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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170521
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】設備機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/654 20180101AFI20231124BHJP
【FI】
G06F8/654
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082344
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】輿水 連太郎
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376CA11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】制御ソフトウェアの更新の際に、更新後の制御プログラムによる制御を正常に実行する設備機器を提供する。
【解決手段】設備機器1の制御基板5において、マイクロコンピュータ10の内部メモリ15は、制御プログラムを不揮発的に記憶する。CPU11は、内部メモリ15に記憶された制御プログラムを実行して設備機器1の動作を制御する。外部メモリ20は、制御プログラムの実行時に使用されるデータを不揮発的に記憶する。制御プログラムは、外部メモリ20におけるアドレスと記憶データとの対応関係を示すメモリマップを含む。CPU11は、制御プログラムを更新する際に、旧バージョンプログラム及び新バージョンプログラムの間でメモリマップの内容が異なるときには、旧バージョンプログラムのメモリマップに従って外部メモリ20に記憶されていたデータを、新バージョンプログラムのメモリマップに従うアドレスに移動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器であって、
制御プログラムを記憶する不揮発性の第1メモリと、
前記制御プログラムの実行時に使用されるデータを記憶する不揮発性の第2メモリと、
前記第1メモリに記憶された前記制御プログラムを実行して前記設備機器の動作を制御するとともに、前記第1メモリ及び前記第2メモリのデータ読出及びデータ書込を制御する制御部とを備え、
前記制御プログラムは、前記第2メモリにおけるアドレスと記憶データとの対応関係を示すメモリマップを含み、
前記制御部は、前記第1メモリに記憶される前記制御プログラムを第1プログラムから第2プログラムに更新する際に、前記第1プログラム及び前記第2プログラムの間で前記メモリマップの内容が異なるときには、前記第1プログラムの前記メモリマップに従って前記第2メモリに記憶されていたデータを、前記第2プログラムの前記メモリマップに従うアドレスに移動させる、設備機器。
【請求項2】
前記メモリマップの内容が異なるときに移動されるデータは、前記第2メモリから読出されて第3メモリに一時的に記憶された後、前記第2メモリの前記第2プログラムに含まれる前記メモリマップに従うアドレスに前記第3メモリから移動される、請求項1記載の設備機器。
【請求項3】
前記メモリマップの内容が異なるときに移動されるデータは、前記第1プログラムの前記メモリマップに従って記憶されるアドレスと、前記第2プログラムの前記メモリマップに従って記憶されるアドレスとが異なるデータである、請求項2記載の設備機器。
【請求項4】
前記制御部は、マイクロコンピュータに内蔵され、
前記第1メモリは、前記マイクロコンピュータの内蔵メモリであり、
前記第2メモリは、前記マイクロコンピュータの外部に配置された不揮発性メモリである、請求項1記載の設備機器。
【請求項5】
前記制御部は、マイクロコンピュータに内蔵され、
前記第1メモリは、前記マイクロコンピュータの内蔵メモリであり、
前記第2メモリ及び前記第3メモリは、前記マイクロコンピュータの外部に配置された不揮発性メモリの異なる領域を用いて構成される、請求項2記載の設備機器。
【請求項6】
前記制御プログラムは、前記メモリマップのバージョンを示すマップバージョンデータを更に含み、
前記制御部は、前記マップバージョンデータ同士を比較することによって、前記第1プログラム及び前記第2プログラムの間で前記メモリマップの内容が異なる否かを判定する、請求項1~5のいずれか1項に記載の設備機器。
【請求項7】
前記第2メモリは、予め定められたアドレスに前記マップバージョンデータを記憶し、
前記制御部は、前記第1メモリに記憶される前記制御プログラムを前記第1プログラムから前記第2プログラムに更新する際に、前記第2メモリに記憶されていたデータを前記第2プログラムの前記メモリマップに従って移動した後に、前記第2メモリに記憶される前記マップバージョンデータを更新する、請求項6記載の設備機器。
