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特開2023-170457医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、プログラム、および記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170457
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082237
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301032942
【氏名又は名称】国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平井 隆介
(72)【発明者】
【氏名】岡屋 慶子
(72)【発明者】
【氏名】森 慎一郎
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC02
4C082AC03
4C082AC05
4C082AC06
4C082AC07
4C082AE03
4C082AJ08
4C082AL06
4C082AN02
4C082AP07
(57)【要約】
【課題】治療計画時と治療時において撮影された患者のCT画像同士の位置合わせを行う際に、治療時の腫瘍や照射野、リスク臓器などの位置関係も利用することにより、高速かつ高精度な画像照合を行うこと。
【解決手段】実施形態の医用画像処理装置は、第1画像取得部と、第2画像取得部と、領域取得部と、画像類似度計算部と、コスト計算部と、レジストレーション部とを持つ。第1画像取得部は、患者の体内を撮影した第1画像を取得する。第2画像取得部は、第1画像とは異なる時刻に撮影された患者の体内の第2画像を取得する。領域取得部は、第1画像または第2画像に対応する2つ以上の領域を取得する。画像類似度計算部は、第1画像と第2画像との間の類似度を計算する。コスト計算部は、領域の位置関係に基づくコストを計算する。レジストレーション部は、画像の類似度が高く、かつコストを低くするように、第2画像に対する第1画像の相対位置を求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内を撮影した第1画像を取得する第1画像取得部と、
前記第1画像とは異なる時刻に撮影された前記患者の体内の第2画像を取得する第2画像取得部と、
前記第1画像または前記第2画像のいずれか、または両方に対応する2つ以上の領域を取得する領域取得部と、
前記第1画像と前記第2画像との間の類似度を計算する画像類似度計算部と、
前記領域の位置関係に基づくコストを計算するコスト計算部と、
前記類似度が高く、かつ前記コストを低くするように、前記第2画像に対する前記第1画像の相対位置を求めるレジストレーション部と、を備える、
医用画像処理装置。
【請求項2】
前記レジストレーション部は、前記第1画像を前記患者の体位が変化する自由度ごとに所定幅ずらして生成される近似画像を計算する近似画像計算部と、
前記領域を前記患者の体位が変化する自由度ごとに所定幅移動して、移動前とのコストの変化量を移動コストとして計算する移動コスト計算部と、を備え、
前記レジストレーション部は、前記近似画像を用いて前記第1画像と前記第2画像とのずれ量と、前記移動コストから計算したずれ量とに基づいて前記第1画像の移動量を決定し、決定した前記移動量に対応する移動量信号を出力する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記患者の体内を撮影した画像を、前記患者に照射する治療ビームの照射経路に基づいて変換することによって、前記第1画像および前記第2画像を積分画像として得る画像変換部を更に備える、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記コストは、前記2つ以上の領域のうち、重なっていない部分の面積又は体積に応じた値である、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
前記コスト計算部は、前記重なっていない部分の面積又は体積が大きいほど、前記コストを高く計算する、
請求項4に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記コストは、前記2つ以上の領域の最短距離である、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記領域は、前記第1画像に対応する第1領域と、前記第2画像に対応する第2領域とを含み、
前記領域取得部は、前記第1領域を変形することによって前記第2領域を取得する、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
前記領域は、前記患者に照射する治療ビームの照射野を含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項9】
前記領域は、前記患者の体内の腫瘍を含む、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載の医用画像処理装置と、
前記患者に放射線を照射する照射部と、前記第1画像および前記第2画像を撮影する撮像装置と、前記患者を乗せて固定する寝台と、移動量信号に応じて前記寝台の移動を制御する寝台制御部と、を具備した治療装置と、を備える、
治療システム。
【請求項11】
コンピュータが、
患者の体内を撮影した第1画像を取得し、
前記第1画像とは異なる時刻に撮影された前記患者の体内の第2画像を取得し、
前記第1画像または前記第2画像のいずれか、または両方に対応する2つ以上の領域を取得し、
前記第1画像と前記第2画像との間の類似度を計算し、
前記領域の位置関係に基づくコストを計算し、
前記類似度が高く、かつ前記コストを低くするように、前記第2画像に対する前記第1画像の相対位置を求める、
医用画像処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
患者の体内を撮影した第1画像を取得させ、
前記第1画像とは異なる時刻に撮影された前記患者の体内の第2画像を取得させ、
前記第1画像または前記第2画像のいずれか、または両方に対応する2つ以上の領域を取得させ、
前記第1画像と前記第2画像との間の類似度を計算させ、
前記領域の位置関係に基づくコストを計算させ、
前記類似度が高く、かつ前記コストを低くするように、前記第2画像に対する前記第1画像の相対位置を求めさせる、
プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
患者の体内を撮影した第1画像を取得させ、
前記第1画像とは異なる時刻に撮影された前記患者の体内の第2画像を取得させ、
前記第1画像または前記第2画像のいずれか、または両方に対応する2つ以上の領域を取得させ、
前記第1画像と前記第2画像との間の類似度を計算させ、
前記領域の位置関係に基づくコストを計算させ、
前記類似度が高く、かつ前記コストを低くするように、前記第2画像に対する前記第1画像の相対位置を求めさせる、
プログラムを記憶する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療は、放射線を患者の体内にある腫瘍(病巣)に対して照射することによって、その腫瘍を破壊する治療方法である。放射線は、患者の体内の正常な組織に照射してしまうと正常な組織にまで影響を与える場合があるため、放射線治療では、腫瘍の位置に正確に放射線を照射する必要がある。このため、放射線治療を行う際には、まず、治療計画の段階において、例えば、予めコンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)が行われ、患者の体内にある腫瘍の位置が三次元的に把握される。そして、把握した腫瘍の位置に基づいて、放射線を照射する方向や照射する放射線の強度が計画される。その後、治療の段階において、患者の位置を治療計画の段階の患者の位置に合わせて、治療計画の段階で計画した照射方向や照射強度に従って放射線が腫瘍に照射される。
【0003】
治療段階における患者の位置合わせでは、治療を開始する直前に患者を寝台に寝かせた状態で撮影した患者の体内の透視画像と、治療計画のときに撮影した三次元のCT画像から仮想的に透視画像を再構成したデジタル再構成X線写真(Digitally Reconstructed Radiograph:DRR)画像との画像照合を行って、それぞれの画像の間での患者の位置のずれを求める。そして、求めたずれに基づいて寝台を移動させることによって、患者の体内の腫瘍や骨などの位置を治療計画のときのそれらと合わせる。
【0004】
患者の位置のずれは、透視画像と最も類似するDRR画像が再構成されるように、CT画像中の位置を探索することによって求める。従来から、患者の位置の探索をコンピュータによって自動化する方法は多数提案されている。しかしながら、従来では、自動で探索した結果は、利用者(医師など)が透視画像とDRR画像とを見比べることによって確認していた。
【0005】
このとき、透視画像に写された腫瘍の位置を目視によって確認することが難しい場合があった。これは、腫瘍は、骨などに比べてX線の透過性が高いため、透視画像に腫瘍がはっきり写らないためである。そこで、治療を行う際に、透視画像の代わりにCT画像を撮影して腫瘍の位置を確認することも行われている。この場合、患者の位置のずれは、治療計画のときに撮影したCT画像と、治療段階において撮影したCT画像とを画像照合する、つまり、CT画像同士の画像照合によって求める。
