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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170486
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】電子機器及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/30 20060101AFI20231124BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231124BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231124BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231124BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20231124BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20231124BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 365
G09F9/00 324
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
G09F9/302 Z
G09F9/30 308Z
H05B33/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082286
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲戸川 博人
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC33
3K107EE06
3K107EE07
3K107EE68
3K107FF15
5C094AA02
5C094BA03
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA20
5C094EB10
5C094HA08
5G435AA01
5G435BB05
5G435CC09
5G435DD10
5G435EE12
5G435LL07
(57)【要約】
【課題】撮像素子と重畳する領域における表示品位の低下を抑制することが可能な電子機器及び表示装置を提供することにある。
【解決手段】実施形態に係る電子機器は、第1色を発光する第1発光素子を有する第1画素、第2色を発光する第2発光素子を有する第2画素及び第3色を発光する第3発光素子を有する第3画素が配置された表示パネルと、表示パネルを介して受光する撮像素子とを具備する。撮像素子と平面視において重畳する第1~第3画素のうちの少なくとも1つは、撮像素子と平面視において重畳しない第1~第3画素とは異なる間隔で配置される。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色を発光する第1発光素子を有する第1画素、第2色を発光する第2発光素子を有する第2画素及び第3色を発光する第3発光素子を有する第3画素が配置された表示パネルと、
前記表示パネルを介して受光する撮像素子と
を具備し、
前記撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素のうちの少なくとも1つは、前記撮像素子と平面視において重畳しない前記第1~第3画素とは異なる間隔で配置される
電子機器。
【請求項2】
前記撮像素子と平面視において重畳しない前記第1~第3画素は、当該第1~第3画素の順に第1方向に隣接するように並べて配置されており、
前記撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素は、少なくとも1つの画素分の間隔を空けて第1方向に並べて配置される請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素は、前記撮像素子と平面視において重畳しない前記第1~第3画素と同じ順に並べて配置される請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素は、前記撮像素子と平面視において重畳しない前記第1~第3画素とは異なる順に並べて配置される請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
前記撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素のうちの少なくとも1つの画素の前記第1方向と交差する第2方向の位置は、前記第1~第3画素のうちの他の画素と異なっている請求項2~4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素のうちの少なくとも1つの画素が平面視において占める領域のサイズは、前記第1~第3画素のうちの他の画素が平面視において占める領域のサイズよりも小さい請求項1記載の電子機器。
【請求項7】
前記撮像素子と平面視において重畳しない前記第1~第3画素は、前記第1及び第2画素が第2方向において隣接し、前記第1及び第3画素が前記第2方向と交差する第1方向において隣接し、前記第2及び第3画素が前記第1方向において隣接するように配置されており、
前記撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素は、少なくとも前記第1及び第2画素、前記第1及び第3画素、または前記第2及び第3画素が隣接しないように配置されている
請求項1記載の電子機器。
【請求項8】
前記撮像素子と平面視において重畳しない前記第1~第3画素は、当該第1~第3画素の順に第1方向に隣接するように並べて配置されており、前記第1~第3画素のうちの少なくとも1つの画素の前記第1方向と交差する第2方向の位置は、前記第1~第3画素のうちの他の画素と異なっている請求項1記載の電子機器。
【請求項9】
第1色を発光する第1発光素子を有する第1画素、第2色を発光する第2発光素子を有する第2画素及び第3色を発光する第3発光素子を有する第3画素が配置された表示パネルと、
前記表示パネルを駆動する駆動回路と
を具備し、
