(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170443
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】搬入支援装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20231124BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20231124BHJP
【FI】
G06Q10/04
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082210
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 陽子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 文理
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L049CC29
(57)【要約】
【課題】適切な搬入経路を決定するための情報をユーザに提示すること。
【解決手段】 実施形態に係る搬入支援装置は、選択部と、取得部と、決定部と、経路生成部と、表示制御部とを備える。選択部は、建物に搬入する医療機器の選択を受け付ける。取得部は、建物の3次元データと、医療機器の3次元データと、医療機器の分解情報を取得する。決定部は、分解情報に基づいて、医療機器を構成する複数の構造物の中からキー搬入物を決定する。経路生成部は、建物の3次元データと医療機器の3次元データとに基づいて、キー搬入物を建物に搬入する経路を生成する。表示制御部は、建物の3次元モデルに経路を重畳して表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に搬入する医療機器の選択を受け付ける選択部と、
前記建物の3次元データと、選択された医療機器の3次元データと、前記医療機器の分解に関する分解情報とを取得する取得部と、
前記分解情報に基づいて、前記医療機器を構成する複数の構造物の中からキー搬入物を決定する決定部と、
前記建物の3次元データと前記医療機器の3次元データとに基づいて、前記キー搬入物を前記建物に搬入する経路を生成する経路生成部と、
前記建物の3次元モデルに前記経路を重畳して表示させる表示制御部と、
を備える、搬入支援装置。
【請求項2】
前記経路の距離を算出する経路情報生成部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記経路の距離を表示させる、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記医療機器の重量と搬入手段に関する情報とをさらに取得し、
前記決定部は、前記重量及び前記搬入手段に関する情報に基づいて搬入手段を決定し、
前記経路生成部は、前記決定した搬入手段に基づいて前記経路を生成する、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項4】
前記経路の開放必要領域を特定する経路情報生成部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記経路の開放必要領域を表示させる、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項5】
前記経路の搬入人数及び搬入時間を算出する経路情報生成部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記経路の搬入人数及び搬入時間を表示させる、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項6】
前記経路の搬入費用を算出する経路情報生成部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記経路の搬入費用を表示させる、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項7】
前記経路に関する情報を生成する経路情報生成部をさらに備え、
前記経路生成部は、前記経路が見つからない場合、前記建物の3次元データを更新し、更新後の建物の3次元データに基づいて前記経路の生成を再度実行し、
前記経路情報生成部は、前記経路における前記更新に関する情報を生成し、
前記表示制御部は、前記更新に関する情報を表示させる、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項8】
前記建物の3次元データに基づいて前記経路の作業スペース情報を生成する経路情報生成部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記経路の作業スペース情報を表示させる、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項9】
前記経路の搬入難易度を判定する経路情報生成部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記経路の搬入難易度を表示させる、
請求項8に記載の搬入支援装置。
【請求項10】
前記決定部は、前記複数の構造物のうち最も大きい構造物を前記キー搬入物に決定する、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項11】
前記建物の通行情報に基づいて前記経路の通行情報を生成する経路情報生成部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記経路の通行情報を表示させる、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項12】
前記取得部は、前記建物内の電源に関する情報をさらに取得し、
前記経路生成部は、前記電源に関する情報を用いて前記経路を生成する、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【請求項13】
前記選択部は、前記医療機器の搬入に関する条件の入力を受け付け、
前記表示制御部は、生成された経路の中から前記条件を満たす経路を抽出し、抽出した経路のみを表示させる、
請求項1に記載の搬入支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、搬入支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型装置を販売した場合、購入した顧客の建物へ大型装置を搬入することがある。例えば、大型の医療機器を病院に搬入する際には、実際に搬入を行う搬入会社が機器の搬入経路を決定している。この際、搬入会社は、現地において搬入経路となり得る経路の候補を探し、搬入物のサイズを確認し、搬入物が搬入可能などうかを目視で判断することにより、搬入経路を決定している。
