(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170523
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】把持装置、及び、荷役装置
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20231124BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20231124BHJP
B65G 59/04 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B25J15/06 M
B65G47/90 A
B65G59/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082346
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢部 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】藤原 弘章
【テーマコード(参考)】
3C707
3F030
3F072
【Fターム(参考)】
3C707AS03
3C707DS02
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707JS02
3C707LV15
3C707MT08
3C707NS02
3F030AA04
3F030AB04
3F072AA06
3F072GA10
3F072GD05
3F072KD03
(57)【要約】
【課題】 上面把持及び側面把持による二面把持を行えるとともに、上面把持の際に側面把持部を退避させ得る把持装置を提供すること。
【解決手段】 実施形態によれば、把持装置は、基部、上面把持部、第1のアクチュエータ部、スライダ、第2のアクチュエータ部、及び、側面把持部を有する。上面把持部、第1のアクチュエータ部は、基部に設けられる。スライダは、第1のアクチュエータ部に接続され、第1のアクチュエータ部の動作により基部に対して第1の可動範囲を動く。第2のアクチュエータ部は、スライダに接続され、スライダに対して第2の可動範囲を動く。側面把持部は、スライダと接続する第1のリンクと、第2のアクチュエータ部と接続する第2のリンクとを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部に設けられる上面把持部と、
前記基部に設けられる第1のアクチュエータ部と、
前記第1のアクチュエータ部に接続され、前記第1のアクチュエータ部の動作により前記基部に対して第1の可動範囲を移動するスライダと、
前記スライダに接続され、前記スライダに対して第2の可動範囲を移動する第2のアクチュエータ部と、
前記スライダと接続する第1のリンクと、前記第2のアクチュエータ部と接続する第2のリンクとを有する側面把持部と、
を備える、把持装置。
【請求項2】
前記側面把持部は、前記第1のリンク及び前記第2のリンクと接続する側面把持部本体と、前記側面把持部本体に設けられる把持要素とを有し、
前記第1のリンク及び前記第2のリンクは、前記スライダ及び前記第1のリンクの第1の連結部と、前記第2のアクチュエータ部及び前記第2のリンクの第2の連結部との距離が調整されるときに前記側面把持部本体及び前記把持要素を上下方向に移動させ、前記側面把持部本体及び前記把持要素の下端を、前記上面把持部の下端よりも上方の位置と、前記上面把持部の下端よりも下方の位置との間で前記上下方向に移動させることが可能である長さを有する、請求項1に記載の把持装置。
【請求項3】
前記上面把持部は、把持要素として、負圧により吸着する複数の吸着パッドを有し、
前記上面把持部の前記下端は、前記複数の吸着パッドが最も縮んだ状態でのパッド面の位置である、請求項2に記載の把持装置。
【請求項4】
前記スライダの前記第1の可動範囲は、前記第1のアクチュエータ部の動作により前記基部に対して上下方向と交差する所定方向に沿って第1端と第2端との間の範囲である、請求項1に記載の把持装置。
【請求項5】
前記側面把持部は、前記第1のアクチュエータ部及び前記第2のアクチュエータ部の動作に応じて前記スライダの前記第1の可動範囲の前記第2端よりも前記第1端側で動作する、請求項4に記載の把持装置。
【請求項6】
前記第2のアクチュエータ部は、前記スライダの前記第1の可動範囲の前記第2端よりも前記第1端側に設けられ前記上下方向と交差する所定方向に沿って前記第2の可動範囲を動く、請求項4に記載の把持装置。
【請求項7】
前記第1のリンク及び前記第2のリンクは、前記基部に対して上下方向及び前記上下方向に交差し前記スライダが移動する所定方向に交差する方向から見て交差する、請求項1に記載の把持装置。
【請求項8】
前記側面把持部は、
前記第2のリンクに平行で、前記第2のアクチュエータ部に接続される第3のリンクと、
前記第1のリンクに平行で、前記スライダに接続される第4のリンクと
の少なくともどちらか一方をさらに有する、請求項1又は請求項2に記載の把持装置。
【請求項9】
前記第1のアクチュエータ部は、
第1のシリンダと、
前記第1のシリンダに対して直動し、前記スライダに突出端が支持又は固定される第1のロッドと、
を有する、請求項1又は請求項2に記載の把持装置。
【請求項10】
前記第2のアクチュエータ部は、
第2のシリンダと、
前記第2のシリンダに対して直動し、前記スライダに突出端が支持又は固定される第2のロッドと、
を有する、請求項1又は請求項2に記載の把持装置。
【請求項11】
前記第2のアクチュエータ部は、切替方式が3位置エキゾーストセンタタイプの電磁弁を有する空圧機器である、請求項10に記載の把持装置。
【請求項12】
請求項1に記載の把持装置と、
前記把持装置の移動を制御するとともに、前記第1のアクチュエータ部、前記第2のアクチュエータ部、前記上面把持部の把持/解放、及び、前記側面把持部の把持/解放をそれぞれ制御する制御部と
を有する、荷役装置。
【請求項13】
前記スライダの前記第1の可動範囲は、前記第1のアクチュエータ部の動作により前記基部に対して上下方向と交差する所定方向に沿って第1端と第2端との間の範囲であり、
前記制御部は、
前記把持装置の待機位置において、前記第1のアクチュエータ部により前記スライダを前記第1の可動範囲の前記第1端よりも前記第2端側に移動させるとともに、前記第2のアクチュエータ部により前記上面把持部の下端よりも前記側面把持部の少なくとも一部を下側に配置させ、
前記把持装置が前記待機位置から荷物の上面を把持するとき、前記第2のアクチュエータ部により前記第2のリンクを前記スライダの前記第1の可動範囲の前記第2端側から前記第1端側に離間させて前記上面把持部の下端よりも前記側面把持部の下端を上側に配置した後、又は、配置しながら、前記把持装置を移動させて前記上面把持部を前記荷物の上面に近づけて、前記上面把持部の下端よりも前記側面把持部の下端を上側に配置した後、前記荷物の上面を前記上面把持部で把持させる、
請求項12に記載の荷役装置。
【請求項14】
前記スライダの前記第1の可動範囲は、前記第1のアクチュエータ部の動作により前記基部に対して上下方向と交差する所定方向に沿って第1端と第2端との間の範囲であり、
前記制御部は、
前記把持装置の待機位置において、前記第1のアクチュエータ部により前記スライダを前記第1の可動範囲の前記第1端よりも前記第2端側に移動させるとともに、前記第2のアクチュエータ部により前記上面把持部の下端よりも前記側面把持部の少なくとも一部を下側に配置させ、
前記把持装置が前記待機位置から前記把持装置で上面把持及び側面把持により荷物の二面を把持するとき、前記把持装置を前記荷物に向かって下降させるときに前記第2のアクチュエータ部をフリー状態にし、前記上面把持部で前記荷物の上面を把持させた後、前記第1のアクチュエータ部により、前記スライダを前記第1の可動範囲の前記第2端側から前記第1端側に移動させて前記側面把持部を前記上面把持部に近づけて前記側面把持部で前記荷物の側面を把持させるとともに前記第2のアクチュエータ部により前記上面把持部に対し前記側面把持部を固定する、
請求項12に記載の荷役装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、把持装置、及び、荷役装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば略直方体状の荷物の上面を上面把持部で把持するとともに側面の1つを側面把持部で把持する二面把持、又は、荷物の上面を上面把持部で把持する上面把持(一面把持)により荷物を把持して移動させる把持装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、例えば上面把持及び側面把持による二面把持を行えるとともに、側面把持を行わず例えば上面把持による一面把持を行う際に側面把持部を退避させ得る把持装置、及び、荷役装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、把持装置は、基部と、上面把持部と、第1のアクチュエータ部と、スライダと、第2のアクチュエータ部と、側面把持部とを有する。上面把持部は、基部に設けられる。第1のアクチュエータ部は、基部に設けられる。スライダは、第1のアクチュエータ部に接続され、第1のアクチュエータ部の動作により基部に対して第1の可動範囲を動く。第2のアクチュエータ部は、スライダに接続され、スライダに対して第2の可動範囲を移動する。側面把持部は、スライダと接続する第1のリンクと、第2のアクチュエータ部と接続する第2のリンクとを有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る荷役システムの構成を示す概略図。