【請求項8】
設備機器であって、
制御プログラムを記憶する不揮発性の第1メモリと、
前記制御プログラムの実行時に使用されるデータを記憶する不揮発性の第2メモリと、
前記第1メモリに記憶された前記制御プログラムを実行して前記設備機器の動作を制御するとともに、前記第1メモリ及び前記第2メモリのデータ読出及びデータ書込を制御する制御部とを備え、
前記制御プログラムは、前記第2メモリにおけるアドレスと記憶データとの対応関係を示すメモリマップを含み、
前記第1メモリに記憶される前記制御プログラムを第1プログラムから第2プログラムに更新する際に、前記第1プログラムの第1メモリマップと、前記第2プログラムの第2メモリマップとの内容が異なるときに、前記第2メモリマップでの前記記憶データのうち、前記第1メモリマップでは記憶されていなかったデータは前記第1メモリマップでは不使用のアドレスに記憶される一方で、前記第1メモリマップでも記憶されていたデータは、前記第1メモリマップと共通のアドレスに記憶される様に、前記第2メモリマップは設定される、設備機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は設備機器に関し、より特定的には、制御ソフトウェアを更新可能な設備機器に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の設備機器において、配設後にソフトウェアをバージョンアップ等のために更新することが行われている。例えば、特開2020-134096号公報(特許文献1)には、給湯装置に代表される温水供給装置において、サーバから受信した更新プログラムをマイクロコンピュータに書き込むことによって、制御プログラムをバージョンアップする構成が記載されている。
【0003】
特許文献1には、更新プログラムの書込処理の実行中に、温水供給装置内の負荷の一部(例えば、循環ポンプ又はヒータ)の作動を許容することで、ソフトウェア更新時における不具合、例えば、配管の凍結、又は、排気の逆流の発生を防止する制御が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-134096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
設備機器では、マイクロコンピュータが制御プログラムによる制御を実行する際に使用するデータを、当該制御プログラムが格納される第1メモリとは別個の第2メモリに記憶するメモリ構成が用いられることがある。特に、第2メモリをEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等のデータ書換可能な不揮発メモリで構成することで、停電等によってマイクロコンピュータがリセットされても第2メモリのデータが消失しないため、再起動したマイクロコンピュータは、同じデータを用いて同様の制御を実行することが可能となる。
【0006】
しかしながら、上述のメモリ構成では、第1メモリの制御プログラムを更新する際に、制御で使用される第2メモリにおけるアドレス及び記憶データの対応関係が当該更新前後で異なる場合において、第1メモリが第2メモリから適切にデータを取得できなるケースが懸念される。これにより、更新後の制御プログラムによる制御が正常に実行できなくなる虞がある。
【0007】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、制御プログラムを記憶する第1メモリと、当該制御プログラムの実行時に使用するデータを記憶する第2メモリとを備えるメモリ構成の設備機器において、制御ソフトウェアの更新の際に、更新後の制御プログラムによる制御を正常に実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、設備機器が提供される。設備機器は、制御プログラムを記憶する不揮発性の第1メモリと、制御プログラムの実行時に使用されるデータを記憶する不揮発性の第2メモリと、制御部とを含む。制御部は、第1メモリに記憶された制御プログラムを実行して設備機器の動作を制御するとともに、第1メモリ及び第2メモリのデータ読出及びデータ書込を制御する。制御プログラムは、第2メモリにおけるアドレスと記憶データとの対応関係を示すメモリマップを含む。制御部は、第1メモリに記憶される制御プログラムを第1プログラムから第2プログラムに更新する際に、第1プログラム及び第2プログラムの間でメモリマップの内容が異なるときには、第1プログラムのメモリマップに従って第2メモリに記憶されていたデータを、第2プログラムのメモリマップに従うアドレスに移動させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御プログラムを記憶する第1メモリと、当該制御プログラムの実行時に使用するデータを記憶する第2メモリとを備えるメモリ構成の設備機器において、制御ソフトウェアの更新の際に、第2メモリにおけるアドレス及び記憶データの対応関係が変わっても、更新後の制御プログラムによる制御を正常に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る設備機器のメモリ構成を説明するブロック図である。
