(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170425
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】複数の棒状の薬剤揮散体の集合体
(51)【国際特許分類】
A61L 9/12 20060101AFI20231124BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20231124BHJP
B65D 85/00 20060101ALI20231124BHJP
A01M 1/20 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61L9/12
B65D83/00 F
B65D85/00 A
A01M1/20 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082174
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000102544
【氏名又は名称】エステー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】岩澤 厚
(72)【発明者】
【氏名】早田 香織
【テーマコード(参考)】
2B121
3E068
4C180
【Fターム(参考)】
2B121CA02
2B121CA16
2B121CA54
2B121CA59
2B121CA63
2B121CA75
2B121CA81
3E068AA40
3E068CC16
3E068CE06
3E068CE20
3E068DD40
3E068DE01
3E068EE40
4C180AA03
4C180AA13
4C180AA18
4C180CA06
4C180GG12
4C180GG16
4C180HH10
(57)【要約】
【課題】低コストで簡単に製造できる複数の棒状の薬剤揮散体の集合体を提供すること。
【解決手段】集合体20は6本の薬剤揮散体16を有し平面上を延在する一枚の厚紙22で構成されている。厚紙22は、平面視、一対の短辺2002と一対の長辺2004からなる長方形を呈している。6本の薬剤揮散体16は、厚紙22内でその長さL方向を平行させてその長さL方向と直交する方向に並べられている。6本の薬剤揮散体16は、幅W方向の両端に位置する薬剤揮散体16の側面どうしが向かい合うように並べられている。隣り合う薬剤揮散体16の側面どうしは、切り離し可能な切り離し部24で接続され、切り離し部24は長さL方向に直線状に延在している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を揮散する複数の棒状の薬剤揮散体の集合体であって、
前記集合体は薄い板状の単一の基体で形成され、
前記複数の薬剤揮散体は、前記基体内でその長さ方向を平行させてその長さ方向と直交する方向に並べられ、
隣り合う前記薬剤揮散体どうしは切り離し可能な切り離し部で接続されている、
ことを特徴とする複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【請求項2】
前記薬剤揮散体をその長さ方向と直交する平面で切断した断面は、厚さより幅が大きい扁平な長方形状を呈し、
前記複数の薬剤揮散体は、前記幅方向の両端に位置する前記薬剤揮散体の側面どうしが向かい合い、
前記切り離し部は、前記向かい合う側面どうしを接続している、
ことを特徴とする請求項1記載の複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【請求項3】
前記基体は平面視長方形を呈し、
前記複数の薬剤揮散体は前記基体に前記切り離し部を介して並べられた状態で、前記複数の薬剤揮散体の長さ方向の両端は前記長方形の一対の短辺上に位置している、
ことを特徴とする請求項2記載の複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【請求項4】
前記薬剤揮散体は厚紙製であり、
前記基体は厚紙で形成されている、
ことを特徴とする請求項3記載の複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【請求項5】
前記切り離し部は、隣り合う前記薬剤揮散体どうしを接続する破断可能な接続部と、隣り合う前記薬剤揮散体どうしを切り離す切れ目とを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【請求項6】
前記複数の棒状の薬剤揮散体は、揮散性の薬剤が収容された容器にそれら薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部側が挿入され、それら薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部側が前記容器の上方に突出される薬剤揮散器として使用され、
前記接続部は、前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の箇所のみに設けられている、
ことを特徴とする請求項5記載の複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【請求項7】
前記接続部は、前記薬剤揮散体の長さ方向の端部と、前記薬剤揮散体の長さ方向の端部から前記薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所との2箇所に設けられ、
前記薬剤揮散体の厚さが0.4mm~0.6mmの場合、
前記2箇所に設けられた前記接続部の前記薬剤揮散体の長さ方向に沿った長さは共に0.5mm程度である、