【0003】
このように、搬入会社が搬入経路を決定している場合、装置の販売元や装置を購入した顧客は、搬入会社により決定された搬入経路が最適な経路であるかどうかを判断することが難しく、適切な搬入経路を決定することができないことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、適切な搬入経路を決定するための情報をユーザに提示することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る搬入支援装置は、選択部と、取得部と、決定部と、経路生成部と、表示制御部とを備える。選択部は、建物に搬入する医療機器の選択を受け付ける。取得部は、建物の3次元データと、医療機器の3次元データと、医療機器の分解情報を取得する。決定部は、分解情報に基づいて、医療機器を構成する複数の構造物の中からキー搬入物を決定する。経路生成部は、建物の3次元データと医療機器の3次元データとに基づいて、キー搬入物を建物に搬入する経路を生成する。表示制御部は、建物の3次元モデルに経路を重畳して表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る搬入支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る搬入支援装置による搬入計画支援処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図3】
図3は、実施形態に係る搬入支援装置により表示される経路表示画面の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1の変形例に係る搬入支援装置による経路表示の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1の変形例に係る搬入支援装置により表示される経路表示画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の変形例に係る搬入支援装置により表示される経路表示画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第3の変形例に係る搬入支援装置による経路表示の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第3の変形例に係る搬入支援装置により表示される経路表示画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第4の変形例に係る搬入支援装置による経路表示の処理手順を例示するフローチャートである。
【
図10】
図10は、第4の変形例に係る搬入支援装置により表示される経路表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、搬入支援装置及び搬入支援システムの実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0009】
(実施形態)
図1は、搬入支援装置10を含む搬入支援システム1の構成を示す図である。搬入支援装置10は、ネットワーク20を介して、建物データベース30、搬入物データベース40、及び管理情報データベース50と接続されている。搬入支援装置10は、ネットワーク20を介して、各種情報を建物データベース30、搬入物データベース40、及び管理情報データベース50との間で送受信することができる。
【0010】
ネットワーク20は、例えば、LAN(Local Area Network)である。なお、ネットワーク20への接続は、有線接続、及び無線接続を問わない。また、VPN(Virtual Private Network)等によりセキュリティが確保されるのであれば、接続される回線はLANに限定されない。インターネット等、公衆の通信回線に接続するようにしても構わない。
【0011】
建物データベース30は、医療機器を搬入する建物に関する情報(以下、建物情報と呼ぶ)を管理する。建物は、医用画像診断装置等の医療機器が設置される構造物である。建物は、例えば、病院等の医用施設である。建物は、医療機器が設置される医用施設以外の施設であってもよい。建物データベース30は、例えば、複数の医用施設に関する建物情報を管理している。
【0012】
建物情報は、例えば、建物の3次元構造を表す3次元データや、建物の構造に関する情報や、建物で使用可能な搬入手段に関する情報などを含む。建物の3次元データは、例えば3DCADデータである。建物の3次元データは、例えば、建物を構成するための部品などの3次元モデルや、建物の設計図の3次元モデルを含む。建物の構造に関する情報は、例えば、建物内の各領域の名称や、建物のシャッターやドアに関する情報を含む。
【0013】
搬入手段は、搬入物を建物の搬入口から目標位置まで搬入するために用いる装置である。搬入手段は、搬入装置と呼ばれてもよい。搬入手段は、例えば、予め建物に設置されている台車である。搬入手段は、予め定められた経路に沿って自動で走行する装置であってもよく、作業者が運転または操作する電動の装置であってもよく、作業者が手動で移動させる装置であってもよい。搬入手段に関する情報は、搬入手段の構造を示す3次元データや、搬入手段の種類や、搬入手段の大きさ及び形状や、搬入手段が搬送可能な重量の上限や、搬入手段が搬送可能な搬入物の種類や、搬入手段の動力源や、搬入手段の動作を制御するためのデータや、搬入手段の運用費用などを含む。搬入手段の3次元データは、例えば、搬入手段を構成するための部品などの3次元モデルや、搬入手段の設計図の3次元モデルを含む。
【0014】
搬入物データベース40は、建物に搬入する搬入物に関する情報(以下、搬入物情報と呼ぶ)を管理する。搬入物は、典型的には、大型の医療機器である。大型の医療機器としては、例えば、医用画像診断装置が挙げられる。医用画像診断装置は、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置(Computed Tomography:CT装置)、磁気共鳴イメージング装置(Magnetic Resonance Imaging:MRI装置)、超音波診断装置、X線診断装置等の、被検体の内部を撮影するモダリティである。
【0015】
