(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170433
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20231124BHJP
【FI】
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082194
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000125369
【氏名又は名称】学校法人東海大学
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】立道 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 由美
(72)【発明者】
【氏名】池田 優花
(72)【発明者】
【氏名】小峰 えりか
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 和広
(72)【発明者】
【氏名】釜澤 史明
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭太
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】がんやがん検診に対するリテラシーを高め、個人に適したがん検診の種類・頻度等の情報を抽出することでがん検診を促し、がんの早期発見を可能にするための情報処理装置等を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、基礎情報を含む要素情報を受け付ける受付部80と、前記受付部80で受け付けられた前記要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する生成部50と、前記第一検診候補情報を出力する出力部10と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎情報を含む要素情報を受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けられた前記要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する生成部と、
前記第一検診候補情報を出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第一検診候補情報は、検診を受けるべきがんの種類と、検診を受けるべき時期又はユーザの年齢を含む、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
第一モデルに適用される要素情報は、リスクファクター情報又は過去の検診治療結果を含む、請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項4】
入力部から入力される情報に従って前記第一検診候補情報を修正して生成された第二検診候補情報を記憶する記憶部を備える、請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
リスクファクター情報もしくは過去の検診治療結果、又は第一検診候補情報を第二モデルに適用することで、推奨コンテンツを選択する選択部を備える請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記推奨コンテンツは教育コンテンツを含む請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザの住所もしくは居所とリスクファクター情報もしくは過去の検診治療結果、又はユーザの住所もしくは居所と第一検診候補情報を第二モデルに適用することで、推奨医療機関を選択する選択部を備える請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
ユーザの基礎情報、リスクファクター情報及び検診治療結果を表示部で閲覧可能とする請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
第一モデルに適用される前記要素情報は、親族の病歴に関する情報と、ピロリ菌の除菌に関する情報又は内視鏡検査の結果に関する情報とを含む請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
第一検診候補情報で検診を推奨されたがんに関する推奨コンテンツを選択する、又は第一検診候補情報で検診を推奨されたがんの種類に基づいて推奨医療機関を選択する選択部を備える請求項1又は2のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
受付部によって、基礎情報を含む要素情報を受け付ける工程と、
