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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170439
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】連結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 45/02 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
F16B45/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082205
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】月坂 太
【テーマコード(参考)】
3J038
【Fターム(参考)】
3J038AA01
3J038BA02
3J038BC02
3J038BC04
3J038BC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】開閉部材が不意に開くことを抑制でき、かつ、連結物を連結しやすい連結具を提供する。
【解決手段】連結具1は、環状の環状部2と、環状部の外面を覆うように設けられる筒状のロック部材3と、を備え、環状部は、環状で、周方向の一部に開口4aが形成された本体部4と、回動可能なように本体部に連結され、回動によって開口を閉じる閉じ状態及び前記開口を開いた開き状態を切り替え可能な開閉部材5と、を備え、ロック部材は、軸線方向に伸縮可能に構成されるとともに、軸線方向の一端部が本体部に固定され、軸線方向における伸縮によって、本体部と開閉部材に亘って延びるロック状態と開閉部材から退避した解除状態とを切り替え可能に構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の環状部と、該環状部の外面を覆うように設けられる筒状のロック部材と、を備え、
前記環状部は、
環状で、周方向の一部に開口が形成された本体部と、
回動可能なように前記本体部に連結され、前記回動によって前記開口を閉じる閉じ状態及び前記開口を開いた開き状態を切り替え可能な開閉部材と、を備え、
前記ロック部材は、軸線方向に伸縮可能に構成されるとともに、軸線方向の一端部が前記本体部に固定され、軸線方向における伸縮によって、前記本体部と前記開閉部材に亘って延びるロック状態と前記開閉部材から退避した解除状態とを切り替え可能に構成される連結具。
【請求項2】
前記ロック部材は、外力を受けない状態において前記ロック状態となり、前記ロック状態から軸線方向で縮んだ状態で前記解除状態となるように構成され、
前記本体部は、前記ロック部材を前記解除状態で保持する保持部を備える請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記ロック状態のときに前記開閉部材の略全域を覆うよう構成される 請求項1又は2に記載の連結具。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記環状部に対して着脱可能である請求項1又は2に記載の連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部材を連結する連結具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、連結具として、特許文献1に記載の連結環が知られている。連結環は、C字状に形成された棒状のC字リングと、C字リングの両端部に亘って延び、外周面に雄ねじが設けられる棒状の開閉杆と、開閉杆に設けられ、雄ねじと螺合可能なねじ筒と、を備える。開閉杆の一端部は、C字リングの他端部に回動可能に連結され、C字状リングの両端部の間を閉じる閉じ状態と、閉じ状態から回動して、他端部がC字リングの内側に移動した開き状態とを切り替え可能である。また、ねじ筒は、閉じ状態において、雄ねじに螺合して、C字リングの他端部に螺入できるように構成されている。
【0003】
以上のような構成の連結環によれば、閉じ状態で雄ねじに対してねじ筒を螺合させることでねじ筒がC字リングの他端部に螺入し、開閉杆とC字リングの他端部に跨った状態となるので、開閉杆を閉じ状態に維持することができ、不意に開き状態に移行することを抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-229510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記連結環では、開閉杆にねじ筒が設けられるので、開き状態の連結環に連結物を連結する場合に、ねじ筒が連結物に干渉して連結しづらくなる場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、開閉部材が不意に開くことを抑制でき、かつ、連結物を連結しやすい連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の連結具は、環状の環状部と、該環状部の外面を覆うように設けられる筒状のロック部材と、を備え、前記環状部は、環状で、周方向の一部に開口が形成された本体部と、回動可能なように前記本体部に連結され、前記回動によって前記開口を閉じる閉じ状態及び前記開口を開いた開き状態を切り替え可能な開閉部材と、を備え、前記ロック部材は、軸線方向に伸縮可能に構成されるとともに、軸線方向の一端部が前記本体部に固定され、軸線方向における伸縮によって、前記本体部と前記開閉部材に亘って延びるロック状態と前記開閉部材から退避した解除状態とを切り替え可能に構成される。
