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  • 特開-薬剤揮散体および薬剤揮散器 図1
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  • 特開-薬剤揮散体および薬剤揮散器 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170424
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】薬剤揮散体および薬剤揮散器
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/12 20060101AFI20231124BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20231124BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61L9/12
B65D83/00 F
B65D85/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082172
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 厚
【テーマコード(参考)】
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
3E068AA35
3E068AC09
3E068CE06
3E068CE20
3E068DD08
3E068DD40
3E068EE11
3E068EE17
3E068EE37
3E068EE40
4C180AA07
4C180AA13
4C180AA18
4C180CA06
4C180CC16
4C180CC17
4C180GG12
4C180GG17
4C180GG19
4C180HH10
(57)【要約】
【課題】低コストで簡単に製造できる薬剤揮散体および薬剤揮散器を提供すること。
【解決手段】揮散性の薬剤12を揮散する棒状の薬剤揮散体16であって、薬剤揮散体16は厚紙により形成されている。薬剤揮散体16は、偏平な矩形断面で帯状に延在している。薬剤揮散体16には、文字、模様、キャラクターを含む図柄18が印刷されている。図柄18は、薬剤揮散体16に薬剤12が滲み込んでいない状態で視認可能であり、薬剤揮散体16に薬剤12が滲み込んだ状態で視認しにくくなるように設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮散性の薬剤を揮散する棒状の薬剤揮散体であって、
前記薬剤揮散体は厚紙により形成されている、
ことを特徴とする薬剤揮散体。
【請求項2】
上部に開口を有し揮散性の薬剤が収容された容器と、その下部が前記開口から前記容器に挿入されて前記薬剤に浸漬され、その上部が前記開口から前記容器の上方に突出し前記薬剤を揮散する棒状の薬剤揮散体とを備える薬剤揮散器であって、
前記薬剤揮散体は厚紙により形成されている、
ことを特徴とする薬剤揮散器。
【請求項3】
前記薬剤揮散体は、偏平な矩形断面で帯状に延在している、
ことを特徴とする請求項1記載の薬剤揮散体または請求項2記載の薬剤揮散器。
【請求項4】
前記薬剤揮散体には、文字、模様、キャラクターを含む図柄が印刷されている、
ことを特徴とする請求項3記載の薬剤揮散体または薬剤揮散器。
【請求項5】
前記図柄は、前記薬剤揮散体に前記薬剤が滲み込んでいない状態で視認可能であり、前記薬剤揮散体に前記薬剤が滲み込んでいる状態で視認しにくくなる、
ことを特徴とする請求項4記載の薬剤揮散体または薬剤揮散器。
【請求項6】
前記図柄は前記薬剤が染み込んだ前記薬剤揮散体の色に近い色で形成されている、
ことを特徴とする請求項5記載の薬剤揮散体または薬剤揮散器。
【請求項7】
前記薬剤揮散体は薄茶色を呈し、図柄は茶色を呈している、
ことを特徴とする請求項5記載の薬剤揮散体または薬剤揮散器。
【請求項8】
表色系における前記薬剤が滲み込んでいない状態での前記薬剤揮散体の色のLの値は45以上75以下であり、前記薬剤が滲み込んだ状態での前記薬剤揮散体の色のLの値は25以上55以下であり、前記図柄の色のLの値は25以下である、
ことを特徴とする請求項5記載の薬剤揮散体または薬剤揮散器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤揮散体および薬剤揮散器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の薬剤揮散器が提供されており、特許文献1、2、3、4には、上部に開口部を有し揮散性の薬剤が収容される容器と、開口部から容器に挿入されてその下部が薬剤に浸漬され、その上部が開口部から容器の上方に突出する複数の棒状の薬剤揮散体とを備える薬剤揮散器が提供されている。