生成部によって、前記入力部で入力された前記要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する工程と、
を備える情報処理方法。
【請求項12】
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記情報処理装置は、
基礎情報を含む要素情報を受け付ける受付機能と、
前記受付部で受け付けられた前記要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する生成機能と、
を実現する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検診すべきがんに関する情報を提供する情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、がんは多くの人がかかる病気であり、かつ重大な病気として認識されており、早期発見の重要性が指摘されている。がんに関する出願は多数なされているが、その多くは、がん治療のための製薬(抗がん剤)、がんの評価方法等に関するものである。一例として、特許文献1ではがんの転移を予測する装置が提案されている。
【0003】
他方、がんの早期発見のための情報処理システムについてはあまり提案されていない。がんの早期発見のためにはがん検診を受診することが有効であり自治体や職場において実施されているが、受診は本人の判断に任されており、必要な費用および時間等が受診を躊躇させる要因となっている。また、がんは年齢・性別・生活習慣・遺伝などによって罹患リスクが異なるが、一般的に実施されているがん検診については個人のがん罹患リスクについて考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためのものであり、がんやがん検診に対するリテラシーを高め、個人に適したがん検診の種類・頻度等の情報を抽出することでがん検診を促し、がんの早期発見を可能にするための情報処理装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[概念1]
本発明による情報処理装置は、
基礎情報を含む要素情報を受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けられた前記要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する生成部と、
前記第一検診候補情報を出力する出力部と、
を備えてもよい。
【0007】
[概念2]
概念1による情報処理装置において、
前記第一検診候補情報は、検診を受けるべきがんの種類と、検診を受けるべき時期又はユーザの年齢を含んでもよい。
【0008】
[概念3]
概念1又は2による情報処理装置において、
第一モデルに適用される要素情報は、リスクファクター情報又は過去の検診治療結果を含んでもよい。
【0009】
[概念4]
概念1乃至3のいずれか1つによる情報処理装置は、
入力部から入力される情報に従って前記第一検診候補情報を修正して生成された第二検診候補情報を記憶する記憶部を備えてもよい。
【0010】
[概念5]
概念1乃至4のいずれか1つによる情報処理装置は、
リスクファクター情報もしくは過去の検診治療結果、又は第一検診候補情報を第二モデルに適用することで、推奨コンテンツを選択する選択部を備えてもよい。
【0011】
[概念6]
概念5による情報処理装置において、
前記推奨コンテンツは教育コンテンツを含んでもよい。
【0012】
[概念7]
概念1乃至6のいずれか1つによる情報処理装置は、
ユーザの住所もしくは居所とリスクファクター情報もしくは過去の検診治療結果、又はユーザの住所もしくは居所と第一検診候補情報を第二モデルに適用することで、推奨医療機関を選択する選択部を備えてもよい。
【0013】
[概念8]
概念1乃至7のいずれか1つによる情報処理装置において、
ユーザの基礎情報、リスクファクター情報及び検診治療結果を表示部で閲覧可能としてもよい。
【0014】
[概念9]
概念1乃至8のいずれか1つによる情報処理装置において、
第一モデルに適用される前記要素情報は、親族の病歴に関する情報と、ピロリ菌の除菌に関する情報又は内視鏡検査の結果に関する情報とを含んでもよい。
【0015】
[概念10]
概念1乃至9のいずれか1つによる情報処理装置は、
第一検診候補情報で検診を推奨されたがんに関する推奨コンテンツを選択する、又は第一検診候補情報で検診を推奨されたがんの種類に基づいて推奨医療機関を選択する選択部を備えてもよい。
【0016】
[概念11]
本発明による情報処理方法は、
受付部によって、基礎情報を含む要素情報を受け付ける工程と、
生成部によって、前記入力部で入力された前記要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する工程と、
