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特開2023-170489車両用前照灯の光軸制御装置、車両用前照灯の光軸制御方法、車両用前照灯システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170489
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車両用前照灯の光軸制御装置、車両用前照灯の光軸制御方法、車両用前照灯システム
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/115 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
B60Q1/115
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082292
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】中村 成克
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 陸
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA02
3K339BA01
3K339BA07
3K339BA25
3K339BA26
3K339CA01
3K339DA01
3K339DA05
3K339FA09
3K339FA10
3K339GB01
3K339HA01
3K339HA13
3K339KA07
3K339KA23
3K339KA26
3K339KA29
3K339KA39
3K339LA02
3K339LA11
3K339MC45
3K339MC49
3K339MC52
3K339MC54
3K339MC65
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運搬後の車両角度の初期化処理の手間を軽減する。
【解決手段】車両の前照灯の光軸を制御するための装置であって、コントローラ10は、イグニッションスイッチがオフとなった際に車両角度等のデータを不揮発メモリ13に書き込むとともにバッテリ16から直接的に電圧の供給を受け得る状態とし、イグニッションスイッチがオフの間において間欠的に起動して車両が移動中であるか停車中であるかを特定してそのデータを不揮発メモリ13に書き込み、イグニッションスイッチがオンとなった際に、車両が移動中であると特定した旨を示すデータが不揮発メモリ13に記憶されている場合には、不揮発メモリ13に記憶されたデータに基づいて特定される車両角度又は所定値を現在の車両角度として用いて前照灯の光軸制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前照灯の光軸を制御するための装置であって、
前記車両に搭載された加速度センサと、
前記加速度センサと接続されたコントローラと、
前記コントローラと接続された不揮発メモリと、
前記車両のバッテリと前記コントローラとの間に接続されており、前記コントローラによって開閉を制御可能なスイッチと、
を含み、
前記コントローラは、
前記車両のイグニッションスイッチがオフとなった際に、前記加速度センサの出力に基づいて得られる加速度若しくは当該加速度を用いて得られる前記車両の前後方向の傾きを示す車両角度のデータを前記不揮発メモリに書き込むとともに、前記スイッチを閉じて前記バッテリから直接的に電圧の供給を受け得る状態とし、
前記イグニッションスイッチがオフの間において間欠的に起動し、前記加速度センサを用いて得られる加速度に基づいて、前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定し、
前記車両が移動中であると特定した場合にはその旨を示すデータを前記不揮発メモリに書き込み、
前記車両のイグニッションスイッチがオンとなった際に、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されている場合には、前記不揮発メモリに記憶されたデータに基づいて特定される前記車両角度又は所定値を現在の前記車両角度として用いて前記前照灯の光軸制御を行い、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されていない場合には、前記加速度センサの出力に基づいて得られる前記加速度を用いて得られる前記車両角度によって前記前照灯の光軸制御を行う、
車両用前照灯の光軸制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記不揮発メモリに記憶された前記加速度と、前記間欠的に起動している際に前記加速度センサの出力に基づいて得られる前記加速度との変化量に基づいて、前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定する、
請求項1に記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、前記変化量の積算値に基づいて前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定する、