【0006】
CT画像同士の画像照合では、一方のCT画像の位置をずらしながら、他方のCT画像と最も類似する位置を求める。CT画像同士の画像照合を行う方法の一例として、例えば、特許文献1に開示されている方法がある。特許文献1に開示されている方法では、治療計画のときに撮影したCT画像に含まれる腫瘍周辺の画像をテンプレートとして用意し、治療段階において撮影したCT画像に対してテンプレートマッチングを行うことによって、最も類似した画像の位置を腫瘍の位置として探索する。そして、探索した位置に基づいて、患者の位置のずれを求め、上記と同様にずれに応じて寝台を移動させて、治療計画のときと同じ体位に患者の位置を合わせる。特許文献1に開示されている方法には、用意したテンプレートを三次元的に走査するだけでなく、テンプレートを傾けるなどして姿勢を変えて走査する探索方法についても言及されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法では、テンプレートとして用意した腫瘍周辺のCT画像に、注目する腫瘍周辺の位置を合わせることを重視している。このため、特許文献1に開示されている方法では、腫瘍の周辺以外においても患者の体内組織の位置が正確に合うとは限らない。つまり、特許文献1に開示されている方法で患者の位置を合わせた場合には、照射した放射線が腫瘍に届いたとしても、放射線が通過する経路にある患者の体内の組織によっては、計画した放射線のエネルギーを腫瘍に与えることができない場合があった。
【0008】
ところで、放射線治療において用いる放射線は、物質を通過する際にエネルギーを失う。このため、従来の治療計画では、撮影したCT画像に基づいて、照射する放射線のエネルギー損失量を仮想的に算出することによって放射線の照射方法を定めていた。このことを考えると、治療段階において患者の位置を合わせる際には、照射する放射線が通過する経路にある患者の体内の組織も一致していることが重要になる。
【0009】
この点に着目したCT画像同士の画像照合を行う方法の一例として、例えば、特許文献2に開示されている方法がある。特許文献2に開示されている方法では、画素ごとに放射線の到達エネルギーを計算して変換したCT画像を用いて、CT画像の画像照合を行っている。しかしながら、特許文献2に開示されている方法でも、画像照合を行う際には、変換したCT画像から再構成したDRR画像で画像照合を行っている。つまり、特許文献2に開示されている方法でも、画像照合に用いる画像は、CT画像が持っている立体的な画像の情報を失った状態である。
【0010】
さらに、特許文献2に開示されている方法に特許文献1に開示されている方法を組み合わせ、変換したCT画像を用いてテンプレートマッチングにより患者の位置合わせをする方法が考えられる。しかしながら、到達エネルギーの計算方法は、放射線を照射する方向によって変化するため、テンプレートマッチングで用いるテンプレートの姿勢を変えると、都度、到達エネルギーを再計算することが必要になる。このため、特許文献2に開示されている方法に特許文献1に開示されている方法を組み合わせた場合でも、姿勢に応じて多数のテンプレートを用意しておく必要があることや、腫瘍周辺に注目して位置を合わせることを考えると、放射線が通過する経路にある患者の体内組織も含めた位置合わせは、容易に行うことができない。
【0011】
特許文献3には、放射線が通過する経路上のエネルギー減衰量と関連する水等価厚をCT画像から計算し、照射される放射線が腫瘍に与えるエネルギー量が、治療計画時のエネルギー量に近くなるように、患者の位置のずれを修正する方法が開示されている。
【0012】
このように、上記例示した特許文献1から3のCT画像同士の位置合わせ手法は、画像同士の一致度合いのみを考慮し、治療時の腫瘍と照射野、リスク臓器と呼ばれる部位の位置を利用してCT画像を位置合わせするものではなかった。その結果、CT画像同士の位置合わせの精度が低い場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第5693388号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0058750号明細書
【特許文献3】特開2022―029277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、治療計画時と治療時において撮影された患者のCT画像同士の位置合わせを行う際に、治療時の腫瘍や照射野、リスク臓器などの位置関係も利用することにより、高速かつ高精度な画像照合を行うことができる医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、プログラム、および記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
実施形態の医用画像処理装置は、第1画像取得部と、第2画像取得部と、領域取得部と、画像類似度計算部と、コスト計算部と、レジストレーション部とを持つ。第1画像取得部は、患者の体内を撮影した第1画像を取得する。第2画像取得部は、第1画像とは異なる時刻に撮影された患者の体内の第2画像を取得する。領域取得部は、第1画像または第2画像のいずれか、または両方に対応する2つ以上の領域を取得する。画像類似度計算部は、第1画像と第2画像との間の類似度を計算する。コスト計算部は、領域の位置関係に基づくコストを計算する。レジストレーション部は、画像の類似度が高く、かつコストを低くするように、第2画像に対する第1画像の相対位置を求める。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、治療計画時と治療時において撮影された患者のCT画像同士の位置合わせを行う際に、治療時の腫瘍や照射野、リスク臓器などの位置関係も利用することにより、高速かつ高精度な画像照合を行うことができる医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、プログラム、および記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態の医用画像処理装置を備えた治療システムの概略構成を示すブロック図。
図2】治療計画段階と治療段階におけるCTVおよびPTVを説明するための図。
図3】第1の実施形態の医用画像処理装置100の概略構成を示すブロック図。
図4】治療システムにおける放射線の出射と放射線の照射対象との関係の一例を説明する図。
図5】治療システムにおける放射線の出射と放射線の照射対象との関係の別の一例を説明する図。
図6】第1の実施形態の医用画像処理装置によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャート。
図7】第1の実施形態の医用画像処理装置100によって実行される処理の別の例流れを示すフローチャート。
図8】第2の実施形態の医用画像処理装置100Bの概略構成を示すブロック図。
図9】第2の実施形態の医用画像処理装置100Bによって実行される処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態の医用画像処理装置、治療システム、医用画像処理方法、プログラム、および記憶媒体を、図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
(全体構成)
図1は、第1の実施形態の医用画像処理装置を備えた治療システムの概略構成を示すブロック図である。治療システム1は、例えば、治療装置10と、医用画像処理装置100と、を備える。治療装置10は、例えば、寝台12と、寝台制御部14と、コンピュータ断層撮影(Computed Tomography:CT)装置16(以下、「CT撮影装置16」という)と、治療ビーム照射門18と、を備える。
【0020】
寝台12は、放射線による治療を受ける被検体(患者)Pを、例えば、固定具などによって寝かせた状態で固定する可動式の治療台である。寝台12は、寝台制御部14からの制御に従って、開口部を有する円環状のCT撮影装置16の中に、患者Pを固定した状態で移動する。寝台制御部14は、医用画像処理装置100により出力された移動量信号に従って、寝台12に固定された患者Pに治療ビームBを照射する方向を変えるために、寝台12に設けられた並進機構および回転機構を制御する。並進機構は三軸方向に寝台12を駆動することができ、回転機構は三軸回りに寝台12を駆動することができる。このため、寝台制御部14は、例えば、寝台12の並進機構および回転機構を制御して寝台12を六自由度で移動させる。寝台制御部14が寝台12を制御する自由度は、六自由度でなくてもよく、六自由度よりも少ない自由度(例えば、四自由度など)や、六自由度よりも多い自由度(例えば、八自由度など)であってもよい。
【0021】
CT撮影装置16は、三次元のコンピュータ断層撮影を行うための撮像装置である。CT撮影装置16は、円環状の開口部の内側に複数の放射線源が配置され、それぞれの放射線源から、患者Pの体内を透視するための放射線を照射する。つまり、CT撮影装置16は、患者Pの周囲の複数の位置から放射線を照射する。CT撮影装置16においてそれぞれの放射線源から照射する放射線は、例えば、X線である。CT撮影装置16は、円環状の開口部の内側に複数配置された放射線検出器によって、対応する放射線源から照射され、患者Pの体内を通過して到達した放射線を検出する。CT撮影装置16は、それぞれの放射線検出器が検出した放射線のエネルギーの大きさに基づいて、患者Pの体内を撮影したCT画像を生成する。CT撮影装置16によって生成される患者PのCT画像は、放射線のエネルギーの大きさをデジタル値で表した三次元のデジタル画像である。CT撮影装置16は、生成したCT画像を医用画像処理装置100に出力する。CT撮影装置16における患者Pの体内の三次元での撮影、つまり、それぞれの放射線源からの放射線の照射や、それぞれの放射線検出器が検出した放射線に基づいたCT画像の生成は、例えば、撮影制御部(不図示)によって制御される。
