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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170517
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】牽引台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/00 20060101AFI20231124BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20231124BHJP
   B62D 61/00 20060101ALI20231124BHJP
   B62D 13/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B62B3/00 A
B62B5/00 C
B62D61/00
B62D13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082337
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】592184706
【氏名又は名称】SBS東芝ロジスティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】内田 幸義
(72)【発明者】
【氏名】原田 佳奈
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA11
3D050BB11
3D050DD03
3D050GG01
3D050KK02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の台車を牽引可能であって、且つ、内輪差を低減できる牽引台車を提供すること。
【解決手段】牽引台車1は、固定輪である前輪31A、固定輪である後輪、並びに、前記前輪及び前記後輪の一方の重力方向周りの回転に伴い前記前輪及び前記後輪の他方を回転させるリンク部を有する4WS機構部21と、自在輪である複数のキャスタ212を有し、前記4WS機構部に固定され、台車を牽引するか、又は、上面にパレットを配置する牽引部22と、搬送車100に連結可能な連結部12と、を備え、進行方向における前記4WS機構部の長さは、前記牽引部の長さよりも短い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定輪である前輪、固定輪である後輪、並びに、前記前輪及び前記後輪の一方の重力方向周りの回転に伴い前記前輪及び前記後輪の他方を回転させるリンク部を有する4WS機構部と、
自在輪である複数のキャスタを有し、前記4WS機構部に固定され、台車を牽引するか、又は、上面にパレットを配置する牽引部と、
搬送車に連結可能な連結部と、
を備え、
進行方向における前記4WS機構部の長さは、前記進行方向における前記牽引部の長さよりも短い、牽引台車。
【請求項2】
前記4WS機構部の前記進行方向に直交する幅は、前記牽引部の前記進行方向に直交する幅、又は、前記台車の前記進行方向に直交する方向のキャスタ間の幅よりも小さい、請求項1に記載の牽引台車。
【請求項3】
前記進行方向における前記4WS機構部の長さは、前記前輪及び前記後輪の軸間距離であり、
前記進行方向における前記牽引部の長さは、前記キャスタの前輪及び後輪の軸間距離である、請求項1に記載の牽引台車。
【請求項4】
前記牽引部は、前記台車の移動を規制するストッパーを有する、請求項1に記載の牽引台車。
【請求項5】
前記牽引部は、内部に前記台車を複数配置するとともに、前記内部に前記台車が通過できるゲートを有し、
前記ストッパーは、前記ゲートを開閉する、請求項4に記載の牽引台車。
【請求項6】
前記4WS機構部は、前記連結部が連結される、請求項1に記載の牽引台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、牽引台車に関する。
【背景技術】
【0002】
工場の生産ライン等において荷物を積載及び移動するための器具として、台車やパレットが知られている。台車やパレットは、例えば、搬送車に連結または載置され、積載した荷物とともに搬送される。搬送車としては、例えば、床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気により誘導され、無人走行するAGV(Automatic Guided Vehicle)等の無人搬送車や、オペレータが操作するターレットトラックや電動牽引車等の有人搬送車が知られている。また、AGV等によって牽引されることで、複数の台車を搬送できる牽引台車も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6464304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した牽引台車は、複数の台車やパレットを牽引する構成とすると、牽引台車の進行方向の長さが大きくなり、カーブする搬送路を走行するときの内輪差が大きくなる。牽引台車の内輪差が大きくなると、牽引台車の走行ルートの幅を大きく確保する必要がある。
【0005】
