(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170595
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】ポンプ装置及び管理装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/06 20060101AFI20231124BHJP
F04D 15/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F04B49/06 321B
F04D15/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082462
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【テーマコード(参考)】
3H020
3H145
【Fターム(参考)】
3H020AA05
3H020BA16
3H020CA04
3H020DA04
3H020DA21
3H020DA28
3H020EA03
3H020EA07
3H145AA06
3H145AA16
3H145AA23
3H145AA42
3H145BA02
3H145BA39
3H145CA25
3H145CA30
3H145DA05
3H145DA39
3H145DA41
3H145DA47
3H145EA14
3H145EA34
(57)【要約】
【課題】各ポンプの積算運転時間の平滑化を効率的に行うこと。
【解決手段】本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを求める。ポンプ装置は、1日の所定時間帯ごとに、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。ポンプ装置は、所定時間帯ごとに、合計運転時間と合計運転回数とに基づいて、各ポンプ号機の平均運転時間を算出する。ポンプ装置は、所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。ポンプ装置は、第1時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように各ポンプ号機を駆動する。ポンプ装置は、第2時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように各ポンプ号機を駆動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列に配置された複数台のポンプを備えたポンプ装置であって、
前記複数台のポンプにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを求める積算部と、
1日の所定時間帯ごとに、前記各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、前記各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める合計部と、
前記所定時間帯ごとに、前記合計運転時間と前記合計運転回数とに基づいて、前記各ポンプ号機の平均運転時間を算出する算出部と、
前記所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する時間帯選択部と、
前記第1時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する時間平滑化部と、
前記第2時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する回数平滑化部と
を備えたポンプ装置。
【請求項2】
前記時間平滑化部は、前記各ポンプ号機の積算運転時間の最大値と最小値との差が所定時間以上の場合に、前記積算運転時間の最大値に対応するポンプ号機を駆動せず、残りの各ポンプ号機を輪番で駆動し、
前記回数平滑化部は、前記各ポンプ号機の積算運転回数の最大値と最小値との差が所定回数以上の場合に、前記積算運転回数の最大値に対応するポンプ号機を駆動せず、残りの各ポンプ号機を輪番で駆動する、
請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記時間平滑化部及び前記回数平滑化部の各々は、前記複数台のうちの2台以上のポンプ号機の並列運転中にいずれかのポンプ号機を減台させる場合、直近に増台させたポンプ号機を減台させる、請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記時間平滑化部は、前記各ポンプ号機の積算運転時間の最大値と最小値との差が所定時間以上の場合に、前記積算運転時間の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動し、
前記回数平滑化部は、前記各ポンプ号機の積算運転回数の最大値と最小値との差が所定回数以上の場合に、前記積算運転回数の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する、
請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記時間平滑化部は、前記複数台のうちの2台以上のポンプ号機の並列運転中にいずれかのポンプ号機を減台させる場合、前記並列運転中の各ポンプ号機のうち、前記積算運転時間が最大のポンプ号機を減台させ、
