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特開2023-170574コンクリート柱たわみ量測定装置、コンクリート柱たわみ量測定方法およびプログラム
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  • 特開-コンクリート柱たわみ量測定装置、コンクリート柱たわみ量測定方法およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170574
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】コンクリート柱たわみ量測定装置、コンクリート柱たわみ量測定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/16 20060101AFI20231124BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01B11/16 H
H02G1/02
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082425
(22)【出願日】2022-05-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-02-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(72)【発明者】
【氏名】松野 直也
【テーマコード(参考)】
2F065
5G352
【Fターム(参考)】
2F065AA65
2F065CC14
2F065DD03
2F065FF01
2F065FF04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ17
2F065QQ21
2F065QQ31
5G352AM02
(57)【要約】
【課題】電柱の管理および保守点検を容易に行うことが可能なコンクリート柱たわみ量測定装置、コンクリート柱たわみ量測定方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】コンクリート柱たわみ量測定装置は、コンクリート柱の画像を縦方向より横方向の拡大倍率を上げて拡大し、コンクリート柱におけるユーザに指定された3部分の座標を受け付ける。そして受け付けた3部分からなる三角形の外接円に基づいてコンクリート柱のたわみ量を算出し、たわみ量を出力する。これによれば、肉眼や写真から判定することが困難であるコンクリート柱のたわみ量を容易に算出でき、電柱の管理および保守点検を容易に行うことができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート柱の画像を縦方向より横方向の拡大倍率を上げて拡大する画像処理手段と、
前記画像処理手段で拡大されたコンクリート柱の画像のうち、前記コンクリート柱におけるユーザに指定された3部分の座標を受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受け付けた3部分からなる三角形の外接円に基づいて前記コンクリート柱のたわみ量を算出するたわみ量算出手段と、
前記たわみ量算出手段で算出したたわみ量を出力する出力手段と、
を備えるコンクリート柱たわみ量測定装置。
【請求項2】
前記3部分は、前記外接円の弧が前記コンクリート柱の傾斜と重なるように前記ユーザにより指定される、
請求項1に記載のコンクリート柱たわみ量測定装置。
【請求項3】
前記たわみ量算出手段で算出した前記コンクリート柱のたわみ量と、予め記憶された、たわみ量と推定荷重との比率を示す比率情報と、に基づいて前記コンクリート柱にかかる推定荷重を算出する推定荷重算出手段と、をさらに備え、
前記出力手段は、前記推定荷重算出手段で算出した推定荷重をさらに出力する、
請求項1または2に記載のコンクリート柱たわみ量測定装置。
【請求項4】
前記たわみ量算出手段は、前記外接円の半径に基づいて前記コンクリート柱の画像上のたわみ量を算出し、算出した前記画像上のたわみ量と、前記コンクリート柱の地上高と前記三角形の一辺の長さとの比率と、から前記たわみ量を算出する、
請求項1または2に記載のコンクリート柱たわみ量測定装置。
【請求項5】
コンクリート柱たわみ量測定装置によるコンクリート柱たわみ量測定方法であって、
コンクリート柱の画像を縦方向より横方向の拡大倍率を上げて拡大する画像処理ステップと、
前記画像処理ステップで拡大されたコンクリート柱の画像のうち、前記コンクリート柱におけるユーザに指定された3部分の座標を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けた3部分からなる三角形の外接円に基づいて前記コンクリート柱のたわみ量を算出するたわみ量算出ステップと、
前記たわみ量算出ステップで算出したたわみ量を出力する出力ステップと、
を備えるコンクリート柱たわみ量測定方法。
【請求項6】
コンピュータを、
コンクリート柱の画像を縦方向より横方向の拡大倍率を上げて拡大する画像処理手段、
前記画像処理手段で拡大されたコンクリート柱の画像のうち、前記コンクリート柱におけるユーザに指定された3部分の座標を受け付ける受付手段、