【
図2】
図1に示す荷役システムの荷役装置の概略的なブロック図。
【
図3】
図1に示す荷役システムの荷役装置の把持装置の概略図。
【
図4】
図3に示す把持装置の動作のタイミングチャート。
【
図5】規則積載された荷物群に対する待機位置での把持装置を示す概略図。
【
図9】不規則積載された荷物群に対する待機位置での把持装置を示す概略図。
【
図13】実施形態に係る荷役システムの荷役装置の把持装置の第1変形例を示す概略図。
【
図14】実施形態に係る荷役システムの荷役装置の把持装置の第2変形例を示す概略図。
【
図15】
図14中の符号XVで示す方向から見た把持装置を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1から
図12を用いて実施形態に係る荷役システム10について説明する。
【0008】
図1に示すように、実施形態に係る荷役システム10は、荷物群G(複数の荷物P1-Pn(nは自然数))が載置されたパレット等の載置部8から1つずつ又は同時に複数の荷物を取り出す荷役装置12と、取り出した荷物を所望の搬送先に搬送する第1のコンベア14とを有する。複数の荷物P1-Pn(以下、特定しない荷物に関しては、符号Pを付すことがある)が載置された載置部8は、フォークリフト等により、所定の位置に載置される。本実施形態では、荷役装置12の後述するカメラ(物品検出部)28の下方に配置されることが好適である。説明の簡略化のため、本実施形態では、複数の荷物P1-Pnは、それぞれ略直方体状であるとする。荷物P1-Pnは、例えば、水平又は略水平な上面と、上面に直交又は略直交する第1のコンベア14側の面とを有していれば、略直方体状でなくてもよい。
【0009】
荷役装置12は、載置部8が配置される位置と第1のコンベア14との間に配置される。荷役装置12は、第1のコンベア14の搬送方向に沿う一方の縁の近傍に配置される。
なお、第1のコンベア14は、例えばローラコンベア又はベルトコンベア等、適宜のものを用いることができる。
【0010】
ここで、載置部8から荷役装置12を介して第1のコンベア14へ向かう方向に平行な方向を前後方向(所定方向)とする。前後方向は、第1のコンベア14の搬送方向に例えば直交するなど交差する方向である。また、荷役装置12から載置部8に向かう方向を前方向(奥側)とし、荷役装置12から第1のコンベア14に向かう方向を後方向(手前側)とする。上下方向に直交し、かつ、前後方向に直交する方向を、荷役装置12の左右方向(幅方向)とする。
【0011】
荷役装置12は、筐体22と、把持装置24と、把持装置24用の移動装置26と、カメラ28と、第2のコンベア30と、第2のコンベア30用の移動装置32とを有する。
【0012】
筐体22は、枠体として形成される。筐体22には、把持装置24用の移動装置26、カメラ28、第2のコンベア30用の移動装置32、底面検出部34が設けられる。
【0013】
把持装置24用の移動装置26は、把持装置24を支持し、把持装置24を、例えば、前後方向、上下方向、及び、左右方向の所定範囲内に移動させる。把持装置24は、少なくとも前後方向及び上下方向に移動可能であればよい。
【0014】
カメラ28は、載置部8に載置された荷物群Gを例えば上側から撮影する。カメラ28は、荷物群Gのうち、上側に露出する荷物Pの1つ1つの輪郭を後述する制御部38により認識させるとともに、荷物群Gの荷物Pの1つ1つの上面の高さの違いを検出する。すなわち、カメラ28は、載置部8に載置される荷物Pを検出するセンサとして用いられる。カメラ28は、1つであっても複数であってもよい。
【0015】
カメラ28で検出した像データにより、制御部38は、規則積載、不規則積載を出力可能である。
ここで、規則積載とは、荷物群Gの各荷物Pの形状及び大きさが同一又は略同一で、例えば最上段に複数の荷物Pがあるとき、複数の荷物Pの上面の高さが揃っている場合をいう。また、不規則積載とは、荷物群Gの各荷物Pの形状及び大きさの少なくとも一部が異なっており、例えば最上段に複数の荷物Pがあるとき、複数の荷物Pの上面の高さが不揃いである場合をいう。
【0016】
規則積載である場合、各荷物Pの高さは略一定である。規則積載の場合、各荷物Pは、後方側の荷物Pを先に上面及び後方側の側面の二面把持により所定位置に移載し、その後、前方側の荷物Pを同様に二面把持して所定位置に移載する。このため、荷物Pを二面把持により移載するときに、荷物Pを傾けても、後方側に倒れる荷物Pがない。
【0017】
不規則積載である場合、制御部38は、各荷物Pの上面は認識できるが、荷物Pの高さを認識できていない。このため、ある荷物Pを移載する場合、荷物Pの高さが載置部8の載置面からの高さであると想定して物品の上面を上面把持し、側面を把持せずに荷物PPを持ち上げる必要がある。このため、荷物Pが不規則に積載されている場合、荷物Pを傾けず、また、荷物Pを引きずることなく、荷物Pを持ち上げて移載する。
なお、不規則積載において、把持して移載する荷物Pの手前側に、把持する荷物Pの底面よりも上面高さが高く、把持する荷物Pの上面よりも上面高さが低い荷物P1が存在すると仮定する。この場合、仮に、二面把持できたとしても、把持する荷物Pを手前側(後方側)に傾けたとき、手前側の荷物P1が傾いて手前側の荷物P1が手前側に倒れる可能性が生じる。
【0018】
したがって、規則積載の場合、本実施形態に係る荷役装置12は、後方側の荷物Pから二面把持により荷物Pを移載し、次に、前方側の荷物Pを移載する。なお、後方側の荷物Pを把持した後、下側の荷物Pを把持して移載してもよく、移載した荷物Pが配置されていた位置の右側又は左側の荷物Pを把持して移載してもよい。
【0019】
なお、不規則積載であっても、側面把持を行ってもよい場合がある。例えば、不規則積載において、把持する荷物Pの手前側に、把持する荷物Pの底面よりも上面高さが低い荷物P1が存在すると仮定する。この場合、二面把持した場合、把持する荷物Pを手前側(後方側)に傾けたとき、手前側の荷物P1が傾き難く、二面把持を行うことができる。
【0020】
なお、載置部8上の荷物群Gの各荷物Pの高さが揃っている場合を規則積載とし、各荷物Pの高さが不揃いである場合を不規則積載としてもよい。
【0021】
第2のコンベア30用の移動装置32は、第2のコンベア30を支持する。第2のコンベア30用の移動装置32は、第2のコンベア30を上下方向に移動させる。また、第2のコンベア30として、例えばベルトコンベアが用いられる。第2のコンベア30用の移動装置32は、第2のコンベア30の駆動部としても機能する。
【0022】
底面検出部34は、主に不規則積載の荷物Pを把持して移載するときに用いられる。例えば前方側の荷物Pを後方側の荷物Pよりも先に上面把持して持ち上げる際、把持した荷物Pの底面を、後方側の荷物Pの上面よりも上側に配置する必要がある。また、把持した荷物Pを、引きずって又は持ち上げて、第2のコンベア30に載置する際、把持した荷物Pの底面を、第2のコンベア30の上面よりも上側に配置する必要がある。このため、底面検出部34の検出結果に基づいて、把持装置24用の移動装置26及び第2のコンベア30用の移動装置32が駆動される。なお、底面検出部34は、例えば光学センサなどが用いられる。
【0023】
図2に示すように、荷役装置12は、制御部38を有する。制御部38は、把持装置24(後述する第1のアクチュエータ部50、第2のアクチュエータ部52、第1の負圧発生装置58、第2の負圧発生装置60)、把持装置24用の移動装置26、カメラ28、第2のコンベア30用の移動装置32、底面検出部34を制御する。ここでは説明の簡略化のため、第1のコンベア14用の駆動装置16も荷役装置12の制御部38で制御するものとして説明する。第1のコンベア14用の駆動装置16は、荷役装置12の制御部38とは異なる荷役システム10の制御部(図示せず)により制御してもよい。また、本実施形態では、荷役装置12が制御部38を有するものとして説明するが、荷役装置12が制御部38を有さず、荷役システム10が制御部38を有するものとしてもよい。
【0024】
制御部38は、例えばコンピュータである。制御部38は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ(集積回路であってもよい)と、メモリ、ストレージ等の記憶媒体とを備える。制御部38に設けられるプロセッサは、1つであってもよく、複数であってもよい。制御部38は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、各種の機能を発揮させる処理を実行する。