ことを特徴とする請求項6記載の複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【請求項8】
前記複数の棒状の薬剤揮散体は、揮散性の薬剤が収容された容器にそれら薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部側が挿入され、それら薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部側が前記容器の上方に突出される薬剤揮散器として使用され、
前記接続部は、前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の箇所と、前記容器から突出される前記薬剤揮散体の箇所とに設けられ、
前記容器から突出される前記薬剤揮散体の箇所に設けられる前記接続部の前記薬剤揮散体の長さ方向に沿った長さは、前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の箇所に設けられる前記接続部の前記薬剤揮散体の長さ方向に沿った長さよりも短い寸法で形成されている、
ことを特徴とする請求項5記載の複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【請求項9】
前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の箇所に設けられる前記接続部は、前記薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部と、前記薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部から前記薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所との2箇所に設けられ、
前記容器から突出される前記薬剤揮散体の箇所に設けられる前記接続部は、前記薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部寄りの1箇所に設けられ、
前記薬剤揮散体の厚さが0.4mm~0.6mmの場合、
前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部に設けられる前記接続部の長さは0.5mm程度であり、
前記容器に挿入され前記一方の端部から前記薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所に設けられる前記接続部の長さは0.4mm程度であり、
前記容器から突出される前記薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部寄りの箇所に設けられる前記接続部の長さは、0.3mm程度である、
ことを特徴とする請求項8記載の複数の棒状の薬剤揮散体の集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の棒状の薬剤揮散体の集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の薬剤揮散器が提供されており、特許文献1、2、3、4には、上部に開口部を有し揮散性の薬剤が収容される容器と、開口部から容器に挿入されてその下部が薬剤に浸漬され、その上部が開口部から容器の上方に突出する複数の棒状の薬剤揮散体とを備える薬剤揮散器が提供されている。
棒状の薬剤揮散体を用いた薬剤揮散器では、薬剤揮散体により容器内の薬剤を吸い上げ、容器から上方に突出する薬剤揮散体の部分から薬剤を揮散させるようにしている。
そして、棒状の薬剤揮散体として木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製のものが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-188974号公報
【特許文献2】特開2021-176537号公報
【特許文献3】実用新案登録第3119834号公報
【特許文献4】特開2011-212271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、このような棒状の薬剤揮散体を使用する場合、薬剤が収容された容器と共に複数本の棒状の薬剤揮散体を箱などに入れ梱包して市場に流通させるが、複数本の棒状の薬剤揮散体がばらばらに切り離されているのでは、箱から取り出した際に、見栄が悪く商品価値が低下してしまう。
そこで従来では、複数本の棒状の薬剤揮散体の本数を正確に数えて透明な袋に封入し、あるいは、結束具で結束して容器と共に箱に入れ、梱包して市場に流通させている。
しかしながら、このような複数本の棒状の薬剤揮散体をまとめる作業は手間暇が掛かる作業となっており、薬剤揮散器がコスト高にならざるを得ない不具合があった。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、低コストで簡単に製造できる複数の棒状の薬剤揮散体の集合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施の形態は、薬剤を揮散する複数の棒状の薬剤揮散体の集合体であって、前記集合体は薄い板状の単一の基体で形成され、前記複数の薬剤揮散体は、前記基体内でその長さ方向を平行させてその長さ方向と直交する方向に並べられ、隣り合う前記薬剤揮散体どうしは切り離し可能な切り離し部で接続されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体をその長さ方向と直交する平面で切断した断面は、厚さより幅が大きい扁平な長方形状を呈し、前記複数の薬剤揮散体は、前記幅方向の両端に位置する前記薬剤揮散体の側面どうしが向かい合い、前記切り離し部は、前記向かい合う側面どうしを接続していることