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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170417
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】広角レンズ及び撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 13/04 20060101AFI20231124BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
G02B13/04 D
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082157
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】大森 圭介
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087LA03
2H087PA07
2H087PA08
2H087PA17
2H087PA18
2H087PB08
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA42
2H087QA45
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA41
2H087RA42
2H087RA43
2H087RA44
2H087UA01
(57)【要約】
【課題】温度特性が良好であり、小型且つ低コストの広角レンズ及び撮像装置を提供する。
【解決手段】当該広角レンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、プリズムPと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成され、第1レンズ群G1は、物体側から順に、第1の負レンズL1と第2の負レンズL2とを有し、プリズムPは第1レンズ群G1から入射した光線を屈曲させて第2レンズ群G2に入射させるものであり、以下の式を満足する。また、当該広角レンズを備えた撮像装置とする。
8.0 < fp/f < 13.0・・・・・(1)
但し、
fp:プリズムPの焦点距離
f :当該広角レンズの焦点距離
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、プリズムと、正の屈折力を有する第2レンズ群とから構成され、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、第1の負レンズと第2の負レンズとを有し、
前記プリズムにより、前記第1レンズ群から入射した光線を屈曲させて前記第2レンズ群に入射させ、
以下の式を満足することを特徴とする広角レンズ。
8.0 < fp/f < 13.0・・・・・(1)
但し、
fp:前記プリズムの焦点距離
f :当該広角レンズの焦点距離
【請求項2】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
1.2 < |f1|/f < 1.7・・・・・(2)
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
【請求項3】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
1.5 < f2/f < 4.5 ・・・・・(3)
但し、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【請求項4】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
0.2 < |f1|/f2 < 0.8 ・・・・・(4)
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【請求項5】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
0.2 < R12/|f11| < 0.8 ・・・・・(5)
但し、
R12:前記第1の負レンズの像側面の曲率半径
f11:前記第1の負レンズの焦点距離
【請求項6】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
2.0 < f2f/f < 5.0 ・・・・・(6)
但し、
f2f:前記第2レンズ群において最も物体側に位置するレンズの焦点距離
【請求項7】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
2.5 < f2r/f < 5.5 ・・・・・(7)
但し、
f2r:前記第2レンズ群において最も像側に位置するレンズの焦点距離
【請求項8】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
1.80 < N1 ・・・・・(8)
20 < ν1 ・・・・・(9)
但し、
N1:前記第1の負レンズのd線に対する屈折率
ν1:前記第1の負レンズのd線に対するアッベ数
【請求項9】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
1.80 < N2 ・・・・・(10)
20 < ν2 ・・・・・(11)
但し、
N2:前記第2の負レンズのd線に対する屈折率
ν2:前記第2の負レンズのd線に対するアッベ数
【請求項10】
以下の式を満足する請求項1に記載の広角レンズ。
1.60 < Np ・・・・・(12)
但し、
Np:前記プリズムのd線に対する屈折率
【請求項11】
前記プリズムの入射面が非球面である請求項1に記載の広角レンズ。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の広角レンズと、当該広角レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と、を備えたことを特徴とする撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、広角レンズ及び撮像装置に関し、特に、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、一眼レフレックスカメラ、ミラーレス一眼カメラ、ドローン等の移動体に搭載されるカメラ等の固体撮像素子(CCDやCMOS等)を用いた種々の撮像装置に好適な広角レンズ及び撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SNS(Social networking service)や動画配信サービスの普及により、写真や動画等により個人の経験等を他者と共有することが行われている。また、近年、ドローン等の移動体に搭載する撮像装置の普及も進んでいる。このような背景の下、撮像装置の光学系として、情報量の多い画像を取得可能な広角レンズに対するニーズが高まっている。