請求項2に記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記間欠的に起動している際において前記車両が移動中であると特定された場合には、前記スイッチを開けて前記バッテリからの電圧の供給が遮断される状態とする、
請求項1に記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【請求項5】
前記車両の移動は、当該車両を積載した運搬手段の移動によりもたらされるものである、
請求項1に記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【請求項6】
前記運搬手段は、車両運搬専用車又は船舶を含む、
請求項5に記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【請求項7】
車両の前照灯の光軸を制御するためにコントローラによって実行される方法であって、
前記コントローラは、前記車両に搭載された加速度センサと接続されるとともに不揮発メモリと接続され、かつ当該コントローラによって開閉を制御可能なスイッチを介して前記車両のバッテリと接続されており、
前記方法は、
前記コントローラが、前記車両のイグニッションスイッチがオフとなった際に、前記加速度センサの出力に基づいて得られる加速度若しくは当該加速度を用いて得られる前記車両の前後方向の傾きを示す車両角度のデータを前記不揮発メモリに書き込むとともに、前記スイッチを閉じて前記バッテリから直接的に電圧の供給を受け得る状態とすること、
前記コントローラが、前記イグニッションスイッチがオフの間において間欠的に起動し、前記加速度センサを用いて得られる加速度に基づいて、前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定すること、
前記コントローラが、前記車両が移動中であると特定した場合にはその旨を示すデータを前記不揮発メモリに書き込むこと、
前記コントローラが、前記車両のイグニッションスイッチがオンとなった際に、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されている場合には、前記不揮発メモリに記憶されたデータに基づいて特定される前記車両角度又は所定値を現在の前記車両角度として用いて前記前照灯の光軸制御を行い、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されていない場合には、前記加速度センサの出力に基づいて得られる前記加速度を用いて得られる前記車両角度によって前記前照灯の光軸制御を行うこと、
を含む、車両用前照灯の光軸制御方法。
【請求項8】
請求項1に記載の車両用前照灯の光軸制御装置と、当該制御装置に接続された前照灯と、を含む、車両用前照灯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用前照灯の光軸制御装置、車両用前照灯の光軸制御方法、車両用前照灯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前照灯の光軸を車両の姿勢変化に応じて調整するオートレベリング技術が知られている。このオートレベリング技術が採用された車両が生産工場で完成してから各地の販売店等へ配送される際には、オートレベリングを実行するためのコントローラへの電源供給を停止した状態で車両運搬専用車や船舶を用いて車両が運搬される。このため、生産工場からの出荷時と販売店等では車両の配置される路面の傾き、すなわち路面角度が異なるが、コントローラではこの路面角度の変化分が車両自体の姿勢変化を示す車両角度の変化分と誤認識される。このため、販売店等では車両角度の初期化処理が実施される(例えば、特開2019-116232号公報参照)。しかし、このような初期化処理が必要となることで販売店等での手間が増える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-116232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る具体的態様は、オートレベリング技術を採用した車両における運搬後の初期化処理の手間を軽減することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本開示に係る一態様の車両用前照灯の光軸制御装置は、車両の前照灯の光軸を制御するための装置であって、(a)前記車両に搭載された加速度センサと、(b)前記加速度センサと接続されたコントローラと、(c)前記コントローラと接続された不揮発メモリと、(d)前記車両のバッテリと前記コントローラとの間に接続されており、前記コントローラによって開閉を制御可能なスイッチと、を含み、(e)前記コントローラは、(e1)前記車両のイグニッションスイッチがオフとなった際に、前記加速度センサの出力に基づいて得られる加速度若しくは当該加速度を用いて得られる前記車両の前後方向の傾きを示す車両角度のデータを前記不揮発メモリに書き込むとともに、前記スイッチを閉じて前記バッテリから直接的に電圧の供給を受け得る状態とし、(e2)前記イグニッションスイッチがオフの間において間欠的に起動し、前記加速度センサを用いて得られる加速度に基づいて、前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