なお、制御部38の制御プログラムは、コンピュータのメモリ及び/又はストレージに記憶されておらず、適宜のサーバー上やクラウド上に置かれていることも好適である。この場合、制御プログラムは、通信インタフェースを介して例えば荷役装置12又は把持装置24が有するプロセッサと通信しながら実行される。すなわち、本実施形態に係る制御部38は、荷役装置12又は把持装置24が有していてもよく、荷役装置12又は把持装置24から離れた、荷役システム10のサーバーやクラウド上にあってもよい。
【0025】
次に、
図3に示す把持装置24について説明する。
図3に示すように、把持装置24は、基部42と、上面把持部44と、ガイド46と、第1のスライダ(第1のスライダブロック)48と、第1のアクチュエータ部50と、第2のアクチュエータ部52と、側面把持部54と、上面把持部44用の負圧発生装置(以下、第1の負圧発生装置という)58と、側面把持部54用の負圧発生装置(以下、第2の負圧発生装置という)60とを有する。本実施形態に係る把持装置24は、上面把持部44を用いて荷物Pの上面を把持するとともに側面把持部54を用いて荷物Pの側面の1つを把持する二面把持(二面把持モード)と、荷物Pの上面(一面)を上面把持部44を用いて把持する上面把持(上面把持モード)とを切り替えて用いることができる。
【0026】
基部42は、把持装置24用の移動装置26(
図1参照)に支持される。基部42は、把持装置24用の移動装置26に対して前方側に延びる。基部42は、把持装置24用の移動装置26により筐体22に対して前後、上下、左右のそれぞれの所定範囲を移動可能である。
【0027】
基部42は、上面42aと下面42bとを有する。上面42aは例えば上下方向の上方を向く。下面42bは例えば上下方向の下方を向く。基部42の下面42bには、上面把持部44が支持されている。
図3中、上面把持部44は基部42の下面42bに固定された状態で描いたが、基部42に対して適宜のガタツキをもって支持されることも好適である。すなわち、上面把持部44は基部42に対して適宜の範囲で揺動可能であってもよい。
なお、把持装置24を側方から見た
図3中、基部42の前方端は、上面42a及び下面42bに対して直交する略L字状であるように描いたが、適宜の形状に形成される。
【0028】
上面把持部44は、本体44aと、本体44aに設けられる把持要素としての複数の吸着パッド(吸着部)44bとを有する。複数の吸着パッド44bは前後方向及び左右方向に適宜の間隔に並べられる。複数の吸着パッド44bのパッド面(荷物Pの上面との接触面)44cは、下方に向けられている。
【0029】
各吸着パッド44bは例えば蛇腹等を有し、吸着方向(上下方向)に伸縮余地がある。本実施形態では、上面把持部44の下端の位置は、複数の吸着パッド44bの伸縮余地を考慮する。本実施形態では、複数の吸着パッド44bが最も伸びた状態でのパッド面44cの位置を上面把持部44の下端(以下、第1の下端と称することがある)とすることが好適である場合と、複数の吸着パッド44bが最も縮んだ状態でのパッド面44cの位置を、上面把持部44の下端(以下、第2の下端と称することがある)とすることが好適である場合がある。
【0030】
前者(第1の下端)は、例えば、把持装置24を移動させ、荷物Pを把持しに行く際の上面把持部44の下端の位置として用いられ得る。このように上面把持部44の下端を設定することにより、例えば水平方向に把持装置24を移動させる際に、複数の吸着パッド44bがある荷物Pの例えば側面に当たるか否かを推定できる。また、ある荷物Pを上面把持部44の吸着パッド44bで吸着する際に、パッド面44cと荷物Pの上面との接触状態を推定できる。
【0031】
後者(第2の下端)は、例えば、後述する一面把持(上面把持)を行う際に、側面把持部54の下端を、上面把持部44の下端よりも上方に配置する際の上面把持部44の下端の位置として用いられ得る。
【0032】
上面把持部44の複数の吸着パッド44bには、本体44aを介して第1の負圧発生装置58が接続されている。なお、本体44aと第1の負圧発生装置58とは、図示しないパイプにより接続されている。第1の負圧発生装置58により空気が吸引されている状態で荷物Pの上面で複数の吸着パッド44bが閉塞されることで真空引きされた吸着パッド44bの内部に負圧が生じ、この負圧により、荷物Pの上面を吸着可能となる。
【0033】
第1の負圧発生装置58及び第2の負圧発生装置60はそれぞれ、例えば圧縮空気源(例えばコンプレッサ)及びエジェクタであってもよい。この場合、圧縮空気源から圧縮空気を供給することで、複数の吸着パッド(吸着部)44b、及び、側面把持部54の後述する複数の吸着パッド54bの内部空間を負圧(真空圧)にする。このとき、上面把持部44用電磁弁(図示せず)及び側面把持部54用電磁弁(図示せず)は、圧縮空気源から上面把持部44及び側面把持部54の複数の吸着パッド54bへの流路の開/閉を切り替えることで、吸着把持力の有/無を切り替える。電磁弁がそれぞれ閉じた状態では、コンプレッサからそれぞれのエジェクタへの圧縮空気の供給が停止する。このため、上面把持部44の吸着パッド44b内、側面把持部54の吸着パッド54b内がそれぞれ大気に解放されている。電磁弁がそれぞれ開いた状態では、コンプレッサからそれぞれのエジェクタに圧縮空気が供給される。このため、上面把持部44の吸着パッド44b内、側面把持部54の吸着パッド54b内がそれぞれ負圧にされる。
また、第1の負圧発生装置58及び第2の負圧発生装置60はそれぞれ、真空ポンプや真空ブロアが用いられることも好適である。このように、吸着パッド44b,54bによる吸着させる手段は種々存在する。
【0034】
なお、複数の吸着パッド44bのうち、荷物Pの上面の大きさや荷物Pに対する吸着パッド44bの配置によっては、荷物Pの上面で閉塞される吸着パッド44bと荷物Pの上面で閉塞されない吸着パッド44bとが存在する場合がある。この場合であっても、荷物Pの上面は、上面把持部44で吸着把持され得る。これは、側面把持部54の複数の吸着パッド54bも同様である。すなわち、複数の吸着パッド54bのうち、荷物Pの1つの側面の大きさや荷物Pの1つの側面に対する吸着パッド54bの配置によっては、荷物Pの1つの側面で閉塞される吸着パッド54bと荷物Pの1つの側面で閉塞されない吸着パッド54bとが存在する場合がある。この場合であっても、荷物Pの1つの側面は、側面把持部54で吸着把持され得る。
【0035】
基部42の上面42a側には、ガイド46、第1のスライダ48、第1のアクチュエータ部50、第2のアクチュエータ部52が設けられる。
【0036】
ガイド46は、基部42の上面42aに前後方向に延びるリニアガイド(レール)として形成される。ガイド46は、基部42の上面42aに対して上方に突出する状態に固定され、前後方向に延びている。
【0037】
第1のスライダ48の移動方向は、上下方向に交差する方向である。本実施形態では、第1のスライダ48の移動方向は、水平方向又は略水平方向に沿う方向であり、ガイド46に沿い、前後方向に平行である。第1のスライダ48は、第1のアクチュエータ部50の動作により、基部42に対して第1の可動範囲である、前方端(第1端)と、後方端(第2端)との間を移動する。
【0038】
本実施形態では、把持装置24用の移動装置26の前方端は、第1のスライダ48の後方端よりも後方側にあるものとする。なお、把持装置24用の移動装置26の前方端は、第1のスライダ48に連結されるリンク部56の後述する第1のリンク56aに干渉しない位置であれば、第1のスライダ48の後方端よりも前方側にあってもよい。
【0039】
第1のアクチュエータ部50及び第2のアクチュエータ部52は、本実施形態では、上下に隣接する。第1のアクチュエータ部50及び第2のアクチュエータ部52は、本実施形態ではエアシリンダ(空圧機器)を用いる例について説明する。
【0040】
第1のアクチュエータ部50は、第1のシリンダ50aと、第1のロッド50bとを有する。第1のシリンダ50aの一端(前方端)は、基部42の例えば前方端に支持されている。第1のシリンダ50aの一端(前方端)は、基部42の前方端よりも後端側で例えば上面42aに支持されていてもよい。第1のロッド50bは、第1のシリンダ50aに対して直動する。第1のロッド50bの一端(最後方端の突出端)は、第1のスライダ48に支持又は固定されている。なお、第1のロッド50bの一端は、第1のシリンダ50aの他端(後方端)に対して伸長位置(可動範囲の後方端)と収縮位置(可動範囲の前方端)との間を移動する。
【0041】
