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  • 特開-吸水ショーツ及びその製造方法 図1
  • 特開-吸水ショーツ及びその製造方法 図2
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  • 特開-吸水ショーツ及びその製造方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170441
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】吸水ショーツ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/04 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A41B9/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082208
(22)【出願日】2022-05-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年3月10日に名和株式会社は、https://www.makuake.com/project/nawaのウェブサイトにおいて、名和史紘が発明した「吸水ショーツ及びその製造方法」のクラウドファンディングを開始し、その後、令和4年4月12日に、https://www.makuake.com/project/nawa/communicationのウェブサイトにおいて詳細を公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】500084120
【氏名又は名称】名和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名和 史紘
【テーマコード(参考)】
3B128
3B200
【Fターム(参考)】
3B128EA01
3B128EB18
3B128EB31
3B128EC04
3B128KA01
3B200AA01
3B200AA15
3B200AA17
3B200BA05
3B200CA03
3B200CA08
3B200CA09
3B200DA06
3B200DA11
3B200DA15
3B200EA25
(57)【要約】
【課題】横漏れしにくい吸水ショーツを得る。
【解決手段】吸水ショーツ1は、前身頃2と、後身頃3と、前身頃2及び後身頃3の間に位置する股部4とを有するショーツ本体5を含むと共に、少なくとも股部4に設けられ、吸水生地を含む吸水部9と、少なくとも吸水部9を表地10側から覆う防水生地11とを含む。防水生地11は、股部4の足ぐり周縁6で折り返され、折り返された端部11aと吸水部9とは縫い合わされ、吸水部9と表地10とは縫い合わされていない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃の間に位置する股部とを有するショーツ本体を備えた吸水ショーツであって、
少なくとも前記股部に設けられ、吸水生地を含む吸水部と、
少なくとも前記吸水部を表地側から覆う防水生地とを含み、
前記防水生地が、前記股部の足ぐり周縁で折り返され、折り返された端部と前記吸水部とが縫い合わされ、前記吸水部と表地とが縫い合わされていない
ことを特徴とする吸水ショーツ。
【請求項2】
前記防水生地における、前記股部の足ぐり周縁の折り返し部分が、前記表地と共に縫い合わされている
ことを特徴とする請求項1に記載の吸水ショーツ。
【請求項3】
前記吸水部が、
肌に触れるクロッチ布と、
前記クロッチ布の表地側に縫い合わされ又は張り合わされた吸水不織布と、
前記吸水不織布と前記防水生地との間に配置される吸水パイルとを含み、
前記クロッチ布及び前記吸水パイルが、前記防水生地の折り返された端部と縫い合わされており、前記吸水不織布と前記吸水パイルとは縫い合わされていない
ことを特徴とする請求項1に記載の吸水ショーツ。
【請求項4】
前記前身頃及び前記後身頃の接合部において、
前記防水生地が折り返され、折り返された端部と前記吸水部とが縫い合わされ、前記吸水部と前記表地とが縫い合わされていない