図2図1に示された外部メモリでの制御ソフトウェア更新によるアドレス割付の変更例を説明する図表が示される。
図3】本実施の形態に係る設備機器での制御ソフトウェアの更新処理の処理手順を説明するフローチャートである。
図4】外部メモリでの記憶データの処理例を説明する概念図である。
図5】外部メモリにおけるアドレス割付の変形例を説明する図表である。
図6】外部メモリにおけるアドレス割付の他の変形例を説明する図表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る設備機器のメモリ構成を説明するブロック図である。
【0013】
図1を参照して、設備機器1は、制御基板5を備える。制御基板5には、当該設備機器の動作を制御するためのマイクロコンピュータ10と、マイクロコンピュータ10の外部に設けられた外部メモリ20とが搭載される。マイクロコンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、内部メモリ15と、メモリ17とを含む。
【0014】
内部メモリ15は、非破壊読出型の不揮発性メモリで構成されて、制御プログラムを格納する。CPU11が内部メモリ15に格納された制御プログラムを実行することで、ユーザ指示に従って設備機器1を動作させるための制御動作が実行される。
【0015】
メモリ17は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリによって構成されて、上述の制御動作時に使用される。マイクロコンピュータ10の電源投入時(停電後の再投入を含む)には、メモリ17の記憶データはリセットされる。
【0016】
外部メモリ20は、EEPROM等の非破壊読出型の不揮発性メモリで構成される。従って、停電時、及び、停電後のマイクロコンピュータ10の電源再投入によるリセット処理時にも、外部メモリ20の記憶データは維持される。外部メモリ20に対しては、マイクロコンピュータ10(CPU11)によって、データ読出及びデータ書込の両方が可能である。
【0017】
本実施の形態に係る設備機器1では、バージョンアップ等のための制御ソフトウェア更新の際には、マイクロコンピュータ10に対するプログラム書込処理により、内部メモリ15に対して、更新後の制御プラグラムが書き込まれる。即ち、本実施の形態に係るプログラム書込処理では、設備機器1の外部から、外部メモリ20に対して直接的に書込処理は実行されず、マイクロコンピュータ10(CPU11)によって、外部メモリ20の記憶データが書き込まれる。
【0018】
尚、上述したプログラム書込処理は、図示しないサーバからのダウンロードによって実行されてもよく、作業員等がプログラム書込のための機器をマイクロコンピュータ10に対して接続することで実行されてもよい。
【0019】
外部メモリ20には、上述した様に、制御プログラムの実行時に使用されるデータが記憶されている。以下では、制御ソフトウェアの更新前後において、外部メモリ20でのアドレス及び記憶データの対応関係、即ち、アドレス割付が変更される際の制御について説明する。
【0020】
図2には、外部メモリ20でのアドレス割付が変更される例を説明するための図表が示される。
【0021】
図2を参照して、外部メモリ20におけるアドレス割付は、メモリマップによって定義される。メモリマップは、制御プログラムに含まれる。図2には、制御ソフトウェア更新前の制御プログラム(以下、「旧バージョンプログラム」とも称する)でのメモリマップ1と、制御ソフトウェア更新後の制御プログラム(以下、「新バージョンプログラム」とも称する)でのメモリマップ2とが示される。各アドレスには、所定ビット数のデータが格納される。
【0022】
メモリマップ1では、アドレス「001」には、メモリマップのバージョンを示すマップバージョンデータMPVが記憶され、アドレス「002」には、マップバージョンデータMPVのチェックデータ(代表的には、チェックサム)CHKMが記憶される。アドレス「003」及び「004」には、設備機器1の2桁分の機種データCD1,CD2が記憶され、アドレス「005」には、機種データCD1,CD2のチェックデータCHKCが記憶される。
【0023】
更に、アドレス「006」~「008」には、制御プログラムの3桁分の属性データSF1~SF3が記憶され、アドレス「009」には、属性データSF1~SF3のチェックデータCHKSが記憶される。
【0024】
上述の設備機器1の機種データ、及び、制御プログラムの属性データに基づいて、設備機器1での制御では、一部機能のオンオフ(有効/無効)、又は、制御パラメータ値の切替等が行われる。これにより、例えば、機種毎に適合されたきめ細かい動作制御や、上位機種又はバージョンアップ(アップグレード)したプログラムでの機能追加等を実現することができる。
