IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フォスター電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-充電装置 図1
  • 特開-充電装置 図2
  • 特開-充電装置 図3
  • 特開-充電装置 図4
  • 特開-充電装置 図5
  • 特開-充電装置 図6
  • 特開-充電装置 図7
  • 特開-充電装置 図8
  • 特開-充電装置 図9
  • 特開-充電装置 図10
  • 特開-充電装置 図11
  • 特開-充電装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170567
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231124BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20231124BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20231124BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H04R1/10 104E
H01M10/44 Q
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082413
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000112565
【氏名又は名称】フォスター電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】京田 慧太
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 光
(72)【発明者】
【氏名】倉知 直希
【テーマコード(参考)】
5D005
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5D005BB02
5G503AA04
5G503AA08
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA01
5H030AS11
5H030AS18
5H030BB01
5H030FF21
(57)【要約】
【課題】電源に接続することなく搭載されたバッテリに充電を行うことができる充電装置を得る。
【解決手段】充電装置10は、電力を蓄えると共にイヤホン12に電力を供給するバッテリ18と、バッテリに接続された熱電発電素子20と、を備えている。熱電発電素子20は、高温部32A及び低温部34Aを有し、高温部32Aの温度と低温部34Aの温度とに差が生じることにより熱起電力が生じる熱電発電素子と、を備えている。これにより、電源に接続することなく搭載されたバッテリ18に充電を行うことができる
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を蓄えると共に充電対象に電力を供給するバッテリと、
前記バッテリに接続されていると共に高温部及び低温部を有し、前記高温部の温度と前記低温部の温度とに差が生じることにより熱起電力が生じる熱電発電素子と、
を備えた充電装置。
【請求項2】
前記低温部において前記高温部とは反対側の面には、赤外線を反射する遮熱膜が形成されている請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記充電対象が格納される箱部分と、
前記箱部分に対して変位することで前記箱部分を開閉する蓋部分と、
を備えている請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記熱電発電素子が前記蓋部分に設けられている請求項3に記載の充電装置。
【請求項5】
前記蓋部分の前記箱部分に対する変位に連動して、前記熱電発電素子が前記箱部分及び前記蓋部分に対して変位する請求項3に記載の充電装置。
【請求項6】
前記バッテリが前記箱部分に設けられている請求項4に記載の充電装置。
【請求項7】
前記高温部において前記低温部とは反対側には、透明のカバーが設けられている請求項1に記載の充電装置。
【請求項8】
前記蓋部分の少なくとも一部は、前記低温部から伝達された熱を放熱する放熱部となっている請求項4に記載の充電装置。
【請求項9】
前記低温部において前記高温部とは反対側には、前記低温部の熱を吸熱する吸熱部材が設けられている請求項6に記載の充電装置。
【請求項10】
前記低温部と前記吸熱部材との間には、空気の層が設けられている請求項9に記載の充電装置。