定し、(e3)前記車両が移動中であると特定した場合にはその旨を示すデータを前記不揮発メモリに書き込み、(e4)前記車両のイグニッションスイッチがオンとなった際に、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されている場合には、前記不揮発メモリに記憶されたデータに基づいて特定される前記車両角度又は所定値を現在の前記車両角度として用いて前記前照灯の光軸制御を行い、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されていない場合には、前記加速度センサの出力に基づいて得られる前記加速度を用いて得られる前記車両角度によって前記前照灯の光軸制御を行う、車両用前照灯の光軸制御装置である。
[2]本開示に係る一態様の車両用前照灯システムは、上記した光軸制御装置とこれに接続される前照灯とを含む、車両用前照灯システムである。
【0006】
上記構成によれば、オートレベリング技術を採用した車両における運搬後の初期化処理の手間を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態の車両用前照灯システムの構成を示す図である。
図2図2は、ランプユニットの構成例を模式的に示す図である。
図3図3は、車両用前照灯システムのコントローラを実現するコンピュータの構成例を示す図である。
図4図4(A)、図4(B)は、加速度に基づいて検出可能な角度の内容について説明するための図である。
図5図5は、車両用前照灯システムにおけるコントローラの状態遷移図である。
図6図6は、スリープ状態(S100)におけるスリープ開始処理の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、スリープ状態(S100)におけるスリープ中のタイマ割り込み処理の流れを示すフローチャートである。
図8図8は、図7に示した移動/停車の判定処理(ステップS160)の流れを示すフローチャートである。
図9図9は、起動状態(S300)における起動開始時の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一実施形態の車両用前照灯システムの構成を示す図である。この車両用前照灯システムは、自車両の姿勢に応じて光軸を可変に設定して光照射を行うものであり、コントローラ10、ジャイロセンサ11、加速度センサ12、不揮発メモリ13、電源回路14、スイッチ15、一対のランプユニット30L、30Rを含んで構成されている。なお、本実施形態ではコントローラ10、ジャイロセンサ11、加速度センサ12、不揮発メモリ13、電源回路14、スイッチ15を含んで光軸制御装置が構成されている。
【0009】
コントローラ10は、車両用前照灯システムの動作制御を行うためのものであり、例えば所定の動作プログラムを実行可能なコンピュータシステムを用いて構成される。ここでは、コントローラ10により実現される機能を理解しやすくするために機能ブロックを用いて説明する。コントローラ10は、状態管理部21、移動/停車特定部22、車両角度設定部23、光軸制御部24を有する。
【0010】
状態管理部21は、コントローラ10の動作状態を管理する処理を行う。後述する図5に示すように、コントローラ10の動作状態には、スリープ状態、電源オフ状態、起動状態、稼働状態がある。
【0011】
移動/停車特定部22は、車両が運搬等によって移動したか、あるいは停車中であるかを特定するための処理を行う。
【0012】
車両角度設定部23は、移動/停車判定部22の判定結果に応じて、車両角度を設定する処理を行う。
【0013】
光軸制御部24は、車両角度設定部23によって設定される車両角度に応じて各ランプユニット30L、30Rの照射光の光軸を制御するための制御信号を生成し、各ランプユニット30L、30Rへ供給(出力)する。車両角度の演算方法としては公知の方法を用いることができる。
【0014】
ジャイロセンサ11は、角速度を検出してその大きさに応じたデータ又は信号を出力するセンサ(角速度センサ)である。本実施形態のジャイロセンサ11は、少なくとも車両のロール角又はピッチ角のいずれかに対応する角速度を検出できればよい。例えば、本実施形態のジャイロセンサ11は、少なくともロール方向及びピッチ方向のそれぞれに対応する角速度を検出可能であるとする。ジャイロセンサ11は、車両の所定位置(例えばグローブボックスの裏側等)に設置されている。なお、ロール方向は車両の前後方向軸回りに回転する方向であり、ピッチ方向は車両の左右方向軸回りに回転する方向である。
【0015】
加速度センサ12は、加速度を検出してその大きさに応じたデータ又は信号を出力するセンサである。本実施形態の加速度センサ12は、少なくとも車両の前後方向と上下方向のそれぞれに対応した加速度を検出することが可能である。なお、加速度センサ12の各軸自体は、必ずしも車両の前後方向と上下方向のそれぞれと必ずしも完全に一致していなくてよく、その場合には適宜検出値に対して補正処理を行えばよい。
【0016】
不揮発メモリ13は、コントローラ10と接続されており、コントローラ10による演算処理に必要なデータを不揮発に記憶する。不揮発メモリ13としては、例えばフラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などを用いることができる。