前記受付手段で受け付けた3部分からなる三角形の外接円に基づいて前記コンクリート柱のたわみ量を算出するたわみ量算出手段、
前記たわみ量算出手段で算出したたわみ量を出力する出力手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート柱たわみ量測定装置、コンクリート柱たわみ量測定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電柱の管理及び保守点検を容易にするための様々な工夫が行われている。例えば、特許文献1には、測定された実たわみ量に基づいて、その地域全体(配電系統)の全電柱の荷重を推定して電柱の管理および保守点検に役立てる電柱ストレス管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-279202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の電柱ストレス管理システムでは、電柱のたわみ量を実測した上で電柱の荷重を推定することから、電柱の管理および保守点検を容易に行うという観点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、電柱の管理および保守点検を容易に行うことが可能なコンクリート柱たわみ量測定装置、コンクリート柱たわみ量測定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るコンクリート柱たわみ量測定装置は、
コンクリート柱の画像を縦方向より横方向の拡大倍率を上げて拡大する画像処理手段と、
前記画像処理手段で拡大されたコンクリート柱の画像のうち、前記コンクリート柱におけるユーザに指定された3部分の座標を受け付ける受付手段と、
前記受付手段で受け付けた3部分からなる三角形の外接円に基づいて前記コンクリート柱のたわみ量を算出するたわみ量算出手段と、
前記たわみ量算出手段で算出したたわみ量を出力する出力手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電柱の管理および保守点検を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コンクリート柱たわみ量測定装置の一例を示すブロック図である。
図2】荷重推定処理の一例を示すフローチャートである。
図3】たわみ量算出処理の一例を示すフローチャートである。
図4】たわみ量の算出過程を説明するための説明図である。
図5】変形例におけるたわみ量の算出過程を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態)
本発明を実施するための形態に係るコンクリート柱たわみ量測定装置、コンクリート柱たわみ量測定方法およびプログラムについて、図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または相当する部分には同一符号を付す。また、この実施の形態では、コンクリー柱が電柱である場合を例に説明するが、コンクリート柱は、電柱に限られず、例えば野球場やゴルフ場の防球ネットの柱、駐車場やグラウンドに設置されている夜間照明柱などであってもよい。
【0010】
まず、図1を参照し、コンクリート柱たわみ量測定装置100の構成について説明する。コンクリート柱たわみ量測定装置100は、スマートフォン、タブレットやPC(Personal Computer)などの情報端末であり、ネットワークを介して他の情報端末と各種データを送受信可能である。コンクリート柱たわみ量測定装置100は、後述する荷重推定処理やたわみ量算出処理を実行する機能を有しており、コンクリート柱の画像に基づいて、コンクリート柱のたわみ量と、当該コンクリート柱の推定荷重を演算する。なお、たわみ量とは、コンクリート柱にかかる横荷重に比例して発生するたわみの大きさを示す値であり、推定荷重は、当該コンクリート柱にかかる横荷重の推定値である。
【0011】
図1に示すように、コンクリート柱たわみ量測定装置100は、記憶部110と、制御部120と、入出力部130と、通信部140と、これらを相互に接続するシステムバス(図示省略)と、を備えている。
【0012】
記憶部110は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等を備える。ROMは制御部120のCPU(Central Processing Unit)が実行するプログラム111と、プログラム111を実行する上で予め必要な各種データ(図示省略)と、荷重比率情報112と、を記憶する。
【0013】
プログラム111は、後述する荷重推定処理やたわみ量算出処理を実行するプログラムであり、予め記憶部110に記憶されている。
【0014】
荷重比率情報112は、コンクリート柱の形状と長さに応じたたわみ量と推定荷重の比率を示す一覧情報であり、予め記憶部110に記憶されている。当該荷重比率情報112は、後述するたわみ量算出処理によりたわみ量が算出された場合に、当該算出されたたわみ量から、電柱の形状と長さに基づいて推定荷重を算出する際に参照される情報である。
【0015】
