(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170476
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】提案システム、提案方法及び提案プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20231124BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082275
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100153040
【弁理士】
【氏名又は名称】川井 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 隆一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】飲料に用いる香料に関して、所望の程度の創造性を有する香料の提案を可能とする提案システム、提案方法及び提案プログラムを提供する。
【解決手段】提案システム1は、既存飲料のうちの一の飲料を特定する参照飲料情報及び参照飲料に対する類似度を取得する参照飲料情報取得部12と、所定条件に基づいて、飲料に適用可能な複数の香料のうちから、飲料に用いる香料の候補となる香料情報を第1推奨香料情報として抽出する第1推奨香料情報取得部13と、参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する第2推奨香料情報取得部14と、第1推奨香料情報及び第2推奨香料情報に含まれる香料情報から提案香料情報を取得し、類似度が大きいほど、提案香料情報に占める第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする提案香料情報生成部15と、提案香料情報を出力する出力部16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料に用いる香料を提案する提案システムであって、
既存の飲料である既存飲料のうちの一の飲料を参照飲料として特定する参照飲料情報、及び、該参照飲料に対する類似の程度を表す類似度を取得する参照飲料情報取得部と、
入力された所定条件に基づいて、前記飲料に適用可能な複数の香料のうちから、前記飲料に用いる香料の候補となる1以上の香料の情報を第1推奨香料情報として抽出する第1推奨香料情報取得部と、
前記既存飲料と該既存飲料に用いられている香料とを関連付けた情報である既存飲料情報を参照して、前記参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する第2推奨香料情報取得部と、
前記第1推奨香料情報及び前記第2推奨香料情報に含まれる香料情報から、提案する香料の香料情報を提案香料情報として取得する提案香料情報生成部であって、前記類似度が大きいほど、前記提案香料情報に占める前記第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする、提案香料情報生成部と、
前記提案香料情報を出力する出力部と、
を備える提案システム。
【請求項2】
前記提案香料情報生成部は、取得された前記類似度が、設定されうる程度の範囲のうちの最大の程度である場合に、前記第2推奨香料情報に含まれる全ての香料情報を前記提案香料情報に含める、
請求項1に記載の提案システム。
【請求項3】
前記提案香料情報生成部は、取得された前記類似度が、設定されうる程度の範囲のうちの最小の程度である場合に、前記第1推奨香料情報に含まれる全ての香料情報を前記提案香料情報に含める、
請求項1または2に記載の提案システム。
【請求項4】
飲料の香りに関する所望の特徴を表した少なくとも1以上の語を含むコンセプトフレーズを取得するフレーズ取得部、を更に備え、
前記第1推奨香料情報取得部は、前記コンセプトフレーズを前記所定条件として、香料を識別する香料情報と該香料の特徴を表した特徴フレーズとを関連付けた情報である香料特徴情報を用いて、前記コンセプトフレーズにより表された飲料の香りの特徴に対応する1以上の香料情報を前記第1推奨香料情報として取得する、
請求項1に記載の提案システム。
【請求項5】
前記第1推奨香料情報取得部は、前記コンセプトフレーズと、前記香料特徴情報における前記特徴フレーズとの一致度に基づいて、前記第1推奨香料情報に含ませる香料情報を取得する、
請求項4に記載の提案システム。
【請求項6】
前記参照飲料情報取得部は、前記提案香料情報における香料の数を指定する香料数情報を取得し、
前記提案香料情報生成部は、前記香料数情報により指定された数の香料情報を含む前記提案香料情報を生成する、
請求項1に記載の提案システム。
【請求項7】
前記参照飲料情報取得部は、前記参照飲料に用いられている香料のうちの一の香料をコア香料として指定するコア香料指定情報を取得し、
前記提案香料情報生成部は、前記コア香料を前記提案香料情報に含ませる、
請求項1に記載の提案システム。
【請求項8】
飲料に用いる香料を提案する提案システムにおける提案方法であって、
既存の飲料である既存飲料のうちの一の飲料を参照飲料として特定する参照飲料情報、及び、該参照飲料に対する類似の程度を表す類似度を取得する参照飲料情報取得ステップと、
入力された所定条件に基づいて、前記飲料に適用可能な複数の香料のうちから、前記飲料に用いる香料の候補となる1以上の香料の情報を第1推奨香料情報として抽出する第1推奨香料情報取得ステップと、