【0017】
電源回路14は、車両に搭載されたバッテリ16とコントローラ10の間に接続されており、バッテリ16から得られる電圧を用いてコントローラ10へ駆動電圧を供給する。この電源回路14は、車両のイグニッションスイッチの操作状況を示す信号IGに基づいて動作する。すなわち、イグニッションスイッチがオンとなった際にコントローラ10への駆動電圧の供給を行い、イグニッションスイッチがオフになった際には駆動電圧の供給を停止する。
【0018】
なお、本明細書において「イグニッションスイッチ」とは、車両を始動させて車両に搭載された電子制御装置等への電源供給を開始させるためのスイッチのことをいう。イグニッションスイッチは、キーを差し込んでこれを回すタイプのものでもよいし、押しボタンによるものでもよい。車両の種類もエンジン車に限定されず、いわゆるハイブリッド車でもよいし、いわゆる電気自動車でもよい。
【0019】
スイッチ15は、コントローラ10とバッテリ16の間に接続されており、バッテリ16とコントローラ10との間の導通と非導通を切り替える。スイッチ15の開閉動作はコントローラ10によって制御可能である。スイッチ15が閉状態(導通)となった場合、バッテリ16の電圧(+B)は直接的にコントローラ10へ供給される。このような直接的な電圧供給の経路が存在することで、イグニッションスイッチがオフとなり電源回路14からの電圧供給が停止した際にもコントローラ10の動作を継続させることができる、また、コントローラ10によってスイッチ15を開状態(非導通)とすることで、不要時にはコントローラ10への電圧供給を解除することもできる。従って、バッテリ16の浪費を抑えることができる。
【0020】
各ランプユニット30L、30Rは、車両の前部の左右に1つずつ設けられ、車両の前方に光照射を行うためのものである。各ランプユニット30L、30Rとしては、公知の種々のランプユニットを採用することができる。例えば、光源や反射鏡等を有して構成される光源部と、光源部から放射される光の光軸(主進行方向)を車両のピッチ方向にて上下に調整するために光源部の向きを上下に調整するアクチュエータを有しており、機械的に光照射範囲を制御可能なランプユニットを用いることができる(後述の図2参照)。なお、各ランプユニット30L、30Rとしては、例えば、光源と液晶素子を組み合わせて光照射範囲を制御可能な構成のランプユニット、複数のLEDを選択的に点灯/消灯させることで光照射範囲を制御可能な構成のランプユニット、レーザ素子からの光を可動反射板によって走査してその際にレーザ素子を高速に点消灯させることで光照射範囲を制御可能な構成のランプユニットなど、電子的に光照射範囲を制御可能なランプユニットを用いることもできる。
【0021】
図2は、ランプユニットの構成例を模式的に示す図である。一例としての本実施形態の前照灯ユニット30L、30Rは、それぞれ、光源31と、この光源31を収容するハウジング33と、光源31の前方(光の出射する方向)に配置されておりハウジング33に固定されているレンズ34を備える。ハウジング33の内側面には、光源31からの光を前方へ反射させる反射面が設けられている。アクチュエータ32は、光源31を収容するハウジング33と連結されており、このハウジング33の姿勢を変化させる。それにより、光源31からの光の光軸aを可変に設定することができる。例えば、車両の後部が相対的に下がっている場合には光軸aが下向きとなるように制御され、車両の前部が相対的に下がっている場合には光軸aが上向きとなるように制御される。その際にどの程度下向きまたは上向きにするかは車両角度に応じて設定される。
【0022】
図3は、車両用前照灯システムのコントローラを実現するコンピュータの構成例を示す図である。図示のコンピュータは、相互に通信可能に接続されたCPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、記憶装置204、外部インタフェース(I/F)205を含んで構成されている。CPU201は、ROM202から読み出される基本制御プログラムをベースにして動作し、記憶装置204に格納されたプログラム(アプリケーションプログラム)206を読み出してこれを実行することにより、上記したコントローラ10の機能を実現する。RAM203は、CPU201の動作時に使用させるデータを一時的に記憶する。記憶装置204は、例えばハードディスク、ソリッドステートドライブなどの不揮発性の記憶装置であり、プログラム206など種々のデータを格納する。外部インタフェース205は、CPU201と外部装置を接続するインタフェースであり、例えば上記した不揮発メモリ13との接続に用いられる。
【0023】
図4(A)、図4(B)は、加速度に基づいて検出可能な角度の内容について説明するための図である。図4(B)に示すように、車両の生産工場等における出荷時点で加速度センサ12を用いて得られる加速度に基づく検出角度αには、生産工場における路面の傾きを示す角度である路面角度θと、加速度センサ12自体の車両への設置状態に応じた角度(初期位置を示す角度)である初期位置角度θintと、車両自体の前後方向の傾きに応じた角度である車両角度θが含まれる。すなわち、α=θ+θint+θと表せる。そして、路面角度θと初期位置角度θintは既知であるので、検出角度αに基づいて車両角度θが得られる。