【請求項11】
前記充電対象はイヤホンとされ、
前記箱部分には、前記イヤホンが保持されるイヤホン保持部が設けられている請求項3に記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、バッテリ(充電池)の消耗を装着者の体温による熱電発電で補う補聴器が開示されている。この文献に記載された補聴器は、本体部と、本体部と一体に形成されていると共に装着者の外耳道に挿入されるイヤプラグ部と、を備えている。本体部からイヤプラグ部にかけての範囲部には、熱電変換部が設けられている。この熱電変換部は、イヤプラグ部の外周部に設けられた高温側シート部材と、本体部の外周部に設けられた低温側シート部材と、高温側シート部材と低温側シート部材と間に設けられた熱電素子アレイと、を含んで構成されている。そして、イヤプラグ部が装着者の外耳道に挿入されて、高温側シート部材と低温側シート部材との間に温度差が生じることで、バッテリを充電するための起電力を生じさせることが可能となっている。すなわち、電源に接続することなく補聴器に搭載されたバッテリに充電を行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5099436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事実を考慮し、電源に接続することなく搭載されたバッテリに充電を行うことができる充電装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様の充電装置は、電力を蓄えると共に充電対象に電力を供給するバッテリと、前記バッテリに接続されていると共に高温部及び低温部を有し、前記高温部の温度と前記低温部の温度とに差が生じることにより熱起電力が生じる熱電発電素子と、を備えている。
【0006】
第1の態様の充電装置によれば、バッテリに蓄えられた電力が充電対象に供給される。ここで、熱電発電素子の高温部の温度と低温部の温度とに差が生じると、熱起電力が生じる。これにより、バッテリの充電を行うことができる。このように、電源に接続することなく搭載されたバッテリに充電を行うことができる。
【0007】
第2の態様の充電装置は、第1の態様の充電装置において、前記低温部において前記高温部とは反対側の面には、赤外線を反射する遮熱膜が形成されている。
【0008】
第2の態様の充電装置によれば、低温部において高温部とは反対側の面には、赤外線を反射する遮熱膜が形成されている。これにより、赤外線を受けることに伴う低温部の温度上昇が抑制され、熱電発電素子の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0009】
第3の態様の充電装置は、第1の態様又は第2の態様の充電装置において、前記充電対象が格納される箱部分と、前記箱部分に対して変位することで前記箱部分を開閉する蓋部分と、を備えている。
【0010】
第3の態様の充電装置によれば、蓋部分を箱部分に対して変位させることで、箱部分を開閉することができる。これにより、充電対象を箱部分に格納する、或いは、充電対象を箱部分から取り出すことができる。
【0011】
第4の態様の充電装置は、第3の態様の充電装置において、前記熱電発電素子が前記蓋部分に設けられている。
【0012】
第4の態様の充電装置によれば、蓋部分を箱部分に対して変位させると、熱電発電素子が蓋部分と共に変位して、熱電発電素子のまわりの空気が入れ替わる。これにより、熱電発電素子の高温部の温度と低温部の温度との差が小さくなることが抑制され、熱電発電素子の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0013】
第5の態様の充電装置は、第3の態様又は第4の態様の充電装置において、前記蓋部分の前記箱部分に対する変位に連動して、前記熱電発電素子が前記箱部分及び前記蓋部分に対して変位する。
【0014】
第5の態様の充電装置によれば、蓋部分の箱部分に対する変位に連動して、熱電発電素子が箱部分及び蓋部分に対して変位する。これにより、熱電発電素子と当該熱電発電素子のまわりの空気との位置関係が変化する。その結果、熱電発電素子の高温部の温度と低温部の温度との差が小さくなることが抑制され、熱電発電素子の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0015】
第6の態様の充電装置は、第3の態様~第5の態様のいずれか1つの態様の充電装置において、前記バッテリが前記箱部分に設けられている。
【0016】