【0003】
撮像装置の小型化が進展し、また、移動体に搭載する上でも撮像装置は小型軽量であることが求められる。そのため、広角レンズには広い画角を維持しつつ、その一層の小型化が求められる。例えば、特許文献1及び特許文献2には、プリズムにより光路を折り曲げることで、全体の小型化を図った広角レンズが提案されている。これらの広角レンズはいずれも最も物体側に負の屈折力を有するレンズ群を配置し、この負の屈折力を有するレンズ群から入射した光線をプリズムによりその光路を折り曲げることで、全体の小型化を図りやすい構成としている。
【0004】
ところで、移動体に搭載される撮像装置は主として屋外で使用される。そのため、移動体用の撮像装置の広角レンズとしては、広画角化と小型化が求められるのは勿論のこと、雰囲気温度が変動しても焦点位置等の変動の小さい温度特性の良好な光学系が求められている。またこれらの要求を満たしつつ低コストであることも求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-030436号公報
【特許文献2】特開2002-169088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載の広角レンズでは、プリズムよりも物体側に径の大きい硝子製の非球面レンズを配置しているため、低コスト化を図ることが困難である。また、上記特許文献2に記載の広角レンズでは、プラスチック製のプリズムを用いており、当該プリズムの屈折力が適正化されていないため、雰囲気温度の変動に伴う焦点位置の変動を抑制することが困難である。
【0007】
そこで、本発明の課題は、温度特性が良好であり、小型且つ低コストの広角レンズ及び撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本件発明に係る広角レンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、プリズムと、正の屈折力を有する第2レンズ群とから構成され、前記第1レンズ群は、物体側から順に、第1の負レンズと第2の負レンズとを有し、前記プリズムにより、前記第1レンズ群から入射した光線を屈曲させて前記第2レンズ群に入射させ、以下の式を満足することを特徴とする。
8.0 < fp/f < 13.0・・・・・(1)
但し、
fp:前記プリズムの焦点距離
f :当該広角レンズの焦点距離
【0009】
また、上記課題を解決するために本件発明に係る撮像装置は、上記広角レンズと、当該広角レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本件発明によれば、温度特性が良好であり、小型且つ低コストの広角レンズ及び撮像装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1の広角レンズのレンズ断面図である。
図2】実施例1の広角レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図3】本発明の実施例2の広角レンズのレンズ断面図である。
図4】実施例2の広角レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図5】本発明の実施例3の広角レンズのレンズ断面図である。
図6】実施例3の広角レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
図7】本発明の実施例4の広角レンズのレンズ断面図である。
図8】実施例4の広角レンズの無限遠物体合焦状態における球面収差図、非点収差図及び歪曲収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本件発明に係る広角レンズ及び撮像装置の実施の形態を説明する。但し、以下に説明する広角レンズ及び撮像装置は本件発明に係る広角レンズ及び撮像装置の一態様であって、本件発明に係る広角レンズ及び撮像装置は以下の態様に限定されるものではない。
【0013】
1.広角レンズ
1-1.光学構成
当該広角レンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、プリズムと、正の屈折力を有する第2レンズ群とから構成される。以下、物体側から順に詳細に説明する。
【0014】
(1)第1レンズ群
第1レンズ群は負の屈折力を有する。第1レンズ群に負の屈折力を配置することで、広い画角を実現しつつ、当該広角レンズの小型化を容易にすることができる。
【0015】
ここで、第1レンズ群は物体側から順に負の屈折力を有する第1の負レンズと、第2の負レンズとを備えるものとする。このように少なくとも2枚の負レンズを用いて第1レンズ群を構成することで、第1レンズ群に強い負の屈折力を配置しつつ、各レンズの曲率が大きくなり過ぎるのを抑制し、像面湾曲等の諸収差の発生を抑制し、光学性能の高い広角レンズを少ないレンズ枚数で実現することが容易になる。
【0016】
第1レンズ群は負の屈折力を有し、第1の負レンズと第2の負レンズとを備える限り、その他の構成は特に限定されるものではないが、例えば、第2の負レンズの像側にさらに負レンズを備えていてもよい。3枚の負レンズにより第1レンズ群を構成することにより、第1レンズ群に強い負の屈折力を配置することがより容易になり、広い画角を実現しつつ、収差の発生を抑制しながら、第1レンズ群の径方向の小型化を図ることができる。
【0017】
(2)プリズム
当該広角レンズでは、第1レンズ群と第2レンズ群との間にプリズムを配置し、プリズムにより第1レンズ群から入射した光線を屈曲させて第2レンズ群に入射させる。一般に、広い画角を実現しようとすると、前玉径が大きくなり、光学全長も長くなりやすい。しかしながら、当該広角レンズでは、プリズムを用いて、光路長を短縮することで光学全長を短くすることができる。さらに、光路を折り曲げることで、当該広角レンズを構成する光学要素だけでなく種々の要素の配置を効率的に行うことができ、鏡筒部分を含めた全体の省スペース化(小体積化)を図ることができ、当該広角レンズ全体の小型化を図ることができる。
【0018】
プリズムは、第1レンズ群から光線が入射する入射面と、入射面を介して入射した光線を所定の角度方向に反射させる反射面と、反射面において反射した光線が出射する出射面とを有している。入射面は第1レンズ群の光軸上に配置され、出射面は第2レンズ群の光軸上に配置される。反射面により光線を屈曲させる角度に特に限定はないが、75°以上、80°以上、85°以上であることが好ましく、105°以下、100°以下、95°以下であることが好ましく、90°であることがより好ましい。