搬入物情報は、例えば、医療機器の構造を示す3次元データや、医療機器の重量や、医療機器の重心位置や、搬入時に用いる突起の位置などを含む。医療機器の構造を示す3次元データは、例えば、CT装置やMRI装置の3次元形状を表す3DCADデータである。また、医療機器の3次元データは、例えば、搬入物を構成するための部品などの3次元モデルや、医療機器の設計図の3次元モデルを含む。
【0016】
また、搬入物情報は、医療機器の分解に関する情報(以下、分解情報と呼ぶ)を含む。医用画像診断装置等の大型の医療機器は、一般的に、複数の構造物に分解して搬入することができる。例えば、CT装置やMRI装置などの大型の医療機器は、カバーなどを取り外すことにより複数の構造物に分解して搬入することが可能である。複数の構造物は、架台、寝台、コンソール装置等の装置単位のものであってもよく、カバー等の部品単位のものであってもよい。分解情報は、例えば、医療機器を複数の構造物に分解した際の各構造体の構造を示す3次元データや、各構造体の重量や、各構造体の重心位置や、搬入時に用いる突起の位置等を含む。
【0017】
管理情報データベース50は、搬入計画の管理に関する情報(以下、管理情報と呼ぶ)を管理する。管理情報は、例えば、搬入費用(搬入コスト)に関する情報や、搬入会社が管理する搬入手段に関する情報を含む。搬入手段に関する情報は、搬入手段の種類や、搬入手段の大きさ及び形状や、搬入手段が搬送可能な重量の上限や、搬入手段が搬送可能な搬入物の種類や、搬入手段の使用料金や電気代などを含む。また、搬入費用に関する情報は、例えば、作業員の人件費や、工事保険の料金や、搬入手段の使用料金や、搬入するために行う工事料金や、搬入に掛かるその他の費用等を含む。
【0018】
次に、搬入支援装置10の構成について説明する。
搬入支援装置10は、メモリ11、通信インタフェース12、ディスプレイ13、入力インタフェース14及び処理回路15を備えている。なお、以下、搬入支援装置10は、単一の装置にて複数の機能を実行するものとして説明するが、複数の機能を別々の装置が実行することにしても構わない。例えば、搬入支援装置10が実行する各機能は、異なるコンソール装置又はワークステーション装置に分散して搭載されても構わない。
【0019】
メモリ11は、種々の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路等の記憶装置である。また、メモリ11は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体であってもよい。なお、メモリ11は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ11の保存領域は、搬入支援装置10内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
【0020】
メモリ11は、処理回路15によって実行されるプログラム、処理回路15の処理に用いられる各種データ等を記憶する。プログラムとしては、例えば、予めネットワーク又は非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体からコンピュータにインストールされ、処理回路15の各機能を当該コンピュータに実現させるプログラムが用いられる。なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。メモリ11は、記憶部の一例である。
【0021】
通信インタフェース12は、ネットワーク20を介して、建物データベース30、搬入物データベース40、及び管理情報データベース50や、その他の外部機器との通信を伝送制御するネットワークインタフェースである。
【0022】
ディスプレイ13は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ13は、処理回路15によって生成された医用情報や、操作者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ13は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ13は、表示部の一例である。
【0023】
入力インタフェース14は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路15に出力する。例えば、入力インタフェース14は、医用情報の入力、各種コマンド信号の入力等を操作者から受け付ける。入力インタフェース14は、処理回路15の各種処理等を行うためのマウスやキーボード、トラックボール、スイッチボタン、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インタフェース14は、処理回路15に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し制御回路へと出力する。なお、本明細書において、入力インタフェースは、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路15へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェースの例に含まれる。入力インタフェース14は、入力部の一例である。
【0024】
処理回路15は、搬入支援装置10全体の動作を制御する。処理回路15は、メモリ11内のプログラムを呼び出し実行することにより、選択機能151、取得機能152、決定機能153、経路生成機能154、経路情報生成機能155及び表示制御機能156を実行するプロセッサである。選択機能151、取得機能152、決定機能153、経路生成機能154、経路情報生成機能155及び表示制御機能156の各機能を実現する処理回路15は、それぞれ選択部、取得部、決定部、経路生成部、経路情報生成部及び表示制御部の一例である。
【0025】
なお、
図1においては、単一の処理回路15にて選択機能151、取得機能152、決定機能153、経路生成機能154、経路情報生成機能155及び表示制御機能156が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。また、選択機能151、取得機能152及び決定機能153は、それぞれ個別のハードウェア回路として実装してもよい。処理回路15が実行する各機能についての上記説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0026】
また、搬入支援装置10は単一のコンソールにて複数の機能を実行するものとして説明するが、複数の機能を別々の装置が実行することにしても構わない。例えば、処理回路15の機能は、異なる装置に分散して搭載されても構わない。