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の吸水ショーツ。
【請求項5】
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃の間に位置する股部とを有するショーツ本体を構成する表地と、
少なくとも前記股部に設けられる吸水部を構成する吸水生地と、
少なくとも前記吸水生地を表地側から覆う防水生地とを所定形状に裁断する裁断工程と、
前記吸水生地と前記防水生地とを縫合する吸水生地縫製工程と、
折り返した前記防水生地と前記表地とを縫合する防水生地縫製工程とを含み、
前記吸水生地と前記表地とは直接縫い合わさない
ことを特徴とする吸水ショーツの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吸収し保持可能な吸水ショーツ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生理用ナプキンを取り付けることができるようにした吸水ショーツは一般的に流通している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献2のように、吸収保持体をショーツ本体の中間部位に縫製する使い捨て生理用ショーツも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3224661号公報
【特許文献2】実用新案登録第3201791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、環境への意識が高まっており、洗って繰り返し使える吸水ショーツのニーズがある。
【0006】
一方で、吸水保持体をショーツ本体に縫い付ける場合には、強度を確保しながら、股部の足ぐり周縁などで横漏れを防ぐ必要がある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、横漏れしにくい吸水ショーツを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明では、吸水部をショーツ本体の表地に直接縫わないようにした。
【0009】
具体的には、第1の発明では、
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃の間に位置する股部とを有するショーツ本体を備えた吸水ショーツを対象とし、
少なくとも前記股部に設けられ、吸水生地を含む吸水部と、
少なくとも前記吸水部を表地側から覆う防水生地とを含み、
前記防水生地は、前記股部の足ぐり周縁で折り返され、折り返された端部と前記吸水部とは縫い合わされ、前記吸水部と表地とは縫い合わされていない。
【0010】
すなわち、吸水部とショーツ本体の表地とを縫い合わせると、その縫い合わせ部分の針目から液体が漏れてしまう。しかしながら、上記の構成によると、吸水部は、防水生地とのみ縫合され、表地に縫合されないので、針目から液体が漏れ出すことはない。また、防水生地が足ぐり周縁で折り返された上で吸水部と縫い合わされているので、吸水部に蓄えられた液体が防水生地の壁でせき止められて横漏れしにくい。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、
前記防水生地における、前記股部の足ぐり周縁の折り返し部分は、前記表地と共に縫い合わされている。
【0012】
上記の構成によると、防水生地の折り返し部分のみが足ぐり周縁で表地と縫い合わされるので、針目から吸水部に蓄えられた液体が流れ出すこともなく、また、防水生地が足ぐり周縁でしっかりと保持されるので、軽い運動をしても横漏れ防止効果が弱まることはない。
【0013】
第3の発明では、第1の発明において、
前記吸水部が、
肌に触れるクロッチ布と、
前記クロッチ布の表地側に縫い合わされ又は張り合わされた吸水不織布と、
前記吸水不織布と前記防水生地との間に配置される吸水パイルとを含み、
前記クロッチ布及び前記吸水パイルが、前記防水生地の折り返された端部と縫い合わされており、前記吸水不織布と前記吸水パイルとは縫い合わされていない。
【0014】
上記の構成によると、クロッチ布で肌触りを良くしながら、吸水不織布と吸水パイルとでしっかりと液体を吸収及び保持でき、また、クロッチ布及び吸水パイルが防水生地に縫い合わされるので、横漏れ防止効果が高まる。さらに、吸水不織布と吸水パイルとが縫い合わされていないので、吸水不織布で保持されている液体が吸水パイルから防水生地側へ伝わりにくい。