第6の態様の充電装置によれば、バッテリが箱部分に設けられている。これにより、バッテリが蓋部分に設けられている構成と比べて、蓋部分側の質量が増加することを抑制することができる。これにより、箱部分が蓋部分によって閉止されていない状態における充電装置の倒れを抑制することができる。
【0017】
第7の態様の充電装置は、第1の態様~第6の態様のいずれか1つの態様の充電装置において、前記高温部において前記低温部とは反対側には、透明のカバーが設けられている。
【0018】
第7の態様の充電装置によれば、高温部において低温部とは反対側には、透明のカバーが設けられている。これにより、透明のカバーを通過した光を高温部に当てることができる。また、充電装置の使用者が高温部に触れることを防止又は抑制することができる。
【0019】
第8の態様の充電装置は、第4の態様又は第5の態様の充電装置において、前記蓋部分の少なくとも一部は、前記低温部から伝達された熱を放熱する放熱部となっている。
【0020】
第8の態様の充電装置によれば、低温部の熱を蓋部分の放熱部から放熱することができる。これにより、低温部の温度上昇が抑制され、熱電発電素子の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0021】
第9の態様の充電装置は、第1の態様~第8の態様のいずれか1つの態様の充電装置において、前記低温部において前記高温部とは反対側には、前記低温部の熱を吸熱する吸熱部材が設けられている。
【0022】
第9の態様の充電装置によれば、低温部の熱が吸熱部材によって吸熱される。これにより、低温部の温度上昇が抑制され、熱電発電素子の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0023】
第10の態様の充電装置は、第9の態様の充電装置において、前記低温部と前記吸熱部材との間には、空気の層が設けられている。
【0024】
第10の態様の充電装置によれば、低温部と吸熱部材との間には、空気の層が設けられている。この空気の層を有することにより、バッテリ側の熱が吸熱部材を介して低温部側へ伝わることを抑制することができる。これにより、低温部の温度上昇が抑制され、熱電発電素子の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0025】
第11の態様の充電装置は、第3の態様~第6の態様のいずれか1つの態様の充電装置において、前記充電対象はイヤホンとされ、前記箱部分には、前記イヤホンが保持されるイヤホン保持部が設けられている。
【0026】
第11の態様の充電装置によれば、バッテリに蓄えられた電力が、箱部分のイヤホン保持部に保持されるイヤホンに供給される。また、イヤホンを箱部分に設けられたイヤホン保持部に保持した状態で、箱部分を蓋部分によって閉止することにより、イヤホンを充電装置に格納することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る充電装置は、電源に接続することなく搭載されたバッテリに充電を行うことができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1実施形態の充電装置及びイヤホンを示す斜視図である。
図2】熱電発電素子を模式的に示す模式図である。
図3】第2実施形態の充電装置を模式的に示す側面図であり、箱部分が開放されている状態を示している。
図4】回転部材を示す斜視図であり、スイッチ部が押されていない状態を示している。
図5】回転部材を示す斜視図であり、スイッチ部が押されて、回転部材本体が図4に示された位置から回転した状態を示している。
図6】回転部材本体が図5に示された位置まで回転した回転部材を示す斜視図であり、スイッチ部が押されていない状態を示している。
図7】回転部材を示す斜視図であり、スイッチ部が押されて、回転部材本体が図6に示された位置から回転した状態を示している。
図8】第2実施形態の充電装置を模式的に示す側面図であり、箱部分が蓋部分によって閉止されている状態を示している。
図9】第3実施形態の充電装置を模式的に示す側面図であり、箱部分が開放されている状態を示している。
図10】回転部材を示す斜視図であり、スイッチ部が押されていない状態を示している。
図11】回転部材を示す斜視図であり、スイッチ部が押されて、回転部材本体が図10に示された位置から回転した状態を示している。
図12】第3実施形態の充電装置を模式的に示す側面図であり、箱部分が蓋部分によって閉止されている状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係る充電装置10について説明する。なお、図中に示す矢印FR、矢印UP、矢印RH及び矢印LHは、充電装置10の前方側、上方側、右側及び左側をそれぞれ示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、充電装置10の前後、上下、左右の方向を示すものとする。
