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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170493
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】2液吐出部材および2液吐出製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/14 20060101AFI20231124BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20231124BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20231124BHJP
   B05B 7/24 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B65D83/14 200
B65D81/32 U
B05B9/04
B05B7/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082304
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 輝志
【テーマコード(参考)】
3E013
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E013AB07
3E013AC01
3E013AC19
3E013AD02
3E013AD07
3E013AE02
3E013AE03
3E013AE12
3E013AF05
3E013AF34
3E014PA01
3E014PB04
3E014PB05
3E014PC08
3E014PD01
3E014PE17
3E014PF10
4F033QA10
4F033QB03X
4F033QB17
4F033QB18
4F033QD02
4F033QD19
4F033QF02X
4F033QJ04
4F033QJ09
4F033QJ13
4F033RA02
4F033RC08
4F033RC16
(57)【要約】
【課題】内側吐出物から出てくる臭気を遮断することができ、内側吐出物の吐出状態を確認しやすい2液吐出部材および2液吐出製品を提供する。
【解決手段】2液吐出部材10は、第1ステム装着部81と、第2ステム装着部82と、第1吐出口71を有する内ノズル130と、内ノズル130を覆い、内ノズル130との間に第2吐出口72を形成する外ノズル140と、第1ステム装着部81から内ノズル130内を通って第1吐出口71に至る第1吐出通路R1と、第2ステム装着部82から内ノズル130と外ノズル140の間を通って第2吐出口72に至る第2吐出通路R2とを備え、外ノズル140の先端に複数のV字状の切込み41cが設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ステムに装着される第1ステム装着部と、
第2ステムに装着される第2ステム装着部と、
軸方向先端に第1吐出口を有する内ノズルと、
内ノズルを覆い、軸方向先端で内ノズルとの間に第2吐出口を形成する筒状の外ノズルと、
第1ステム装着部から内ノズル内を通って第1吐出口に至る第1吐出通路と、
第2ステム装着部から内ノズルと外ノズルの間を通って第2吐出口に至る第2吐出通路とを備え、
外ノズルの先端に複数のV字状の切込みが設けられている、2液吐出部材。
【請求項2】
前記外ノズルの内面が、先端に向かって次第に細くされている請求項1記載の2液吐出部材。
【請求項3】
第1ステムを備えている第1容器と、
その第1容器に充填されている発泡性の第1内容物と、
第2ステムを備えている第2容器と、
その第2容器に充填されている、第1内容物より発泡性が低い、または発泡しない第2内容物と、