【0008】
かかる構成によれば、ロック部材は、ロック状態で本体部と開閉部材に亘って延びるので、開閉部材が開き状態になることを抑制でき、かつ、解除状態で開閉部材から退避した状態となるので、ロック部材が連結物に干渉することを抑制できる。よって、開閉部材が不意に開くことを抑制し、かつ、連結物が連結しやすくなる。
【0009】
また、前記ロック部材は、外力を受けない状態において前記ロック状態となり、前記ロック状態から軸線方向で縮んだ状態で前記解除状態となるように構成され、前記本体部は、前記ロック部材を前記解除状態で保持する保持部を備えるよう構成することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、ロック部材は外力を受けない状態でロック状態となるので、開閉部材が不意に開くことを確実に抑制でき、かつ、保持部は、ロック部材を解除状態で保持するので、連結物を連結する際に、ロック部材が復元して連結物と干渉することを抑制できる。よって、開閉部材が不意に開くことを抑制し、かつ、連結物が連結しやすくなる。
【0011】
また、前記ロック部材は、前記ロック状態のときに前記開閉部材の略全域を覆うよう構成することもできる。
【0012】
かかる構成によれば、ロック部材は、ロック状態のときに開閉部材の略全域を覆うので、開閉部材が不意に開くことを確実に抑制できる。
【0013】
また、前記ロック部材は、前記環状部に対して着脱可能であるよう構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、必要に応じてロック部材を着脱することができるので、開閉部材のロックが必要な場合にはロック部材を装着し、不要な場合には取り外すことができる。よって、開閉部材が不意に開くことを抑制し、かつ、連結物が連結しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、開閉部材が不意に開くことを抑制でき、かつ、連結物を連結しやすい連結具を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかる連結具を示す図である。
図2】同連結具のロック部材が解除状態となった状態を示す図である。
図3】同連結具のロック部材が開き状態となった状態を示す図である。
図4】同連結具によって連結物が連結された状態を示す図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る連結具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る連結具1について図1乃至図4を参照して説明する。なお、説明の便宜上、周方向とは、環状部2における周方向を基準として説明する。
【0018】
はじめに、連結具1によって連結される連結物6及び被連結物7について図1を参照して説明する。連結物6は、閉じた環状であり、例えば、工具61に設けられた環状の連結リングである。また、被連結物7は、連結具1に連結される連結金具71と、連結金具71に連結された被連結物本体72と、を備える。本実施形態の被連結物本体72は、墜落制止用器具に設けられるベルトであり、連結金具71は、被連結物本体72(ベルト)の先端部に設けられる金具である。また、本実施形態の被連結物7は連結具1に着脱不能に固定される。
【0019】
図1に示すように、連結具1は、環状の環状部2と、環状部2の外面を覆うように設けられる筒状のロック部材3と、を備える。このような連結具1は、連結物6と被連結物7を連結するために用いられる。
【0020】
環状部2は、環状で、周方向の一部に開口4aが形成された本体部4と、本体部4に連結された開閉部材5と、を備える。開閉部材5は、開口4aを開閉可能であり、環状部2は、開閉部材5が開口4aを閉じた状態において、本体部4及び開閉部材5によって閉じた環が形成されるように構成されている。また、環状部2は、本体部4及び開閉部材5の延伸方向を軸として延びる外面を有する。即ち、本体部4及び開閉部材5の外面が環状部2の外面を構成している。本実施形態の環状部2は、平面視(図1に示す状態)で略長方形状の環状である。さらに、本実施形態の環状部2には、被連結物7を着脱不能に連結される。
【0021】
本体部4は、鉤型のフック部41と、フック部41と連結される連結部42と、を備える。本実施形態の本体部4は、フック部41の周方向一端部と連結部42の周方向他端部とが連結されており、かつ、フック部41の周方向他端部と連結部42の周方向一端部の間に開口4aが形成されている。また、本体部4は、ロック部材3の一端部を固定する固定部43を有する。