【0019】
また、プリズムの入射面は正の屈折力を有することが好ましい。プリズムの入射面を平面ではなく、曲面とし正の屈折力を配置することで、第2レンズ群の光学長を短縮することができ、当該広角レンズの全体を小型化することがより容易になる。
【0020】
さらに、プリズムの入射面は非球面であることが好ましい。プリズムの入射面を非球面とすることで、第1レンズ群内に非球面を配置しなくとも結像性能の高い広角レンズを実現することができる。第1レンズ群を構成するレンズは第2レンズ群を構成するレンズと比較すると径が大きい。そのため、プリズムの入射面を非球面とすることで、第1レンズ群に非球面を配置する必要がなくなり、低コスト化を図る上でも有利である。さらに、第1レンズ群は物体側に配置されるため、雰囲気温度の影響を受けやすいため、硝子製のレンズにより構成することが好ましい。一方、プリズムは第1レンズ群が物体側に配置されるため、第1レンズ群と比較すると雰囲気温度の影響を受けにくくなる。その際にプリズムの入射面の屈折力を適正に設定することで、プラスチック製のプリズムを採用した場合も、焦点位置の変動を抑制することが容易になり、さらに低コスト化を図ることができる。
【0021】
(3)第2レンズ群
プリズムの像面側に正の屈折力を有する第2レンズ群を配置することで、プリズム以降の光学全長の短縮化を図り、当該広角レンズ全体の小型化を図ることができる。
【0022】
第2レンズ群は正の屈折力を有する限り、その具体的な光学構成は特に限定されるものではないが、例えば、第2レンズ群において最も物体側に配置されるレンズは正レンズであることが好ましい。第2レンズ群において最も物体側に正レンズを配置することで、光学全長の短縮化を図ることが容易になる。このとき、その物体側面が凸面であると、光学全長の短縮化を図る上でより好ましい。
【0023】
また、第2レンズ群において、最も像面側に配置されるレンズについても正レンズであることが好ましい。最も像面側に正レンズを配置することで、像面に対して収斂した光線束を入射することができ、当該広角レンズの光学全長の短縮化を図ることが容易になる。
【0024】
(4)開口絞り
当該広角レンズにおいて、開口絞りの配置は特に限定されるものではない。なお、ここでいう開口絞りは、当該広角レンズの光束径を規定する開口絞り、すなわち当該光学系のFnoを規定する開口絞りをいう。しかしながら、開口絞りは第2レンズ群内またはプリズムと第2レンズ群の間に配置することが、当該広角レンズの小型化を図る上で好ましい。さらに、第2レンズ群の最も物体側に正レンズが配置される場合、より光学性能が良好で小型の広角レンズを得る上で、その正レンズよりも像側に開口絞りが配置されることが好ましい。
【0025】
1-3.式
当該光学系は下記に示す式を1つ以上満足することが好ましい。
【0026】
1-3-1. 式(1)
8.0 < fp/f < 13.0・・・・・(1)
但し、
fp:プリズムの焦点距離
f :当該広角レンズの焦点距離
【0027】
上記式(1)は、プリズムの焦点距離と当該広角レンズの焦点距離との比を規定する式である。式(1)を満足する場合、プリズムに対して適切な正の屈折力が配置され、雰囲気温度が変動したときも焦点位置の変動を抑制することができ、雰囲気温度によらず良好な結像性能を維持することができる。すなわち、温度特性の良好な広角レンズを得ることができる。
【0028】
これに対して、式(1)の数値が下限値以下になると、プリズムの屈折力が強くなりすぎ、雰囲気温度の変化に伴う焦点位置の移動を抑制することが困難となる。すなわち、温度特性の良好な広角レンズを得ることが困難になり、好ましくない。一方、式(1)の数値が上限値以上になると、プリズムの屈折力が弱くなりすぎ、光学全長の短縮が困難となる。従って、広角レンズを小型化するという観点から好ましくない。
【0029】
上記効果を得る上で、式(1)の下限値は9.0であることがより好ましく、9.5であることがさらに好ましい。また、式(1)の上限値は12.5であることが好ましく、12.0であることがより好ましい。但し、式(1)において不等号(<)を等号付不等号(≦)に置換してもよい。
【0030】
1-3-2. 式(2)
1.2 < |f1|/f < 1.7・・・・・(2)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
【0031】
上記式(2)は、第1レンズ群の焦点距離と当該広角レンズの焦点距離との比を規定する式である。式(2)を満足する場合、諸収差の補正と光学系の小型化を両立することができ、当該広角レンズの小型化がより容易になる。
【0032】
これに対して、式(2)の数値が下限値以下になると、第1レンズ群の屈折力が強くなりすぎ、像面湾曲や非点収差の補正が困難になり、好ましくない。一方、式(2)の数値が上限値以上になると、第1レンズ群の屈折力が弱くなりすぎ、第1レンズ群を構成する各レンズの径小化を図ることが困難となる。従って、当該広角レンズを小型化するという観点から好ましくない。
【0033】
上記効果を得る上で、式(2)の下限値は1.3であることがより好ましく、1.4であることがさらに好ましい。また、式(2)の上限値は1.6であることが好ましく、1.5であることがより好ましい。
【0034】
1-3-3. 式(3)
1.5 < f2/f < 4.5 ・・・・・(3)
但し、
f2:第2レンズ群の焦点距離
【0035】
上記式(3)は、第2レンズ群の焦点距離と当該広角レンズの焦点距離との比を規定する式である。式(3)を満足する場合、諸収差の補正と光学系の小型化を両立することができ、当該広角レンズの小型化がより容易になる。
【0036】
これに対して、式(3)の数値が下限値以下になると、第2レンズ群の屈折力が強くなりすぎ、球面収差や軸上色収差の補正が困難になり、好ましくない。一方、式(3)の上限値以上になると、第2レンズ群の屈折力が弱くなりすぎ、全長短縮化が困難となる。従って、当該広角レンズを小型化するという観点から好ましくない。
【0037】
上記効果を得る上で、式(3)の下限値は2.0であることがより好ましく、2.5であることがさらに好ましい。また、式(3)の上限値は4.0であることが好ましく、3.5であることがより好ましい。
【0038】
1-3-4. 式(4)
0.2 < |f1|/f2 < 0.8 ・・・・・(4)
但し、
f1:第1レンズ群の焦点距離
f2:第2レンズ群の焦点距離
【0039】
上記式(4)は、第1レンズ群の焦点距離と第2レンズ群の焦点距離との比を規定する式である。式(4)を満足する場合、諸収差の補正と光学系の小型化を両立することができ、当該広角レンズの小型化がより容易になる。
【0040】