【0022】
治療ビーム照射門18は、患者Pの体内に存在する治療対象の部位である腫瘍(病巣)を破壊するための放射線を治療ビームBとして照射する。治療ビームBは、例えば、X線、γ線、電子線、陽子線、中性子線、重粒子線などである。治療ビームBは、治療ビーム照射門18から直線的に患者P(より具体的には、患者Pの体内の腫瘍)に照射される。治療ビーム照射門18における治療ビームBの照射は、例えば、治療ビーム照射制御部(不図示)によって制御される。治療システム1では、治療ビーム照射門18が、特許請求の範囲における「照射部」の一例である。
【0023】
治療システム1が設置された治療室では、図1に示したような基準位置の三次元の座標が予め設定されている。そして、患者Pに治療ビームBを照射する治療室では、予め設定された基準位置の三次元の座標に従って、治療ビーム照射門18の設置位置や、治療ビームBを照射する方向(照射方向)、寝台12の設置位置、CT撮影装置16の設置位置、患者Pの体内を撮影したCT画像の撮影位置などが把握されている。以下の説明においては、治療室において予め設定されている基準位置の三次元の座標系を、「部屋座標系」と定義する。そして、以下の説明において、「位置」とは、部屋座標系に従って表される、寝台12が備える並進機構による三軸方向(三次元)の座標のことであり、「姿勢」とは、部屋座標系に従って表される、寝台12が備える回転機構による三軸回りの回転角度のことであるものとする。例えば、寝台12の位置とは、寝台12に含まれる所定の点の位置を三次元の座標で表したものであり、寝台12の姿勢とは、寝台12の回転角度をヨー、ロール、ピッチで表したものである。
【0024】
放射線治療においては、治療室を模擬した状況において治療計画が立てられる。つまり、放射線治療では、治療室において患者Pが寝台12に乗せられた状態を模擬して、治療ビームBを患者Pに照射する際の照射方向や強度などが計画される。このため、治療計画の段階(治療計画段階)のCT画像には、治療室内における寝台12の位置および姿勢を表すパラメータなどの情報が付与されている。これは、放射線治療を行う直前に撮影されたCT画像や、以前の放射線治療の際に撮影されたCT画像においても同様である。つまり、CT撮影装置16によって患者Pの体内を撮影したCT画像には、撮影したときの寝台12の位置および姿勢を表すパラメータが付与されている。
【0025】
図1では、CT撮影装置16と、固定された1つの治療ビーム照射門18とを備える治療装置10の構成を示したが、治療装置10の構成は、上述した構成に限定されない。例えば、治療装置10は、CT撮影装置16に代えて、1組の放射線源と放射線検出器とが円環状の開口部の内側を回転する構成のCT撮影装置や、コーンビーム(Cone-Beam:CB)CT装置、磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置、超音波診断装置など、患者Pの体内を三次元で撮影した画像を生成する撮影装置を備える構成であってもよい。例えば、治療装置10は、患者Pに水平方向から治療ビームを照射する治療ビーム照射門をさらに備えるなど、複数の治療ビーム照射門を備える構成であってもよい。例えば、治療装置10は、図1に示した1つの治療ビーム照射門18が、図1に示した水平方向Xの回転軸に対して360度回転するなど、患者Pの周辺を回転することによって様々な方向から治療ビームを患者Pに照射する構成であってもよい。例えば、治療装置10は、CT撮影装置16に代えて、放射線源と放射線検出器との組で構成される撮像装置を一つあるいは複数備え、この撮像装置が、図1に示した水平方向Xの回転軸に対して360度回転することによって、患者Pの体内を様々な方向から撮影する構成であってもよい。このような構成は、回転ガントリ型治療装置と呼ばれる。この場合、例えば、図1に示した1つの治療ビーム照射門18が、撮像装置と同じ回転軸で同時に回転する構成であってもよい。
【0026】
医用画像処理装置100は、CT撮影装置16により出力されたCT画像に基づいて、放射線治療を行う際に患者Pの位置を合わせるための処理を行う。より具体的には、医用画像処理装置100は、例えば、治療計画段階など、放射線治療を行う前に撮影した患者PのCT画像と、放射線治療を行う治療の段階(治療段階)においてCT撮影装置16によって撮影された現在の患者PのCT画像とに基づいて、患者Pの体内に存在する腫瘍や組織の位置を合わせるための処理を行う。そして、医用画像処理装置100は、治療ビーム照射門18から照射される治療ビームBの照射方向を治療計画段階において設定した方向に合わせるために寝台12を移動させる移動量信号を、寝台制御部14に出力する。つまり、医用画像処理装置100は、放射線治療において治療を行う腫瘍や組織に治療ビームBが適切に照射させる方向に患者Pを移動させるための移動量信号を、寝台制御部14に出力する。
【0027】
医用画像処理装置100と、治療装置10が備える寝台制御部14やCT撮影装置16とは、有線によって接続されていてもよいし、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などの無線によって接続されていてもよい。
【0028】
(治療計画)
次に、医用画像処理装置100において移動量計算処理を行う前に行われる治療計画について説明する。治療計画では、患者Pに照射する治療ビームB(放射線)のエネルギー、照射方向、照射範囲の形状、複数回に分けて治療ビームBを照射する場合における線量の配分などを定める。より具体的には、まず、治療計画の立案者(医師など)が、治療計画段階において撮影した第1画像(例えば、CT撮影装置16により撮影したCT画像)に対して、腫瘍(病巣)の領域と正常な組織の領域との境界、腫瘍とその周辺にある重要な臓器との境界などを指定する。そして、治療計画では、治療計画の立案者(医師など)が指定した腫瘍に関する情報から算出した、患者Pの体表面からの腫瘍の位置までの深さや、腫瘍の大きさに基づいて、治療ビームBを照射する方向(治療ビームBが通過する経路)や強度などを決定する。
【0029】
腫瘍の領域と正常な組織の領域との境界の指定は、腫瘍の位置および体積を指定することに相当する。この腫瘍の体積は、肉眼的腫瘍体積(Gross Tumor Volume:GTV)、臨床的標的体積(Clinical Target Volume:CTV)、内的標的体積(Internal Target Volume:ITV)、計画標的体積(Planning Target Volume:PTV)などと呼ばれている。GTVは、画像から肉眼で確認することができる腫瘍の体積であり、放射線治療においては、十分な線量の治療ビームBを照射する必要がある体積である。CTVは、GTVと治療すべき潜在性の腫瘍とを含む体積である。ITVは、予測される生理的な患者Pの動きなどによってCTVが移動することを考慮し、CTVに予め定めた余裕(マージン)を付加した体積である。PTV(「照射野」の一例である)は、治療を行う際に行う患者Pの位置合わせにおける誤差を考慮して、ITVにマージンを付加した体積である。これらの体積には、下式(1)の関係が成り立っている。
【0030】
【数1】
【0031】
一方で、放射線の感受性が高く、照射された放射線の線量の影響が強く表れる腫瘍の周辺に位置する重要な臓器の体積は、危険臓器(Organ At Risk:OAR)と呼ばれている。このOARに予め定めた余裕(マージン)を付加した体積として計画危険臓器体積(Planning Organ At Risk Volume:PRV)が指定される。PRVは、放射線によって破壊したくないOARを避けて放射線を照射させる体積(領域)をマージンとして付加して指定される。これらの体積には、下式(2)の関係がある。
【0032】
【数2】
【0033】
治療計画段階においては、実際の治療において生じる可能性がある誤差を考慮したマージンに基づいて、患者Pに照射する治療ビームB(放射線)の方向(経路)や強さを決定する。
【0034】
図2は、治療計画段階と治療段階におけるCTVおよびPTVを説明するための図である。図2(a)は、治療計画段階におけるCTVおよびPTVを表し、図2(b)は、治療段階におけるCTVおよびPTVを表す。治療計画段階において、治療計画の立案者は、CT画像上でCTVおよびPTVの境界を指定する(より具体的には、CT画像を複数方向から切り出した複数の二次元断層画像上でCTVおよびPTVの境界を指定し、三次元のCTVおよびPTVに変換する)。治療計画段階で指定されたCTVおよびPTVは、後述するDIR(Deformable Image Registration)やオプティカルフローなどの手法を用いて、治療段階において撮影されたCT画像上にコピーされる。図2(b)の治療段階におけるCTVおよびPTVは、図2(a)の治療計画段階において指定されたCTVおよびPTVがコピーされたものである。治療時には、コピーされたPTVに対して治療ビームBが照射される。
【0035】
しかしながら、図2(b)の符号SVによって示される通り、臓器の種類によっては、コピーに伴うCTVやPTVの誤差が大きく、CTVがPTVから外れることがある(インターフラクション)。その場合、領域SVは治療ビームBの照射範囲から外れることとなり、腫瘍の治療に不都合をもたらす。本発明に係る医用画像処理装置100は、このような課題に対処するものである。
【0036】