前記既存飲料と該既存飲料に用いられている香料とを関連付けた情報である既存飲料情報を参照して、前記参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する第2推奨香料取得ステップと、
前記第1推奨香料情報及び前記第2推奨香料情報に含まれる香料情報から、提案する香料の香料情報を提案香料情報として取得する提案香料情報生成ステップであって、前記類似度が大きいほど、前記提案香料情報に占める前記第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする、提案香料情報生成ステップと、
前記提案香料情報を出力する出力ステップと、
を有する提案方法。
【請求項9】
コンピュータを、飲料に用いる香料を提案する提案システムとして機能させるための提案プログラムであって、
前記コンピュータに、
既存の飲料である既存飲料のうちの一の飲料を参照飲料として特定する参照飲料情報、及び、該参照飲料に対する類似の程度を表す類似度を取得する参照飲料情報取得機能と、
入力された所定条件に基づいて、前記飲料に適用可能な複数の香料のうちから、前記飲料に用いる香料の候補となる1以上の香料の情報を第1推奨香料情報として抽出する第1推奨香料情報取得機能と、
前記既存飲料と該既存飲料に用いられている香料とを関連付けた情報である既存飲料情報を参照して、前記参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する第2推奨香料取得機能と、
前記第1推奨香料情報及び前記第2推奨香料情報に含まれる香料情報から、提案する香料の香料情報を提案香料情報として取得する提案香料情報生成機能であって、前記類似度が大きいほど、前記提案香料情報に占める前記第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする、提案香料情報生成機能と、
前記提案香料情報を出力する出力機能と、
を実現させる提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料に用いる香料を提案する提案システム、提案方法及び提案プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに対して料理のレシピを提案する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ユーザに提示されたレシピにおいて、使用できない食材が含まれていたり、採用できない工程が含まれてたりする場合に、データベース中の代替レシピの分類に応じた対応関係に基づいて、代替食材または代替工程を提示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、飲料の開発において、飲料に用いる好適な香料を提案する技術が望まれている。飲料に用いる香料及び香料の組合せの提案に際しては、既存の飲料に用いられた香料を参考にしながら、既存飲料にはなかったような創造性のある提案、また、創造性の程度が任意の所望の程度に設定された提案をすることが求められていた。しかしながら、一般的に、食材及びレシピ等を提案する技術では、指定された条件に対する合致の程度が高いアイテムが提案されていた。そのようなシステムでは、創造性のある提案及び創造性の程度が所望の程度に設定された提案をすることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明では、飲料に用いる香料に関して、所望の程度の創造性を有する香料の提案を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の第1の一側面に係る提案システムは、飲料に用いる香料を提案する提案システムであって、既存の飲料である既存飲料のうちの一の飲料を参照飲料として特定する参照飲料情報、及び、該参照飲料に対する類似の程度を表す類似度を取得する参照飲料情報取得部と、入力された所定条件に基づいて、飲料に適用可能な複数の香料のうちから、飲料に用いる香料の候補となる1以上の香料の情報を第1推奨香料情報として抽出する第1推奨香料情報取得部と、既存飲料と該既存飲料に用いられている香料とを関連付けた情報である既存飲料情報を参照して、参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する第2推奨香料情報取得部と、第1推奨香料情報及び第2推奨香料情報に含まれる香料情報から、提案する香料の香料情報を提案香料情報として取得する提案香料情報生成部であって、類似度が大きいほど、提案香料情報に占める第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする、提案香料情報生成部と、提案香料情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
本開示の第1の一側面に係る提案方法は、飲料に用いる香料を提案する提案システムにおける提案方法であって、既存の飲料である既存飲料のうちの一の飲料を参照飲料として特定する参照飲料情報、及び、該参照飲料に対する類似の程度を表す類似度を取得する参照飲料情報取得ステップと、入力された所定条件に基づいて、飲料に適用可能な複数の香料のうちから、飲料に用いる香料の候補となる1以上の香料の情報を第1推奨香料情報として抽出する第1推奨香料情報取得ステップと、既存飲料と該既存飲料に用いられている香料とを関連付けた情報である既存飲料情報を参照して、参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する第2推奨香料取得ステップと、第1推奨香料情報及び第2推奨香料情報に含まれる香料情報から、提案する香料の香料情報を提案香料情報として取得する提案香料情報生成ステップであって、類似度が大きいほど、提案香料情報に占める第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする、提案香料情報生成ステップと、提案香料情報を出力する出力ステップと、を有する。