【0022】
フック部41は、フック部41の周方向一端部を構成し、連結部42に連結されるフック基端部44と、フック部41の周方向他端部を構成するフック先端部45と、フック基端部44及びフック先端部45を連結するフック中間部46と、を備える。本実施形態で、フック先端部45、フック中間部46、及びフック基端部44は、いずれも棒状体であり、外径が略一定である。
【0023】
フック基端部44は、周方向の一端部が連結部42に連結され、他端側が連結部42から離れるように延びる部位である。本実施形態のフック基端部44は、連結部42に溶接によって固定された金属製の棒状体である。
【0024】
フック先端部45は、周方向の一端部がフック中間部46に連結され、他端側がフック中間部46から離れ、かつ、連結部42に近づく方向に延びる部位である。また、フック先端部45には、開閉部材5の周方向一端部(移動端部52)が当接する当接部451と、ロック部材3を後述する解除状態で保持可能な保持部452と、を備える(図2参照)。
【0025】
図2に示すように、当接部451は、環状部2の径方向において、径内方に設けられる、径外方に窪む部位であり、開口4aを閉じた開閉部材5の周方向一端部(移動端部52)が嵌合可能な部位である。本実施形態で当接部451は、フック先端部45の周方向他端部(フック部41の周方向他端部)に設けられる。
【0026】
保持部452は、フック先端部45の中途部分に設けられた、ロック部材3が係止可能な部位であり、具体的には、ロック部材3に対して係脱可能な部位である。具体的に、保持部452は、フック先端部45の中途部分に形成され、ロック部材3の一部を内部に収容可能な凹部453と、凹部453から外方に突出し、凹部453に収容された前記ロック部材3の一部に係止可能な係止部454と、を備える。本実施形態で、凹部453は、環状部2の径内方に向かって窪むように形成され、係止部454は、環状部2の径外方且つ周方向一端側に向かって突出するように設けられている。また、係止部454は、当接部451よりも周方向一端側に設けられている。
【0027】
図1に示すように、フック中間部46は、周方向における一端部がフック基端部44の他端部に連結され、他端部がフック先端部45の一端部に連結される部位である。本実施形態のフック中間部46は、平面視(図1に示す状態)で円弧状に延びる棒状体であり、具体的には、周方向におけるフック基端部44の他端部とフック先端部45の一端部にわたって延びる、環状部2の径方向において外方に凸となるような円弧状の部位である。
【0028】
連結部42は、本体部4の周方向一端部を構成する部位である。また、連結部42は、周方向他端部がフック部41の周方向一端部と連結されており、周方向一端部に、開閉部材5が連結される開閉連結部47を備える。また、連結部42は、環状部2の径方向における長さがフック部41及び開閉部材5の環状部2の径方向における長さよりも長く構成されている。本実施形態の連結部42は、周方向の中途部分に、径外方に延びるピン421を有し、該ピン421によって被連結物7が連結されている。また、本実施形態の連結部42は、周方向一端部が固定部43として構成されている。
【0029】
開閉連結部47は、連結部42の周方向一端部に設けられた、開閉部材5を連結可能な部位である。具体的に、開閉連結部47は、開閉部材5の一部を挿通可能な連結穴部48と、開閉部材5を覆うロック部材3の周方向他端部を受ける受け部49と、連結穴部48に挿通された開閉部材5を、開口4aを閉じる方向に付勢する付勢手段(図示しない)と、を備える。本実施形態の受け部49は、ロック部材3の周方向他端部が当接可能な壁となる部分であり、具体的には、連結部42の周方向一端部が受け部49として構成されている。
【0030】
固定部43は、ロック部材3の周方向一端部を固定可能な部位である。本実施形態の固定部43は、ロック部材3の周方向一端部を固定する壁となる部分であり、具体的には、連結部42の周方向他端部が固定部43として構成されている。このような固定部43は、ロック部材3が固定部43から周方向一端側に移動することを規制する。
【0031】
開閉部材5は、開閉連結部47に連結され、開口4aを開閉可能に設けられる部位である。具体的に、開閉部材5は、環状部2の周方向に沿って延びる部材であり、周方向他端部が開閉連結部47に連結された固定端部51として構成され、周方向一端部が開口4aを開閉する方向に移動可能な移動端部52として構成された棒状の部材である。
【0032】