第2のアクチュエータ部52は、第2のシリンダ52aと、第2のロッド52bと、第2のスライダ(第2のスライダブロック)52cとを有する。第2のシリンダ52aは、第2のスライダ52cに固定される。第2のスライダ52cの移動方向は、上下方向に交差する方向である。本実施形態では、第1のスライダ48の移動方向は、水平方向又は略水平方向に沿う方向であり、ガイド46に沿い、前後方向に平行である。第2のスライダ52cは、第1のスライダ48よりも前方側に配置される。第2のスライダ52cは、第2の可動範囲である、前方端(第1端よりも第2端側の第3端)と、後方端(第3端よりも後方側の第4端)との間を動く。すなわち、第2のアクチュエータ部52は、第1のスライダ48に接続され、第1のスライダ48に対して第2の可動範囲を移動する。第2のロッド52bは、第2のシリンダ52aに対して直動する。第1のロッド50b及び第2のロッド52bの移動方向は前後方向に平行である。第2のロッド52bの一端(最後方端の突出端)は、第1のロッド50bの一端と同様に、第1のスライダ48に支持又は固定されている。第2のシリンダ52aの一端(前方端)は、フリーである。
【0042】
なお、第2のロッド52bの一端は、第2のシリンダ52aの他端(後方端)に対して伸長位置と収縮位置との間を移動する。第2のアクチュエータ部52のエアシリンダは、切替方式が3位置エキゾーストセンタタイプの電磁弁を用いる例について説明する。すなわち、第2のアクチュエータ部52は、伸長位置からフリーに切り替えられると、第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bの一端(後方端)が自在に移動可能である。また、第2のアクチュエータ部52は、収縮位置からフリーに切り替えられると、第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bの一端(後方端)が自在に移動可能である。
【0043】
なお、第1のシリンダ50aに対して第1のロッド50bが収縮位置にあるとき、第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bの移動範囲は収縮位置に切り替えられる。
【0044】
側面把持部54は、上面把持部44に対して所定方向に離間する。本実施形態では、側面把持部54は、上面把持部44に対して後方側に離間する。側面把持部54は、本体(側面把持部本体)54aと、本体54aに設けられる複数の吸着パッド(吸着部)54bと、リンク部56とを有する。複数の吸着パッド54bは上下方向及び左右方向に適宜の間隔に並べられる。複数の吸着パッド54bのパッド面(荷物Pの側面との接触面)は、前方に向けられている。各吸着パッド54bは例えば蛇腹等を有し、吸着方向(前後方向)に伸縮余地がある。側面把持部54の複数の吸着パッド54bには、本体54aを介して第2の負圧発生装置60が接続されている。なお、本体54aと第2の負圧発生装置60とは、図示しないパイプにより接続されている。第2の負圧発生装置60により空気が吸引されている状態で荷物Pの側面で複数の吸着パッド54bが閉塞されることで真空引きされて吸着パッド54bの内部に負圧が生じ、この負圧により、荷物Pの側面を吸着可能となる。
【0045】
リンク部56は、第1のスライダ48の後方端(第2端)よりも前方端側(第1端側)で動作する。リンク部56は、第1のリンク56aと、第2のリンク56bと、第3のリンク56cとを有する。第1のリンク56a、第2のリンク56b、第3のリンク56cは、例えば適宜の剛性を有するロッド状又はシャフト状に形成される。第1のリンク56aは、第1のスライダ48と側面把持部54の本体54aとの間を第1-1の連結部(第1の連結部)61aで連結する。すなわち、第1のリンク56aは、第1のスライダ48と接続する。第1のリンク56aの一端(上端)の第1-1の連結部61aは、第1のスライダ48に対して回動可能に支持され、第1のリンク56aの他端(下端)の第1-2の連結部61bは、側面把持部54の本体54aに対して回動可能に支持される。第2のリンク56b及び第3のリンク56cは、第2のスライダ52c及び第2のシリンダ52aと側面把持部54の本体54aとの間をそれぞれ連結する。すなわち、第2のリンク56b及び第3のリンク56cは、第2のアクチュエータ部52と接続する。第2のリンク56bの一端(上端)の第2-1の連結部(第2の連結部)62aは、第2のスライダ52cに対して回動可能に支持され、第2のリンク56bの他端(下端)の第2-2の連結部62bは、側面把持部54の本体54aに対して回動可能に支持される。第3のリンク56cの一端(上端)の第3-1の連結部63aは、第2のスライダ52cに対して回動可能に支持され、第3のリンク56cの他端(下端)の第3-2の連結部63bは、側面把持部54の本体54aに対して回動可能に支持される。第2のリンク56b及び第3のリンク56cは、平行を維持する。このため、第2のリンク56b、第3のリンク56c、第2のスライダ52c、側面把持部54の本体54aは、平行リンク機構を構成する。なお、
図3に示すように、把持装置24を側方から見たとき、第1のリンク56a及び第2のリンク56bは、交差する。同様に、把持装置24を側方から見たとき、第1のリンク56a及び第3のリンク56cは、交差する。
【0046】
リンク部56は、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bを上下方向に移動させ、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を、上面把持部44の下端(複数の吸着パッド44bが最も縮んだ状態のパッド面44c)よりも上方の位置と、上面把持部44の下端よりも下方の位置との間で上下方向に移動させることが可能である。リンク部56は、パンタグラフ機構と同様に動作し得る。例えば、第1のスライダ48(第1-1の連結部61a)に対して第2のスライダ52c(第2-1の連結部62a及び第3-1の連結部63a)を前後方向に沿って近接させるとき、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの姿勢を維持しながら、側面把持部54を基部42の下面42bから下方に離れるように、基部42に対して下方に移動させる。また、例えば、第1のスライダ48(第1-1の連結部61a)に対して第2のスライダ52c(第2-1の連結部62a及び第3-1の連結部63a)を前後方向に沿って離隔させるとき、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの姿勢を維持しながら、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが基部42の下面42bに向かうように、基部42に対して上方に移動させる。
【0047】
また、リンク部56は、第1のスライダ48及び第2のスライダ52cと協働して、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bを上面把持部44に対して最も近づける位置と最も遠ざける位置との間で前後方向に移動させることが可能である。
【0048】
リンク部56の第1のリンク56a、第2のリンク56b及び第3のリンク56cの長さは、調整される。リンク部56の第1のリンク56a、第2のリンク56b及び第3のリンク56cは、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を、上面把持部44の下端よりも上方の位置と、上面把持部44の下端よりも下方の位置との間で上下方向に移動させることが可能である長さを有する。このとき、第1のスライダ48に対して第2のスライダ52cの第2の可動範囲により、例えば基部42に対して側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが当接しないようにリンク部56の第1のリンク56a、第2のリンク56b及び第3のリンク56cの長さが調整される。
【0049】
図示しないが、側面把持部54の本体54aの幅は、例えば、上面把持部44の本体44aの幅と同じかそれよりも小さい。また、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが上方に移動した状態で、前方から後方を見たとき、側面把持部54の本体54aの外側の縁は、例えば、上面把持部44により隠れるように、上面把持部44及び側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが形成される。
反対に、側面把持部54の本体54aの幅は、例えば、上面把持部44の本体44aの幅と同じかそれよりも大きくてもよい。この場合、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが上方に移動した状態で、前方から後方を見たとき、側面把持部54の本体54aの外側の縁は、例えば、上面把持部44により隠れない部分が生じる。
【0050】
本実施形態では、
図2に示す制御部38は、例えば以下の機能1から機能6を有する。