(医用画像処理装置の構成)
以下、第1の実施形態の医用画像処理装置100について説明する。図3は、第1の実施形態の医用画像処理装置100の概略構成を示すブロック図である。医用画像処理装置100は、例えば、第1画像取得部102と、第2画像取得部104と、レジストレーション部110と、を備える。レジストレーション部110は、例えば、領域取得部112と、画像類似度計算部114と、コスト計算部116と、を備える。
【0037】
医用画像処理装置100が備える構成要素のうち一部または全部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。これらの構成要素の機能のうち一部または全部は、専用のLSIによって実現されてもよい。プログラムは、予め医用画像処理装置100が備えるROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体が医用画像処理装置100が備えるドライブ装置に装着されることで医用画像処理装置100が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。プログラムは、他のコンピュータ装置からネットワークを介してダウンロードされて、医用画像処理装置100が備えるHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0038】
第1画像取得部102は、治療前の患者Pに関する第1画像と、その第1画像を撮影したときの位置および姿勢を表すパラメータとを取得する。第1画像は、放射線治療を行う際の治療計画段階において、例えば、CT撮影装置16によって撮影される、患者Pの体内の立体形状を表す三次元のCT画像である。第1画像は、放射線治療において患者Pに照射する治療ビームBの方向(傾きや距離などを含む経路)や強さを決定するために用いられる。第1画像には、決定された治療ビームBの方向(照射方向)や強さが設定される。第1画像は、寝台12に固定することによって患者Pの位置および姿勢(以下、「体位」という)を一定に維持した状態で撮影される。第1画像を撮影したときの患者Pの体位を表すパラメータは、第1画像を撮影したときのCT撮影装置16の位置や姿勢(撮影方向や撮影倍率)であってもよいし、例えば、第1画像を撮影したときの寝台12の位置および姿勢、つまり、患者Pの体位を一定に維持するために寝台12に設けられた並進機構および回転機構に設定した設定値であってもよい。第1画像取得部102は、取得した第1画像とパラメータとをレジストレーション部110に出力する。
【0039】
第2画像取得部104は、放射線治療を開始する直前に撮影した患者Pに関する第2画像と、その第2画像を撮影したときの位置および姿勢を表すパラメータとを取得する。第2画像は、放射線治療において治療ビームBを照射する際の患者Pの体位を合わせるために、例えば、CT撮影装置16によって撮影された患者Pの体内の立体形状を表す三次元のCT画像である。つまり、第2画像は、治療ビーム照射門18から治療ビームBを照射していない状態でCT撮影装置16によって撮影された画像である。言い換えれば、第2画像は、第1画像を撮影した時刻と異なる時刻に撮影されたCT画像である。この場合、第1画像と第2画像とは、撮影された時刻が異なるが、それぞれの画像の撮影方法は同様である。このため、第2画像は、第1画像を撮影したときの体位と同様の体位に近づけた状態で撮影される。第2画像を撮影したときの患者Pの体位を表すパラメータは、第2画像を撮影したときのCT撮影装置16の位置や姿勢(撮影方向や撮影倍率)であってもよいし、例えば、第2画像を撮影したときの寝台12の位置および姿勢、つまり、患者Pの体位を第1画像を撮影したときの体位と同様の体位に近づけるために寝台12に設けられた並進機構および回転機構に設定した設定値であってもよい。第2画像取得部104は、取得した第2画像とパラメータとをレジストレーション部110に出力する。
【0040】
なお、第1画像および第2画像は、CT撮影装置16によって撮影されたCT画像に限定されるものではなく、例えば、CBCT装置、MRI装置、超音波診断装置など、CT撮影装置16とは異なる撮像装置で撮影された三次元の画像であってもよい。例えば、第1画像がCT画像であり、第2画像がMRI装置で撮影された三次元の画像であってもよい。
【0041】
さらに、第1画像および第2画像は、X線透視画像などの二次元画像であってもよい。その場合、第1画像取得部102と第2画像取得部104は、3次元のCT画像から仮想的に透視画像を再構成したDRR画像を取得して、それぞれ第1画像と第2画像としてもよい。第1画像および第2画像が二次元画像である場合、位置および姿勢を表すパラメータは、当該画像の治療室内における位置と、平面内の回転角度となる。
【0042】
(積分画像の生成)
第1画像と第2画像とを位置合わせする場合、例えば、部屋座標系に配置された第2画像の位置および姿勢を固定し、第1画像を移動しながら、画像の類似度(例えば、第1画像と第2画像との画素値の差分)が高い空間上の位置を求めるものである。しかしながら、この方法では、第1画像と第2画像とのそれぞれにおける画素値の差分は小さくなるものの、必ずしも、放射線治療において重要な治療計画において立案者(医師など)が指定した腫瘍に対する治療ビームBの線量分布まで一致するように計算されるとは限らない。放射線(ここでは、治療ビームB)は、物質を通過する際にエネルギーを失うため、治療計画ではCT画像を用いて仮想的に照射した放射線のエネルギー損失量を計算することによって、放射線の照射方法を定めることが行われる。このことを考えると、治療段階において患者Pの位置を合わせる際には、照射する治療ビームBが通過する経路上に存在する患者Pの体内の組織も一致していることが重要になる。
【0043】
このような事情を背景にして、照射する治療ビームBによって患者Pの体内の腫瘍に与えるエネルギーが治療計画段階において計画したエネルギーにより近くなるような位置合わせを可能とするために、第1画像取得部102と第2画像取得部104は、CT画像内を治療ビームBが通過する経路上に存在する画素(ボクセル)の画素値(CT値)を積分した積分画像(水等価厚画像)を生成し、生成された積分画像を、それぞれ第1画像および第2画像として取得する。すなわち、第1画像取得部102と第2画像取得部104は、特許請求の範囲における「画像変換部」としても機能する。第1画像取得部102と第2画像取得部104は、生成された積分画像である第1画像および第2画像をレジストレーション部110に出力する。以下、積分画像の計算方法の概略について、CT画像としての第1画像に対応する第1積分画像を計算する第1画像取得部102を例として説明する。
【0044】
第1画像取得部102による第1積分画像の計算では、まず、第1画像に含まれる画素の中から、治療ビームBが通過する経路上に位置する画素を抽出する。治療ビームBが通過する経路は、治療室内における方向に関する情報(以下、「方向情報」という)に含まれる治療ビームBの照射方向に基づいて、治療ビーム照射門18から照射された治療ビームBが患者Pを通過する経路を、部屋座標系の三次元の座標として得ることができる。方向情報には、例えば、治療ビームBの照射方向を表す情報と、寝台12の移動方向を表す情報とが含まれる。方向情報は、予め設定された部屋座標系で表された情報である。治療ビームBが通過する経路は、部屋座標系の三次元の座標で表される治療ビーム照射門18の位置を起点とした三次元のベクトルとして得てもよい。
【0045】
第1画像取得部102は、第1画像取得部102により出力された第1画像と、第1画像の位置および姿勢を表すパラメータと、方向情報とに基づいて、第1画像内を治療ビームBが通過する経路上に存在する画素(ボクセル)の画素値(CT値)を積分した第1積分画像を計算する。
【0046】
以下、治療ビーム照射門18から照射する治療ビームBの照射方向について説明する。以下の説明においては、治療ビームBの経路が三次元のベクトルであるものとする。図4は、治療システム1における放射線(治療ビームB)の出射と放射線(治療ビームB)の照射対象(患者Pの体内に存在する腫瘍)との関係の一例を説明する図である。図4には、治療ビーム照射門18から照射した治療ビームBが照射対象である患者Pの体内に存在する腫瘍の領域(範囲)に到達するまでの経路の一例を示している。図4は、治療ビーム照射門18から治療ビームBを出射する構成である場合の一例である。
【0047】
治療ビーム照射門18が治療ビームBを出射する構成である場合、治療ビーム照射門18は、図4に示したように、平面状の出射口を持っている。治療ビーム照射門18から出射された治療ビームBは、コリメータ18-1を経由して照射対象の腫瘍に到達する。つまり、治療ビーム照射門18から出射された治療ビームBの内、コリメータ18-1を通過した治療ビームB’のみが、照射対象の腫瘍に到達する。コリメータ18-1は、不要な治療ビームB”を遮断するための金属製の器具である。コリメータ18-1は、治療ビームBが患者Pの体内に存在する腫瘍以外の領域に照射されないようにするため、例えば、照射対象の腫瘍の形状に合わせて治療ビームBが通過する領域が調整される。コリメータ18-1は、例えば、不要な治療ビームB”を遮断する領域を機械的に変化させることができるマルチリーフコリメータなどであってもよい。図4には、治療ビームBの内、コリメータ18-1を通過した治療ビームB’が、第1画像内の照射対象の腫瘍に照射される場合の一例を模式的に示している。この場合、治療ビームB’の経路における起点は、治療ビーム照射門18の平面状の出射口の範囲内に位置する治療ビームB’の出射点の位置である。治療ビーム照射門18の三次元の位置は、例えば、出射口の平面の中心の位置(座標)である。