開閉部材5は、固定端部51を軸心として回動可能なように開閉連結部47に連結されており、具体的には、固定端部51が連結穴部48に対して連結穴部48の延伸方向周りで回動可能となるように挿し込まれている。また、開閉部材5は、固定端部51を軸心として回動し、移動端部52が、当接部451に当接した状態から環状部2の内方に、及び、環状部2の内方から当接部451に当接する方向に、移動可能である。本実施形態の開閉部材5は、付勢手段(図示しない)によって、移動端部52が環状部2の内方にから当接部451に当接する方向に移動するように付勢する。このような開閉部材5は、移動端部52が当接部451に当接した状態で、開口4aを閉じる閉じ状態となり、回動によって移動端部52が当接部451から離れる(環状部2の内方に移動する)ことで開口4aを開いた開き状態となる。即ち、開閉部材5は、固定端部51を軸心とした回動によって、閉じ状態と開き状態を切り替え可能であり、且つ、閉じ状態となるように付勢手段によって付勢されている。
【0033】
図1及び図2に示すように、ロック部材3は、開閉部材5及び本体部4の外面を覆うように設けられる筒状の部材であり、弾性によってロック部材3の軸線方向(環状部2の周方向)において伸縮可能、かつ、ロック部材3の軸線を曲げるように変形可能な部材である。具体的に、ロック部材3は、らせん状に巻かれた索状体によって構成された筒状のロック本体部31と、ロック本体部31の軸線方向他端部に設けられた閉じた環状である被係止部32と、を備える(図2参照)。本実施形態のロック本体部31は、例えばコイルバネである。また、本実施形態のロック部材3は、自然状態における軸線方向長さ(自然長)が、少なくとも、環状部2の固定部43から開閉部材5の移動端部52までの距離よりも長く、本実施形態では環状部2の固定部43から本体部4及び開閉部材5を経由する受け部49までの距離よりも長い。また、ロック部材3は、内径がフック部41及び開閉部材5の外径よりも大きい筒状体である。このようなロック部材3は、本体部4と開閉部材5に亘って延びるように環状部2に設けられる。
【0034】
本実施形態のロック部材3は、環状部2に対して着脱可能に構成されており、ロック部材3の弾性によって、軸線方向一端部が固定部43に圧接することで、固定部43に対して固定される。具体的に、ロック部材3の軸線方向長さが固定部43から受け部49までの距離よりも長いので、環状部2に設けられたロック部材3は軸線方向において自然状態から圧縮された状態となり、復元力によって固定部43及び受け部49に対して端部が圧接して固定される。また、ロック部材3は、ロック部材3の軸線方向一端部が固定部43に固定され、軸線方向他端部が環状部2の周方向に沿って移動可能である。
【0035】
ロック部材3は、環状部2に設けられ、外力を受けていない状態において、本体部4と開閉部材5に亘って延び、少なくとも本体部4の周方向他端部と開閉部材5の周方向一端部の外面を覆うロック状態となる。本実施形態のロック部材3は、本実施形態のロック部材3は、周方向における本体部4の全域及び開閉部材5の全域を覆うように環状部2に設けられる。また、ロック部材3は、軸線方向一端部が固定部43に対して圧接し、他端部が受け部49に対して圧接した状態となる。即ち、ロック部材3の軸線方向一端部は、復元力によって固定部43に圧接することで、固定部43に固定された状態となる。
【0036】
このようなロック部材3は、環状部2に設けられた状態で軸線方向に伸縮することで、本体部4と開閉部材5に亘って延びるロック状態(図1に示す状態)と開閉部材5から退避した解除状態(図2に示す状態)とを切り替え可能である。本実施形態のロック部材3は、ロック状態から軸線方向に縮む方向に外力を受けることで圧縮され、開閉部材5から退避した解除状態に切り替わることができ、かつ、復元力によって軸線方向に伸びて解除状態からロック状態に切り替わることができる。具体的には、環状部2に設けられたロック部材3の周方向他端部(受け部49側の端部)を周方向一端側(固定部43側)に移動させるように外力を与えることで、ロック部材3が軸線方向で圧縮され、周方向他端部が周方向一端側に移動して開閉部材5から退避する。開閉部材5から退避したロック部材3は、本体部4(具体的にはフック部41)を覆い、開閉部材5は覆わない状態、即ち、本体部4のみを覆う状態となる。
【0037】
図2に示すように、ロック部材3は、解除状態で保持部452に対して係止し、解除状態で保持される。本実施形態のロック部材3は、解除状態において、周方向他端部が保持部452に保持されることで、ロック部材3が弾性力によって復元することが規制され、解除状態で保持される。また、本実施形態のロック部材3は、被係止部32が保持部452に対して係止する。具体的には、保持部452の凹部453に周方向他端部が収容され、係止部454によって凹部453に収容された状態を維持されることで、ロック部材3の解除状態が維持される。また、ロック部材3は、保持部452との係止が解除されることで復元力によってロック状態に切り替わる。このように、ロック部材3の軸線方向他端部に被係止部32が設けられ、被係止部32が保持部452に係止可能であるので、係止部454に係止したロック部材3が、後述する連結工程などで不意に保持部452から脱落し、解除状態からロック状態に移行することを抑制できる。
【0038】
このような連結具1の使用方法について説明する。連結具1を使用する場合には、準備段階として環状部2にロック部材3を取り付ける。具体的には、開閉部材5を開き状態とし、本体部4及び開閉部材5をロック部材3の内部に挿入し、ロック部材3が開閉部材5及び本体部4に亘って延びるように設ける。
