(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170406
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】認証装置、認証方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231124BHJP
G06V 40/10 20220101ALI20231124BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20231124BHJP
【FI】
G06T7/00 510A
G06T7/00 350B
G06V40/10
G06V10/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082135
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野末 洋佑
(72)【発明者】
【氏名】坂口 祐哉
【テーマコード(参考)】
5B043
5L096
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043DA05
5B043EA03
5B043EA05
5B043GA02
5L096CA04
5L096FA66
5L096GA51
5L096HA07
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】歩容認証において、人の装着物に依らず、適切な認証結果を出力できる認証装置を提供すること。
【解決手段】認証装置は、認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信する受信部と、装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、画像データに含まれる人の装着物に基づいて、認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信する受信部と、
装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、前記画像データに含まれる人の装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する制御部と、
を有する認証装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記画像データから抽出した前記画像データに含まれる人の歩容に関する認証特徴量と、記憶部に予め記憶された人の歩容に関する登録特徴量との一致度を、前記選択した学習モデルを用いた歩容認証により取得し、
取得した前記一致度に基づいて、前記画像データに含まれる人が前記予め記憶された人であるかの判定を行う、
請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
前記制御部は、複数の装着物それぞれに関して歩容認証を学習した学習モデルのうち、第1の装着物に関して学習した学習モデルを用いた歩容認証において、前記画像データに含まれる人が前記予め記憶された人ではないと判定された場合、
前記画像データに含まれる人に対して、前記第1の装着物と異なる第2の装着物に関して学習した学習モデルを用いた歩容認証を行う、
請求項2に記載の認証装置。
【請求項4】
前記制御部は、更に、前記装着物に基づいて、前記画像データに含まれる人の属性を推定し、
前記予め記憶された人のうち、推定された属性を持つ人が、推定された前記属性を持たない人よりも、前記画像データに含まれる人と一致すると判断され易くなるように前記歩容認証を制御する、
請求項2に記載の認証装置。
【請求項5】
前記装着物は、履物である、請求項1に記載の認証装置。
【請求項6】
前記複数の学習モデルは、前記履物に基づいて分類され、
前記制御部は、前記画像データに含まれる人の履物に基づいて、前記認証エリアの歩容認証に用いる学習モデルを選択する、
請求項5に記載の認証装置。
【請求項7】
前記複数の学習モデルは、服に基づいて分類され、
前記制御部は、前記画像データに含まれる人の履物に基づいて前記服を推定し、推定した前記服に基づいて、前記認証エリアの歩容認証に用いる学習モデルを選択する、
請求項5に記載の認証装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記画像データが撮影される場所から取得した音に基づいて、前記画像データに含まれる人の履物を推定する、請求項5から7のいずれか一項に記載の認証装置。
【請求項9】
認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信し、
装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、前記画像データに含まれる人の装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する、
認証方法。
【請求項10】
プロセッサに、
認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信し、
装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、前記画像データに含まれる人の装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する、
処理を実行させるプログラム。
【請求項11】
認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信する受信部と、
装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、気温に対応する装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する制御部と、
を有する認証装置。
【請求項12】
認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信し、
装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、気温に対応する装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する、
認証方法。
【請求項13】
プロセッサに、
認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信し、
装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、気温に対応する装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、認証装置、認証方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行の様子を基に、人を認証する生体認証技術(以下、歩容認証と称する)がある。歩容認証は、各人の歩き方といった歩行の特徴を利用して、人を認証(特定)する。
【0003】
歩容認証は、顔認証と異なり、例えば、マスクやサングラスによって顔が隠れていても、人の認証が可能である。また、歩容認証は、人全体のカメラ画像から、人の歩行の特徴を抽出するため、被認証者とカメラとが遠く離れていても、人の認証が可能である。
【0004】
なお、特許文献1には、ゲートを通過する人の認証に、歩容認証を用いたゲート管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