第1容器と第2容器に装着されている請求項1または2記載の2液吐出部材とからなる、2液吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離して充填されている2種の内容物を、一方の内容物が他方の内容物により包囲された状態で吐出するための2液吐出部材およびそれを用いた2液吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方の吐出物が他方の吐出物により包囲された、内側吐出物の密度が外側吐出物よりも小さい二重吐出物を形成する2液型エアゾール製品が記載されている。内側吐出物の密度が外側吐出物よりも小さい具体例として、内側吐出物が発泡性吐出物で、外側吐出物が非発泡性吐出物の場合をあげている(特許文献1の段落[0039]参照)。このものは吐出後に吐出物同士を混合させやすく、内側吐出物の臭気を外側吐出物で遮断できる効果がある。
【0003】
特許文献2には、第1原液を吐出する複数の吐出口と、第2原液を吐出する複数の吐出口を軸回りに交互に配置した2液吐出ノズルが開示されている。この2液吐出ノズルから出ていく2種の原液は、螺旋状に絡み合いながら出ていくため、混合させやすい。
【0004】
特許文献3には、吐出口部の先端をドーム状に湾曲させ、先端から基部に向かって複数個の切込みを形成したエアゾール容器用の吐出具が開示されている。切込みとしては矩形状やV字状のものが挙げられており、切込みの根元から三角形状の突起を突出させることも開示している。この吐出具はムース状またはフォーム状に内容物を吐出するもので、吐出する内容物の外表面に多数の凹凸を形成して美観を向上させることができ、さらに吐出物の表面積を広くして芳香成分の効果を発揮させるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6320796号公報
【特許文献2】特開2019-182517号公報
【特許文献3】特許第6734699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の2液吐出部材は内側吐出物の臭気を外側吐出物が遮断する利点があるが、内側吐出物が外側吐出物によって覆われるため、内側吐出物の吐出量を確認しにくい。特許文献2の2液吐出ノズルでは2液が縞状に吐出されるので、2液の吐出量を確認できるが、内容物の臭気を遮断することができない。特許文献3の吐出具は、吐出物の表面積を拡げて芳香成分の効果を発揮させる。しかし2種の内容物を吐出するものではない。
【0007】
本発明は内側吐出物から出てくる臭気を遮断することができ、しかも内側吐出物の吐出量を確認しやすい2液吐出部材および2液吐出製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の2液吐出部材40は、第1ステム24に装着される第1ステム装着部81と、第2ステム34に装着される第2ステム装着部82と、軸方向先端に第1吐出口71を有する内ノズル130と、内ノズル130を覆い、軸方向先端で内ノズル130との間に第2吐出口72を形成する外ノズル140と、第1ステム装着部81から内ノズル130内を通って第1吐出口71に至る第1吐出通路R1と、第2ステム装着部82から内ノズル130と外ノズル140の間を通って第2吐出口72に至る第2吐出通路R2とを備え、外ノズル140の先端に複数のV字状の切込み41cが設けられていることを特徴としている。
【0009】
このような2液吐出部材40においては、前記外ノズル140の内面が、先端に向かって次第に細くされているものが好ましい。
【0010】
本発明の2液吐出製品1は、第1ステム24を備えている第1容器20と、その第1容器20に充填されている発泡性の第1内容物C1と、第2ステム34を備えている第2容器30と、その第2容器30に充填されている、第1内容物C1より発泡性が低い、または発泡しない第2内容物C2と、第1容器20と第2容器30に装着されている前記いずれかの2液吐出部材40とからなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の2液吐出部材は、発泡性の内容物が充填された第1容器のステムに第1ステム装着部を装着し、低発泡または発泡しない内容物が充填された第2容器のステムに第2ステム装着部を装着して使用する。それにより内側の第1吐出口から発泡性の第1内容物が吐出し、外側の第2吐出口から低発泡ないし発泡しない第2内容物が吐出する。このとき、内側の第1内容物の第1吐出物を外側の第2内容物の第2吐出物が覆うので、内側の第1吐出物の臭気が遮断される。さらに発泡した内側の第1吐出物に押し拡げられ、外側の第2吐出物がV字状の切込みから膨出する。それにより、第2吐出物の表面に複数の突条とそれらの間の溝が形成され、薄い溝の部分を透して内側の第1吐出物を確認することができる。