【0039】
連結具1に連結物6を連結する際には、(1)解除工程、(2)開き工程、(3)連結工程、(4)閉じ工程、(5)ロック工程を工程順に実行する。
【0040】
(1)解除工程は、図2に示すように、ロック部材3を解除状態に切り替える工程であり、具体的には、外力によってロック部材3を軸線方向で縮め、開閉部材5から退避させる工程である。本実施形態の解除工程では、環状部2に設けられたロック部材3の周方向他端部を一端側に移動させて、ロック部材3を軸線方向で縮めつつ開閉部材5から退避させる。また、解除工程では、解除状態に切り替えられたロック部材3(具体的にはロック部材3の周方向他端部)を保持部452に対して係止させて、解除状態で保持される状態とする。本工程によってロック部材3は解除状態になる。
【0041】
(2)開き工程は、図3に示すように、開閉部材5を回動させて、閉じ状態から開き状態に切り替える工程である。具体的には、外力によって付勢手段の付勢に抗って開閉部材5を環状部2の径内方に押すように外力を加え、閉じ状態から開き状態に切り替える工程であり、例えば、連結物6で開閉部材5を環状部2の径内方に押す。本工程によって、開閉部材5は開き状態となり、開口4aが開かれた状態となる。なお、本実施形態で開閉部材5は付勢手段によって閉じ状態になるように付勢されているので、開き工程において開口4aを開いた後も開閉部材5を環状部2の径内方に押すように外力を加える必要がある。
【0042】
(3)連結工程は、本体部4に連結物6を連結する工程であり、具体的には、開かれた状態の開口4aから連結物6を環状部2の内部に入れ、フック部41に掛ける工程である。本工程によって、連結物6は本体部4(フック部41)に連結された状態となる。ここで、フック部41に連結物6をかける際に、保持部452に係止したロック部材3と連結物6が干渉する場合には、ロック部材3を保持部452に係止した状態からさらに縮めることで、環状部2に設けられたロック部材3の周方向他端部をさらに一端側に移動させ、ロック部材3と連結物6の干渉を抑制することができる。
【0043】
(4)閉じ工程は、開閉部材5を回動させて開き状態から閉じ状態に切り替える工程である。本実施形態では、付勢手段による付勢で開閉部材5が回動して、開き状態から閉じ状態に切り替わる。開閉部材5が閉じ状態に切り替わることで、本体部4と連結物6の連結が解除されることを規制できる。
【0044】
(5)ロック工程は、ロック部材3を解除状態からロック状態に切り替える工程であり、具体的には、ロック部材3を復元させてロック部材3が本体部4と開閉部材5にわたって延びる状態に切り替える工程である。本実施形態のロック工程では、ロック部材3(具体的には被係止部32)の保持部452に対する係止を解除して、ロック部材3を復元させる工程である。本工程により、ロック部材3はロック状態となり、開閉部材5と本体部4に亘って延びる状態となるので、開閉部材5が開き状態に切り替わることをロック部材3が規制する状態となる。よって、開閉部材5が不意に開くことを抑制できる。
【0045】
また、開閉部材5が開き状態に切り替わることをロック部材3で規制する必要がない場合には、環状部2からロック部材3を取外すこともできる。環状部2からロック部材3を取外す場合には、解除工程及び開き工程を実行し、開口4aからロック部材3を取外すことができる。
【0046】
以上のような構成の連結具1によれば、ロック部材3は、ロック状態で本体部4と開閉部材5に亘って延びるので、開閉部材5が開き状態になることを抑制でき、かつ、解除状態で開閉部材5から退避した状態となるので、ロック部材3が連結物6に干渉することを抑制できる。よって、開閉部材5が不意に開くことを抑制し、かつ、連結物6が連結しやすくなる。
【0047】
また、ロック部材3は外力を受けない状態でロック状態となるので、開閉部材5が不意に開くことを確実に抑制でき、かつ、保持部452は、ロック部材3を解除状態で保持するので、連結物6を連結する際に、ロック部材3が復元して連結物6と干渉することを抑制できる。よって、開閉部材5が不意に開くことを抑制し、かつ、連結物6が連結しやすくなる。
【0048】
さらに、ロック部材3は、ロック状態のときに開閉部材5の略全域を覆うので、開閉部材5が不意に開くことを確実に抑制できる。
【0049】
また、必要に応じてロック部材3を着脱することができるので、開閉部材5のロックが必要な場合にはロック部材3を装着し、不要な場合には取り外すことができる。よって、開閉部材5が不意に開くことを抑制し、かつ、連結物6が連結しやすくなる。
【0050】
さらに、開閉部材5は、環状部2の内方に移動して開状態となる。よって、使用中に連結物6が環状部2の外方に引っ張られた場合に、該引っ張られた力で開閉部材5が開き状態になることを抑制できる。
【0051】
また、本体部4は、鉤型で、一端部に開閉部材5の他端部が係合するフック部41と、一端部にフック部41と連結され、他端部に開閉部材5が連結される連結部42と、を備え、ロック部材3は、軸線方向一端側の端部が連結部42に固定される。よって、ロック部材3の一端側の端部が連結部42に連結されるので、解除状態として、連結物6をフック部41に連結する際に、ロック部材3を縮めて、ロック部材3の他端部を開口4aから遠い位置に移動させることができるため、ロック部材3が連結物6と干渉することを抑制できる。
