(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170404
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】省電力クライミングクレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/32 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
B66C23/32 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082132
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 正吉
(72)【発明者】
【氏名】深井 健太郎
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA03
3F205AB01
3F205AB08
3F205AB10
3F205BA04
3F205CA01
3F205CA09
3F205KA10
(57)【要約】
【課題】強風の影響を受けにくく且つ発電効率向上を図り得る省電力クライミングクレーンを提供する。
【解決手段】マスト20に沿って昇降自在なガイドマスト21と、ガイドマスト21の外面に設けられるソーラーパネル30と、ガイドマスト21の下方に位置するマスト20の外面に展開・折り畳み自在且つ傾斜角度調節自在に配設される複数のソーラーパネルルーバー41を有するソーラーパネルユニット40と、ソーラーパネルユニット40を展開させる位置と折り畳む位置とに切り換える拡縮機構と、ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度を調節する傾斜角度調節機構と、吊荷の巻上装置70Wに設けられ且つ吊荷の巻下時に発電する回生ブレーキ70と、ソーラーパネル30とソーラーパネルユニット40と回生ブレーキ70とに接続される蓄電池80とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マストに沿って昇降自在なガイドマストと、
該ガイドマストの外面に設けられるソーラーパネルと、
前記ガイドマストの下方に位置するマストの外面に展開・折り畳み自在且つ傾斜角度調節自在に配設される複数のソーラーパネルルーバーを有するソーラーパネルユニットと、
該ソーラーパネルユニットを展開させる位置と折り畳む位置とに切り換える拡縮機構と、
前記ソーラーパネルルーバーの傾斜角度を調節する傾斜角度調節機構と、
吊荷の巻上装置に設けられ且つ吊荷の巻下時に発電する回生ブレーキと、
前記ソーラーパネルとソーラーパネルユニットと回生ブレーキとに接続される蓄電池と
を備えた省電力クライミングクレーン。
【請求項2】
前記ソーラーパネルユニットは、ソーラーパネルルーバーと連結材とが上下方向へ交互に配設されるよう水平方向軸を中心として回動自在に連結されて構成され、
前記ソーラーパネルユニットの上端は、前記ガイドマストに対し水平方向軸を中心として回動自在に連結されると共に、前記ソーラーパネルユニットの下端は、前記ガイドマストの下方に配設されるサブガイドマストに対し水平方向軸を中心として回動自在に連結され、
前記拡縮機構は、前記ガイドマストに設置されるウインチと、該ウインチから繰り出されて前記サブガイドマストに接続されるワイヤとを備え、前記傾斜角度調節機構を兼ねる請求項1記載の省電力クライミングクレーン。
【請求項3】
前記連結材は、光を反射してソーラーパネルルーバーに導く鏡状板である請求項2記載の省電力クライミングクレーン。
【請求項4】
前記ソーラーパネルユニットは、ソーラーパネルルーバーが上下方向へ所要ピッチで配設されるようラダーテープによりガイドマストから吊り下げられて構成され、
前記拡縮機構は、前記ガイドマストに設置されるウインチと、該ウインチから繰り出され前記ソーラーパネルルーバーを貫通して下方へ延び且つ前記ガイドマストの下方に配設されるサブガイドマストに接続されるワイヤとを備え、
前記傾斜角度調節機構は、前記ラダーテープを昇降させるチルトロッドを備えた請求項1記載の省電力クライミングクレーン。
【請求項5】
前記サブガイドマストをマストに固定する固定装置を備え、
該固定装置は、前記マストに設けられたガイドマスト昇降用のカンヌキ孔に挿入・抜脱される固定ピンを備えた請求項2~4の何れか一項に記載の省電力クライミングクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力クライミングクレーンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、高層ビル等の建造にはクライミングクレーンが用いられているが、地球環境改善に貢献すべく、作業中の消費電力を抑えて省電力化を図ることは非常に重要となっている。