前記回数平滑化部は、前記並列運転中のいずれかのポンプ号機を減台させる場合、当該並列運転中の各ポンプ号機のうち、前記積算運転回数が最大のポンプ号機を減台させる、
請求項4に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記合計部は、曜日ごとに、且つ前記所定時間帯ごとに前記合計運転時間及び前記合計運転回数を求め、
前記算出部は、前記曜日ごとに、且つ前記所定時間帯ごとに前記平均運転時間を算出し、
前記時間帯選択部は、前記曜日ごとに、前記第1時間帯及び前記第2時間帯を選択し、 前記時間平滑化部は、前記曜日ごとに選択された前記第1時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動し、
前記回数平滑化部は、前記曜日ごとに選択された前記第2時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記合計部、前記算出部、前記時間帯選択部、前記時間平滑化部及び前記回数平滑化部の各々は、祝日及び振替え休日を日曜日とみなして前記曜日ごとの動作を行う、
請求項6に記載のポンプ装置。
【請求項8】
点検作業モードの実行中、前記時間平滑化部及び前記回数平滑化部の動作を停止させ、前記各ポンプ号機を輪番で駆動する通常運転を行う平滑化停止部、
を更に備えた請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項9】
前記合計部、前記算出部及び前記時間帯選択部を一定期間ごとに再実行させる再実行制御部を更に備えた、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポンプ装置。
【請求項10】
互いに並列に配置された複数台のポンプを備えたポンプ装置であって、
前記複数台のポンプにおける各ポンプ号機に設けられ、前記各ポンプ号機から吐出される流体を受けて回転する羽根車の回転に基づいて前記流体の流量を測定する流量センサと、
前記各ポンプ号機ごとに停止流量を設定する設定部と、
前記流量センサの流量信号と前記停止流量とに基づいて、前記各ポンプ号機を停止制御する制御部と
を備えたポンプ装置。
【請求項11】
前記各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを求める積算部と、
1日の所定時間帯ごとに、前記各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、前記各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める合計部と、
前記所定時間帯ごとに、前記合計運転時間と前記合計運転回数とに基づいて、前記各ポンプ号機の平均運転時間を算出する算出部と、
前記所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する時間帯選択部と、
前記第1時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する時間平滑化部と、
前記第2時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する回数平滑化部と
を更に備えた請求項10に記載のポンプ装置。
【請求項12】
互いに並列に配置された複数台のポンプを備えたポンプ装置に通信可能な管理装置であって、
前記ポンプ装置から、前記複数台のポンプにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とに関する運転データを受信する受信部と、
前記受信した運転データに基づいて、1日の所定時間帯ごとに、前記各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、前記各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める合計部と、
前記所定時間帯ごとに、前記合計運転時間と前記合計運転回数とに基づいて、前記各ポンプ号機の平均運転時間を算出する算出部と、
前記所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する時間帯選択部と、
前記ポンプ装置に対し、前記第1時間帯の間に前記各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための前記第1時間帯の開始時刻及び終了時刻を送信する第1送信部と、
前記ポンプ装置に対し、前記第2時間帯の間に前記各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための前記第2時間帯の開始時刻及び終了時刻を送信する第2送信部と
を備えた管理装置。
【請求項13】
前記合計部、前記算出部及び前記時間帯選択部を一定期間ごとに再実行させる再実行制御部を更に備えた、請求項12に記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数台のポンプを交互に駆動する交互運転、及び、複数台のポンプを同時に駆動する並列運転を行うポンプ装置が知られている。この種のポンプ装置では、複数台のポンプを切り替えて運転するため、長い間には各ポンプの積算運転時間にばらつきが生じてしまう。これに対し、各ポンプの切替順序を変更することで、特定のポンプに運転を集中させず、部品の消耗を分散させる運転時間平滑化の制御が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のような運転時間平滑化の制御は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、1回の運転時間が短いと、各ポンプの積算運転時間のばらつきを平滑化するためには運転回数を重ねる必要がある点で改善の余地がある。従って、1日中無作為に平滑化を行うのではなく、積算運転時間の平滑化を効率的に行うことが望ましい。