【0015】
第4の発明では、第1から第3のいずれか1つの発明において、
前記前身頃及び前記後身頃の接合部において、
前記防水生地は折り返され、折り返された端部と前記吸水部とは縫い合わされ、前記吸水部と前記表地とは縫い合わされていない。
【0016】
上記の構成によると、レースの表地のように足ぐり周縁で縫合しにくい場合でも、前身頃及び後身頃との接合部によって、吸水部及び防水生地が確実に保持される。この場合も、吸水部は、表地と縫い合わされないので、針目から液体が漏れず、前漏れや後漏れが抑制される。
【0017】
第5の発明の吸水ショーツの製造方法は、
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃の間に位置する股部とを有するショーツ本体を構成する表地と、
少なくとも前記股部に設けられる給水部を構成する吸水生地と、
少なくとも前記吸水生地を表地側から覆う防水生地とを所定形状に裁断する裁断工程と、
前記吸水生地と前記防水生地とを縫合する吸水生地縫製工程と、
折り返した前記防水生地と前記表地とを縫合する防水生地縫製工程とを含み、
前記吸水生地と前記表地とは直接縫い合わさない。
【0018】
上記の構成によると、吸水生地は、防水生地とのみ縫合され、表地に縫合されないので、針目から吸水生地に蓄えられた液体が漏れ出すことはない。また、防水生地が折り返された上で吸水生地と縫い合わされているので、吸水生地に蓄えられた液体が防水生地の壁でせき止められて横漏れしにくい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、防水生地を股部の足ぐり周縁で折り返し、折り返された端部と吸水部とを縫い合わせ、吸水部と表地とは縫い合わさないようにしたことにより、横漏れしにくい吸水ショーツを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る吸水ショーツを折り返した様子を示し、(a)が正面図で、(b)が背面図である。
図2】本発明の実施形態に係る吸水ショーツの足ぐり周縁を拡大して示すII-II線拡大図である。
図3】本発明の実施形態の変形例に係る図2相当拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係る吸水ショーツの製造方法に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の実施形態の吸水ショーツ1を示し、この吸水ショーツ1は、前身頃2と、後身頃3と、前身頃2及び後身頃3の間に位置する股部4とを有するショーツ本体5を備えている。
【0023】
図2に拡大して示すように、股部4には、吸水生地を含む吸水部9が設けられている。この吸水部9は、表地10側から防水生地11で覆われている。
【0024】
吸水部9は、肌に触れるクロッチ布14を含む。このクロッチ布14は、例えば、東洋染工株式会社のアクアホール(登録商標)などの吸水された液体が肌面に戻りにくい、ハニカム構造等を有するポリエステル素材などが適している。
【0025】
クロッチ布14には、股部の左右中心位置に前後に延びるように吸収生地としての吸水不織布13が直線縫合20等により縫い合わされている。吸水不織布13は、接着などによりクロッチ布14に張り合わされていてもよい。この吸水不織布13は、例えば、帝人フロンティア株式会社のベルオアシス(登録商標)のような、消臭性能を持つ高吸水かつ高吸湿な吸収保持体であると有利である。
【0026】
また、吸水部9は、吸収材料としての吸水パイル12を含み、この吸水パイル12は、クロッチ布14とほぼ同一の形状で、例えば、裏面コーティングされた制菌加工パイルであると有利である。
【0027】
そして、本実施形態の特徴として、この防水生地11は、股部4の足ぐり周縁6で折り返され、折り返された端部11bと、帯状に切断された帯状部11cとが縫い合わされ、帯状部11cの折り返し端部11aと吸水部9とが縫い合わされる。ここで、吸水部9は、表地10及び大きな防水生地11と直接には縫い合わされていない。
【0028】