そこで、本発明は、複数の台車を牽引可能であって、且つ、内輪差を低減できる牽引台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様として、牽引台車は、固定輪である前輪、固定輪である後輪、並びに、前記前輪及び前記後輪の一方の重力方向周りの回転に伴い前記前輪及び前記後輪の他方を回転させるリンク部を有する4WS機構部と、自在輪である複数のキャスタを有し、前記4WS機構部に固定され、台車を牽引するか、又は、上面にパレットを配置する牽引部と、搬送車に連結可能な連結部と、を備え、進行方向における前記4WS機構部の長さは、前記牽引部の長さよりも短い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の台車を牽引可能であって、且つ、内輪差を低減できる牽引台車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図2】同牽引台車の構成を示す斜視図。
図3】同牽引台車の構成であって、4WS機構部の変形例を示す分解斜視図。
図4】同牽引台車の構成を示す分解斜視図。
図5】同4WS機構部及び連結部の構成を示す分解斜視図。
図6】同4WS機構部のリンク部及びキャスタ、並びに、連結部の構成を示す分解斜視図。
図7】同牽引台車の評価試験1の一例を示す説明図。
図8】同牽引台車の評価試験1の結果として、軌跡図を模式的に示す説明図。
図9】同牽引台車の評価試験1の結果を示す説明図。
図10】同牽引台車の評価試験2の結果を示す説明図。
図11】同牽引台車の評価試験2の結果を示す説明図。
図12】本発明の第2の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図13】同牽引台車の構成を示す斜視図。
図14】本発明の第3の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図15】同牽引台車の構成を示す斜視図。
図16】同牽引台車の構成を示す分解斜視図。
図17】本発明の第4の実施形態に係る牽引台車の構成を示す斜視図。
図18】同牽引台車の構成を示す斜視図。
図19】同牽引台車の構成を示す斜視図。
図20】同牽引台車の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る牽引台車1の構成を図1乃至図6を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る牽引台車1の構成を示す斜視図、図2は、牽引台車1の構成を示す斜視図、図3は、牽引台車1の構成であって、4WS機構部21の長さを変えた変形例を示す斜視図である。図4は、牽引台車1の構成を示す分解斜視図であり、図5は、4WS機構部21及び連結部12の構成を示す分解斜視図であり、図6は、4WS機構部21のキャスタ31及びリンク部32、並びに、連結部12の構成を示す分解斜視図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、牽引台車1は、連結部12により搬送車100に連結され、搬送車100の移動に伴い、キャスタ31、51により床面に沿って移動する搬送用の治具である。また、牽引台車1は、ベース11により台車200又はパレットを複数保持した状態で搬送車100により牽引される。本実施形態においては、牽引台車1は、台車200を複数台牽引する構成を説明する。
【0012】
先ず、搬送車100及び台車200の説明をする。
【0013】
搬送車100は、AGV(Automatic Guided Vehicle)等の無人搬送車や、ターレットトラックや電動牽引車等の有人搬送車である。本実施形態において、搬送車100をAGV100として、以下説明する。AGV100は、例えば、工場の構内における荷物の搬送のため、搬送経路に沿って床面に敷設された磁気テープや磁気棒が発する磁気により誘導され、無人走行する。AGV100は、牽引台車1に連結される被連結部を有する。
【0014】
図1に示すように、台車200は、荷台211と、荷台211に取り付けられる複数のキャスタ212と、を備える。例えば、台車200は、カゴ台車や平台車である。本実施形態において、台車200は、カゴ台車を用いる例を説明する。以下、台車200をカゴ台車200として説明する。
【0015】
カゴ台車200は、荷台211と、荷台211に取り付けられる複数のキャスタ212と、柵213と、を備える。荷台211は、荷物を載置可能に、例えば矩形の平板状に形成される。
【0016】
キャスタ212は、荷台211を支持可能、且つ、床面を移動可能に、例えば荷台211の四隅に一つずつ設けられる。キャスタ212は、例えば自在輪である。柵213は、例えば、荷台211の三辺に沿って荷物の載置面に垂直に設けられ、荷台211から荷物が脱落することを防止する。なお、柵213は、荷台211の四辺に沿って設けられ、一部が開閉可能な構成であってもよい。
【0017】
次に、牽引台車1について説明する。図1乃至図6に示すように、牽引台車1は、ベース11と、連結部12と、を備える。牽引台車1は、ベース11によりカゴ台車200を覆うことで、牽引されたときに、ベース11内に配置されたカゴ台車200を牽引する。
【0018】
図1乃至図4に示すように、ベース11は、4WS機構部21と、牽引部22と、を備える。
【0019】
図5及び図6に示すように、4WS機構部21は、4つの第1キャスタ31と、リンク部32と、取付部33と、二つ(一対)の回転盤34と、ウェイト35と、を備える。
【0020】
第1キャスタ31は、固定輪である。第1キャスタ31は、例えば、リンク部32に設けられたフォーク31aにヒンジピン31b等により車輪31cが回転可能に取り付けられることで構成される。4つの第1キャスタ31のうち、2つの第1キャスタ31は、前輪31Aを構成し、残り二つの第1キャスタ31は、後輪31Bを構成する。牽引台車1の進行方向に沿った方向を前後方向としたときに、前輪31A及び後輪31Bの前後方向の距離(軸間距離)(又は、一対の回転盤34の距離)L1は、牽引部22の前後方向の長さL2よりも短い。好ましくは、前輪31A及び後輪31Bの軸間距離L1は、牽引部22の前後方向の長さL2の1/4の長さ以上であって、且つ、牽引部22の前後方向の長さL2よりも短い。より好ましくは、前輪31A及び後輪31Bの軸間距離L1は、牽引部22の前後方向の長さL2の1/2の長さ以上であって、且つ、牽引部22の前後方向の長さL2の3/4の長さよりも短い。