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記基体は平面視長方形を呈し、前記複数の薬剤揮散体は前記基体に前記切り離し部を介して並べられた状態で、前記複数の薬剤揮散体の長さ方向の両端は前記長方形の一対の短辺上に位置していることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記薬剤揮散体は厚紙製であり、前記基体は厚紙で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記切り離し部は、隣り合う前記薬剤揮散体どうしを接続する破断可能な接続部と、隣り合う前記薬剤揮散体どうしを切り離す切れ目とを含んで構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記複数の棒状の薬剤揮散体は、揮散性の薬剤が収容された容器にそれら薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部側が挿入され、それら薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部側が前記容器の上方に突出される薬剤揮散器として使用され、前記接続部は、前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の箇所のみに設けられていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記接続部は、前記薬剤揮散体の長さ方向の端部と、前記薬剤揮散体の長さ方向の端部から前記薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所との2箇所に設けられ、前記薬剤揮散体の厚さが0.4mm~0.6mmの場合、前記2箇所に設けられた前記接続部の前記薬剤揮散体の長さ方向に沿った長さは共に0.5mm程度であることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記複数の棒状の薬剤揮散体は、揮散性の薬剤が収容された容器にそれら薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部側が挿入され、それら薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部側が前記容器の上方に突出される薬剤揮散器として使用され、前記接続部は、前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の箇所と、前記容器から突出される前記薬剤揮散体の箇所とに設けられ、前記容器から突出される前記薬剤揮散体の箇所に設けられる前記接続部の前記薬剤揮散体の長さ方向に沿った長さは、前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の箇所に設けられる前記接続部の前記薬剤揮散体の長さ方向に沿った長さよりも短い寸法で形成されていることを特徴とする。
また、本発明の一実施の形態は、前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の箇所に設けられる前記接続部は、前記薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部と、前記薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部から前記薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所との2箇所に設けられ、前記容器から突出される前記薬剤揮散体の箇所に設けられる前記接続部は、前記薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部寄りの1箇所に設けられ、前記薬剤揮散体の厚さが0.4mm~0.6mmの場合、前記容器に挿入される前記薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部に設けられる前記接続部の長さは0.5mm程度であり、前記容器に挿入され前記一方の端部から前記薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所に設けられる前記接続部の長さは0.4mm程度であり、前記容器から突出される前記薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部寄りの箇所に設けられる前記接続部の長さは、0.3mm程度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施の形態の集合体によれば、基体を刃型で打ち抜き加工することで薬剤揮散体の製造時に同時に製造されることから、あるいは、成型機を用いて薬剤揮散体の製造時に同時に集合体が製造されることから、複数の棒状の薬剤揮散体が切り離し可能に並べられて単一部材となった集合体を低コストで簡単に確実に製造できる。
したがって、従来のように複数本の棒状の薬剤揮散体の本数を正確に数えて透明な袋に封入する作業や、あるいは、複数本の棒状の薬剤揮散体を結束具で結束する手間暇が掛かる作業を省略でき、複数の棒状の薬剤揮散体の集合体を低コストで簡単に製造でき、複数本の薬剤揮散体を用いた薬剤揮散器のコストダウンを図る上で有利となり、複数本の薬剤揮散体を用いた薬剤揮散器の販売量を増大する上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態の集合体によれば、デザイン性に優れ、また、図柄などの印刷もし易い断面が長方形で細長状に延在する薬剤揮散体の集合体を簡単に製造する上で有利となる。