【0027】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、(CPU central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit :ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD))、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、プログラムが記憶回路に保存される代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。上記「プロセッサ」の説明は、以下の各実施形態及び変形例でも同様である。
【0028】
処理回路15は、選択機能151により、建物に搬入する搬入物の選択を受け付ける。以下の説明では、搬入物が複数の構造体に分解可能な医療機器である場合について説明する。選択機能151において、処理回路15は、建物に搬入する医療機器の選択を受け付ける。搬入する医療機器は、例えば、入力インタフェース14を介してユーザにより入力される。選択機能151を実現する処理回路15は、選択部の一例である。
【0029】
処理回路15は、取得機能152により、建物の3次元データと、選択機能151により選択された医療機器の3次元データと、選択された医療機器の分解情報を取得する。取得機能152において、処理回路15は、例えば、医療機器が搬入される建物の3次元データを建物データベース30から読み出し、選択機能151により選択された医療機器の3次元データと分解情報を搬入物データベース40から読み出す。これらのデータが対応するデータベースに存在しない場合、当該データを外部データベースから取得してもよく、ユーザに当該データの入力を促してもよい。取得機能152を実現する処理回路15は、取得部の一例である。
【0030】
処理回路15は、決定機能153により、搬入する医療機器の分解情報に基づいて、医療機器を分解した複数の構造物の中から搬入経路のシミュレーションに用いる搬入物(以下、キー搬入物と呼ぶ)を決定する。キー搬入物としては、例えば、搬入する医療機器を分解した複数の構造物のうち最も大きい構造物や、最も重い構造物が用いられる。また、キー搬入物として、入力インタフェース14を介してユーザが任意に選択したものを用いてもよい。また、1つの構造物がキー搬入物として用いられてもよく、2つ以上の構造物がキー搬入物として用いられてもよい。決定機能153を実現する処理回路15は、決定部の一例である。
【0031】
処理回路15は、経路生成機能154により、建物の3次元データと医療機器の3次元データとに基づいて、医療機器を建物に搬入する経路を生成する。経路生成機能154を実現する処理回路15は、経路生成部の一例である。例えば、処理回路15は、搬入開始位置から目標位置までを繋ぐ病院内の複数の経路を計画する計算処理を行い、生成した各経路についてキー搬入物を搬入するシミュレーションを行い、シミュレーション結果をメモリ11に記憶する。搬入開始位置は、搬入シミュレーションの開始位置であり、例えば、病院の入り口や搬入口である。目標位置は、病院内において医療機器が設置される搬入シミュレーションの終了位置であり、例えば、検査室や手術室である。搬入開始位置や目標位置は、例えば、入力インタフェース14を介してユーザにより入力される。また、シミュレーションの過程で生成された動画データをシミュレーションの結果として保存してもよい。
【0032】
処理回路15は、経路情報生成機能155により、経路生成機能154により生成された経路について、搬入に使用する経路を決定するための追加の情報(以下、経路情報と呼ぶ)を生成する。経路情報生成機能155において、処理回路15は、経路生成機能154により生成された複数の経路のそれぞれに対して、経路情報を生成する。経路情報生成機能155を実現する処理回路15は、追加情報生成部の一例である。
【0033】
経路情報生成機能155において処理回路15は、経路情報として、各経路の距離(以下、移動距離と呼ぶ)を算出する。移動距離は、搬入開始位置から目標位置まで経路に沿って進んだ際に移動する距離である。一般的に、経路の移動距離が小さいほど、搬入時間が短くなりやすい。
【0034】
処理回路15は、表示制御機能156により、種々の情報をディスプレイ13に表示させる。表示制御機能156において、処理回路15は、例えば、建物の3次元データを用いて建物の3次元モデルを生成し、経路生成機能154により生成された各経路を、建物の3次元モデル上に重畳させて表示させる。建物の3次元モデル上において、各経路は、例えば矢印で表示される。各経路の表示方法は矢印に限るものではなく、経路として認識可能な他の方法で表示されてもよい。表示制御機能156を実現する処理回路15は、表示制御部の一例である。
【0035】
また、処理回路15は、表示制御機能156により、経路情報生成機能155により生成された追加の経路情報をディスプレイ13に表示させる。例えば、処理回路15は、各経路の移動距離を表示させる。各経路の移動距離は、例えば、各経路が重畳表示された建物の3次元モデルと同一画面に表示される。また、建物の3次元モデルに重畳表示された各経路の近傍に、移動距離が表示されてもよい。あるいは、建物の3次元モデルに重畳表示された各経路がユーザにより選択されると、選択された経路の移動距離を表示した別ウィンドウが表示されるようにしてもよい。
【0036】
次に、搬入支援装置10により実行される搬入支援処理の動作について説明する。搬入計画支援処理とは、医療機器を搬入する建物の3次元モデル上に、医療機器を搬入可能な複数の経路を表示することにより、搬入計画時における搬入経路の決定を支援する処理である。
図2は、搬入計画支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図2では、一例として、複数の構造物に分解可能な医療機器を病院の検査室内に搬入する経路を決定する場合について説明する。
【0037】
なお、以下で説明する各処理における処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り適宜変更可能である。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0038】
(搬入計画支援処理)
(ステップS101)
ユーザは、入力インタフェース14を介して、医療機器が搬入される病院名、医用画像診断装置が設置される検査室名、搬入する医療機器の種類などを入力する。処理回路15は、選択機能151により、病院名や医療機器の選択を受け付ける。
【0039】
(ステップS102)
処理回路15は、取得機能152により、選択された病院の3次元データを建物データベース30から取得し、選択された医療機器の3次元データと、医療機器を分解した構造物の3次元データを搬入物データベース40から取得する。
