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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170522
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】設備機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/445 20180101AFI20231124BHJP
【FI】
G06F9/445
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082345
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】輿水 連太郎
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AE51
5B376AE61
(57)【要約】
【課題】制御プログラムのバックアッププログラムを効率的に格納する。
【解決手段】内部メモリ15は、プログラム書込装置40によって書き込まれた制御プログラムを不揮発的に記憶する。マイクロコンピュータ10は、CPU11が内部メモリ15に記憶された制御プログラムを実行して設備機器1の動作を制御する。マイクロコンピュータ10は、制御プログラムのバックアップ処理が起動されると、内部メモリ15から制御プログラムを読出すとともに、読出された制御プログラムを外部メモリ20に書込む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器であって、
制御プログラムを不揮発的に記憶する第1メモリと、
前記制御プログラムのバックアップを不揮発的に記憶するための第2メモリと、
前記第1メモリに記憶された前記制御プログラムを実行して前記設備機器の動作を制御するとともに、前記第1メモリ及び前記第2メモリのデータ読出及びデータ書込を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記制御プログラムのバックアップ処理が起動されると、前記第1メモリから前記制御プログラムを読出すとともに、読出された前記制御プログラムを前記第2メモリに書込む、設備機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1メモリに記憶された前記制御プログラムのデータ内容と、前記第2メモリへの前記制御プログラムの書込後に前記第2メモリから読出された前記制御プログラムのデータ内容との一致を検証して、前記バックアップ処理が正常に完了したことを検知する、請求項1記載の設備機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1メモリに記憶された前記制御プログラムのデータ内容を用いて算出された第1の誤り検出符号と、前記第2メモリから読出された前記制御プログラムのデータ内容を用いて算出された第2の誤り検出符号との比較に基づいて、前記一致を検証する、請求項2記載の設備機器。
【請求項4】
前記バックアップ処理は、前記設備機器の工場出荷前の検査工程において、前記設備機器に接続された検査装置からの入力に応じて起動される、請求項1~3のいずれか1項に記載の設備機器。
【請求項5】
前記第2メモリは、前記バックアップ処理が正常完了したことを示す履歴を予め定められた領域に更に記憶し、
前記制御部は、前記第2メモリの前記領域から読出されたデータに前記履歴が含まれない場合に、前記バックアップ処理を起動する、請求項1~3のいずれか1項に記載の設備機器。
【請求項6】
前記制御部は、マイクロコンピュータに内蔵され、
前記第1メモリは、前記マイクロコンピュータに内蔵された不揮発性メモリであり、
前記第2メモリは、前記マイクロコンピュータの外部に配置された不揮発性メモリである、請求項1~3のいずれか1項に記載の設備機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は設備機器に関し、より特定的には、制御プログラムのバックアッププログラムを格納するメモリを有する設備機器に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯装置に代表される設備機器において、リモコンに対してデータ書込装置から新たな制御プログラムのデータを送信することで、制御プログラムを更新する構成が、特開2002-135860号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1によれば、リモコンに対するデータ送信によって制御プログラムを更新することで、新たな追加機能に柔軟に対応できることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-135860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制御プログラムの更新を想定した場合には、更新後の制御プログラムに不備があったときに初期状態に復帰するためのバックアップ用として、初期の制御プログラムを予備的に格納しておくことが望まれる。