前記表示パネルを介して受光する撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素のうちの少なくとも1つは、前記撮像素子と平面視において重畳しない前記第1~第3画素とは異なる間隔で配置される
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、表示装置及びカメラを同一面側に備えたスマートフォン等の電子機器が広く実用化されている。また、このような電子機器に備えられる表示装置としては、有機エレクトロルミネッセンス(EL:Electro Luminescence)素子を有する表示装置(以下、有機EL表示装置と表記)が採用される場合がある。
【0003】
上記した電子機器においては、有機EL表示装置(表示領域)の背面にカメラを配置し、当該カメラが有する撮像素子が有機EL表示装置を介して受光するように構成することによって、当該カメラと重畳する領域まで表示領域を拡大することができる。
【0004】
ところで、有機EL表示装置においては各画素が有する有機EL素子を発光させることによって表示領域に各種画像を表示することができるが、上記したカメラ(撮像素子)と重畳する表示領域においては、表示品位が低下する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0013272号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、撮像素子と重畳する領域における表示品位の低下を抑制することが可能な電子機器及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る電子機器は、第1色を発光する第1発光素子を有する第1画素、第2色を発光する第2発光素子を有する第2画素及び第3色を発光する第3発光素子を有する第3画素が配置された表示パネルと、前記表示パネルを介して受光する撮像素子とを具備する。前記撮像素子と平面視において重畳する前記第1~第3画素のうちの少なくとも1つは、前記撮像素子と平面視において重畳しない前記第1~第3画素とは異なる間隔で配置される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る表示装置の構成を概略的に示す斜視図。
図2】表示装置が組み込まれた電子機器の一部を示す平面図。
図3】表示パネルの回路構成の一例を示す図。
図4】画素に含まれる副画素の回路構成の一例を示す図。
図5】カメラと重畳しない位置に配置される画素部分の表示パネルの断面の一例を示す図。
図6】非重畳領域に配置される画素を模式的に示す図。
図7】本実施形態の比較例において重畳領域に配置される画素を模式的に示す図。
図8】本実施形態の第1構成における副画素の配置の一例を模式的に示す図。
図9】本実施形態の第2構成における副画素の配置の一例を模式的に示す図。
図10】本実施形態における副画素の配置の他の例を模式的に示す図。
図11】本実施形態の第1構成における副画素の配置の他の例を模式的に示す図。
図12】本実施形態の第2構成における副画素の配置の他の例を模式的に示す図。
図13】重畳領域に形成される副画素の発光部を分割する構成の一例を模式的に示す図。
図14】本実施形態の第2構成における副画素の配置の更に別の例を模式的に示す図。
図15】本実施形態の第2構成における副画素の配置の更に別の例を模式的に示す図。
図16】第2実施形態における非重畳領域に配置される画素を模式的に示す図。
図17】本実施形態の比較例において重畳領域に配置される画素を模式的に示す図。
図18】本実施形態における副画素の配置の一例を模式的に示す図。
図19】本実施形態における副画素の配置の他の例を模式的に示す図。
図20】本実施形態における副画素の配置の更に別の例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、各実施形態について説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実施の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には、同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る表示装置1の構成を概略的に示す斜視図である。図1は、方向Xと、方向Xに垂直な方向Yと、方向X及び方向Yに垂直な方向Zによって規定される三次元空間を示している。なお、方向X、方向Y及び方向Zは、互いに直交しているが、90°以外の角度で交差していてもよい。また、本実施形態において、方向Zを上と定義し、方向Zの反対側の方向を下と定義する。「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、第1部材から離れて位置していてもよい。
【0011】
以下、本実施形態においては、表示装置1が自発光素子である有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を有する有機EL表示装置(有機ELディスプレイ)である場合について説明する。なお、本実施形態に係る表示装置1は、例えばカメラのような他のデバイスとともにスマートフォン等の電子機器に組み込まれて使用される。
【0012】
図1に示すように、表示装置1は、表示パネル2、第1回路基板3及び第2回路基板4等を備える。
【0013】
表示パネル2は、一例では矩形状である。図示した例では、表示パネル2の長辺EXは、方向Xと平行であり、表示パネル2の短辺EYは、方向Yと平行である。方向Zは、表示パネル2の厚さ方向に相当する。表示パネル2の主面は、方向Xと方向Yとにより規定されるX-Y平面に平行である。表示パネル2は、表示領域DA、表示領域DAの外側の非表示領域NDA及び端子領域MTを有している。図示した例では、非表示領域NDAは、表示領域DAを囲んでいる。
【0014】
端子領域MTは、表示パネル2の短辺EYに沿って設けられ、表示パネル2を外部装置等と電気的に接続するための端子を含んでいる。
【0015】
第1回路基板3は、端子領域MTの上に実装され、表示パネル2と電気的に接続されている。第1回路基板3は、例えばフレキシブルプリント回路基板である。第1回路基板3は、表示パネル2(表示装置1)を駆動する駆動ICチップ(駆動回路)5等を備えている。なお、図示した例では、駆動ICチップ5は、第1回路基板3の上に配置されているが下に配置されていてもよい。第2回路基板4は、第1回路基板3の例えば下方において第1回路基板3と接続されている。