【0040】
(ステップS103)
処理回路15は、決定機能153により、医療機器が分解された複数の構造体のうち、最も大きい構造体を、シミュレーションに用いる注目構造体として決定する。
【0041】
(ステップS104)
処理回路15は、経路生成機能154により、選択された注目構造体の3次元データと、病院の3次元データを用いて注目構造体を搬入するシミュレーションを実行し、注目構造体を検査室まで搬入可能な複数の経路を生成する。
【0042】
(ステップS105)
処理回路15は、経路情報生成機能155により、ステップS104の処理により生成された各経路の移動距離を算出する。
【0043】
(ステップS106)
処理回路15は、表示制御機能156により、ステップS104の処理により生成された各経路を表示する表示画面(以下、経路表示画面と呼ぶ)をディスプレイ13に表示させる。
【0044】
図3は、経路表示画面100の一例を示す図である。
図3の一例では、経路表示画面100は、経路表示部110と、経路情報表示部120とを備える。経路表示部110には、医療機器が搬入される病院Hの3次元モデル内に、キー搬入物Mを検査室Lに搬入可能な2つの経路(経路1及び経路2)が表示される。検査室Lに隣接する待合室Wには、外部に繋がるドアD1-D4が設けられている。経路情報表示部120には、経路1及び経路2のそれぞれの移動距離が表示される。経路1は、ドアD1を通る経路であり、経路2は、ドアD3を通る経路である。
【0045】
図3の経路表示画面100では、2つの経路が表示されているが、経路表示画面100に表示する経路の数は、1つ以上であればよく、3つ以上であってもよい。また、経路生成機能154により生成された全ての経路を経路表示画面100に表示してもよく、経路生成機能154により生成された経路の中から抽出された所定の数の経路のみを経路表示画面100に表示してもよい。また、経路表示画面100に表示される経路の順番は、予め設定された優先度に基づいて並べられていてもよい。また、表示経路の優先度に関する情報を予め設定しておき、生成された経路の中から優先度が高い経路のみを抽出して表示してもよい。
【0046】
以下、本実施形態に係る搬入支援装置10の効果について説明する。
【0047】
本実施形態に係る搬入支援装置10は、建物に搬入する医療機器の選択を受け付け、建物の3次元データと、選択された医療機器の3次元データと、医療機器の分解に関する分解情報とを取得し、分解情報に基づいて医療機器を構成する複数の構造物の中からキー搬入物を決定し、建物の3次元データと医療機器の3次元データとに基づいてキー搬入物を建物に搬入する経路を生成し、建物の3次元モデルに経路を重畳して表示させることができる。
【0048】
上記構成により、例えば、
図3の経路表示画面100のように、シミュレーションにより生成した経路(経路1及び経路2)を病院Hの3次元モデル上に表示することで、ユーザは、医療機器等の搬入物を建物内に搬入する具体的経路を直感的に把握することができる。また、ユーザは、表示画面に表示された経路を顧客などの第三者と共有することにより、最適な手段の選択を第三者と共有して行うことができる。例えば、医療機器の販売元の担当者は、
図3の経路表示画面100を用いて、病院の担当者とともに最適な搬入経路を決定することができる。また、第三者である建物の所有者は、建物内における危険な領域や過去に事故があった場所等の搬入時に避けたい場所を通る経路かどうかを確認することができる。また、複数の経路が表示されることで、搬入経路の他の選択肢が分かり、最適な経路の選択の参考にすることができる。
【0049】
また、医療機器の分解情報を用いて経路を生成することができる。例えば、医用画像診断装置を分解した部品単位で搬入経路をシミュレーションすることにより、分解前には搬入できないが分解後には搬入可能であるような経路もユーザに提示することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る搬入支援装置10は、医療機器を分解した複数の構造物のうち最も大きい構造物をキー搬入物に設定することができる。最も大きい搬入物を搬入可能な経路は、他の全ての構造物を搬入する経路としても使用することができる。このため、キー搬入物についてのみシミュレーションを行うことにより、搬入する全ての構造物に対してシミュレーションを行うことなく、搬入する医用画像診断装置を分解した全ての部品を搬入可能な経路を生成することができる。これにより、搬入経路を生成するシミュレーション時間を短縮し、処理回路15への負荷を低減することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る搬入支援装置10は、生成した経路の移動距離を算出し、算出した距離を表示させることができる。例えば、
図3の経路表示画面100のように、経路情報表示部120に各経路の移動距離を表示させることにより、ユーザは、移動距離を考慮して最適な搬入経路を決定することができる。また、表示画面を第3者と共有することで、最適な手段の選択を第三者と共有して行うことができる。
【0052】
また、表示したい経路の条件をユーザが入力することで、その条件を満たす経路のみを提示するようにしてもよい。この場合、処理回路15は、選択機能151により、医療機器の搬入に関する条件の入力を受け付け、表示制御機能156により、生成された経路の中から条件を満たす経路を抽出し、抽出した経路のみを表示させる。入力される条件は、例えば、使用する搬入手段、搬入費用の上限や、搬入人数の上限や、必要な作業スペース搬入開始位置、目標位置の指定や、途中に経由する位置等である。また、経路情報生成機能155により経路を生成する際に、条件を満たす経路のみを生成してもよい。
【0053】
また、VR(Virtual Reality)技術やAR(Augmented Reality)技術を応用して、生成された経路を使用して搬入を行う様子をユーザが体感できるようにしてもよい。
【0054】
このように、本実施形態に係る搬入支援装置10によれば、建物や搬入物の3次元データを用いて、搬入物を建物に搬入できる経路をシミュレーションし、搬入経路に関する情報を算出し、搬入経路の選択に有用な情報を表示させることができる。
【0055】
(第1の変形例)
実施形態の第1の変形例について説明する。本変形例は、実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本変形例では、シミュレーションにより生成された経路とともに、各経路における開放必要領域、搬入時間、作業人数、搬入費用、及びリスク情報が表示される。実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0056】