これに対して、式(4)の数値が下限値以下になると、第1レンズ群の屈折力が強くなりすぎ、像面湾曲や非点収差の補正が困難になり、或いは、第2レンズ群の屈折力が弱くなりすぎ、光学全長の短縮化が困難となり、好ましくない。一方、式(4)の数値が上限値以上になると、第1レンズ群の屈折力が弱くなりすぎ、第1レンズ群を構成する各レンズの径小化を図ることが困難となり、或いは、第2レンズ群内の屈折力が強くなりすぎ、球面収差や軸上色収差の補正が困難になり、好ましくない。
【0041】
上記効果を得る上で、式(4)の下限値は0.3であることがより好ましく、0.4であることがさらに好ましい。また、式(4)の上限値は0.7であることが好ましく、0.6であることがより好ましい。
【0042】
1-3-5. 式(5)
0.2 < R12/|f11| < 0.8 ・・・・・(5)
但し、
R12:第1の負レンズの像側面の曲率半径
f11:第1の負レンズの焦点距離
【0043】
上記式(5)は、第1の負レンズの像側面の屈折力を規定する式である。式(5)を満足することで、諸収差の補正と光学系の小型化を両立することができ、当該広角レンズの小型化がより容易になる。
【0044】
これに対して、式(5)の数値が下限値以下になると、第1の負レンズの像側面の屈折力が強くなりすぎ、像面湾曲や非点収差の補正が困難になり、好ましくない。一方、式(5)の数値が上限値以上になると、第1の負レンズの像側面の屈折力が弱くなりすぎ、第1レンズ群を構成する各レンズの径小化を図ることが困難になる。従って、当該広角レンズを小型化するという観点から好ましくない。
【0045】
上記効果を得る上で、式(5)の下限値は0.3であることがより好ましく、0.4であることがさらに好ましい。また、式(5)の上限値は0.7であることが好ましく、0.6であることがより好ましい。
【0046】
1-3-6. 式(6)
2.0 < f2f/f < 5.0 ・・・・・(6)
但し、
f2f:第2レンズ群において最も物体側に位置するレンズの焦点距離
【0047】
上記式(6)は、第2レンズ群において最も物体側に位置するレンズの焦点距離と当該広角レンズの焦点距離との比を規定する式である。式(6)を満足する場合、諸収差の補正と光学系の小型化を両立することができ、当該広角レンズの小型化がより容易になる。
【0048】
これに対して、式(6)の数値が下限値以下になると、第2レンズ群において最も物体側に位置するレンズの屈折力が強くなりすぎ、球面収差の補正が困難になり、好ましくない。一方、式(6)の数値が上限値以上になると、第2レンズ群において最も物体側に位置するレンズの屈折力が弱くなりすぎ、光学全長の短縮が困難となる。従って、当該広角レンズを小型化するという観点から好ましくない。
【0049】
上記効果を得る上で、式(6)の下限値は2.5であることがより好ましく、3.0であることがさらに好ましい。また、式(6)の上限値は4.5であることが好ましく、4.0であることがより好ましい。
【0050】
1-3-7. 式(7)
2.50 < f2r/f < 5.50 ・・・・・(7)
但し、
f2r:第2レンズ群において最も像側に位置するレンズの焦点距離
【0051】
上記式(7)は、第2レンズ群において最も像側に位置するレンズの焦点距離と当該広角レンズの焦点距離との比を規定する式である。式(7)を満足することで、諸収差の補正と光学系の小型化を両立することができ、当該広角レンズの小型化が可能となり、好ましい。
【0052】
これに対して、式(7)の数値が下限値以下になると、第2レンズ群において最も像側に位置するレンズの屈折力が強くなりすぎ、像面湾曲や非点収差の補正が困難になり、好ましくない。一方、式(7)の数値が上限値以上になると、第2レンズ群において最も像側に位置するレンズの屈折力が弱くなりすぎ、光学全長の短縮が困難となる。従って、当該広角レンズを小型化するという観点から好ましくない。
【0053】
上記効果を得る上で、式(7)の下限値は3.0であることがより好ましく、3.5であることがさらに好ましい。また、式(7)の上限値は5.0であることが好ましく、4.4であることがより好ましい。
【0054】
1-3-8. 式(8)及び式(9)
1.80 < N1 ・・・・・(8)
20 < ν1 ・・・・・(9)
但し、
N1:第1の負レンズのd線に対する屈折率
ν1:第1の負レンズのd線に対するアッベ数
【0055】
上記式(8)、(9)は、第1の負レンズのd線に対する屈折率とd線に対するアッベ数の下限値を規定する式である。第1の負レンズが式(8)、式(9)を満足する場合、諸収差の補正と光学系の小型化を両立することができ、当該広角レンズの小型化がより容易になる。
【0056】
これに対して、式(8)の数値が下限値以下になると、当該広角レンズの小型化を実現するためには第1の負レンズのレンズ面の曲率を大きくして、第1の負レンズの屈折力を強くする必要がある。その場合、軸外収差の補正が困難になり、諸収差の補正と光学系の小型化との両立が困難となり、好ましくない。
【0057】
また、式(9)の数値が下限値以下になると、倍率色収差が大きくなり、第1の負レンズよりも像側のレンズで色収差補正をすることが困難となり、当該光学系の小型化との両立が困難となり、好ましくない。
【0058】
上記効果を得る上で、式(8)の下限値は1.90であることがより好ましく、1.95であることがさらに好ましい。また、式(9)の下限値は23であることが好ましく、25であることがより好ましい。
【0059】
1-3-9. 式(10)及び式(11)
1.80 < N2 ・・・・・(10)
20 < ν2 ・・・・・(11)
但し、
N2:第2の負レンズのd線に対する屈折率
ν2:第2の負レンズのd線に対するアッベ数
【0060】
上記式(10)、(11)は、第2の負レンズのd線に対する屈折率とd線に対するアッベ数の下限値を規定する式である。第2の負レンズが式(10)、式(11)を満足する場合、諸収差の補正と光学系の小型化を両立することができ、当該広角レンズの小型化がより容易になる。
【0061】
これに対して、式(10)の数値が下限値以下になると、小型化を実現するためには第2の負レンズのレンズ面の曲率を大きくして、第2の負レンズの屈折力を強くする必要がある。その場合、軸外収差の補正が困難になり、諸収差の補正と光学系の小型化との両立が困難となり、好ましくない。
【0062】
また、式(11)の数値が下限値以下になると、倍率色収差が大きくなり、第2の負レンズよりも像側のレンズで色収差補正をすることが困難となり、諸収差の補正と光学系の小型化の両立が困難となり、好ましくない。
【0063】
上記効果を得る上で、式(10)の下限値は1.90であることがより好ましく、1.95であることがさらに好ましい。また、式(11)の下限値は23であることが好ましく、25であることがより好ましい。
【0064】
1-3-10. 式(12)
1.60 < Np ・・・・・(12)