【0025】
メモリマップ2では、制御ソフトウェアのバージョンアップに対応して、機種データ及び属性データの桁数が増加していることが理解される。
【0026】
メモリマップ2では、アドレス「001」には、メモリマップ1と同様に、マップバージョンデータMPVが記憶され、アドレス「002」には、マップバージョンデータMPVのチェックデータCHKMが記憶される。
【0027】
一方で、アドレス「003」~「007」には、設備機器1の5桁分の機種データCD1~CD5が記憶され、アドレス「008」には、機種データCD1~CD5のチェックデータCHKCが記憶される。更に、アドレス「009」~「012」には、制御プログラムの4桁分の属性データSF1~SF4が記憶され、アドレス「013」には、属性データSF1~SF4のチェックデータCHKSが記憶される。
【0028】
この様に、メモリマップ2では、メモリマップ1と比較して、機種データCD3~CD5、及び、属性データSF4が新たに記憶されるため、一部のアドレス「005」~「013」において、アドレス割付が変更されている。
【0029】
制御ソフトウェア更新の際には、メモリマップ2の内容をマイクロコンピュータ10(内部メモリ15)に格納することで、外部メモリ20からマイクロコンピュータ10へ適切なデータを読出すことが可能となる。
【0030】
一方で、メモリマップ2では、アドレス「005」~「013」の記憶データは、メモリマップ1とは異なっている。このため、メモリマップ1においてアドレス「006」~「008」に記憶されていた属性データSF1~SF3については、制御ソフトウェア更新の際に、破壊されることなく、メモリマップ2での新アドレス「009」~「011」に移動する必要がある。
【0031】
この点を考慮して、本実施の形態に係る設備機器1では、図3に示されるフローチャートに従って、制御ソフトウェアの更新処理が実行される。図3に示された制御処理は、マイクロコンピュータ10のCPU11によって実行することができる。
【0032】
図3を参照して、CPU11は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110では、制御ソフトウェアの更新処理後の制御プログラム(「制御P」とも表記する)、即ち、新バージョンプログラムの内部メモリ15への書込が完了したか否かを判定する。上述の様に、新バージョンプログラムには、当該プログラムでの外部メモリ20のメモリマップが含まれる。
【0033】
CPU11は、制御P(新バージョンプログラム)の書込が完了すると、S110をYES判定として、S120以降に処理を進める。一方で、制御Pの書込が完了するまでは(S110のNO判定時)、S120以降の処理は開始されない。
【0034】
CPU110は、S120では、制御ソフトウェア更新前の旧バージョンプログラムに対応した外部メモリ20のメモリマップ、即ち、現在のメモリマップのバージョンを取得する。例えば、S120では、図2で説明した、マップバージョンデータMPVが、外部メモリ20のアドレス「001」から読出される。
【0035】
CPU110は、S130では、内部メモリ15に書き込まれた新バージョンプログラムでのメモリマップのバージョンを取得する。例えば、S130では、新バージョンプログラムでのマップバージョンデータMPVが、内部メモリ15から読出される。
【0036】
CPU11は、S140では、旧バージョンプログラムから新バージョンプログラムへの変更によってメモリマップの内容に変更があるか否かが判定される。例えば、S140では、旧バージョンプログラムのマップバージョンデータMPV(S120)と、新バージョンプログラムのマップバージョンデータMPV(S130)とが比較される。
【0037】
CPU11は、メモリマップが変更される場合(S140のYES判定時)には、S150により旧バージョンプログラムに対応して外部メモリ20に現在記憶されているデータを読出して、S160により、S150での読出データを一時的に退避させる。例えば、S160では、外部メモリ20内の別領域に、S150で読出されたデータが書き込まれる。尚、S160では、内部メモリ15内の一部領域、メモリ17内の一部領域、又は、図1中に示されない他メモリの一部領域へのデータ書込によって、S150で読出されたデータを退避させることも可能である。
【0038】
更に、CPU11は、S170では、S160で一時的に退避されたデータを、外部メモリ20において、新バージョンプログラムのメモリマップによって指定されたアドレスに割り当てて書き込む。CPU11は、S180では、外部メモリ20に記憶されるメモリマップのバージョン(MPV)を、新バージョンプログラムの値に更新する。
【0039】
一方で、CPU11は、メモリマップの内容に変更がない場合(S140のNO判定時)には、S190により、外部メモリ20の記憶内容を保持して、制御ソフトウェアの更新処理を終了する。