【0021】
即ち、4WS機構部21の前輪31A及び後輪31Bの軸間距離L1は、L1<L2であり、好ましくは、L2/4≦L1<L2であり、より好ましくは、L2/2≦L1<3・L2/4に設定される。なお、牽引部22の後述する複数の第2キャスタ51のうち、前輪51A及び後輪51Bの走行時における軸間距離をL3としたときに、前輪31A及び後輪31Bの軸間距離L1は、L1<L3であり、好ましくは、L3/4≦L1<L3であり、より好ましくは、L3/2≦L1<3・L3/4に設定されていてもよい。また、長さL2及び軸間距離L3は、同じ長さであってもよい。具体例として、図2にL1が1500mmに設定され、そして、L3が2520mmに設定される牽引台車1を示す。なお、L1及びL2(又はL3)が上記関係であれば、4WS機構部21は、適宜設定できる。また、他の具体例として、図3に、図2の4WS機構部21よりもL1が短い1200mmに設定された牽引台車1を例示する。
【0022】
リンク部32は、前輪取付部41と、後輪取付部42と、第1リンク部材43と、第2リンク部材44と、リンク回転部材45と、を備える。リンク部32の幅は、カゴ台車200の幅方向のキャスタ212の取付幅よりも小さく形成される。また、リンク部32の幅は、キャスタ212が内側に偏心しても、キャスタ212に接触しない寸法に設定される。
【0023】
前輪取付部41には、二つの第1キャスタ31(前輪31A)が設けられる。例えば、前輪取付部41の下面に、前輪31Aのフォーク31aが固定される。前輪取付部41は、一軸周りで回転可能に、取付部33に固定される。前輪取付部41は、板状又は枠状に形成される。前輪取付部41は、牽引台車1の進行方向及び重力方向に直交する幅方向において、所定の距離だけ離間した二つの第1キャスタ31を取り付け可能に形成される。また、前輪取付部41は、連結部12を取り付け可能に形成される。例えば、前輪取付部41は、幅方向に沿った一軸周りで連結部12を回転可能に、連結部12を取付できる、ボルト等の締結部材99により前輪取付部41の上面に固定された被連結部41aを有する。
【0024】
後輪取付部42には、二つの第1キャスタ31(後輪31B)が取り付けられる。例えば、後輪取付部42の下面に、後輪31Bのフォーク31aが固定される。後輪取付部42は、一軸周りで回転可能に、取付部33に固定される。後輪取付部42は、板状又は枠状に形成される。後輪取付部42は、牽引台車1の進行方向及び重力方向に直交する幅方向において、所定の距離だけ離間した二つの第1キャスタ31を取り付け可能に形成される。なお、例えば、後輪取付部42に取り付けられる二つの第1キャスタ31の幅方向の所定の距離は、前輪取付部41に取り付けられる二つの第1キャスタ31の幅方向の所定の距離と同じである。後輪取付部42は、重力方向に沿った一軸周りで回転可能に、取付部33に取り付けられる。
【0025】
第1リンク部材43は、一方向に長い板状に形成される。第1リンク部材43の一端は、前輪取付部41の幅方向で一端側、例えば右側に、POM(polyoxymethylene)等形成されたワッシャ97を介して、ヒンジピンやボルト及びナット等の締結部材99により、回転可能に取り付けられる。第1リンク部材43の他端は、POM(polyoxymethylene)等形成されたワッシャ97を介して、ヒンジピンやボルト及びナット等の締結部材99により、リンク回転部材45に回転可能に取り付けられる。
【0026】
第2リンク部材44は、一方向に長い板状に形成される。第2リンク部材44の一端は、第1リンク部材43の一端と同様に、後輪取付部42の幅方向で一端側、例えば右側に、POM(polyoxymethylene)等形成されたワッシャ97を介して、ヒンジピンやボルト及びナット等の締結部材99により、回転可能に取り付けられる。第2リンク部材44の他端は、第1リンク部材43の他端と離間して、POM(polyoxymethylene)等形成されたワッシャ97を介して、ヒンジピンやボルト及びナット等の締結部材99により、リンク回転部材45に回転可能に取り付けられる。
【0027】
リンク回転部材45は、一軸周りで回転可能に、POM(polyoxymethylene)等形成されたワッシャ97を介して、ヒンジピンやボルト及びナット等の締結部材99により、取付部33に固定される。
【0028】
このようなリンク部32は、前輪取付部41(前輪31A)及び後輪取付部42(後輪31B)の一方が、重力方向に沿った軸周りに回転したときに、第1リンク部材43及び第2リンク部材44の一方が移動することでリンク回転部材45が回転する。そして、リンク部32は、リンク回転部材45の回転により、第1リンク部材43及び第2リンク部材44の他方を移動させることで、前輪取付部41(前輪31A)及び後輪取付部42(後輪31B)の一方と反対方向に前輪取付部41(前輪31A)及び後輪取付部42(後輪31B)の他方を重力方向に沿った軸周りに回転させる。
【0029】
取付部33は、一方向に長い矩形枠状に形成される。取付部33は、一方の端部に、回転盤34を介して前輪取付部41が連結され、他方の端部に、回転盤34を介して後輪取付部42が連結される。
【0030】