【0005】
本発明は、各ポンプの積算運転時間の平滑化を効率的に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、互いに並列に配置された複数台のポンプを備えている。前記ポンプ装置は、積算部と、合計部と、算出部と、時間帯選択部と、時間平滑化部と、回数平滑化部とを備えている。前記積算部は、前記複数台のポンプにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを求める。前記合計部は、1日の所定時間帯ごとに、前記各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、前記各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。前記算出部は、前記所定時間帯ごとに、前記合計運転時間と前記合計運転回数とに基づいて、前記各ポンプ号機の平均運転時間を算出する。前記時間帯選択部は、前記所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。前記時間平滑化部は、前記第1時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。前記回数平滑化部は、前記第2時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。
【0007】
本発明の他の一態様によれば、ポンプ装置は、互いに並列に配置された複数台のポンプを備えている。前記ポンプ装置は、センサと、設定部と、制御部とを備えている。前記センサは、前記複数台のポンプにおける各ポンプ号機に設けられ、前記各ポンプ号機から吐出される流体を受けて回転する羽根車の回転に基づいて前記流体の流量を測定する。前記設定部は、前記各ポンプ号機ごとに停止流量を設定する。前記制御部は、前記センサの測定結果と前記停止流量とに基づいて、前記各ポンプ号機ごとに駆動及び停止を制御する。
【0008】
本発明の更に他の一態様によれば、管理装置は、互いに並列に配置された複数台のポンプを備えたポンプ装置に通信可能な装置である。前記管理装置は、受信部と、合計部と、算出部と、時間帯選択部と、第1送信部と、第2送信部とを備えている。前記受信部は、前記ポンプ装置から、前記複数台のポンプにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とに関する運転データを受信する。前記合計部は、前記受信した運転データに基づいて、1日の所定時間帯ごとに、前記各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、前記各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。前記算出部は、前記所定時間帯ごとに、前記合計運転時間と前記合計運転回数とに基づいて、前記各ポンプ号機の平均運転時間を算出する。前記時間帯選択部は、前記所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。前記第1送信部は、前記ポンプ装置に前記第1時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための前記第1時間帯の開始時刻及び終了時刻を前記ポンプ装置に送信する。前記第2送信部は、前記ポンプ装置に前記第2時間帯の間、前記各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための前記第2時間帯の開始時刻及び終了時刻を前記ポンプ装置に送信する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各ポンプの積算運転時間の平滑化を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る管理システムを例示するブロック図。
【
図3】
図1のポンプ装置の構成例を示すブロック図。
【
図4】第1の実施形態における動作例を説明するためのフローチャート。
【
図5】
図4のステップS20を説明するための模式図。
【
図6】
図4のステップS40を説明するためのフローチャート。
【
図7】
図6のステップS42を説明するための模式図。
【
図8】
図6のステップS42を説明するための模式図。
【
図9】
図6のステップS41乃至S47を説明するための模式図。
【
図10】
図4のステップS60を説明するためのフローチャート。
【
図11】
図4のステップS80を説明するためのフローチャート。
【
図12】第2の実施形態の動作例におけるステップS60を説明するためのフローチャート。
【
図13】第2の実施形態の動作例におけるステップS80を説明するためのフローチャート。
【