【0003】
省電力化を図る上で、太陽エネルギーを利用するソーラーパネルは有効であり、ソーラーパネルを備えたクレーンと関連する一般的技術水準を示すものとしては、例えば、特許文献1、2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-323322号公報
【特許文献2】実用新案登録第3158865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されているソーラーパネルは、強風時を考慮してジブの上面にのみ配置されているものの、ジブを水平状態から起立させた場合、風荷重が増加してしまう不具合があった。
【0006】
又、特許文献2に開示されているソーラーパネルは、走行型クレーンのクレーン本体の上部に設けられた支持部材の上方に配置されており、走行型クレーンとは構造が異なるクライミングクレーンに適用することは困難となっていた。
【0007】
更に又、特許文献1、2に開示されているソーラーパネルはいずれも固定配置されているため、各地域、季節、時間帯、方位に応じて最適なソーラーパネルの傾斜角度を調節することはできず、発電効率の面において改善の余地が残されていた。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、強風の影響を受けにくく且つ発電効率向上を図り得る省電力クライミングクレーンを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、マストに沿って昇降自在なガイドマストと、
該ガイドマストの外面に設けられるソーラーパネルと、
前記ガイドマストの下方に位置するマストの外面に展開・折り畳み自在且つ傾斜角度調節自在に配設される複数のソーラーパネルルーバーを有するソーラーパネルユニットと、
該ソーラーパネルユニットを展開させる位置と折り畳む位置とに切り換える拡縮機構と、
前記ソーラーパネルルーバーの傾斜角度を調節する傾斜角度調節機構と、
吊荷の巻上装置に設けられ且つ吊荷の巻下時に発電する回生ブレーキと、
前記ソーラーパネルとソーラーパネルユニットと回生ブレーキとに接続される蓄電池と
を備えた省電力クライミングクレーンに係るものである。
【0010】
前記省電力クライミングクレーンにおいて、前記ソーラーパネルユニットは、ソーラーパネルルーバーと連結材とが上下方向へ交互に配設されるよう水平方向軸を中心として回動自在に連結されて構成され、
前記ソーラーパネルユニットの上端は、前記ガイドマストに対し水平方向軸を中心として回動自在に連結されると共に、前記ソーラーパネルユニットの下端は、前記ガイドマストの下方に配設されるサブガイドマストに対し水平方向軸を中心として回動自在に連結され、
前記拡縮機構は、前記ガイドマストに設置されるウインチと、該ウインチから繰り出されて前記サブガイドマストに接続されるワイヤとを備え、前記傾斜角度調節機構を兼ねるようにすることができる。
【0011】
前記省電力クライミングクレーンにおいて、前記連結材は、光を反射してソーラーパネルルーバーに導く鏡状板とすることが好ましい。
【0012】
又、前記省電力クライミングクレーンにおいて、前記ソーラーパネルユニットは、ソーラーパネルルーバーが上下方向へ所要ピッチで配設されるようラダーテープによりガイドマストから吊り下げられて構成され、
前記拡縮機構は、前記ガイドマストに設置されるウインチと、該ウインチから繰り出され前記ソーラーパネルルーバーを貫通して下方へ延び且つ前記ガイドマストの下方に配設されるサブガイドマストに接続されるワイヤとを備え、
前記傾斜角度調節機構は、前記ラダーテープを昇降させるチルトロッドを備えるようにすることができる。
【0013】
更に又、前記省電力クライミングクレーンにおいては、前記サブガイドマストをマストに固定する固定装置を備え、
該固定装置は、前記マストに設けられたガイドマスト昇降用のカンヌキ孔に挿入・抜脱される固定ピンを備えるようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の省電力クライミングクレーンによれば、強風の影響を受けにくく且つ発電効率向上を図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の省電力クライミングクレーンの実施例を示す斜視図であって、展開状態にあるソーラーパネルユニットの一例を示す図である。
