路14により導出された周期長tPRの1/4倍である。第2遅延時間は周期演算回路14により導出された周期長tPRの3/4倍である。
【0049】
ゼロクロス検出信号SZXは、比較結果信号SCMPと同様にハイレベル又はローレベルの信号レベルを有する二値信号である。信号出力回路16は、周期演算回路14により周期長tPRが導出される前において、ゼロクロス検出信号SZXをローレベルに維持する。周期演算回路14により周期長tPRが導出された後、信号出力回路16は、ピーク検出信号SPEAKにてアップエッジが生じるごとに、ピーク検出信号SPEAKのアップエッジタイミングから第1遅延時間だけ後においてゼロクロス検出信号SZXにアップエッジを生じさせ、ピーク検出信号SPEAKのアップエッジタイミングから第2遅延時間だけ後においてゼロクロス検出信号SZXにダウンエッジを生じさせる。
【0050】
故に、周期演算回路14及びピーク検出回路15の夫々にて検出誤差が無ければ、ゼロクロス検出信号SZXにおいて、時刻T24にてアップエッジが生じ、時刻T31にてダウンエッジが生じ、時刻T34にてアップエッジが生じ、時刻T41にてダウンエッジが生じる。ゼロクロス検出信号SZXのアップエッジは交流電圧VACにて正から負へのゼロクロスが生じたことを表す。従って、ゼロクロス検出信号SZXのアップエッジタイミングは交流電圧VACの正から負へのゼロクロスタイミングを表す。ゼロクロス検出信号SZXのダウンエッジは交流電圧VACにて負から正へのゼロクロスが生じたことを表す。従って、ゼロクロス検出信号SZXのダウンエッジタイミングは交流電圧VACの負から正へのゼロクロスタイミングを表す。
【0051】
信号出力回路16は、ピーク検出信号SPEAKにてアップエッジが生じたとき、その時点で周期演算回路14にて導出されている最新の周期長tPRに基づき、ゼロクロス検出信号SZXにおける次回のアップエッジタイミング及びダウンエッジタイミングを決定する。
【0052】
例えば、時刻T23において周期演算回路14により導出されている最新の周期長tPRは、時刻T12及びT22間の間隔に相当する。故に、時刻T23にてピーク検出信号SPEAKにアップエッジが生じたとき、信号出力回路16は、時刻T23から時刻T12及びT22間の間隔の1/4倍が経過した時点でゼロクロス検出信号SZXにアップエッジを生じさせ、時刻T23から時刻T12及びT22間の間隔の3/4倍が経過した時点でゼロクロス検出信号SZXにダウンエッジを生じさせる。同様に例えば、時刻T33において周期演算回路14により導出されている最新の周期長tPRは、時刻T22及びT32間の間隔に相当する。故に、時刻T33にてピーク検出信号SPEAKにアップエッジが生じたとき、信号出力回路16は、時刻T33から時刻T22及びT32間の間隔の1/4倍が経過した時点でゼロクロス検出信号SZXにアップエッジを生じさせ、時刻T33から時刻T22及びT32間の間隔の3/4倍が経過した時点でゼロクロス検出信号SZXにダウンエッジを生じさせる。
【0053】
このように、IC10によれば、半波整流に対応して交流電圧VACのゼロクロスを良好に検出できる。
【0054】
以下の複数の実施例の中で、負荷駆動システムSYSに関わる幾つかの変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0055】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。入力回路11はIC10の外部に設けられてIC10に対して外付け接続されても良い。この場合には、IC10とIC10に外付け接続された入力回路11とでゼロクロス検出装置が形成される、と考えることができる。
【0056】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。入力電圧V
INの振幅が十分に小さい又はIC10のダイナミックレンジが十分に大きい場合などにあっては、
図5に示す如く、入力端子INとグランドとに接続された単一の抵抗11cにて入力回路11が形成されても良い。この場合、抵抗11cの両端間電圧が参照電圧V2となるので参照電圧V2は入力電圧V1と同じとなり、判定電圧V
REFは閾電圧V
THと同じとなる。
【0057】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。IC10における演算回路14は、比較結果信号SCMPに基づき交流電圧VACの周波数を検出する周波数演算回路であっても良い、又は、周波数演算回路を含んでいても良い。周期長tPRは交流電圧VACの周波数の逆数に相当するので、周期長tPRの導出及び検出と、交流電圧VACの周波数の導出及び検出とは、互いに等価である。演算回路14にて交流電圧VACの周波数が検出される場合、検出された周波数の逆数が演算回路14にて求められることで周期長tPRが導出されれば良い。
【0058】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。
【0059】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係は上述したものの逆とされ得る。
【0060】
負荷装置LDの例として照明装置を挙げたが、負荷装置LDは交流電圧VACに基づいて駆動する任意の負荷であって良い。但し特に例えば、ゼロクロス検出信号SZXに基づきマイクロコンピュータ20によって動作が制御される負荷が負荷装置LDとして想定される。
【0061】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0062】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0063】