【0008】
本開示の第1の一側面に係る提案プログラムは、コンピュータを、飲料に用いる香料を提案する提案システムとして機能させるための提案プログラムであって、コンピュータに、既存の飲料である既存飲料のうちの一の飲料を参照飲料として特定する参照飲料情報、及び、該参照飲料に対する類似の程度を表す類似度を取得する参照飲料情報取得機能と、入力された所定条件に基づいて、飲料に適用可能な複数の香料のうちから、飲料に用いる香料の候補となる1以上の香料の情報を第1推奨香料情報として抽出する第1推奨香料情報取得機能と、既存飲料と該既存飲料に用いられている香料とを関連付けた情報である既存飲料情報を参照して、参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する第2推奨香料取得機能と、第1推奨香料情報及び第2推奨香料情報に含まれる香料情報から、提案する香料の香料情報を提案香料情報として取得する提案香料情報生成機能であって、類似度が大きいほど、提案香料情報に占める第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする、提案香料情報生成機能と、提案香料情報を出力する出力機能と、を実現させる。
【0009】
このような側面によれば、既存飲料から特定された参照飲料情報及び参照飲料に対する類似度が取得され、所定条件に基づいて取得された香料情報からなる第1推奨香料情報、及び、参照飲料に用いられた香料の香料情報からなる第2推奨香料情報から、提案香料情報が生成される。そして、提案香料情報に占める第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数が、類似度が大きいほど多く又は割合が大きくなるように調整される。従って、所望の創造性の程度に応じた参照飲料に対する類似度が入力されることにより、所望の創造性を有する香料の提案が可能となる。
【0010】
第2の側面に係る提案システムでは、第1の側面に係る提案システムにおいて、提案香料情報生成部は、取得された類似度が、設定されうる程度の範囲のうちの最大の程度である場合に、第2推奨香料情報に含まれる全ての香料情報を提案香料情報に含めることとしてもよい。
【0011】
このような側面によれば、ある既存飲料を参照飲料として特定する参照飲料情報及び最大の程度に設定された類似度が入力されることにより、参照飲料に用いられた香料からなる第2推奨香料情報が提案香料情報として提案される。従って、既存飲料の香りの特徴を実現させる香料の提案が可能となる。
【0012】
第3の側面に係る提案システムでは、第1または2の側面に係る提案システムにおいて、提案香料情報生成部は、取得された類似度が、設定されうる程度の範囲のうちの最小の程度である場合に、第1推奨香料情報に含まれる全ての香料情報を提案香料情報に含めることとしてもよい。
【0013】
このような側面によれば、最小の程度に設定された類似度が入力されることにより、所定条件に基づいて抽出された第1推奨香料情報が提案香料情報として提案される。従って、既存飲料とは異なる香りの特徴を実現させるような創造性の高い香料の提案が可能となる。
【0014】
第4の側面に係る提案システムでは、第1~3の側面のいずれか一つの側面に係る提案システムにおいて、飲料の香りに関する所望の特徴を表した少なくとも1以上の語を含むコンセプトフレーズを取得するフレーズ取得部、を更に備え、第1推奨香料情報取得部は、コンセプトフレーズを所定条件として、香料を識別する香料情報と該香料の特徴を表した特徴フレーズとを関連付けた情報である香料特徴情報を用いて、コンセプトフレーズにより表された飲料の香りの特徴に対応する1以上の香料情報を第1推奨香料情報として取得することとしてもよい。
【0015】
このような側面によれば、コンセプトフレーズにより表された飲料の香りの特徴に対応する香料情報が第1推奨香料情報として取得されるので、設定された類似度に応じた程度でコンセプトフレーズに表された飲料の香りの特徴が実現され得る香料の提案が可能となる。
【0016】
第5の側面に係る提案システムでは、第4の側面に係る提案システムにおいて、第1推奨香料情報取得部は、コンセプトフレーズと、香料特徴情報における特徴フレーズとの一致度に基づいて、第1推奨香料情報に含ませる香料情報を取得することとしてもよい。
【0017】
このような側面によれば、第1推奨香料情報がコンセプトフレーズと特徴フレーズとの一致度に基づいて取得されるので、提案する香料の候補の香料情報を容易に取得できる。
【0018】
第6の側面に係る提案システムでは、第1~5の側面のいずれか一つの側面に係る提案システムにおいて、参照飲料情報取得部は、提案香料情報における香料の数を指定する香料数情報を取得し、提案香料情報生成部は、香料数情報により指定された数の香料情報を含む提案香料情報を生成することとしてもよい。
【0019】
このような側面によれば、提案香料情報における香料の数が指定されるので、所望の数の香料の組合せからなる提案を得ることが可能となる。
【0020】