【0012】
前記外ノズルの内面が、先端に向かって次第に細くされている場合は、吐出物の進行が抑制されるので、吐出物が切込みから強く押し出される。そのため、吐出物の表面に突条および溝を明瞭に形成することができる。
【0013】
本発明の2液吐出製品は、内側の第1内容物が発泡し、発泡性が低い、または発泡しない外側の第2内容物を押し拡げるので、外側の第2吐出物の厚い部分と薄い部分の厚みを調整しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る2液吐出製品を示す垂直断面図である。
図2】吐出部材の斜視図である。
図3図3A図3Bおよび図3Cは切込みノズルの一実施形態を示す斜視図、正面図および縦断面図である。
図4】吐出部材の水平断面図である。
図5図5A図5Bおよび図5Cは、吐出物の一例を示す斜視図、横断面図および縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実施形態に係る2液吐出容器10について図面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、2液吐出容器10は、第1容器20と、第1容器20と並列状態で配置された第2容器30と、第1容器20と第2容器30に取り付けられる吐出部材40と、第1容器20と第2容器30とを連結する肩カバー50とを備えている。第1容器20に第1内容物C1を充填し、第2容器30に第2内容物C2を充填したものは2液吐出製品1である。以下、各部材について詳細に説明する。
【0016】
図1の右側の第1容器20は、上端に開口21aを有する容器本体21と、容器本体21の開口21aを塞ぐ第1バルブ22とを備えている。第1容器20には内部容器を収容せず、第1内容物C1は直接、あるいは容器内面を保護するライナを介して第1容器20内に充填されている。
【0017】
容器本体21は、例えばアルミニウム等の金属製であって、底部21bと、底部21bの外周端から立ち上がる胴部21cと、胴部21cの上端から徐々に縮径しながら上方に延びる肩部21dと、肩部21dの上端から上方に延びる首部21eとを備えている。首部21eは上下方向の略中間に括れ部21fを有している。この括れ部21fは第1バルブ22をカシメ固定する際に利用される。開口21aは首部21eの上端に設けられている。
【0018】
第1バルブ22は、側面にステム孔24aを有する有底筒状の第1ステム24と、第1ステム24を上下動可能に収容するハウジング25と、第1ステム24を常時上方(外側)に付勢する弾性体(バネ)26と、略ドーナッツ状であって、第1ステム24が押し下げられる(押し込まれる)前は内周面でステム孔24aを塞ぎ、第1ステム24が押し下げられた(押し込まれた)ときには内周側が撓んでステム孔24aを開放するステムラバー27と、ハウジング25を容器本体21に固定するマウンティングカップ28とを備えた、所謂エアゾールバルブである。また、ハウジング25の外周面と容器本体21の上端とマウンティングカップの内面との間をシールするガスケット25bを備えている。
【0019】
マウンティングカップ28は、上端に底を有する略カップ状であって、第1ステム24の一部はこの底から上方に突出している。また、マウンティングカップ28は、容器本体21の首部21eに外嵌された状態で縮径方向にカシメられ、容器本体21に固定されている。上記構成の第1容器20は密閉状態であり、第1バルブ22を介してのみ第1内容物C1を吐出することができる。
【0020】