【
図2】
図1の展開状態にあるソーラーパネルユニットを示す断面図である。
【
図3】
図1のソーラーパネルユニットが折り畳まれた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の折り畳み状態にあるソーラーパネルユニットを示す断面図である。
【
図5】本発明の省電力クライミングクレーンの実施例における回路構成図である。
【
図6】本発明の省電力クライミングクレーンの実施例におけるソーラーパネルユニットの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0017】
図1~
図5は本発明の省電力クライミングクレーンの実施例である。
【0018】
本実施例の場合、
図1に示す如く、クライミングクレーン10は、マスト20に沿って昇降自在にガイドマスト21が設けられているが、ソーラーパネル30と、ソーラーパネルユニット40と、拡縮機構50と、傾斜角度調節機構60と、回生ブレーキ70と、蓄電池80とを備えた点を特徴としている。
【0019】
前記ソーラーパネル30は、前記ガイドマスト21の外面に設けられている。
【0020】
前記ソーラーパネルユニット40は、前記ガイドマスト21の下方に位置するマスト20の外面に展開・折り畳み自在且つ傾斜角度調節自在に配設される複数のソーラーパネルルーバー41を有している。
図1~
図4に示すソーラーパネルルーバー41には、連結材42が水平方向軸43を中心として回動自在に連結され、ソーラーパネルルーバー41と連結材42とが上下方向へ交互に配設されている。前記ソーラーパネルユニット40の上端(
図2及び
図4の例ではソーラーパネルルーバー41)は、前記ガイドマスト21に対し水平方向軸43を中心として回動自在に連結されると共に、前記ソーラーパネルユニット40の下端(
図2及び
図4の例では連結材42)は、前記ガイドマスト21の下方に配設されるサブガイドマスト22に対し水平方向軸43を中心として回動自在に連結されている。但し、前記ソーラーパネルユニット40の上端に連結材42を設け、下端にソーラーパネルルーバー41を設けても良いことは言うまでもない。
【0021】
前記連結材42としては、樹脂や金属等の板材又は板状に組まれたフレーム構造のものを採用することができるが、特に、光を反射してソーラーパネルルーバー41に導く鏡状板42aとすることが有効となる。
【0022】
前記拡縮機構50は、前記ソーラーパネルユニット40を展開させる位置(
図1及び
図2参照)と折り畳む位置(
図3及び
図4参照)とに切り換えるようになっている。
【0023】
前記傾斜角度調節機構60は、前記ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度を調節するようになっている。
【0024】
図1~
図4に示す拡縮機構50は、前記ガイドマスト21に設置されるウインチ51と、該ウインチ51から繰り出されて前記サブガイドマスト22に接続されるワイヤ52とを備え、前記傾斜角度調節機構60を兼ねている。
【0025】
前記サブガイドマスト22は、固定装置23によりマスト20に固定されるようになっており、該固定装置23は、前記マスト20に設けられたガイドマスト21の昇降用のカンヌキ孔24に挿入・抜脱される固定ピン23aを備えている。尚、前記サブガイドマスト22には、
図2及び
図4に示す如く、前記マスト20の外面に沿って転動するガイドローラ25が設けられている。
【0026】
前記回生ブレーキ70は、吊荷(図示せず)の巻上装置70Wに設けられており、前記吊荷の巻下時に発電するようになっている。
【0027】
前記蓄電池80は、ガイドマスト21に設置され、
図5に示す如く、前記ソーラーパネル30とソーラーパネルユニット40と回生ブレーキ70とに接続されている。前記蓄電池80には、蓄電池回路と動力回路から構成されるパワーパック81が接続されている。該パワーパック81は、交流電源90が接続されるインバータ91を介して制御盤92に接続され、該制御盤92から必要に応じて電気がクレーン動力93や補器類・灯火94(エアコン、航空障害灯、照明、歩道灯等)に供給されるようになっている。又、前記パワーパック81は、工場電源95に接続されている。
【0028】
尚、ビル等の建造物の隣接地にクライミングクレーン10が設置され、マスト20を継ぎ足しながらクライミングするマストクライミングによる運用の場合、マスト20及びガイドマスト21の一面は建造物に向かい合っており、発電に必要な太陽光を確保することができないため、費用対効果の観点から、建造物に対面するガイドマスト21及びマスト20の面にはソーラーパネル30及びソーラーパネルユニット40を配置せず、残りの三面にソーラーパネル30及びソーラーパネルユニット40を配置することが好ましい。