但し、
Np:プリズムのd線に対する屈折率
【0065】
上記式(12)は、プリズムのd線に対する屈折率の下限値を規定する式である。式(12)を満足する場合、当該広角レンズの小型化がより容易になる。
これに対して、式(12)の数値が下限値以下になると、プリズム内における光路短縮が不十分となり、光学全長の短縮化が困難となる。従って、当該広角レンズを小型化するという観点から好ましくない。
【0066】
上記効果を得る上で、式(12)の下限値は1.63であることがより好ましく、1.64であることがさらに好ましい。
【0067】
2.撮像装置
次に、本件発明に係る撮像装置について説明する。本件発明に係る撮像装置は、上記本件発明に係る広角レンズと、当該広角レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備えたことを特徴とする。なお、撮像素子は光学系の像側に設けられることが好ましい。
【0068】
ここで、撮像素子等に特に限定はなく、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子等も用いることができる。本件発明に係る撮像装置は、デジタルカメラやビデオカメラ等のこれらの固体撮像素子を用いた撮像装置に好適である。また、当該撮像装置は、一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ、デジタルスチルカメラ、監視カメラ、車載用カメラ、ドローン搭載用カメラ等の種々の撮像装置に適用することができる。また、これらの撮像装置はレンズ交換式の撮像装置であってもよいし、レンズが筐体に固定されたレンズ固定式の撮像装置であってもよい。特に、上記広角レンズはドローン等の移動体に搭載される撮像装置の光学系に好適である。上記広角レンズは広角化が図られているため、一つの画像に自立航行や、周囲の監視等を行うために必要な多くの情報を取得することができる。
【0069】
次に、実施例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0070】
(1)光学構成
図1は、本件発明に係る実施例1の広角レンズのレンズ断面図である。図1に示すように、当該広角レンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、プリズムPと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とを備えている。
【0071】
第1レンズ群G1は、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL1と、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL2と、両凹レンズL3とから構成されている。負メニスカスレンズL1及び負メニスカスレンズL2は、本発明にいう第1の負レンズ及び第2の負レンズである。
【0072】
プリズムPの入射面は物体側に凸形状を有し、正の屈折力を有する。また、当該入射面は非球面となっている。プリズムPの反射面により、第1レンズ群G1から入射した光線を90°屈曲させて第2レンズ群G2に入射させる。
【0073】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側が凸面の正レンズL4と、開口絞りSと、両凸レンズL5及び両凹レンズL6を接合した接合レンズと、両凸レンズL7とから構成されている。
【0074】
第2レンズ群G2の像面側には物体側から順に赤外線カットフィルターIR、カバーガラスCG、像面IPとが配置されている。像面IPは、例えば、CCDセンサやCMOSセンサなどの固体撮像素子の撮像面、或いは、銀塩フィルムのフィルム面等である。第2レンズ群G2以降の構成は、他の実施例においても同様であるため、以後説明を省略する。
【0075】
(2)数値実施例
次に、当該広角レンズの数値実施例について説明する。以下に当該広角レンズのレンズデータ、各種データ、非球面データを示す。
「(レンズデータ)」において、「No.」は物体側から数えたレンズ面の順番(面番号)、「R」はレンズ面の曲率半径、「D」はレンズ面の光軸上の間隔、「Nd」はd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、「ABV」はd線に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、「No.」の欄において、面番号の次の欄に表示する「STOP」は開口絞りを表し、「ASPH」は非球面を表している。また、曲率半径の欄の「0.0000」は平面を表す。なお、以下に示す数値実施例において長さの単位は全て「mm」であり、画角の単位は全て「°」である。
【0076】
「(各種データ)」において、「F」は当該広角レンズの焦点距離であり、「Fno」はF値であり、「W」は半画角である。
【0077】
「(非球面データ)」は、各非球面の非球面係数を示す。但し、非球面は、Zを光軸方向の面頂点からの変位量として次式で定義されるものとする。
【数1】
上記式においてhは光軸からの高さ、rは近軸曲率半径、kは円錐係数、Anはn次の非球面係数を表す。また、「E±XX」は指数表記を表し「×10±XX」を意味する。
【0078】
さらに、式(1)~式(12)の値、第1レンズ群G1の焦点距離f1、プリズムの焦点距離fp、第2レンズ群G2の焦点距離f2を表1(後掲)に示す。これらの数値に関する事項は他の実施例においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0079】
図2に当該広角レンズの無限遠物体合焦状態における縦収差図を示す。各縦収差図は、図面に向かって左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差を表している。球面収差を表す図では、縦軸は開放F値との割合、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線(波長λ=587.56nm)、短破線がC線(波長λ=656.28nm)、長破線がF線(波長λ=486.13nm)における球面収差を示す。非点収差を表す図では、縦軸は半画角(W)、横軸にデフォーカスをとり、実線がd線に対するサジタル像面(X)、4点鎖線がd線に対するメリジオナル像面(Y)を示す。歪曲収差を表す図では、縦軸は半画角(W)、横軸に%をとり、歪曲収差を表す。これらの各図に関する事項は他の実施例で示す縦収差図においても同様であるため、以下では説明を省略する。
【0080】
(レンズデータ)
No. R D Nd ABV
1 21.4690 1.1000 2.00100 29.13
2 10.7147 3.2840