機能1は、載置部8上の移動させる荷物Pを決定する機能である。カメラ28は、例えば、載置部8上の荷物群Gの複数の荷物Pのそれぞれの上面の輪郭、高さ(水平方向の位置)を検出可能に構成される。このため、制御部38は、カメラ28で検出した荷物Pの像(検出データ)に基づいて、載置部8上の荷物Pのうち最上段の荷物Pが規則積載であるか、不規則積載であるか出力する。そして、制御部38は、載置部8上の最上段の荷物Pを把持して第1のコンベア14に搬送する順を決定し得る。
【0051】
機能2は、上面把持部44の吸着パッド44b、側面把持部54の吸着パッド54bが、決定された荷物Pを吸着する位置への移動を制御する機能である。機能2は、カメラ28で取得された情報に応じて、把持装置24用の移動装置26を制御する機能である。
機能3は、第1のアクチュエータ部50、第2のアクチュエータ部52を制御して、把持装置24の姿勢を変更する機能である。
【0052】
機能4は、第1の負圧発生装置58を制御して上面把持部44の吸着パッド44bにより荷物Pの上面を把持(吸引)/解放する機能である。
機能5は、第2の負圧発生装置60を制御して側面把持部54の吸着パッド54bにより荷物Pの側面を把持(吸引)/解放する機能である。
機能4及び機能5により、把持装置24用の移動装置26により荷物Pを第2のコンベア30上に載置すると、第1の負圧発生装置58及び第2の負圧発生装置60を制御して把持装置24による荷物Pの吸着を解除する。
【0053】
機能6は、把持装置24用の移動装置26を制御し、荷物Pを吸着した把持装置24を、載置部8に載置された他の荷物Pを回避しながら、第2のコンベア30上に移動させる機能である。
【0054】
次に、荷役システム10の動作について
図4から
図12を用いて説明する。
【0055】
図4は、荷物群Gの荷物が制御部38で規則積載と認識されたとき、及び、不規則積載と認識されたときの第1のアクチュエータ部50及び第2のアクチュエータ部52の動作を示すタイミングチャートを示す。
図5から
図8は、規則積載である荷物群Gから荷役装置12の把持装置24が符号P1-P4の順に荷物を把持して第2のコンベア30を介して第1のコンベア14に搬送する例である。規則積載である場合、例えば荷物P1,P2の順は入れ替え可能である。
図9から
図12は、不規則積載である荷物群Gから荷役装置12の把持装置24が符号P1-P5の順に荷物を把持して第2のコンベア30を介して第1のコンベア14に搬送する例である。不規則積載である場合、例えば荷物P1,P2の順は入れ替え可能である。また、例えば荷物P4,P5の順は入れ替え可能である。
【0056】
まず、把持装置24の基部42及び上面把持部44に対する側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bの位置関係、すなわち、把持装置24の姿勢について説明する。本実施形態では、上面把持部44の後方に側面把持部54が配置される関係が維持される。
【0057】
図5及び
図9に示す把持装置24の位置及び姿勢を把持装置24の待機位置(基本位置)とする。把持装置24が待機位置のとき、最上段の荷物Pの上面よりも上方に把持装置24の下端が位置する。把持装置24が待機位置のとき、上面把持部44の下端は第1の下端となる。把持装置24が待機位置のとき、上面把持部44の第1の下端よりも下側に側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端が位置するとともに、側面把持部54が把持装置24の最も後方(第1のコンベア14側)に位置する。このとき、第1のロッド50bは第1のシリンダ50aに対して例えば最も突出して伸長した状態を維持し、基部42と第1のスライダ48との位置関係が変化しない。また、待機位置において、第2のアクチュエータ部52の第2のロッド52bは、第2のシリンダ52aに対して例えば最も引き込まれ、収縮した状態を維持する。したがって、待機位置では、基部42と第1のスライダ48との位置関係、及び、基部42と第2のスライダ52cとの位置関係が変化しない。なお、側面把持部54の複数の吸着パッド54bのうち、最も上側の吸着パッド54bの上端は、上面把持部44の吸着パッド44bの下端と同じ水平位置か、それよりも下側に配置されることが好適である。ここでの水平位置は、例えば荷役装置12が固定又は載置される床面に平行である。
【0058】
図6に示す位置は、待機位置から後述する第1の把持位置に至る途中姿勢であり、荷物Pに対して二面把持を行う際に先に上面把持を行った姿勢である。
図7及び
図8に示す位置を第1の把持位置(第1の把持姿勢)とする。第1の把持位置は、上面把持部44及び側面把持部54の両方で1つの荷物P又は同時に複数の荷物Pを二面把持する位置である。このとき、第1のロッド50bは第1のシリンダ50aに対して待機位置(例えば最も突出して伸長した状態)から第1のロッド50bの突出量を小さくする。また、第2のアクチュエータ部52の第2のロッド52bは、第2のシリンダ52aに対して例えば最も引き込まれ、収縮した状態を維持する。したがって、第1のスライダ48及び第2のスライダ52cの位置関係は変化せず、第1のスライダ48及び第2のスライダ52cが基部42に対して前方に移動する。このため、第1のスライダ48及び第2のスライダ52cとリンク部56で連結された側面把持部54の基部42に対する上下方向の位置関係は変化せず、側面把持部54が基部42に対して前方に向かって移動する。
【0059】
図11及び
図12に示す位置を第2の把持位置(第2の把持姿勢)とする。第2の把持位置は、側面把持部54を用いず、上面把持部44で1つの荷物P又は同時に複数の荷物Pを把持する位置である。このとき、第1のロッド50bは第1のシリンダ50aに対して例えば最も突出して伸長した状態を維持する。第2のロッド52bは第2のシリンダ52aに対して例えば最も収縮した状態から第2のロッド52bの突出量を大きくし、例えば最も突出して伸長した状態とする。したがって、第1のスライダ48の位置は待機位置を維持し、第2のスライダ52cは、前方に移動する。このため、第1のスライダ48と第2のスライダ52cとが離間し、第1のスライダ48及び第2のスライダ52cとリンク部56で連結された側面把持部54の本体54aは、待機位置に対して基部42の下面42bに近づく。すなわち、側面把持部54の本体54aは、基部42の下面42bに向かって上方に移動する。そして、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端は、上面把持部44の下端よりも上側に配置される。なお、第2のスライダ52cの移動可能範囲は調整され、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bの例えば上部が基部42の下面42bに当接することは防止される。
【0060】
すなわち、リンク部56は、第1のアクチュエータ部50及び第2のアクチュエータ部52の動作に応じて第1のスライダ48の可動範囲の後方端(第2端)よりも前方端(第1端)側で動作する。そして、リンク部56は、第1のスライダ48及び第1のリンク56aの第1-1の連結部61aと、第2のアクチュエータ部52及び第2のリンク56bの第2-1の連結部62aとの距離が調整されるときに側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bを上下方向に移動させ、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を、上面把持部44の下端よりも上方の位置と、上面把持部44の下端よりも下方の位置との間で上下方向に移動させることができる。このとき、リンク部56の後方端は、第1のスライダ48の後方端よりも前方側にある。このため、把持装置24の姿勢を待機位置から第1の把持位置に移行させるとき、待機位置から第2の把持位置に移行させるときのいずれのときも、リンク部56と把持装置24の移動装置26とが干渉することが防止される。
【0061】
図4に示すチャートを用いて載置部8に規則積載された荷物Pのうち、最も上方で最も前方側の荷物P1を上面把持部44及び側面把持部54で二面把持する例について説明する。
【0062】
図5に示すように、まず、把持装置24は、荷役装置12の筐体22における待機位置にある。制御部38は、例えばカメラ28での認識結果に基づいて、規則積載であるか、不規則積載であるかを認識する。ここでは、制御部38は、荷物群Gが規則積載である、と出力すると仮定する。
【0063】
制御部38は、把持装置24の待機位置において、第1のアクチュエータ部50により第1のスライダ48を後方端(第2端)側に移動させるとともに、第2のアクチュエータ部52により上面把持部44の第1の下端よりも側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの少なくとも一部を下側に配置させる。
【0064】
図4、
図5及び
図6に示すように、制御部38は、把持装置24用の移動装置26を用いて、上面把持部44の第1の下端の吸着パッド44bを荷物P1の上面に向かって移動させる。具体的には、制御部38は、把持装置24を荷物P1の上面に向かって下降させる。なお、制御部38は、必要に応じて、把持装置24を左右方向及び前後方向にも移動させる。
【0065】