【0030】
図1に示されるように、本実施形態の充電装置10は、充電対象としてのイヤホン12の充電を行うために用いられるものである。なお、イヤホン12は、一例として、音響機器と無線通信で接続されるタイプのものであり、音を発生する振動部と、振動部に電力を供給するイヤホン側バッテリと、を含んで構成されている。
【0031】
充電装置10は、イヤホン12が格納される箱部分14と、箱部分14に対して変位することで箱部分14を開閉する蓋部分16と、を備えている。また、充電装置10は、電力を蓄えると共にイヤホン12に電力を供給するバッテリ18と、バッテリ18に接続された熱電発電素子20と、熱電発電素子20と隣り合って配置された吸熱部材22と、を備えている。
【0032】
箱部分14は、上方側が開放された矩形箱状に形成されている。この箱部分14は、上下方向を厚み方向とすると共に上方側から見て矩形状に形成された底壁部14Aを備えている。また、箱部分14は、底壁部14Aの左側の端部、右側の端部、前側の端部及び後側の端部からそれぞれ上方側へ向けて延びる周壁部14Bを備えている。底壁部14A及び周壁部14Bを有することにより、箱部分14の内部の空間は直方体状の空間となっている。
【0033】
箱部分14の内部の空間における底壁部14A側(下方側)は、バッテリ18が格納されるバッテリ格納部24となっている。また、箱部分14の内部の空間における底壁部14Aとは反対側(上方側)には、イヤホン12が保持されるイヤホン保持部材26が設けられている。このイヤホン保持部材26は、箱部分14の周壁部14Bに固定されている。イヤホン保持部材26は、上方側から見て矩形状に形成されている。このイヤホン保持部材26における前後方向の中央部には、下方側へ向けて窪んでいる2つのイヤホン保持部26Aが形成されている。2つのイヤホン保持部26Aは左右方向に間隔をあけて配置されている。イヤホン保持部26A内には、図示しない電極が設けられている。そして、イヤホン12がイヤホン保持部26Aに保持されることで、イヤホン保持部26A内に設けられた電極とイヤホン12側に設けられた電極とが接触して、バッテリ18からイヤホン12へ電力が供給されるようになっている。すなわち、イヤホン12のイヤホン側バッテリの充電がなされるようになっている。なお、図1においては、底壁部14Aの後側の端部から上方側へ向けて延びる周壁部14Bの図示を省略している。また、図1においては、蓋部分16及び当該蓋部分16側に設けられた各部材の一部を左右方向に沿って切断した状態で示している。
【0034】
蓋部分16は、矩形枠状に形成された放熱部としての蓋部分本体28と、蓋部分本体28に取り付けられた透明のカバー30と、を含んで構成されている。蓋部分本体28における箱部分14側及び箱部分14とは反対側は、それぞれ開放されている。また、蓋部分本体28の内部の空間は、直方体状の空間となっている。蓋部分本体28の内部の空間における箱部分14とは反対側には、透明のカバー30が設けられている。この透明のカバー30が蓋部分本体28に固定されることで、蓋部分本体28における箱部分14とは反対側が塞がれるようになっている。なお、本実施形態の透明のカバー30は、無色透明のガラスや樹脂材料等を用いて形成されている。また、蓋部分本体28の内部の空間における箱部分14側には、後述する熱電発電素子20及び吸熱部材22が設けられるようになっている。
【0035】
また、蓋部分本体28の前端部と箱部分14の周壁部14Bの前端部とは、図示しないヒンジ部材を介して連結されている。これにより、蓋部分16を箱部分14に対して変位(傾動)させることが可能となっている。その結果、箱部分14を蓋部分16によって開閉することが可能となっている。
【0036】
バッテリ18は、左右方向及び前後方向への寸法に対して上下方向への寸法が小さく設定された直方体状に形成されている。このバッテリ18は、箱部分14のバッテリ格納部24に格納された状態で底壁部14Aに固定されている。
【0037】
図2に示されるように、熱電発電素子20は、電極32、34間がP型半導体36及びN型半導体38でつながれたペルチェ素子である。一方の電極32は、矩形板状に形成された高温部32Aとなっており、他方の電極34は、矩形板状に形成された低温部34Aとなっている。そして、高温部32Aの温度と低温部34Aの温度とに差が生じることにより熱起電力Vが生じるようになっている。この熱電発電素子20は、バッテリ18に接続されている。
【0038】
また、低温部34Aにおいて高温部32Aとは反対側の面には、赤外線を反射する遮熱膜40が形成されている。この遮熱膜40は、遮熱塗料や遮光塗料と呼ばれる塗料が低温部34Aに塗布されることにより形成されている。