図14】第4の実施形態における動作例を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら各実施形態に係るポンプ装置及び管理装置について説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあると共に、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることがある。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るポンプ装置及び管理装置を備えた管理システムを例示するブロック図である。この管理システムは、管理装置1および複数のポンプ装置5-n(nはインデックス)を含む。
図1では、nが2である場合の構成を示しているが、これに限定する必要はなく、nは1以上であれば幾つでもよい。以下、特に区別しないときは単にポンプ装置5と記載することとする。管理システムは、ポンプ装置5に関して測定される運転データなどを管理装置1で用いて管理するコンピュータシステムである。
【0013】
図1に示すように、管理装置1とポンプ装置5とは、ネットワークNWを介して、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimaxなどの比較的遠距離の無線通信回線を介して接続される。すなわち、管理装置1とポンプ装置5とは、互いに通信可能となっている。
【0014】
管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、表示機器、入力機器及び通信機器を有するコンピュータである。管理装置1は、複数のポンプ装置5に関する各種データを管理するためのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の大容量記憶装置を有する。当該大容量記憶装置をデータベースと呼ぶことにする。例えば、管理装置1は、ポンプ装置5に関する各種データをデータベースに記憶したり、ポンプ装置5の稼働状況を管理する。
【0015】
ポンプ装置5は、例えば、建物に給水する機械装置(給水装置)である。ポンプ装置5は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であるとする。なお、本実施形態に係るポンプ装置5の型としては、直結増圧型に限定されず、例えば、直結直圧型、受水槽給水型及び高架水槽給水型などといった任意の型が、適宜、使用可能となっている。
【0016】
次に、本実施形態に係る管理装置1について
図2のブロック図を参照して説明する。
【0017】
管理装置1は、操作部11と、表示部12と、記憶部13と、データベース14と、通信部15と、制御部16とを備える。
【0018】
操作部11は、キーボードやマウスなどであって、管理者からの要求や指示を受け付け、これを制御部16に伝達する。
【0019】
表示部12は、液晶パネルや有機EL(electroluminescence)パネル、7セグメントLED(light-emitting diode)、LEDランプなどのデバイスを用いた表示装置であって、制御部16から与えられる情報を管理者に対して視覚的に示すものである。表示部12は、制御部16からの制御により、ログデータを表示してもよい。
【0020】
記憶部13は、SDRAM(synchronous dynamic RAM)、NAND(inverted AND)フラッシュメモリやEEPROM(登録商標)(electrically erasable programmable ROM)などの半導体メモリを用いたものであって、制御部16の制御プログラムや制御データなどを記憶する。
【0021】
データベース14は、記憶部13よりも相対的に記憶容量の大きい記憶装置であり、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体を備えてもよい。データベース14は、ログデータを記憶するために用いられる。
【0022】
ログデータは、ポンプ装置5から受信したログデータであって、ポンプ装置5毎に集計が可能なように記憶される。ログデータは、例えば、ポンプ装置5の運転状態データや、ポンプ装置5が異常状態のときの異常通知などといった各種のデータを含んでいる。
【0023】
通信部15は、ネットワークNWを通じてポンプ装置5と通信する。
【0024】
制御部16は、CPUやMPU等のプロセッサや、メモリを備える。プロセッサは、ASICやFPGA等の専用の回路により構成されてもよい。メモリには、記憶部13から読み込んだ制御プログラムや制御データが記憶され、プロセッサが制御プログラムを実行して管理装置としての機能を実現する。管理機能は、ポンプ装置5から受信したデータをログデータとしてデータベース14に保存し、ログデータに基づいて、ポンプ装置5の状態を管理する機能である。
【0025】
次に、本実施形態に係るポンプ装置5について
図3のブロック図を参照して説明する。
【0026】