3 18.4909 1.0000 2.00069 25.46
4 8.1302 5.1934
5 -19.2431 0.8000 1.49700 81.61
6 8.0756 2.6644
7ASPH 16.5336 11.9251 1.66134 20.37
8 0.0000 0.4239
9ASPH 7.9763 2.2096 1.85135 40.10
10ASPH -386.0510 1.2475
11STOP 0.0000 0.8696
12ASPH 6.6259 1.8793 1.80139 45.45
13 -7.0902 0.6500 1.92286 20.88
14 5.7333 1.9461
15ASPH 7.8592 2.1595 1.69350 53.20
16ASPH -66.1740 0.6476
17 0.0000 0.3000 1.51680 64.20
18 0.0000 1.0000
19 0.0000 0.5000 1.51680 64.20
20 0.0000 1.2000
【0081】
(各種データ)
F 2.5400
Fno 2.0606
W 100.0000
【0082】
(非球面データ)
No. K A4 A6 A8 A10
7 0.00000E+00 -9.67880E-05 -7.77733E-09 0.00000E+00 0.00000E+00
9 0.00000E+00 -6.65145E-05 -4.11614E-06 1.73634E-07 -2.79011E-09
10 0.00000E+00 -2.51737E-04 7.83045E-06 1.49524E-08 -2.89684E-09
12 -2.19884E+00 -5.14777E-06 3.66404E-05 -9.18442E-06 5.44024E-07
15 0.00000E+00 -1.63854E-04 1.02941E-05 -3.43640E-07 1.36595E-09
16 0.00000E+00 4.28676E-04 8.48339E-06 -1.09210E-06 1.09415E-08
【実施例0083】
(1)光学構成
図3は、本件発明に係る実施例2の広角レンズのレンズ断面図である。図3に示すように、当該広角レンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、プリズムPと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とを備えている。
【0084】
第1レンズ群G1は、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL1と、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL2と、両凹レンズL3とから構成されている。負メニスカスレンズL1及び負メニスカスレンズL2は、本発明にいう第1の負レンズ及び第2の負レンズである。
【0085】
プリズムPの入射面は物体側に凸形状を有し、正の屈折力を有する。また、当該入射面は非球面となっている。プリズムPの反射面により、第1レンズ群G1から入射した光線を90°屈曲させて第2レンズ群G2に入射させる。
【0086】
開口絞りSは第2レンズ群G2の物体側に配置されている。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側が凸面の正レンズL4と、両凸レンズL5及び両凹レンズL6を接合した接合レンズと、両凸レンズL7とから構成されている。
【0087】
(2)数値実施例
次に、当該広角レンズの数値実施例について説明する。以下に当該広角レンズのレンズデータ、各種データ、非球面データを示す。また、図4に当該広角レンズの無限遠物体合焦状態における縦収差図を示す。
【0088】
(レンズデータ)
No. R D Nd ABV
1 21.4690 1.1000 2.00100 29.13
2 10.7148 3.2500
3 18.2944 1.0000 2.00069 25.46
4 8.1470 5.1725
5 -19.7190 0.8000 1.49700 81.61
6 8.0108 2.7675
7ASPH 17.6380 11.6724 1.66134 20.37
8 0.0000 0.2247
9STOP 0.0000 0.2000
10ASPH 8.0049 2.1099 1.85135 40.10
11ASPH -393.1684 1.3622
12 0.0000 0.9536
13ASPH 6.7114 1.9275 1.80139 45.45
14 -6.8347 0.6500 1.92286 20.88
15 5.8772 1.8820
16ASPH 7.8082 2.1690 1.69350 53.20
17ASPH -70.5918 0.6468
18 0.0000 0.3000 1.51680 64.20
19 0.0000 1.0000
20 0.0000 0.5000 1.51680 64.20
21 0.0000 1.2000
【0089】
(各種データ)
F 2.5400
Fno 2.0659
W 100.0000
【0090】
(非球面データ)
No. K A4 A6 A8 A10
7 0.00000E+00 -9.86212E-05 -3.33240E-08 0.00000E+00 0.00000E+00
10 0.00000E+00 -6.92420E-05 -4.33854E-06 1.69251E-07 -3.24773E-09
11 0.00000E+00 -2.25842E-04 5.87276E-06 4.23273E-08 -2.93111E-09
13 -2.14719E+00 -1.88289E-05 3.10465E-05 -7.97798E-06 4.47046E-07
16 0.00000E+00 -1.86404E-04 1.06672E-05 -3.56452E-07 8.72385E-10
17 0.00000E+00 4.14516E-04 8.45879E-06 -1.11082E-06 1.07027E-08
【実施例0091】
(1)光学構成
図5は、本件発明に係る実施例3の広角レンズのレンズ断面図である。図5に示すように、当該広角レンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、プリズムPと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とを備えている。
【0092】
第1レンズ群G1は、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL1と、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL2と、両凹レンズL3とから構成されている。負メニスカスレンズL1及び負メニスカスレンズL2は、本発明にいう第1の負レンズ及び第2の負レンズである。