取付部33は、先端に、牽引部22を幅方向で複数箇所で固定する複数の固定部33aを有する。例えば、固定部33aは、幅方向に所定の距離だけ離間して二つ設けられる。固定部33aは、例えば、取付部33の先端の上面から突出する前後方向で二つ設けられた支持柱33bと、各支持柱33bにそれぞれ設けられ、ボルト等の締結部材99の座面を構成する一対のプレート33cと、を備える。一対のプレート33cの間に、牽引部22の後述する台車押さえ部52の一部を配置し、一対のプレート33cを締結部材99で締結するとともに、一対のプレート33cを締結部材99で支持柱33bに締結することで、固定部33aは、牽引部22を取付部33に固定する。なお、固定部33aは、例えば、台車押さえ部52の後述するベースフレーム61b及び保持フレーム61cに固定される。
【0031】
回転盤34は、重力方向に沿った一軸周りで前輪取付部41及び後輪取付部42を回転可能に、取付部33に、前輪取付部41及び後輪取付部42を連結する。例えば、回転盤34は、一軸周りで回転方向に相対的に摺動又は移動できる一対の板状の移動体34aを有し、一方の移動体34aが前輪取付部41及び後輪取付部42に小ネジやボルト等の締結部材99で固定され、他方の移動体34aが取付部33に締結部材99で固定される。
【0032】
ウェイト35は、前輪31A及び後輪31Bに所定の荷重を印加するために、取付部33の上部に設けられる。ウェイト35は、ボルト等の締結部材99や接着剤等により、取付部33の上面に固定される。ウェイト35は、例えば、重量を調整可能に、薄板状に形成され、枚数を調整することで、総重量を調整可能に構成される。
【0033】
図1乃至図4に示すように、牽引部22は、複数の第2キャスタ51と、台車押さえ部52と、を備える。
【0034】
第2キャスタ51は、自由輪である。第2キャスタ51は、例えば、台車押さえ部52にボルト等の締結部材99により固定される。第2キャスタ51は、例えば、前後方向で三箇所に、幅方向で一対設けられる。即ち、第2キャスタ51は、6つ設けられる。なお、第2キャスタ51の数は、台車押さえ部52の形状や、牽引する台車200や台車200の積載量等により、適宜設定される。
【0035】
第2キャスタ51は、例えば、台車押さえ部52の下面に締結部材99により固定される取付座51aと、取付座51aに重力方向に沿った回転軸により回転可能に接続されたフォーク51bと、フォーク51bにシャフトを介して回転自在に取り付けられた車輪51cと、を備える。第2キャスタ51の車輪51cは、台車押さえ部52が、カゴ台車200と当接する高さに配置可能な径を有する。例えば、第2キャスタ51の車輪51cの径は、第1キャスタ31の車輪31cの径よりも大径に形成される。なお、台車押さえ部52がカゴ台車200と当接可能であれば、第1キャスタ31の車輪31c及び第2キャスタ51の車輪51cは、同形状(同径)であってもよく、第1キャスタ31の車輪31cが第2キャスタ51の車輪51cよりも大径であってもよい。
【0036】
6つの第2キャスタ51のうち、2つの第2キャスタ51は、前輪51Aを構成し、2つの第2キャスタ51は、後輪51Bを構成し、残りの2つの第2キャスタ51は、前輪51A及び後輪51Bの間に配置される中央輪51Cを構成する。
【0037】
台車押さえ部52は、内部に、複数のカゴ台車200を配置可能、且つ、一部が開口することで、カゴ台車200を内部に移動できる開口61aを有するフレーム61と、フレーム61に移動可能に設けられ、開口61aを開閉するとともに、フレーム61の内部を仕切る単数又は複数のストッパー62と、を備える。開口61a及び開口61aを開閉するストッパー62は、台車押さえ部52にカゴ台車200を出し入れするゲートを構成する。
【0038】
フレーム61は、前後方向に長い矩形枠状に形成される。フレーム61は、例えば、後端が開口する開口61aを構成する。開口61aは、フレーム61内に収容されるカゴ台車200が移動できる開口幅に形成される。フレーム61の幅は、カゴ台車200の幅より若干大きい幅に形成されるとともに、4WS機構部21の幅よりも大きく形成される。フレーム61は、例えば、第2キャスタ51が設けられるベースフレーム61bと、ベースフレーム61bから上方、且つ、内方へと延び、カゴ台車200と当接する面を構成する保持フレーム61cと、保持フレーム61cの前方の背面に設けられた緩衝材61dと、を備える。例えば、ベースフレーム61b及び保持フレーム61cは、前方及び左右にそれぞれ設けられ、進行方向で前方において幅方向に延びるとともに、幅方向で両側方に進行方向に延びるコの字状に形成される。
【0039】
緩衝材61dは、当接したカゴ台車200の衝撃を吸収する。緩衝材61dは、前方に配置される保持フレーム61cのカゴ台車200と対向する面に、単数又は複数設けられる。緩衝材61dは、弾性変形可能な部材、例えば、ゴム部材、発泡性樹脂材料又は中空部材で形成されたクッション等により形成される。
【0040】
ストッパー62は、フレーム61内に配置されたカゴ台車200の移動を規制可能に形成される。また、ストッパー62は、フレーム61内におけるカゴ台車200の移動可能な状態、及び、移動の規制可能な状態を切り替え可能に形成される。例えば、ストッパー62は、フレーム61の長手方向及び重力方向の双方に直交する横姿勢及び重力方向に沿った立姿勢の2つの姿勢間で回転する。そして、ストッパー62は、横姿勢において、カゴ台車200の移動を規制し、立姿勢において、カゴ台車200の移動を可能とする。
【0041】