【0052】
さらに、保持部452は、本体部4に形成された窪みであり、ロック部材3の軸線方向他端部に係止して、ロック部材3の他端部の他端側への移動を規制するように構成される。よって、ロック部材3を保持部452に係止することで、解除状態を維持できるので、簡便にロック状態を解除状態に切替え、保持できる。
【0053】
また、保持部452は、本体部4の周方向他端部に設けられる。よって、本体部4の周方向他端部に保持部452が設けられるので、ロック状態と解除状態を切り替える際のロック部材3の移動距離を短くすることができるので、ロック部材3の状態を簡便に切り替えることができる。
【0054】
さらに、ロック部材3は、軸線を曲げるように変形させることができる。よって、環状部2の形状に沿ってロック部材3が延びることができるので、環状部2を覆う状態で弾性変形させ、軸線方向長さを変えやすい。
【0055】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0056】
例えば、ロック部材3は、コイルバネで構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、筒状で軸線方向に圧縮可能な種々の構成を採用できる。
【0057】
また、ロック部材3は、外力を受けない状態においてロック状態となる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、外力を受けない状態において解除状態となるように構成することもできる。このような構成を採用する場合には、環状部2に、ロック部材3をロック状態で保持するための構成(例えば、開閉部材5に設けられた、ロック部材3の他端部と係止可能な係止部454)を設けることもできる。
【0058】
さらに、開閉部材5は、環状部2の内方に移動する場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、環状部2の外方に移動するように構成することもできる。
【0059】
また、ロック部材3の一端部は、固定部43に対して弾性で圧接して固定される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、溶接や接着などの手段によって固定部43に対して固定されるように構成することもできる。
【0060】
さらに、ロック部材3は、連結部42に固定される場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、フック部41の周方向中途部分に固定されるように構成することもできる。
【0061】
また、開閉部材5は、閉じ状態となるように付勢された状態で本体部4に連結される場合について説明したが、このような構成に限らず、付勢されない構成とすることもできる。
【0062】
さらに、保持部452は、フック部41の周方向他端部に設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、フック部41の周方向中途部分(具体的には、フック基端部44又はフック中間部46)に設けることもできる。このように構成する場合には、解除状態において、ロック部材3を開閉部材5から離れた位置で保持できるので、ロック部材3と連結物6が干渉することを抑制できる。
【0063】
また、連結具1としていわゆるナスカンを例に説明したが、このような構成に限らず、例えば、図5に示すように、連結部42に他の部材(例えば墜落制止用器具)が固定されていない、いわゆるカラビナとして構成することもできる。
【0064】
さらに、固定部43は、連結部42の周方向一端部であり、受け部49は、連結部42の周方向他端部である場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、図5に示すように、固定部43を、フック基端部44に設けられた鍔状の部位として構成することもでき、受け部49を、開閉部材5の移動端部52よりも周方向他端側に設けられた鍔状の部位として構成することもできる。このような構成であっても、固定部43及び受け部49にロック部材3が圧接することができ、固定部43にロック部材3が固定される。また、受け部49が本体部4に設けられる場合に限らず、開閉部材5に設けられるように構成することもできる。
【符号の説明】
【0065】
1…連結具、2…環状部、3…ロック部材、31…ロック本体部、32…被係止部、4…本体部、4a…開口、41…フック部、42…連結部、421…ピン、43…固定部、44…フック基端部、45…フック先端部、451…当接部、452…保持部、453…凹部、454…係止部、46…フック中間部、47…開閉連結部、48…連結穴部、49…受け部、5…開閉部材、51…固定端部、52…移動端部、6…連結物、61…工具、7…被連結物、71…連結金具、72…被連結物本体
図1
図2
図3
図4
図5