【0040】
図4には、図3のフローチャートに従う外部メモリ20での記憶データの処理例が示される。図4では、旧バージョンプログラムでは図2に示されたメモリマップ1が用いられ、新バージョンプログラムでは、図2でのメモリマップ2が用いられるときの処理例が示される。
【0041】
図2で説明した様に、メモリマップ1とメモリマップ2との間では、アドレス割付が異なっており、このためメモリマップのバージョンが異なる。これに対応して、メモリマップ1ではMPV=1であり、メモリマップ2ではMPV=2であるものとする。
【0042】
図4を参照して、内部メモリ15内の領域15xには、内部メモリ15に記憶されている制御プログラムに対応するメモリマップのマップバージョンデータMPVが記憶される。又、外部メモリ20は、メモリマップで指定される領域21(例えば、アドレス「001」~「014」)と、メモリマップでの指定外の領域25(例えば、アドレス「X01」~「X10」)とに区分される。
【0043】
図4(a)には、内部メモリ15への新バージョンプログラムの書込が完了した、図3のS110がYES判定とされた時点での記憶データが示される。内部メモリ15の領域15xには、新バージョンプログラムに対応するメモリマップのバージョンを示す、MPV=2が記憶される。一方で、外部メモリ20には、旧バージョンプログラムに対応するメモリマップ1に従って、アドレス「001」には、MPV=1が記憶されている。アドレス「002」~「009」には、メモリマップ1でのアドレス割付に従ったデータ群が、図2と同様に記憶されている。
【0044】
図4(a)の状態の後、図3のS140では、内部メモリ15(15x)に記憶されているマップバージョンデータMPVと、外部メモリ20(アドレス「001」)に記憶されているマップバージョンデータMPVとの比較により、メモリマップの内容が変更される場合であると判定される。
【0045】
図4(b)には、図3のS160の処理後の状態が示される。例えば、S150ではメモリマップ1で指定されるアドレス「002」~「009」のデータが読出されて、S160では、領域25のアドレス「X02」~「X09」に書き込まれる。これにより、メモリマップ1及びメモリマップ2の両方での記憶データである、機種データCD1及びCD2と、属性データSF1~SF3とが、メモリマップ2で使用される領域21から一時的に退避して、領域25に格納される。
【0046】
図4(c)では、メモリマップ2のアドレス割付に従って、領域21のアドレス「002」~「013」にデータが書き込まれる。この際に、メモリマップ1でも使用されていた、機種データCD1及びCD2と、属性データSF1~SF3とについては、一時的に書き込まれた領域25から、メモリマップ2によって割付けられた新アドレスに書き込まれる。
【0047】
図4(c)の例では、メモリマップ2に従って、アドレス「003」及び「004」に機種データCD1及びCD2が書き込まれるとともに、アドレス「009」~「011」に属性データSF1~SF3が書き込まれる。これにより、メモリマップ1からメモリマップ2への切替において、外部メモリ20のデータを破壊することなく、正しい値を移動することができている。
【0048】
尚、メモリマップ2で追加された機種データCD3~CD5及び属性データSF4が記憶される、アドレス「005」~「007」及び「012」には、この段階では、予め定められた初期値「ZZ」が書き込まれる。以降の新バージョンプログラムの実行時に、これらのデータは、適宜、正しい値に書換えられる。
【0049】
更に、図4(d)では、図3のS180に対応して、内部メモリ15に記憶されたマップバージョンデータMPVの値が、外部メモリ20(アドレス「001」)に書き込まれる。これにより、外部メモリ20に記憶されるマップバージョンデータMPVは、制御ソフトウェアの更新処理後の新バージョンプログラムにおけるメモリマップに対応するマップバージョンデータMPVに更新される。
【0050】
以上説明した様に、本実施の形態に係る設備装置では、制御プログラム更新の際に、旧バージョンプログラムと新バージョンプログラムとの間で外部メモリ20でのアドレス割付が変更される場合にも、旧バージョンプログラムのメモリマップに従って外部メモリ20に記憶されていたデータを、新バージョンプログラムのメモリマップに従ったアドレスに移動させることができる。これにより、アドレス割付が変更された場合でも、更新後の制御プログラム(新バージョンプログラム)の実行時には、外部メモリ20の記憶データを正しく用いることができる。即ち、更新後の制御プログラムによる制御を正常に実行することができる。
【0051】