【0024】
他方、車両が車両運搬専用車や船舶を用いて生産工場等から移動して他の場所(例えば販売店)に配置された場合、移動前後での路面角度の違いによる変化分が検出角度αに含まれるようになる。具体的には、生産工場での路面角度をθr1とし、他の場所での路面角度の変化分をθr2とすると、図4(B)に示すように検出角度αには、路面角度θr1と路面角度の変化分θr2と初期位置角度θintと車両角度θが含まれる。すなわち、α=θr1+θr2+θint+θと表せる。
【0025】
ここで、車両が車両運搬専用車や船舶を用いて生産工場等から他の場所へ移動した後、車両のイグニッションスイッチがオンになり、加速度センサ12により得られる加速度に基づく検出角度αの検出を行う場合に、従前では、路面角度の変化分θr2が車両角度θの変化分と誤認識されるおそれがあった。この誤認識が生じると、車両角度θに基づく各ランプユニット30L、30Rの光軸aの制御に誤差を生じることになる。このような場合、従前では、例えば車両が販売店へ移動した場合であればその販売店の係員が車両角度の誤差をリセットするための所定の作業を行うなどして車両角度を初期化していたが、この手間が煩雑であった。そこで、本実施形態では、以下に説明する制御を行うことにより、車両角度のリセット作業を不要としつつ路面角度の変化分を反映した光軸制御の精度向上を図ることを可能としている。
【0026】
図5は、車両用前照灯システムにおけるコントローラの状態遷移図である。図中、S100はスリープ状態、S200は電源オフ状態、S300は起動状態、S400は稼働状態をそれぞれ示す。コントローラ10は、スリープ状態(S100)からイグニッションスイッチがオンになった場合には起動状態(S300)へ遷移する。また、スリープ状態(S100)においてバッテリ16からの電圧供給が停止した場合や車両が移動中であることが検出された場合には、コントローラ10は、電源オフ状態(S200)へ遷移する。電源オフ状態(S200)においてイグニッションスイッチがオンになった場合には、コントローラ10は、起動状態(S300)へ遷移する。起動状態(S300)において初期設定及び初期化(詳細は後述)が完了後には、コントローラ10は、稼働状態(S400)へ遷移する。稼働状態(S400)においてイグニッションスイッチがオフになった場合には、コントローラ10は、スリープ状態(S100)へ遷移する。
【0027】
「スリープ状態」とは、低消費電力でコントローラ10の機能・状態を維持するモードである。また、本実施形態のスリープ状態では、一定期間ごと(一例として10秒間ごと)に起動し、車両が移動中であるか停車中であるかを検出し、移動中であることが検出された場合には所定の処理(詳細は後述)を行う。
【0028】
「電源オフ状態」とは、スリープ状態においてバッテリ16からの直接的な電圧供給が停止した場合や車両が移動中であることが検出された場合にスリープ状態から遷移し、コントローラ10の動作が停止するモードである。
【0029】
「起動状態」とは、スリープ状態又は電源オフ状態の何れかの状態からイグニッションスイッチがオンになった際に、コントローラ10が起動し、所定の初期設定や、プログラム稼働のための初期化を行うモードである。
【0030】
「稼働状態」とは、コントローラ10の起動後、加速度センサ12から得られる加速度等に基づいて通常の光軸制御を行うモードである。
【0031】
図6は、スリープ状態(S100)におけるスリープ開始処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、イグニッションスイッチがオフとなった直後から開始される。この場合、コントローラ10はバッテリ16からスイッチ15を介して直接的に得られる電圧を用いて動作する。
【0032】
具体的には、イグニッションスイッチがオフとなった場合に、コントローラ10の状態管理部21は、直前の情報を不揮発メモリ13に書き込む(ステップS110)。ここでいう直前の情報とは、例えばジャイロセンサ11の出力に基づいて得られる角速度や加速度センサ12の出力に基づいて得られる加速度の各データ、加速度に基づいて得られた角度のデータ、コントローラ10自身の状態(スリープ状態)を示すデータ、イベントモード(停車)を示すデータなどを含む。
【0033】
次に、コントローラ10の状態管理部21は、スリープ状態になった後に間欠的に起動するためのタイマ処理を開始する(ステップS120)。ここでは、例えば10秒間ごとに起動するようにタイマ処理が設定される。その後、コントローラ10は、スリープ状態に移行する(ステップS130)。スリープ状態とは、低消費電力機能の1つであり、内部情報を保持しながら特定の機能以外は停止させ、処理速度(クロック周波数)も低下させる状態をいう。
【0034】
図7は、スリープ状態(S100)におけるスリープ中のタイマ割り込み処理の流れを示すフローチャートである。このタイマ割り込み処理は、上記したタイマ開始処理(S120)により所定の時間が経過する毎に実行される。
【0035】
具体的には、コントローラ10の移動/停車特定部22は、ジャイロセンサ11及び加速度センサ12を駆動し(ステップS140)、ジャイロセンサ11及び加速度センサ12から角速度及び加速度の各データを読み出す(ステップS150)。
【0036】