防水生地11における、股部4の足ぐり周縁6の折り返し部分11bは、表地10と共に縫い合わされている。このとき、ナイロン、ポリエステル等により構成された足ぐりテープ15と共に縫い合わせると、足ぐり周縁6が補強され、股との間に隙間ができにくくて有利である。縫合の種類は特に限定されないが、本実施形態では、第1千鳥ミシン縫い目16と第2千鳥ミシン縫い目17とで構成されている。本実施形態では、防水生地11は、折り返された部分で防水生地11が分割されて、分割された防水生地11(帯状部11c)を重ね合わせた状態で、足ぐりテープ15と共に縫い合わされている。例えば、第1千鳥ミシン縫い目16は、表地10から針目が見えないが、第2千鳥ミシン縫い目17は、針目が見えているようにしてもよい。
【0029】
例えば、クロッチ布14及び吸水パイル12は、予め直線縫合18などにより互いに縫合された上で、防水生地11の折り返された端部11aと縫い合わされている。縫合の種類は特に限定されないが、例えば、オーバーロック処理19が適している。本実施形態では、このオーバーロック処理19と、吸水不織布13とは距離が空けられていて、吸水不織布13と吸水パイル12とは直接縫い合わされていない。
【0030】
詳しくは図示しないが、前身頃2及び後身頃3との防水生地縫合部7,8(図1にのみ示す)においても、防水生地11は折り返され、折り返された端部11aと吸水部9とは縫い合わされ、吸水部9と表地10とは縫い合わされていない。この部分では、図2のような第1千鳥ミシン縫い目16及び第2千鳥ミシン縫い目17ではなく、例えば、2本の直線縫いで縫合を行ってもよい。ここでは、足ぐりテープ15は縫い合わさなくてもよい。図2のように防水生地11を分割してその帯状部11cと吸水部9とを縫合するようにしてもよい。
【0031】
以上説明したように、吸水部9とショーツ本体5の表地10とを縫い合わせると、その縫い合わせ部分の針目から液体が漏れてしまう。しかしながら、本実施形態では、吸水部9は、防水生地11とのみ縫合され、表地10に縫合されないので、針目から液体が漏れ出すことはない。また、防水生地11が足ぐり周縁6で折り返された上で吸水部9と縫い合わされているので、吸水部9に蓄えられた液体が防水生地11の壁でせき止められて横漏れしにくい。
【0032】
本実施形態では、防水生地11の折り返し部分11bのみが足ぐり周縁6で表地10と縫い合わされるので、針目から吸水部9に蓄えられた液体が流れ出すこともなく、また、防水生地11が足ぐり周縁6でしっかりと保持されるので、軽い運動をしても横漏れ防止効果が弱まることはない。
【0033】
-変形例-
図3は、本発明の実施形態の変形例を示し、足ぐり周縁6で表地10と防水生地11とが縫合されていない点で上記実施形態と異なる。なお、本変形例では、図1及び図2と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0034】
図3は、例えば、表地がレース生地で、スポーツ用のショーツのような激しい動きを行わない、外観を重視したようなショーツの縫製を拡大して示す。
【0035】
本変形例では、表地10を省略しているが、股部4’の足ぐり周縁6においては、防水生地11の折り返し部分11bと表地10とが直接は縫合されておらず、表地で覆われているだけである。この場合でも、図3に示すように、防水生地11は、股部4’の足ぐり周縁6で折り返され、折り返された端部11aと吸水部9とは縫い合わされているが、吸水部9と表地10とは縫い合わされていない。
【0036】
本変形例では、上記実施形態のように防水生地11は、帯状の防水生地11と分割はされておらず、足ぐりテープ15で縫合されていない簡易な構成となっている。
【0037】
上記実施形態と同様に、吸水部9及び防水生地11は、前身頃2及び後身頃3との防水生地縫合部7,8において、防水生地11が折り返され、折り返された端部11aと吸水部9とが縫い合わされ、吸水部9と表地10とが縫い合わされていない。
【0038】
本実施形態では、レースの表地10のように足ぐり周縁6で縫合しにくい場合でも、前身頃2及び後身頃3との防水生地縫合部7,8によって、吸水部9及び防水生地11が確実に保持される。この場合も、吸水部9は、表地10と縫い合わされないので、針目から液体が漏れず、前漏れや後漏れが抑制される。
【0039】
