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  • 特開-飼料用食欲増進剤 図1
  • 特開-飼料用食欲増進剤 図2
  • 特開-飼料用食欲増進剤 図3
  • 特開-飼料用食欲増進剤 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170591
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】飼料用食欲増進剤
(51)【国際特許分類】
   A23K 50/00 20160101AFI20231124BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20231124BHJP
【FI】
A23K50/00
A23K10/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082451
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】522199192
【氏名又は名称】協立物産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智史
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005AA00
2B005BA00
2B005EA01
2B005EA02
2B005EA04
2B005MB09
2B150AA01
2B150AA06
2B150AA07
2B150AB04
2B150CJ01
(57)【要約】
【解決すべき課題】
家畜やペットなどの動物に対し、食欲を増進させ飼料の食い付きを向上させる
【解決手段】
家畜やペットなどの動物用飼料に対し、NHDCを8~30ppm添加する
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NHDCを含有する動物用食欲増進剤。
【請求項2】
NHDCを含有する動物の食欲増進剤を添加した動物用飼料。
【請求項3】
食欲増進剤を、飼料全量に対しNHDC基準で8~30ppm添加した請求項2に記載
される動物用飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜やペットなどの飼料に添加する食欲増進剤及び当該食欲増進剤を含有す
る飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
動物に適した栄養バランスで飼料を設計しても、動物の食い付きがよくなければ、必要
な栄養を摂取することができない。家畜やペットなどの動物が、給与された餌を自ら勢い
よく食することは、動物の健康な生育に欠くべからざる条件である。
この様な事情から、従来から飼料用の食欲を増進させ、食い付きを向上させるための添
加剤が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、枸杞葉、麦芽、枇杷葉、人参、大棗などの生薬を組み合わせ
た飼料の嗜好性改善剤が開示され、特許文献2では、ナットメグ、メース、マスタード、
タラゴンなどの香辛料及び50~500ppmのビタミンEを添加した飼料を給与して豚を
飼育することにより鮮度、日持ちがよいと共に、ドリップが少なく、保水性がよい肉質の
豚を生産することができることが開示され、特許文献3では、N-メチルチラミンおよびN,
N-ジメチルチラミンの少なくとも1種または酵母発酵産物のガストリン分泌促進画分を含
有する食欲増進剤が開示され、この食欲増進剤によれば、容易かつ簡便に摂取でき、安全
かつ効果的に食欲を増進する飲食物を提供することができるとしている。
【0004】
さらに、特許文献4では、プロトピンアルカロイド、特にα-アロクリプトピンを飼料
添加物として使用することにより、有用動物用の刺激増加又は食欲増進が図れるとしてお
り、特許文献5では、味噌と不溶性飼料を含む原料を、せん断力を加えながら混合及び混
練を行うことにより得られた味噌含有飼料が、防カビ作用及び食欲増進作用を有すること
が開示され、特許文献6では、アルギン酸ナトリウム及び水溶性カルシウムを含有する子
豚用飼料が開示され、子豚の食い付きが良く、固形の配合飼料にスムーズに順応させるこ
とができ、離乳後の増体成績を改善することができるとし、特許文献7では、ヒヒドロキ
シキノリン及び/若しくはその誘導体、又は/並びに、リコペロジン及び/若しくはその
誘導体が、畜産動物や水産動物の食欲や摂餌を促すと同時に、摂餌した飼料の消化を促す
ことで、畜産動物や水産動物の効率的な成長や健康維持を実現することができるとしてい
る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-345782号公報
【特許文献2】特開平10-080249号公報
【特許文献3】特開平11-158064号公報
【特許文献4】特表2007-537739号公報
【特許文献5】特開2012-165683号公報
【特許文献6】再表2017/217361号公報
【特許文献7】特開2018-139583号公報
【特許文献8】特表平10-510152号公報
【特許文献9】特表2001-513127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、家畜やペットなど幅広い動物に対し、食欲増進を発揮し、食い付きを向上さ
せる飼料添加剤、及び当該飼料添加剤を含む飼料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、家畜又はペット用飼料に対し、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(以下
「NHDC」という。)を含む食欲増進剤を添加することにより、給与対象の動物の食欲
を増進させ食い付きを向上させることができることを見出し、本発明に至った。
【0008】