例えば、ストッパー62は、フレーム61内に収容するカゴ台車200の台数と同数設けられる。なお、ストッパー62は、開口61aを開閉する一つのみ設けられる構成であってもよい。本実施形態において、ストッパー62は、牽引部22の後端及び中間位置の二箇所に設けられる。図4に示すように、ストッパー62は、基部62aと、基部62aに所定の角度範囲で回転可能に設けられたストッパー体62bと、緩衝材62cと、当接部材62dと、を備える。ストッパー62は、横姿勢において、横姿勢における上面が、フレーム61の上面と面一か、又は、フレーム61の上面よりも低い。
【0042】
基部62aは、フレーム61の左右の一方に設けられる。基部62aは、矩形筒状に形成される。基部62aは、前後方向の両側面に、重力方向に延びる長孔62eを有する。また、基部62aは、幅方向(左右方向)で外側の側面は基部62aの最上端まで壁部を有し、内側の側面は、基部62aの最上端よりも低い。
【0043】
ストッパー体62bは、矩形棒状に形成される。ストッパー体62bは、基部62a内に挿入可能な外形状を有する。ストッパー体62bは、重力方向に延び、そして、下端において、立姿勢において外方へと曲折する長孔62fを、一端側の前後方向お両側面に有する。ストッパー体62bは、長孔62f及び基部62aに挿通されるトラス小ネジ及びナット等の締結部材99により、基部62aに対して回転及び移動可能に連結される。
【0044】
緩衝材62cは、当接したカゴ台車200の衝撃を吸収する。緩衝材62cは、ストッパー体62bのカゴ台車200と対向する面に、単数又は複数設けられる。緩衝材62cは、弾性変形可能な部材、例えば、ゴム部材、発泡性樹脂材料又は中空部材で形成されたクッション等により形成される。
【0045】
当接部材62dは、ストッパー体62bのフレーム61と対向する一端の端面に設けられる。当接部材62dは、フレーム61に当接することで、ストッパー体62bの位置を規定する。例えば、当接部材62dは、ゴム材料等の弾性体により形成された当たりゴムである。
【0046】
また、4WS機構部21及び牽引部22は、以下の関係に設定される。4WS機構部21の進行方向に直交する幅は、牽引部22の進行方向に直交する幅よりも小さい。即ち、4WS機構部21の幅方向に並ぶ第1キャスタ31間の幅及びリンク部32の幅は、幅方向に並ぶ第2キャスタ51間の幅及び台車押さえ部52の幅よりも小さく設定される。
【0047】
このように構成されたベース11及びカゴ台車200は、以下の関係に設定される。図4に示すように、4WS機構部21の第1キャスタ31の接地面から取付部33の上面までの高さをH1、牽引部22の第2キャスタ51の接地面からフレーム61の上部(保持フレーム61c)までの高さをH2、カゴ台車200のキャスタ212の接地面から荷台211の下面までの高さをH3、カゴ台車200のキャスタ212の接地面から荷台211の上面までの高さをH4としたときに、H1<H3<H4≦H2の関係に設定される。また、第2キャスタ51の接地面から横姿勢のストッパー62までの高さをH5としたときに、H4≦H2≦H5の関係に設定される。即ち、牽引台車1は、一例として、カゴ台車200の柵213と当接可能に形成されるが、荷台211積載面)に当接可能な構成としてもよい。
【0048】
よって、牽引台車1及びカゴ台車200がこれらの関係に設定されることで、牽引台車1がAGV100等に牽引されたときにカゴ台車200が走行方向及び幅方向で、牽引部22に当接する。具体的に説明すると、走行方向においては、最前に位置するカゴ台車200の柵213の前側面が前方の保持フレーム61cの背面に、各カゴ台車200の柵213の後側面がストッパー62の前面に当接できる。また、幅方向においては、各カゴ台車200の柵213の側面が保持フレーム61cの幅方向の外側面に、それぞれ当接できる。なお、フレーム61の中央のストッパー62を立姿勢としたときには、走行方向に配置された隣り合うカゴ台車200同士の前後方向の側面同士が当接できる。よって、牽引台車1が走行したときに、カゴ台車200が牽引部22に当接するため、牽引台車1は、カゴ台車200を牽引できる。
【0049】
連結部12は、ベース11に設けられ、AGV100に連結可能に構成される。具体例として、図1乃至図6に示すように、連結部12は、例えば、ベース11の4WS機構部21に連結される。図3に示すように、連結部12は、例えば、4WS機構部21のリンク部32の前輪取付部41に連結される取付部12aと、AGV100の被連結部に固定される固定部12bと、を備える。取付部12aは、重力方向の軸周りで回転可能に、4WS機構部21のリンク部32の前輪取付部41に設けられた被連結部41aに連結される。
【0050】
固定部12bは、取付部12aから延びる棒状に形成され、AGV100の被連結部に固定可能に構成される。例えば、AGV100の被連結部が円柱状のピンを有する構成である場合には、固定部12bは、先端にピンが挿入される孔を有し、ピンと孔とが係合することで、固定部12bが被連結部に固定される。なお、牽引台車1が走行ルートのうちカーブのルートを走行しやすいよう、固定部12bは、取付部12a及び被連結部の少なくとも一方に対して、進行方向及び幅方向の双方に直交する方向(重力方向)に沿った軸周りで回転可能に接続される。
【0051】
このように構成された牽引台車1は、4WS機構部21を用いるとともに、4WS機構部21の前後方向の長さを、牽引部22の前後方向の長さの半分以上、且つ、牽引部22の前後方向の長さよりも短くした。即ち、4WS機構部21の前輪31A及び後輪31Bの前後方向の距離(軸間距離)L1は、牽引部22の前後方向の長さL2(牽引部22の前輪51A及び後輪51Bの走行時における軸間距離をL3)の半分の長さ以上であって、且つ、牽引部22の前後方向の長さL2よりも短い。即ち、前輪31A及び後輪31Bの軸間距離L1は、L2/2≦L1<L2、及び/又は、L3/2≦L1<L3に設定される。これにより、牽引台車1は、内輪差を低減することができる。