したがって、本変形例においても、防水生地11を股部4’の足ぐり周縁6で折り返し、折り返された端部11aと吸水部9とを縫い合わせ、吸水部9と表地10とは縫い合わさないようにしたことにより、横漏れしにくい吸水ショーツ1を得ることができる。
【0040】
-吸水ショーツの製造方法-
次に、図4を用いて本実施形態に係る吸水ショーツ1の製造方法について説明する。図4は、図3の変形例の吸水ショーツ1の製造手順を示す。
【0041】
まず、ステップS01の企画及び仕様書の作製工程において、色、サイズ、使用材料等を企画し、仕様書を作製する。
【0042】
次いで、ステップS02のパターン作製工程において、各生地の型紙等を作製する。
【0043】
次に、ステップS03の裁断工程において、前身頃2と、後身頃3と、股部4とを構成する表地10を所定サイズに裁断する。また、防水生地11(帯状の細い帯状部11cを含む)、吸水パイル12、吸水不織布13、クロッチ布14、足ぐりテープ15、その他ショーツ本体15を構成する生地を適切なサイズに裁断しておく。
【0044】
次いで、ステップS04の縫製工程を開始する。
【0045】
まず、ステップS041の吸水不織布縫製工程で、吸水不織布13をクロッチ布14の所定位置に例えば直線縫合20によって縫い付けておく。
【0046】
次いで、ステップS042の吸水パイル縫製工程において、吸水不織布13を縫い付けたクロッチ布14に吸水パイル12を直線縫合18などにより縫合する。クロッチ布14と吸水パイル12とはほぼ同一形状である。
【0047】
次に、ステップS043の帯状部縫製工程で、ステップS042で作製した吸水不織布13及びクロッチ布14に防水生地11を帯状に切断した帯状部11cを縫い付ける。
【0048】
なお、図2に示すスポーツ用の吸水ショーツ1では、足ぐり周縁6に対応する吸水不織布13及びクロッチ布14にも帯状部11cを縫い付けるとよい。
【0049】
次いで、ステップS044の防水生地縫製工程において、少なくとも吸水部9の全体を覆う大きな防水生地11を吸水部9に縫い付ける。このとき、図3に拡大して示すように、防水生地11の足ぐり周縁6において、防水生地11を折り返し、その折り返した端部11aを吸水パイル12及びクロッチ布14と縫合し、オーバーロック処理19を行う。
【0050】
そして、ステップS045の表地縫製工程において、吸水部9が縫合された防水生地11を表地10に縫合する。前身頃2及び後身頃3との防水生地縫合部7,8では、帯状部11cと縫合が行われる。ここでは、表地10に防水生地11を重ね合わせ、それらの端部と、吸水部9が縫合された防水生地11の帯状部11cとを重ね合わせて直線縫合などで縫合を行う。
【0051】
そして、ステップS046の裏地縫製工程において、前身頃に裏地等を縫い付ける。
【0052】
次いで、ステップS047の足ぐりテープ縫製工程において、表地10の足ぐり周縁6に足ぐりテープ15を縫い付ける。
【0053】
なお、上記実施形態のスポーツ用の吸水ショーツ1の場合は、図2に示すように、表地10に防水生地11を重ね合わせ、足ぐり周縁6部分で折り返し、それらの端部と、吸水部9が縫合された帯状部11cとを重ね合わせて第1千鳥ミシン縫い目16及び第2千鳥ミシン縫い目17にて縫合を行う。
【0054】
次いで、ステップS048の表地縫製工程において、表地10同士を縫い合わせる。
【0055】
最後に図示しないウエストゴムを縫い付ける。
【0056】
次いで、ステップS05の仕上げ工程において、仕上げ作業を行って吸水ショーツ1が完成する。
【0057】
本実施形態では、クロッチ布14で肌触りを良くしながら、吸水不織布13と吸水パイル12とでしっかりと液体を吸収及び保持でき、また、クロッチ布14及び吸水パイル12が防水生地11に縫い合わされるので、横漏れ防止効果が高まる。
【0058】
さらに、吸水不織布13と吸水パイル12とが縫い合わされていないので、吸水不織布13で保持されている液体が吸水パイル12から防水生地11側へ伝わりにくい。
【0059】
したがって、本実施形態に係る吸水ショーツ1によると、防水生地11を股部4の足ぐり周縁6で折り返し、折り返された端部11aと吸水部9とを縫い合わせ、吸水部9と表地10とは縫い合わさないようにしたことにより、横漏れしにくい吸水ショーツ1を得ることができる。