制御部120は、CPUやASIC(Application Specific Integrated Circuit)等から構成される。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111に従って動作し、当該プログラム111に従った処理を実行する。制御部120は、記憶部110に記憶されたプログラム111により提供される主要な機能部として、コンクリート柱画像処理部121と、たわみ量算出部122と、推定荷重処理部123と、を備える。
【0016】
コンクリート柱画像処理部121は、コンクリート柱の画像の拡大や回転、指定位置の座標を特定するなど、当該コンクリート柱の画像処理を行う機能部である。具体的に、コンクリート柱画像処理部121は、ユーザから指定されたコンクリート柱の画像を、例えば横方向に10倍拡大する。また、コンクリート柱画像処理部121は、ユーザの入出力部130に対する操作に応じて当該コンクリート柱の画像を回転する。さらに、コンクリート柱画像処理部121は、ユーザの入出力部130に対して行われたコンクリート柱における頂部、中間部、地際の3点の座標を特定する。
【0017】
たわみ量算出部122は、ユーザの入出力部130に対して行われたコンクリート柱における頂部、中間部、地際の3点からなる三角形に基づいて、当該コンクリート柱のたわみ量を算出する機能部である。具体的に、たわみ量算出部122は、コンクリート柱における頂部、中間部、地際の3点からなる三角形の外接円の半径を算出し、算出した半径に基づいてコンクリート柱のたわみ量を算出する。なお、たわみ量算出の詳細については後述する。
【0018】
推定荷重処理部123は、算出したたわみ量に基づいて推定荷重を算出する機能部である。具体的に、推定荷重処理部123は、算出したたわみ量と、当該コンクリート柱の形状と長さに対応する推定荷重を、記憶部110に記憶された荷重比率情報112に基づいて算出する。
【0019】
入出力部130は、キーボード、マウス、カメラ、マイク、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等から構成され、各種データの入出力を行うための装置である。
【0020】
通信部140は、コンクリート柱たわみ量測定装置100が、ネットワークを介して、他の情報端末と通信を行うためのデバイスである。
【0021】
これら各機能部が協働することで、コンクリート柱の画像に基づいて、コンクリート柱のたわみ量と推定荷重を演算する機能を、当該コンクリート柱たわみ量測定装置100に実現させる。
【0022】
以上が、コンクリート柱たわみ量測定装置100の構成である。続いてコンクリート柱たわみ量測定装置100の動作について説明する。ユーザの入出力部130の操作が行われることにより、図2に示す荷重推定処理が開始される。
【0023】
図2に示す荷重推定処理を開始すると、制御部120は、まず、コンクリート柱画像処理部121の機能により、ユーザにより指定された画像を読み込む(ステップS101)。具体的に、ステップS101の処理では、ユーザにより指定されたコンクリート柱の画像を読み込み、入出力部130に表示する。
【0024】
ステップS101の処理を実行した後、制御部120は、コンクリート柱画像処理部121の機能により、ステップS101で読み込んだ画像に表示されているコンクリート柱の指定を受け付ける(ステップS102)。具体的に、ステップS102の処理では、ステップS101の処理にて表示した画像について、ユーザによるコンクリート柱の頂部から地際までを指定する操作を受け付け、画像中のコンクリート柱の位置を特定する。
【0025】
ステップS102の処理を実行した後、制御部120は、コンクリート柱画像処理部121の機能により、ステップS101で読み込んだ画像を拡大する(ステップS103)。具体的に、ステップS103の処理では、ステップS101の処理で読み込んだ画像を画面サイズに合わせて電柱画像を縦方向に最大化させるとともに、横方向は縦倍率の10倍程度に拡大する。なお、拡大することにより、コンクリート柱のたわみとともに傾斜も強調されることから、ステップS103の処理では、先に傾斜分を回転させた上で横に拡大してもよい。拡大する倍率はユーザにより任意に設定可能であればよい。また、ステップS103の処理を実行するコンクリート柱画像処理部121およびステップS103は、画像処理手段および画像処理ステップに対応する。なお、横方向の拡大倍率は、縦倍率の10倍に限られず、例えば2倍~50倍程度、望ましくは5倍~20倍程度であればよい。
【0026】
ステップS103の処理を実行した後、制御部120は、コンクリート柱画像処理部121の機能により、ステップS103の処理にて拡大された画像のうち、コンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点の指定を受け付ける(ステップS104)。具体的に、ステップS104の処理では、ステップS103の処理にて拡大された画像に対するユーザによる入出力部130の操作により指定された、コンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点における画像上の座標を取得する。なお、ステップS104にて3点の指定を受け付けるコンクリート柱画像処理部121およびステップS104は、受付手段および受付ステップに対応する。また、コンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点は、ユーザに指定された3部分に含まれる。