歩容は、履物や服といった装着物によって、大きく変わる場合がある。そのため、歩容認証では、装着物によって認証結果に誤りが生じる場合がある。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、歩容認証において、人の装着物に依らず、適切な認証結果を出力できる認証装置、認証方法、及びプログラムの提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施例に係る認証装置は、認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信する受信部と、装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、前記画像データに含まれる人の装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する制御部と、を有する。
【0009】
本開示の一実施例に係る認証方法は、認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信し、装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、前記画像データに含まれる人の装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する。
【0010】
本開示の一実施例に係るプログラムは、プロセッサに、認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信し、装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、前記画像データに含まれる人の装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する、処理を実行させる。
【0011】
本開示の一実施例に係る認証装置は、認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信する受信部と、装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、気温に対応する装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する制御部と、を有する。
【0012】
本開示の一実施例に係る認証方法は、認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信し、装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、気温に対応する装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する。
【0013】
本開示の一実施例に係るプログラムは、プロセッサに、認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信し、装着物に基づいて分類され、歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、気温に対応する装着物に基づいて、前記認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する、処理を実行させる。
【0014】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム、又は、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一実施例によれば、歩容認証において、人の装着物に依らず、適切な認証結果を出力できる。
【0016】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1の実施の形態に係る歩容認証システムの構成例を示した図
【
図9】第2の実施の形態に係る歩容認証の動作例を示したフローチャート
【
図10】履物の種類に応じた服の学習モデルの一例を説明する図
【
図11】第3の実施の形態に係る認証装置の機能ブロック構成例を示した図
【
図14】第4の実施の形態に係る歩容認証の動作例を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0019】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0020】
本開示の歩行には、走ることが含まれてもよい。また、歩容には、走る様子(容姿)が含まれてもよい。
【0021】
<第1の実施の形態>
<システム構成例>
図1は、第1の実施の形態に係る歩容認証システムの構成例を示した図である。
図1に示すように、歩容認証システムは、認証装置1と、カメラ2と、を有する。認証装置1と、カメラ2とは、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)といったネットワーク3を介して、接続される。
【0022】
図1には、歩容認証システムの他に、ゲート(図示せず)といった、人の認証が行われるエリアを通過する人4も示している。以下では、人の認証が行われるエリアを、“認証エリア”と称することがある。
【0023】
カメラ2は、例えば、認証エリアを通過する人4の全体を撮影できるように設置される。すなわち、カメラ2は、人4の歩行の様子を撮影できるように設置される。カメラ2は、撮影した人4の画像データ(動画データ)を、認証装置1に送信する。
【0024】
認証装置1は、歩容認証を行う装置である。認証装置1は、例えば、サーバ又はパーソナルコンピュータといった情報処理装置によって、構成されてもよい。
【0025】
認証装置1には、認証エリアの通過が許可された人の、歩容に関する特徴量が予め登録される。例えば、認証装置1には、歩幅、関節と関節との距離、及び、歩いたときの関節の動きといった特徴量が予め登録される。
【0026】
認証装置1は、カメラ2が撮影した画像データを受信する。認証装置1は、受信した画像データから、認証エリアを通過する人の歩容に関する特徴量を抽出する。認証装置1は、画像データから抽出した、認証エリアを通過する人の歩容に関する特徴量と、予め登録された、認証エリアの通過が許可された人の歩容に関する特徴量との一致度に基づいて、認証エリアを通過する人の認証を行う。
【0027】
なお、認証装置1は、認証結果を、例えば、認証エリアに設けられた認証結果出力装置(図示せず)に出力してもよい。認証結果出力装置は、例えば、認証装置1の認証結果を、音で人に通知するスピーカ、画像で人に通知するディスプレイ、又は、光で通知する光源を備えてもよい。また、認証結果出力装置は、認証結果に応じて開閉する扉又はバーを備えてもよい。例えば、認証結果出力装置は、認証エリアの通過を許可及び禁止する扉又はバーを備えてもよい。
【0028】
<認証装置のハードウェア構成例>
図2は、認証装置1のハードウェア構成例を示した図である。
図2に示すように、認証装置1は、プロセッサ11と、RAM12と、HDD13と、通信インターフェース14と、バス15と、を有する。
【0029】
認証装置1は、プロセッサ11によって装置全体が制御されている。プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)であってもよい。プロセッサ11には、バス15を介して、RAM(Random Access Memory)12、HDD(Hard Disk Drive)13、及び通信インターフェース14が接続されている。
【0030】
RAM12には、プロセッサ11に実行させるOS(Operating System)及びアプリケーションプログラムが一時的に格納される。また、RAM12には、プロセッサ11による処理に必要な各種データが一時的に格納される。
【0031】
HDD13には、OS及びアプリケーションプログラムが格納される。また、HDD13には、プロセッサ11による処理に必要な各種データが格納される。
【0032】
通信インターフェース14は、ネットワーク3を介して、他の装置と通信を行う。例えば、通信インターフェース14は、ネットワーク3を介して、カメラ2及び認証結果出力装置と通信を行う。