また、本発明の一実施の形態の集合体によれば、前記集合体を偏平で薄い板状の平面視長方形の単一の基体で形成すると、集合体は嵩張らず、大きなスペースを確保する必要がないため容器と共に簡単に箱に挿入され、梱包する箱を最小限の大きさにでき、薬剤揮散器のコストダウンを図る上で有利となり、複数本の薬剤揮散体を用いた薬剤揮散器の販売量を増大する上で有利となり、また、断面が長方形で細長状に延在する同一長さの薬剤揮散体の集合体を簡単に製造する上で有利となる。
本発明の一実施の形態の集合体によれば、薬剤揮散体を厚紙製にすると、基体に厚紙を使用でき、一枚の厚紙をトムソン刃型で打ち抜き加工することで複数の集合体が効率良く簡単に製造される。
なお、本発明において、薬剤揮散体として木材製、藤(ラタン)製、竹材製のものなど従来公知の様々な材料が使用可能であるが、薬剤揮散体として厚紙製のものを使用すると、木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製の薬剤揮散体を使用する場合に比べ、複数の加工工程や専用の成型機を省略できるので、環境に配慮する効果を有しながら、薬剤揮散体および薬剤揮散器の大幅なコストダウンを図る上で有利となり、薬剤揮散体および薬剤揮散器の販売量を大幅に増大する上で有利となる。
また、薬剤揮散体として厚紙製のものを使用すると、薬剤の吸い上げ速度や揮散速度がほぼ均一となり、薬剤の揮散効果が確実に発揮され、薬剤揮散器の実用的価値や商品価値を高める上で有利となる。
また、本発明の切り離し部には、隣り合う薬剤揮散体どうしの厚紙部分が接続された箇所に切れ目を点線状に入れたミシン目を形成した構造や、あるいは、隣り合う薬剤揮散体どうしの厚紙部分が接続された箇所を薬剤揮散体よりも肉厚の小さい薄肉部で構成する構造など、従来公知の様々な構造が採用可能であるが、切り離し部を、隣り合う前記薬剤揮散体どうしの厚紙部分が接続された破断可能な接続部と、隣り合う前記薬剤揮散体どうしを切り離す切れ目との組み合わせで構成すると、トムソン刃型で厚紙を打ち抜き加工することで、薬剤揮散体の製造と同時に複数の集合体を簡単に確実に製造できることから、集合体を低コストで製造する上で有利となる。
また、接続部を、容器に挿入される薬剤揮散体の箇所のみに設けると、容器から突出する薬剤揮散体の部分に切り離しによる凹凸が生じることはなく、また、接続部が破断されることで生じる凹凸は容器の内部に位置することから目立ちにくくなり、薬剤揮散体のデザイン性、美観性を高める上で有利となる。
この場合、接続部を、薬剤揮散体の長さ方向の端部と、薬剤揮散体の長さ方向の端部から薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所との2箇所に設けることができ、薬剤揮散体の厚さが0.4mm~0.6mmの場合、2箇所に設けられた接続部の長さを共に0.5mm程度にすることが好ましい。
また、接続部の長さが大きいと、製造時および市場流通時に振動衝撃により、集合体から薬剤揮散体がばらけることを防止できるものの、薬剤揮散体を切り離した際に、接続部が破断されることで生じる凹凸が目立ち、薬剤揮散体のデザイン性を高める上で不利となることが考えられることから、容器から突出する薬剤揮散体の箇所に設けられる接続部の長さは、容器に挿入される薬剤揮散体の箇所に設けられる接続部の長さよりも短い寸法で形成されていることが好ましい。
この場合、薬剤揮散体の厚さが0.4mm~0.6mmの場合、容器に挿入される薬剤揮散体の箇所に設けられる接続部は、薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部と、薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部から薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所との2箇所に設けられ、容器から突出する薬剤揮散体の箇所に設けられる接続部は、薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部寄りの1箇所に設けられる。そして、薬剤揮散体の長さ方向の一方の端部に設けられる接続部の長さは0.5mm程度であり、一方の端部から薬剤揮散体の全長の1/3離れた箇所に設けられる接続部の長さは0.4mm程度であり、容器から突出する薬剤揮散体の長さ方向の他方の端部寄りの箇所に設けられる接続部の長さは、0.3mm程度であることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(A)、(B)はそれぞれ集合体の平面図である。
【
図4】一枚の厚紙から複数の集合体を製造する説明図である。
【
図6】(A)、(B)はそれぞれ集合体の平面図である。
【
図7】(A)、(B)はそれぞれ集合体の平面図である。
【
図8】(A)、(B)はそれぞれ一枚の厚紙から複数の集合体を製造する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、複数の棒状の薬剤揮散体の集合体を用いた薬剤揮散器について説明し、次に、本発明の厚紙製の複数の薬剤揮散体の集合体の実施の形態について説明する。
図1に示すように、薬剤揮散器10は、揮散性の液体の薬剤12が収容された容器14と、容器14に挿入される複数の厚紙製の薬剤揮散体16とを含んで構成されている。
薬剤12として芳香剤や防虫剤、殺虫剤などが用いられ、本実施の形態では、薬剤12として芳香剤12Aが用いられている。
芳香剤12Aは、香料成分単体もしくは、香料成分と揮散性溶媒との混合物で構成され、本実施の形態では透明の液体である。
【0009】
容器14は合成樹脂やガラスで構成され、本実施の形態では透明である。
容器14は、薬剤12が収容されるものであり、大径部1402と、大径部1402の上部に設けられた小径部1404とを有し、小径部1404の上端は円形の開口1406となっている。