【0048】
第1画像取得部102は、治療ビームB’の照射方向を治療ビームBの照射方向を表す情報として含む方向情報を取得する。第1画像取得部102は、治療ビームB’が第1画像内の照射対象の腫瘍まで到達する経路を、所定の三次元空間内に照射される治療ビームB’の経路とする。ここで、照射対象の腫瘍位置を部屋座標系での位置iによって表し、その位置に到達する治療ビームB’の経路b(i)は、三次元ベクトルの集合によって、下式(1)のように、離散的に表すことができる。
【0049】
【数3】
【0050】
それぞれの経路の起点、つまり、三次元のベクトルb(i)の起点は、それぞれの経路b(i)で照射対象の腫瘍まで到達する治療ビームB’の出射点の位置である。この起点の三次元位置をSで表す。また、Ωは、照射対象の腫瘍位置、つまり、PTVやGTVの部屋座標系での位置の集合である。
【0051】
図5は、治療システムにおける放射線の出射と放射線の照射対象との関係の別の一例を説明する図である。図5にも、治療ビーム照射門18から照射した治療ビームBが照射対象である患者Pの体内に存在する腫瘍の領域(範囲)に到達するまでの経路の一例を示している。図5は、治療ビーム照射門18が、出射した治療ビームBを走査する構成である場合の一例である。この構成の場合、治療ビーム照射門18は、図5に示したように、コリメータ18-1を備えず、1つの出射口を持っている。治療ビーム照射門18の1つの出射口から出射された治療ビームBは、例えば、磁石などによって方向が曲げられることにより、照射対象の腫瘍の全体の領域を塗りつぶす(スキャンする)ように走査されて、照射対象の腫瘍に照射される。図5には、治療ビームBの照射方向が走査されて、第1画像内の照射対象の腫瘍に照射される場合の一例を模式的に示している。この場合、走査された治療ビームBのそれぞれの経路における起点は、治療ビーム照射門18の出射口の位置である。治療ビーム照射門18の三次元の位置は、1つの出射口の位置(座標)である。この場合の部屋座標系のある位置iに到達する治療ビームBの経路b(i)は、上式(3)と同様に、離散的に表すことができる。
【0052】
第1画像取得部102は、治療ビームBが走査される照射方向を治療ビームBの照射方向を表す情報として含む方向情報を取得し、走査された治療ビームBが第1画像内の照射対象の腫瘍の位置を表す部屋座標系の座標iまで到達する経路b(i)を、所定の三次元空間内に照射される治療ビームBの経路とする。この場合の治療ビームBの経路も、三次元ベクトルの集合によって、上式(3)のように、離散的に表すことができる。それぞれの経路の起点、つまり、三次元のベクトルb(i)の起点は、治療ビーム照射門18の出射口の位置である。
【0053】
次に、設定された治療ビームBの経路に基づいて、積分画像を計算する方法について説明する。以下の説明においては、所定の三次元空間(部屋座標系)のある1点の位置iを点iと表す。そして、所定の三次元空間内に仮想的に配置した第1画像に含まれる点iに対応する三次元の画素の画素値をI(x)と表す。同様に、所定の三次元空間内に仮想的に配置した第2画像に含まれる点iに対応する三次元の画素の画素値をT(x)と表す。第1画像または第2画像内に点iに対応する画素がない場合の画素値は“0”とする。xは、所定の三次元空間内における第1画像または第2画像の位置および姿勢を表すベクトルxのパラメータである。
【0054】
治療ビームBにおける治療ビーム照射門18の出射口の位置、すなわち、起点Sの三次元ベクトル0から点iまでのベクトルは下式(4)で表すことができる。
【0055】
【数4】
【0056】
この場合、第1画像取得部102が第1画像において点iまでの治療ビームBの経路上に位置するそれぞれの画素の画素値を積算した第1積分画像に含まれる画素の画素値(以下、「積分画素値」という)数式(5)は、下式(6)によって計算することができる。
【0057】
【数5】
【0058】
【数6】
【0059】
同様に、第2画像取得部104が第2画像において点iまでの治療ビームBの経路上に位置するそれぞれの画素の画素値を積算した第2積分画像に含まれる画素の積分画素値数式(7)は、下式(8)によって計算することができる。
【0060】
【数7】
【0061】
【数8】
【0062】
上式(6)および上式(8)において、tは媒介変数であり、f(x)はCT画像の画素値(CT値)を変換する関数である。関数f(x)は、例えば、放射線のエネルギー損失量を水等価厚に変換する変換テーブルに従った関数である。上述したように、放射線は、物質を通過する際にエネルギーを失う。このとき、放射線が失うエネルギー量は、CT画像のCT値に応じたエネルギー量である。つまり、放射線のエネルギー損失量は均一ではなく、例えば、骨や脂肪など、患者Pの体内の組織によって異なる。水等価厚は、組織(物質)ごとに異なる放射線のエネルギー損失量を、同じ物質である水の厚みとして表した値であり、CT値に基づいて換算することができる。例えば、CT値が骨を表す値である場合には、放射線が骨を通過する際のエネルギー損失量は多いため、水等価厚は大きな値となる。例えば、CT値が脂肪を表す値である場合には、放射線が脂肪を通過する際のエネルギー損失量は少ないため、水等価厚は小さな値となる。例えば、CT値が空気を表す値である場合には、放射線が空気を通過する際のエネルギー損失量はないため、水等価厚は“0”となる。CT画像に含まれるそれぞれのCT値を水等価厚に変換することによって、治療ビームBの経路上に位置するそれぞれの画素によるエネルギー損失量を、同じ基準で表すことができる。CT値を水等価厚に変換する変換式としては、例えば、実験的に求めた非線形の換算データに基づいた回帰式を用いる。実験的に求めた非線形の換算データに関しては、種々の文献が発表されている。関数f(x)は、例えば、恒等写像をするための関数であってもよい。または、関数f(x)は、治療部位に応じて、定義が切り替えられるものであってもよい。以上のようにして、第1画像取得部102および第2画像取得部104は、積分画像としての第1画像および第2画像をそれぞれ取得する。
【0063】
(領域の推定および取得)
領域取得部112は、第1画像および第2画像から、第1画像または第2画像のいずれか、または両方に対応する2つ以上の領域を取得して、コスト計算部116に出力する。より具体的には、領域取得部112は、第1画像から、治療計画時に指定された腫瘍の位置や体積を含めた領域(PTV、CTVなど)を取得し、第2画像から、第1画像において指定された領域の動きを推定することによって得られた領域を取得する。
【0064】
領域の動きを推定するために、領域取得部112は、第1画像に対して指定された腫瘍の領域内の画像と類似している第2画像内の領域の動きを求める。その方法として領域取得部112は、例えば、DIRやオプティカルフローの技術を用いる。
【0065】
オプティカルフローを求める方法の一例として、領域取得部112は、第1画像に対して指定された腫瘍の領域を表す画像をテンプレートとし、第2画像に対してテンプレートマッチングを行うことによって、最も類似した画像の位置を第2画像内の腫瘍の位置として探索する。そして、領域取得部112は、探索した第2画像内の腫瘍の位置の動きベクトルを求め、求めた全ての動きベクトルを動きモデルとする。領域取得部112は、テンプレートとした腫瘍の領域を複数の小さな領域(以下、「小領域」という)に分割し、分割したそれぞれの小領域を表す画像をそれぞれのテンプレートとしてもよい。この場合、領域取得部112は、それぞれの小領域のテンプレートごとにテンプレートマッチングを行って、最も類似した第2画像内の腫瘍の位置を、それぞれの小領域ごとに探索する。そして、領域取得部112は、探索したそれぞれの小領域ごとに対応する第2画像内の腫瘍の位置の動きベクトルを求め、それぞれ求めた全ての動きベクトルを動きモデルとする。領域取得部112は、求めた動きベクトルの平均ベクトルや、メディアンベクトルなどを、動きモデルとしてもよい。
【0066】
オプティカルフローを求める方法の別の例として、領域取得部112は、第1画像に対して指定された腫瘍の領域内の画素値の分布と類似している第2画像内の領域の動きを求めてもよい。その方法として領域取得部112は、例えば、画素値のヒストグラムが類似する位置を、ミーンシフト(Mean Shift)やメドイドシフト(Medoid Shift)などで探索して物体を追跡する技術を利用してもよい。このとき、領域取得部112は、第1画像に対して指定された腫瘍の領域内の全ての画素値を用いて求めた画素値のヒストグラムの分布を利用して、動きモデルを生成する。領域取得部112は、第1画像に対して指定された腫瘍の領域を複数の小領域に分割し、分割したそれぞれの小領域ごとに、領域内の画素値を用いて求めた画素値のヒストグラムの分布を利用して、それぞれの小領域に対応する動きモデルを生成してもよい。この場合、領域取得部112は、それぞれの小領域に対応する複数の動きモデルをまとめて動きモデル群としてもよいし、動きモデル群の平均ベクトルや、メディアンベクトルなどを、動きモデルとしてもよい。
【0067】
なお、領域取得部112は、第1画像から取得する領域を、第2画像で設定されるPTVと同一か又は小さい領域にしてもよい。これにより、第1画像から取得した領域が確実に第2画像のPTVに含めるようにすることができる。さらに、領域取得部112が取得する領域は、治療計画で定めた全ての領域ではなく、PTVやOARなどの一部の領域でもよい。
【0068】
(画像類似度の計算)