【0016】
駆動ICチップ5は、例えば第2回路基板4を介して制御基板(図示せず)と接続されている。駆動ICチップ5は、例えば制御基板から出力される画像データ(画素信号)に基づいて表示パネル2が有する有機EL素子を発光させることによって当該表示パネル2に画像を表示する制御を実行する。
【0017】
なお、表示パネル2は、図1において斜線を付して示す折り曲げ領域BAを有していてもよい。折り曲げ領域BAは、表示装置1が電子機器の筐体に収容される際に折り曲げられる領域である。折り曲げ領域BAが折り曲げられた状態において、第1回路基板3及び第2回路基板4は、表示パネル2と対向するように、表示パネル2の下方に配置される。
【0018】
図2は、図1に示す表示装置1が組み込まれた電子機器の一部を示す平面図である。図2に示すように、表示装置1が備える表示パネル2は、表示領域DAにおいて、方向X及び方向Yにマトリクス状に配置(配列)された複数の画素PXを備えている。
【0019】
なお、本実施形態において、表示領域DAに配置されている各画素PXは、後述する有機EL素子と当該有機EL素子を駆動するための画素回路等を有する。
【0020】
ここで、本実施形態において、表示パネル2(表示装置1)は表示領域DAを有する表示面及び当該表示面に対向する背面を有し、当該表示パネル2の背面側には、当該表示パネル2を介して受光する撮像素子を有するカメラ6が配置されているものとする。本実施形態におけるカメラ6は、撮像素子に入射した可視光に基づいてカラー画像を撮像する撮像装置(可視光カメラ)であるものとする。本実施形態において、表示装置1及びカメラ6は、例えばスマートフォンのような電子機器を構成する。
【0021】
なお、本実施形態に係る電子機器において、カメラ6は、表示領域DAと重畳する位置に配置される。換言すれば、カメラ6は、平面視において複数の画素PXにまたがる(つまり、複数の画素PXと重畳する)ように配置される。このような構成によれば、カメラ6と重畳する領域にまで電子機器(表示装置1)における表示領域DAを拡大することができる。なお、本実施形態において、平面視とは、方向Zから表示装置1(表示パネル2)を視認することをいう。
【0022】
図3は、表示パネル2の回路構成の一例を示す図である。表示パネル2には、複数の画素PXと、各種配線と、走査線駆動回路GD1及びGD2と、信号線駆動回路SDとが配置されている。
【0023】
複数の画素PXは、上記したように表示領域DAにおいてマトリクス状に配置され、それぞれ複数の副画素を含む。本実施形態において、複数の副画素は、副画素SPR、SPG及びSPBを含む。副画素SPRは、赤色の波長帯域に対応する光(赤色成分の光)を表示(出力)する画素である。副画素SPGは、緑色の波長帯域に対応する光(緑色成分の光)を表示(出力)する画素である。副画素SPBは、青色の波長帯域に対応する光(青色成分の光)を表示(出力)する画素である。
【0024】
上記した各種配線は、表示領域DAにおいて延在し、非表示領域NDAに引き出されている。図3においては、各種配線の一部として、複数の制御配線(走査線)SSGと、複数の画素信号線SLとが例示されている。
【0025】
表示領域DAにおいて、制御配線SSG及び画素信号線SLは、副画素SPR、SPG及びSPBに接続されている。制御配線SSGは、非表示領域NDAにおいて走査線駆動回路GD1及びGD2に接続されている。画素信号線SLは、非表示領域NDAにおいて信号線駆動回路SDに接続されている。
【0026】
走査線駆動回路GD1、GD2及び信号線駆動回路SDは、非表示領域NDAに位置している。走査線駆動回路GD1、GD2及び信号線駆動回路SDには、駆動ICチップ5から各種信号及び電圧が与えられる。
【0027】
なお、図3においては表示パネル2が2つの走査線駆動回路GD1及びGD2を備える構成が示されているが、表示パネル2は、少なくとも1つの走査線駆動回路を備えていればよい。
【0028】
次に、図4を参照して、画素PXに含まれる副画素の回路構成の一例について説明する。なお、図4においては、便宜的に、画素PXに含まれる複数の副画素のうちの1つの副画素SPの回路構成が示されている。
【0029】
図4に示すように、副画素SPは、有機EL素子21及び画素回路を有する。画素回路は、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCT、画素トランジスタSST、初期化トランジスタIST、リセットトランジスタRST、保持容量Cs及び補助容量Cadを含む。
【0030】
図4に示す各トランジスタは、例えばnチャネル型トランジスタである。なお、出力トランジスタBCT、画素トランジスタSST、初期化トランジスタIST及びリセットトランジスタRSTは、それぞれトランジスタで構成されていなくてもよく、例えば出力スイッチ、画素スイッチ、初期化スイッチ及びリセットスイッチとして機能するように構成されていてもよい。
【0031】
以下の説明においては、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方を第1電極、他方を第2電極とする。また、容量素子の一方の電極を第1電極、他方の電極を第2電極とする。
【0032】
駆動トランジスタDRT及び有機EL素子21は、第1電源線PVHと第2電源線PVLとの間で直列に接続されている。第1電源線PVHは定電位に保持され、第2電源線PVLは第1電源線PVHの電位とは異なる定電位に保持されている。本実施形態において、第1電源線PVHの電位PVDDは、第2電源線PVLの電位PVSSより高い。
【0033】
駆動トランジスタDRTの第1電極は、有機EL素子のアノード電極(陽極)、保持容量Csの第1電極及び補助容量Cadの第1電極に接続されている。駆動トランジスタDRTは、有機EL素子21に対して供給される電流(電流値)を制御するように構成されている。
【0034】
出力トランジスタBCTの第2電極は、第1電源線PVHに接続されている。また有機EL素子21のカソード電極(陰極)は、第2電源線PVLに接続されている。
【0035】
画素トランジスタSSTの第1電極は、駆動トランジスタDRTのゲート電極、初期化トランジスタISTの第1電極及び保持容量Csの第2電極に接続されている。画素トランジスタSSTの第2電極は、画素信号線SLに接続されている。初期化トランジスタISTの第2電極は、初期化電源線BLに接続されている。