このとき、制御部38は、第2のアクチュエータ部52の第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bをフリー状態とする。仮に、例えばカメラ28が荷物Pの高さを誤検知するなどした場合、制御部38は、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bが荷物P1又は他の荷物Pに当接する制御を行うことが考えられる。このとき、第2のアクチュエータ部52の第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bがフリー状態であるため、第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bが当接に応じて伸長又は収縮し、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bは、当接に応じて前方又は後方に移動する。このとき、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bに設けられる図示しないセンサ(接触センサ)により、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bが荷物Pに意図せず接触したことを検出すると、制御部38は、把持装置24用の移動装置26を停止させる。このため、把持装置24は、例えば他の荷物Pと側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bとの間に無理な力が加えられることを抑制する。
【0066】
仮に、側面把持部54が荷物P1又は他の荷物Pに当接すると、側面把持部54は、例えば側面把持部54の本体54aを上下方向に仮想的に通る軸を回転軸として回転しようとする力が働く可能性がある。この場合であっても、第2のリンク56b及び第3のリンク56cが平行で、適宜の剛性を有するため、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが意図せず回転することが防止され、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの姿勢が維持される。
【0067】
図4及び
図6に示すように、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが荷物P1又は他の荷物Pに当接せず、上面把持部44の第1の下端の吸着パッド44bが荷物P1の上面に到達したとき、制御部38は、第1の負圧発生装置58を動作させて上面把持部44の吸着パッド44bで荷物P1の上面を吸着する。制御部38は、上面把持部44の吸着パッド44bで荷物P1の上面の吸着を行うとき、上面把持部44の下端を第1の下端が第2の下端に変化するように制御し、上面把持部44の吸着パッド44bが伸びた状態から縮んだ状態に変化する。
【0068】
また、上面把持部44の吸着パッド44bで荷物P1の上面の吸着を完了した後、又は、吸着中、
図4、
図6及び
図7に示すように、制御部38は、基部42に対して第1のアクチュエータ部50の第1のシリンダ50aに対して第1のロッド50bを収縮させる。このため、側面把持部54の吸着パッド54bが荷物Pの側面(後方側の側面)に到達する。そして、制御部38は、第2の負圧発生装置60を動作させて側面把持部54の吸着パッド54bで荷物P1の側面(後方側の側面)を吸着する。
【0069】
すなわち、制御部38は、第2のアクチュエータ部52の第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bを収縮状態に維持しながら、第1のアクチュエータ部50の第1のシリンダ50aに対して第1のロッド50bを伸長したり、収縮したりすることで、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの高さを維持しながら、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bを上面把持部44に対して近接又は離隔する方向(前後方向)に移動させることができる。このため、本実施形態に係る把持装置24は、側面把持部54を前後方向に移動させることができ、種々の大きさの荷物P1を把持することができる。
【0070】
このように、制御部38は、把持装置24が待機位置から把持装置24で上面把持及び側面把持により荷物P1の二面(上面及び側面)を把持するとき、把持装置24を荷物P1に向かって下降させるときに第2のアクチュエータ部52をフリー状態にし、上面把持部44で荷物P1の上面を把持させた後、第1のアクチュエータ部50により、第1のスライダ48を後方端(第2端)側から前方端(第1端)側に移動させて側面把持部54を上面把持部44に近づけて側面把持部54の吸着パッド54bで荷物P1の側面を把持させるとともに第2のアクチュエータ部52により上面把持部44に対し側面把持部54を相対的に固定する。
【0071】
図4及び
図7に示すように、上面把持部44の吸着パッド44bで荷物P1の上面を吸着し、かつ、側面把持部54の吸着パッド54bで荷物P1の側面(後方側の側面)を吸着した状態で、
図4、
図7及び
図8に示すように、制御部38は、把持装置24用の移動装置26を動作させる。制御部38は、把持装置24から第2のコンベア30に荷物P1を移載するとともに、第1の負圧発生装置58及び第2の負圧発生装置60による吸引を解除して荷物P1を第2のコンベア30上にリリースする。
【0072】
そして、
図4に示すように、制御部38は、把持装置24を待機位置に戻すように把持装置24用の移動装置26を動作させ、制御部38は、第2のコンベア30用の移動装置32を動作させ、第1のコンベア14に荷物P1を載せる。
【0073】
荷役装置12は、このような作業を繰り返し、載置部8上の荷物群Gから荷物P1-P4を順に第2のコンベア30を介して第1のコンベア14で所望の位置に移動させる。
【0074】
次に、載置部8に不規則積載された荷物Pのうち、最も上方に上面がある最も前方側の荷物P1を上面把持部44で上面把持する例について説明する。
【0075】
まず、把持装置24は、荷役装置12に対して待機位置にある。この状態から、制御部38は、第2のアクチュエータ部52の第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bを伸長させる。このため、上面把持部44の吸着パッド44bよりも側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端が上側に位置する。
【0076】
制御部38は、例えばカメラ28での認識結果に基づいて、把持装置24用の移動装置26を用いて、上面把持部44の第1の下端にパッド面44cを有する吸着パッド44bを荷物P1の上面に向かって移動させる。具体的には、把持装置24を荷物P1の上面に向かって下降させる。なお、制御部38は、必要に応じて、把持装置24を左右方向及び前後方向にも移動させる。
【0077】
上面把持部44の吸着パッド44bが荷物P1の上面に到達したとき、制御部38は、第1の負圧発生装置58を動作させて上面把持部44の吸着パッド44bで荷物P1の上面を吸着する。上面把持部44の吸着パッド44bで荷物P1の上面を吸着する際、上面把持部44の下端は第1の下端から第2の下端に変化する。
【0078】
このように、制御部38は、把持装置24が待機位置から荷物P1の上面を把持するとき、第2のアクチュエータ部52により第2のリンク56bを後方端(第2端)側から前方端(第1端)側に離間させて上面把持部44の第2の下端よりも側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を上側に配置した後、又は、配置しながら、把持装置24を移動させて上面把持部44を荷物P1の上面に近づけて、上面把持部44の第2の下端よりも側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を上側に配置した後、荷物P1の上面を上面把持部44で把持させる。
【0079】
上面把持部44の吸着パッド44bで荷物P1の上面を吸着した状態で、把持装置24用の移動装置26を動作させる。このとき、制御部38は、荷物P1の下端を、荷物P1よりも後方の荷物Pの上端よりも上側に移動させる。この状態で、制御部38は、把持装置24から第2のコンベア30に荷物P1を移載するとともに、第1の負圧発生装置58による吸引を解除して荷物P1を第2のコンベア30上にリリースする。
【0080】
そして、制御部38は、把持装置24を待機位置に戻すように把持装置24用の移動装置26を動作させる。
【0081】
なお、制御部38は、第2のコンベア30用の移動装置32を動作させ、第1のコンベア14に荷物P1を載せる。
【0082】
荷役装置12は、このような作業を繰り返し、載置部8上の荷物Pを順に第2のコンベア30に載せ、第1のコンベア14で所望の位置に移動させる。
【0083】