次に、コントローラ10の移動/停車特定部22は、読み出した加速度等のデータを用いて所定の移動/停車の判定処理を行う(ステップS160)。ステップS160の詳細な処理内容については後述する。
【0037】
ステップS160の判定処理の結果、車両が移動中ではない場合であって移動/停車の判定処理の実行回数が所定数に達していない場合には、ステップS160に戻り、移動/停車の判定処理が実行される。また、移動/停車の判定処理の実行回数が所定数に達した場合には、スリープ状態へ移行する(ステップS170)。その後、スリープ状態が継続される。
【0038】
ステップS160の判定処理の結果、車両が移動中であった場合には、コントローラ10の状態管理部21は、スリープ状態を電源オフ状態で完了したことを示すデータを不揮発メモリ13に書き込む(ステップS180)。
【0039】
次に、コントローラ10の状態管理部21は、スイッチ15を開状態(非導通)に制御する(ステップS190)。これにより、バッテリ16からコントローラ10への電圧供給が停止する。これにより、コントローラ10は動作を停止し、電源オフ状態(ステップS200;図5参照)へ遷移する。これは、スリープ状態にて移動判定中(後述する)と判断された場合、イグニッションスイッチのオフ中に車両角度が変化しても車両角度の算出に関する信頼性に欠けるためである。
【0040】
図8は、図7に示した移動/停車の判定処理(ステップS160)の流れを示すフローチャートである。ここでの判定処理の結果については上記した図7に示す処理に反映される。
【0041】
コントローラ10の移動/停車特定部22は、イグニッションスイッチがオフとなった直後の加速度から現在の加速度への変化量が所定の第1閾値未満の場合には、加速度の変化量を積算するとともに角速度の変化量を積算する(ステップS161)。ここでは、一定時間分(例えば、最大2秒間分)のリングバッファを用いて変化量を積算するのが望ましい。
【0042】
ステップS161での第1閾値については、シミュレーションや実験に基づいて適宜設定可能であり、例えば車両が変化可能な最大角度に応じて設定することが望ましい。通常、特殊な状況を除けば車両が大きく姿勢変化したとして±3度以上の変化を生じることはほとんどない。従って、車両の前後方向(進行方向)の加速度が±50mGを超えるのであれば移動中(ないし走行中)であると判断できる。つまり、一例として第1閾値は加速度の変化量が絶対値で50mGと設定することができる。この場合、スリープ状態において路面が変化しているか又は移動中であるということになるが、路面が変化することは移動中と同義である。
【0043】
次に、コントローラ10の移動/停車特定部22は、角速度、加速度の各積算値をメモリに保持する(ステップS162)。ここでいうメモリとは例えば上記したRAM203など一時記憶可能なメモリである。
【0044】
次に、角速度の変化量の積算値又は加速度の変化量の積算値が所定の第2閾値未満であり、さらに角速度の積算値又は加速度の積算値が所定の第3閾値未満の場合には、コントローラ10の移動/停車特定部22は、車両状態を「スリープ状態での停車中」と特定する(ステップS163)。このときは、車両の揺れもなく、停車中かつ安定した状態であるといえる。
【0045】
他方、角速度の積算値又は加速度の積算値が所定の第3閾値以上の場合には、コントローラ10の移動/停車特定部22は、車両状態を「スリープ状態での判定中」と特定する(ステップS164)。これは、荷物が積載された瞬間や車両の運搬が開始された瞬間などの一時的な加速度ないし角速度の変化が検知されている状態を示す。
【0046】
第3閾値については、例えば100ミリ秒間毎に加速度センサ12等の出力を読み取っている場合であれば、車両の前後方向(進行方向)の加速度について10mGと設定することができる。また、角速度を用いる場合であれば、第3閾値を例えば0.1dpsと設定することができる。第3閾値は車両の揺れ方の最頻値に基づいて設定することが望ましい。
【0047】
角速度の変化量の積算値又は加速度の変化量の積算値が所定の第2閾値以上の場合には、コントローラ10の移動/停車特定部22は、車両状態を「スリープ状態での移動中」と特定する(ステップS165)。また、イグニッションスイッチがオフとなった直後の加速度から現在の加速度への変化量が所定の第1閾値以上の場合にも、コントローラ10の移動/停車特定部22は、車両状態を「スリープ状態での移動中」と特定する(ステップS165)。
【0048】
第2閾値については、例えば100ms毎に加速度センサ12等の出力を読み取っている場合であれば、第1閾値と同様に、車両の前後方向(進行方向)の加速度について変化量の積算値が絶対値で50mGと設定することができる。移動中であれば加速度が逐次上昇するので変化量の積算値が絶対値で50mGを超えるからである。また、角速度を用いる場合であれば、第2閾値を例えば2.5dpsと設定することができる。角速度については、加速度だけでは車両の移動/停車の切り分けが難しい場合に併用するとよい。
【0049】
次に、コントローラ10の移動/停車特定部22は、移動/停車の判定処理を行った回数を計数する(ステップS166)。一例として、当該判定処理が0.1秒間毎に4秒間実行されるとすると、40回が上限数となる。
【0050】