【0039】
図1及び図2に示されるように、以上説明した熱電発電素子20は、蓋部分本体28の内部に配置された状態で当該蓋部分本体28に固定されている。熱電発電素子20が蓋部分本体28に固定された状態では、熱電発電素子20の高温部32Aが透明のカバー30と近接して配置されている。なお、高温部32Aとカバー30との間には、空気の層を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0040】
吸熱部材22は、その内部に水や高吸水性樹脂が内包された保冷剤であり、直方体状に形成されている。この吸熱部材22は、蓋部分本体28の内部かつ熱電発電素子20に対して箱部分14側に配置された状態で蓋部分本体28に固定されている。また、吸熱部材22が蓋部分本体28に固定された状態では、低温部34Aが吸熱部材22と対向して配置されていると共に、低温部34Aと吸熱部材22とが定められた間隔をあけて配置されている。これにより、低温部34Aと吸熱部材22との間には、空気の層42が設けられている。なお、低温部34Aと吸熱部材22との間には、空気の層を設けてもよいし、設けなくてもよい。また、本実施形態では、吸熱部材22と蓋部分本体28とは接続されている。なお、吸熱部材22とイヤホン保持部材26との間には、空気の層を設けてもよいし、設けなくてもよい。
【0041】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0042】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の充電装置10では、例えば、蓋部分16に太陽光を当てると、透明のカバー30を透過した太陽光が熱電発電素子20の高温部32Aに当たる。これにより、高温部32Aの温度が上昇して、高温部32Aの温度と低温部34Aの温度とに差が生じる。その結果、熱起電力Vが生じて、電力がバッテリ18に蓄えられる。このように、本実施形態の充電装置10では、電源に接続することなく搭載されたバッテリ18に充電を行うことができる。なお、蓋部分16の箱部分14に対する姿勢を調節することにより、熱電発電素子20の高温部32Aを太陽側へ向けるようにしてもよい。また、図示しないミラー等を用いて、太陽光を熱電発電素子20の高温部32A側へ導いてもよい。
【0043】
ここで、イヤホン12がイヤホン保持部26Aに保持された状態では、バッテリ18からイヤホン12へ電力が供給されて、イヤホン12のイヤホン側バッテリの充電がなされる。このように、本実施形態の充電装置10では、イヤホン12の充電を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態の充電装置10の熱電発電素子20では、低温部34Aにおいて高温部32Aとは反対側の面には、赤外線を反射する遮熱膜40が形成されている。これにより、赤外線を受けることに伴う低温部34Aの温度上昇が抑制され、熱電発電素子20の熱起電力が低下することを抑制することができる。なお、遮熱膜40を低温部34Aに形成するか否かについては、充電装置10に求められる充電性能等を考慮して適宜設定すればよい。
【0045】
また、本実施形態の充電装置10では、蓋部分16を箱部分14に対して変位させることで、箱部分14を開閉することができる。これにより、イヤホン12を箱部分14に格納する、或いは、イヤホン12を箱部分14から取り出すことができる。
【0046】
また、本実施形態の充電装置10では、蓋部分16を箱部分14に対して変位させると、熱電発電素子20が蓋部分16と共に変位して、熱電発電素子20のまわりの空気が入れ替わる。これにより、熱電発電素子20の高温部32Aの温度と低温部34Aの温度との差が小さくなることが抑制され、熱電発電素子20の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態の充電装置10によれば、バッテリ18が箱部分14に設けられている。これにより、バッテリ18が蓋部分16に設けられている構成と比べて、蓋部分16側の質量が増加することを抑制することができる。これにより、箱部分14が蓋部分16によって閉止されていない状態(箱部分14が開放されている状態)における充電装置10の倒れを抑制することができる。なお、バッテリ18を設ける位置は、充電装置10の構成や各部の重量バランス等を考慮して適宜設定すればよい。
【0048】