画像類似度計算部114は、第1画像取得部102から第1画像とその位置および姿勢を表すパラメータと、第2画像取得部104から第2画像とその位置および姿勢を表すパラメータとを取得し、第1画像と第2画像との間の画像類似度を計算してレジストレーション部110に出力する。より具体的には、例えば、画像類似度計算部114は、下式(9)に従って、第1画像と第2画像の空間的に同じ位置での画素値の差の絶対値を求め、画像全体での総和を画像類似度として計算する。
【0069】
【数9】
【0070】
式(9)において、Δxは、第1画像と第2画像との間の位置および姿勢のずれ量を表し、xplanは、治療計画におけるPTVに含まれる座標を表し、R(xplan)は、座標xplanにおける画素値を表す。
【0071】
なお、画像類似度計算部114は、類似度として、第1画像と第2画像の空間的に同じ位置での正規化相互相関を用いてもよい。このとき、相関をとる範囲は、計算対象の画素を中心に、3x3x3などの小領域を対象にする。さらに、画像類似度計算部114は、類似度として、第1画像と第2画像の空間的に同じ位置での相互情報量を用いてもよい。さらに、画像類似度計算部114は、類似度を計算するに当たって、各画像に対応する領域内の画素に絞ってもよい。
【0072】
(コストの計算)
放射線治療においては、腫瘍がPTVを外れると、治療計画通りの線量を投与することができず、十分な治療効果が得られないなどリスクがある。また、OARに計画以上の線量が投与されると、副作用が大きくなるリスクがある。これらのリスクは、画像の類似度では計測できない。そこで、このようなリスクを図る「コスト」という指標を導入する。
【0073】
コスト計算部116は、領域取得部112から取得した2つ以上の領域を用いて、領域間の位置関係に基づくコストを計算してレジストレーション部110に出力する。より具体的には、コスト計算部116は、下式(10)に従って、領域間の位置関係に基づくコストを計算する。
【0074】
【数10】
【0075】
式(10)において、fはコスト関数を表し、λはコストに与える重みを表す。コスト関数fは、例えば、図2(b)に示される通り、治療段階におけるCTVがPTVの範囲から逸脱するほど、より大きな値を取り、コストとして反映されるように定義されるものである。この場合、PTVの外側に治療段階のCTVがはみ出しているため、腫瘍への線量が計画よりも低くなり治療効果が低減する可能性がある。そこで、逸脱している部分の体積SV(又は面積)に応じた値をコスト関数fとして定義するものである。
【0076】
代替的に、コスト関数fは、PTVと第1画像内のOARの位置が近いほど高くなるように設計されても良い。このように、治療計画で定められた2つ以上の領域間の位置関係に基づいてコスト関数を設計することができる。また、複数のコスト関数の線形和としてコスト関数fを定義してもよい。また、重みλは、例えば、PTVが狭いほど大きくされてもよく、PTVとOARの位置が近いほど、大きくされてもよい。
【0077】
(レジストレーションの実行)
レジストレーション部110は、画像類似度計算部114の計算結果と、コスト計算部116の計算結果とに基づいて、算出された画像の類似度が高く、かつコストを低くするように第1画像の位置を求める。より具体的には、レジストレーション部110は、まず、コスト関数E(Δx)を、下式(11)によって示される通り、画像類似度計算部114の計算結果とコスト計算部116の計算結果の和として定義する。
【0078】
【数11】
【0079】
式(11)をxの周りでテイラー展開すると、下式(12)を得る。
【0080】
【数12】
【0081】
ずれ量Δxの極小値を求めるために、右辺を移動量Δxで微分して0とおくと、下式(13)を得る。
【0082】
【数13】
【0083】
式(13)をΔxについて解くと、下式(14)を得る
【0084】
【数14】
【0085】
式(14)において、Hは、下式(15)によって定義されるヘシアン行列である。式(15)において、Vは第1画像を所定の三次元空間内に配置したときの位置および姿勢のベクトルを表す。ベクトルVは、上述した方向情報が示す軸の数と同じ次元であり、例えば、上記六自由度の場合には六次元のベクトルである。
【0086】
【数15】
【0087】
レジストレーション部110は、式(11)におけるxの初期値として、事前に用意された候補位置を表す座標xplanを代入して、コスト関数E(Δx)を算出し、式(14)によってΔxを算出する。次に、レジストレーション部110は、算出されたΔxを用いてx=x+Δxと更新し、コスト関数E(Δx)を再算出する。レジストレーション部110は、コスト関数E(Δx)の算出を所定回数繰り返すか、又はコスト関数E(Δx)の前回結果と今回結果との間の差分が閾値未満である場合に、処理を終了する。レジストレーション部110は、処理が終了した時点におけるずれ量Δxに基づいて、寝台12の移動量を算出し、移動量信号を出力する。
【0088】
なお、上記の説明において、レジストレーション部110は、式(11)によってコスト関数E(Δx)を定義している。しかし、本発明はそのような構成に限定されず、レジストレーション部110は、例えば、下式(16)によってコスト関数E(Δx)を定義してもよい。
【0089】
【数16】
【0090】
式(16)は、式(14)に加えて、λ|Δx|をコスト関数E(Δx)に追加したものである。式(16)中、λは式(12)のλに対応し、λは、ずれ量|Δx|2に与える重みを表す。すなわち、コスト関数E(Δx)を式(16)によって定義することにより、CT画像のずれ量を考慮してコストを算出することができる。
【0091】
式(16)をxの周りでテイラー展開すると、下式(17)を得る。
【0092】
【数17】
【0093】
ずれ量Δxの極小値を求めるために、右辺を移動量Δxで微分して0とおくと、下式(18)を得る。
【0094】
【数18】
【0095】
式(18)をΔxについて解くと、下式(19)を得る。
【0096】
【数19】
【0097】
式(19)において、Hは、下式(20)によって定義されるヘシアン行列である。上式(16)において、λ|Δx|をコスト関数E(Δx)に追加したことにより、式(15)のヘシアン行列Hとは異なり、λEが剰余項としてHに追加されている。
【0098】
【数20】
【0099】
レジストレーション部110は、式(16)におけるxの初期値として、事前に用意された候補位置を表す座標xplanを代入して、コスト関数E(Δx)を算出し、式(19)によってΔxを算出する。次に、レジストレーション部110は、算出されたΔxを用いてx=x+Δxと更新し、コスト関数E(Δx)を再算出する。レジストレーション部110は、コスト関数E(Δx)の算出を所定回数繰り返すか、又はコスト関数E(Δx)の前回結果と今回結果との間の差分が閾値未満である場合に、処理を終了する。レジストレーション部110は、処理が終了した時点におけるずれ量Δxに基づいて、寝台12の移動量を算出し、移動量信号を出力する。
【0100】
次に、図6を参照して、第1の実施形態の医用画像処理装置100によって実行される処理の流れについて説明する。図6は、第1の実施形態の医用画像処理装置100によって実行される処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
まず、医用画像処理装置100は、第1画像取得部102と第2画像取得部104とを用いて、第1画像とその位置および姿勢を表すパラメータと、第2画像とその位置および姿勢を表すパラメータとを取得する(ステップS100)。次に、医用画像処理装置100は、領域取得部112を用いて、第1画像または第2画像のいずれか、または両方に対応する2つ以上の領域を取得する(ステップS102)。
【0102】
次に、医用画像処理装置100は、画像類似度計算部114を用いて、第1画像と第2画像との間の類似度を算出する(ステップS104)。次に、医用画像処理装置100は、コスト計算部116を用いて、取得された2つ以上の領域間の位置関係に基づいてコストを計算する(ステップS106)。
【0103】
次に、医用画像処理装置100は、レジストレーション部110を用いて、類似度とコストの和を算出し、計算回数が所定回数以上か、又は算出された和の今回値と前回値との間の差分が閾値以内であるか否かを判定する(ステップS108)。計算回数が所定回数以内か、又は算出された和の今回値と前回値との間の差分が閾値以内であると判定された場合、医用画像処理装置100は、レジストレーション部110を用いて、ずれ量Δxに対応する移動量信号を算出および出力する(ステップS110)。一方、計算回数が所定回数以内ではなく、かつ算出された和の今回値と前回値との間の差分が閾値より大きいと判定された場合、医用画像処理装置100は、レジストレーション部110を用いて、パラメータをx=x+Δxとして更新し、処理を再度ステップS104に戻す。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0104】
なお、上述したフローチャートでは、レジストレーション部110は、計算回数が所定回数以内か、又は算出された和の今回値と前回値との間の差分が閾値以内であるか否かを判定している。しかし、本発明はそのような構成に限定されない。図7は、第1の実施形態の医用画像処理装置100によって実行される処理の流れの別の例を示すフローチャートである。以下、図6のフローチャートの処理との相違点を中心に説明する。
【0105】
ステップS100において、第1画像取得部102が第1画像を取得すると、第1画像取得部102は、第1画像の位置および姿勢について複数の候補を用意する(ステップS101)。ステップS104において、画像類似度計算部114は、用意された複数の候補の各々について類似度を算出し、ステップS106において、コスト計算部116は、用意された複数の候補の各々についてコストを計算する。ステップS107において、レジストレーション部110は、複数の候補のうち、類似度とコストの和が最小となるずれ量Δxを選択し、選択されたずれ量Δxに対応する移動量信号を出力する(ステップS110)。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0106】