第7の側面に係る提案システムでは、第1~6の側面のいずれか一つの側面に係る提案システムにおいて、参照飲料情報取得部は、参照飲料に用いられている香料のうちの一の香料をコア香料として指定するコア香料指定情報を取得し、提案香料情報生成部は、コア香料を提案香料情報に含ませることとしてもよい。
【0021】
このような側面によれば、飲料に必須で用いることとしたい香料をコア香料として指定することにより、必須の香料を含む提案を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本開示の一側面によれば、飲料に用いる香料に関して、所望の程度の創造性を有する香料の提案が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】提案装置を含む提案システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】提案システムのハードウェア構成を示す図である。
【
図3】コンセプトフレーズ等の入力のための画面例を示す図である。
【
図4】香料特徴情報記憶部に記憶されている香料特徴情報の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
【
図5】コンセプトフレーズと各香料の特徴フレーズと間の一致度スコアの算出の一例を示す図である。
【
図6】コンセプトフレーズと各香料の特徴フレーズとの一致度スコアに基づいて算出された香料の組合せに対する一致度スコアの算出の一例を示す図である。
【
図7】既存飲料情報記憶部に記憶されている既存飲料情報の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
【
図8】第1推奨香料情報及び第2推奨香料情報に基づいて、類似度に応じて生成された提案香料情報の例を示す図である。
【
図9】提案香料情報が提示された画面例を示す図である。
【
図10】提案システムにおいて実施される提案方法の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0025】
図1は、本実施形態に係る提案装置を含む提案システムの機能構成を示すブロック図である。提案システム1は、飲料に用いる香料を提案するシステムである。具体的には、提案システム1は、飲料に用いられる1以上の香料の組合せを提案する。香料は、飲料に対して香りを添加できるものであって、例えば、いわゆる香料メーカーにより提供されるものであるが、それには限定されない。
図1に示されるように、提案システム1は、提案装置10を含む。また、提案システム1は、香料特徴情報記憶部20及び既存飲料情報記憶部30を含んでもよい。
【0026】
図1に示されるように、提案装置10は、機能的には、フレーズ取得部11、参照飲料情報取得部12、第1推奨香料情報取得部13、第2推奨香料情報取得部14、提案香料情報生成部15及び出力部16を備える。これらの各機能部11~16は、
図2を参照して説明されるプロセッサ101にプログラムP(提案プログラム)が読み込まれて、そのプログラムが実行されることにより実現される。各機能部の説明は後述する。なお、本実施形態では、各機能部11~16が、提案装置10に構成されることとしているが、複数のコンピュータに分散して構成されることとしてもよい。
【0027】
提案装置10の各機能部は、香料特徴情報記憶部20及び既存飲料情報記憶部30にアクセス可能に構成されている。なお、これらの記憶部20,30は、
図1に示す例では、提案装置10からアクセス可能に構成された他の装置に提案システム1の要素として構成されているが、提案装置10の内部に構成されることとしてもよい。
【0028】
図2は、提案装置10のハードウェア構成の一例を示す図であって、提案装置10として機能するコンピュータ100を示す。
【0029】
一例として、コンピュータ100はハードウェア構成要素として、プロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、および通信部104を備える。
【0030】
プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する演算装置である。プロセッサの例としてCPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)が挙げられるが、プロセッサ101の種類はこれらに限定されない。例えば、プロセッサ101は専用回路の組合せでもよい。専用回路はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラム可能な回路でもよいし、他の種類の回路でもよい。
【0031】
主記憶部102は、提案装置10等を実現するためのプログラム、プロセッサ101から出力された演算結果などを記憶する装置である。主記憶部102は例えばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)のうちの少なくとも一つにより構成される。
【0032】
補助記憶部103は、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶することが可能な装置である。補助記憶部103は例えばハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性記憶媒体によって構成される。補助記憶部103は、コンピュータ100を提案装置10として機能させるためのプログラムPと各種のデータとを記憶する。また、各記憶部20,30が提案装置10に含まれる場合には、各記憶部20,30は、主記憶部102、補助記憶部103及びその他の記憶素子のいずれかに構成されてもよい。