【0052】
次に、本実施形態に係る牽引台車1の評価試験の一例について、図7乃至図11を用いて説明する。評価試験として、評価試験1及び評価試験2を行った。先ず、評価試験1について説明する。
【0053】
評価試験1として、図7に示すように、R=1m、R=1.5mの90°曲がるカーブを有する走行ルートTを、4WS機構部21の一対の回転盤34の距離L1を、1200mm(小)及び1500mm(大)とした二種類の牽引台車1を用いて走行させた。なお、図7中、Cは、カーブの回転中心(曲率中心)を示す。
【0054】
また、図7に示すように、牽引台車1の走行時に、回転中心Cから牽引部22のフレーム61の回転中心C側の先端部を位置Aとし、回転中心Cから牽引部22のフレーム61の回転中心C側の後端部を位置Bとしたときの、回転中心Cから位置A及び位置Bまでの距離r、及び、位置A及び位置Bにおいて進行方向で直交する方向までの回転中心Cから該進行方向に平行な距離yを測定した。
【0055】
このときのウェイト35は設けず、カゴ台車200を収容していない状態で、牽引台車1を牽引した。また、図7に示すように、走行ルートTの位置(1)~(6)における牽引部22の軌跡を示す。
【0056】
ここで、位置(1)は、連結部12の先端部がカーブの途中として45°となる位置であり、位置(2)は、カーブの終わりとして、連結部12の先端部がカーブの90°となる位置である。位置(3)は、位置(2)から500mm進んだ位置であり、位置(4)は、位置(2)から1000mm進んだ位置であり、位置(5)は、位置(2)から1500mm進んだ位置であり、位置(6)は、位置(2)から2000mm進んだ位置である。
【0057】
評価試験1の結果として、図8に評価試験1における牽引台車1の軌跡図を示し、図9に評価試験1における測定値を示す。図8及び図9からも明らかなように、4WS機構部21を設けた牽引台車1によれば、内輪差を抑えることができ、R=1mのカーブを旋回できることが確認できた。
【0058】
なお、4WS機構部21を有さず、牽引部22のみとし、牽引部22の中央のキャスタ51を固定輪とし、牽引部22の長さL3が2520mmとした比較例の牽引台車で、同じカーブを有する走行ルートTを走行させたところ、R=1mのカーブでは内輪差が大きく、旋回が好適にできず、R=1.3m以上のカーブでは、旋回が好適にできた。即ち、4WS機構部21を有さない牽引台車での旋回できる最小半径は1.3mであり、本実施形態の4WS機構部21を有する牽引台車1は、従来の牽引台車よりも、内輪差を押さえられることが明らかとなった。
【0059】
また、図8の軌跡図、及び図9の測定値に示すように、4WS機構部21のL1を小とした牽引台車1は、4WS機構部21のL1を大とした牽引台車1よりも、走行ルートのカーブの回転半径Rを1m及び1.5mの双方において、走行時の回転中心Cから牽引部22の回転中心Cとは反対側の端部までの最大幅が大きくなった。これらの結果からも明らかなように、4WS機構部21を大きくすることにより、内輪差をより抑え、必要通路幅を小さくすることができることが分かる。
【0060】
次に、評価試験2について説明する。評価試験2として、牽引台車1に、カゴ台車200を2台に配置し、走行ルートTのカーブを走行させたときの、牽引台車1の挙動として、横滑りの発生の有無を確認した。また、4WS機構部21は、評価試験1と同様に、L1を小及び大の二種類を用いた。なお、後ろのカゴ台車200に、ウェイトを80kg及び100kgを積載し、4WS機構部21のウェイト35を、前方及び後方に0kg(ウェイト35無し)、前方及び後方に5kg、前方に5kg及び後方に10kgとした例で検証した。走行ルートTのカーブにおける走行速度を約1.5km/h(遅)及び約2.5km/h(速)として走行し、走行状態及び挙動を目視により判断した。
【0061】
また、評価として、カーブ走行時に、横滑りが発生した場合には「×」、安定して走行できた場合には「○」と評価した。評価試験2の評価結果を図10及び図11に示す。
【0062】
評価試験2の結果として、図10に示すように、4WS機構部21が小の場合は、カゴ台車200のウェイト、取付部33のウェイト35、及び走行速度によっては、横滑りや振られることがあった。しかしながら、取付部33のウェイト35の重さや走行速度によって、横滑りや振られを抑え、安定して走行できることが分かった。
【0063】
これに対し、図11に示すように、4WS機構部21を大とした場合には、牽引台車1のウェイト35を前方5kg、後方10kgとした場合には、R=1m、1.5mともに、走行速度の遅速に関係なく、安定して走行できた。
【0064】
このことからも、回転半径が大きく、カゴ台車200のウェイトを大きくし、カゴ台車200のウェイトにより遠心力が大きくなっても、4WS機構部21のL1を大きくすることで、横滑りを抑え、安定して走行させることができることが分かった。このため、カゴ台車200の想定される積載量に基づいて、4WS機構部21の寸法や、取付部33のウェイト35を適宜設定することで、安定して走行ルートを走行させることができることが明らかとなった。なお、各評価試験において、横滑りが発生する結果が生じたが、ウェイトや走行速度、搬送するカゴ台車200の重量等の設定において、横滑りを発生させることなくカゴ台車200を牽引することができることから、評価試験において横滑りが生じた構成を実施形態から除外することを意味することではない。
【0065】