このため、本実施形態に係る荷役装置12は、不規則積載の荷物群Gの荷物P1-P5を、後方側から取るという制約が外れ、前方側の荷物P1から先に第2のコンベア30を介して第1のコンベア14に移載することができる。このため、荷物群Gが載置された載置部8を荷役装置12のカメラ28の下方に載置する向きの前後を反対にするなど、載置部8に載置される荷物Pの向きによる把持の可、不可による影響を抑制することができる。
【0084】
本実施形態では、把持装置24は、待機位置と第1の把持位置との間、待機位置と第2の把持位置との間をそれぞれ側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが移動するとき、側面把持部54の本体54aに連結されたリンク部56は、いずれの時間においても、第1のスライダ48の後方端よりも前方側に配置される。このため、把持装置24が荷物群Gに向かって移動するときに、リンク部56が把持装置24用の移動装置26に干渉することが防止され、移動装置26で把持装置24を所望の位置に動かし難くなることが防止される。このため、本実施形態により、移動装置26に向かって把持装置24から突出する部材が生ずること、すなわち、把持装置24と移動装置26との間の干渉の考慮を減らすことができ、より省スペースに把持装置24を形成することができる。
【0085】
また、本実施形態では、1つのガイド46上を第1のスライダ48及び第2のスライダ52cが移動する。すなわち、2つのアクチュエータ部50,52が同一のガイド46に沿って移動する。このため、把持装置24は、ガイド46の数を抑制して、軽量化することができる。
【0086】
なお、上面把持部44と側面把持部54とが待機位置の位置関係を維持すると仮定すると、
図9に示す不規則積載では上面把持部44の後方の側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bが邪魔になり荷物P2よりも先に荷物P1を取ることができない。本実施形態に係る荷役装置12の把持装置24は、待機位置から第1の把持位置、又は、待機位置から第2の把持位置に姿勢(把持方法)を切り替えて用いることができる。不規則積載である場合、荷物P1を先に取ることができる。このため、所望の荷物をより先に荷役装置12で把持して、第1のコンベア14に搬送することができる。
【0087】
本実施形態に係る把持装置24の後方端位置は、第1のスライダ48との位置関係で基部42及び/又はガイド46により規定される。例えば、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bを上下に移動させる場合であっても、把持装置24の後方端位置は、第1のスライダ48との位置関係で基部42及び/又はガイド46により規定される。このため、把持装置24用の移動装置26にリンク部56等が干渉することが防止される。
【0088】
本実施形態では、規則積載された荷物P1を二面把持する際、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bは上下方向の位置を移動させずに前後動する。また、不規則積載された荷物P1を上面把持する際、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端は上面把持部44の第2の下端よりも上方に位置する。このため、本実施形態に係る把持装置24は、荷物の配置により二面把持と上面把持とを切り替えて、所望の荷物P1を把持し、第2のコンベア30に荷物P1を移載することができる。
【0089】
また、上面把持を行う際、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端が上面把持部44の吸着パッド44bの第2の下端のパッド面44cよりも上方に退避することができる。このため、例えば把持装置24が前方に移動するとき、上面把持部44が物体に当接しないのであれば、側面把持部54も物体に当接することが防止される。
【0090】
なお、荷物群Gが規則積載であっても、各荷物Pの高さが低いなど、荷物Pの高さによっては、二面把持を行おうとするときに、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端が下側の段の荷物Pに当接する場合が考えられる。この場合、制御部38は、不規則積載の場合と同様に、第2のアクチュエータ部52を制御し、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を、上面把持部44の第2の下端よりも上方に移動させる。この制御により、荷物Pは、上面把持による一面把持により、第2のコンベア30に移載される。
【0091】
また、例えば待機位置において、カメラ28の誤検知等により、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bに荷物Pが接触する可能性がある。このとき、第2のアクチュエータ部52は、フリー状態にあるため、第2のスライダ52cは、第1のスライダ48に最も近接する位置と最も離間する位置との間を自在に移動可能である。このため、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bが荷物Pに当接したとき、第2のスライダ52cが第1のスライダ48に近づく、又は、遠ざかることにより、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bから物体(荷物)への影響、及び、物体(荷物)から側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bに与える衝突による力を緩衝する。
【0092】
本実施形態では、2つのアクチュエータ部50,52を使用する。このとき、2つのアクチュエータ部50,52は、同一レール上を移動するためガイド46の数を少なくすることができる。このため、荷役装置12は把持装置24を省スペースに形成でき、把持装置24全体を軽量化することができる。
【0093】
リンク部56の第2のリンク56b及び第3のリンク56cは、平行を維持する。このため、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが上下方向に延びる仮想的な軸の軸回りに回転することが防止され、側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bが所望の姿勢を維持することができる。
【0094】
図示しないが、把持装置24は、幅方向(左右方向)に2つなど、複数が並べられる構造であってもよい。この場合、複数の把持装置24は、複数が等距離離間した状態で維持されることも好適であり、複数の間隔が適宜の距離に離間するように構成されていてもよい。
【0095】
本実施形態では、基部42の上面42a側に、第1のアクチュエータ部50、第1のスライダ48、第2のアクチュエータ部52が配置される例について説明した。基部42の下面42b側に第1のアクチュエータ部50、第1のスライダ48、第2のアクチュエータ部52が配置されることも好適である。
【0096】
本実施形態では、荷役装置12の把持装置24として吸着による把持を例に説明した。把持装置24は、これに限定されず、吸着以外の手段により荷物を把持可能な装置であってもよい。
本実施形態では、上面把持部44として荷物Pの上面を吸着して把持する上面吸着部として用いる例について説明した。上面把持部44の把持要素として、例えば適宜のアームにより荷物Pの上面側のエッジ部分等を把持する構成であってもよい。この場合、上面把持部44の下端は、吸着パッド44bのように伸縮余地、すなわち、第1の下端、第2の下端を考慮することなく、アーム自体の下端とすることができる。同様に、本実施形態では、側面把持部54として荷物Pの側面を吸着して把持する側面吸着部として用いる例について説明した。側面把持部54として、例えば適宜のアームにより荷物Pの側面側のエッジ部分等を把持する構成であってもよい。
【0097】
本実施形態では、第1のアクチュエータ部50としてエアシリンダを用いる例について説明した。第1のアクチュエータ部50として、例えばモータとボールネジとの組み合わせなど、適宜のものを用いることができる。
【0098】
また、第2のアクチュエータ部52として、エアシリンダを用いる例について説明した。第2のアクチュエータ部52として、例えば第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bが伸長した位置、収縮した位置をそれぞれブレーキ機構で固定するように構成し、ブレーキ機構を解除し、伸長した位置と収縮した位置との間を自在に移動可能としてもよい。
この場合、第2のアクチュエータ部52は、第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bの位置を
図3、
図5、
図9に示す待機位置、
図7に示す第1の把持位置、
図11に示す第2の把持位置だけでなく、途中の位置で固定できる。途中の位置とは、