【0093】
プリズムPの入射面は物体側に凸形状を有し、正の屈折力を有する。また、当該入射面は非球面となっている。プリズムPの反射面により、第1レンズ群G1から入射した光線を90°屈曲させて第2レンズ群G2に入射させる。
【0094】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側が凸面の正レンズL4と、開口絞りSと、両凸レンズL5と、両凹レンズL6と、両凸レンズL7とから構成されている。
【0095】
(2)数値実施例
次に、当該広角レンズの数値実施例について説明する。以下に当該広角レンズのレンズデータ、各種データ、非球面データを示す。また、図6に当該広角レンズの無限遠物体合焦状態における縦収差図を示す。
【0096】
(レンズデータ)
No. R D Nd ABV
1 20.6909 1.1000 2.00100 29.13
2 10.2863 2.8454
3 16.0498 1.2787 2.00100 29.13
4 8.0555 4.4480
5 -25.3158 1.0000 1.49700 81.61
6 6.5814 4.4517
7ASPH 18.8598 9.1819 1.65096 21.51
8 0.0000 0.4570
9ASPH 9.4585 1.4020 1.85135 40.10
10ASPH -77.4121 0.8278
11STOP 0.0000 0.8723
12ASPH 4.3062 1.8548 1.49710 81.56
13ASPH -7.4700 0.2457
14 -15.2389 0.6500 1.92286 20.88
15 5.0914 2.1071
16ASPH 8.0323 2.2777 1.61881 63.85
17ASPH -69.2233 0.4000
18 0.0000 0.3000 1.51680 64.20
19 0.0000 1.0000
20 0.0000 0.5000 1.51680 64.20
21 0.0000 1.2000
【0097】
(各種データ)
F 2.6000
Fno 2.5986
W 100.0000
【0098】
(非球面データ)
No. K A4 A6 A8 A10
7 0.00000E+00 -3.15926E-04 -1.42160E-07 -2.01921E-07 8.79845E-09
9 0.00000E+00 9.10979E-05 1.85750E-05 1.06188E-06 1.20499E-07
10 0.00000E+00 -4.67436E-04 8.74141E-05 -1.46293E-06 2.19000E-07
12 -7.34431E-01 -9.99925E-04 2.63119E-04 -3.27812E-05 5.23012E-06
13 -8.06981E+00 9.67344E-05 1.51352E-04 -1.65739E-05 5.19462E-06
16 0.00000E+00 1.61436E-04 -2.76380E-05 1.14352E-06 -3.15725E-08
17 0.00000E+00 4.50619E-04 -1.58960E-05 -8.44948E-07 5.00151E-09
【実施例0099】
(1)光学構成
図7は、本件発明に係る実施例4の広角レンズのレンズ断面図である。図7に示すように、当該広角レンズは、物体側から順に負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、プリズムPと、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とを備えている。
【0100】
第1レンズ群G1は、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL1と、物体側に凸形状の負メニスカスレンズL2と、両凹レンズL3とから構成されている。負メニスカスレンズL1及び負メニスカスレンズL2は、本発明にいう第1の負レンズ及び第2の負レンズである。
【0101】
プリズムPの入射面は物体側に凸形状を有し、正の屈折力を有する。また、当該入射面は非球面となっている。プリズムPの反射面により、第1レンズ群G1から入射した光線を90°屈曲させて第2レンズ群G2に入射させる。
【0102】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側が凸面の正レンズL4と、開口絞りSと、両凸レンズL5及び両凹レンズL6を接合した接合レンズと、両凸レンズL7とから構成されている。
【0103】
(2)数値実施例
次に、当該光学系の数値実施例について説明する。以下に当該広角レンズのレンズデータ、各種データ、非球面データを示す。また、図8に当該広角レンズの無限遠物体合焦状態における縦収差図を示す。
【0104】
(レンズデータ)
No. R D Nd ABV
1 21.4690 1.1000 2.00069 25.46
2 10.7145 3.1049
3 17.5054 1.0000 2.00069 25.46
4 8.2223 5.0947
5 -21.8175 1.0530 1.49700 81.61
6 7.5575 3.0568
7ASPH 18.7839 11.1983 1.65096 21.51
8 0.0000 0.4291
9ASPH 8.1735 1.9235 1.85135 40.10
10ASPH -366.9752 1.1395
11STOP 0.0000 1.5883
12ASPH 7.1645 2.3484 1.80139 45.45
13 -5.3434 0.6500 1.92286 20.88
14 6.3639 1.4482
15ASPH 7.6747 2.2173 1.69350 53.20
16ASPH -73.6406 0.5631
17 0.0000 0.3000 1.51680 64.20
18 0.0000 1.0000
19 0.0000 0.5000 1.51680 64.20
20 0.0000 1.2000
【0105】
(各種データ)
F 2.5400
Fno 2.1398
W 100.0000
【0106】
(非球面データ)
No. K A4 A6 A8 A10
7 0.00000E+00 -1.17225E-04 -9.19720E-09 0.00000E+00 0.00000E+00
9 0.00000E+00 -2.80797E-05 -7.09233E-06 3.78978E-07 -1.03341E-08
10 0.00000E+00 -1.31366E-04 -4.51656E-07 2.88881E-07 -9.15915E-09