を備えてもよい。
【0017】
[概念12]
本発明によるプログラムは、
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記情報処理装置は、
基礎情報を含む要素情報を受け付ける受付機能と、
前記受付部で受け付けられた前記要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する生成機能と、
を実現してもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様によれば、がん検診として必要なものを抽出し、個人のリスクに応じてがん検診として必要なものを抽出し、個人に適した種類・コストでがん検診を実施してがんの早期発見を可能にするための情報処理装置等を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態による情報処理装置の概要を説明するためのブロック図。
【
図2】本発明の実施の形態による情報処理装置において、要素情報として入力される情報及び第一検診候補情報として出力される情報を示した図。
【
図3】本発明の実施の形態による情報処理装置によって出力される検診プラン(第一検診候補情報)の一例を示した図。
【
図4】本発明の実施の形態による情報処理装置によって出力される教育コンテンツの一例を示した図。
【
図5】本発明の実施の形態におけるデータの流れの一例を示した図。
【
図6】本発明の実施の形態における利用態様の流れの一例を示した図。
【
図7】本発明の実施の形態におけるデータの流れや出力内容等の例を示した図。
【
図8】本発明の実施の形態における導入コンテンツの一例を示した図。
【
図9】本発明の実施の形態における教育コンテンツの一例を示した図。
【
図10】ユーザ端末において、複数年分の健診プランが提示される態様を示した図。
【
図11】ユーザ端末において、推奨プランが提示される態様を示した図。
【
図12】
図11における「プランの理由ボタン」をタップ又はクリックすることで、複数年分の健診プランが提示される態様を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
《構成》
本実施の形態の情報処理装置200は、一つの装置から構成されてもよいし複数の装置から構成されてもよい。本実施の形態では、本実施の形態の情報処理装置200を用いた情報処理方法、情報処理装置200を生成するためにインストールされるプログラム(サーバプログラム)や、当該プログラムを記憶したUSB、DVD等からなる記憶媒体も提供される。また、本実施の形態では、ユーザ端末にインストールされるプログラム(ユーザプログラム)や、当該プログラムを記憶したUSB、DVD等からなる記憶媒体も提供される。本実施の形態の情報処理装置200はサーバであってもよく、本実施の形態はクラウド環境でも利用可能となってもよい。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態の情報処理装置200は、基礎情報を含む要素情報を受け付ける受付部80と、受付部80で受け付けられた要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する生成部50と、生成部50で生成された第一検診候補情報を含むあらゆる情報を出力できる出力部10と、様々な情報を記憶する記憶部60と、を有してもよい。受付部80で受け付けられる情報はユーザ端末100の入力部110から入力されてもよいし、記憶部60から読み出されてもよい。一例としては、ユーザ端末100からユーザがユーザ識別情報を入力することで当該ユーザ識別情報に紐づいた要素情報が記憶部60から読み出されて、受付部80で受け付けられ、生成部50によって第一モデルに適用されてもよい。また、ユーザ端末100からユーザが要素情報を入力するようにしてもよい。情報処理装置200は複数のユーザ端末100と通信可能となってもよい。情報処理装置200と1又は複数のユーザ端末100によって本実施の形態の情報処理システムが構成されることになる。
【0022】
本実施の形態の要素情報は、基礎情報と、リスクファクター情報と、過去の検診治療結果とを含んでもよい。なお、要素情報として基礎情報だけが含まれ、リスクファクター情報及び過去の検診治療結果が要素情報には含まれていなくてもよい。またユーザが識別できれば足りることから、基礎情報がユーザ識別情報といったユーザを識別するための情報だけを含んでもよい。本実施の形態の「検診治療結果」は「検診結果」及び「治療結果」の両方を含んだ概念である。
【0023】
図2の上側に示す態様では、項目毎に質問が準備されており、当該質問に対して予め準備された回答を1つ選択するものとなっている。このような態様を採用することで、ユーザでの入力負担を減らすことができる。このような質問への回答を行うと、