【0033】
通信部104は、通信ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータ通信を実行する装置である。通信部104は例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールにより構成される。
【0034】
提案装置10の各機能要素は、プロセッサ101または主記憶部102の上に、対応するプログラムPを読み込ませてプロセッサ101にそのプログラムを実行させることで実現される。プログラムPは、対応するサーバの各機能要素を実現するためのコードを含む。プロセッサ101はプログラムPに従って通信部104を動作させ、主記憶部102または補助記憶部103におけるデータの読み出しおよび書き込みを実行する。このような処理により、対応する提案装置10の各機能要素が実現される。
【0035】
プログラムPは、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、これらのプログラムの少なくとも一つは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0036】
提案装置10は、一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。一つの提案装置10のために複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで、論理的に一つのコンピュータが構成される。
【0037】
再び
図1を参照して、提案装置10の各記憶部を説明する。フレーズ取得部11は、飲料の香りに関する所望の特徴を表したコンセプトフレーズを取得する。コンセプトフレーズは、少なくとも1以上の語を含む。
【0038】
図3は、コンセプトフレーズ等の入力のための表示画面例を示す図である。表示画面D1は、例えば、提案装置10と接続された所定のディスプレイ及び提案装置10と通信可能に構成された端末等のディスプレイ等に表示される。
【0039】
表示画面D1は、目標香味コンセプト欄CFを含む。フレーズ取得部11は、例えば飲料の開発者により目標香味コンセプト欄CFに入力されたコンセプトフレーズを取得する。目標香味コンセプト欄CFには、例えば、「レモン、濃いレモン感、熟成感、果皮の香り、余韻」といった任意のフレーズが入力されることができる。
【0040】
参照飲料情報取得部12は、参照飲料情報を取得する。参照飲料情報は、既存の飲料である既存飲料のうちの一の飲料を参照飲料として特定する情報である。また、参照飲料情報取得部12は、参照飲料に対する類似の程度を表す類似度を取得する。
【0041】
具体的には、類似度は、飲料の開発において設定される香味の目標を実現するために、参照飲料の香味に近い香味をターゲットとした香料の提案を望むのか、あるいは、参照飲料として特定された既存飲料とは異なる創造性のある香料の提案を望むのか、その程度を指定する指標値である。
【0042】
図3に例示されるように、表示画面D1は、類似飲料欄SI及び類似度欄SDを含む。参照飲料情報取得部12は、飲料の開発者等により類似飲料欄SIに入力された、既存飲料を特定する情報を参照飲料情報として取得する。また、参照飲料情報取得部12は、飲料の開発者等により入力された類似度欄SDに入力された類似度を取得する。なお、
図3に例示されるように、類似度は、例えば、1~3の範囲の数値で設定されうる。なお、
図3に示す例では、類似度は3段階で入力できるが、段階数は3には限定されない。
【0043】
また、表示画面D1は、コア香料欄CI及び香料数欄FNを更に含んでもよい。コア香料は、参照飲料に用いられている香料のうちの一の香料であって、飲料の開発者等が、飲料に必須で用いることとしたい香料である。参照飲料情報取得部12は、飲料の開発者等によりコア香料欄CIに入力された、コア香料を特定する香料情報を、コア香料指定情報として取得する。後述されるように、このようにコア香料が指定されることにより、提案される香料の組合せに、コア香料が必須の香料として含められることができる。
【0044】
香料数は、提案される香料の組合せにおける香料の数であって、飲料の開発者等により指定される。参照飲料情報取得部12は、飲料の開発者等により香料数欄FNに入力された香料数を、香料の数を指定する香料数情報として取得する。後述されるように、このように香料数が指定されることにより、提案される香料の組合せにおける香料の数を任意に設定することが可能となる。
【0045】
第1推奨香料情報取得部13は、入力された所定条件に基づいて、飲料に適用可能な複数の香料のうちから、飲料に用いる香料の候補となる1以上の香料の情報を第1推奨香料情報として抽出する。
【0046】
具体的には、第1推奨香料情報取得部13は、コンセプトフレーズを所定条件として、香料特徴情報を用いて、コンセプトフレーズにより表された飲料の香りの特徴に対応する1以上の香料情報を第1推奨香料情報として取得する。香料特徴情報は、香料を識別する香料情報と当該香料の特徴を表した特徴フレーズとを関連付けた情報である。
【0047】
香料特徴情報記憶部20は、香料特徴情報を記憶している記憶手段である。
図4は、香料特徴情報記憶部20に記憶されている香料特徴情報の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