また、本実施形態の充電装置10では、熱電発電素子20の高温部32Aが透明のカバー30と近接して配置された構成となっている。換言すると、熱電発電素子20の高温部32Aにおいて低温部34Aとは反対側には、高温部32Aを覆う透明のカバー30が設けられた構成となっている。これにより、充電装置10の使用者が高温部32Aに触れることを防止又は抑制することができる。なお、充電装置10の使用者が高温部32Aに触れたとしても問題がない場合においては、透明のカバー30を設けなくてもよい。すなわち、高温部32Aを蓋部分16の外側に露出させた構成としてもよい。
【0049】
また、本実施形態の充電装置10では、蓋部分16の蓋部分本体28が、熱電発電素子20の低温部34Aから伝達された熱を放熱する放熱部となっている。これにより、低温部34Aの熱を蓋部分本体28から放熱することができる。その結果、低温部34Aの温度上昇が抑制され、熱電発電素子20の熱起電力が低下することを抑制することができる。なお、蓋部分本体28の放熱能力を高めるために、蓋部分本体28における熱電発電素子20とは反対側を凸凹形状に形成してもよいし、蓋部分本体28にリブを設けてもよい。また、蓋部分16の全体が放熱部として機能するようにしてもよい。
【0050】
また、本実施形態の充電装置10では、熱電発電素子20の低温部34Aにおいて高温部32Aとは反対側には、低温部34Aの熱を吸熱する吸熱部材22が設けられている。これにより、低温部34Aの熱が吸熱部材22によって吸熱される。その結果、低温部34Aの温度上昇が抑制され、熱電発電素子20の熱起電力が低下することを抑制することができる。これに加えて、本実施形態の充電装置10では、熱電発電素子20の低温部34Aと吸熱部材22との間には、空気の層42が設けられている。この空気の層42を有することにより、バッテリ18側の熱が吸熱部材22を介して低温部34A側へ伝わることを抑制することができる。これにより、低温部34Aの温度上昇が抑制され、熱電発電素子20の熱起電力が低下することを抑制することができる。また、この空気の層42によって、熱電発電素子20の熱がバッテリ18に伝わることを抑制することができる。
【0051】
(第2実施形態)
次に、図3図8を用いて、本発明の第2実施形態に係る充電装置44について説明する。なお、第2実施形態の充電装置44において、前述の第1実施形態の充電装置10と対応する部材及び部分には、第1実施形態の充電装置10と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0052】
図3に示されるように、本実施形態の充電装置44は、蓋部分16の箱部分14に対する変位に連動して、熱電発電素子20を箱部分14及び蓋部分16に対して回転変位させる回転部材46を備えていることに特徴がある。
【0053】
本実施形態の充電装置44では、熱電発電素子20が蓋部分16に回転可能に支持されている。また、熱電発電素子20には、回転部材46が取付けられている。回転部材46は、熱電発電素子20に対して、正面視で中央に設けてもよいし、偏心させて設けてもよい。
【0054】
図4及び図5に示されるように、回転部材46は、円柱状に形成された回転部材本体48と、回転部材本体48よりも小径の円柱状に形成されていると共に回転部材本体48に支持されたスイッチ部50と、を含んで構成されている。スイッチ部50は、回転部材本体48の軸芯部から当該回転部材本体48の軸方向一方側へ突出するように設けられている。このスイッチ部50を回転部材本体48側へ押し込むと、回転部材本体48がスイッチ部50に対して所定の角度だけ回転するようになっている。なお、回転部材本体48の内部には、スイッチ部50を回転部材本体48側へ押し込むことで回転部材本体48をスイッチ部50に対して所定の角度だけ回転させる公知の回転機構が設けられている。
【0055】
一例として、本実施形態では、図4に示された状態からスイッチ部50を回転部材本体48側へ押し込むと、図5に示されるように、回転部材本体48がスイッチ部50に対して90°回転する。なお、回転部材本体48のスイッチ部50に対する動きを分かり易くするために、回転部材本体48の一部に二点鎖線を付している。
【0056】
図6に示されるように、スイッチ部50を回転部材本体48側へもう一度押し込むと、図7に示されるように、回転部材本体48がスイッチ部50に対して90°回転する。このように、本実施形態の回転部材46では、スイッチ部50を回転部材本体48側へ押し込む毎に回転部材本体48をスイッチ部50に対して90°回転させることができる。
【0057】
図3に示されるように、回転部材本体48におけるスイッチ部50とは反対側の面は、熱電発電素子20に接合されている。そして、蓋部分16が箱部分14を開放している状態では、スイッチ部50が蓋部分16から箱部分14側へ突出している。なお、回転部材本体48は、吸熱部材22に挿通されている。
【0058】