計数した回数が40回未満である場合には、コントローラ10の移動/停車特定部22は、自身の動作状況を示すステータスを「処理継続」として不揮発メモリ13に書き込み(ステップS167)、移動/停車の判定処理を完了する。この場合、コントローラ10の移動/停車特定部22は、「処理継続」のステータスに基づいて、次の0.1秒間後に上記した図7に示したタイマ割り込み処理を再度実行する。
【0051】
計数した回数が40回以上である場合には、コントローラ10の状態管理部21は、自身の動作状況を示すステータスを「処理完了」として不揮発メモリ13に書き込み(ステップS168)、移動/停車の判定処理を完了する。この場合、コントローラ10は、ステータスに基づいて「スリープ状態」へ移行し、次の10秒間後に上記した図7に示したタイマ割り込み処理を再度実行する。
【0052】
図9は、起動状態(S300)における起動開始時の処理の流れを示すフローチャートである。コントローラ10の状態管理部21は、リセットオン起動であれば各ソフトウェア機能の初期化を行う(ステップS301)。なお、リセットオン起動とは、電源がオフからオンとなった際、マイコン等の状態を初期化し、内蔵するプログラムを始めから動かす起動をいう。
【0053】
次に、コントローラ10の状態管理部21は、各種機能の初期設定を行う(ステップS302)。スリープ状態からの復帰時もしくは起動中にイグニッションスイッチが再度オンとなった場合には、ジャイロセンサ11や加速度センサ12は起動済みになっている。
【0054】
次に、コントローラ10の状態管理部21は、リセットオン起動であれば、不揮発メモリ13からデータを読み出す(ステップS303)。具体的には、イグニッションスイッチがオフとなった直後の車両角度θ(あるいは検出角度α)、加速度などのデータが読み出される。なお、スリープ状態からの復帰時もしくは起動中にイグニッションスイッチが再度オンとなった場合には、メモリに一時的に保存されていた車両角度、加速度などの各データが読み出される。
【0055】
リセットオン起動ではない場合、もしくは車両状態が「スリープ状態での移動中」以外の場合には、コントローラ10の車両角度設定部23は、加速度センサ12の出力に基づいて得られる加速度のデータを用いて車両角度を算出する(ステップS304)。ここでは、スリープ状態での移動/停車を適正に管理できているので新たに車両角度を算出する。算出された車両角度に基づいて、光軸制御信号が生成されて各ランプユニット30L、30Rへ与えられ、光軸制御が実行される。
【0056】
他方、リセットオン起動である場合、もしくは車両状態が「スリープ状態での移動中」である場合には、コントローラ10の車両角度設定部23は、不揮発メモリ13から読み出した車両角度(イグニッションスイッチがオフ時の車両角度)をそのままイグニッションスイッチがオンとなった直後の車両角度として設定する(ステップS305)。この場合は、スリープ状態で車両の移動が開始されたか、もしくはバッテリ16の電源ケーブルないしヒューズが取り外された等によりバッテリ16からの電圧供給が途絶えたことになるので、車両が車両運搬専用車等で運搬された可能性があり、適正な車両角度が算出できないからである。なお、ステップS305では、イグニッションスイッチがオフ時の車両角度をそのまま用いるのではなく車両角度を所定値(例えば0度)にリセットしてもよい。設定された車両角度に基づいて、光軸制御信号が生成されて各ランプユニット30L、30Rへ与えられ、光軸制御が実行される。
【0057】
以上のような実施形態によれば、オートレベリング技術を採用した車両における運搬後の初期化処理の手間を軽減することが可能となる。詳細には、本実施形態の車両用前照灯システムでは、車両のイグニッションスイッチがオフとなった後、運搬等によって車両が移動した場合にはそれが検知されて車両状態として保持されるので、運搬後の販売店等でのイグニッションスイッチのオン時には、運搬前の車両角度を用いるか又は自立的に車両角度を所定値にリセットすることができる。従って、販売店等での手間をかけることなく、車両角度の変化による光軸ズレを防ぐことができる。
【0058】
また、本実施形態では、車両状態の検知処理を間欠的に行っており、かつ車両の移動が検知された後はこの検知処理を実行しないので、バッテリの消耗を防ぐことができる。なお、バッテリ容量に余裕がある場合などでは検知処理が続行されてもよい。
【0059】
なお、本開示は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本開示の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。例えば、タイマ割り込み処理の時間の設定値、移動/停車の判定処理における各閾値の設定値などは一例であり上記した内容に限定されない。また、上記した実施形態では四輪車両を例にして説明したが本開示に係る技術的思想は四輪以外の種々の車両の前照灯においても同様にして適用可能である。さらに、本開示では電力の供給源をバッテリとしているが、車両にバッテリやオルタネーターから電力が供給される補助電源を有するものであれば、補助電源をバッテリと見做すことができるものである。
【0060】
本開示は、以下に付記する特徴を有する。
【0061】
(付記1)
車両の前照灯の光軸を制御するための装置であって、
前記車両に搭載された加速度センサと、
前記加速度センサと接続されたコントローラと、
前記コントローラと接続された不揮発メモリと、