【0029】
又、ビル等の建造が上方へ進行するごとに、マスト20の引き上げと設置を繰り返してクライミングするフロアクライミングによる運用の場合、クライミングクレーン10の外周には障害物がないため、マスト20及びガイドマスト21の四面で太陽光を受けることができるが、北半球の地域において、ソーラーパネル30及びソーラーパネルユニット40の発電量は南向きに設置した場合に最も高い発電量を得ることができる一方、北向きの面は四面のうちで最も発電量が低くなる。このような方位と発電量の観点から、費用対効果の高い三面にソーラーパネル30及びソーラーパネルユニット40を配置することがやはり有効となる。
【0030】
次に、上記実施例の作用を説明する。
【0031】
図1及び
図2に示す如く、ソーラーパネルユニット40を展開した状態から、固定装置23の固定ピン23aをカンヌキ孔24より引き抜き、傾斜角度調節機構60を兼ねる拡縮機構50のウインチ51でワイヤ52を巻き上げると、サブガイドマスト22が上昇し、ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度が水平に近づく方向へ変化する。
【0032】
逆に、前記傾斜角度調節機構60を兼ねる拡縮機構50のウインチ51でワイヤ52を巻き下げると、サブガイドマスト22が下降し、ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度が垂直に近づく方向へ変化する。
【0033】
因みに、発電を行う上で地域、季節、時間帯、方位による最適なソーラーパネルルーバー41の傾斜角度を予め記録しておき、クライミングクレーン10を設置する際に、その地域、季節、時間帯、方位を入力することで、ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度調節操作は自動で行うことが可能となる。但し、前記ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度調節操作は自動から手動に切り換えられるようにしても良い。
【0034】
又、前記ソーラーパネルユニット40の連結材42として鏡状板42aを採用すると、該鏡状板42aに太陽光が反射してソーラーパネルルーバー41に導かれ、発電効率を高める上でより有効となる。
【0035】
前記ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度が調節されたソーラーパネルユニット40と、ガイドマスト21の外面に設けられたソーラーパネル30とにより発電された電気は、蓄電池80に蓄えられる。
【0036】
尚、前記ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度調節後は、固定装置23の固定ピン23aがカンヌキ孔24に挿入され、サブガイドマスト22がマスト20に固定される。これにより、万が一、ワイヤ52が破損するような事態が発生しても、サブガイドマスト22が落下する心配はない。又、前記カンヌキ孔24は、もともとガイドマスト21の昇降用としてマスト20に設けられたものであり、これを流用できることは、専用の孔を新たに設ける必要もなく、コスト削減にもつながることとなる。
【0037】
一方、吊荷の巻下時には、巻上装置70Wに設けられた回生ブレーキ70により発電が行われ、該回生ブレーキ70により発電された電気も前記蓄電池80に蓄えられる。
【0038】
前記蓄電池80に蓄えられた電気は、パワーパック81とインバータ91とを介して制御盤92から必要に応じてクレーン動力93や補器類・灯火94(エアコン、航空障害灯、照明、歩道灯等)に供給される。特に、災害等による停電時には、蓄電池80からの電気を用いて、クライミングクレーン10を安定姿勢に操作可能となる他、前記パワーパック81に接続された工場電源95や駐車場、広場、道路等への電気の供給も行える。
【0039】
又、強風時には、
図1及び
図2に示す如く、ソーラーパネルユニット40を展開した状態から、固定装置23の固定ピン23aをカンヌキ孔24より引き抜き、傾斜角度調節機構60を兼ねる拡縮機構50のウインチ51でワイヤ52を最大限巻き上げると、
図3及び
図4に示す如く、サブガイドマスト22が上限位置まで上昇し、ソーラーパネルルーバー41及び連結材42の傾斜角度が水平となり、ソーラーパネルユニット40は折り畳み状態となる。
【0040】
これにより、特許文献1に開示されているジブを水平状態から起立させた場合に問題となる、風荷重が増加してしまうことを、本実施例では回避可能となる。