本変形例では、処理回路15は、取得機能152により、医療機器の重量と、搬入手段に関する情報をさらに取得する。取得機能152において処理回路15は、医療機器の重量として各構造体の重量を搬入物データベース40から取得する。また、取得機能152において処理回路15は、搬入手段に関する情報として、搬入手段として用いることができる搬入装置のオプションや、各搬入装置の大きさや、各搬入装置の性能等を管理情報データベース50から取得する。搬入装置の性能は、例えば、搬入可能な搬入物の重量を含む。
【0057】
処理回路15は、決定機能153により、医療機器の重量と、搬入手段に関する情報に基づいて、経路生成機能154によるシミュレーションで使用する搬入手段を決定する。例えば、処理回路15は、キー搬入物の重量と、各搬入装置の性能に基づいて、そのキー搬入物を搬入可能な搬入装置を決定する。この際、キー搬入物を搬入可能な複数の搬入装置を、経路生成機能154によるシミュレーションで使用する搬入手段として決定してもよい。
【0058】
処理回路15は、経路生成機能154により、決定機能153により決定された搬入手段を使用してキー搬入物を搬入する経路を生成する。例えば、処理回路15は、キー搬入物を搬入可能な搬入手段として決定された複数の搬入装置のそれぞれを用いた複数の経路を生成する。
【0059】
また、経路生成機能154において処理回路15は、キー搬入物を搬入可能な経路が見つからない場合、建物の3次元データを更新し、更新後の建物の3次元データに基づいて経路の生成を再度実行する。この際、例えば、建物の3次元データにおいて、建物内の破壊可能な障害物を破壊する。または、建物の3次元データにおいて、簡単な工事により拡張可能なドアや窓を大きくする。例えば、処理回路15は、キー搬入物を搬入可能な経路が見つからない場合、建物の3次元データにおいて、病院内のドアの大きさを、キー搬入物を搬送する搬入装置が通過可能な大きさに変更する。建物の3次元データにおける更新箇所は、例えばメモリ11に保存される。
【0060】
処理回路15は、経路情報生成機能155により、経路情報として、各経路の開放必要領域を特定する。開放必要領域は、その経路を利用する際に、シャッターの開放やドアの開放が必要な領域である。開放必要領域として、例えば、病棟名、通路名、エリア名、部屋の名前等が特定される。例えば、処理回路15は、建物データベース30から取得した建物の構造に関する情報に基づいて、各経路の開放必要領域を特定する。
【0061】
また、経路情報生成機能155において処理回路15は、経路情報として、各経路の搬入時間と作業人数を算出する。作業人数(搬入人数)は、搬入に必要な作業者の人数である。搬入時間は、算出した作業人数で搬入作業を行った場合に搬入に要する時間や日数である。搬入時間は、作業人数や、搬入経路の距離や、使用する搬入手段などに応じて算出される。
【0062】
また、経路情報生成機能155において処理回路15は、経路情報として、各経路の搬入費用を算出する。搬入費用は、搬入に生じる費用である。搬入費用は、例えば、搬入手段の使用料金や電気代、作業人数、搬入時間、作業員の人件費、工事保険の保険料などに応じて算出される。搬入手段の使用料金や電気代、及び、作業員の人件費及び工事保険の保険料は、例えば、管理情報データベース50から取得される。
【0063】
また、経路を生成する際に、建物の3次元データを更新した場合、処理回路15は、経路情報生成機能155により、経路情報として、各経路のリスク情報を生成する。リスク情報は、例えば、その経路において更新された箇所に関する情報である。例えば、リスク情報として、特定のドアの拡張工事が必要であることを示す情報が生成される。
【0064】
処理回路15は、表示制御機能156により、経路情報生成機能155により生成された経路情報を、各経路とともにディスプレイ13に表示させる。例えば、各経路の経路情報として、開放必要領域、搬入時間、作業人数、搬入費用、リスク情報等が表示される。
【0065】
次に、本変形例の搬入支援装置10により実行される搬入支援処理の動作について説明する。
図4は、本変形例に係る搬入支援装置10により実行される搬入支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。ステップS201-S203の処理は、それぞれ
図2のステップS101-S103の処理と同様のため、説明を省略する。
【0066】
(搬入計画支援処理)
(ステップS204)
処理回路15は、取得機能152により、キー搬入物の重量を搬入物データベース40から取得し、使用可能な搬入手段に関する情報を管理情報データベース50から取得する。
【0067】
(ステップS205)
処理回路15は、決定機能153により、キー搬入物の重量と、搬入手段に関する情報に基づいて、シミュレーションにおいてキー搬入物の搬入に使用する搬入手段を決定する。例えば、キー搬入物を搬送可能な搬入装置のオプションのうち、最も小さい搬入装置が使用する搬入手段として決定される。
【0068】
(ステップS206)
処理回路15は、経路生成機能154により、選択された注目構造体の3次元データと、病院の3次元データを用いて注目構造体を搬入するシミュレーションを実行し、注目構造体を検査室まで搬入可能な経路を生成する。この際、ステップS205の処理において決定された搬入手段を用いてシミュレーションが行われる。
【0069】
(ステップS207)
処理回路15は、ステップS206の処理において生成された経路が複数あるか否かを判定する。これにより、処理回路15は、注目構造体を検査室まで搬入可能な経路が2つ以上見つかったかどうかを判断する。
【0070】
(ステップS208)
経路が2つ以上生成されていない場合(ステップS207-No)、処理回路15は、注目構造体を検査室に搬入できるように、病院の3次元データにおいて、検査室に繋がるドアの周囲の壁を破壊し、ドアを拡張する。そして、ドアが拡張された3次元データを用いて、病院の3次元データとして更新する。そして、更新後の病院の3次元データを用いて、ステップS206-ステップS207の処理を繰り返すことにより、注目構造体を搬入するシミュレーションを繰り返し実行する。そして、搬入シミュレーションにより生成された経路を保存する。
【0071】
なお、所定の数の経路が生成されるまで病院の3次元データの更新とシミュレーションを繰り返してもよく、所定の数の経路が生成されなくてもシミュレーションが所定の回数まで行われた場合に次のステップの処理に移行してもよい。また、所定の数の経路が生成されない場合に、ユーザに使用するデータや設定の変更を促してもよい。
【0072】
(ステップS209)