【0033】
<認証装置の機能ブロック構成例>
図3は、認証装置1の機能ブロック構成例を示した図である。
図3に示すように、認証装置1は、制御部21と、通信部22と、記憶部23と、を有する。制御部21は、例えば、
図2に示したプロセッサ11によって、その機能が実現されてもよい。通信部22は、例えば、通信インターフェース14によって、その機能が実現されてもよい。通信部22は、送信部及び受信部を備えてもよい。記憶部23は、RAM12及びHDD13によって、その機能が実現されてもよい。
【0034】
記憶部23には、例えば、認証エリアの通過が許可された人の、歩容に関する特徴量が予め記憶される。例えば、カメラを用いて、認証エリアの通過が許可された人の歩容を撮影する。撮影した画像データから、認証エリアの通過が許可された人の歩容に関する特徴量を抽出し、記憶部23に記憶する。なお、認証エリアの通過が許可された人の、歩容に関する特徴量の抽出は、認証装置1で行ってもよいし、別の装置で行ってもよい。
【0035】
制御部21は、歩行判定部21aと、履物判定部21bと、学習モデル選択部21cと、歩容認証部21dと、を有する。
【0036】
(歩行判定部、履物判定処理部)
歩行判定部21aは、カメラ2から受信した画像データに基づいて、認証エリアを人が歩行しているいか否かを判定する。
【0037】
履物判定部21bは、認証エリアを歩行する人の履物を判定する。例えば、履物判定部21bは、認証エリアに設置されたマイク(
図1には図示せず)から、ネットワーク3を介して、音声データを受信する。履物判定部21bは、受信した音声データに基づいて、認証エリアを通過する人の履物を判定する。具体的には、履物判定部21bは、認証エリアを通過する人の履物がハイヒールであるか、ハイヒール以外の履物であるか、を判定する。なお、マイクは、カメラ2が有してもよい。
【0038】
図4は、履物判定処理例を示したフローチャートである。歩行判定部21a及び履物判定部21bは、例えば、
図4に示すフローチャートの処理を、一定の周期で繰り返し実行する。
【0039】
歩行判定部21aは、カメラ2から画像データを受信する(S1)。履物判定部21bは、マイクから音声データを受信する(S1)。
【0040】
歩行判定部21aは、S1にて受信した画像データから、認証エリアにおける人の歩行を検知する(S2)。すなわち、歩行判定部21aは、S1にて受信した画像データから、認証エリアを人が歩いているか否かを判定する。
【0041】
履物判定部21bは、S2にて、人が認証エリアを歩行していると判定されない場合(S2のNO)、S1に処理を移行する。一方、履物判定部21bは、S2にて、人が認証エリアを歩行していると判定された場合(S2のYES)、S1にて受信した音声データから、歩行撮影期間における音声データを抽出する(S3)。
【0042】
履物判定部21bは、S3にて抽出した音声データから、雑音を除去する(S4)。例えば、履物判定部21bは、ハイヒールで歩行した場合に発せられる音の周波数帯以外の周波数の音を雑音とし、音声データから除去する。
【0043】
履物判定部21bは、S4にて雑音を除去した音声データの音量補正処理を行う(S5)。例えば、履物判定部21bは、S4にて雑音を除去した音声データの音量が閾値thv1以下であると判定した場合、音声データを増幅する。また、履物判定部21bは、S4にて雑音を除去した音声データの音量が閾値thv2以上(thv2>thv1)であると判定した場合、音声データを減衰する。
【0044】
履物判定部21bは、S5にて音声補正処理を行った音声データに基づいて、ハイヒールスコアを算出する(S6)。例えば、履物判定部21bは、音の間隔(例えば、音の間隔が分散σに収まるか否か)や、音の大きさ(例えば、ydB以上であるか否か)に基づいて、ハイヒールスコアを算出する。なお、ここでは、ハイヒールスコアが大きいほど、ハイヒールを履いている確率が高いとする。また、ハイヒールを履いた歩行者の発する音の間隔や大きさは、床などの環境的な特性によっても変化するため、履物判定部21bは、認証装置1が使用される環境ごとに、収集された音を用いて機械学習等を行うことで生成されてよい。
【0045】
履物判定部21bは、S6にて算出したハイヒールスコアが閾値thhを超えたか否かを判定する(S7)。
【0046】
履物判定部21bは、S7にて、ハイヒールスコアが閾値thhを超えたと判定した場合(S7のYES)、カメラ2が撮影している認証エリアを歩行する人はハイヒールを履いていると判定する(S8)。一方、履物判定部21bは、S7にて、ハイヒールスコアが閾値thhを超えていないと判定した場合(S7のNO)、カメラ2が撮影している認証エリアを歩行する人はハイヒール以外の履物を履いていると判定する(S9)。
【0047】
以上の処理によって、認証装置1は、認証装置1を通過する人が、ハイヒールを履いているか否かを判定する。
【0048】
なお、上記では、履物判定部21bは、音声データによって、認証エリアを通過する人が、ハイヒールを履いているか否かを判定したが、これに限られない。例えば、履物判定部21bは、カメラ2が撮影した画像データから、認証エリアを通過する人が、ハイヒールを履いているか否かを判定してもよい。
【0049】
(学習モデル選択部)
学習モデル選択部21cは、履物判定部21bの判定結果に基づいて、歩容認証に用いる学習モデルを選択する。
【0050】
ここで、ハイヒールを履いている場合、靴といったヒールの低い履物を履いた場合の通常の歩き方(歩容)と異なる場合がある。そのため、歩容認証における認証結果に誤りが生じる場合がある。
【0051】
そこで、学習モデル選択部21cは、履物判定部21bの判定結果に基づいて、歩容認証に用いる学習モデルを選択する。
【0052】
例えば、履物判定部21bが、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いていると判定した場合、学習モデル選択部21cは、ハイヒールを履いた人の歩容に基づいて学習した学習モデル(以下、ハイヒールモデルと称することがある)を選択する。一方、履物判定部21bが、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いていないと判定した場合、学習モデル選択部21cは、様々な種類の履物を履いた人の歩容に基づいて学習した学習モデル(以下、一般モデルと称することがある)を選択する。
【0053】
なお、一般モデルの構築(生成)に用いられる様々な種類の履物には、ハイヒールが含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0054】
また、以下では、ハイヒールモデルと一般モデルとを区別しない場合、単に“学習モデル”と称することがある。
【0055】
・学習モデルの構築例
学習モデルの構築例について説明する。
図5に示すように、学習モデルには、2つの特徴量A1,A2が入力される。2つの特徴量A1,A2は、同じ人の特徴量の場合と、異なる人の特徴量の場合とがある。
【0056】
学習モデルに、同じ人の歩容に関する特徴量A1,A2が入力された場合、学習モデルには、教示データとして、例えば、一致度“1”が与えられる。一方、学習モデルに、異なる人の歩容に関する特徴量A1,A2(例えば、或る人の特徴量A1と、或る人とは別の人の特徴量A2と)が入力された場合、学習モデルには、教示データとして、例えば、一致度“0”が与えられる。
【0057】
学習モデルには、2つの特徴量A1,A2(学習データ)と、2つの特徴量A1,A2に対する教示データとが、たくさん与えられる。学習モデルは、与えられた学習データと、教示データとから、歩容に関する2つの特徴量が入力された場合の、出力すべき一致度を学習する。例えば、学習モデルは、同じ人の2つの特徴量が入力された場合、一致度“1”又は“1”に近い値を出力するように学習する。また、学習モデルは、異なる人の2つの特徴量が入力された場合、一致度“0”又は“0”に近い値を出力するように学習する。