図1の左に記載されている第2容器30は、第1容器20と同様の構成とされた容器本体21と、容器本体21に収容される内部容器23と、容器本体21の開口21aと内部容器23の開口部23aを塞ぐ第2バルブ32とを備えている。内部容器23は、内部容器と容器本体21の間のスペースに充填される加圧剤Pによって押しつぶされるものであり、合成樹脂製ないし軟質金属製の袋である。ガスケット25bは、内部容器23とハウジング25の間、内部容器23と容器本体21の間もシールする。第2バルブ32にはディップチューブ29がなく、ハウジング25の側面に内部容器23内の第2内容物C2の原液Gをハウジング25内に導入するための開口25aが設けられている。他は第1バルブ22と同様であるため、同符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0021】
上記第1容器20と第2容器30には、両者を連結する肩カバー50が取り付けられている。肩カバー50は、第1容器20と第2容器30のマウンティングカップ28に外嵌固定される固定筒50aと、固定筒50aから上方に突出する一対のガイド筒50cとを備えている。ガイド筒50cは、吐出部材40の本体60の外周に位置し、吐出部材40の上下移動をガイドする。
【0022】
吐出部材40は、第1バルブ22の第1ステム24と第2バルブ32の第2ステム34とを連結している。そのため、吐出部材40を押し下げることで、第1バルブ22の第1ステム24と第2バルブ32の第2ステム34とを一緒に押し下げる(押し込む)ことができ、第1バルブ22と第2バルブ32とを一緒に開くことができる。また、第1バルブ22と第2バルブ32との開状態を維持することができる。また、押し下げを止める(手を離す)ことで、第1バルブ22の第1ステム24と第2バルブ32の第2ステム34とが一緒に押し下げられる前の元の位置に戻り、第1バルブ22と第2バルブ32とを一緒に閉じることができる。
【0023】
この吐出部材40は、第1バルブ22の第1ステム24に接続する第1接続口61と、第1内容物C1を吐出する第1吐出口71と、第1バルブ22から第1吐出口71までを連通する第1吐出通路R1と、第2バルブ32の第2ステム34に接続する第2接続口62と、第1吐出口71の周囲に同心状に配置され、環状に第2内容物C2を吐出する第2吐出口72(図4参照)と、第2バルブ32から第2吐出口72までを連通する第2吐出通路R2とを備えている。
【0024】
第1吐出通路R1と第2吐出通路R2とは互いに交わることは無く、互いに独立している。従って、吐出部材40内で第1内容物C1と第2内容物C2とが混ざり合うことは無い。
【0025】
上記構成の吐出部材40は、図2に示すように、本体60と、吐出ノズル70と、切込みノズル41とを備えている。切込みノズル41は吐出ノズル70、特に後述する外ノズルの外筒部143と一体に形成されていてもよい。第1吐出通路R1は、本体60と、吐出ノズル70とを通り、最終的には切込みノズル41の切込み41cおよび先端の開口41eとを通って外部と連通する。第2吐出通路R2は、本体60と、吐出ノズル70とを通り、切込みノズル41内に連通している。
【0026】
第1容器20側の略円柱状の本体60には、第1ステム接続部81が設けられ、その内部に第1接続口61と、第1吐出通路R1の一部(本体60側)とが設けられている。具体的には、本体60の下部に第1接続口61が設けられ、その第1接続口61と連通するようにして第1吐出通路R1の一部が設けられている。第1吐出通路R1の一部は、第1接続口61から上方に向かって延びた後、横方向に延びている。第2容器30側の本体60には、上記と同様に、第2ステム接続部82が設けられ、その内部に第2接続口62と、第2吐出通路R2の一部(本体60側)とが設けられている。
【0027】
吐出ノズル70は、本体60から側方に突出した部位であり、図4に示すように、円筒状の内ノズル130とその内ノズル130の周囲を囲む太い円筒状の外ノズル140とを有する。内ノズル130と外ノズル140は同心状に配置されており、先端で内側の第1吐出口71と外側の第2吐出口72とが開口している。換言すれば、第1吐出通路R1と第2吐出通路R2がそれぞれ吐出ノズル70の先端で開口しているとも言える。
【0028】