図4に示されるように、香料特徴情報記憶部20は、香料を識別する香料名を香料情報として、各香料名に属例及び香りの特徴を表す特徴フレーズを関連付けて記憶している。属性は、当該香料が属するカテゴリを示す。特徴フレーズは、当該香料の香りの特徴を表したフレーズであって、例えば香料のメーカー等により提供される情報である。
図4に示す例において、「香料A」は、属性「レモン」のカテゴリに属し、「濃厚な果皮の香り」という特徴フレーズを有する。
【0048】
一例として、第1推奨香料情報取得部13は、コンセプトフレーズと、香料特徴情報における特徴フレーズとの一致度に基づいて、第1推奨香料情報に含ませる香料情報を取得する。
図5及び
図6を参照しながら、第1推奨香料情報の取得処理について、具体的に説明する。
図5は、コンセプトフレーズと各香料の特徴フレーズと間の一致度スコアの算出の一例を示す図である。
図6は、コンセプトフレーズと各香料の特徴フレーズとの一致度スコアに基づいて算出された香料の組合せに対する一致度スコアの算出の一例を示す図である。
【0049】
まず、フレーズ取得部11により1以上のコンセプトフレーズが取得される。ここでは、フレーズ取得部11により、3つのコンセプトフレーズ「フレーズA」,「フレーズB」,「フレーズC」が取得されたこととする。第1推奨香料情報取得部13は、各コンセプトフレーズと、香料特徴情報における各香料の特徴フレーズとの一致の度合いを示す一致度スコアを算出する。
【0050】
フレーズ間の一致度スコアの算出には、当業者に周知の如何なる技術を適用してもよい。第1推奨香料情報取得部13は、例えば、Bag of Words、Doc to Vec等の手法により、コンセプトフレーズ及び特徴フレーズをベクトル表現に変換し、ベクトル間の距離(ユークリッド距離)をフレーズ間の類似度として算出することにより、コンセプトフレーズと特徴フレーズとの一致度スコアを算出してもよい。
【0051】
また、第1推奨香料情報取得部13は、コンセプトフレーズ及び特徴フレーズのそれぞれを形態素分析により単語に分解し、両フレーズ間において一致する単語の数を集計することにより、コンセプトフレーズと特徴フレーズとの一致度スコアを算出してもよい。
【0052】
また、第1推奨香料情報取得部13は、コンセプトフレーズ及び特徴フレーズのそれぞれを形態素分析により単語に分解し、両フレーズに含まれる単語を分散表現の技術(例えばWord to Vec等)によりベクトルに変換し、両フレーズに含まれる単語の間の類似度を集計することにより、コンセプトフレーズと特徴フレーズとの一致度スコアを算出してもよい。
【0053】
図5に示されるように、第1推奨香料情報取得部13は、各香料の特徴フレーズと、コンセプトフレーズ「フレーズA」,「フレーズB」,「フレーズC」のそれぞれとの間の一致度スコアを算出する。例えば、「香料A」の特徴フレーズ「濃厚な果皮の香り」と、コンセプトフレーズ「フレーズA」,「フレーズB」,「フレーズC」のそれぞれとの間の一致度スコアは、58,78,89である。
【0054】
続いて、第1推奨香料情報取得部13は、コンセプトフレーズに対する香料の組合せの一致度スコアを算出する。第1推奨香料情報取得部13は、香料数情報として指定された数の香料を含む香料の組合せのそれぞれに対して、一致度スコアを算出してもよい。
【0055】
具体的には、第1推奨香料情報取得部13は、香料の組合せに含まれる各香料と、各コンセプトフレーズとの間の一致度スコアを集計することにより、香料の組合せに対する一致度スコアを算出する。
【0056】
第1推奨香料情報取得部13は、例えば、各コンセプトフレーズに対して算出された各香料の特徴フレーズとの一致度スコアにおいて、上位所定数の香料をコンセプトフレーズごとに抽出し、抽出された香料群の中から香料数情報として指定された数の香料を抽出して、香料の組合せを生成してもよい。そして、第1推奨香料情報取得部13は、香料の組合せに含まれる各香料と各コンセプトフレーズとの間の一致度スコアを集計して、香料の組合せに対する一致度スコアを算出してもよい。一致度スコアの集計には、いかなる集計の手法が適用されてもよいが、例えば、第1推奨香料情報取得部13は、香料の組合せに含まれる各香料と各コンセプトフレーズとの間の一致度スコアを香料ごとに合計し、香料ごとの合計されたスコアをさらに総計及び正規化して、香料の組合せに対する一致度スコアを算出してもよい。
【0057】
図6に示されるように、第1推奨香料情報取得部13は、3つの香料の組合せに対するコンセプトフレーズとの一致度スコアを算出する。例えば、香料A,香料B,香料CからなるNo.1の香料の組合せに対する一致度スコアは、「56」である。同様に、香料A,香料B,香料DからなるNo.2の香料の組合せに対する一致度スコアは、「45」であり、香料A,香料C,香料DからなるNo.3の香料の組合せに対する一致度スコアは、「53」である。
【0058】
第1推奨香料情報取得部13は、一致度スコアが最も大きい香料の組合せに含まれる香料情報を第1推奨香料情報として取得する。
図6の例示においては、第1推奨香料情報取得部13は、No.1の香料の組合せに含まれる香料A,香料B,香料Cの香料情報を第1推奨香料情報として取得する。また、第1推奨香料情報取得部13は、一致度スコアの上位所定数の香料の組合せを第1推奨香料情報としてもよい。
【0059】
なお、
図5及び
図6を参照して説明した第1推奨香料情報の取得の例では、コンセプトフレーズを所定条件として、香料の特徴フレーズとコンセプトフレーズとの一致度スコアを、各香料を第1推奨香料情報として採用するための評価の指標としているが、これには限られず、第1推奨香料情報取得部13は、香料の名称に含まれうるキーワードを所定条件として、飲料の開発者等により入力されたキーワードを取得し、キーワードに基づく香料の名称に対する検索により、第1推奨香料情報として採用する香料の候補を取得してもよい。