【0005】
この場合には、制御プログラムによるソフトウェア処理を実行するコントローラ(マイクロコンピュータ)が当該制御プログラムを読出す第1メモリとは別個の第2メモリに、バックアップ用の制御プログラムを格納することが一般的である。
【0006】
しかしながら、工場出荷時に第1メモリ及び第2メモリの両方に対して、同じ制御プログラム(初期)を格納するためには、それぞれに対するデータ書込装置を用意する必要が生じるため設備が複雑化することが懸念される。
【0007】
本発明はこの様な問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、設備機器において制御プログラムのバックアッププログラムを効率的に格納することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面では、設備機器が提供される。設備機器は、第1メモリ及び第2メモリと、制御部とを備える。第1メモリは、制御プログラムを不揮発的に記憶する。第2メモリは、制御プログラムのバックアップを不揮発的に記憶する。制御部は、第1メモリに記憶された制御プログラムを実行して設備機器の動作を制御するとともに、第1メモリ及び第2メモリのデータ読出及びデータ書込を制御する。制御部は、制御プログラムのバックアップ処理が起動されると、第1メモリから制御プログラムを読出すとともに、読出された制御プログラムを第2メモリに書込む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、設備機器において制御プログラムのバックアッププログラムを効率的に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る設備機器のメモリ構成を説明するブロック図である。
図2】本実施の形態に係る設備機器でのバックアップ用プログラムの格納処理を説明する概念図である。
図3】本実施の形態に係る設備機器でのバックアップ用プログラムの格納処理を説明するフローチャートである。
図4】制御プログラムの構成の変形例を説明する概念図である。
図5】本実施の形態に係る設備機器での制御プログラムのバックアップ処理の実行態様を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る設備機器のメモリ構成を説明するブロック図である。設備機器は、特許文献1の様な住宅に配置される設備機器の他、宿泊施設、入浴施設、及び、病院等の住宅以外に設置される設備機器を含む。
【0013】
図1を参照して、設備機器1は、制御基板5を備える。制御基板5には、設備機器1の動作を制御するためのマイクロコンピュータ10と、マイクロコンピュータ10の外部に設けられた外部メモリ20とが搭載される。マイクロコンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)11と、内部メモリ15と、メモリ17とを含む。
【0014】
内部メモリ15は、非破壊読出型の不揮発性メモリで構成されて、制御プログラムを格納する。CPU11が内部メモリ15に格納された制御プログラムを実行することで、ユーザ指示に従って設備機器1を動作させるための制御動作が実行される。
【0015】
メモリ17は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリによって構成されて、上述の制御動作時に使用される。マイクロコンピュータ10の電源投入時(停電後の再投入を含む)には、メモリ17の記憶データはリセットされる。
【0016】
外部メモリ20は、EEPROM等の非破壊読出型の不揮発性メモリで構成される。外部メモリ20には、シリアルフラッシュメモリ(SFM)を用いることも可能である。従って、停電時、及び、停電後のマイクロコンピュータ10の電源再投入によるリセット処理時にも、外部メモリ20の記憶データは維持される。外部メモリ20に対しては、マイクロコンピュータ10(CPU11)によって、データ読出及びデータ書込の両方が可能である。
【0017】
本実施の形態に係る設備機器1では、工場出荷時において、内部メモリ15には、初期状態の制御プログラムが格納されている。外部メモリ20は、工場出荷時において内部メモリ15に格納されているのと同様の制御プログラムを、バックアップ用として格納する。
【0018】
制御プログラムは、プログラム書込装置40をマイクロコンピュータ10のポート(図示せず)に接続することによって、内部メモリ15に書込まれる。図1中に点線で表記する様に、外部メモリ20に対しても、プログラム書込装置41を用いて制御プログラムを書込むことが可能である。
【0019】