図2に示すように、外ノズル140の先端に、略筒状の切込みノズル41が嵌着されている。切込みノズル41は、図3A~Cに示すように、外ノズル140の先端部に嵌合する筒状の基部41aと、その基部41aから前方に延びる先割れ部41bとを備えている。先割れ部41bは先端に向かって次第に縮径され、さらに外に凸となるように湾曲しており、砲弾状またはラグビーボールの半分の形状を呈している。先割れ部41bには、図3Aに示すように先端に向かって次第に広がるV字状の切込み41cが形成されている。先割れ部41bはそれらの切込み41cによって6枚のノズル片41dに分かれている。
【0029】
各ノズル片41dは先端に向かって次第に幅が狭くなっている。この実施形態では各ノズル片41dの左右の縁は略円弧状であり、さらに図3Cに示すように、先端に向かって次第に厚さが薄くなっている。また、外側から見たノズル片41dの先端の形状は略V字状を呈するように尖っている。
【0030】
第1容器20に充填された第1内容物C1は、2種類の内容物を反応させることで効果を発揮する2液反応型の内容物の第1剤(原液)と、この第1剤を加圧し、発泡させるための発泡剤とを含んでおり、原液中に発泡剤が乳化したもの、もしくは吐出前に振ることで乳化するものである。ディップチューブ29は第1内容物C1の液相内で開口しており、主として液相が吐出される。2液反応型の内容物としては、例えば2液式温感製剤、2液式発熱製剤、2液式冷却製剤、2液式ゲル化剤、2液式被膜形成剤、2液式接着剤、2液式染毛剤、2液式パーマ剤等があげられる。特に酸化により効果を発揮する2液式染毛剤の場合は、第1内容物C1に酸化染料を含有することで第2内容物C2により厚く覆われている部分は変色せず、薄く覆われている部分は発色が始まって薄く変色するため第2内容物C2を介して確認しやすい。
【0031】
発泡剤は、加圧剤を兼ねており、液化ガス、圧縮ガスおよびこれらの混合ガスである。液化ガスとしては、例えば、ノルマルブタン、イソブタン、プロパンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物等が挙げられる。圧縮ガスとしては、例えば、窒素、空気、酸素、水素、二酸化炭素、亜酸化窒素等が挙げられ、25℃における圧力が0.2~1.0MPa未満となるように充填される。
【0032】
第2容器30に充填された第2内容物C2は、内部容器23内に充填される2液反応型の内容物の第2剤(原液)Gと、第2容器30と内部容器23の間の空間に充填され、内部容器23を介して第2剤(原液)Gを加圧し、外部に吐出するための加圧剤Pとを含んでいる。以下、第2剤(原液)を単に第2内容物C2ということがある。また、外に吐出されてフォーム状やクリーム状を呈している内容物についても、そのまま内容物1、2という。加圧剤Pとしては、圧縮ガスを充填することが好ましい。なお、第2剤(原液)Gにイソペンタンやトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンなどの沸点が15~40℃である微発泡剤を加えて乳化させてもよく、その場合、第2剤は吐出後にゆっくりと小さく発泡する。
【0033】
また、第1内容物C1の原液と第2内容物C2の原液は、前記2液反応型以外にも少なくとも2つの効果を発揮させる内容物でもよく、例えば、日焼け止めと制汗剤、日焼け止めと害虫忌避剤、手指消毒剤と保湿剤、ファンデーションと制汗剤、化粧コート剤と制汗剤等があげられる。また、第1内容物C1は二重ノズルの内側の吐出口(図4の符号71参照)から吐出され、外部で発泡して泡状(フォーム状)となるものを採用する。第2内容物C2は二重ノズルの外側の吐出口(図4の符号72)からゲル状やクリーム状、あるいは低発泡の泡状で吐出される。いずれの内容物も、噴霧ではなく、第2内容物C2はゲル状やクリーム状、さらにはこれらが微発泡した状態で吐出され、第1内容物C1は発泡してフォーム状となり、第2内容物C2が第1内容物C1を包含した状態で切込みノズル41を通過して外部に吐出される。第2内容物C2をクリームやゲル状あるいは低発泡の泡状にし、第1内容物C1を泡状にすることで、吐出後にクリームやゲルの内部に注入された泡が増大して切込みノズル41を通過する際に第2内容物C2に厚みの差が形成されやすい。
【0034】