【0060】
第2推奨香料情報取得部14は、既存飲料情報を参照して、参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する。既存飲料情報は、既存飲料と当該既存飲料に用いられている香料とを関連付けた情報である。既存飲料情報記憶部30は、既存飲料情報を記憶している記憶手段である。
図7は、既存飲料情報記憶部30に記憶されている既存飲料情報の構成及び記憶されているデータの例を示す図である。
図7に示されるように、既存飲料情報は、既存飲料を特定する飲料名に、用いられている香料を関連付けた情報である。
【0061】
図7の例示においては、既存飲料情報記憶部30は、飲料「AAA」に「香料A」、「香料B」及び「香料C」を関連付けた既存飲料情報を記憶している。なお、既存飲料情報において、既存飲料に含まれる香料にコア香料を識別する情報が関連付けられていてもよい。
図7の例示において、コア香料は記号「※」により識別される。従って、既存飲料「AAA」に用いられている香料Aは、コア香料である。また、既存飲料情報記憶部30は、飲料「DDD」にコア香料である「香料X」、「香料Y」及び「香料Z」を関連付けた既存飲料情報を記憶している。
【0062】
第2推奨香料情報取得部14は、例えば、既存飲料「AAA」を参照飲料として特定する参照飲料情報が参照飲料情報取得部12により取得された場合には、既存飲料情報を参照して、飲料「AAA」に関連付けられている「香料A」、「香料B」及び「香料C」の香料情報を、第2推奨香料情報として取得する。
【0063】
また、例えば、既存飲料「DDD」を参照飲料として特定する参照飲料情報が参照飲料情報取得部12により取得された場合には、第2推奨香料情報取得部14は、既存飲料情報を参照して、飲料「DDD」に関連付けられている「香料X」、「香料Y」及び「香料Z」の香料情報を、第2推奨香料情報として取得する。
【0064】
提案香料情報生成部15は、第1推奨香料情報及び第2推奨香料情報に含まれる香料情報から、提案する香料の香料情報を提案香料情報として取得する。提案香料情報生成部15は、参照飲料情報取得部12により取得された類似度が大きいほど、提案香料情報に占める第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする。
【0065】
図8を参照して、提案香料情報の生成処理について説明する。
図8に示されるように、提案香料情報生成部15は、第1推奨香料情報R1及び第2推奨香料情報R2に基づいて提案香料情報RFを生成する。第1推奨香料情報R1は、前述のとおり、コンセプトフレーズ等に基づいて取得された香料の情報であって、「香料A」、「香料B」及び「香料C」の香料情報を含む。一方、第2推奨香料情報R2は、前述のとおり参照飲料として指定した既存飲料に用いられた香料の情報であって、「香料X」、「香料Y」及び「香料Z」の香料情報を含む。
【0066】
図8に示されるように、提案香料情報生成部15は、類似度が「1」である場合には、第1推奨香料情報R1に含まれる3つの香料情報である「香料A」、「香料B」及び「香料C」の香料情報を提案香料情報に含ませる。また、提案香料情報生成部15は、類似度が「2」である場合には、第2推奨香料情報R2に含まれる「香料X」の香料情報と、第1推奨香料情報R1に含まれる「香料A」,「香料B」とを提案香料情報に含ませる。即ち、類似度が「1」である場合に比べて類似度が「2」である場合には、提案香料情報RFに占める第2推奨香料情報R2に含まれる香料情報の数が多く又は割合が大きくなっている。
【0067】
また、提案香料情報生成部15は、類似度が「3」である場合には、第2推奨香料情報R2に含まれる3つの香料情報である「香料X」、「香料Y」及び「香料Z」の香料情報を提案香料情報に含ませる。即ち、類似度が「1」及び「2」である場合に比べて類似度が「3」である場合には、提案香料情報RFに占める第2推奨香料情報R2に含まれる香料情報の数が更に多く又は割合が更に大きくなっている。
【0068】
このように、提案香料情報RFに占める第2推奨香料情報R2に含まれる香料情報の数が、類似度が大きいほど多く又は割合が大きくなるように調整されるので、所望の創造性の程度に応じた参照飲料に対する類似度が入力されることにより、所望の創造性を有する香料の提案が可能となる。
【0069】
提案香料情報生成部15は、取得された類似度が、設定されうる程度の範囲のうちの最大の程度である場合に、第2推奨香料情報に含まれる全ての香料情報を提案香料情報に含めることとしてもよい。
図8に示される例において、類似度が、設定可能な程度の範囲のうちの最大の程度である「3」である場合には、提案香料情報生成部15は、第2推奨香料情報R2に含まれる全ての香料情報である「香料X」、「香料Y」及び「香料Z」の香料情報を提案香料情報に含ませる。
【0070】
このように、ある既存飲料を参照飲料として特定する参照飲料情報及び最大の程度に設定された類似度が入力されることにより、参照飲料に用いられた香料からなる第2推奨香料情報が提案香料情報として提案される。従って、既存飲料の香りの特徴を実現させる香料の提案が可能となる。
【0071】
提案香料情報生成部15は、取得された類似度が、設定されうる程度の範囲のうちの最小の程度である場合に、第1推奨香料情報に含まれる全ての香料情報を提案香料情報に含めることとしてもよい。