経路が2つ以上生成された場合(ステップS207-Yes)、処理回路15は、経路情報生成機能155により、生成された各経路の開放必要領域を特定し、生成された各経路の搬入時間、作業人数及び搬入費用を算出する。また、ステップS208の処理が実行されていた場合、処理回路15は、経路情報生成機能155により、拡張されたドアの情報をリスク情報として生成する。
【0073】
(ステップS210)
処理回路15は、表示制御機能156により、ステップS206の処理により生成された各経路を表示する経路表示画面をディスプレイ13に表示させる。
【0074】
図5は、経路表示画面100の一例を示す図である。経路情報表示部120には、経路1及び経路2のそれぞれについて、開放必要領域、搬入時間(時間、日数)、搬入費用(工事保険、搬入費用)、リスク情報が表示される。
図5の一例では、経路1のリスク情報として、経路1を使用するためにはドアD1周りを拡張する工事が必要であることが表示されている。
【0075】
以下、本変形例に係る搬入支援装置10の効果について説明する。
【0076】
本変形例に係る搬入支援装置10は、医療機器の重量と搬入手段に関する情報とをさらに取得し、医療機器の重量と搬入手段に関する情報に基づいて搬入手段を決定し、決定した搬入手段に基づいて経路を生成することができる。この構成により、例えば、キー搬入物を搬送可能な搬入手段が自動的に決定され、その搬入手段が通ることができる経路を生成することができる。すなわち、使用可能な搬入手段が考慮された適切な経路を提示することができる。
【0077】
本変形例に係る搬入支援装置10は、生成された複数の経路とともに、各経路に関する経路情報を表示することができる。例えば、経路情報として、各経路の開放必要領域、搬入時間、作業人数、搬入費用、リスク情報を表示することができる。ユーザは、具体的搬入経路とともに、搬入にかかる時間やコストといった各経路を比較するための客観的情報を確認することで、最適な搬入経路を決定することができる。
【0078】
(第2の変形例)
実施形態の第2の変形例について説明する。本変形例は、実施形態の構成を以下の通りに変形したものである。本変形例では、シミュレーションにより生成された経路とともに、各経路における移動距離、搬入手段、作業人数、搬入費用、搬入時間、搬入難易度、作業スペースが表示される。実施形態と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0079】
処理回路15は、経路情報生成機能155により、経路情報として、移動距離、搬入手段、作業人数、搬入費用及び搬入時間に加えて、各経路の作業スペース情報と搬入難易度を生成する。
【0080】
作業スペース情報は、例えば、搬入物を搬送する搬入装置が通るためのスペースに関する情報である。作業スペース情報は、例えば、経路の最小作業幅や作業バッファを含む。最小作業幅は、例えば、経路の中で最も狭い通路の幅である。作業バッファは、例えば、搬入装置が経路を通る際に通路の側壁と搬入装置との間に生じる隙間の平均値である。
【0081】
搬入難易度は、搬入の難しさを示す指標である。搬入難易度は、搬入リスクと呼ばれてもよい。搬入難易度は、例えば、搬入手段と作業バッファを用いて判定される。例えば、作業バッファが小さく、搬入装置が大きいほど、搬入装置が通路を曲がることが難しくなる。
【0082】
処理回路15は、表示制御機能156により、経路情報生成機能155により生成された経路情報を、各経路とともにディスプレイ13に表示させる。例えば、各経路の経路情報として、移動距離、搬入手段、作業人数、搬入費用、搬入時間、作業スペース情報、搬入難易度等が表示される。
【0083】
図6は、本変形例の搬入支援装置10により実行される搬入支援処理において、ディスプレイ13に表示される経路表示画面100の一例を示す図である。経路情報表示部120には、経路1及び経路2のそれぞれについて、移動距離、搬入手段、作業人数(搬入人数)、搬入費用、搬入時間、最小作業幅、搬入難易度が表示される。
図6の一例では、搬入難易度として、搬入の難易度が高いことを示す「難」または搬入の難易度が低いことを示す「易」のいずれかが表示されている。
【0084】
以下、本変形例に係る搬入支援装置10の効果について説明する。
【0085】
本変形例に係る搬入支援装置10は、生成された複数の経路とともに、各経路に関する経路情報を表示することができる。例えば、経路情報として、各経路の移動距離、搬入手段、作業人数、搬入費用、搬入時間、作業スペース情報、搬入難易度を表示することができる。ユーザは、具体的搬入経路とともに、作業スペースや通路の隙間に応じた難易度といった、各経路を比較するための客観的情報を確認することで、最適な搬入経路を決定することができる。
【0086】
(第3の変形例)
実施形態の第3の変形例について説明する。本変形例は、第2の変形例の構成を以下の通りに変形したものである。本変形例では、建物内の通行禁止エリアや危険エリア等の情報を反映した経路を表示する。第2の変形例と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0087】
本変形例では、処理回路15は、取得機能152により、搬入する建物内における、通行手段の通行の可否に関する情報(以下、通行情報と呼ぶ)をさらに取得する。建物の通行情報は、例えば、病院内において搬入装置が通行できない通行禁止エリアの位置や、搬入装置が通行することに危険が伴う危険エリアの位置等を含む。建物の通行情報は、例えば、建物データベース30に記憶されており、建物データベース30から取得される。
【0088】
処理回路15は、経路情報生成機能155により、経路情報として、各経路の通行情報を生成する。経路の通行情報は、例えば、経路内に含まれる通行禁止エリアや危険エリアに関する情報を含む。例えば、処理回路15は、建物データベース30から取得した建物の通行情報に基づいて、各経路の通行情報を生成する。
【0089】
処理回路15は、表示制御機能156により、経路情報生成機能155により生成された経路情報を、各経路とともにディスプレイ13に表示させる。例えば、各経路の経路情報として、前述の実施形態等で説明した各情報に加えて、各経路の通行情報が表示される。
【0090】
次に、本変形例の搬入支援装置10により実行される搬入支援処理の動作について説明する。
図7は、本変形例に係る搬入支援装置10により実行される搬入支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。ステップS301-S305、S307の処理は、それぞれ
図4のステップS201-S206の処理と同様のため、説明を省略する。
【0091】
(搬入計画支援処理)
(ステップS306)
処理回路15は、取得機能152により、建物の通行情報を建物データベース30から取得する。
【0092】
(ステップS308)