このような棒状の薬剤揮散体を用いた薬剤揮散器では、薬剤揮散体により容器内の薬剤を吸い上げ、容器から上方に突出する薬剤揮散体の部分から薬剤を揮散させるようにしている。
そして、棒状の薬剤揮散体として木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製のものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-188974号公報
【特許文献2】特開2021-176537号公報
【特許文献3】実用新案登録第3119834号公報
【特許文献4】特開2011-212271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、棒状の薬剤揮散体として木材製、藤(ラタン)製、竹材製のものを使用する場合、使用する部位の選別、棒の表面の研磨、曲がった形状の矯正、防かび処理など複数の加工工程を要し、また、樹脂製のものを使用する場合、専用の成型機を要することから薬剤揮散体を製造するのに手間が掛り、薬剤揮散器がコスト高にならざるを得ない。
また、樹脂製のものを使用する場合、近年の環境問題に対しての配慮が不足しているという問題もある。
さらに、棒状の薬剤揮散体として木材製、藤(ラタン)製、竹材製のものを使用する場合、天然素材であるため吸い上げ速度や揮散速度にばらつきがあり、薬剤の揮散効果が確実に発揮されず、薬剤揮散器の実用的価値や商品価値を高める上で不利があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、低コストで簡単に確実に製造できかつ、環境に配慮し、薬剤の揮散効果が確実に発揮される薬剤揮散体および薬剤揮散器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、揮散性の薬剤を揮散する棒状の薬剤揮散体であって、前記薬剤揮散体は厚紙により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、上部に開口を有し揮散性の薬剤が収容された容器と、その下部が前記開口から前記容器に挿入されて前記薬剤に浸漬され、その上部が前記開口から前記容器の上方に突出し前記薬剤を揮散する棒状の薬剤揮散体とを備える薬剤揮散器であって、前記薬剤揮散体は厚紙により形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体は、偏平な矩形断面で帯状に延在していることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体には、文字、模様、キャラクターを含む図柄が印刷されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記図柄は、前記薬剤揮散体に前記薬剤が滲み込んでいない状態で視認可能であり、前記薬剤揮散体に前記薬剤が滲み込んでいる状態で視認しにくくなることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記図柄は前記薬剤が染み込んだ前記薬剤揮散体の色に近い色で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体は薄茶色を呈し、図柄は茶色を呈していることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、L表色系における前記薬剤が滲み込んでいない状態での前記薬剤揮散体の色のLの値は45以上75以下であり、前記薬剤が滲み込んだ状態での前記薬剤揮散体の色のLの値は25以上55以下であり、前記図柄の色のLの値は25以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態の薬剤揮散体および薬剤揮散器によれば、厚紙を裁断することで簡単に確実に薬剤揮散体を製造できる。
したがって、木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製の薬剤揮散体を使用する場合に比べ、複数の加工工程や専用の成型機を省略できるので、環境に配慮する効果を有しながら、薬剤揮散体および薬剤揮散器の大幅なコストダウンを図る上で有利となり、薬剤揮散体および薬剤揮散器の販売量を大幅に増大する上で有利となる。