また、前記第1内容物C1の一例を挙げると、第1内容物C1に第2内容物C2と異なる香りの香料を使用することで、第2内容物C2中に注入された第1内容物C1が外気に触れたときに、匂いを変化させることができる。さらに、第1内容物C1がアンモニアのような刺激臭を発する成分を含有する場合、第2内容物C2で包み込むことで刺激臭を和らげることができる。また、第1内容物C1が過酸化水素のように分解しガスを発生する成分を含有する場合は、第2内容物C2中に注入することで吐出時の飛び散りを抑制することができる。
【0035】
図1に戻って、この2液吐出製品1では、第1容器20と第2容器30とが横並びに配置されている。そして、固定筒50a同士を横方向で連結する連結部50bを備えた肩カバー50によって第1容器20と第2容器30とが連結され、相互の位置関係が固定されている。また、カバー部材90が肩カバー50に取り付けられている。このカバー部材90は、吐出ノズル70よりも上に突出しつつ、吐出ノズル70を側方から囲む囲繞部90aを備えており、吐出ノズル70の意図しない押し込みを防止するキャップとしての機能の他、吐出ノズル70を押す際に傾かないように補助している。
【0036】
第1バルブ22と第2バルブ32は共に連続バルブであり、第1バルブ22はディップチューブ29を備えており、第2バルブ32はディップチューブを備えていない。
【0037】
吐出部材40では本体60が2つに分断されており、一方が第1バルブ22に接続され、他方が、第2バルブ32に接続されている。
【0038】
吐出ノズル70は、2つに分断された本体60を連結している。この吐出ノズル70は、第1バルブ22側の本体60から延出された第1接続部100と、第2バルブ32側の本体60から延出された第2接続部110と、第1接続部100と第2接続部110とに接続されるノズル部材120とを備えている。
【0039】
第1接続部100及び第2接続部110は、図2および図4に示すように、略円柱状の基部101と、基部101の軸方向と略直交する方向(横方向)に突出する略円柱状のノズル接続部102とを備えている。ノズル接続部102は、図4に示すように、ノズル部材120に挿入、接続される部位である。この第1接続部100内には、基部101下端からノズル接続部102先端の開口に至る接続部内通路J1が設けられている。接続部内通路J1は、基部101の軸方向に沿って上に延びた後、ノズル接続部102の軸方向に沿って横に延びている。この接続部内通路J1の上流側は本体60内の通路と連通している。
【0040】
図4に示すように、ノズル部材120は、いわゆる二重ノズルであって、軸方向先端に第1吐出口71を有する内ノズル130と、内ノズル130を覆い、内ノズル130とで間に第2吐出口72を形成する外ノズル140とを備えている。内ノズル130と外ノズル140は同心状に配置されている。
【0041】
内ノズル130は、筒状の内筒部131と、内筒部131の後端に設けられたフランジ部132とを備えている。内筒部131内には、軸方向に沿って内ノズル内通路N1が設けられている。内ノズル内通路N1の先端開口が第1吐出口71である。内ノズル内通路N1の後端は閉じられている。内筒部131の側面には、内筒部131の外と内ノズル内通路N1とを連通する導出孔131aが設けられている。
【0042】
外ノズル140は、内側通路の第1接続部100を挿入する第1挿入部141と、外側通路の第2接続部110を挿入する第2挿入部142と、筒状の外筒部143とを備えている。
【0043】
外筒部143の断面形状は外周、内周共に円形である。ただ、円形に限らず、多角形であってもよい。正多角形等の回転対称であることが好ましい。外筒部143内に内ノズル130が収容されることで、内ノズル130と外筒部143との間に外ノズル内通路N2が形成されている。
【0044】
この吐出部材40では、第1吐出通路R1が、第1バルブ22、本体60、第1接続部100、内ノズル内通路N1を通って第1吐出口71に至り、第2吐出通路R2が、第2バルブ32、本体60、第2接続部110、外ノズル内通路N2を通って第2吐出口72に至る。第1吐出通路R1と第2吐出通路R2とは互いに独立しており、2液吐出部材40内で内容物C1、C2同士が混ざり合うことは無い。
【0045】