【0027】
ステップS104の処理を実行した後、制御部120は、たわみ量算出部122の機能により、たわみ量算出処理を実行する(ステップS105)。なお、ステップS105の処理を実行するたわみ量算出部122およびステップS105はたわみ量算出手段およびたわみ量算出ステップに対応する。図3に示すたわみ量算出処理を開始すると、制御部120は、まず、たわみ量算出部122の機能により、図2のステップS104で受け付けたコンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点を頂点とする三角形の外接円の半径を算出する(ステップS201)。例えば、図2のステップS104で受け付けたコンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点が、図4に示すA、B、Cである場合を例に説明すると、図3のステップS201の処理では、図4に示す△ABCの外接円の半径Rを算出する。具体的に、図2のステップS104で受け付けたコンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点の座標が、それぞれ図4に示すA(X0,Y0)、B(X1,Y1)、C(X2,Y2)であるとすると、辺BC(図4に示すa)の長さは、∠ABCのそれぞれの対辺をabcとすると下記式(1)から求められる。なお、辺AB(図4に示すc)や辺CA(図4に示すb)の長さについても同様である。
【数1】
【0028】
また、余弦定理であるcosA=(b+c-a)/2bcから頂点Aの角の余弦(cosAの値)を算出することで、下記式(2)から頂点Aの角の正弦(sin∠Aの値)を算出する。
【数2】
【0029】
上記式(1)で算出した辺BC(図4に示すa)の長さと、式(2)で算出した頂点Aの角の正弦について、正弦定理である辺a/sin∠A=2Rを適用することで外接円の半径Rを算出する。
【0030】
図3に戻り、ステップS201の処理を実行した後、制御部120は、たわみ量算出部122の機能により、図4に示す頂点Oの角の余弦であるcos∠rの値を算出する(ステップS202)。具体的に、ステップS202の処理では、余弦定理であるcos∠r=(2R-b)/2Rを用いてcos∠rの値を算出する。
【0031】
ステップS202の処理を実行した後、制御部120は、たわみ量算出部122の機能により、画像上のたわみ量を算出する(ステップS203)。具体的に、ステップS203の処理では、図4に示す画像上のたわみ量を、R-Rcos∠rにより算出する。
【0032】
図3に示すステップS203の処理を実行した後、制御部120は、たわみ量算出部122の機能により、実際の推定たわみ量を算出し(ステップS204)、たわみ量算出処理を終了する。具体的に、ステップS204の処理では、コンクリート柱の地上高Hに対するたわみ量(実際の推定たわみ量)を、H/b(R-Rcos∠r)の演算を行うことにより算出する。なお、例えばコンクリート柱が電柱であれば、当該電柱の1/6の長さは地中に埋め込まれている(根入れされている)ため、当該電柱の長さの5/6をコンクリート柱の地上高Hとする。すなわち、コンクリート柱の長さに基づいて予め定められた根入れ分を差し引いた長さをコンクリート柱の地上高Hとすればよい。コンクリート柱の長さは、ユーザにより指定されればよい。
【0033】
図2に戻り、ステップS105の処理を実行した後、制御部120は、推定荷重処理部123の機能により、コンクリート柱にかかる横荷重の推定値である推定荷重を算出する(ステップS106)。具体的に、ステップS106の処理では、記憶部110に記憶された荷重比率情報112を参照し、コンクリート柱の形状、長さ、およびステップS105の処理で算出したたわみ量に対応する比率を用いて推定荷重を算出する。コンクリート柱の形状や長さについては、ユーザにより指定されればよい。なお、ステップS106の処理を実行する推定荷重処理部123は、推定荷重算出手段に対応する。
【0034】
ステップS106の処理を実行した後、制御部120は、たわみ量算出部122の機能および推定荷重処理部123の機能により算出したたわみ量および推定荷重を入出力部130に出力し(ステップS107)、荷重推定処理を終了する。なお、ステップS107の処理を実行する制御部120およびステップS107は、出力手段および出力ステップに対応する。
【0035】
以上説明したように、コンクリート柱たわみ量測定装置100では、コンクリート柱の画像を横方向に拡大させることによりたわみを目視できるレベルまで拡大させた上で、当該コンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点の指定を受け付ける。そして当該3点を頂点とする三角形の外接円の半径に基づいてたわみ量を算出し、たわみ量から推定荷重を算出する。このように、この実施の形態に係るコンクリート柱たわみ量測定装置100によれば、肉眼や写真から判定することが困難であるコンクリート柱のたわみ量を容易に算出することができるため、推定荷重についても容易に算出でき、電柱の管理および保守点検を容易に行うことができる。