前記車両のバッテリと前記コントローラとの間に接続されており、前記コントローラによって開閉を制御可能なスイッチと、
を含み、
前記コントローラは、
前記車両のイグニッションスイッチがオフとなった際に、前記加速度センサの出力に基づいて得られる加速度若しくは当該加速度を用いて得られる前記車両の前後方向の傾きを示す車両角度を前記不揮発メモリに書き込むとともに、前記スイッチを閉じて前記バッテリから直接的に電圧の供給を受け得る状態とし、
前記イグニッションスイッチがオフの間において間欠的に起動し、前記加速度センサを用いて得られる加速度に基づいて、前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定し、
前記車両が移動中であると特定した場合にはその旨を示すデータを前記不揮発メモリに書き込み、
前記車両のイグニッションスイッチがオンとなった際に、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されている場合には、前記不揮発メモリに記憶された前記車両角度又は所定の初期値を現在の前記車両角度として設定して前記前照灯の光軸制御を行い、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されていない場合には、前記加速度センサを用いて得られる前記加速度に基づいて得られる前記車両角度を用いて前記前照灯の光軸制御を行う、
車両用前照灯の光軸制御装置。
【0062】
(付記2)
前記コントローラは、前記不揮発メモリに記憶された前記加速度と、前記間欠的に起動している際に前記加速度センサの出力に基づいて得られる前記加速度との変化量に基づいて、前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定する、
付記1に記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【0063】
(付記3)
前記コントローラは、前記変化量の積算値に基づいて前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定する、
付記2に記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【0064】
(付記4)
前記コントローラは、前記間欠的に起動している際において前記車両が移動中であると特定された場合には、前記スイッチを開けて前記バッテリから直接的に電圧の供給が遮断される状態とする、
付記1~3の何れか1つに記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【0065】
(付記5)
前記車両の移動は、当該車両を積載した運搬手段の移動によりもたらされるものである、
付記1~4の何れか1つに記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【0066】
(付記6)
前記運搬手段は、車両運搬専用車又は船舶を含む、
付記5に記載の車両用前照灯の光軸制御装置。
【0067】
(付記7)
車両の前照灯の光軸を制御するためにコントローラによって実行される方法であって、
前記コントローラは、前記車両に搭載された加速度センサと接続されるとともに不揮発メモリと接続され、かつ当該コントローラによって開閉を制御可能なスイッチを介して前記車両のバッテリと接続されており、
前記方法は、
前記コントローラが、前記車両のイグニッションスイッチがオフとなった際に、前記加速度センサの出力に基づいて得られる加速度若しくは当該加速度を用いて得られる前記車両の前後方向の傾きを示す車両角度を前記不揮発メモリに書き込むとともに、前記スイッチを閉じて前記バッテリから直接的に電圧の供給を受け得る状態とすること、
前記コントローラが、前記イグニッションスイッチがオフの間において間欠的に起動し、前記加速度センサを用いて得られる加速度に基づいて、前記車両が移動中であるか停車中であるかを特定すること、
前記コントローラが、前記車両が移動中であると特定した場合にはその旨を示すデータを前記不揮発メモリに書き込むこと、
前記コントローラが、前記車両のイグニッションスイッチがオンとなった際に、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されている場合には、前記不揮発メモリに記憶された前記車両角度又は所定の初期値を現在の前記車両角度として設定して前記前照灯の光軸制御を行い、前記車両が移動中であると特定した旨を示すデータが前記不揮発メモリに記憶されていない場合には、前記加速度センサを用いて得られる前記加速度に基づいて得られる前記車両角度を用いて前記前照灯の光軸制御を行うこと、
を含む、車両用前照灯の光軸制御方法。
【0068】
(付記8)
付記1~付記6の何れか1つに記載の車両用前照灯の光軸制御装置と、当該制御装置に接続された前照灯と、を含む、車両用前照灯システム。
【符号の説明】
【0069】
10:コントローラ、11:ジャイロセンサ、12:加速度センサ、13:不揮発メモリ、14:電源回路、15:スイッチ、16:バッテリ、21:状態管理部、22:移動/停車特定部、23:車両角度設定部、24:光軸制御部、30L、30R:ランプユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9