【0058】
なお、一致度の数値は一例であり、“0”~“100”などの他の幅を持つ数値であってもよいし、「一致」「不一致」など数値以外の値であってもよい。本件の学習モデルは、人の歩容認証を学習した学習モデルと捉えてもよい。なお、本件の学習は、典型的にはディープラーニングを用いた機械学習として実現されるが、他の機械学習の手法を用いてもよい。
【0059】
ハイヒールモデルは、学習データとして、ハイヒールを履いた人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。また、一般モデルは、学習データとして、様々な履物を履いた人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。様々な履物には、ハイヒールが含まれてもよいし、ハイヒールが含まれなくてもよい。
【0060】
なお、学習モデルは、例えば、ディープラーニングによって構築されてもよい。学習モデルは、ニューラルネットワークによって構成されてもよい。
【0061】
学習モデルは、認証装置1において構築されてもよいし、別の装置によって構築されてもよい。別の装置によって構築される場合、別の装置によって構築された学習モデルの情報が、記憶部23に記憶されてもよい。例えば、ニューラルネットワークのノード間の接続情報や重み係数といった情報が記憶部23に記憶されてもよい。また、学習モデルは、認証装置1のFPGAやGPUといった半導体(
図2には図示せず)によって、構成されてもよい。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略である。GPUは、Graphics Processing Unitの略である。
【0062】
(歩容認証部)
歩容認証部21dは、学習モデル選択部21cが選択した学習モデルを用いて、認証エリアを通過する人の歩容認証を行う。
【0063】
例えば、歩容認証部21dは、カメラ2が撮影した画像データから、認証エリアを通過する人の歩容に関する特徴量を抽出する。歩容認証部21dは、学習モデル選択部21cが選択した学習モデルを用いて、抽出した特徴量と、記憶部23に記憶された特徴量との一致度を取得する。すなわち、歩容認証部21dは、認証エリアを通過する人の歩容に関する特徴量と、記憶部23に記憶され、認証エリアの通過が許可された人の歩容に関する特徴量との一致度を、学習モデルを用いて取得する。
【0064】
歩容認証部21dは、取得した一致度が閾値thcを超えている場合、認証エリアを通過する人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。歩容認証部21dは、算出した一致度が閾値thcを超えていない場合、認証エリアを通過する人は、認証エリアの通過が許可されていない人と判定する。
【0065】
図6は、認証装置1の歩容認証処理例を説明する図である。
図6の矢印A6aに示すように、歩容認証部21dには、カメラ2が撮影した画像データが入力される。歩容認証部21dは、カメラ2が撮影した画像データから、認証エリアを通過する人の歩容に関する特徴量を抽出する。以下では、カメラ2が撮影した画像データから抽出した特徴量を、“認証特徴量”と称することがある。
【0066】
また、歩容認証部21dは、
図6の矢印A6bに示すように、記憶部23から、認証エリアの通過が許可された人の歩容に関する特徴量を取得する。以下では、記憶部23に記憶された、認証エリアの通過が許可された人の歩容に関する特徴量を“登録特徴量”と称することがある。
【0067】
歩容認証部21dは、
図6の矢印A6cに示すように、認証特徴量と、登録特徴量とを、学習モデル選択部21cが選択した学習モデルに入力し、
図6の矢印A6dに示すように、認証特徴量と、登録特徴量との一致度を取得する。例えば、学習モデル選択部21cが、ハイヒールモデルを選択した場合、歩容認証部21dは、認証特徴量と、登録特徴量とをハイヒールモデルに入力する。また、例えば、学習モデル選択部21cが、一般モデルを選択した場合、歩容認証部21dは、認証特徴量と、登録特徴量とを一般モデルに入力する。ハイヒールモデル及び一般モデルは、入力された認証特徴量と、登録特徴量との一致度を歩容認証部21dに返す。
【0068】
歩容認証部21dは、学習モデルから取得した一致度に基づいて、認証結果を出力する。例えば、歩容認証部21dは、学習モデルから取得した一致度が閾値thcを超えている場合、カメラ2が撮影した人(認証エリアを通過する人)は、認証エリアの通過が許可された人であることを示す認証結果を出力する。一方、歩容認証部21dは、学習モデルから取得した一致度が閾値thcを超えていない場合、カメラ2が撮影した人(認証エリアを通過する人)は、認証エリアの通過が許可されていない人であることを示す認証結果を出力する。
【0069】
<歩容認証動作例>
図7は、歩容認証の動作例を示したフローチャートである。認証装置1は、例えば、
図7に示すフローチャートの処理を、一定の周期で繰り返し実行する。
【0070】
認証装置1は、カメラ2から、画像データを受信する(S11)。
【0071】
認証装置1は、ハイヒールスコアを算出する(S12)。例えば、認証装置1は、
図4のフローチャートのS1~S6で説明した処理に基づいて、ハイヒールスコアを算出する。
【0072】
認証装置1は、ハイヒールスコアが閾値thhを超えたか否かを判定する(S13)。
【0073】
認証装置1は、ハイヒールスコアが閾値thhを超えていると判定した場合(S13のYES)、ハイヒールモデルを用いて、歩容認証を実行する(S14)。すなわち、認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いている場合、ハイヒールモデルを用いて、歩容認証を実行する。
【0074】
認証装置1は、S14の歩容認証処理において取得した認証スコア(一致度)が、閾値thcを超えたか否かを判定する(S15)。
【0075】
なお、認証エリアを通過する人を事前に予測することは難しいため、認証装置1は、認証エリアを通過する人と、認証エリアの通過が許可された全ての人それぞれとの間の一致度を算出し、一致度が十分に高い人が見つかれば、認証エリアを通過する人は認証エリアの通過を許可された人であると判定する。
【0076】
具体的には、認証装置1は、S14において、S11にて受信した画像データの認証特徴量と、認証エリアの通過が許可された全ての人それぞれの登録特徴量との間のスコアを算出する。すなわち、認証装置1は、認証エリアを通過する人の認証特徴量と、認証エリアの通過が許可された全ての人それぞれの登録特徴量とのスコアを算出する。認証装置1は、算出したスコアのうち、最も大きいスコアを認証スコアとする。この認証スコアが閾値thcを超えたか否かを判定することで、一致度が十分に高い人が見つかったかどうかを判定することができる。
【0077】
なお、認証エリアを通過する可能性がある人が認証エリアの通過が許可された人の一部であることが既知である場合や、認証エリアを通過する人が認証エリアの通過が許可された人のうちの特定の人物であるかを確認する場合は、それらの人との間のスコアのみを算出して認証スコアとしてもよい。また、算出したスコア全てについて閾値thcを超えたか否かを判定し、1つ以上のスコアが閾値thcを超えていれば認証スコアが閾値thcを超えていると判定してもよい。
【0078】
認証装置1は、S15にて、認証スコアが閾値thcを超えていると判定した場合(S15のYES)、認証OKを判定する(S19)。例えば、認証装置1は、S11にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0079】
一方、認証装置1は、S15にて、認証スコアが閾値thcを超えていないと判定した場合(S15のNO)、認証NGを判定する(S16)。例えば、認証装置1は、S11にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可されていない人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0080】