図2の下側で示すような第一検診候補情報が出力部10によって出力されることになる。なお、
図2の上側で示されたような態様は一例であり、例えばプルダウン形式で回答を選択するようにしてもよい。
【0024】
出力部10による出力は表示画面等の表示部130で表示されてもよい。また、入力部110で入力している内容は表示部130で表示されてもよい。パソコン、スマートフォン、タブレット等からなるユーザ端末100が入力部110及び表示部130を有し、サーバ等からなる本実施の形態の情報処理装置200と通信可能となってもよい。
【0025】
第一モデルは、機械学習によって生成されるモデルであってもよい。一例としては、学習用の基礎情報、リスクファクター情報及び過去の検診治療結果と、医師等の1又は複数の専門家(例えば公衆衛生専門医)が当該基礎情報、リスクファクター情報及び過去の検診治療結果に基づいて選択した検診候補情報、及び/又は複数の人物の実際の基礎情報及びリスクファクター情報と、当該人物がかかったがんに関する情報(がんの種類、がんの進行度等)とを用いて機械学習させることで、第一モデルが生成されてもよい。なお、リスクファクター情報には後述する親族の病歴に関する情報が含まれてもよい。また、過去の検診治療結果には後述するピロリ菌の除菌に関する情報及び内視鏡検査の結果が含まれてもよい。第一モデル及び後述する第二モデルの生成は、前述した学習部90によって行われてもよい。但し、このような態様に限られることはなく、一定の方式に従って事前に準備した第一モデルが用いられてもよい。第一モデルは記憶部60に記憶されており、適用時に記憶部60から読み出されるようにしてもよい。
【0026】
要素情報に含まれる基礎情報は、氏名やIDといったユーザ識別情報に加え、年齢、性別、体重、身長、血液型等のいずれか1つ以上又は全部を含んでもよい。ユーザが初めて入力する際には年齢、性別、体重、身長、血液型等が入力されるが、例えば2年目以降というように次回以降に利用する際には、変更箇所だけが入力されてもよい。一例としては、喫煙していたユーザが禁煙した場合にはその旨が入力されてもよい。
【0027】
要素情報は、ピロリ菌の除菌に関する情報及び/又は内視鏡検査の結果に関する情報等を含んでもよい。ピロリ菌に関する情報としては、除菌治療の実施の有無、除菌した時の年齢、ヘリコバクターピロリ菌抗体検査の陽性、陰性又は未実施についての情報やその他ピロリ菌検査の陽性、陰性又は未実施についての情報を含んでもよい。内視鏡については、前回の内視鏡検査における胃粘膜の萎縮の有無、ペブシノゲン検査の陽性、陰性又は未実施についての情報を含んでもよい。過去の検診治療結果は胃がん、大腸がん、乳がん等のがんの種類に応じた受診歴の有無と、受診したときの年齢を含んでもよい。胃がんについては例えば胃部X線検査又は胃内視鏡検査等の検査についての情報であり、大腸がんについては全大腸内視鏡検査についての情報であり、乳がんについては超音波検査(エコー)や乳房エックス線検査(マンモグラフィー)についての情報である。
【0028】
要素情報には親族の病歴に関する情報が含まれてもよく、親族でのがんについての病歴を含んでもよい。親族は、血縁関係のある親、祖父母、子供、孫、兄弟姉妹、叔父叔母、従兄弟姉妹までが含まれてもよい。なお、親族の病歴は、本実施の形態の「遺伝情報」に含まれる。例えば、親族での乳がん、肺がん、大腸がんの有無についての情報を含んでもよい。リスクファクター情報は、初潮が早い、妊娠回数、喫煙等といった乳がんリスク要因、職業暴露、石綿、大気汚染地域の居住経験等の肺がんリスク要因、運動不足、飲酒量、肥満であるかどうかといった大腸がんリスク要因を含んでもよい。また、リスクファクター情報は、運動の頻度、飲酒の頻度及び量、喫煙をするか否かやその本数といった生活行動についての情報を含んでもよい。喫煙に関する情報は、喫煙指数が所定値以上であるか否かについての情報を含んでもよい。リスクファクター情報はHPV検査が陽性であったか否か、妊娠の有無、高濃度乳腺(デンスブレスト)の有無、乳腺症の有無といった情報を含んでもよい。
【0029】
生成部50で生成される第一検診候補情報は、がんの種類と、がんの種類毎に関して検査を受けるべき時期についての情報を含んでもよい。一例として第一検診候補情報は、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん等のがんの種類毎にいずれの検査を今年又は来年受けるべきかや(
図7参照)、何歳のときにがんの種類毎にいずれの検査を受けるべきかの情報を含んでもよい(
図2及び
図3参照)。また、第一検診候補情報では、喫煙の影響やピロリ菌検査の頻度といった予防の知識や指導に関する情報も提供されてもよい(
図4及び
図7参照)。第一検診候補情報には、検診の種類についての情報や、各検診の目的や検診概要、検査時間、受診回数、ユーザにおけるリスク、リスクに関するランキング、検査統計的な情報、メリットやデメリットについての情報が含まれてもよい(