しかしながら、外部メモリ20と、内部メモリ15(マイクロコンピュータ10)との間でデータ書込装置が異なる場合には、2台分のプログラム書込装置が必要となる。2台のプログラム書込装置を設備機器の生産工場に配置する場合、出荷検査のための配置スペース、そのレイアウト、及び、工程順序に制約を受ける虞がある。又、共通のプログラム書込装置40によって、外部メモリ20に対して制御プログラムを書込可能な場合には、1台分のプログラム書込装置によって内部メモリ15及び外部メモリ20に順次制御プログラムを書込むことにより、制御プログラムの書込工程が長期化することが懸念される。
【0020】
従って、本実施の形態に係る設備機器1では、一旦内部メモリ15に記憶された制御プログラムを読出して、外部メモリ20へ書込むことにより、バックアップ用の制御プログラムが効率的に格納される。
【0021】
図2には、本実施の形態に係る設備機器でのバックアップ用プログラムの格納処理を説明する概念図が示される。
【0022】
図2を参照して、内部メモリ15には、制御プログラム50に加えて、ユーティリティプログラム51及びサポートプログラム52等が更に記憶される。ユーティリティプログラム51及びサポートプログラム52には、例えば、制御ソフトウェアのバージョンアップの際に制御プログラムの書換を制御するプログラム、及び、以下で説明するバックアップ処理を実行するためのプログラムが含まれる。
【0023】
或いは、ユーティリティプログラム51及びサポートプログラム52に代えて、ブートプログラム(図示せず)が制御プログラム50とともに内部メモリ15に記憶されてもよい。この場合には、当該ブートプログラムが、制御プログラムの更新処理やバックアップ処理の機能を担う。
【0024】
外部メモリ20には、バックアップ処理により、内部メモリ15から読出された制御プログラム50が記憶される。尚、図2から理解される様に、外部メモリ20は、バックアップ用の制御プログラムの格納専用に設ける必要はなく、制御プログラムの格納領域以外を用いて、他のプログラム又はデータ等を記憶することも可能である。
【0025】
図3には、本実施の形態に係る設備機器でのバックアップ用プログラムの格納処理を説明するフローチャートが示される。図3に示された処理は、マイクロコンピュータ10のCPU11によって実行される。
【0026】
図3を参照して、CPU11は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110では、バックアップ処理の起動トリガの有無を判定する。例えば、起動トリガは、設備機器1の工場出荷前の検査工程において、マイクロコンピュータ10に接続される検査装置(図示せず)から電気信号として入力することができる。
【0027】
或いは、当該起動トリガについては、マイクロコンピュータ10に対して予め定められた操作を実行することに応答して、マイクロコンピュータ10内部で当該起動トリガが生成されてもよい。
【0028】
CPU11は、起動トリガが検出されると、S110をYES判定として、S120以降に処理を進める。一方で、起動トリガが検出されない場合には(S110のNO判定時)、S120以降の処理は開始されない。
【0029】
CPU11は、S120では、内部メモリ15から、バックアップ対象、即ち、制御プログラム50を割り出す処理を実行する。例えば、図2では、制御プログラム50を格納するアドレス領域が、読出対象として特定される。
【0030】
CPU11は、S130では、S120で特定された内部メモリ15のアドレス領域から制御プログラム50を読出すとともに、S140により、S130で読出された制御プログラム50を外部メモリ20に書込む。尚、S130及びS140は、制御プログラム50を複数ブロックに分割して、ブロック単位で行うことができる。
【0031】
CPU11は、S150では、制御プログラム50の全ブロックについて、内部メモリ15からのデータ読出(S130)、及び、外部メモリ20へのデータ書込が完了したかどうかを判定する。全ブロックのデータ読出及びデータ書込が完了するまで(S150のNO判定時)、S130及びS140の処理は、繰り返し実行される。
【0032】
CPU11は、制御プログラム50のデータ読出及びデータ書込が完了すると(S150のYES判定時)、S160により、内部メモリ15に記憶される制御プログラム50のデータ内容に基づく第1の誤り検出符号を、外部メモリ20へ書込む。S150で書込まれる第1の誤り検出符号は、例えば、S130によるデータ読出時に、読出されたデータからブロック単位で算出することができる。或いは、S150のYES判定時に、これまで読出された全てのデータから、誤り検出符号を算出することも可能である。
【0033】
尚、制御プログラム50の全データ内容は既知であるので、図4に示される様に、データ内容から予め算出された誤り検出符号50xを、制御プログラム50に付加して内部メモリ15に格納することも可能である。この場合には、S160では、内部メモリ15から読出された誤り検出符号50xを、第1の誤り検出符号として、外部メモリ20へ書込むことが可能である。或いは、検査装置がマイクロコンピュータ10に接続される検査工程の一環としてバックアップ処理が起動される場合には、予め算出された第1の誤り検出符号を、検査装置から入力することも可能である。