12 -1.99006E+00 -4.92482E-05 5.79976E-06 -2.09607E-06 4.41940E-08
15 0.00000E+00 -2.11360E-04 1.15851E-05 -3.71257E-07 7.05605E-10
16 0.00000E+00 3.86371E-04 1.17588E-05 -1.32278E-06 1.42628E-08
【0107】
[表1]
実施例1 実施例2 実施例3 実施例4
式(1) fp/f 9.84 10.50 11.14 11.36
式(2) |f1|/f 1.42 1.43 1.41 1.45
式(3) f2/f 3.02 3.02 2.91 2.99
式(4) |f1|/f2 0.47 0.47 0.49 0.49
式(5) R12/|f11| 0.48 0.48 0.48 0.48
式(6) f2f/f 3.62 3.64 3.84 3.71
式(7) f2r/f 4.04 4.04 4.52 3.99
式(8) N1 2.00 2.00 2.00 2.00
式(9) ν1 29.1 29.1 29.1 25.46
式(10) N2 2.00 2.00 2.00 2.00
式(11) ν2 25.5 25.5 29.1 25.46
式(12) Np 1.66 1.66 1.65 1.65
f1 -3.60 -3.63 -3.68 -3.68
fp 25.00 26.67 28.97 28.86
f2 7.66 7.67 7.56 7.59
【0108】
[まとめ]
本発明の第一の態様に係る広角レンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、プリズムと、正の屈折力を有する第2レンズ群とから構成され、
前記第1レンズ群は、物体側から順に、第1の負レンズと第2の負レンズとを有し、
前記プリズムにより、前記第1レンズ群から入射した光線を屈曲させて前記第2レンズ群に入射させ、
以下の式を満足する。
8.0 < fp/f < 13.0・・・・・(1)
但し、
fp:前記プリズムの焦点距離
f :当該広角レンズの焦点距離
【0109】
本発明の第二の態様に係る広角レンズは、第一の態様において、以下の式を満足してもよい。
1.2 < |f1|/f < 1.7・・・・・(2)
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
【0110】
本発明の第三の態様に係る広角レンズは、第一の態様又は第二の態様において、以下の式を満足してもよい。
1.5 < f2/f < 4.5 ・・・・・(3)
但し、
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0111】
本発明の第四の態様に係る広角レンズは、第一の態様から第三の態様のいずれかの態様において、以下の式を満足してもよい。
0.2 < |f1|/f2 < 0.8 ・・・・・(4)
但し、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
f2:前記第2レンズ群の焦点距離
【0112】
本発明の第五の態様に係る広角レンズは、第一の態様から第四の態様のいずれかの態様において、以下の式を満足してもよい。
0.2 < R12/|f11| < 0.8 ・・・・・(5)
但し、
R12:前記第1の負レンズの像側面の曲率半径
f11:前記第1の負レンズの焦点距離
【0113】
本発明の第六の態様に係る広角レンズは、第一の態様から第五の態様のいずれかの態様において、以下の式を満足してもよい。
2.0 < f2f/f < 5.0 ・・・・・(6)
但し、
f2f:前記第2レンズ群において最も物体側に位置するレンズの焦点距離
【0114】
本発明の第七の態様に係る広角レンズは、第一の態様から第六の態様のいずれかの態様において、以下の式を満足してもよい。
2.5 < f2r/f < 5.5 ・・・・・(7)
但し、
f2r:前記第2レンズ群において最も像側に位置するレンズの焦点距離
【0115】
本発明の第八の態様に係る広角レンズは、第一の態様から第七の態様のいずれかの態様において、以下の式を満足してもよい。
1.80 < N1 ・・・・・(8)
20 < ν1 ・・・・・(9)
但し、
N1:前記第1の負レンズのd線に対する屈折率
ν1:前記第1の負レンズのd線に対するアッベ数
【0116】
本発明の第九の態様に係る広角レンズは、第一の態様から第八の態様のいずれかの態様において、以下の式を満足してもよい。
1.80 < N2 ・・・・・(10)
20 < ν2 ・・・・・(11)
但し、
N2:前記第2の負レンズのd線に対する屈折率
ν2:前記第2の負レンズのd線に対するアッベ数
【0117】
本発明の第十の態様に係る広角レンズは、第一の態様から第九の態様のいずれかの態様において、以下の式を満足してもよい。
1.60 < Np ・・・・・(12)
但し、
Np:前記プリズムのd線に対する屈折率
【0118】
本発明の第十一の態様に係る広角レンズは、第一の態様から第十の態様のいずれかの態様において、前記プリズムの入射面が非球面であってもよい。
【0119】
本発明の第十二の態様に係る撮像装置は、上記第一の態様から第十一の態様のいずれかの態様の広角レンズと、当該広角レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備える。
【0120】
上記実施の形態及び実施例で説明した広角レンズ及び撮像装置は、本発明に係る広角レンズ及び撮像装置の一態様であり、上記第一の態様~第十一の態様に係る広角レンズ及び第十二の態様に係る撮像装置に対応する。上記各態様の広角レンズ及び撮像装置によれば、上記実施の形態及び実施例で説明した作用効果と同様の作用効果を奏する。本発明に係る広角レンズ及び撮像装置は、実施の形態及び実施例で説明した広角レンズ及び撮像装置に限定されるものではなく、上記各態様の広角レンズ及び撮像装置の範囲内で適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本件発明によれば、温度特性が良好であり、小型且つ低コストの広角レンズ及び撮像装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0122】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
CG カバーガラス
IP 像面
IR 赤外線カットフィルター
P プリズム

図1
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図3
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図8