図4参照)。
【0030】
第一検診候補情報は表形式で一覧表として、検診を受けるべきがんの種類と、検診を受けるべき時期又はユーザの年齢等が出力されるようにしてもよい(
図2、
図3及び
図7参照)。第一検診候補情報はユーザ個人に推奨される検査と国が推奨している検査の両方を示すようにしてもよい。第一検診候補情報は検査を受けるべき頻度(5年に1回、2年に1回、毎年)についての情報を含んでもよい。本態様によれば、ユーザ自身が必要としている検診を一目で把握することができる。
【0031】
また、入力部110からの入力によって、第一検診候補情報を修正し、第二検診候補情報を生成するようになってもよい(
図5の丸で囲った「3」参照)。この際にも、入力部110で入力している内容は表示部130で表示されてもよい。
【0032】
リスクファクター情報又は過去の検診治療結果を第二モデルに適用することで、推奨コンテンツを選択する選択部30が設けられてもよい。また、選択部30は、第一検診候補情報を第二モデルに適用することで、推奨コンテンツを選択するようにしてもよい。推奨コンテンツは当該ユーザが見ることが好ましいコンテンツである。また、選択部30は、第一検診候補情報で検診を推奨されたがん(胃がん、大腸がん等)に関する推奨コンテンツを選択するようにしてもよい。一例としては、選択部30は、第一検診候補情報において本年度又は来年度において検診を推奨されたがんに関する推奨コンテンツを選択するようにしてもよい。
【0033】
また、選択部30は、ユーザの住所又は居所とリスクファクター情報又は過去の検診治療結果を第二モデルに適用することで、推奨医療機関を選択するようにしてもよい。また、ユーザの住所又は居所と第一検診候補情報を第二モデルに適用することで、推奨医療機関を選択するようにしてもよい。また、選択部30は、第一検診候補情報で検診を推奨されたがんの種類(胃がん、大腸がん等)に基づいて推奨医療機関を選択するようにしてもよい。一例としては、選択部30は、第一検診候補情報において本年度又は来年度において検診を推奨されたがんの種類に基づいて推奨医療機関を選択するようにしてもよい。なお、ユーザ毎に推奨医療機関は予め定まっていてもよいし、当該システムを利用する全てのユーザに対して推奨医療機関(例えば同じ1つの推奨医療機関)が定まってもよい。
【0034】
第二モデルも、機械学習によって生成されるモデルであってもよい。一例としては、学習用の基礎情報、リスクファクター情報及び過去の検診治療結果と、当該情報に基づいて例えば管理者や医師等の専門家(例えば公衆衛生専門医)が最適なものとして選択した推奨コンテンツ及び/又は推奨医療機関とを機械学習させることで、第二モデルが生成されてもよい。但し、このような態様に限られることはなく、一定の方式に従って事前に準備した第二モデルが用いられてもよい。第二モデルも記憶部60に記憶されており、適用時に記憶部60から読み出されるようにしてもよい。
【0035】
前年度等の過去の検診結果を要素情報として用いることで、教育コンテンツが選定されてもよい。例えば、前年度の検診結果から胃がんのリスクが高いと判断された場合には、当該情報を第二モデルに適用することで胃がんに関する教育コンテンツが選定されてもよい。また、前年度等の過去の検診結果から胃がんのリスクが高いと判断された場合には、第二モデルを用いることなく当該情報に基づいて、胃がんに関する教育コンテンツが選定されてもよい。
【0036】
推奨医療機関はユーザの住所や居所といった場所に基づいて選定されてもよいし、診療内容(ジャンル)に基づいて選定されてもよい。例えば肺がんの検診を推奨する場合には、ユーザの住所又は居所等の位置情報と、肺がんの検診を取り扱っている呼吸器科を有する病院についての情報とに基づいて、推奨医療機関が選定されてもよい。またユーザの所属している企業が提携している病院があれば、当該病院の中から肺がんの検診を取り扱っている呼吸器科を有している病院が推奨医療機関として選定されてもよい。前年度等の過去の診療実績から推奨医療機関が選択されてもよい。このような推奨医療機関は第二モデルに要素情報を適用することで選定されてもよいし、第二モデルを用いることなく、記憶部60における当該ユーザの情報や入力部110から入力される情報に基づいて選定されてもよい。
【0037】
表示画面等からなる表示部130では、ユーザ自身の基礎情報、リスクファクター情報及び検診治療結果が閲覧可能となってもよい。ユーザ端末100は、検診を受けるユーザ自身が所有又は管理する端末であってもよいし、管理者が所有又は管理する端末であってもよい。管理者がユーザ端末100を用いる場合には、ID及びパスワードによってログインするようにしてもよい。管理者は、登録されている複数のユーザの基礎情報、リスクファクター情報及び検診治療結果を閲覧できるようになってもよい。ユーザがユーザ端末100を用いる場合にも、ID及びパスワードによってログインするようにしてもよい。この場合には、ユーザ自身の情報のみを閲覧できるようにしてもよい。