【0036】
保持容量Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極と第1電極との間に電気的に接続されている。
【0037】
補助容量Cadの第2電極は、定電位に保持されている。本実施形態において、補助容量Cadの第2電極は、例えば第1電源線PVHに接続され、当該第1電源線PVHの電位と同一の定電位(PVDD)に保持されている。なお、補助容量Cadの第2電極は、第2電源線PVLの電位と同一の定電位(PVSS)に保持されていてもよいし、第1電源線PVH及び第2電源線PVLとは異なる電源線と同一の定電位に保持されていてもよい。なお、この第1電源線PVH及び第2電源線PVLとは異なる電源線としては、例えば初期化電源線BLまたはリセット電源線RL等を利用することができる。
【0038】
リセットトランジスタRSTの第1電極は、駆動トランジスタDRTの第1電極に接続されている。リセットトランジスタRSTの第2電極は、リセット電源線RLに接続されている。
【0039】
画素信号線SLには、画素信号Vsigが供給される。画素信号Vsigは、画素(ここでは、副画素SP)に書き込まれる信号である。初期化電源線BLには、初期化電位Viniが供給される。
【0040】
リセット電源線RLは、リセット電源電位Vrstに設定される。リセット電源電位Vrstは、第2電源線PVLの電位PVSSに対して有機EL素子21が発光しないような電位差を有する電位が与えられる。
【0041】
出力トランジスタBCTのゲート電極は、制御配線SBGに接続されている。この制御配線SBGには、出力制御信号BGが供給される。
【0042】
画素トランジスタSSTのゲート電極は、制御配線SSGに接続されている。この制御配線SSGには、画素制御信号SGが供給される。
【0043】
初期化トランジスタISTのゲート電極は、制御配線SIGに接続されている。この制御配線SIGには、初期化制御信号IGが供給される。
【0044】
リセットトランジスタRSTのゲート電極は、制御配線SRGに接続されている。この制御配線SRGには、リセット制御信号RGが供給される。
【0045】
上記したような回路構成によれば、画素トランジスタSSTは、制御配線SSGを介してゲート電極に供給される画素制御信号SGに応じて導通状態となる。これにより、画素信号線SLを介して供給される画素信号Vsigは、画素トランジスタSSTを介して駆動トランジスタDRTのゲート電極に供給されるとともに、保持容量Csに保持される。駆動トランジスタDRTは、保持容量Csに保持された画素信号Vsigの電圧値に応じた電流値の駆動電流を有機EL素子21に供給することによって、有機EL素子21を電流駆動し、当該有機EL素子21を発光させる(副画素SPを駆動する)ことができる。
【0046】
なお、ここでは表示パネル2における画素信号Vsigの書き込み動作及び有機EL素子21の発光動作の概要について簡単に説明したが、上記した回路構成によれば、他の動作(例えば、駆動トランジスタDRTのリセット動作及びオフセットキャンセル動作等)を行うこともできる。
【0047】
また、ここでは1つの副画素SPの回路構成について説明したが、上記した副画素SPR、SPG及びSPBは図4に示す副画素SPと同様の回路構成を有する。すなわち、本実施形態において、有機EL素子21及び画素回路は副画素毎に配置されている。
【0048】
なお、図4において説明した回路構成は一例であり、副画素SPR、SPG及びSPBは、図4と異なる他の回路構成を有していても構わない。すなわち、副画素SPR、SPG及びSPBにおいては、例えば図4に示す回路構成のうちの一部が変更または省略されていてもよいし、他の構成が追加されていても構わない。
【0049】
以下において副画素SPR、SPG及びSPBの回路構成について説明する場合には、適宜、図4を用いる。
【0050】
図5は、カメラ6と重畳しない位置に配置される画素PX部分の表示パネル2の断面の一例を示す。図5に示すように、表示パネル2は、絶縁基板10、第1~第5絶縁膜11~15、スイッチング素子SW1~SW3及び有機EL素子211~213等を備えている。
【0051】
なお、スイッチング素子SW1は、副画素SPRが有する画素回路に含まれる駆動トランジスタDRTに相当する。スイッチング素子SW2は、副画素SPGが有する画素回路に含まれる駆動トランジスタDRTに相当する。スイッチング素子SW3は、副画素SPBが有する画素回路に含まれる駆動トランジスタDRTに相当する。
【0052】
また、有機EL素子211は、副画素SPRが有する有機EL素子21に相当する。有機EL素子212は、副画素SPGが有する有機EL素子21に相当する。有機EL素子213は、副画素SPBが有する有機EL素子21に相当する。
【0053】
絶縁基板10は、例えばポリイミド等の有機絶縁材料によって形成されている。第1絶縁膜11は、絶縁基板10の上に形成されている。第1絶縁膜11は、絶縁基板10から有機EL素子211~213へ向かう水分等の侵入を抑制するためのバリア層を含んでいる。なお、第1絶縁膜11は、省略されてもよい。
【0054】
スイッチング素子SW1~SW3は、第1絶縁膜11の上に形成されている。以下、主にスイッチング素子SW1の構成について説明する。
【0055】
スイッチング素子SW1は、半導体層SC、ゲート電極GE、ソース電極SE及びドレイン電極DEを備えている。図5に示す例では、ソース電極SEが図4において説明した駆動トランジスタDRTの第2電極に相当し、ドレイン電極DEが当該駆動トランジスタDRTの第1電極に相当する。
【0056】
半導体層SCは、第1絶縁膜11の上に形成され、第2絶縁膜12により覆われている。ゲート電極GEは、第2絶縁膜12の上に形成され、第3絶縁膜13により覆われている。ゲート電極GEは、例えばアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、クロム(Cr)等の金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金等によって形成される。なお、ゲート電極GEは、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0057】