薬剤揮散器10の市場流通時、容器14に薬剤12として芳香剤12Aが収容され、開口1406には不図示のキャップが着脱可能に取着され、薬剤揮散器10の使用時に開口1406からキャップが取り外され、容器14は適宜箇所に載置される。
【0010】
薬剤揮散体16は、細長の棒状を呈し、開口1406から容器14に挿入され、下部が容器14内で芳香剤12Aに浸漬され、上部が開口1406から容器14の上方に突出して用いられる。
薬剤揮散体16は、芳香剤12Aに浸漬された箇所から芳香剤12Aを毛細管現象により吸い上げ、芳香剤12Aの液面から露出する箇所から芳香剤12Aを揮散する部材である。
薬剤揮散体16の断面は、円形であってもよく、正方形であってもよく、薬剤揮散体16の断面には従来公知の様々な形状が適用可能である。
【0011】
薬剤揮散体16は厚紙により形成されている。
厚紙とは、一般に用いられる紙よりも厚手の紙であり、紙とは、植物などの繊維を水中で密にからみ合わせ,薄く平面状にのばして脱水、乾燥させたものである。紙の種類も特に限定されず、コート紙、上質紙、マット紙、アートポスト紙、クラフト紙、マットポスト紙、ケント紙が用いられる。本実施の形態では再生紙(古紙50%)を用いている。再生紙は古紙をリサイクルしたものであり、森林環境保全の観点から好ましい。
本実施の形態では、薬剤揮散体16は、偏平な矩形断面で帯状に延在している。
また、本実施の形態では、薬剤揮散体16は、5mm程度の均一幅Wと、180mm程度の長さLと、幅Wよりも小さい0.5mm程度の均一厚さTとを有し、直線状に延在している
なお、薬剤揮散体16の長さLや幅Wは、容器14の大きさに対応して適宜決定され、本発明で用いる薬剤揮散体16の長さLは100mm~240mmであり、厚さTは0.3mm~1mmであり、幅Wは3mm~10mmである。
また、厚さT方向の両端のうちの少なくとも一方の面で薬剤揮散体16の長さL方向の一側部には、図柄18が印刷されている。
ここで図柄18とは、文字、模様、キャラクターなどを含む概念である。
印刷に使用するインクは適宜選定されるが、吸い上げた芳香剤12Aによって滲むことがない様に、顔料を使用することが望ましい。
印刷方法はオフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷など適宜選定される。
なお、薬剤揮散体16は、後述するように、容器14に入れられ傾いた状態で使用されるため、芳香剤12Aを吸い上げた際に自重により撓まないように、その断面積や長さ、坪量が適宜決定される。
また、薬剤揮散体16は、芳香剤12Aを吸い上げることができるように、坪量が適宜決定される。
【0012】
薬剤揮散体16は、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態では、薄い青色や薄い黄色、薄いオレンジ色、薄いピンク色、薄い茶色、薄い灰色などの薄い色を呈しており、芳香剤12Aが滲み込んだ状態では、これらがそれぞれ、濃い青色、濃い黄色、濃いオレンジ色、濃いピンク色、濃い茶色、濃い灰色に変化する。図柄18は芳香液12Aが染み込んだ薬剤揮散体の色に近い色で形成されている。
本実施の形態では、芳香剤12Aが滲み込んでいない状態で、薬剤揮散体16は薄い茶色を呈しており、また、図柄18は濃い茶色で形成され、芳香剤12Aが滲み込んだ状態で薬剤揮散体16は薄い茶色から濃い茶色に変色し、図柄18が視認しにくくなるように形成されている。
また、芳香剤12Aがなくなった薬剤揮散器10の使用終了時、薬剤揮散体16が乾燥することで、再度、薄い茶色となり、図柄18が視認できるように形成されている。
【0013】
薬剤揮散器10の使用方法は次の通りである。
容器14に芳香剤12Aが収容され、開口1406にはキャップが着脱可能に取着され、容器14と共に複数本の薬剤揮散体16が箱に入れられ梱包されて市場に流通される。
薬剤揮散器10の購入者は、使用時、開口1406からキャップを取り外し、複数の薬剤揮散体16を開口1406から容器14に入れ、容器14を適宜箇所に載置する。
この場合、箱から取り出した当初、薬剤揮散体16の長さL方向の一側に印刷された図柄18は視認可能であるため、使用者は、図柄18が印刷された箇所が容器14の上方に位置するように、複数の薬剤揮散体16を開口1406から容器14に入れ、それらの下部を芳香剤12Aに浸漬させる。
【0014】
やがて、薬剤揮散体16により芳香剤12Aが吸い上げられていき、薬剤揮散体16の色が下方から上方へ薄い茶色から濃い茶色に変色していき、図柄18が視認しにくくなる。
芳香剤12Aの芳香成分は、芳香剤12Aの液面の上方に露出する複数の薬剤揮散体16の箇所から室内に揮散していく。
容器14内の芳香剤12Aがなくなり、複数の薬剤揮散体16に吸い込まれた芳香剤12Aの芳香成分が全て揮散した時点で、薬剤揮散器10は使用終了となる。
薬剤揮散器10は使用終了時、複数の薬剤揮散体16は乾燥して薄い茶色に戻り、図柄18が再度視認可能となるので、使用者は容器14内の芳香剤12Aの残量を視認することなく薬剤揮散体16の図柄18を視認することで、薬剤揮散器10が使用終了になったことが分かる。
本発明では、薬剤揮散体16を構成する材料として、従来公知の様々な材料が使用可能であるが、薬剤揮散体16を厚紙製とすることで、厚紙を裁断することで簡単に確実に薬剤揮散体16を製造でき、薬剤揮散体16を木材製、藤(ラタン)製、竹材製、樹脂製にする場合に比べ、複数の加工工程や専用の成型機を省略できるので、環境に配慮する効果を有しながら、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の大幅なコストダウンを図る上で有利となり、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の販売量を大幅に増大する上で有利となる。