【0038】
ユーザはID及びパスワードを用いてログインすることで、自己の専用のページを閲覧できるようになり、当該ページで基礎情報、リスクファクター情報及び検診治療結果を確認できるようにしてもよい。当該ページは検診治療手帳として機能することになる(
図5の丸で囲った「7」も参照)。
【0039】
本実施の形態による情報処理装置200の利用態様の一例について説明する。概ねの流れは
図6に示す通りである。またデータ等の情報の流れは
図5に示す通りである。
【0040】
まず導入コンテンツをユーザがユーザ端末100の表示部130を介して視聴する(
図5の丸で囲った「1」も参照)。導入コンテンツはユーザの所属する企業等から提供されるものであってもよく、一例としては
図8に示すような内容が提供されてもよい。
【0041】
次に、ユーザが要素情報を入力部110から入力する(
図5の丸で囲った「2」も参照)。この際、要素情報として、基礎情報、リスクファクター情報及び過去の検診治療結果のいずれか1つ以上又は全部を入力してもよい。このような入力が入力部110を介して行われると、データベースといった記憶部60に、基礎情報、リスクファクター情報、過去の検診治療結果等の情報が記憶されることになる。なお、記憶部60は医療機関データベースといった医療機関記憶部160と通信可能となっており、互いに情報のやり取りが可能となり、記憶部60と医療機関記憶部160との間で検診情報が連携されるようにしてもよい。例えば、ユーザが医療機関で検診や治療を受けると、その検診治療結果が医療機関記憶部160で記憶され、当該情報が記憶部60で記憶されるようにしてもよい。医療機関記憶部160と記憶部60との連携処理は、定期的に行われてもよく、例えば1日に1回、1週間に1回、1か月に1回といったように、適宜のタイミングで更新されるようにしてもよい。なお、記憶部60では、ユーザIDといったユーザ識別情報と、基礎情報、リスクファクター情報、過去の検診治療結果等のユーザの要素情報とが紐づけられて記憶されてもよい。管理者がユーザ端末100でログインした場合には、ユーザ毎の情報が表形式で表示部130で表示されるようにしてもよい。
【0042】
記憶部60で記憶されたユーザ識別情報と医療機関記憶部160で記憶されたユーザ識別情報を連携するための情報(キー情報)として、医療機関記憶部160で記憶された情報が記憶部60で記憶された情報と統合される、又は医療機関記憶部160で記憶された情報に基づいて記憶部60で記憶された情報が更新されることで、記憶部60で記憶されたユーザ毎の情報が更新されるようにしてもよい。なお、実際の検診結果が記憶部60で記憶されると、要素情報と実際の検診結果を学習情報として用いて機械学習し、第一モデルを更新するようにしてもよい。このような機械学習は管理者が用いるユーザ端末100からの指令に基づいてなされてもいし、定期的なタイミングで記憶部60から検診結果に関する情報を読み出して自動で行われてもよい。
【0043】
要素情報が記憶部60で記憶されると、生成部50が、要素情報を読み出すとともに、当該要素情報を第一モデル(
図5では「出力ロジック」として示している。)に適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する。このようにして生成された第一検診候補情報は出力されて表示画面等の表示部130で表示されることになる(
図5の丸で囲った「3」も参照)。第一検診候補情報はいわゆる個別の検診プランであり、どのような検診を受けるのが好ましいかが示されているプランになる。プランとしては、受けるべき検診の内容に加え、どの時期に当該検診を受けるべきかについての情報が含まれてもよい。
図5では、第一検診候補情報は「検診マイプラン」として示されている。
【0044】
スマートフォンやパソコン等のユーザ端末100に、おすすめの健診プランが提示される態様を採用してもよい。この場合には、出力部10からユーザ端末100に対して、おすすめの健診プランが出力されることになる。一例としては、スマートフォン等のユーザ端末100を介してユーザがアンケート(問診等)に答えた後に、複数年分の健診プランが提示されてもよい(
図10参照)。別の例としては、スマートフォン等のユーザ端末100を介してユーザがアンケート(問診等)に答えた後に、推奨プランとしてカードで提示されてもよい(
図11参照)。その後、プランの理由ボタンをタップ又はクリックすることで、複数年分の健診プランが提示されてもよい(
図10及び
図12参照)。また、
図10で示される検査項目のボタンをタップ又はクリックすることで、検査内容についての説明が表示されるようにしてもよい(