NHDCは、グレープフルーツ中に天然に産出するフレバノン・グリコシドであるナリ
ンゲンから製造され、香料として、古くから知られている。
また、その用途として、マルトールなどの香味増強剤と共に使用し、香味変性用組成物
としての食品への使用(特許文献8)や、アスパルテームなどの高強度甘味剤と共に使用
し、高強度甘味剤が有する不快な味または後味を改善する呈味改善剤としての使用(特許
文献9)も知られている。
【0009】
特許文献8や9には、その用途として飼料が例示されているが、開示される組成物を実
際に動物用飼料に添加した実施例はなく、NHDC自体が、動物の食欲を増進させ食い付
きを向上させる機能を有することは知られていなかった。
【0010】
本発明の実施の態様は以下の通りである。
(1)NHDCを含有する動物用食欲増進剤。
(2)NHDCを含有する動物の食欲増進剤を添加した動物用飼料。
(3)食欲増進剤を、飼料全量に対しNHDC基準で8~30ppm添加した(2)に記
載される動物用飼料。
【0011】
本発明で使用される食欲増進剤は、NHDCを単独で使用してもよいが、残りの成分が
対象とする動物に悪影響を与えなければ、NHDCを含む組成物を使用することができる
【0012】
本発明における飼料の対象動物としては、牛や豚などの家畜、及び犬や猫などの哺乳類
、鶏などの家禽類が例示できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、飼料に本発明のNHDCを含む動物飼料用食欲増進剤を所定量添加す
るだけで、家畜やペットなど幅広い動物の食欲を増進させ飼料に対する食い付きを向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】NHDCの添加量による豚の一日平均摂取量の違い
図2】NHDCの添加量による牛の一日平均摂取量の違い
図3】NHDCの添加量によるますの一日平均摂取量の違い
図4】NHDCの添加量によるスズキの一日平均摂取量の違い
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例0016】
日齢27~30日、体重7±0.5kg、性別:ランダム、の豚125匹を5群に分け
、飼料全量に対しNHDCを添加しない群:「コントロール」群、飼料全量に対しNHD
Cを8ppm添加した群:「8ppm」群、飼料全量に対しNHDCを15ppm添加し
た群:「15ppm」群、飼料全量に対しNHDCを20ppm添加した群:「20pp
m」群、飼料全量に対しNHDCを30ppm添加した群:「30ppm」群、とし、各
群の30日間の1日当たりの飼料の摂取量(g)を測定し、その結果を図1に示す。
図1から明らかなように、飼料にNHDCを添加することにより、コントロールと比べ
飼料の摂取量が増加した。
【実施例0017】
日齢8~21日、体重50~55kg、性別:ランダム、の牛30頭を10頭ずつ三群
に分け、飼料全量に対しNHDCを添加しない群:「コントロール」群、飼料全量に対し
NHDCを15ppm添加した群:「15ppm」群、飼料全量に対しNHDCを30p
pm添加した群:「30ppm」群、とし、各群の60日間の1日当たりの飼料の摂取量
(kg)を測定し、その結果を図2に示す。
図2から明らかなように、飼料にNHDCを添加することにより、コントロールと比べ
飼料の摂取量が増加した。
【実施例0018】
平均体重400gの(淡水魚)ます36匹をランダムに6匹ずつ6群に分け、それぞれ
の群を6つの水槽に入れた。
ここでの給餌は全て自動給餌機によって行われた。この自動給餌機は水面に、餌を欲し
がる魚が来た場合にセンサーが感知し餌を投下するような仕組みであり、給餌機の餌の減
り具合を飼料摂取量として測定する。
自動給餌機AとBを、それぞれの水槽に間隔をあけて設置し、試験の開始から24日目
までは、自動給餌機AとBを用いて全てのグループにコントロール飼料を与え、自動給餌
機の仕組みを学習させる期間とした。
その後、自動給餌機Aをコントロール飼料、BをNHDC20ppm添加飼料とし、2
5~44日目までの飼料摂取量の平均を測定した。
ついで、試験45~62日目までは、A、Bの位置を入れ替えて引き続きテストを行い
飼料摂取量の平均を測定し、その結果を図3に示す。
図3から明らかなように、飼料にNHDCを添加することにより、コントロールと比べ
飼料の摂取量が増加するが、一旦NHDC添加飼料を摂取させた後に無添加の飼料に戻す
と以前より摂取量が低下する傾向も見られた。
【実施例0019】
平均体重150gの(海水魚)スズキ30匹をランダムに10匹ずつ3群に分け、それ
ぞれの群を3つの水槽に入れた。
ここでの給餌は全て自動給餌機によって行われた。この自動給餌機は水面に、餌を欲し
がる魚が来た場合にセンサーが感知し餌を投下するような仕組みであり、給餌機の餌の減
り具合を飼料摂取量として測定する。
自動給餌機AとBを、それぞれの水槽に間隔をあけて設置し、試験の開始から6日目ま
では、自動給餌機AとBを用いて全てのグループにコントロール飼料を与え、自動給餌機
の仕組みを学習させる期間とした。
その後、自動給餌機Aをコントロール飼料、BをNHDC20ppm添加飼料とし、7
~21日目までの飼料摂取量の平均を測定した。
ついで、試験22~36目までは、A、Bの位置を入れ替えて引き続きテストを行い飼
料摂取量の平均を測定し、その結果を図4に示す。
図4から明らかなように、飼料にNHDCを添加することにより、コントロールと比べ
飼料の摂取量が増加した。
【実施例0020】
体重10~11.5kg、性別:ランダム、の羊60頭を30頭ずつ二群に分け、飼料
全量に対しNHDCを添加しない群:「コントロール」群、飼料全量に対しNHDCを3
0ppm添加した群:「試験」群、とし、各群の45日間の1日当たりの飼料の摂取量(
kg)と体重増加量を測定し、その結果を表1に示す。
表1から明らかなように、飼料にNHDCを添加することにより、コントロールと比べ
飼料の摂取量が増加するとともに、体重も増加した。
【0021】
【表1】
図1
図2
図3
図4