また、薬剤揮散体は厚紙で形成されているので、薬剤の吸い上げ速度や揮散速度がほぼ均一となり、薬剤の揮散効果が確実に発揮され、薬剤揮散器の実用的価値や商品価値を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体を偏平な矩形断面で帯状に延在させると、薬剤揮散体および薬剤揮散器のデザイン性を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体が偏平な矩形断面で帯状に延在し、しかも厚紙により形成されているので、薬剤揮散体に図柄を簡単に印刷でき、薬剤揮散体および薬剤揮散器のデザイン性を高める上でより一層有利となる。
また、図柄は、薬剤揮散体に薬剤が滲み込んでいない状態で視認可能であり、薬剤揮散器の使用時に視認しにくくなり、薬剤が揮散した使用終了時では薬剤揮散体が乾燥して再度視認可能となるため、例えば、容器が不透明で容器内の芳香剤の残量を開口からしか視認できない場合であっても、使用者は、薬剤揮散体を視認することで、薬剤揮散器が使用終了時期になったことが分かり、薬剤揮散器の使い勝手を高める上で有利となる。
このような図柄は、図柄を薬剤が染み込んだ薬剤揮散体の色に近い色で形成したり、薬剤揮散体を薄茶色で形成すると共に図柄を茶色で形成したり、L表色系における薬剤揮散体の色のLの値や図柄の色のLの値を適宜選択することで簡単に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】薬剤揮散器の使用状態の斜視図である。
図2】薬剤揮散体の斜視図である。
図3】(A)、(B)、(C)は薬剤揮散体の他の例の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図1図2を参照して本発明の薬剤揮散体および薬剤揮散器の実施の形態について説明する。
薬剤揮散器10は、揮散性の薬剤12が収容された容器14と、容器14に挿入される複数の薬剤揮散体16とを含んで構成されている。
薬剤12として芳香剤や防虫剤、殺虫剤などが用いられ、本発明の一実施の形態では、薬剤12として芳香剤12Aが用いられている。
芳香剤12Aは、香料成分単体もしくは、香料成分と揮散性の溶媒との混合物で構成され、本実施の形態では透明の液体である。
【0009】
容器14は合成樹脂やガラスで構成され、本実施の形態では透明である。
容器14は、薬剤12が収容されるものであり、大径部1402と、大径部1402の上部に設けられた小径部1404とを有し、小径部1404の上端は円形の開口1406となっている。
薬剤揮散器10の市場流通時、容器14に薬剤12として芳香剤12Aが収容され、開口1406には不図示のキャップが着脱可能に取着され、薬剤揮散器10の使用時に開口1406からキャップが取り外され、容器14は適宜箇所に載置される。
【0010】
薬剤揮散体16は、細長の棒状を呈し、開口1406から容器14に挿入され、下部が容器14内で芳香剤12Aに浸漬され、上部が開口1406から容器14の上方に突出して用いられる。
薬剤揮散体16は、芳香剤12Aに浸漬された箇所から芳香剤12Aを毛細管現象により吸い上げ、芳香剤12Aの液面から露出する箇所から芳香剤12Aを揮散する部材である。
薬剤揮散体16の断面は、円形であってもよく、正方形であってもよく、薬剤揮散体16の断面には従来公知の様々な形状が適用可能である。
【0011】
薬剤揮散体16は厚紙により形成されている。
厚紙とは、一般に用いられる紙よりも厚手の紙であり、紙とは、植物などの繊維を水中で密にからみ合わせ,薄く平面状にのばして脱水、乾燥させたものである。紙の種類も特に限定されず、コート紙、上質紙、マット紙、アートポスト紙、クラフト紙、マットポスト紙、ケント紙が用いられる。本実施の形態では再生紙(古紙50%)を用いている。再生紙は古紙をリサイクルしたものであり、森林環境保全の観点から好ましい。
本実施の形態では、薬剤揮散体16は、偏平な矩形断面で帯状に延在している。
また、本実施の形態では、薬剤揮散体16は、5mm程度の均一幅Wと、幅Wよりも小さい0.5mm程度の均一厚さTをと有して直線状に延在している。
また、厚さT方向の両端のうちの少なくとも一方の面で薬剤揮散体16の長手方向の一側部には、図柄18が印刷されている。
ここで図柄18とは、文字、模様、キャラクターなどを含む概念である。
印刷に使用するインクは適宜選定されるが、吸い上げた芳香剤12Aによって滲むことがない様に、顔料を使用することが望ましい。
顔料の種類は特に限定されず、無機顔料としてカーボンブラック、チタンホワイト(酸化チタン)、有機顔料としてジスアゾイエロー、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、レーキッドレッドCが用いられる。