図12参照)。ユーザは提示された推奨内容で予約を行ってもよいし、推奨内容を修正した上で予約を行ってもよい。本態様を採用した場合には、提示された時点で予約することができ、ユーザビリティを向上させ(予約調整の手間及びコスト削減につながる。)、ひいては受診率向上につながることを期待できる。
【0045】
(予め定まっている場合を含め)スマートフォンやパソコン等のユーザ端末100を用いて推奨医療機関における受診を予約できるようになってもよく、この場合には、予約の際に受信可能な日時がスマートフォンやパソコン等のユーザ端末100に表示されるようにしてもよい。
【0046】
また、選択部30が、要素情報を読み出すとともに、当該要素情報を第二モデルに適用することで、推奨コンテンツ及び/又は推奨医療機関を選択するようにしてもよい。また、選択部30が、統計処理及び情報処理を行うことで、推奨コンテンツ及び/又は推奨医療機関を選択するようにしてもよい。このようにして推奨コンテンツや推奨医療機関が選択されると、推奨コンテンツや推奨医療機関が出力されて表示部130で表示されることになる(
図5の丸で囲った「4」も参照)。推奨コンテンツには、検診に関する情報、統計情報等が含まれてもよい。推奨コンテンツは教育コンテンツを含んでおり、検診プランにおける検診結果(受けるべきがん検診の内容)と関連した教育コンテンツが提供されてもよい。この際、1又は複数のスライドによって受けるべきがん検診の内容(当該がんの内容、リスク、人によってプランが違う理由、検査名・頻度等)が提供されてもよい(
図9参照)。また、必要な情報だけが選択部30で選択されてもよく、例えば、予め準備された複数のスライドの中から必要性の高いスライドだけが選択部30で抽出されて、推奨コンテンツとして出力されるようにしてもよい。また、検診プランにおいて、ユーザに提供されたプラン内容の理由、がんが発覚した場合にどのようにすればよいのか、職場との相談の仕方、個別相談の提案といった内容が提供されてもよい(
図7参照)。
【0047】
上記のような第一検診候補情報を用いて、ユーザは保健師等の相談者と相談してもよい(
図5の丸で囲った「5」も参照)。この相談は、対面で行われてもよいし、WEB会議の形式で行われてもよい。
【0048】
推奨コンテンツや相談者との相談結果に基づいて、ユーザが入力部110からの入力によって、第一検診候補情報を修正し、カスタマイズしてもよい(
図5の丸で囲った「6」も参照)。このようにして第一検診候補情報が修正されることで、第二検診候補情報が生成されることになる。
【0049】
このように第二検診候補情報が生成されると、当該第二検診候補情報は記憶部60で記憶されることになる。記憶部60では、第一検診候補情報及び第二検診候補情報の各々がユーザ識別情報と紐づけられて記憶されることになる。第二検診候補情報では、例えば特定の検診については第一検診候補情報で提案されたものよりもしっかりとした内容に変更したり、第一検診候補情報で提案された別の特定の検診については受けないように内容を変更したりすることが考えられる。
【0050】
ユーザは生成した第二検診候補情報(変更が無ければ第一検診候補情報)に基づいて検診を受けることになる。検診の結果は例えばユーザ識別情報とともに医療機関記憶部160で記憶されることになる。このように医療機関記憶部160で検診結果が記憶されると、ユーザ毎の検診結果が記憶部160で作成される又は更新されることになる。このようにして第一検診候補情報及び第二検診候補情報に加えて、ユーザ毎の検診結果を記憶部60で記憶させることができ、必要に応じてユーザ端末100でこれらの情報を確認できるようにしてもよい。
【0051】
受付部80、生成部50、選択部30、出力部10、学習部90等は一つのユニット(制御ユニット)によって実現されてもよいし、異なるユニットによって実現されてもよい。複数の「部」による機能が統合されてもよく、例えば生成部50及び選択部30の機能が一つのユニットによって実現されてもよい、受付部80及び生成部50の機能が一つのユニットによって実現されてもよい。また、受付部80、生成部50、選択部30、出力部10、学習部90等は回路構成によって実現されてもよい。
【0052】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。
【0053】
入力部110で入力された要素情報を第一モデルに適用することで、検診すべきがんに関する第一検診候補情報を生成する態様を採用した場合には、当該ユーザに必要ながんに関する検診情報を取得することができる。従来であれば、人間ドッグや有料の検診で自己の判断等で本来であれば必要でもない検診を行うことがあったが、本態様を採用することで、当該ユーザにとって必要な検診情報を得ることができる。このため、がんやがん検診に対するリテラシーを高め、個人に適したがん検診の種類・頻度等の情報を抽出することでがん検診を促し、がんの早期発見を可能にする。
【0054】