【0034】
この様にして、S160によって、外部メモリ20には、内部メモリ15に記憶された制御プログラム50を構成するデータ内容に基づく第1の誤り検出符号が記憶される。
【0035】
CPU11は、S170では、外部メモリ20に記憶された制御プログラム50を読出して、読出されたデータ内容から誤り検出符号を算出する。これにより、外部メモリ20に書込まれている制御プログラム50のデータ内容に基づく第2の誤り検出符号が、CPU11によって取得される。
【0036】
CPU11は、S180により、S160で外部メモリ20に書込んだ第1の誤り検出符号を、外部メモリ20から読出す。更に、CPU11は、S190により、S170で算出された第2の誤り検出符号と、S180で読出された第1の誤り検出符号との一致比較を実行する。これらの第1及び第2の誤り検出符号の一致により、内部メモリ15から読出された制御プログラム50の内容と、外部メモリ20に書込まれてバックアップ用として保存される制御プログラム50の内容とが一致しているか否かを検証することができる。
【0037】
従って、CPU11は、第1及び第2の誤り検出符号が一致すると(S190のYES判定時)には、S200により、制御プログラム50のバックアップ処理が正常に完了したと判定する。
【0038】
一方で、第1及び第2の誤り検出符号が不一致のときには(S190のNO判定時)には、S210により、バックアップ処理がリトライされる、又は、エラー通知が発行される。
【0039】
上述した通り、制御プログラムのバックアップ処理は、図5に例示される様に、検査装置60がマイクロコンピュータ10に接続される検査工程において、検査装置60からの起動トリガに応答して実行することができる。
【0040】
図3のS200により、制御プログラム50のバックアップ処理が正常に完了したと判定されたときには、CPU11から検査装置60に対して、バックアップ処理の正常完了を通知する情報を送信することができる。或いは、制御基板5上に設けられた報知器30を用いて、当該正常完了を報知することも可能である。例えば、報知器30としては、LED(Light Emitting Diode)を用いることができる。
【0041】
或いは、外部メモリ20に、制御プログラム50のバックアップ処理が正常完了しているか否かの履歴を記憶する領域を設けて、S200において、当該領域に正常完了の履歴を示すデータを外部メモリ20に記憶させることも可能である。この様な履歴が外部メモリ20に記憶される場合には、外部から起動トリガを入力することなく、図3のS110において、マイクロコンピュータ10によって自ら起動トリガを生成することが可能である。
【0042】
例えば、CPU11が、バックアップ処理の正常完了を示す履歴が外部メモリ20に記憶されていない場合に、図3のS110をYES判定として、バックアップ処理を自動的に起動することも可能である。これにより、設備機器1の配設時において、マイクロコンピュータ10に対する初回の電源投入時に起動されるスタートアップ処理の一環として、マイクロコンピュータ10内部で自動的にバックアップ処理の起動トリガを生成することができる。
【0043】
以上説明した様に、本実施の形態に係る設備機器によれば、外部メモリ20に対してプログラム書込装置を用いて制御プログラムを書込むことなく、内部メモリ15に記憶される制御プログラムを、外部メモリ20に記憶させることができる。この結果、内部メモリ15に書込まれた制御プログラムのバックアップを、効率的に外部メモリ20に格納することができる。
【0044】
更に、誤り検出符号の一致比較処理により、内部メモリ15に書き込まれた制御プログラム50と、外部メモリ20に格納されるバックアップ用の制御プログラムとの一致を確認することができる。尚、誤り検出符号の比較とは異なる他の手法によって、プログラム内の一致検証を実行することも可能である。
【0045】
尚、図3で例示した様に、ブロック単位で制御プログラムの外部メモリ20への書込処理を行う場合には、ブロック単位でデータ内容の一致検証を行う様にすることも可能である。このようにすると、プログラム領域全体で一致検証を行う場合と比較して、不一致の際の書込リトライを行う場合の対象範囲を最小限に抑えることができるので、書込処理時間の長期化を抑制できる。
【0046】
本実施の形態において、マイクロコンピュータ10のCPU11及び内部メモリ15は「制御部」及び「第1メモリ」の一実施例にそれぞれ対応し、外部メモリ20は「第2メモリ」の一実施例に対応する。
【0047】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
1 設備機器、5 制御基板、10 マイクロコンピュータ、15 内部メモリ、17 メモリ、20 外部メモリ、30 報知器、40,41 プログラム書込装置、50 制御プログラム、50x 誤り検出符号、51 ユーティリティプログラム、52 サポートプログラム、60 検査装置。
図1
図2
図3
図4
図5