図8に示される例において、類似度が、設定可能な程度の範囲のうちの最小の程度である「1」である場合には、提案香料情報生成部15は、第1推奨香料情報R1に含まれる全ての香料情報である「香料A」、「香料B」及び「香料C」の香料情報を提案香料情報に含ませる。
【0072】
このように、最小の程度に設定された類似度が入力されることにより、所定条件に基づいて抽出された第1推奨香料情報が提案香料情報として提案される。従って、既存飲料とは異なる香りの特徴を実現させるような創造性の高い香料の提案が可能となる。
【0073】
なお、提案香料情報生成部15は、香料数情報により指定された数の香料情報を含む提案香料情報を生成してもよい。
図8に示す例では、香料の数「3」を指定する香料数情報が参照飲料情報取得部12により取得された場合に、提案香料情報生成部15は、第1推奨香料情報R1及び第2推奨香料情報R2のそれぞれから類似度に応じた数または割合の香料情報を取得し、3つの香料情報からなる提案香料情報を生成する。このように、提案香料情報における香料の数の指定が受け付け可能に構成されることにより、所望の数の香料の組合せからなる提案を得ることが可能となる。
【0074】
また、提案香料情報生成部15は、コア香料を提案香料情報に含ませることとしてもよい。具体的には、参照飲料に含まれる香料またはその他の香料をコア香料として指定するコア指定情報が参照飲料情報取得部12により取得された場合には、提案香料情報生成部15は、提案香料情報にコア香料を必須の香料として含ませる。このように、飲料に必須で用いることとしたい香料をコア香料として指定することにより、必須の香料を含む提案を得ることが可能となる。
【0075】
また、提案香料情報生成部15は、第1推奨香料情報取得部13により香料の複数の組合せが第1推奨香料情報として取得された場合には、香料の複数の組合せのそれぞれに基づいて、提案香料情報を生成してもよい。
【0076】
出力部16は、提案香料情報生成部15により生成された提案香料情報を出力する。具体的には、出力部16は、所定のディスプレイに表示させ、所定の記憶手段に記憶させ、又は、所定のコンピュータに送信させることにより提案香料情報を出力する。
【0077】
図9は、所定のディスプレイにおける、提案香料情報が提示された画面例を示す図である。
図9に例示されるように、出力部16は、「香料X」、「香料A」及び「香料B」からなる香料の組合せを提案香料情報として提示する。
【0078】
また、香料の複数の組合せが提案香料情報として提案香料情報生成部15により生成された場合には、出力部16は、スコアに応じた順位付けとともに、香料の組合せを複数提示してもよい。
図9の画面例では、出力部16は、「香料X」、「香料A」及び「香料C」からなる香料の組合せを2位の提案香料情報として提示する。
【0079】
ここで香料の組合せの各々に関連付けられているスコアは、例えば、第1推奨香料情報の取得処理に際して、香料の組合せに対して算出された一致度スコアであってもよいし、類似度に応じて予め設定された係数を一致度スコアに乗じて算出されたスコアであってもよい。
【0080】
次に、
図10を参照して、本実施形態の提案システム1の動作について説明する。
図10は、提案システム1において実施される提案方法の処理内容を示すフローチャートである。
【0081】
ステップS1において、フレーズ取得部11は、飲料の香りに関する所望の特徴を表したコンセプトフレーズを取得する。また、参照飲料情報取得部12は、参照飲料情報及び類似度を取得する。
【0082】
ステップS2において、第1推奨香料情報取得部13は、例えばコンセプトフレーズを所定条件として、香料特徴情報を用いて、コンセプトフレーズにより表された飲料の香りの特徴に対応する1以上の香料情報を第1推奨香料情報として取得する。
【0083】
ステップS3において、第2推奨香料情報取得部14は、既存飲料情報を参照して、参照飲料に用いられている香料の香料情報を第2推奨香料情報として取得する。
【0084】
ステップS4において、提案香料情報生成部15は、第1推奨香料情報及び第2推奨香料情報に含まれる香料情報から、類似度に応じて提案香料情報を取得する。提案香料情報生成部15は、類似度が大きいほど、提案香料情報に占める第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数を多く又は割合を大きくする。
【0085】
ステップS5において、出力部16は、ステップS4において提案香料情報生成部15により生成された提案香料情報を出力する。
【0086】
以上説明した本実施形態の提案システム1、提案装置10、提案方法及び提案プログラムPによれば、既存飲料から特定された参照飲料情報及び参照飲料に対する類似度が取得され、所定条件に基づいて取得された香料情報からなる第1推奨香料情報、及び、参照飲料に用いられた香料の香料情報からなる第2推奨香料情報から、提案香料情報が生成される。そして、提案香料情報に占める第2推奨香料情報に含まれる香料情報の数が、類似度が大きいほど多く又は割合が大きくなるように調整される。従って、所望の創造性の程度に応じた参照飲料に対する類似度が入力されることにより、所望の創造性を有する香料の提案が可能となる。
【0087】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…提案システム、10…提案装置、11…フレーズ取得部、12…参照飲料情報取得部、13…第1推奨香料情報取得部、14…第2推奨香料情報取得部、15…提案香料情報生成部、16…出力部、20…香料特徴情報記憶部、30…既存飲料情報記憶部、P…プログラム。