認証装置1は、S13にて、ハイヒールスコアが閾値thhを超えていないと判定した場合(S13のNO)、一般モデルを用いて、歩容認証を実行する(S17)。すなわち、認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いていない場合、一般モデルを用いて、歩容認証を実行する。
【0081】
認証装置1は、S17の歩容認証処理において取得した認証スコアが、閾値thcを超えたか否かを判定する(S18)。
【0082】
認証装置1は、S18にて、認証スコアが閾値thcを超えていると判定した場合(S18のYES)、認証OKを判定する(S19)。例えば、認証装置1は、S11にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0083】
一方、認証装置1は、S18にて、認証スコアが閾値thcを超えていないと判定した場合(S18のNO)、認証NGを判定する(S16)。例えば、認証装置1は、S11にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可されていない人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0084】
また、
図7には図示していないが、認証装置1は、S16又はS19の認証結果を、認証結果出力装置に出力してもよい。
【0085】
<第1の実施の形態のまとめ>
以上説明したように、通信部22は、認証エリアを撮影するカメラ2から、画像データを受信する。制御部21は、人の履物に基づいて分類され、人の歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、画像データに含まれる人の履物に基づいて、認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する。これにより、認証エリアを通過する人の歩容が、履物によって通常の歩容と異なっていても、認証装置1は、認証エリアを通過する人が履いている履物に応じた適切な学習モデルを選択する。従って、認証装置1は、歩容認証における認証結果を適切に出力できる。
【0086】
<変形例1>
上記では、学習モデルをハイヒールモデルと一般モデルとに分けたが、これに限られない。学習モデルは、通常の歩容と歩容が変わる履物に対応して構築されてもよい。例えば、下駄といった履物も、歩容が通常の歩容と異なっていることが多い。従って、下駄の学習モデル(下駄モデル)を構築してもよい。
【0087】
なお、歩容に影響が発生し得る履物はハイヒール及び下駄に限るものではない。例えば、厚底靴、ブーツ、長靴など形状が特徴的な履物や、鉄板の入った安全靴など重量が大きく異なる履物も歩容に影響を与えると考えられる。したがって、これらの履物それぞれに対応する学習モデルを構築してもよい。
【0088】
また、歩容が類似する可能性のある複数種類の履物を包含する学習モデルを構築してもよい。例えば、厚底靴とハイヒールは、どちらも共にかかとが地面から大きく離れているため、歩容に対して与える影響も類似している可能性がある。また、ブーツと長靴は形状が類似しているため、歩容に対して与える影響も類似している可能性がある。このようにすることで、履物の判定に軽微な誤りがあったとしても、正確な認証を行うことができる可能性が高まる。なお、履物の判定が正確であるのであれば、各履物個別の学習モデルを使用する方が認証の精度は高まる。
【0089】
なお、下駄モデルを構築した場合、
図3で説明した履物判定部21bは、認証エリアを通過する人が下駄を履いているか否かを判定する。履物判定部21bが下駄を履いていると判定した場合、学習モデル選択部21cは、下駄モデルを選択する。そして、歩容認証部21dは、学習モデル選択部21cが選択した下駄モデルを用いて、下駄を履いて認証エリアを通過する人の認証処理を実行する。
【0090】
また、認証装置1は、ハイヒールモデル、下駄モデル、及び一般モデルといったように、3以上の学習モデルを有してもよい。
【0091】
<変形例2>
認証スコアに、属性に基づくスコアを加算してもよい。
図8は、スコア加算の一例を説明する図である。
図8に示すX1は、カメラ2の画像データから抽出した認証特徴量を示す。X2は、記憶部23に登録された、登録者Aの登録特徴量を示す。X3は、記憶部23に登録された、登録者Bの登録特徴量を示す。X4は、記憶部23に登録された登録者Cの登録特徴量を示す。カメラ画像の人は、女性であるとする。登録者A,Bは、男性であり、登録者Cは、女性であるとする。
【0092】
図8の表に示すように、認証特徴量X1と登録特徴量X2との1次認証スコア(一致度)は、50とする。認証特徴量X1と登録特徴量X3との1次認証スコアは、65とする。認証特徴量X1と登録特徴量X4との1次認証スコアは、60とする。1次認証スコアは、
図8の表に示すように、男性の登録者Bが最も高いとする。
【0093】
ハイヒールは、一般的に女性が履く。認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いていると判定した場合、女性の1次認証スコアに加算スコアを加算する。例えば、
図8の表に示すように、認証装置1は、女性の登録者Cにおける1次認証スコアに、加算スコア“10”を加算する。
【0094】
従って、認証特徴量X1と登録特徴量X2との最終認証スコアは、50となる。認証特徴量X1と登録特徴量X3との最終認証スコアは、65となる。認証特徴量X1と登録特徴量X2との最終認証スコアは、70となる。
【0095】
画像データには、女性が映っているが、1次認証スコアでは、男性の登録者Bの認証スコアが最も高い。しかし、最終スコアでは、女性の登録者Cの認証スコアが最も高くなっている。すなわち、認証装置1は、性別といった属性に基づいて、スコアを加算することにより、認証の誤判定を抑制する。
【0096】
なお、記憶部23には、登録特徴量とともに、属性情報が記憶される。例えば、上記例の場合、登録特徴量とともに、女性を示すフラグ“1”が記憶部23に記憶される。
【0097】
また、上記では、1次認証スコアに、加算スコアを加算するとしたが、これに限られない。例えば、画像データに含まれる人がハイヒールを履いている場合、認証装置1は、男性の登録者A,Bにおける1次認証スコアから、例えば、“10”といった減算スコアを減算してもよい。
【0098】
また、属性情報に基づいて1次認証スコアへ行われる処理は加算又は減算には限らず、乗算又は除算であっても同様の効果が得られる。また、更に単純な四則演算ではなく、複数のパラメータを用いたより複雑な処理を行って、1次認証スコアを変換してもよい。また、履物に対応する属性情報を持つ人物と持たない人物との間で閾値thcを変更することで同様の結果を得てもよい。すなわち、履物に対応する属性情報を持つ人物がより認証OKと判定されやすくなるか、履物に対応する属性情報を持たない人物が認証NGと判定されやすくなるのであれば、実現方法は問わない。
【0099】
また、上記における一次認証スコアの算出は、履物の種類を問わず一般モデルを用いて実施してもよいし、履物の種類に応じた学習モデルを用いて実施してもよい。
【0100】
また、属性情報の推定に履物以外の情報(例えば、服等の履物以外の装着物や、顔の特徴)を用いてもよい。
【0101】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。第1の実施の形態では、履物の種類によって、学習モデルを構築したが、第2の実施の形態では、服の種類によって、学習モデルを構築する。以下では、ロングスカート-スーツモデルを構築する例について説明する。
【0102】