印刷方法はオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など適宜選定される。
なお、薬剤揮散体16は、後述するように、容器14に入れられ傾いた状態で使用されるため、芳香剤12Aを吸い上げた際に自重により撓まないように、その断面積や長さ、坪量が適宜決定される。
【0012】
薬剤揮散体16は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態では、薄い青色や薄い黄色、薄いオレンジ色、薄いピンク色、薄い茶色、薄い灰色などの薄い色を呈しており、芳香剤12Aが染み込んだ状態では、これらがそれぞれ、濃い青色、濃い黄色、濃いオレンジ色、濃いピンク色、濃い茶色、濃い灰色に変化する。図柄18は芳香液12Aが染み込んだ薬剤揮散体の色に近い色で形成されている。
本実施の形態では、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態で、薬剤揮散体16は薄い茶色を呈しており、また、図柄18は濃い茶色で形成され、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16は薄い茶色から濃い茶色に変色し、図柄18が視認しにくくなるように形成されている。
また、芳香剤12Aがなくなった薬剤揮散器10の使用終了時、薬剤揮散体16が乾燥することで、再度、薄い茶色となり、図柄18が視認できるように形成されている。
このような観点から薬剤揮散体16の色はL表色系における芳香剤12Aが染み込んでいない状態のLの値と芳香剤12Aが染み込んだ薬剤揮散体16の色のLの値との差が、15以上であることが好ましい。
また、芳香剤12Aが染み込んでいない状態のLの値と図柄18のLの値の差が、20以上50以下で、芳香剤12Aが染み込んだ状態のLの値と図柄18のLの値の差は、芳香剤12Aが染み込んでいない状態のLの値と図柄18のLの値の差よりも小さい値で30以下好ましくは10以下であることが好ましい。
薬剤揮散体16に芳香剤12Aが滲み込んでいない状態で図柄18が視認可能であり、薬剤揮散器10の使用時に図柄18が視認しにくくなり、使用終了時期では図柄18が再度視認可能となる一例として、例えば次の3つの具体例が挙げられる。
1つの具体例は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態でのLの値は67であり、また、図柄18のLの値は22であり、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16のLの値は45である。
また、他の1つの具体例は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態でのLの値は70であり、また、図柄18のLの値は20であり、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16のLの値は48である。
また、残りの1つの具体例は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態でのLの値は48であり、また、図柄18のLの値は20であり、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16のLの値は28である。
すなわち、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態での薬剤揮散体16のLの値は45以上75以下であり、芳香剤12Aが滲み込んだ状態での薬剤揮散体16のLの値は25以上55以下であり、図柄18のLの値は25以下であることが好ましい。
【0013】
次に、薬剤揮散器10の使用方法について説明する。
容器14に芳香剤12Aが収容され、開口1406にはキャップが着脱可能に取着され、容器14と共に複数本の薬剤揮散体16が箱に入れられ梱包されて市場に流通される。
薬剤揮散器10の購入者は、使用時、開口1406からキャップを取り外し、複数の薬剤揮散体16を開口1406から容器14に入れ、容器14を適宜箇所に載置する。
この場合、箱から取り出した当初、薬剤揮散体16の長手方向の一側に印刷された図柄18は視認可能であるため、使用者は、図柄18が印刷された箇所が容器14の上方に位置するように、複数の薬剤揮散体16を開口1406から容器14に入れ、それらの下部を芳香剤12Aに浸漬させる。
【0014】
やがて、薬剤揮散体16により芳香剤12Aが吸い上げられていき、薬剤揮散体16の色が下方から上方へ薄い茶色から濃い茶色に変色していき、図柄18が視認しにくくなる。