ソース電極SE及びドレイン電極DEは、それぞれ第3絶縁膜13の上に形成されている。ソース電極SE及びドレイン電極DEは、第3絶縁膜13を半導体層SCまで貫通するコンタクトホールにおいて、半導体層SCにそれぞれ接触している。ソース電極SE及びドレイン電極DEを形成する材料は、上記の金属材料が適用可能である。第1~第3絶縁膜11~13は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン等の無機絶縁材料により形成されている。
【0058】
スイッチング素子SW1は、第4絶縁膜14により覆われている。第4絶縁膜14は、有機絶縁材料により形成されている。
【0059】
ここでは、スイッチング素子SW1の構成について主に説明したが、他のスイッチング素子SW2及びSW3の構成についてもスイッチング素子SW1と同様である。
【0060】
有機EL素子211~213は、第4絶縁膜14の上に形成されている。図5に示す例では、有機EL素子211は赤色に発光する有機発光層ORG1を備え、有機EL素子212は緑色に発光する有機発光層ORG2を備え、有機EL素子213は青色に発光する有機発光層ORG3を備えている。このような有機発光層ORG1~ORG3により、有機EL素子211~213は、それぞれ赤色、緑色及び青色(の光)を発光することができる。
【0061】
以下、主に有機EL素子211の構成について説明する。有機EL素子211は、画素電極PE1、共通電極CE及び有機発光層ORG1を備える。
【0062】
画素電極PE1は、第4絶縁膜14の上に設けられている。画素電極PE1は、有機EL素子211の例えばアノード電極(陽極)として機能する。画素電極PE1は、第4絶縁膜14内に設けられたコンタクトホールにおいて、スイッチング素子SW1のドレイン電極DEと接触し、当該スイッチング素子SW1と電気的に接続されている。有機発光層ORG1は、画素電極PE1の上に形成されている。有機発光層ORG1は、発光効率を向上させるために、電子注入層、正孔注入層、電子輸送層及び正孔輸送層等を更に含んでいてもよい。共通電極CEは、有機発光層ORG1の上に形成されている。共通電極CEは、有機EL素子211の例えばカソード電極(陰極)として機能する。
【0063】
以上のように構成された有機EL素子211は、画素電極PE1と共通電極CEとの間に印加される電圧(あるいは電流)に応じた輝度で発光する。
【0064】
ここでは有機EL素子211の構成について主に説明したが、他の有機EL素子212及び213の構成についても有機EL素子211と同様である。
【0065】
なお、有機発光層ORG1~ORG3は異なる色を発光するため、それぞれ分離して形成されている。
【0066】
また、副画素SPR、SPG及びSPBの各々は、平面視において当該副画素が占める領域(有機EL素子21及び画素回路が形成されている範囲)において当該有機EL素子21が発光する領域(以下、副画素の発光部と表記)を有するが、例えば図5における副画素SPRの発光部は、有機発光層ORG1のうちの互いに対向する画素電極PE1と共通電極CEとに挟持された部分である。副画素SPG及びSPBの発光部についても同様である。なお、本実施形態において、副画素SPR、SPG及びSPBが占める領域は、例えば略同一であるものとする。
【0067】
有機EL素子211~213(副画素SPR、SPG及びSPBの各々の発光部)は、有機絶縁材料からなる第5絶縁膜(リブ)15により区画されている。換言すれば、有機発光層ORG1~ORG3の各々は、リブの開口部に配置される。
【0068】
この場合、共通電極CEは、有機発光層ORG1~ORG3の各々と接するとともに、第5絶縁膜15とも接するように形成される。
【0069】
図5においては示されていないが、有機EL素子211~213は、透明な封止膜によって封止されていてもよい。
【0070】
表示パネル2は絶縁基板16を更に備えており、当該絶縁基板16は、透明な接着剤17によって接着されている。
【0071】
ここで、本実施形態においては有機EL素子211~213が備える有機発光層ORG1~ORG3を発光させることによって表示パネル2(表示領域DA)に画像が表示されるが、有機発光層ORG1~ORG3からの光は、当該有機発光層ORG1~ORG3の上面及び下面の両面から出射される。
【0072】
この場合、例えば有機発光層ORG1~ORG3の下面から出射される光は当該有機発光層ORG1~ORG3の上面側に位置する表示領域DAにおける画像の表示に寄与しないため、当該表示領域DA(表示面)において視認される光の輝度が低下する。
【0073】
したがって、本実施形態においては、有機発光層ORG1~ORG3の下面側に位置する画素電極PE1~PE3を、光反射性を有する金属材料(例えば、アルミニウム等)によって形成される反射電極とする。これによれば、有機発光層ORG1~ORG3から下側に出射される光を画素電極PE1~PE3(反射電極)によって上側に反射して、当該下側に出射される光を表示領域DAから出射させることができるため、当該表示領域DAにおいて視認される光の輝度を向上させることができる。
【0074】
なお、共通電極CEは、例えばインジウム・ティン・オキサイド(ITO)やインジウム・ジンク・オキサイド(IZO)等の透明な導電材料によって形成されているものとする。
【0075】
一方、上記した図2において説明したように、表示パネル2の背面側にカメラ6が配置されている場合、当該カメラ6が画像を撮像するために、表示パネル2(表示装置1)を介して当該カメラ6が有する撮像素子に可視光が入射される必要があるが、当該可視光は、上記した画素電極PE1~PE3(反射電極)を透過することができない。
【0076】
また、平面視における副画素SPR、SPG及びSPBの発光部(画素電極PE1~PE3)以外の領域においては例えばスイッチング素子SW1~SW3等が形成されているため、当該領域を介してカメラ6(撮像素子)に十分な量の可視光を入射させることも困難である。
【0077】
そこで、例えば表示領域DAのうちの撮像素子(カメラ6)と重畳する領域において画素PXを間引くことによって、十分な量の可視光が撮像素子に入射されるようにする構成(以下、本実施形態の比較例と表記)が考えられる。以下の説明においては、表示領域DAのうちの撮像素子と重畳する領域を重畳領域、当該撮像素子と重畳しない領域を非重畳領域と称する。
【0078】