上記の2液吐出製品10を使用するには、ノズル部材70の先端を吐出物を受ける手のひら、ブラシ、皿などに向けた状態でノズル部材70の上面を押し込む。それにより第2内容物C2が外ノズル内通路N2を通って第2吐出口72から出てくる。他方、第1内容物C1が内ノズル内通路N1を通って第1吐出口71から出てきて第2内容物C2内に入り込む。あるいは第2内容物C2が第1内容物C1の周囲を覆うように筒状に吐出される(図5B参照)。
【0046】
ついで内側の第1内容物C1が発泡して膨らみ、外側の第2内容物C2を押し拡げながら前進する。それにより第2内容物C2は切込みノズル41の切込み41cを通って外側に拡がり、図5Bのように突条42となって筋状に延びていく(図5C参照)。突条42同士の間は溝43として残る。その結果、図5Bのように内部の泡状の第1内容物C1をクリーム状の第2内容物C2の層が覆っている二重の吐出物Tが得られる。そして外側の第2内容物C2の層は、突条42と溝43が交互の形成された歯車状ないし花弁状を呈する。
【0047】
この吐出物は第1内容物C1を第2内容物C2が覆っているので、第1内容物が臭気を発生する揮発成分を含有していても、第2内容物C2の層で遮断され、不快感が抑制される。さらに外側の第2内容物C2の層は溝43の部位では厚さが薄いため、内部の第1内容物C1を外側から視認することができる。この場合、内側の第1内容物C1は発泡により白色になりやすいが、外側の第2内容物C2で薄く覆う部分を設けることで視認しやすくなる。なお、第2内容物C2の全体を薄くすると、内側の第1内容物C1の色が全体に現れるので、内側の第1内容物C1の輪郭が判別しにくい。この吐出部材70では、上記のように突条と溝とを有するので、内側の第1内容物C1が縞状に見え、そのため内側の第1内容物C1の輪郭や先端部の位置が分かりやすい。特に、2液吐出製品を2液式染毛剤とする場合は、内側の第1内容物C1を酸化染料を含有する第1剤とし、外側の第2内容物C2を過酸化水素などの酸化剤を含有する第2剤とすることで、第2内容物C2の薄い部分で酸化されて発色し始める第1剤を目視で確認しやすくなる。
【0048】
以上に、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、前述の切込みノズル41は、先割れ部41bが先端に向かって次第に細くされているが、同径で延びていてもよい。
【0049】
また、第2容器30は、可撓性の内部容器を収容していない外部容器(容器本体21)を用いることができ、また、第1容器20は第1内容物C1による腐食を防止するために、外部容器の内面に沿った形状の合成樹脂製の内部容器を収容することもできる。さらに、各2液吐出容器10、10Aは、2つの容器(第1容器20と第2容器30)を用いていたが、2つのバルブを有する1つの容器を用いてもよい。この場合、1つの容器内に2つの部屋や内袋を設けて内容物同士が混ざらないように、また、2つのバルブからそれぞれ別の内容物が吐出されるようにする。
【符号の説明】
【0050】
1 2液吐出製品
10 2液吐出容器
20 第1容器
21 容器本体
21a 開口
21b 底部
21c 胴部
21d 肩部
21e 首部
21f 括れ部
22 第1バルブ
23 内部容器
23a 開口部
24 第1ステム
24a ステム孔
25 ハウジング
25a 開口
25b ガスケット
26 弾性体
27 ステムラバー
28 マウンティングカップ
29 ディップチューブ
30 第2容器
32 第2バルブ
34 第2ステム
40 吐出部材
41 切込みノズル
41a 基部
41b 先割れ部
41c 切込み
41d ノズル片
41e 開口
42 突条
43 溝
50 肩カバー
50a 固定筒
50b 連結部
50c ガイド筒
60 本体
61 第1接続口
62 第2接続口
70 吐出ノズル
71 第1吐出口
72 第2吐出口
81 第1ステム装着部
82 第2ステム装着部
90 カバー部材
90a 囲繞部
100 第1接続部
101 基部
102 ノズル接続部
110 第2接続部
120 ノズル部材
130 内ノズル
131 内筒部
131a 導出孔
132 フランジ部
140 外ノズル
141 第1挿入部
142 第2挿入部
143 外筒部
C1 第1内容物
C2 第2内容物
G 原液
P 加圧剤
J1 接続部内通路
R1 第1吐出通路
R2 第2吐出通路
N1 外ノズル内通路
N2 内ノズル内通路
図1
図2
図3
図4
図5