芳香剤12Aの芳香成分は、芳香剤12Aの液面の上方に露出する複数の薬剤揮散体16の箇所から室内に揮散していく。
容器14内の芳香剤12Aがなくなり、複数の薬剤揮散体16に吸い込まれた芳香剤12Aの芳香成分が全て揮散した時点で、薬剤揮散器10は使用終了となる。
薬剤揮散器10は使用終了時、複数の薬剤揮散体16は乾燥して薄い茶色に戻り、図柄18が再度視認可能となるので、使用者は、容器14内の芳香剤12Aの残量を視認することなく薬剤揮散体16の図柄18を視認することで、薬剤揮散器10が使用終了になったことが分かる。
【0015】
本実施の形態の薬剤揮散体16、薬剤揮散器10によれば、厚紙を裁断することで簡単に確実に薬剤揮散体16を製造できる。
したがって、木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製の薬剤揮散体16を使用する場合に比べ、複数の加工工程や専用の成型機を省略できるので、環境に配慮する効果を有しながら、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の大幅なコストダウンを図る上で有利となり、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の販売量を大幅に増大する上で有利となる。
また、薬剤揮散体16は厚紙で形成されているので、薬剤12の吸い上げ速度や揮散速度がほぼ均一となり、薬剤12の揮散効果が確実に発揮され、薬剤揮散器10の実用的価値や商品価値を高める上で有利となる。
また、本実施の形態では、薬剤揮散体16は、偏平な矩形断面で帯状に延在しているので、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の美観性を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体16が偏平な矩形断面で帯状に直線状に延在し、しかも厚紙により形成されているので、薬剤揮散体16に図柄18を簡単に印刷でき、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10のデザイン性を高める上でより一層有利となる。
また、図柄18は、薬剤揮散体16に芳香剤12Aが滲み込んでいない状態で視認可能であり、薬剤揮散器10の使用時に視認しにくくなり、使用終了時期では再度視認可能となるため、例えば、容器14が不透明で容器14内の芳香剤12Aの残量を開口1406からしか視認できない場合であっても、使用者は、芳香剤12Aの残量を開口1406から視認することなく、薬剤揮散体16の色を視認することで薬剤揮散器10が使用終了時期になったことが分かり、薬剤揮散器10の使い勝手を高める上で有利となる。
【0016】
なお、上記の実施の形態では、薬剤揮散体16が偏平な矩形断面で形成されている場合について説明したが、薬剤揮散体16はその断面が円形、正方形、多角形などであってもよい。
ただし、薬剤揮散体16を偏平な矩形断面で形成すると、広い平坦面を確保できることから、図柄18を簡単に印刷する上で有利となり、また、図柄18を簡単に視認する上で有利となる。
また、薬剤揮散体16を偏平な矩形断面で形成すると、薬剤揮散器10の設置場所を移動するときに容器14が傾いたり、薬剤揮散器10を車内で使用したときに容器14が振動を受けても、容器14内で薬剤揮散体16がその中心軸を中心として回転が起きにくくなり、複数の薬剤揮散体16が密集して互いにくっついた状態になりにくくなる為、薬剤12の揮散性および薬剤揮散器10のデザイン性や美観性を保つ上で有利となる。
また、上記の実施の形態では、薬剤揮散体16が直線状に延在している場合について説明したが、薬剤揮散体16の延在方向は直線状に限定されず、図3(A)に示すようにS字状や、図3(B)に示すように屈曲状などで延在していてもよい。
また、上記の実施の形態では、薬剤揮散体16が単一の平面上で直線状に延在している場合について説明したが、図3(C)に示すように薬剤揮散体16は旋回しつつ螺旋状に延在していてもよい。
薬剤揮散体16が屈曲状やS字状などで延在する場合や旋回しつつ延在する場合、薬剤揮散体16が単一の平面上で直線状に延在している場合に比べて薬剤揮散体16の表面積を大きく確保できることから、薬剤12の揮散効果を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体16の幅Wや厚さTを薬剤揮散体16の長手方向に沿って変化させるなども任意である。
【符号の説明】
【0017】
10 薬剤揮散器
12 薬剤
12A 芳香剤
14 容器
1402大径部
1404 小径部
1406 開口
16 薬剤揮散体
18 図柄
図1
図2
図3