ロングスカート-スーツモデルは、学習データとして、ロングスカート及びスーツを着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。また、一般モデルは、学習データとして、様々な服を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。様々な服には、ロングスカート及びスーツが含まれてもよいし、含まれなくてもよい。
【0103】
ハイヒールを履いている場合、ロングスカートを着用している場合が多い。また、ハイヒールを履いている場合、スーツを着用している場合が多い。そこで、認証装置1は、カメラ2が撮影した画像データに含まれる人がハイヒールを履いていると判定した場合、ロングスカート-スーツモデルを用いて、認証処理を行う。すなわち、認証装置1は、認証エリアを通過する人の履物に応じて、服の種類に基づいて構築された学習モデルを選択し、認証処理を行う。
【0104】
<歩容認証動作例>
図9は、第2の実施の形態に係る歩容認証の動作例を示したフローチャートである。認証装置1は、例えば、
図9に示すフローチャートの処理を、一定の周期で繰り返し実行する。
【0105】
図9に示すS21~S23の処理は、
図7に示したS1~S3の処理と同様であり、その説明を省略する。
【0106】
認証装置1は、ハイヒールスコアが閾値thhを超えていると判定した場合(S23のYES)、ロングスカート-スーツモデルを用いて、歩容認証を実行する(S24)。すなわち、認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いている場合、ロングスカート-スーツモデルを用いて、歩容認証を実行する。
【0107】
認証装置1は、S14の歩容認証処理において取得した認証スコア(一致度)が、閾値thcを超えたか否かを判定する(S25)。
【0108】
認証装置1は、S25にて、認証スコアが閾値thcを超えていると判定した場合(S25のYES)、認証OKを判定する(S29)。例えば、認証装置1は、S21にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0109】
一方、認証装置1は、S25にて、認証スコアが閾値thcを超えていないと判定した場合(S25のNO)、認証NGを判定する(S26)。例えば、認証装置1は、S21にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可されていない人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0110】
認証装置1は、S23にて、ハイヒールスコアが閾値thhを超えていないと判定した場合(S23のNO)、一般モデルを用いて、歩容認証を実行する(S27)。すなわち、認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いていない場合、一般モデルを用いて、歩容認証を実行する。
【0111】
認証装置1は、S27の歩容認証処理において取得した認証スコアが、閾値thcを超えたか否かを判定する(S28)。
【0112】
認証装置1は、S28にて、認証スコアが閾値thcを超えていると判定した場合(S28のYES)、認証OKを判定する(S29)。例えば、認証装置1は、S21にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0113】
一方、認証装置1は、S28にて、認証スコアが閾値thcを超えていないと判定した場合(S28のNO)、認証NGを判定する(S26)。例えば、認証装置1は、S21にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可されていない人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0114】
<第2の実施の形態のまとめ>
以上説明したように、複数の学習モデルは、ロングスカート-スーツモデル及び一般モデルといったように、人の服に基づいて分類される。制御部21は、カメラ2の画像データに含まれる人の履物に基づいて、認証エリアの歩容認証に用いる学習モデルを選択する。これにより、認証エリアを通過する人の歩容が、服によって通常の歩容と異なっていても、認証装置1は、認証エリアを通過する人が着用している服に応じた適切な学習モデルを選択する。従って、認証装置1は、歩容認証における認証結果を適切に出力できる。
【0115】
<変形例1>
上記では、ロングスカート-スーツモデルを構築したが、これに限られない。ロングスカートによって学習したロングスカートモデルを構築してもよい。また、スーツによって学習したスーツモデルを構築してもよい。
【0116】
なお、認証装置1が使用される場所の社会的な特性に応じて、ハイヒールを履いた人物がロングスカート又はスーツのどちらを着用するか偏りが生じる場合がある。例えば、パーティ会場でハイヒールとスーツを着用する可能性は低いと考えられる。このように、同じ履物に対応する服が複数存在する場合であっても、どの服と共に用いられるか予測をすることが可能であれば、履物に対応する全ての服に対応する学習モデルではなく、特定の服に対応する学習モデルを選択して使用するようにしてもよい。この予測は、例えば、人が行って認証装置1に記録してもよいし、認証装置1が自身の使用される施設の情報やその施設で開催される催事の情報を取得してこの情報に基づいて自動的に判断してもよい。
【0117】
認証装置1は、ロングスカートモデルと、スーツモデルとの両方を用いて、認証スコアを取得してもよい。認証装置1は、ロングスカートモデルと、スーツモデルとのいずれか一方の認証スコアが閾値thcを超えた場合、認証OKを判定してもよい。すなわち、ハイヒールを履いている人は、ロングスカート又はスーツのいずれかを着用していることが多いため、認証装置1は、ロングスカートモデルと、スーツモデルとのいずれか一方の認証スコアが閾値thcを超えた場合に、認証OKを判定してもよい。
【0118】
<変形例2>
複数の履物の種類に応じた、服の学習モデルが複数構築されてもよい。
図10は、履物の種類に応じた服の学習モデルの一例を説明する図である。
図10には、ロングスカート-スーツモデル、ジーンズモデル、浴衣モデル、及び、カッパ-傘モデルが示してある。
【0119】
ジーンズモデルは、学習データとして、ジーンズを着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。浴衣モデルは、学習データとして、浴衣を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。カッパ-傘モデルは、学習データとして、カッパ又は傘の少なくとも一方を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。
【0120】
図10に示すように、履物は、各学習モデルと対応付けられる。例えば、ハイヒールを履いている人は、ロングスカート又はスーツを着ていることが多い。そこで、ハイヒールは、ロングスカート-スーツモデルと対応付けられる。また、スニーカーを履いている人は、ジーンズを着ていることが多い。そこで、スニーカーは、ジーンズモデルと対応付けられる。また、下駄を履いている人は、浴衣を着ていることが多い。そこで、下駄は、浴衣モデルと対応付けられる。また、長靴を履いている人は、カッパを着用し、又は、傘をさしていることが多い。そこで、長靴は、カッパ-傘モデルと対応付けられる。履物と学習モデルとを対応付けた情報(
図10に示すテーブル情報)は、記憶部23に記憶される。
【0121】
履物判定部21bは、認証エリアを通過する人の履物を判定する。例えば、履物判定部21bは、認証エリアを通過する人の履物が、ハイヒール、スニーカー、下駄、又は、長靴であるかを判定する。
【0122】
学習モデル選択部21cは、履物判定部21bが判定した履物の種類に基づいて、学習モデルを選択する。例えば、履物判定部21bがスニーカーを判定した場合、学習モデル選択部21cは、記憶部23(
図10に示すテーブル情報)を参照し、ジーンズモデルを選択する。
【0123】