即ち、牽引台車1は、L1をL2(L3)よりも短く、好ましくは、L1をL2(L3)の1/4の長さ以上であって、且つ、牽引部22の前後方向の長さL2よりも短く、より好ましくは、L1をL2(L3)の1/2の長さ以上であって、且つ、L2(L3)の3/4の長さよりも短くすることで、従来の牽引台車よりも、内輪差を低減できる。
【0066】
上述したように、本実施形態に係る牽引台車1によれば、牽引部22に4WS機構部21を設け、4WS機構部21の長さを牽引部22の長さよりも短くすることで、複数のカゴ台車200を牽引可能であって、且つ、走行時における内輪差を低減できる。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、フレーム61は、ベースフレーム61b及び保持フレーム61cを有する構成としたが、これに限定されない。次に、第2の実施形態に係る牽引台車1を説明する。
【0068】
(第2の実施形態)
図12及び図13を用いて第2の実施形態に係る牽引台車1を説明する。なお、第2の実施形態に係る牽引台車1の構成のうち、第1の実施形態に係る牽引台車1と同様の構成には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0069】
例えば、図12及び図13に示す第2の実施形態のように、牽引台車1の牽引部22は、保持フレーム61cを幅方向の両側方に設けられず、前方にのみ設けられる構成である。例えば、図12及び図13に示す牽引台車1は、ベースフレーム61bを、カゴ台車200の荷台211又は柵213と当接する高さに設定される。このような構成の牽引台車1としても、4WS機構部21及び牽引部22を、上述した距離L1、L2(及び/又はL3)の関係とすることで、内輪差を低減できる。
【0070】
また、牽引台車1は、カゴ台車200ではなく、平台車を牽引可能とする構成としてもよい。例えば、平台車を牽引する場合には、フレーム61の保持フレーム61cを、平台車の荷台と同じ高さにし、保持フレーム61cが平台車と当接する構成とすればよい。また、例えば、保持フレーム61cの高さを、平台車と接触する第1高さ及びカゴ台車200と接触する第2高さの二つの高さに可変可能とし、搬送する台車の高さに応じて、保持フレーム61cの高さを切り替えて、搬送する台車を選択できるようにしてもよい。また、高さの異なる台車とする場合には、台車は平台車及びカゴ台車に限定されず、適宜設定可能である。また、台車の幅が異なる場合には、保持フレーム61cは、姿勢によって、高さに加えて幅が異なる構成としてもよい。
【0071】
また、上述した例では、牽引台車1は、カゴ台車200を牽引する例を説明したが、これに限定されない。牽引台車1は、パレット300を牽引する構成としてもよい。次に、第3の実施形態に係る牽引台車1を説明する。
【0072】
(第3の実施形態)
図14乃至図16を用いて第3の実施形態に係る牽引台車1を説明する。なお、第3の実施形態に係る牽引台車1の構成のうち、第1の実施形態に係る牽引台車1と同様の構成には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0073】
第3の実施形態として、パレット300を牽引する牽引台車1は、図14乃至図16に示すように、ベース11及び連結部12を有し、ベース11は、4WS機構部21と、牽引部22Aと、を備える。
【0074】
4WS機構部21に固定される牽引部22Aは、第2キャスタ51と、上部にパレット300を載置できる格子状のフレームである台車押さえ部52Aと、台車押さえ部52Aの角部や縁に設けられたパレット300の移動を規制する複数の規制部71と、を備える。
【0075】
規制部71は、例えば、板状とし、パレット300の外面の一部に当接することで、牽引部22Aの上面からパレットの脱落を防止する。また、規制部71の機能と同様の機能を持たせるために、台車押さえ部52Aは、前方に、保持フレーム61cを備える。
【0076】
このような構成とすることで、牽引台車1は、複数のパレット300を載置して牽引することができる。
【0077】
また、パレット300を搬送できる牽引台車1の他の例として、第4の実施形態に係る牽引台車1を説明する。
【0078】
(第4の実施形態)
図17乃至図20を用いて第4の実施形態に係る牽引台車1を説明する。なお、第4の実施形態に係る牽引台車1の構成のうち、第1の実施形態に係る牽引台車1と同様の構成には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0079】
牽引台車1は、パレット300を牽引部22A上に保持する構成ではなく、パレット300を搬送するパレット台車400を搬送する構成である。
【0080】
ここで、パレット台車400は、図17乃至図19に示すように、複数、例えば4つの自在輪であるキャスタ410と、格子状又は板状の荷台420と、人が操作するためのハンドルバー430と、を備える。また、荷台420は、角部に設けられたパレット300の移動を規制する規制部421と、中央側に下方に延びる複数の対の突起422と、を備える。
【0081】
規制部421は、例えば、板状とし、パレット300の外面の一部に当接することで、荷台420の上面からパレット300の脱落を防止する。
【0082】
突起422は、荷台420の下面から、荷台420の幅方向に所定の間隔を開けて一対もうけられ、この一対の突起422が牽引台車1の進行方向に所定の間隔で複数設けられる例えば、対の突起422は、その間に牽引台車1の後述する取付部33Bを配置可能な間隔である。例えば、対の突起422は、幅方向で所定の間隔を有して配置されていればよい。例えば、走行方向に並んで4箇所に対の突起422が設けられる、所謂四対の突起422である。なお、対の突起422の組数は、適宜設定できる。
【0083】