また、薬剤揮散体16が木材製、藤(ラタン)製、竹材製である場合、天然素材であるため吸い上げ速度や揮散速度にばらつきがあるが、薬剤揮散体16が厚紙製の場合、薬剤12の吸い上げ速度や揮散速度がほぼ均一となり、薬剤12の揮散効果が確実に発揮され、薬剤揮散器10の実用的価値や商品価値を高める上で有利となる。
また、本実施の形態では、薬剤揮散体16は、偏平な矩形断面で帯状に延在しているので、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10の美観性を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体16が偏平な矩形断面で帯状に直線状に延在し、しかも厚紙により形成されているので、薬剤揮散体16に図柄18を簡単に印刷でき、薬剤揮散体16および薬剤揮散器10のデザイン性、美観性を高める上でより一層有利となる。
また、図柄18は、薬剤揮散体16に芳香剤12Aが滲み込んでいない状態で視認可能であり、薬剤揮散器10の使用時に視認しにくくなり、使用終了時期では再度視認可能となるため、例えば、容器14が不透明で容器14内の芳香剤12Aの残量を開口1406からしか視認できない場合であっても、使用者は、芳香剤12Aの残量を開口1406から視認することなく、薬剤揮散体16の色を視認することで薬剤揮散器10が使用終了時期になったことが分かり、薬剤揮散器10の使い勝手を高める上で有利となる。
また、薬剤揮散体16を偏平な矩形断面で形成すると、薬剤揮散器10の設置場所を移動するときに容器14が傾いたり、薬剤揮散器10を車内で使用したときに容器14が振動を受けても、容器14内で薬剤揮散体16がその中心軸を中心として回転が起きにくくなり、複数の薬剤揮散体16が密集して互いにくっついた状態になりにくくなる為、薬剤12の揮散性および薬剤揮散器10のデザイン性や美観性を保つ上で有利となる。
【0015】
次に、薬剤揮散体16の集合体20について説明する。
薬剤揮散器10には、本実施の形態では6本の薬剤揮散体16が用いられている。
薬剤揮散体16は、均一幅W(5mm)、均一厚さT(0.5mm)で直線状に均一長さL(180mm)で延在し、6本の薬剤揮散体16の形状は全て同一であり、平面視細長の長方形である。
図3(A)や(B)に示すように、集合体20は6本の薬剤揮散体16を有し単一の平面上を延在する一枚の厚紙22からなる基体で構成されている。
基体を構成する厚紙22は、平面視、一対の短辺2002と一対の長辺2004からなる長方形を呈している。
6本の薬剤揮散体16は、厚紙22内でその長さL方向を平行させてその長さL方向と直交する方向に並べられている。
詳細には、6本の薬剤揮散体16は、長方形の一対の長辺2002の間でそれらの長さL方向を長辺2002に平行させ、それらの幅W方向を長方形の短辺2002に平行させ、6本の薬剤揮散体16の長さL方向の両端を長方形の一対の短辺2002上に位置するように並べられ、したがって、厚紙22の厚さはそのまま薬剤揮散体16の厚さTとなる。
6本の薬剤揮散体16は、幅W方向の両端に位置する薬剤揮散体16の側面どうしが向かい合うように並べられている。
【0016】
隣り合う薬剤揮散体16の側面どうしは、切り離し可能な切り離し部24で接続され、切り離し部24は長さL方向に直線状に延在している。
切り離し部24は、隣り合う薬剤揮散体16どうしの厚紙部分が接続された箇所に切れ目を点線状に入れてミシン目を形成した単一の接続部24で構成してもよい。あるいは、この接続部24と隣り合う薬剤揮散体16どうしを切り離す切れ目24Bとの組み合わせで構成してもよい。あるいは、隣り合う薬剤揮散体16どうしの厚紙部分が接続された箇所を薬剤揮散体16よりも肉厚の小さい薄肉部とした単一の接続部24で構成したり、あるいは、この接続部24と切れ目24Bとの組み合わせで構成するなど切り離し部24には従来公知の様々な構造が採用可能である。
本実施の形態では、切り離し部24を、長さL方向に間隔をおいた箇所に設けられ隣り合う薬剤揮散体16の厚紙部分が接続された破断可能な少なくとも一つの接続部24Aと、接続部24A以外の箇所に設けられ隣り合う薬剤揮散体16どうしを切り離す切れ目24Bとで構成している。
このような切り離し部24を有する集合体20は、
図4に示すように、厚紙22よりも大きい一枚の厚紙2202からトムソン刃型で打ち抜き加工することで、薬剤揮散体16の製造と同時に複数製造される。さらに、厚紙2202を複数枚重ねてトムソン刃型で打ち抜き加工することで、一回の打ち抜き工程で数倍量の集合体20を製造できる。
薬剤揮散器10の購入者は、箱から単一の集合体20を取り出し、切り離し部24を破断して集合体20から6本の薬剤揮散体16を切り離し、複数の薬剤揮散体16を開口1406から容器14に入れ、容器14を適宜箇所に載置して薬剤揮散器10を使用する。
集合体20からの薬剤揮散体16の切り離しは、集合体20の端部に配置された薬剤揮散体16を、集合体20から離れる方向で薬剤揮散体16の幅W方向に移動させて切り離してもよく、あるいは、薬剤揮散体16の長手方向の端部を支点として扇状に揺動させて切り離してもよく、あるいは、薬剤揮散体16を切り離し部24を境に集合体20側に重なるように折り曲げて切り離すなど任意である。
【0017】
本実施の形態の集合体20によれば、相互に重ねた複数枚の厚紙2202からトムソン刃型で打ち抜き加工することで、複数の棒状の薬剤揮散体16が切り離し可能に並べられ、製造時や輸送時の振動や衝撃により、接続部24Aが破断せず薬剤揮散体16がばらけることがない単一部材となった集合体20が、薬剤揮散体16の製造時に同時に複数製造されることから、集合体20を低コストで簡単に確実に製造できる。