以上の通り説明した第1の実施形態によれば、治療計画時と治療時において撮影された患者のCT画像同士の位置合わせを行う際に、CT画像の類似度に加えて、治療時の腫瘍や照射野、リスク臓器などの位置関係も利用してコストを算出し、類似度が高く、かつコストが低くなるような移動量信号を出力する。これにより、高速かつ高精度な画像照合を行うことができる。
【0107】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、事前に用意された候補位置および姿勢の中で最良の位置および姿勢を求める方法を説明した。しかしながら、この方法は、位置および姿勢の自由度が高ければ高いほど、その組み合わせが大きく計算時間がかかる。例えば、3次元空間での位置を表すパラメータとしては、X軸、Y軸、Z軸の3つが存在し、姿勢を表すパラメータとしては、XYZ軸を中心とした回転角度の3つが存在し、合計6個のパラメータの組み合わせになる。このような事情を背景にして、第2の実施形態に係る医用画像処理装置100Bは、第1の実施形態に比して、より効率的に位置および姿勢を求めるものである。
【0108】
図8は、第2の実施形態の医用画像処理装置100Bの概略構成を示すブロック図である。医用画像処理装置100Bは、第1画像取得部102と、第2画像取得部104と、レジストレーション部110と、を備える。レジストレーション部110は、領域取得部112と、近似画像計算部115と、移動コスト計算部117と、を備える。以下、第1の実施形態とは異なる構成を中心的に説明する。
【0109】
近似画像計算部115は、第1画像とその位置および姿勢を表すパラメータと、第2画像取得部104から第2画像とその位置および姿勢を表すパラメータとを取得し、第1画像の位置および姿勢における近似画像を計算する。近似画像計算部115は、計算した近似画像をレジストレーション部110に出力する。以下、近似画像の具体的な計算方法について説明する。
【0110】
(近似画像の計算)
以下の説明においては、部屋座標系に従う所定の三次元空間内に仮想的に配置した第1画像が含む画素(ボクセル)をI(V)とする。画素I(V)において、数式(19)は部屋座標系内での三次元の位置を表す。
【0111】
【数21】
【0112】
ベクトルVは、寝台12の移動を制御する際の自由度の方向に応じた少ない次元数であってもよい。例えば、寝台12の移動を制御する自由度の方向が四自由度方向である場合、ベクトルVは、四次元のベクトルであってもよい。一方、ベクトルVは、方向取得部106により出力された方向情報に基づいて、寝台12の移動方向に治療ビームBの照射方向を加えることにより、次元数を多くしてもよい。例えば、方向情報に含まれる治療ビームBの照射方向が、垂直方向と水平方向との二方向であり、寝台12の移動方向が六自由度の方向である場合、ベクトルVは、合計で八次元のベクトルであってもよい。
【0113】
近似画像計算部115は、第1画像を微少な移動量ΔVだけ移動(並進および回転)させた近似画像を計算する。ここで、移動量ΔVは、パラメータとして予め設定された微少な移動量である。近似画像計算部115は、第1画像が含むそれぞれの画素I(V)に対応する近似画像が含むそれぞれの画素I(V+ΔV)を、下式(22)とテイラー展開とによって計算(近似)する。
【0114】
【数22】
【0115】
上式(22)において、右辺の第3項のεは、画素I(V+ΔV)における2次以降をまとめて表記した項である。∇i(V)は、ベクトルVの張る三次元空間の自由度ごとに変化するベクトルの変化量を表す一次微分の値である。∇i(V)は、移動前(近似前)の第1画像と微少に移動させた近似画像とにおいて部屋座標系内で同じ位置iにある、対応する画素の画素値(例えば、CT値)の変化量を表すベクトルVと同じ次元数のベクトルで表される。例えば、寝台12の移動方向が六自由度の方向である場合、第1画像において部屋座標系の中心の位置iにある画素I(V)に対応する六次元のベクトル∇i(V)は、下式(23)で表される。
【0116】
【数23】
【0117】
上式(23)において、Δθx、Δθy、およびΔθzは、部屋座標系における三軸をx軸、y軸、およびz軸とした場合におけるそれぞれの軸を中心とした回転角度を表し、Δtx、Δty、およびΔtzは、それぞれの軸に並進する移動量を表す。上式(23)における右辺のそれぞれの要素は、第1画像の部屋座標系の位置iにおける画素値を表す。例えば、上式(23)における右辺の第1の要素「数式(24)」は、第1画像の部屋座標系の位置iにある画素I(V)を、x軸回りで回転角度Δθxだけ回転させたときの画素値である。この場合の数式(25)は、下式(26)で表される。上式(23)の右辺におけるその他の要素も同様に表すことができるが、それぞれの要素に関する詳細な説明は省略する。
【0118】
【数24】
【0119】
【数25】
【0120】
【数26】
【0121】
近似画像計算部115は、上述したように第1画像を微少な移動量ΔVだけ移動(並進および回転)させる計算を行った近似画像を、レジストレーション部110に出力する。近似画像計算部115は、レジストレーション部110により第1画像と第2画像とにずれがあることを表す情報が出力された場合、さらに微少な移動量ΔVだけ第1画像を移動(並進および回転)させた新たな近似画像を同様に計算し、計算を行った新たな近似画像をレジストレーション部110に出力する。
【0122】
移動コスト計算部117は、領域取得部112から2つ以上の領域を取得し、領域間の位置関係に基づく移動コストを計算してレジストレーション部110に出力する。ここで、移動コストとは、第1実施形態と同様に、領域間の位置関係に基づくコストを意味する。
【0123】
第2実施形態では、このコストを第1画像の位置および姿勢を表すVに依存する関数f(V)として定義する。ここで、iは、式(21)によって表させる部屋座標系での位置を示し、Vは第1画像を部屋座標系内に配置したときの位置および姿勢のベクトルを表す。なお、第2画像の位置および姿勢は固定されているため省略している。
【0124】
移動コスト計算部117は、第1画像を、画素ごとに領域内に含まれているかどうかを示すフラグ情報が埋め込まれた画素値から構成される領域画像に変換して、第1画像および第2画像の位置および姿勢と対応させてから、その近似画像を計算する。より具体的には、移動コスト計算部117は、f(V)をΔVだけ移動させたときの第1領域画像f(V+ΔV)を、下式(27)とテイラー展開とによって計算(近似)する。
【0125】
【数27】
【0126】
上式(27)において、右辺の第3項のεは、f(V+ΔV)における2次以降をまとめて表記した項である。f(V)は、∇i(V)と同様に、ベクトルVの張る空間の軸ごとに、微小に移動させた第1領域画像と、移動前の第1領域画像とにおいて部屋座標系の同じ位置iにある、画素値の変化量を表すVと同じ次元数のベクトルである。∇i(V)と同様に、f(V)が6次元のベクトルである場合、f(V)は下式(28)で表される。
【0127】
【数28】
【0128】
上式(28)において、Δθx、Δθy、およびΔθzは、部屋座標系における三軸をx軸、y軸、およびz軸とした場合におけるそれぞれの軸を中心とした回転角度を表し、Δtx、Δty、およびΔtzは、それぞれの軸に並進する移動量を表す。上式(28)における右辺のそれぞれの要素は、第1画像の部屋座標系の位置iにおける画素値を表す。例えば、上式(28)における右辺の第1の要素「数式(29)」は、第1画像の部屋座標系の位置iにある画素f(V)を、x軸回りで回転角度Δθxだけ回転させたときの画素値である。この場合の数式(30)は、下式(31)で表される。上式(28)の右辺におけるその他の要素も同様に表すことができるが、それぞれの要素に関する詳細な説明は省略する。
【0129】
【数29】
【0130】
【数30】
【0131】
【数31】
【0132】
(レジストレーションの実行)
レジストレーション部110は、第1画像取得部102から第1画像とその位置および姿勢を表すパラメータと、第2画像取得部104から第2画像とその位置および姿勢を表すパラメータと、領域取得部112から2つ以上の領域を取得し、近似画像計算部115の計算結果と、移動コスト計算部117の計算結果とに基づいて第1画像と第2画像との間のずれ量ΔVを計算する。レジストレーション部110は、計算されたずれ量ΔVに対応する移動量信号を出力する。より具体定には、レジストレーション部110は、下式(32)に従ってずれ量ΔVを算出する。
【0133】
【数32】
【0134】
上式(32)において、Ωは、部屋座標系において第1画像と第2画像とが重なっている領域に含まれる画素I(V)の位置iを全て含む集合である。集合Ωは、治療計画において立案者(医師など)が指定したPTVや、GTV、OARなど、腫瘍の領域に治療ビームBを照射する際に臨床的に意味のある空間的な領域を表す位置の集合であってもよい。また、集合Ωは、部屋座標系のビーム照射位置を中心とした所定の大きさの空間(球体、立方体、直方体)領域を表す位置の集合であってもよい。所定の大きさとは、患者Pの大きさ、または平均的な人体の大きさに基づいて設定する。集合Ωは、または、PTVやGTVを所定のスケールで広げた範囲としてもよい。式(32)において、コスト関数は、下式(33)によって定義される。
【0135】
【数33】