歩容認証部21dは、学習モデル選択部21cが選択した学習モデルを用いて、認証処理を行う。上記例の場合、歩容認証部21dは、ジーンズモデルを用いて、認証エリアを通過する人の認証処理を行う。
【0124】
なお、履物判定部21bは、屋外の湿度と、認証エリアにおける音とに基づいて、認証エリアを通過する人が長靴を履いているか否かを判定してもよい。例えば、湿度が高い場合、雨が降っている可能性が高い。そこで、履物判定部21bは、湿度が閾値以上の場合、認証エリアを通過する人は長靴を履いていると判定してもよい。
【0125】
また、例えば、人が全身を覆うカッパを着ている場合、歩行判定部21aは、認証エリアを通過する人の歩行を判定できない場合がある。そこで、歩行判定部21aは、認証エリアの湿度が閾値以上の場合、人の歩行を判定する閾値を変更してもよい(例えば、閾値下げてもよい)。
【0126】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態では、第1の実施の形態と異なる部分について説明する。人の歩容は、着用している服によって大きく変わる場合がある。そこで、第3の実施の形態では、屋外の温度に基づいて、認証エリアを通過する人の着用している服を判定する。そして、第3の実施の形態では、判定した服に基づいて、服に応じた学習モデルを選択し、認証処理を行う。
【0127】
<認証装置の機能ブロック構成例>
図11は、第3の実施の形態に係る認証装置1の機能ブロック構成例を示した図である。
図11において、
図3と同じ構成要素には、同じ符号が付してある。
図11に示すように、認証装置1の制御部21は、温度取得部31と、学習モデル選択部32と、を有する。
【0128】
(温度取得部)
温度取得部31は、ネットワーク3を介し、例えば、屋外に設置された温度計から、温度データを受信する。
【0129】
(学習モデル選択部)
認証装置1は、服に応じた学習モデルを有する。例えば、認証装置1は、冬服モデル、春秋服モデル、及び、夏服モデルといった学習モデルを有する。
【0130】
冬服モデルは、学習データとして、冬服を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。春秋服モデルは、学習データとして、春秋服を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。夏服モデルは、学習データとして、夏服を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。
【0131】
学習モデル選択部32は、温度取得部31が取得した温度データに基づいて、学習モデルを選択する。
図12は、学習モデルの選択例を説明する図である。
図12に示すように、学習モデルは、屋外の温度(気温)と対応付けられる。
【0132】
例えば、気温が10度以下の場合、人は、冬服を着ていることが多い。そこで、冬服モデルは、10度以下の気温と対応付けられる。また、気温が10度超から25度未満の場合、人は、春秋服を着ていることが多い。そこで、春秋服モデルは、10度超から25度未満の気温と対応付けられる。また、気温が25度以上の場合、人は、夏服を着ていることが多い。そこで、夏服モデルは、25度以上の気温と対応付けられる。
【0133】
学習モデル選択部32は、温度取得部31が取得した温度に基づいて、学習モデルを選択する。例えば、温度取得部31が15度を取得した場合、学習モデル選択部32は、記憶部23(
図12に示すテーブル情報)を参照し、春秋服モデルを選択する。
【0134】
<歩容認証動作例>
図13は、歩容認証の動作例を示したフローチャートである。認証装置1は、例えば、
図13に示すフローチャートの処理を、一定の周期で繰り返し実行する。以下では、屋外の温度が11度以下の場合、冬服モデルを選択し、屋外の温度が11度超の場合、春秋服モデル及び夏服モデルを選択するとして説明する。
【0135】
認証装置1は、カメラ2から、画像データを受信する(S31)。
【0136】
認証装置1は、屋外の温度データを取得する(S32)。
【0137】
認証装置1は、S32にて取得した温度データが11度を超えたか否かを判定する(S33)。
【0138】
認証装置1は、温度データが11度を超えていないと判定した場合(S33のNO)、冬服モデルを用いて、歩容認証を実行する(S34)。
【0139】
認証装置1は、S34の歩容認証処理において取得した認証スコア(一致度)が、閾値thcを超えたか否かを判定する(S35)。
【0140】
認証装置1は、S35にて、認証スコアが閾値thcを超えていると判定した場合(S35のYES)、認証OKを判定する(S39)。例えば、認証装置1は、S31にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0141】
一方、認証装置1は、S35にて、認証スコアが閾値thcを超えていないと判定した場合(S35のNO)、認証NGを判定する(S36)。例えば、認証装置1は、S31にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可されていない人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0142】
認証装置1は、S33にて、温度が11度を超えていると判定した場合(S33のYES)、春秋服モデル及び夏服モデルを用いて、歩容認証を実行する(S37)。
【0143】
認証装置1は、S37の歩容認証処理において取得した春秋服モデルの認証スコア及び夏服モデルの認証スコアの少なくとも一方が、閾値thcを超えたか否かを判定する(S38)。
【0144】
認証装置1は、S38にて、春秋服モデルの認証スコア及び夏服モデルの認証スコアの少なくとも一方が閾値thcを超えていると判定した場合(S38のYES)、認証OKを判定する(S39)。例えば、認証装置1は、S31にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0145】
一方、認証装置1は、S38の判定処理にて、春秋服モデルの認証スコア及び夏服モデルの認証スコアの少なくとも一方が閾値thcを超えていないと判定した場合(S38のNO)、認証NGを判定する(S36)。例えば、認証装置1は、S31にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可されていない人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0146】
<第3の実施の形態のまとめ>
以上説明したように、通信部22は、認証エリアを撮影するカメラから、画像データを受信する。制御部21は、人の装着物に基づいて分類され、人の歩容認証を学習した複数の学習モデルのうち、気温に基づいて、認証エリアにおける歩容認証に用いる学習モデルを選択する。これにより、認証装置1は、例えば、季節によって着る服装が変わり、認証エリアを通過する人の歩容が、季節によって異なっていても、適切に認証結果を出力できる。
【0147】
<変形例1>
第1の実施の形態における学習モデルと、第3の実施の形態における学習モデルとは組み合わされてもよい。例えば、認証装置1は、ハイヒール-冬服モデル、ハイヒール-春秋服モデル、及び、ハイヒール-夏服モデルを有してもよい。ハイヒール-冬服モデルは、学習データとして、ハイヒールを履き、かつ、冬服を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。ハイヒール-春秋服モデルは、学習データとして、ハイヒールを履き、かつ、春秋服を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。ハイヒール-夏服モデルは、学習データとして、ハイヒールを履き、かつ、夏服を着用した人の歩容に関する特徴量A1,A2が与えられ、学習したモデルである。
【0148】