本開示の一側面に係るゼロクロス検出装置(10)は、基準電位(グランド)から見た交流電圧(VAC)の印加端(TM2)よりダイオード(D2)を介して入力電圧(V1)を受けるよう構成された入力端子(IN)と、前記入力端子と前記基準電位を有する端子との間に設けられた抵抗を含む入力回路(11)と、前記入力電圧が閾電圧(VTH)を超えるタイミングの間隔に基づき前記交流電圧の周期の長さ(tPR)を検出するよう構成された周期検出回路(13、14)と、前記交流電圧の各周期において前記入力電圧がピークをとるピークタイミングを検出するよう構成されたピーク検出回路(15)と、前記周期検出回路の検出結果及び前記ピーク検出回路の検出結果に基づき前記交流電圧のゼロクロスタイミングを検出するよう構成されたゼロクロスタイミング検出回路(16)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0064】
これにより、半波整流が行われるシステムにおいて交流電圧のゼロクロス(ゼロクロスタイミング)を検出することが可能となる。
【0065】
上記第1の構成に係るゼロクロス検出装置において、前記入力回路において前記入力電圧に応じた参照電圧(V2)が生成され、前記周期検出回路は、前記参照電圧に基づき前記周期の長さを検出し、前記ピーク検出回路は、前記参照電圧に基づき前記ピークタイミングを検出する構成(第2の構成)であっても良い。
【0066】
上記第2の構成に係るゼロクロス検出装置において、前記入力回路は、前記入力端子と前記基準電位を有する端子との間に設けられた複数の分圧抵抗(11a、11b)の直列回路を有し、前記直列回路にて前記入力電圧の分圧が前記参照電圧として生成される構成(第3の構成)であっても良い。
【0067】
上記第2又は第3の構成に係るゼロクロス検出装置において、前記周期検出回路は、前記参照電圧を所定電圧(VREF)と比較するよう構成されたコンパレータ(13)と、前記コンパレータの比較結果に基づき前記交流電圧の周期の長さを導出するよう構成された演算回路(14)と、を有する構成(第4の構成)であっても良い。
【0068】
これにより、半波整流が行われるシステムにおいて交流電圧の周期の長さを良好に導出できる。
【0069】
上記第4の構成に係るゼロクロス検出装置において、前記演算回路は、前記参照電圧が前記所定電圧より低い状態から前記所定電圧より高い状態へ遷移するタイミングの間隔を前記交流電圧の周期の長さとして導出する構成(第5の構成)であっても良い。
【0070】
上記第1~第5の構成の何れかに係るゼロクロス検出装置において、前記ゼロクロスタイミング検出回路は、前記ピークタイミングから遅延時間後に前記交流電圧のゼロクロスが生じると検出し、前記遅延時間は、前記周期検出回路にて検出された前記周期の長さの1/4倍又は3/4倍に相当する構成(第6の構成)であっても良い。
【0071】
上記第1~第5の構成の何れかに係るゼロクロス検出装置において、前記ゼロクロスタイミング検出回路は、前記ピークタイミングから第1遅延時間後に前記交流電圧の正から負へのゼロクロスが生じると検出し、前記ピークタイミングから第2遅延時間後に前記交流電圧の負から正へのゼロクロスが生じると検出し、前記第1遅延時間は、前記周期検出回路にて検出された前記周期の長さの1/4倍に相当し、前記第2遅延時間は、前記周期検出回路にて検出された前記周期の長さの3/4倍に相当する構成(第7の構成)であっても良い。
【0072】
上記第1~第7の構成の何れかに係るゼロクロス検出装置において、前記入力電圧が前記閾電圧を超えるタイミングは、前記入力電圧が前記閾電圧より低い状態から前記閾電圧より高い状態へ遷移するタイミングである構成(第8の構成)であっても良い。
【0073】
上記第1~第8の構成の何れかに係るゼロクロス検出装置において、前記ゼロクロスタイミング検出回路は、前記ゼロクロスタイミングの検出結果を示すゼロクロス検出信号(SZX)を出力する構成(第9の構成)であっても良い。
【0074】
上記第1~第9の構成の何れかに係るゼロクロス検出装置において、前記基準電位を有する第1電力入力端子(TM1)から見て第2電力入力端子(TM2)に前記交流電圧が加わり、前記第2電力入力端子が前記ダイオードのアノードに接続されることで前記ダイオードのカソードに前記入力電圧が加わる構成(第10の構成)であっても良い。
【0075】
本開示の一側面に係る負荷駆動システム(SYS)は、上記第10の構成に係るゼロクロス検出装置と、前記第1電力入力端子及び前記第2電力入力端子に接続され、前記交流電圧に基づき駆動するよう構成された負荷装置(LD)と、前記第1電力入力端子及び前記第2電力入力端子に接続され、前記交流電圧の半波整流及び平滑化を行うことで脈流電圧を生成するよう構成された半波整流回路(D1、C1)と、前記脈流電圧に基づき生成された直流電圧を電源電圧として用い、前記ゼロクロス検出装置による前記ゼロクロスタイミングの検出結果に基づき前記負荷装置を制御するよう構成された制御装置(20)と、を備える構成(第11の構成)である。
【符号の説明】
【0076】
SYS 負荷駆動システム
TM1、TM2 電力入力端子
VCC 電源端子
IN 入力端子
GND グランド端子
OUT 信号出力端子
10 ゼロクロス検出IC
20 マイクロコンピュータ
30、40 電力変換回路
D1、D2 整流ダイオード
C1 入力コンデンサ
11 入力回路
11a、11b 分圧抵抗
11c 抵抗
12 電圧源
13 コンパレータ
14 周期演算回路
15 ピーク検出回路
16 信号出力回路
VAC 交流電圧
V1 入力電圧
V2 参照電圧
VREF 判定電圧
VTH 閾電圧
VP 脈流電圧
VDC1、VDC2 直流電圧
SCMP 比較検出信号
SPEAK ピーク検出信号
SZX ゼロクロス検出信号
tPR 周期長