図6は、非重畳領域に配置される画素PXを模式的に示している。図6においては4つの画素PXが示されており、当該画素PXの各々は、副画素SPR、SPG及びSPBを含む。また、非重畳領域において、画素PXに含まれる副画素SPR、SPG及びSPBが占める領域は同一の形状を有し、副画素SPR、SPG及びSPBは、当該副画素SPR、SPG及びSPBの順に方向Yに隣接するように並べて配置されている。なお、図6に示されている副画素SPR、SPG及びSPB内の破線は、当該副画素SPR、SPG及びSPBの各々の発光部(リブによって形成される開口部)を示している。以下の他の図についても同様である。
【0079】
一方、図7は、本実施形態の比較例において重畳領域に配置される画素PXを模式的に示している。図8に示すように、重畳領域において例えば図7に示す4つの画素PXのうちの3つを間引くことによって、当該画素PXが間引かれた領域(つまり、画素電極PE1~PE3が配置されていない領域)を透過した可視光が撮像素子に入射される。
【0080】
なお、図7において副画素SPR、SPG及びSPBが配置されていない領域には画素電極PE1~PE3は形成されていないが、有機発光層ORG1~ORG3及び共通電極CEは形成されている。ただし、有機発光層ORG1~ORG3及び共通電極CEは光透過性を有するため、画素電極PE1~PE3が形成されていない領域においては可視光を透過することができる。更に、副画素SPR、SPG及びSPBが配置されていない領域においては、上記したリブの開口部が形成されていなくてもよい。
【0081】
上記したように本実施形態の比較例によれば、撮像素子に十分な量の可視光を入射させることが可能となる。
【0082】
しかしながら、本実施形態の比較例のように単に画素PXを間引く構成の場合、重畳領域においては1画素分の間隔で各画素PXが配置されるため、当該画素PXが間引かれた領域(つまり、重畳領域)において画像を表示(ラスタ表示)すると、ドット柄が視認される。
【0083】
すなわち、上記した本実施形態の比較例においては、重畳領域における表示品位が低下することがある。
【0084】
そこで、本実施形態においては、上記した重畳領域における表示品位の低下を抑制するために、例えば撮像素子と平面視において重畳する副画素SPR、SPG及びSPBのうちの少なくとも1つが、当該撮像素子と平面視において重畳しない副画素SPR、SPG及びSPBとは異なる間隔で配置される構成を採用する。
【0085】
以下、本実施形態において撮像素子と重畳する副画素SPR、SPG及びSPB(つまり、画素PX)の配置について具体的に説明する。
【0086】
図8は、本実施形態の第1構成における副画素SPR、SPG及びSPBの配置の一例を模式的に示している。
【0087】
上記した図6に示すように、撮像素子と重畳しない副画素SPR、SPG及びSPBは当該副画素SPR、SPG及びSPBの順に方向Yに隣接するように配置されているが、図8に示す撮像素子と重畳する副画素SPR、SPG及びSPBは、少なくとも1つの副画素分の間隔を空けて方向Yに並べて配置されている。なお、本実施形態の第1構成における副画素SPR、SPG及びSPBは、図6に示す撮像素子と重畳しない副画素SPR、SPG及びSPBと同じ順に並べられている。
【0088】
このような本実施形態の第1構成によれば、上記した本実施形態の比較例と比較して、ドット柄が視認されることを回避する(つまり、表示の粗さを改善する)ことができる。更に、本実施形態の第1構成においては、撮像素子と重畳する副画素SPR、SPG及びSPBが、撮像素子と重畳しない副画素SPR、SPG及びSPBと同じ順に並べて配置されるため、重畳領域と非重畳領域とで表現される色合いがが異なるようなことを防止することが可能となる。
【0089】
図9は、本実施形態の第2構成における副画素SPR、SPG及びSPBの配置の一例を模式的に示している。
【0090】
図9に示す副画素SPR、SPG及びSPBは、少なくとも1つの副画素分の間隔を空けて方向Yに並べて配置されている点で上記した本実施形態の第1構成と同一であるが、当該副画素SPR、SPG及びSPBが並べられる順番が当該第1構成とは異なる。
【0091】
すなわち、本実施形態の第2構成における副画素SPR、SPG及びSPBは、図6に示す撮像素子と重畳しない副画素SPR、SPG及びSPBと異なる順に並べられている。具体的には、本実施形態の第2構成において、副画素SPR、SPG及びSPBは、副画素SPR、SPB及びSPGの順に方向Yに並べて配置されている。換言すれば、本実施形態の第2構成は、上記した本実施形態の第1構成における副画素SPGと副画素SPBとを入れ替えた構成に相当する。
【0092】
このような本実施形態の第2構成においては、上記した本実施形態の第1構成と同様に、ドット柄が視認されることを回避することができる。
【0093】
ここで、上記した図6において説明したように有機発光層ORG1~ORG3はそれぞれ分離して形成される必要があるが、当該分離した有機発光層ORG1~ORG3は、例えばファインマスク等を用いて発光色(つまり、有機発光層ORG1~ORG3)毎に形成される。
【0094】
しかしながら、上記した本実施形態の第1構成において重畳領域に配置されている副画素SPG及びSPBの位置は、図7に示す非重畳領域に配置されている副画素SPG及びSPBの位置と異なっている。
【0095】
具体的には、本実施形態の第1構成において撮像素子と重畳する副画素SPGは、非重畳領域において副画素SPBが配置される位置に対応する位置に配置されている。また、本実施形態の第1構成において撮像素子と重畳する副画素SPBは、非重畳領域において副画素SPGが配置される位置に対応する位置に配置されている。
【0096】
これは、重畳領域において有機発光層ORG2及びORG3を形成するために、非重畳領域において有機発光層ORG2及びORG3を形成するためのファインマスク(以下、非重畳領域のマスクと表記)とは異なるファインマスクを別途用意する必要があることを意味する。重畳領域で使用するファインマスクと非重畳領域で使用するファインマスクとでは、ファインマスクに加えるテンションが異なる。非重畳領域で使用するファインマスクに重畳領域で使用するファインマスクと同じテンションを加えると発光層が正確に形成されず、画像を表示した際にムラになる。換言すれば、本実施形態の第1構成においては、重畳領域において有機発光層ORG2及びORG3を形成するために、非重畳領域で使用するマスクを使用することができない。
【0097】