したがって、従来のように複数本の棒状の薬剤揮散体を透明な袋に封入したり、あるいは、結束具で結束するなどの作業を省略でき、しかも低コストで集合体20を製造することができ、複数本の薬剤揮散体16を用いた薬剤揮散器10のコストダウンを図る上で有利となり、複数本の薬剤揮散体16を用いた薬剤揮散器10の販売量を増大する上で有利となる。
また、集合体20は、平面上を延在する1枚の厚紙22で形成されているので嵩張らず、大きなスペースを確保する必要がないため、容器14と共に簡単に箱に挿入でき、梱包する箱を最小限の大きさにでき、薬剤揮散器10のコストダウンを図る上で有利となり、複数本の薬剤揮散体16を用いた薬剤揮散器10の販売量を増大する上で有利となる。
【0018】
本発明者は、本実施の形態によれば、製造時や輸送時の振動や衝撃により薬剤揮散体16がばらけることがなく、集合体20からの薬剤揮散体16の切り離しを円滑に行える集合体20を低コストで簡単に確実に製造できるという本発明の目的、効果が達成されるものの、切り離し部24の構成についてさらに検討した。
すなわち、接続部24Aの長さL方向に沿った長さが大きいと、切り離した際に、接続部24Aが破断されることで生じる凹凸が目立つようになる。
しかしながら、薬剤揮散体16は、長さL方向の一方側が容器14の内部に挿入されて使用されるため、容器14に挿入される薬剤揮散体16の箇所に接続部24Aを設ける場合、接続部24Aの長さL方向に沿った長さを大きくしても、接続部24Aが破断されることで生じる凹凸が目立ちにくくなる。
このようなことから本発明者は、厚紙22の厚さが0.5mmの場合について種々の試験を行なった。
【0019】
図3(A)に示す集合体20では、容器14内に挿入される薬剤揮散体16の長さL方向の一方の端部にから1mm離れた箇所に0.5mmの長さの接続部24Aと、この接続部24Aから58mm離れた箇所(一方の端部から薬剤揮散体16の長さLの1/3離れた箇所)に0.5mmの長さの接続部24Aを設け、接続部24A以外の箇所を切れ目24Bとした切り離し部24を設けた。
すなわち、容器14に挿入される薬剤揮散体16の箇所のみに複数の接続部24Aを設けている。
図3(A)に示す集合体20によれば、集合体20からの薬剤揮散体16の切り離しを円滑に行なえ、製造時や輸送時の振動や衝撃により、接続部24Aが破断せず、集合体20のばらけを防止でき、2つの接続部24Aは全て容器14内に挿入される薬剤揮散体16の箇所に設けられているため、接続部24Aが破断されることで生じる凹凸が目立つことはなかった。
【0020】
図3(B)に示す集合体20では、容器14内に挿入される薬剤揮散体16の長さL方向の一方の端部に0.5mmの長さの接続部24Aと、接続部24Aから59.5mm離れた長さL方向の一方の端部寄りの箇所(一方の端部から薬剤揮散体16の長さLの1/3離れた箇所)に0.4mmの長さの接続部24Aを設け、長さL方向の他方の端部から20mm離れた他方の端部寄りの箇所に0.3mmの長さの接続部24Aを設け、接続部24A以外の箇所を切れ目24Bとした切り離し部24を設けた。
言い換えると、
図3(B)に示す集合体20では、容器14に挿入される薬剤揮散体16の箇所に複数の接続部24Aを設け、容器14から突出する薬剤揮散体16の箇所に、容器14に挿入される薬剤揮散体16の箇所に設ける接続部24Aの長さよりも短い長さの接続部24Aを設けている。
図3(B)に示す集合体20によれば、集合体20からの薬剤揮散体16の切り離しを円滑に行なえ、製造時や輸送時の振動や衝撃による集合体20のばらけを防止でき、2つの接続部24Aは容器14内に挿入される薬剤揮散体16の箇所に設けられているため、接続部24Aが破断されることで生じる凹凸が目立つことはなく、また、容器14から突出する薬剤揮散体16の箇所に設けられた接続部24Aは、0.3mmの短い長さであるため、接続部24Aが破断されることで生じる凹凸が目立つことはなかった。
図3(B)に示す集合体20では、容器14から突出する薬剤揮散体16の長さL方向の他方の端部側にも接続部24Aを設けているので、
図3(A)に示す集合体20に比べ、複数の薬剤揮散体16が並べられた状態をより安定した状態で維持する上で有利となり、薬剤揮散体16が扇状に拡がることを防止する上で有利となる。
なお、
図3(A)、(B)に示す集合体20では、薬剤揮散体16の長さL方向の一方の端部に長さが0.3mmよりも大きい0.5mmの接続部24Aを設けると共に、一方の端部から薬剤揮散体16の長さLの1/3離れた箇所に長さが0.3mmよりも大きい0.5mm、0.4mmの接続部24Aを設けたのは、薬剤揮散器10の使用時、それら接続部24Aが破断されることで生じる凹凸は容器14の内部に挿入され、容器14が透明である場合であっても外部から視認しづらいためである。
【0021】
図5に示す集合体20では、容器14内に挿入される薬剤揮散体16の長さL方向の一方の端部から19.5mmの間隔をおいて0.5mmの長さの接続部24Aを3つ設け、それら3つの接続部24A以外の箇所を切れ目24Bとした切り離し部24を設けた。
3つの接続部24Aは、容器14内に挿入される薬剤揮散体16の箇所に設けられている。
図5に示す集合体20では、製造時および市場流通時の振動衝撃による集合体20のばらけを防止でき、薬剤揮散体16の集合体20からの切り離しも円滑に行なえ、3つの接続部24Aは全て容器14内に挿入される薬剤揮散体16の箇所に設けられているため、接続部24Aが破断されることで生じる凹凸が目立つことはなかった。
【0022】
図6(A)に示す集合体20では、容器14内に挿入される薬剤揮散体16の長さL方向の一方の端部に0.3mmの長さの接続部24Aと、接続部24Aから59.7mm離れた長さL方向の一方の端部寄りの箇所(一方の端部から薬剤揮散体16の長さLの1/3離れた箇所)に0.3mmの長さの接続部24Aを設け、接続部24A以外の箇所を切れ目24Bとした切り離し部24を設けた。