更に、S160(図3)で説明した様に、旧バージョンプログラムのメモリマップでの外部メモリ20の記憶データを一時的に退避させた後に、外部メモリ20の新バージョンプログラムのメモリマップに従うアドレスに移動させることにより、データの破壊をより確実に防止することができる。尚、この際に一時的に退避させるデータの対象は、旧バージョンプログラムのメモリマップでの記憶データのうちの、旧バージョンプログラム及び新バージョンプログラムのそれぞれのメモリマップの間で、記憶されるアドレスが異なるデータに限定することも可能である。
【0052】
本実施の形態において、マイクロコンピュータ10のCPU11及び内部メモリ15は「制御部」及び「第1メモリ」の一実施例にそれぞれ対応し、外部メモリ20(図4の例では、領域21)は「第2メモリ」の一実施例に対応する。尚、図4の例では、外部メモリ20の領域25が「第3メモリ」の一実施例に対応するが、上述の通り、「第3メモリ」は、外部メモリ20とは異なるメモリに設けることも可能である。又、旧バージョンプログラムは「第1プログラム」、新バージョンプログラムは「第2プログラム」の一実施例にそれぞれ対応する。
【0053】
尚、図2図4では、外部メモリ20のアドレス割付を定めるメモリマップのバージョンを示すマップバージョンデータMPVを導入することで、制御ソフトウェアの更新処理において外部メモリ20でのアドレス割付(メモリマップ)が変更されるか否かを判定する例を説明した。しかしながら、この様なマップバージョンデータMPVの導入は必須ではなく、メモリマップ間での使用領域(アドレス数)の比較、又は、その他の情報の比較によって、図3のS140での判定を実行することも可能である。
【0054】
或いは、メモリマップ間でのアドレス割付の違いの態様によっては、S160(図3)でのデータ一時退避を要することなく、メモリマップの切替に対応して、外部メモリ20の記憶データを更新することも可能である。
【0055】
図5は、外部メモリにおけるアドレス割付の変形例を説明する図表である。
【0056】
図5に示される様に、メモリマップ2でのアドレス割付について、機種データCD1~CD5及び属性データSF1~SF4を、メモリマップ1で不使用のアドレス「010」~「020」を用いて記憶する様に定めることも可能である。
【0057】
この際には、図3のS140においてメモリマップの変更ありと判定された際に、メモリマップ1の下で、機種データCD1,CD2(2桁分)及び属性データSF1~SF3(3桁分)が記憶されていた外部メモリ20のアドレスに対しては、メモリマップ2の下では不使用となる。尚、当該アドレス「003」~「009」はメモリマップ2では不使用となるが、これらのアドレスの記憶データは、少なくとも図3の処理が完了するまでは、消去することなく維持することが好ましい。データ移動処理中にCPUリセットが生じた場合にも、データを復旧可能とするためである。
【0058】
従って、図5のケースでは、S160(図3)によるデータの一時的な退避を行うことなく、S150及びS170(図3)の処理によって、メモリマップ1の下での記憶データを、メモリマップ2の下で割付けられたアドレスに移動することができる。この様に、データの一時退避(S160)を省略して、メモリマップの変更に伴う外部メモリ20でのデータ移動を実現することも可能である。
【0059】
図6は、外部メモリにおけるアドレス割付の他の変形例を説明する図表である。
【0060】
図6に示される様に、メモリマップ2でのアドレス割付について、メモリマップ2での記憶データのうち、新たな記憶データを用いて記憶する一方で、メモリマップ1と共通する記憶データについては、メモリマップ1と同じアドレスに記憶する様に設定することも可能である。
【0061】
例えば、図6の例では、メモリマップ2の記憶データのうち、メモリマップ1でも記憶されていた機種データCD1,CD2及び属性データSF1~SF3は、メモリマップ1と共通に、アドレス「003」,「004」,「006」~「008」にそれぞれ記憶される。一方で、メモリマップ1では記憶されていなかった機種データCD3~CD5及び属性データSF4は、メモリマップ1では不使用のアドレス「010」~「013」にそれぞれ記憶される。
【0062】
図6のケースでは、図3で説明した、記憶データの移動、又は、移動及び一時的な退避のための処理を伴うことなく、メモリマップの変更に対応させて、外部メモリ20での記憶データのアドレス設定を適切化することができる。これにより、更新後の制御プログラムによる制御を正常に実行することができる。
【0063】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
1 設備機器、5 制御基板、10 マイクロコンピュータ、15 内部メモリ、15x 領域(内部メモリ内)、17 メモリ、20 外部メモリ、21,25 領域(外部メモリ内)、CD1~CD5 機種データ(各桁)、CHKM,CHKC,CHKS チェックデータ、MPV マップバージョンデータ、SF1~SF4 属性データ(各桁)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6