これに対して、本実施形態の第2構成において重畳領域に配置されている副画素SPG及びSPBの位置は、図6に示す非重畳領域に配置されている副画素SPG及びSPBの位置と一致している。このため、本実施形態の第2構成においては、重畳領域において有機発光層ORG1~ORG3を形成するために、非重畳領域のマスクと同じパターンのマスクを使用することができ、表示ムラを軽減することができる。
【0098】
なお、本実施形態の第1及び第2構成においては、上記したようにドット柄が視認されることを回避することができるが、方向Yに一列に並べられた副画素SPR、SPG及びSPBが1画素分の間隔で方向Xに配置される構成であるため、ストライプ柄が視認される可能性がある。
【0099】
このため、例えば図10に示すように図7で説明した副画素SPR、SPG及びSPBのうちの少なくとも1つの副画素の方向Xの位置を他の副画素と異ならせるようにしてもよい。副画素をX方向にずらすことでX方向に隣接する画素との間隔を狭くでき、表示の粗さを改善することができる。
【0100】
また、図11及び図12に示すように、本実施形態の第1及び第2構成において説明した撮像素子と重畳する副画素SPR、SPG及びSPBのうちの少なくとも1つの副画素の方向Xの位置を他の副画素と異ならせるようにしてもよい。
【0101】
なお、図11に示す例は、図8に示す副画素SPGを方向Xにずらすとともに、副画素SPBを更に方向Xにずらしたような副画素SPR、SPG及びSPBの配置を示している。
【0102】
一方、図12に示す例は、図9に示す副画素SPBを方向Xにずらすとともに、副画素SPGを更に方向Xにずらしたような副画素SPR、SPG及びSPBの配置を示している。
【0103】
このような構成によれば、上記した本実施形態の第1及び第2構成と同様にドット柄が視認されることを回避するとともに、更にストライプ柄が視認されることを回避することができる。
【0104】
なお、図12に示す構成においては、重畳領域に有機発光層ORG1~ORG3を形成する際に非重畳領域のマスクと同じパターンのマスクを使用することができるが、重畳領域において副画素SPG及びSPBは、非重畳領域とは異なる位置(つまり、方向Xにずれた位置)に形成される。この場合、非重畳領域のマスクと同じパターンのマスクで形成された重畳領域における副画素SPG及びSPBを構成する有機発光層ORG2及びORG3の一部が適切に蒸着せず、画素電極及び共通電極がショートする可能性がある。
【0105】
この場合には、図13に示すように、非重畳領域に形成される副画素SPR、SPG及びSPB(つまり、発光部)の各々の境界に合わせて、重畳領域に形成される副画素SPR、SPG及びSPBの発光部を分割して形成するようにしてもよい。
【0106】
図13に示す例では、非重畳領域において方向Xに隣接するように形成される副画素SPGの境界を跨ぐ位置に重畳領域の副画素SPG(有機発光層ORG2)が形成されるため、当該境界で分割されたような2つの発光部(つまり、副画素SPGの第1部分SPG1の発光部及び第2部分SPG2の発光部)が1つの副画素SPGに対して形成されている。この場合、副画素SPGの第1部分SPG1と第2部分SPG2とがそれぞれ別個の発光部を有するように画素電極PE2が形成される。
【0107】
また、非重畳領域において方向Xに隣接するように形成される副画素SPBの境界を跨ぐ位置に重畳領域の副画素SPB(有機発光層ORG3)が形成されるため、当該境界で分割されたような2つの発光部(つまり、副画素SPBの第1部分SPB1の発光部及び第2部分SPB2の発光部)が1つの副画素SPBに対して形成されている。この場合、副画素SPBの第1部分SPB1と第2部分SPB2とがそれぞれ別個の発光部を有するように画素電極PE3が形成される。
【0108】
なお、1つの副画素において発光部を分割して形成することを避けるのであれば、例えば図14に示すような構成とすることも可能である。図14に示す構成においては、非重畳領域に形成される副画素SPG及びSPBの境界を跨がないように、図9に示す副画素SPG及びSPBが方向Xにずらされている。
【0109】
更に、例えば図15に示すように、副画素SPG及びSPB(の発光部)が平面視において占める領域(以下、単に副画素SPG及びSPBの領域と表記)のサイズを、副画素SPR(の発光部)が平面視において占める領域(以下、単に副画素SPRの領域と表記)のサイズよりも小さくしてもよい。このような構成よれば、より撮像素子に入射される可視光の量を増加させることができる。
【0110】
なお、図15においては、副画素SPGの方向Xの位置と副画素SPBの方向Xの位置とが異なっているが、当該副画素SPGの方向Xの位置と副画素SPBの方向Xの位置とは一致していてもよい。
【0111】
また、図15に示す構成は一例であり、副画素SPR、SPG及びSPBのうちの少なくとも1つの副画素の領域のサイズが他の副画素の領域のサイズよりも小さくなるように副画素SPR、SPG及びSPBが形成されていればよい。副画素SPR、SPG及びSPBの各々の領域のサイズは、例えば当該副画素が表示する色及び当該副画素の位置等に応じて決定されればよい。
【0112】
また、上記した副画素SPR、SPG及びSPBのうちの少なくとも1つの副画素の領域のサイズを他の副画素の領域のサイズよりも小さくする構成は、上記した図8図13に示す副画素SPR、SPG及びSPBに適用されても構わない。
【0113】
上記したように本実施形態においては、撮像素子と平面視において重畳する副画素SPR、SPG及びSPB(第1~第3画素)のうちの少なくとも1つが撮像素子と平面視において重畳しない副画素SPR、SPG及びSPBとは異なる間隔で配置される構成により、撮像素子と重畳する表示領域DA(重畳領域)における表示品位の低下を抑制することが可能となる。
【0114】
具体的には、本実施形態においては、非重畳領域において4つの画素PXが配置される領域と同じサイズの重畳領域に副画素SPR、SPG及びSPBが1つずつ配置されることにより上記した図7に示す本実施形態の比較例と同様に十分な可視光を撮像素子に入射させることができるとともに、当該重畳領域における副画素SPR、SPG及びSPBが非重畳領域とは異なる間隔で配置されることにより当該図7において説明したドット柄が視認されることを回避することができる。
【0115】
なお、本実施形態においては、非重畳領域において4つの画素PXが配置される領域と同じサイズの重畳領域に副画素SPR、SPG及びSPBが1つずつ配置される例を説明したが、撮像素子に十分な可視光が入射されるのであれば、当該重畳領域に配置される副画素SPR、SPG及びSPBの数は、適宜、変更されても構わない。