【0041】
又、特許文献1、2に開示されているソーラーパネルとは異なり、ソーラーパネルユニット40は固定配置されておらず、各地域、季節、時間帯、方位に応じてソーラーパネルルーバー41の傾斜角度を調節することができるため、発電効率を向上させることが可能となる。
【0042】
こうして、強風の影響を受けにくく且つ発電効率向上を図り得る。
【0043】
図6は本発明の省電力クライミングクレーンの実施例におけるソーラーパネルユニット40の他の例を示す斜視図である。
【0044】
図6に示すソーラーパネルユニット40は、窓等に設けられるブラインドと同じ構造を有し、ソーラーパネルルーバー41が上下方向へ所要ピッチで配設されるようラダーテープ61によりガイドマスト21から吊り下げられて構成されている。
【0045】
前記ソーラーパネルユニット40の他の例における拡縮機構50は、前記ガイドマスト21に設置されるウインチ51と、該ウインチ51から繰り出され前記ソーラーパネルルーバー41を貫通して下方へ延び且つ前記ガイドマスト21の下方に配設されるサブガイドマスト22に接続されるワイヤ52とを備えている。尚、
図6に示す例において、前記ウインチ51に掛け回されるワイヤ52の一端は、そのまま前記ソーラーパネルルーバー41を貫通し下方へ延びてサブガイドマスト22に接続される一方、前記ワイヤ52の他端は、ガイドマスト21に回転自在に配設されるシーブ53に掛け回され、前記ソーラーパネルルーバー41を貫通し下方へ延びてサブガイドマスト22に接続されるようになっている。
【0046】
前記傾斜角度調節機構60は、前記ラダーテープ61を昇降させるチルトロッド62を備えている。
【0047】
前記チルトロッド62は、ロッド部62aとリンク部62bとを備えている。前記ロッド部62aは、前記ガイドマスト21に水平方向へ延びるよう回転自在に配設され、図示していないモータ等の駆動装置により回転駆動されるようになっている。前記リンク部62bは、前記ロッド部62aの両端に該ロッド部62aの軸線と直交する方向へ張り出すように設けられ、その先端部からラダーテープ61が垂下され、該ラダーテープ61によってソーラーパネルルーバー41の四隅部が支持されている。
【0048】
尚、図示は省略しているが、
図6に示す他の例においても、
図2及び
図4と同様、サブガイドマスト22には、ガイドマスト21の昇降用のカンヌキ孔24に挿入・抜脱される固定ピン23aを備えた固定装置23と、前記マスト20の外面に沿って転動するガイドローラ25とが設けられている。
【0049】
図6示す如く、ソーラーパネルユニット40を展開した状態から、傾斜角度調節機構60のチルトロッド62を回動させると、ソーラーパネルルーバー41の四隅部を支持するラダーテープ61が昇降し、ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度を垂直に近づく方向へ変化させたり、水平に近づく方向へ変化させたりすることができる。
【0050】
又、強風時には、
図6に示す如く、ソーラーパネルユニット40を展開した状態から、固定装置23の固定ピン23aをカンヌキ孔24より引き抜き(
図2及び
図4参照)、拡縮機構50のウインチ51により、該ウインチ51から直接垂下されるワイヤ52と、前記ウインチ51から繰り出されシーブ53に掛け回されて垂下されるワイヤ52とを最大限巻き上げると、サブガイドマスト22が上限位置まで上昇し、ソーラーパネルルーバー41の傾斜角度が水平となり、ソーラーパネルユニット40を折り畳み状態とすることができる。
【0051】
これにより、
図6に示す他の例のようにソーラーパネルユニット40を構成しても、
図1~
図4に示す例と同様、強風の影響を受けにくく且つ発電効率向上を図り得る。
【0052】
尚、本発明の省電力クライミングクレーンは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
10 クライミングクレーン
20 マスト
21 ガイドマスト
22 サブガイドマスト
23 固定装置
23a 固定ピン
24 カンヌキ孔
25 ガイドローラ
30 ソーラーパネル
40 ソーラーパネルユニット
41 ソーラーパネルルーバー
42 連結材
42a 鏡状板
43 水平方向軸
50 拡縮機構
51 ウインチ
52 ワイヤ
53 シーブ
60 傾斜角度調節機構
61 ラダーテープ
62 チルトロッド
62a ロッド部
62b リンク部
70 回生ブレーキ
70W 巻上装置
80 蓄電池
81 パワーパック
90 交流電源
91 インバータ
92 制御盤
93 クレーン動力
94 補器類・灯火
95 工場電源