ステップS307の処理により経路が生成された後、処理回路15は、経路情報生成機能155により、各経路の経路情報を生成する。この際、処理回路15は、前述の実施形態等で説明した各情報に加えて、建物の通行情報を用いて、各経路の通行情報を生成する。
【0093】
(ステップS309)
処理回路15は、表示制御機能156により、ステップS307の処理により生成された各経路を表示する経路表示画面をディスプレイ13に表示させる。
【0094】
図8は、ディスプレイ13に表示される経路表示画面100の一例を示す図である。経路情報表示部120には、移動距離、搬入手段、作業人数(搬入人数)、搬入費用、搬入時間、最小作業幅、搬入難易度に加えて、各経路の通行情報が表示される。
図8の一例では、経路2の通行情報として、経路2で通過する通路A(図示せず)が通行できない状態であることが表示されている。
【0095】
以下、本変形例に係る搬入支援装置10の効果について説明する。
【0096】
本変形例に係る搬入支援装置10は、建物の通行情報に基づいて各経路の通行情報を生成し、各経路の通行情報さらに表示させることができる。ユーザは、各経路の通行情報が反映された表示を確認することで、例えば、病院内の通行禁止エリアを考慮して最適な搬入経路を決定することができる。例えば、
図8に示すように経路2で通過する通路Aが通行できない状態である場合、ユーザは、他の経路1を搬入経路として選択することができる。
【0097】
なお、各経路の通行情報を表示する代わりに、通行禁止エリアや危険エリアを通る経路を経路表示画面に表示させないようにしてもよい。この場合、表示制御機能156において処理回路15は、経路生成機能154により生成された複数の経路のうち、通行禁止エリアや危険エリアを通過しない経路だけをディスプレイ13に表示させる。これにより、通行禁止エリアや危険エリアを通過しない経路が採用されることを防止することができる。
【0098】
(第4の変形例)
実施形態の第4の変形例について説明する。本変形例は、第3の変形例の構成を以下の通りに変形したものである。本変形例では、建物の電源情報も考慮して経路のシミュレーションを行う。第3の変形例と同様の構成、動作、及び効果については、説明を省略する。
【0099】
本変形例では、処理回路15は、取得機能152により、搬入物を搬入する建物の電源情報をさらに取得する。電源情報は、例えば、電動の台車等に電力を供給可能な電源が設置された個所を含む。電源情報は、例えば、建物データベース30に記憶されており、建物データベース30から取得される。
【0100】
処理回路15は、経路情報生成機能155により、経路情報として、各経路の電源情報を生成する。経路の電源情報は、例えば、経路内に設置されている電源に関する情報を含む。例えば、処理回路15は、建物データベース30から取得した建物の電源情報に基づいて、各経路の電源情報を生成する。
【0101】
処理回路15は、表示制御機能156により、経路情報生成機能155により生成された経路情報を、各経路とともにディスプレイ13に表示させる。例えば、各経路の経路情報として、前述の実施形態等で説明した各情報に加えて、各経路の電源情報が表示される。
【0102】
次に、本変形例の搬入支援装置10により実行される搬入支援処理の動作について説明する。
図9は、本変形例に係る搬入支援装置10により実行される搬入支援処理の手順の一例を示すフローチャートである。ステップS401-S406、S408の処理は、それぞれ
図7のステップS301-S307の処理と同様のため、説明を省略する。
【0103】
(搬入計画支援処理)
(ステップS407)
処理回路15は、取得機能152により、建物の電源情報を建物データベース30から取得する。
【0104】
(ステップS409)
ステップS408の処理により経路が生成された後、処理回路15は、経路情報生成機能155により、各経路の経路情報を生成する。この際、処理回路15は、前述の実施形態等で説明した各情報に加えて、建物の電源情報を用いて、各経路の電源情報を生成する。
【0105】
(ステップS410)
処理回路15は、表示制御機能156により、ステップS307の処理により生成された各経路を表示する経路表示画面をディスプレイ13に表示させる。
【0106】
図10は、ディスプレイ13に表示される経路表示画面100の一例を示す図である。経路情報表示部120には、移動距離、搬入手段、作業人数(搬入人数)、搬入費用、搬入時間、最小作業幅、搬入難易度に加えて、各経路の電源情報が表示される。
図10の一例では、経路1の電源情報として、「電源あり」と表示されている。「電源あり」は、搬入手段として使用する台車に給電可能な電源が経路1で通過する領域内に設置されていることを示している。また、経路2の電源情報として、「電源なし」と表示されている。「電源なし」は、搬入手段として使用する台車に給電可能な電源が経路2で通過する領域内に設置されていないことを示している。
【0107】
以下、本変形例に係る搬入支援装置10の効果について説明する。
【0108】
本変形例に係る搬入支援装置10は、建物の電源情報に基づいて各経路の電源情報を生成し、各経路の電源情報さらに表示させることができる。ユーザは、各経路の電源情報を確認することで、例えば、搬入手段への電力の供給も考慮して最適な搬入経路を決定することができる。例えば、搬入時間内に使用する搬入装置への電力供給が必要になる場合は、経路内に電源が設置されている経路を選択することで、搬送装置の充電を効率的に行うことができる経路を選択することができる。
【0109】
なお、各経路の電源情報を表示する代わりに、経路内に電源が設置されていない経路を経路表示画面に表示させないようにしてもよい。この場合、表示制御機能156において処理回路15は、経路生成機能154により生成された複数の経路のうち、経路内に電源が設置されている経路だけをディスプレイ13に表示させる。
【0110】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、適切な搬入経路を決定するための情報をユーザに提示することができる。
【0111】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0112】
1…搬入支援システム
10…搬入支援装置
11…メモリ
12…通信インタフェース
13…ディスプレイ
14…入力インタフェース
15…処理回路
151…選択機能
152…取得機能
153…決定機能
154…経路生成機能
155…経路情報生成機能
156…表示制御機能
20…ネットワーク
30…建物データベース
40…搬入物データベース
50…管理情報データベース
100…経路表示画面
110…経路表示部
120…経路情報表示部
H…病院
L…検査室
W…待合室
M…搬入物
D1-D4…ドア