第一検診候補情報が、検診を受けるべきがんの種類と、検診を受けるべき時期又はユーザの年齢を含む場合には、検診を受けるべきタイミングも適切に把握できる点で非常に有益である。今後受けるべきがん検診とそのタイミングについて事前に把握できることは、将来的な経済的負担(将来的な支出)を考慮した上で受けるべきがん検診を決定できる点で非常に有益なものである。また第一検診候補情報として受けるべきがん検診の推奨度(例えば「ランク」)が提示される態様を採用してもよいが、この場合には、がんへのリスクと経済的負担を考慮しつつ、受けるべきがん検診の優先順位を決定できることになり、非常に有益なものである。
【0055】
要素情報が、リスクファクター情報又は過去の検診治療結果を含む場合には、高い精度の第一検診候補情報をユーザに提供できる。
【0056】
第一検診候補情報を修正し、第二検診候補情報を生成する態様を採用した場合には、保健師等のアドバイスや経済的負担を考慮した自己の判断も加味して検診情報を得ることができる。第一検診候補情報によって客観的な情報に基づいて必要な検診情報を得ることができることになるが、検診に必要な経済的負担や検診に必要な時間等を考慮して受ける検診を減らすこともできるし、また不安に思うところがあれば受ける検診を増やすこともできる。
【0057】
このようにして修正した第二検診候補情報(変更が無ければ第一検診候補情報)に基づいて検診を受けることになるが、受けた検診結果が記憶部60で記憶され、ユーザ端末100の表示部130で確認できる場合には、過去に作成された第一検診候補情報及び第二検診候補情報と、実際に受けた検診結果とを確認することができ、次回以降の検査項目を決定することに役立てることができる。
【0058】
リスクファクター情報もしくは過去の検診治療結果、又は第一検診候補情報を第二モデルに適用することで、推奨コンテンツを選択する態様を採用した場合には、リスクファクター情報もしくは過去の検診治療結果、又は第一検診候補情報に基づいて推奨コンテンツが自動で選択されることになる。リスクファクター情報もしくは過去の検診治療結果に加えてユーザの性別及び年齢を含む基礎情報を用いて第二モデルに適用する場合には、性別及び年齢も加味して推奨コンテンツを選択できる点で有益である。推奨コンテンツとして教育コンテンツが選択される場合には、ユーザが知識等を増やすことができ、保健師との相談に役立てたり、第二検診候補情報の生成に役立てたりすることができる。なお、複数の推奨コンテンツが記憶部60で記憶されており、要素情報を第二モデルに適用することで適切な推奨コンテンツが組み合わされて選択されるようになってもよい。
【0059】
ユーザの住所もしくは居所とリスクファクター情報もしくは過去の検診治療結果、又はユーザの住所もしくは居所と第一検診候補情報を第二モデルに適用することで、推奨医療機関を選択する態様を採用した場合には、ユーザにとって利便性の高く、かつ検診内容としても適切な推奨医療機関が自動で選択されることになる。このため、ユーザは病院を自ら選ぶ必要がなく、適した病院を容易に選択することができるようになる。
【0060】
基礎情報、リスクファクター情報及び検診治療結果が表示部130で閲覧可能となる場合には、ユーザ自身の情報を閲覧できることになり、どのような基礎情報であり、どのようなリスクファクターがあり、検診治療結果はどのようになっているかを確認することができるようになる。
【0061】
第一モデルに適用される情報として親族の病歴に関する情報が含まれる場合には、遺伝要素も考慮して第一検診候補情報を生成できる。また、適用される情報としてピロリ菌の除菌に関する情報又は内視鏡検査の結果に関する情報が含まれる場合には、簡易な情報入力によって、高い精度の第一検診候補情報をユーザに提供できることを期待できる。なお、第一モデルに適用される情報として親族の病歴に関する情報が含まれる場合には、第一モデルを生成する際にも親族の病歴に関する情報が入力されて機械学習されることになる。同様に、第一モデルに適用される情報としてピロリ菌の除菌に関する情報又は内視鏡検査の結果に関する情報が含まれる場合には、第一モデルを生成する際にもピロリ菌の除菌に関する情報又は内視鏡検査の結果に関する情報が入力されて機械学習されることになる。
【0062】
第一検診候補情報で検診を推奨されたがんに関する推奨コンテンツを選択する場合には、推奨されたがんの種類に基づいた推奨コンテンツを提供できる。また、第一検診候補情報で検診を推奨されたがんの種類に基づいて推奨医療機関を選択する場合には、推奨されたがんの種類を適切に取り扱うことができる推奨医療機関をユーザに提示できる。
【0063】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の特許請求の範囲の記載は出願時での権利要求範囲に過ぎず、適宜変更できる点では留意が必要である。
【符号の説明】
【0064】
10 出力部
30 選択部
50 生成部
60 記憶部
100 ユーザ端末
110 入力部
130 表示部
200 情報処理装置