【0060】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0061】
すなわち、上記実施形態では、吸水ショーツ1が生理用ショーツである例を示したが、女性用及び男性用の尿漏れ対策の用途で用いられてもよい。
【0062】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【符号の説明】
【0063】
1 吸水ショーツ
2 前身頃
3 後身頃
4,4’ 股部
5 ショーツ本体
6 周縁
7,8 防水生地縫合部(接合部)
9 吸水部
10 表地
11 防水生地
11a 端部
11b 折り返し部分
11c 帯状部
12 吸水パイル(吸水生地、吸水部)
13 吸水不織布(吸水生地、吸水部)
14 クロッチ布(吸水生地、吸水部)
15 テープ
16 第1千鳥ミシン縫い目
17 第2千鳥ミシン縫い目
18 直線縫合
19 オーバーロック処理
20 直線縫合
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃の間に位置する股部とを有するショーツ本体を備えた吸水ショーツであって、
少なくとも前記股部に設けられ、吸水生地を含む吸水部と、
少なくとも前記吸水部の全体を表地側から覆う防水生地とを含み、
前記少なくとも前記吸水部の全体を表地側から覆う部分と一体に連続する防水生地が、前記股部の足ぐり周縁で折り返され、折り返された端部と前記吸水部とが縫い合わされ、前記吸水部と表地とが縫い合わされていない
ことを特徴とする吸水ショーツ。
【請求項2】
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃の間に位置する股部とを有するショーツ本体を備えた吸水ショーツであって、
少なくとも前記股部に設けられ、吸水生地を含む吸水部と、
少なくとも前記吸水部を表地側から覆う防水生地とを含み、
前記防水生地が、前記股部の足ぐり周縁で折り返され、折り返された端部と前記吸水部とが縫い合わされ、前記吸水部と表地とが縫い合わされておらず、かつ、
前記防水生地の折り返されていない前記表地側の部分は、前記吸水部とは縫い合わされていない
ことを特徴とする吸水ショーツ。
【請求項3】
前記吸水部が、
肌に触れるクロッチ布と、
前記クロッチ布の表地側に縫い合わされ又は張り合わされた吸水不織布と、
前記吸水不織布と前記防水生地との間に配置される吸水パイルとを含み、
前記クロッチ布及び前記吸水パイルが、前記吸水不織布と離れた位置で前記防水生地の折り返された端部と縫い合わされており、前記吸水不織布と前記吸水パイルとは縫い合わされていない
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水ショーツ。
【請求項4】
前身頃と、後身頃と、前記前身頃及び前記後身頃の間に位置する股部とを有するショーツ本体を構成する表地と、
少なくとも前記股部に設けられる吸水部を構成する吸水生地と、
少なくとも前記吸水生地を表地側から覆う防水生地とを所定形状に裁断する裁断工程と、
前記吸水生地と前記防水生地の一端側の端部とを縫合する防水生地縫製工程と含み、
前記吸水生地と前記表地とは直接縫い合わさず、かつ、前記防水生地の折り返されていない前記表地側の部分は、前記吸水部とは縫い合わさない
ことを特徴とする吸水ショーツの製造方法。
【請求項5】
前記裁断工程は、前記少なくとも前記吸水生地の全体を表地側から覆う防水生地の部分を裁断する工程を含み、
前記防水生地縫製工程で前記吸水生地に縫合される前記防水生地の一端側の端部は、前記少なくとも前記吸水生地の全体を表地側から覆う防水生地と一体である
ことを特徴とする請求項4に記載の吸水ショーツの製造方法。
【請求項6】
前記裁断工程は、前記少なくとも前記吸水生地の全体を表地側から覆う防水生地の部分と、帯状の帯状部とを裁断する工程を含み、
前記防水生地縫製工程では、前記吸水生地と前記防水生地の帯状部の一端側の端部とを縫合する工程を含み、
前記防水生地縫製工程の後、表地縫製工程において、前記表地に前記前記少なくとも前記吸水生地の全体を表地側から覆う防水生地の部分を、重ね合わせ、足ぐり周縁部分で折り返し、それらの端部と、前記吸水部が縫合された前記帯状部の他端側とを重ね合わせて縫合を行う
ことを特徴とする請求項4に記載の吸水ショーツの製造方法。