図8に示されるように、蓋部分16が箱部分14を閉止する位置まで当該蓋部分16を変位させると、スイッチ部50が箱部分14に接触すると共にスイッチ部50が回転部材本体48側へ押し込まれる。これにより、熱電発電素子20が箱部分14及び蓋部分16に対して回転変位して、熱電発電素子20と当該熱電発電素子20のまわりの空気との位置関係が変化する。その結果、熱電発電素子20の高温部32Aの温度と低温部34Aの温度との差が小さくなることが抑制され、熱電発電素子20の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0059】
(第3実施形態)
次に、図9図12を用いて、本発明の第3実施形態に係る充電装置52について説明する。なお、第3実施形態の充電装置52において、前述の第1実施形態の充電装置10及び第2実施形態の充電装置44と対応する部材及び部分には、第1実施形態の充電装置10及び第2実施形態の充電装置44と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0060】
図9に示されるように、本実施形態の充電装置52は、蓋部分16の箱部分14に対する変位に連動して、熱電発電素子20が箱部分14及び蓋部分16に対して回転変位すると共に、吸熱部材22が箱部分14及び蓋部分16に対して熱電発電素子20とは反対側へ回転変位することに特徴がある。吸熱部材22は、熱電発電素子20と同様に蓋部分16に回転可能に支持されている。
【0061】
図10に示されるように、本実施形態の回転部材46では、回転部材本体48が当該回転部材本体48の軸方向に二分割構造となっている。ここで、分割された回転部材本体48の一方を第1回転部材本体48Aと呼び、分割された回転部材本体48の他方を第2回転部材本体48Bと呼ぶことにする。そして、図11に示されるように、スイッチ部50を回転部材本体48側へ押し込むと、第1回転部材本体48Aがスイッチ部50に対して一方側へ回転変位すると共に、第2回転部材本体48Bがスイッチ部50に対して他方側(第1回転部材本体48Aとは反対側)へ回転変位する。本実施形態では、第1回転部材本体48Aが熱電発電素子20に接合されている。また、第2回転部材本体48Bが吸熱部材22に接合されている。
【0062】
そして、図12に示されるように、蓋部分16が箱部分14を閉止する位置まで当該蓋部分16を変位させると、スイッチ部50が箱部分14に接触すると共にスイッチ部50が回転部材本体48側へ押し込まれる。これにより、熱電発電素子20が箱部分14及び蓋部分16に対して一方側へ回転変位すると共に、吸熱部材22が箱部分14及び蓋部分16に対して他方側へ回転変位して、熱電発電素子20と当該熱電発電素子20のまわりの空気との位置関係が変化する。また、熱電発電素子20と吸熱部材22との位置関係が変化する。その結果、熱電発電素子20の高温部32Aの温度と低温部34Aの温度との差が小さくなることが抑制され、熱電発電素子20の熱起電力が低下することを抑制することができる。
【0063】
なお、以上説明した第2実施形態及び第2実施形態では、熱電発電素子20や吸熱部材22を箱部分14及び蓋部分16に対して回転変位させた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、熱電発電素子20や吸熱部材22を箱部分14及び蓋部分16に対して往復移動(スライド)するようにしてもよい。
【0064】
また、以上説明した各実施形態では、吸熱部材22を設けた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。吸熱部材22を設けるか否かについては、充電装置10、44、52に求められる充電性能等を考慮して適宜設定すればよい。
【0065】
また、以上説明した各実施形態では、箱部分14と当該蓋部分16を開閉する箱部分14を有する構成とした例について説明したが、本発明はこれに限定されない。充電装置10、44、52の筐体の構成は、充電対象の構成等を考慮して適宜設定すればよい。
【0066】
また、以上説明した各充電装置10、44、52の構成は、イヤホン12以外の充電対象の充電を行うための充電装置にも適用することができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 充電装置
12 イヤホン(充電対象)
14 箱部分
16 蓋部分
18 バッテリ
20 熱電発電素子
22 吸熱部材
26A イヤホン保持部
28 蓋部分本体(放熱部)
30 透明のカバー
32A 高温部
34A 低温部
40 遮熱膜
42 空気の層
44 充電装置
52 充電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12