【0116】
また、本実施形態においては、画素PXが3つの副画素SPR、SPG及びSPBを含むものとして説明したが、当該画素PXは、例えば4つの副画素SPR、SPG、SPB及びSPWを含むように構成されていてもよい。なお、副画素SPWは、白色の波長帯域に対応する光(白色成分の光)を表示(出力)する副画素である。このような構成であっても、撮像素子と平面視において重畳する4つの副画素SPR、SPG、SPB及びSPWのうちの少なくとも1つが、撮像素子と平面視において重畳しない副画素SPR、SPG、SPB及びSPWとは異なる間隔で配置されていればよい。
【0117】
更に、本実施形態においてはカメラ6が可視光カメラであるものとして説明したが、当該カメラ6は、撮像素子に入射した赤外光(赤外線)に基づいて画像を撮像する赤外線カメラのような他のカメラ(撮像装置)であってもよい。
【0118】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。なお、本実施形態においては、前述した第1実施形態と同様の部分についての詳しい説明を省略し、当該第1実施形態とは異なる部分について主に述べる。また、本実施形態に係る電子機器及び表示装置の構成について説明する際には、適宜、図1図5等を用いる。
【0119】
なお、前述した第1実施形態においては、撮像素子と重畳しない画素PXが図7に示すように方向Yに順に隣接する副画素SPR、SPG及びSPBを含む場合について説明したが、本実施形態は、当該画素PXの構成(平面視における副画素SPR、SPG及びSPBのサイズ、形状及び配置)が当該第1実施形態と異なる。
【0120】
図16は、本実施形態において非重畳領域に配置されている画素PXを模式的に示している。図16においては、4つの画素PXが示されており、当該画素PXの各々は、副画素SPR、SPG及びSPBを含む。また、非重畳領域に配置されている画素PXに含まれる副画素SPR、SPG及びSPBは、副画素SPR及びSPGが方向Xにおいて隣接し、副画素SPR及びSPBが方向Yにおいて隣接し、副画素SPG及びSPBが方向Yにおいて隣接するように配置されている。なお、図16に示されている副画素SPR、SPG及びSPB内の破線は、当該副画素SPR、SPG及びSPBの各々の発光部を示している。以下の他の図についても同様である。
【0121】
一方、図17は、本実施形態の比較例において重畳領域に配置される画素PXを模式的に示している。図17に示すように、重畳領域において例えば図16に示す4つの画素PXのうちの3つを間引くことによって、当該画素PXが間引かれた領域(つまり、画素電極PE1~PE3が配置されていない領域)を透過した可視光が撮像素子に入射される。
【0122】
上記したように本実施形態の比較例によれば、撮像素子に十分な量の可視光を入射させることが可能となる。
【0123】
しかしながら、本実施形態の比較例のように単に画素PXを間引く構成の場合、重畳領域においては1画素分の間隔で各画素PXが配置されるため、当該画素PXが間引かれた領域(つまり、重畳領域)において画像を表示(ラスタ表示)すると、ドット柄が視認される。
【0124】
すなわち、上記した本実施形態の比較例においては、重畳領域における表示品位が低下することがある。
【0125】
そこで、本実施形態においては、上記した重畳領域における表示品位の低下を抑制するために、少なくとも副画素SPR及びSPG、副画素SPR及びSPB、または副画素SPG及びSPBが隣接しないように重畳領域の副画素SPR、SPG及びSPBが配置される構成を採用する。
【0126】
具体的には、図18及び図19は、副画素SPR及びSPGが隣接しないように配置された副画素SPR、SPG及びSPBの配置を示している。
【0127】
図18及び図19に示す構成によれば、上記した本実施形態の比較例として比較して、ドット柄が視認されることを回避する(つまり、表示の粗さを改善する)ことができる。
【0128】
一方、図20は、副画素SPR、SPG及びSPBが互いに隣接しないように配置された副画素SPR、SPG及びSPBを示している。
【0129】
上記した図18及び図19に示される構成の場合には前述した図8及び図9において説明したようなストライプ柄が視認される可能性があるが、図20に示す構成によれば、ドット柄が視認されることを回避するとともに、ストライプ柄が視認されることを回避することができる。
【0130】
なお、上記した図18図20に示す構成は一例であり、本実施形態は、重畳領域において少なくとも副画素SPR及びSPG、副画素SPR及びSPBまたは副画素SPG及びSPBが隣接しないように副画素SPR、SPG及びSPBが配置(つまり、図17に示される副画素SPR、SPG及びSPBとは異なる間隔で配置)されていればよい。
【0131】
上記したように本実施形態においては、画素PXに含まれる副画素SPR、SPG及びSPBが、副画素SPR及びSPGが方向Xにおいて隣接し、副画素SPR及びSPBが方向Yにおいて隣接し、副画素SPG及びSPBが方向Yにおいて隣接するように配置されている構成であっても、重畳領域において副画素SPR、SPG及びSPBを例えば図18図20に示すように配置する(当該副画素SPR、SPG及びSPBのうちの少なくとも2つが隣接しないように配置する)ことによって、撮像素子と重畳する表示領域DA(重畳領域)における表示品位の低下を抑制することが可能となる。
【0132】
以上、本発明の実施形態として説明した電子機器及び表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施して実施し得る全ての電子機器及び表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0133】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0134】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0135】
1…表示装置、2…表示パネル、5…駆動ICチップ、6…カメラ(撮像素子)、21,211,212,213…有機EL素子(発光素子)、DA…表示領域、PX…画素、SPR,SPG,SPB…副画素、PE1~PE3…画素電極、ORG1~ORG3…有機発光層、CE…共通電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20