【0036】
(変形例)
なお、この発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。例えば、上記実施の形態に係るコンクリート柱たわみ量測定装置100は、上記で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における少なくとも1つの課題を解決できるように、上記実施の形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。また、下記の変形例それぞれについて、少なくとも一部を組み合わせてもよい。
【0037】
上記実施の形態では、図2のステップS107の処理において、算出したたわみ量および推定荷重を当該コンクリート柱たわみ量測定装置100の入出力部130に出力する例を示したが、これは一例である。この他にも、現場の作業員の所有するスマートフォン、タブレットやPCなどの情報端末の入出力部に、通信部140を介して、算出したたわみ量および推定荷重を出力してもよい。この場合、ステップS101の処理についても、現場の作業員の所有する情報端末から通信部140を介してコンクリート柱の画像を受信し、読み込むようにすればよい。これによれば、現場の作業員が撮影した現場の画像に基づいてたわみ量および推定荷重を算出して出力することができ、電柱の管理および保守点検をより容易化することができる。
【0038】
また、上記実施の形態では、図3のステップS203の処理において、R-Rcos∠rにより図4に示す画像上のたわみ量を算出する例を示したが、これは一例である。この他にも、図5に示す△ASCを用いて算出してもよい。具体的に、△AOCは二等辺三角形であることから、∠Aおよび∠Cは、それぞれ(180-∠r)/2=90-∠r/2となる。図5に示す△ASCの∠r’は、90-∠Cであることから、∠r’=∠r/2となる。そうすると、画像上のたわみ量は、bsin(∠r/2)により算出することができる。また、図3のステップS204の処理では、(H/b)bsin(∠r/2)=Hsin(∠r/2)により推定たわみ量を算出すればよい。
【0039】
また、上記実施の形態では、図2のステップS104の処理にてコンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点の指定を受け付ける例を示したが、これは一例である。コンクリート柱に加わる荷重にアンバランスがある場合、外接円が当該コンクリート柱の傾斜と一致しないことがある。その場合、コンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点ではなく、ユーザの視点でたわみの大きい部分(以下、局部という)3点を指定し、当該局部の指定を受け付けてもよい。すなわち、ユーザにより指定されたコンクリート柱の3点を頂点とする三角形の外接円の弧が、コンクリート柱の傾斜と重なるように当該3点が指定されれば、コンクリート柱の頂部、中間部、地際の3点でなくてもよい。この場合、図3に示すたわみ量算出処理では、当該局部3点を頂点とする三角形の外接円の半径を算出し、たわみ量を算出すればよい。そして、図2のステップS106の処理において推定荷重を算出し、ステップS107の処理によりこれらを出力すればよい。これによれば、たわみの強い箇所に合わせて、より精度の高いたわみ量および推定荷重を算出することができる。なお、局部3点や三角形の外接円の弧がコンクリート柱の傾斜と重なるように指定された3点はユーザに指定された3部分に含まれる。なお、この場合にも、コンクリート柱の頂部から地際までの距離(図5に示すb)を基準として実際の推定たわみ量を算出すればよい。
【0040】
なお、上記実施の形態に係るコンクリート柱たわみ量測定装置100は、専用の装置によらず、通常のコンピュータを用いて実現可能である。例えば、コンピュータに上述のいずれかを実行するためのプログラムを格納した記録媒体から該プログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理を実行するコンクリート柱たわみ量測定装置100を構成してもよい。また、複数のコンピュータが協働して動作することによって、1つのコンクリート柱たわみ量測定装置100を構成してもよい。
【0041】
また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協働により実現する場合等には、OS以外の部分のみを媒体に格納してもよい。
【0042】
また、搬送波にプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS、Bulletin Board System)に当該プログラムを掲示し、ネットワークを介して当該プログラムを配信してもよい。そして、これらのプログラムを起動し、オペレーティングシステムの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 コンクリート柱たわみ量測定装置
110 記憶部
111 プログラム
112 荷重比率情報
120 制御部
121 コンクリート柱画像処理部
122 たわみ量算出部
123 推定荷重処理部
130 入出力部
図1
図2
図3
図4
図5