第4の実施形態に係る牽引台車1は、図17乃至図20に示すように、例えば、4WS機構部21の取付部33を延長した取付部33Bを、牽引部22Bとして機能させる構成である。具体例として、取付部33Bは、4WS機構部21の一部であるとともに、L1よりも長い形状とし、後端の下面に、自在輪である第2キャスタ55を備える。
【0084】
また、取付部33Bは、前輪31Aが配される先端の上面に設けられた保持フレーム61cと、第2キャスタ55が設けられる後端に設けられたストッパー81と、を備える。取付部33Bは、保持フレーム61c及びストッパー81の間に複数のパレット台車400例えば、本実施形態においては2台のパレット台車400を配置可能な長さに設定される。取付部33Bの上面は、パレット台車400の荷台420の下面より低い位置となるように、牽引台車1の第1キャスタ31及び第2キャスタ51、並びに、パレット台車400のキャスタ410の形状及び寸法が設定される。
【0085】
ストッパー81は、取付部33Bの後端に回転可能に固定される。ストッパー81の一端は、例えば、取付部33Bの後端に回転可能に固定される。ストッパー81は、図18及び図19に示す取付部33Bの長手方向に沿った横姿勢及び図17及び図20に示す取付部33Bの長手方向に直交する方向に沿った立姿勢の2つの姿勢間で回転する。また、ストッパー81は、横姿勢及び立姿勢のそれぞれにおいて、固定され、該姿勢を維持できる。ストッパー81の各姿勢における固定方法は適宜設定でき、例えば、固定ピンによって固定してもよく、また、ロック機構を設ける構成であってもよい。図18及び図19に示すように、ストッパー81は、横姿勢における上面が、取付部33Bの上面と面一か、又は、取付部33Bの上面よりも低い。
【0086】
また、図17及び図20に示すように、ストッパー81は、立姿勢における上面(先端)が、取付部33Bの上面よりも高く、且つ、パレット台車400の荷台420の下面よりも高い。即ち、図17及び図20に示すように、立姿勢のストッパー81は、パレット台車400の側面と当接可能に形成される。これにより、ストッパー81は、横姿勢において、取付部33Bへパレット台車400を配置可能とし、そして、立姿勢において、ベース11へ配置されたパレット台車400の進行方向とは逆の方向への移動を規制する。なお、このような取付部33Bを有する牽引台車1は、パレット台車400ではなく、複数の対の突起422を下面に有する平台車を配置する構成としてもよい。
【0087】
また、4WS機構部21の進行方向に直交する幅は、牽引部22Bで搬送する台車(実施形態の例ではパレット台車400)の進行方向に直交する方向のキャスタ(キャスタ410)間の幅よりも小さい。
【0088】
このような牽引台車1は、取付部33Bに対の突起422を挿入することで、幅方向におけるパレット台車400の移動を規制して、複数のパレット台車400を牽引することができる。また、4WS機構部21の前輪31A及び後輪31Bの軸間距離L1が、4WS機構部21の前輪31A及び取付部33の後輪である自動輪の第2キャスタ55までの距離L4よりも短く、且つ、距離L4の半分の長さ以上である。なお、4WS機構部21の前輪31A及び取付部33の後輪である自動輪の第2キャスタ55までの距離L4は、上述したL2及びL3と同様の距離である。即ち、牽引部22Bが前輪を有さない場合には、4WS機構部21の前輪31Aが牽引部22Bの前輪を兼ねる。そして、このような構成の牽引台車1は、上述した他の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0089】
上述したいくつかの実施形態の牽引台車1によれば、4WS機構部21及び牽引部22、22A、22Bを備え、4WS機構部21及び牽引部22、22A、22Bとの前後方向の距離L1、L2を上述した関係とする。これにより、牽引台車1は、牽引する対象が台車及びパレット等のいずれであっても、内輪差を低減することができる。また、牽引台車1は、牽引する対象や4WS機構部21及び牽引部22、22A、22Bは上述した例に限定されず、適宜設定することができる。
【0090】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0091】
1…牽引台車、11…ベース、12…連結部、12a…取付部、12b…固定部、21…WS機構部、22…牽引部、22A…牽引部、22B…牽引部、31…第1キャスタ、31a…フォーク、31A…前輪、31b…ヒンジピン、31B…後輪、31c…車輪、32…リンク部、33…取付部、33a…固定部、33b…支持柱、33B…取付部、33c…プレート、34…回転盤、34a…移動体、35…ウェイト、41…前輪取付部、41a…被連結部、42…後輪取付部、43…第1リンク部材、44…第2リンク部材、45…リンク回転部材、51…第2キャスタ、51a…取付座、51A…前輪、51b…フォーク、51B…後輪、51c…車輪、51C…中央輪、52…台車押さえ部、52A…台車押さえ部、55…第2キャスタ、61…フレーム、61a…開口、61b…ベースフレーム、61c…保持フレーム、61d…緩衝材、62…ストッパー、62a…基部、62b…ストッパー体、62c…緩衝材、62d…当接部材、62e…長孔、62f…長孔、71…規制部、81…ストッパー、97…ワッシャ、99…締結部材、100…搬送車、200…カゴ台車(台車)、211…荷台、212…キャスタ、213…柵、300…パレット、400…パレット台車、410…キャスタ、420…荷台、421…規制部、422…突起、430…ハンドルバー。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20