図6(A)に示す集合体20でも、製造時および市場流通時の振動衝撃による集合体20のばらけを防止でき、薬剤揮散体16の集合体20からの切り離しも円滑に行なえ、2つの接続部24Aは全て容器14内に挿入される薬剤揮散体16の箇所に設けられているため、接続部24Aが破断されることで生じる凹凸が目立つことはなかった。
【0023】
図6(B)に示す集合体20では、
図6(A)に示す集合体20の接続部24A、24Aに、長さL方向の他方の端部から20mm離れた他方の端部寄りの箇所に0.3mmの長さの接続部24Aを加えた切り離し部24を設けた。
加えた接続部24Aの長さを0.3mmとしたのは、加えた接続部24Aの箇所は、容器14の上方に位置する箇所であることから、接続部24Aが破断されることで生じる凹凸が目立たないようにするためである。
図6(B)に示す集合体20でも、薬剤揮散体16の集合体20からの切り離しも円滑に行なえ、
図6(B)に示す集合体20では、
図6(A)に示す集合体20に、容器14の上方に位置する薬剤揮散体16の箇所に接続部24Aを加えた構成であるため、
図6(A)に示す集合体20に比べ、複数の薬剤揮散体16が並べられた状態をより安定した状態で維持し、薬剤揮散体16が扇状に拡がることを防止する上で有利となり、集合体20のばらけを防止する上でより有利となっている。
【0024】
図7(A)に示す集合体20の切り離し部24では、
図6(B)に示す集合体20の最下部の接続部24Aの長さを0.3mmから0.5mmに変えたものである。
図7(A)に示す集合体20でも、薬剤揮散体16の集合体20からの切り離しも円滑に行なえ、
図7(A)に示す集合体20では、
図6(B)に示す集合体20に、容器14内に挿入される薬剤揮散体16の箇所の接続部24A長さを0.3mmから0.5mmに変えた構成であるため、
図6(B)に示す集合体20に比べ、複数の薬剤揮散体16が並べられた状態をより安定した状態で維持し、集合体20のばらけを防止する上でより有利となっている。
図7(B)に示す集合体20の切り離し部24では、
図7(A)に示す最下部の接続部24Aと、一方の端部から薬剤揮散体16の長さLの1/3離れた箇所に設けた接続部24Aの真ん中に0.3mmの長さの接続部24Aを追加したものであり、言い換えると、容器14内に挿入される薬剤揮散体16の箇所に0.3mmの長さの接続部24Aを追加したものである。
図7(B)に示す集合体20でも、薬剤揮散体16の集合体20からの切り離しも円滑に行なえ、
図7(B)に示す集合体20では、
図7(A)に示す集合体20に、容器14内に挿入される薬剤揮散体16の箇所に長さが0.3mmの接続部24Aを追加した構成であるため、
図7(A)に示す集合体20に比べ、複数の薬剤揮散体16が並べられた状態をより安定した状態で維持し、集合体20のばらけを防止する上でより有利となっている。
【0025】
隣り合う薬剤揮散体16を接続する接続部24Aの強度は、接続部24Aの断面積が大きくなればなるほど強くなり、断面積が小さくなればなるほど小さくなり、したがって、接続部24Aの強度は、薬剤揮散体16の長さに比例すると共に厚さにも比例し、接続部24Aの強度を大きくすればするほど、破断された際に生じる凹凸も目立ち易くなる。
したがって、容器14に挿入される薬剤揮散体16の箇所と、容器14から突出される薬剤揮散体16の箇所との接続部24Aを設ける場合、破断された際に生じる凹凸を目立ちにくくするため、容器14から突出される薬剤揮散体16の箇所に設ける接続部24Aの長さは、容器14に挿入される薬剤揮散体16の箇所に設ける接続部24Aの長さよりも短くすることが好ましい。
また、本実施の形態では、薬剤揮散体16の厚さTは0.5mmであるため、長さが0.5mm、0.4mm、0.3mmの接続部24Aを用いた。
本発明で用いる薬剤揮散体の厚さTは0.3mm~1mmであり、厚さTが0.5mmより小さい場合には、接続部24Aの長さは上述の値よりも大きくなり、厚さTが0.5mmより大きい場合には、接続部24Aの長さは上述の値よりも小さくなる。
したがって、薬剤揮散体の厚さTが0.4mm~0.6mm程度の場合、接続部24Aの長さL方向に沿った長さは、ほぼ0.3mm程度~0.5mm程度から適宜選択することが好ましい。
【0026】
なお、本実施の形態の切り離し部24を有する集合体20によれば、薬剤揮散体16を集合体20から切り離し易く、製造時や輸送時の振動や衝撃により、接続部26Aが破断せず、集合体20のばらけが防止できることが判明したが、本実施の形態の集合体20以外に、例えば、0.3mmの長さの接続部24Aの個数を増やしたりすることなどで、同様な効果が奏される種々の形態の切り離し部24が考えられ、それら種々の形態の切り離し部24を有する集合体20にも本発明は無論適用される。
また、上記の実施の形態では、直線状に延在する複数の薬剤揮散体16の集合体20である場合について説明したが、薬剤揮散体16の延在方向は直線状に限定されず、
図8(A)に示すようにS字状に延在する複数の薬剤揮散体16の集合体20や、
図8(B)に示すように屈曲状に延在する複数の薬剤揮散体16の集合体20などであってもよく、この場合には、切り離し部24もS字状や屈曲状などに延在することになる。
薬剤揮散体16が屈曲状やS字状などで延在する場合、薬剤揮散体16が直線状に延在している場合に比べて薬剤揮散体16の表面積を大きく確保できることから、薬剤12の揮散効果を高める上で有利となる。
【符号の説明】
【0027】
10 薬剤揮散器
12 薬剤
12A 芳香剤
14 容器
1402大径部
1404 小径部
1406 開口
16 薬剤揮散体
18 図柄
20 集合体
2002 短辺
2004 長辺
22、2202 厚紙
24 切り離し部
24A 接続部
24B 切れ目