【0136】
式(33)において、T(Vplan)は、部屋座標系の位置iにおける配置Vplanの第2画像の画素値を表す。また、λは、調整パラメータである。λは、例えば、前述した治療時におけるリスクを重視する場合は大きな値を設定しておく。λは、例えば、Ωに含まれる画素数が大きいほど、大きな値を設定してもよい。なぜなら、領域内のうち、画素値は均一な部分の∇f(V)はゼロとなり、∇f(V)の非ゼロ部分は境界周辺のみとなる。そのため、相対的にコストが低く計算されるためである。
【0137】
レジストレーション部110が第1画像と第2画像とを比較するために用いるコスト関数E(ΔV,Ω)は、下式(34)で表されるような、連結していない2つの空間で設定されるコスト関数であってもよい。
【0138】
【数34】
【0139】
レジストレーション部110が第1画像と第2画像とを比較するために用いるコスト関数E(ΔV,Ω)は、部屋座標系の位置iに応じた重みを指定する関数数式(35)を使用して下式(36)のように表されるコスト関数であってもよい。
【0140】
【数35】
【0141】
【数36】
【0142】
関数数式(36)において、w(i)は、位置iと照射した治療ビームBの経路とに応じた値を戻り値として返す関数である。関数w(i)は、例えば、位置iが治療ビームBが通過する経路上の位置である場合には“1”、治療ビームBが通過する経路上の位置ではない場合には“0”というような2値を返す関数である。関数w(i)は、例えば、位置iと治療ビームBが通過する経路との間の距離が近いほど戻り値が高くなる関数であってもよい。
【0143】
関数w(i)は、例えば、位置iと、治療計画において立案者(医師など)が指定したPTVや、GTV、OARなど、腫瘍の領域に治療ビームBを照射する際に臨床的に意味のある空間的な領域を表す位置の集合とに応じた値を戻り値として返す関数であってもよい。関数w(i)は、例えば、位置iが空間的な領域を表す位置の集合である場合には“1”、位置iが空間的な領域を表す位置の集合ではない場合には“0”というような2値を返す関数であってもよい。関数w(i)は、例えば、位置iと空間的な領域との間の距離が近いほど戻り値が高くなる関数であってもよい。
【0144】
近似画像計算部115によって取得された近似画像を用いて式(32)を書き換えると、下式(37)を得る。
【0145】
【数37】
【0146】
上式(37)においては、近似画像計算部115により出力された近似画像の画素I(V+ΔV)を表す上式(22)における右辺の第3項のεを無視している。これは、上式(22)において2次以降をまとめて表記したεは、極小の値であるため、無視しても以降の処理に大きな影響を与えないためである。
【0147】
上式(37)の右辺に対して、移動量ΔVの極小値を求めるために、右辺を移動量ΔVで微分して0とおくと、移動量ΔVは、下式(38)で表される。
【0148】
【数38】
【0149】
ここで、上式(38)における右辺のHは、式式(15)によって定義されるヘシアン行列である。
【0150】
レジストレーション部110は、上式(38)により求めた移動量ΔVを用いて、第1画像の位置および姿勢のベクトルVを、下式(39)のように更新する。
【0151】
【数39】
【0152】
上式(39)においては、更新後の第1画像の位置および姿勢のベクトルVを、ベクトルVとしている。
【0153】
レジストレーション部110は、更新後の第1画像のベクトルVの変化が少なくなるまで、上式(38)による移動量ΔVの計算を繰り返す。ベクトルVの変化が少なくなるまでとは、移動量ΔVのノルム、すなわち、第1画像と第2画像との位置および姿勢のずれ量が、所定の閾値以下になることである。言い換えれば、第2画像に写された患者Pの体位が、第1画像に写された治療計画段階の患者Pの体位に合っている判定されることである。移動量ΔVのノルムとは、ベクトルのノルムであればよく、例えば、l0ノルム、l1ノルム、あるいはl2ノルムのいずれかを用いる。
【0154】
集合Ωが上述のようにPTVやGTVの領域の場合、第1画像の位置および姿勢が更新されると、集合Ωの要素も更新する必要がある。つまり、集合Ωは、部屋座標系における座標位置の集合であり、第1画像の部屋座標系での移動に伴って位置が変わるからである。このような更新を不要にするために、位置および姿勢が更新される第1画像には、集合Ωを規定する領域が含まれないことが望ましい。例えば、治療直前に撮影されたCT画像(これまでの第2画像)を第1画像とし、治療計画情報を含むCT画像(これまでの第1画像)を第2画像と入れ替えてもよい。
【0155】
レジストレーション部110における移動量ΔVの計算の繰り返しは、予め設定された繰り返し計算回数を超えるまでとしてもよい。この場合、レジストレーション部110が移動量ΔVの計算に要する時間を短くすることができる。しかしながら、この場合には、予め設定された繰り返し計算回数を超えた時点でレジストレーション部110は移動量ΔVの計算を終了するものの、移動量ΔVのノルムが所定の閾値以下になるとは限らない。言い換えれば、患者Pの位置合わせの計算に失敗している可能性が高いことも考えられる。この場合、レジストレーション部110は、予め設定された繰り返し計算回数を超えたことにより移動量ΔVの計算を終了したことを表す警告信号を、例えば、医用画像処理装置100Bまたは治療システム1が備える不図示の警告部に出力するようにしてもよい。これにより、不図示の警告部が、患者Pの位置合わせの計算に失敗している可能性があることを、医師などの放射線治療の実施者、つまり、治療システム1の利用者に通知することができる。
【0156】
レジストレーション部110は、上述したように計算した移動量ΔV、つまり、第1画像と第2画像との間の位置および姿勢のずれ量を、上式(5)におけるそれぞれの自由度ごとに計算する。そして、レジストレーション部110は、計算したそれぞれの自由度ごとのずれ量に基づいて、寝台12の移動量(並進量および回転量)を決定する。このとき、レジストレーション部110は、例えば、第1画像から近似画像を計算する際に移動した移動量ΔVをそれぞれの自由度ごとに合計する。そして、レジストレーション部110は、現在の患者Pの位置を、合計した移動量だけ移動させるような寝台12の移動量を、それぞれの自由度ごとに決定する。そして、レジストレーション部110は、決定した寝台12の移動量を表す移動量信号を寝台制御部14に出力する。
【0157】
次に、図9を参照して、医用画像処理装置100Bによって実行される処理の流れについて説明する。図9は、医用画像処理装置100Bによって実行される処理の流れを示すフローチャートである。まず、医用画像処理装置100は、第1画像取得部102と第2画像取得部104とを用いて、第1画像とその位置および姿勢を表すパラメータと、第2画像とその位置および姿勢を表すパラメータとを取得する(ステップS200)。次に、医用画像処理装置100Bは、近似画像計算部115を用いて、上述した方法により、第1画像の近似画像を計算する(ステップS202)。
【0158】
次に、医用画像処理装置100は、画像類似度計算部114を用いて、第1画像と第2画像との間の差分を算出する(ステップS204)。次に、医用画像処理装置100は、移動コスト計算部117を用いて、領域取得部112から取得された第1画像または第2画像のいずれか、または両方に対応する2つ以上の領域を、画素ごとに領域内に含まれているかどうかを示すフラグ情報が埋め込まれた画素値から構成される領域画像に変換して、第1画像および第2画像の位置および姿勢と対応させてから、その近似画像を計算する(ステップS206)。
【0159】
次に、医用画像処理装置100Bは、レジストレーション部110を用いて、上述した方法により、第1画像の近似画像と、第1画像と第2画像との間の差分と、領域画像の近似画像に基づいて、移動量ΔVを算出する(ステップS208)。次に、医用画像処理装置100Bは、レジストレーション部110を用いて、算出された移動量ΔVが終了条件(例えば、図6のフローチャートと同様、計算回数は所定回数以上、または前回値との差分は閾値以内であるか否か)を満たすか否かを判定する(ステップS210)。算出された移動量ΔVが終了条件を満たすと判定された場合、医用画像処理装置100Bは、確定された移動量ΔVを移動量信号として出力する。一方、終了条件が満たされていないと判定された場合、医用画像処理装置100Bは、レジストレーション部110を用いて、パラメータをx=x+Δxとして更新し(ステップS212)、処理を再度ステップS202に戻す。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0160】
以上の通り説明した第2の実施形態によれば、治療計画時と治療時において撮影された患者のCT画像同士の位置合わせを行う際に、近似画像を用いてコストを算出し、類似度が高く、かつコストが低くなるような移動量信号を出力する。これにより、高速かつ高精度な画像照合を行うことができる。
【0161】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0162】
1・・・治療システム、10・・・治療装置、12・・・寝台、14・・・寝台制御部、16・・・CT撮影装置、18・・・治療ビーム照射門、18-1・・・コリメータ、100,100B・・・医用画像処理装置、102・・・第1画像取得部、104・・・第2画像取得部、110・・・レジストレーション部、112・・・領域取得部、114・・・画像類似度計算部、115・・・近似画像計算部、116・・・コスト計算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9