認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いているか否かを判定する。また、認証装置1は、屋外の温度データを取得する。認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いていると判定した場合、温度データに基づいて、ハイヒール-冬服モデル、ハイヒール-春秋服モデル、及び、ハイヒール-夏服モデルのいずれかを選択する。
【0149】
例えば、認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いていると判定した場合であって、温度が“15度”である場合、ハイヒール-春秋服モデルを選択する。そして、認証装置1は、選択したハイヒール-春秋服モデルを用いて、歩容認証を行う。
【0150】
<変形例2>
上記では、認証装置1は、屋外の温度データ(気温データ)に基づいて、認証エリアを通過する人の服を判定したが、これに限られない。認証装置1は、認証エリアにおける温度データに基づいて、認証エリアを通過する人の服を判定してもよい。
【0151】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態では、認証装置1は、2段階認証を行う。例えば、認証装置1は、最初に一般モデルを用いて歩容認証を行い、認証スコアが閾値thcを超えない場合に、ハイヒールモデルを用いた歩容認証を行う。
【0152】
図14は、第4の実施の形態に係る歩容認証の動作例を示したフローチャートである。認証装置1は、例えば、
図13に示すフローチャートの処理を、一定の周期で繰り返し実行する。
【0153】
認証装置1は、カメラ2から、画像データを受信する(S41)。
【0154】
認証装置1は、一般モデルを用いて、歩容認証を実行する(S42)。
【0155】
認証装置1は、S42の歩容認証処理において取得した認証スコア(一致度)が、閾値thcを超えたか否かを判定する(S43)。
【0156】
認証装置1は、S43にて、認証スコアが閾値thcを超えていると判定した場合(S43のYES)、認証OKを判定する(S49)。例えば、認証装置1は、S41にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0157】
認証装置1は、S43にて、認証スコアが閾値thcを超えていないと判定した場合(S43のNO)、ハイヒールスコアを算出する(S44)。例えば、認証装置1は、
図4のフローチャートのS1~S6で説明した処理に基づいて、ハイヒールスコアを算出する。
【0158】
認証装置1は、ハイヒールスコアが閾値thhを超えたか否かを判定する(S45)。
【0159】
認証装置1は、ハイヒールスコアが閾値thhを超えていると判定した場合(S45のYES)、ハイヒールモデルを用いて、歩容認証を実行する(S46)。すなわち、認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いている場合、ハイヒールモデルを用いて、歩容認証を実行する。
【0160】
認証装置1は、S46の歩容認証処理において取得した認証スコアが、閾値thcを超えたか否かを判定する(S47)。
【0161】
認証装置1は、S47にて、認証スコアが閾値thcを超えていると判定した場合(S47のYES)、認証OKを判定する(S49)。例えば、認証装置1は、S41にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可された人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0162】
一方、認証装置1は、S47にて、認証スコアが閾値thcを超えていないと判定した場合(S47のNO)、認証NGを判定する(S48)。例えば、認証装置1は、S41にて受信した画像データに含まれる人は、認証エリアの通過が許可されていない人と判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0163】
認証装置1は、S45にて、ハイヒールスコアが閾値thhを超えていないと判定した場合(S45のNO)、認証NGを判定する(S48)。すなわち、認証装置1は、認証エリアを通過する人がハイヒールを履いていない場合、S42,S43における認証スコアを採用し、認証NGを判定する。そして、認証装置1は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0164】
<第4の実施の形態のまとめ>
制御部21は、一般モデルといった、様々な装着物に関して歩容認証を学習した学習モデルを用いて、認証エリアを通過する人の歩容認証を実行し、その歩容認証の結果に基づいて、選択した学習モデルを用いた歩容認証を実行する。このように、認証装置1は、2段階認証を実行することによっても、適切に認証結果を出力できる。また、認証装置1は、1段目の歩容認証処理において、認証OKを判定した場合、学習モデルの選択処理を実行しなくて済み、消費電力を抑制できる。
【0165】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例又は修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0166】
上述した各実施の形態では、認証スコアが閾値thcを超えていると判定した場合、認証OKを判定していた。この閾値thcは、同一の値でもよいし、モデルそれぞれについて異なる値でもよい。また、モデルの特性に応じて閾値thcの値を手動又は自動で設定してもよい。認証スコアはモデルの特性によって高くなり易かったり低くなり易かったりするため、それぞれのモデルに応じた値を閾値thcに用いることで、より正確に認証OK/認証NGの判定を行うことができる。
【0167】
上述した各実施の形態では、認証装置1は、認証スコアに基づいて判定した認証結果を出力していた。しかし、判定を行うことなく、認証スコアを出力するようにしてもよい。この場合、出力先の装置は、例えば、複数の認証手順で得られた認証スコアを統合して最終的な認証結果を得るようにしてもよい。この場合、各認証手順で得られた認証スコアを加工して加算等する処理を行うため、認証結果よりも認証スコアの方が容易に加工することができる。
【0168】
上述した各実施の形態では、画像データに含まれる人が認証エリアの通過が許可された人であるか否かの判定を行う例を説明した。しかし、上述した各実施の形態の歩容認証を用いて、画像データに含まれる人が予め記憶された人のいずれかと一致するかの判定に用いてもよい。例えば、認証エリアの通過自体は規制せず、特定の監視対象の人物が認証エリアに現れたか否かの判定に用いるように構成してもよい。また、録画映像に対して上述した各実施の形態の歩容認証を適用することによって、認証エリアを既に通過した人物がどの人であったか(又は既知のどの人とも異なる人であったか)を、後から判定するように構成してもよい。
【0169】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0170】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0171】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGAや、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0172】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0173】
本開示は、歩容認証システムに有用である。
【符号の説明】
【0174】
1 認証装置
2 カメラ
3 ネットワーク
4 人
11 プロセッサ
12 RAM
13 HDD
14 通信インターフェース
21 制御部
21a 歩行判定部
21b 履物判定部
21c 学習モデル選択部
21d 歩容認証部
22 通信部
23 記憶部
31 温度取得部
32 学習モデル選択部