図3中に例えば二段に並んでいる側面把持部54の吸着パッド54bのうち、上側の吸着パッド54bが上面把持部44の吸着パッド44bのパッド面44cに交差する位置、又は、上側の吸着パッド54bが上面把持部44の吸着パッド44bのパッド面44cよりも上側に配置され、下側の吸着パッド54bが上面把持部44の吸着パッド44bのパッド面44cよりも下側に配置される位置である。例えば荷物Pに二面把持を行おうとするとき、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bの下端が下側の段の荷物Pに当接する場合、側面把持部54の本体54a及び/又は吸着パッド54bの下端の位置を途中の位置に調整した状態で固定することができる。このため、例えば、
図3中に二段に並んでいる側面把持部54の吸着パッド54bのうち、下側の吸着パッド54bを用いて、荷物Pを把持することができる。
【0099】
本実施形態では、ガイド46に沿って第1のスライダ48及び第2のスライダ52cが移動する例について説明した。第1のアクチュエータ部50の第1のシリンダ50aに対して第1のロッド50bの突出及び引き込み方向が前後方向に規定され、第2のアクチュエータ部52の第2のシリンダ52aに対して第2のロッド52bの突出及び引き込み方向が前後方向に規定されている場合、第1のスライダ48及び第2のスライダ52cは前後方向に動く。このため、ガイド46は、不要となり得る。
【0100】
本実施形態によれば、例えば上面把持及び側面把持による二面把持を行えるとともに、例えば上面把持による一面把持の際に側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を上面把持部44の下端(第2の下端)よりも上方に配置し得るなど、側面把持部54を退避させ得る把持装置24、及び、荷役装置12を提供することができる。
【0101】
(第1の変形例)
実施形態に係る荷役システム10の荷役装置12の把持装置24の第1の変形例について、
図13を用いて説明する。
【0102】
上述した実施形態(
図3参照)では、リンク部56の第2のリンク56b及び第3のリンク56cが平行であるとして説明した。リンク部56は、
図13に示すように形成されることも好適である。
図13に示すように、第3のリンク56cを用いる代わりに、第1のリンク56aに平行な第4のリンク56dを用いてもよい。第4のリンク56dの一端(上端)は、第1-1の連結部(第1の連結部)61aよりも後方側で第1のスライダ48に第4-1の連結部(第4の連結部)64aで連結され、他端(下端)は、第1-2の連結部61bと第2-2の連結部62bとの間で側面把持部54の本体54aに第4-2の連結部64bで連結される。すなわち、第4のリンク56dは、第1のスライダ48に接続される。
【0103】
なお、
図13に示すように、把持装置24の側方から見たとき、第1のリンク56a及び第2のリンク56bは、交差する。同様に、把持装置24の側方から見たとき、第2のリンク56b及び第4のリンク56dは、交差する。
【0104】
本変形例に係る把持装置24は、実施形態で説明した把持装置24と同様に動かすことができる。このため、ここでの荷役システム10の動作の説明を省略する。そして、リンク部56の後方端は、第1のスライダ48の後方端よりも前方側にある。このため、把持装置24の姿勢を待機位置から第1の把持位置に移行させるとき、待機位置から第2の把持位置に移行させるときのいずれのときも、リンク部56と把持装置24の移動装置26とが干渉することが防止される。
【0105】
本変形例によれば、例えば上面把持及び側面把持による二面把持を行えるとともに、例えば上面把持による一面把持の際に側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を上面把持部44の下端(第2の下端)よりも上方に配置し得るなど、側面把持部54を退避させ得る把持装置24、及び、荷役装置12を提供することができる。
【0106】
(第2の変形例)
実施形態に係る荷役システム10の荷役装置12の把持装置24の第2の変形例について、
図14及び
図15を用いて説明する。
図14は、第2変形例に係る把持装置24を、
図15に示すXIVで示す方向(前後方向及び上下方向に交差(直交)する側方)から見た概略的な側面図である。
図15は、
図14中の符号XVで示す方向(上方)から見た把持装置24を示す概略図である。
【0107】
本変形例では、把持装置24の基部42は、ブロック状ではなく、矩形枠状に形成されている。
【0108】
基部42の内側には、上面把持部44の本体44aが支持又は固定されている。上面把持部44の本体44aは、基部42の内側に対して適宜の範囲に揺動可能であることが好適である。
【0109】
把持装置24の基部42は、1対のガイド46a,46bを備える。1対のガイド46a,46bは、基部42の上面42aではなく、例えば左右方向の反対側を向く側面42c,42dにそれぞれ設けられる。把持装置24は、1対の第1のスライダ48a,48bを有する。第1のスライダ48a,48bは、例えば幅方向に延びるロッド状部材49により連結されている。なお、スライダ48aは、ガイド46aに沿って所定の可動範囲内をスライド可能であり、スライダ48bは、ガイド46bに沿って所定の可動範囲内をスライド可能である。
【0110】
把持装置24の第2のアクチュエータ部52は、1対の第2のスライダ53a,53bを有する。スライダ53aは、ガイド46aに沿ってスライダ48aの前方側の所定の可動範囲を移動可能である。スライダ53bは、ガイド46bに沿ってスライダ48bの前方側の所定の可動範囲を移動可能である。
【0111】
本変形例に係る把持装置24は、第1のアクチュエータ部50及び第2のアクチュエータ部52が左右方向にずれて配置される。
【0112】
第1のアクチュエータ部50の第1のロッド50bの一端(最後方端の突出端)は、ロッド状部材49に支持又は固定されている。第2のアクチュエータ部52の第2のロッド52bの一端(最後方端の突出端)は、ロッド状部材49に支持又は固定されている。
【0113】
図15に示すように、把持装置24を上側から見たとき、側面把持部54の本体54aの左右方向の幅は、基部42の左右方向の幅の範囲内である。
【0114】
把持装置24は1対のリンク部56を有する。スライダ48aの第1-1の連結部61aは、スライダ48aのうち、スライダ48b側で支持される。同様に、スライダ48bの第1-1の連結部61aは、スライダ48bのうち、スライダ48a側で支持される。
【0115】
本変形例に係る把持装置24は、実施形態で説明した把持装置24と同様に動かすことができる。このため、ここでの荷役システム10の動作の説明を省略する。そして、1対のリンク部56の後方端は、1対の第1のスライダ48a,48bの後方端よりも前方側にある。このため、把持装置24の姿勢を待機位置から第1の把持位置に移行させるとき、待機位置から第2の把持位置に移行させるときのいずれのときも、1対のリンク部56と把持装置24の移動装置26とが干渉することが防止される。
【0116】
本変形例によれば、例えば上面把持及び側面把持による二面把持を行えるとともに、例えば上面把持による一面把持の際に側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を上面把持部44の下端(第2の下端)よりも上方に配置し得るなど、側面把持部54を退避させ得る把持装置24、及び、荷役装置12を提供することができる。
【0117】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の把持装置24によれば、例えば上面把持及び側面把持による二面把持を行えるとともに、例えば上面把持による一面把持の際に側面把持部54の本体54a及び吸着パッド54bの下端を上面把持部44の下端(第2の下端)よりも上方に配置し得るなど、側面把持部54を退避させ得る把持装置24、及び、荷役装置12を提供することができる。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
10…荷役システム、12…荷役装置、14…第1のコンベア、22…筐体、24…把持装置、26…把持装置用移動装置、28…カメラ、30…第2のコンベア、32…第2のコンベア用移動装置、34…制御部、42…基部、42a…上面、42b…下面、44…上面把持部、44a…本体、44b…吸着パッド、46…ガイド、48…第1のスライダ、50…第1のアクチュエータ部、50a…第1のシリンダ、50b…第1のロッド、52…第2のアクチュエータ部、52a…第2のシリンダ、52b…第2のロッド、52c…第2のスライダ、54…側面把持部、54a…本体、54b…吸着パッド、56…リンク部、56a…第1のリンク、56b…第2のリンク、56c…第3のリンク、58…第1の負圧発生装置、60…第2の負圧発生装置、61a…第1-1の連結部、61b…第1-2の連結部、62a…第2-1の連結部、62b…第2-2の連結部、63a…第3-1の連結部、63b…第3-2の連結部。