ポンプ装置5は、制御装置50と、ポンプ部60とを含んでいる。ポンプ部60のうち、互いに並列に配置された3台のポンプ61a~61cは、例えば左側からポンプ1号機、ポンプ2号機、ポンプ3号機である。なお、ポンプは複数台であればよく、3台に限定されない。これらポンプ61a~61cの吸込部は、例えば開閉弁62a~62cが介装された吸込管63a~63c及び分岐部64を介して、給水源、例えば受水槽などから延びる給水管に接続されている。またポンプ61a~61cの吐出部は、例えば逆止弁65a~65cや開閉弁66a~66cが介装された吐出管67a~67cを介して、需要側、例えばビルや集合住宅などから延びる需要管68に接続されている。これにより、3台のポンプ61a~61cが並列に接続されたポンプ部60を構成している。但し、ポンプ61a~61cの吐出側には、アキュームレータ70や流量センサ71a,71b,71cや圧力センサ72が設けられている。また、ポンプ61a~61cの(モータの)電源周波数を可変可能に制御するインバータ54が設けられている。インバータ54、流量センサ71a~71cおよび圧力センサ72などは、制御装置50に接続されている。制御装置50は、例えば、目標圧力一定制御などのポンプ制御アルゴリズムに従い、流量センサ71a~71cの流量信号、圧力センサ72の圧力信号で検出される需要具合に応じて、ポンプ61a~61cの交互運転や並列運転などを制御する。また、制御装置50は、ポンプ61a~61cの総積算運転時間及び総積算運転回数を平滑化するようにポンプ61a~61cを駆動する。
【0027】
制御装置50は、互いにバスを介して接続された通信器51と、入力機器53と、インバータ54と、インタフェース55と、表示機器56と、記憶装置57と、制御部58とを含む。
【0028】
通信器51は、携帯通信網や、WimaxおよびWi-Fi等の無線通信の規格を用いた遠距離通信を行なう。通信器51は、管理装置1との間で、遠距離通信回線を介して各種データの送受信を行なう。
【0029】
通信器51による無線接続の確立については、例えば、Wi-Fiであれば、Wi-Fiのアクセスポイントに予め設定されたSSID(service set identifier)およびパスワードを入力することで、無線接続が確立されればよい。
【0030】
入力機器53は、ユーザの指示を電気信号に変換する。入力機器53としては、例えば、操作パネルやタッチパネル、キーボード、マウス、各種スイッチ等が用いられればよい。なお、入力機器53としては、音声入力装置が用いられてもよい。入力機器53からの電気信号はバスを介して制御部58に供給される。
【0031】
インバータ54は、ポンプ61a~61cを作動する動力を発生する。具体的には、インバータ54は、ポンプ61a~61c(のモータ)に所定周波数の交流電力を供給する。また、インバータ54は、制御部58からインバータ制御信号を受け取る。インバータ54は、インバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ54は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じて運転を停止または開始する。また、インバータ54は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じてモータの回転数を制御する。
【0032】
具体的には、インバータ54は、図示しないコンバータ回路、平滑コンデンサ及びインバータ回路を含む。コンバータ回路は、交流電源から交流電力を取り込み整流することで直流電力に変換する。平滑コンデンサは、コンバータ回路によって出力される直流電力の電圧を平滑化し、略一定電圧の直流電力を得る。そして、インバータ回路は、平滑コンデンサによって得られた直流電力を制御装置50からのインバータ制御信号(回転数制御信号に相当)に応じた所定周波数の交流電力へと変換してモータに供給する。
【0033】
インタフェース55は、例えば、ポート等の入出力インタフェースである。インタフェース55は、例えば、制御装置50とポンプ部60とを接続し、各種信号を送受信する。
【0034】
表示機器56は、各種データを表示する。表示機器56としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ等の任意のディスプレイが用いられればよい。なお、表示機器56として、プロジェクタが用いられてもよい。
【0035】
記憶装置57は、各種データを記憶するROMやRAM、HDD、SSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等のメモリ装置である。記憶装置57は、物理的に一つのメモリ装置により実現されてもよいし、ポンプ装置5内に物理的に分離された複数のメモリ装置により実現されてもよい。ここで、記憶装置57は、時刻毎の運転時間と運転回数を記憶する。なお、運転時間と運転回数はポンプ号機毎に記憶されることが好ましいが、メモリ容量が小さい場合にはポンプ号機毎に記憶する必要はない。記憶装置57は、時刻毎に記憶した運転時間と運転回数から、制御部58が求めた1回の運転時間の平均、最大の運転時間、最低の運転時間を記憶する。曜日毎に運転傾向が異なる場合もあるため、1週間分の運転データを記憶するとよりよい。但し、これもメモリ容量が小さければ、記憶する必要はない。なお、月毎や、季節毎に異なる運転をする可能性もあるが、メモリ容量が小さい場合には、前日の、先週の運転データを元に常に以降の処理を見直せば、月毎や季節毎のデータを保持する必要はない。
【0036】
制御部58は、CPUやマイクロプロセッサ等のプロセッサ(演算装置)である。制御部58は、ASICやFPGA等の専用の回路により構成されてもよい。制御部58は、記憶装置57に保存された各種プログラムを実行することで、ポンプ装置5としての機能を実現する。なお、ポンプ装置5としての機能には、一般的な運転機能や通信機能の他に、平滑化に関する積算機能、合計機能、算出機能、時間帯選択機能、時間平滑化機能、回数平滑化機能、平滑化停止機能、再実行制御機能などがある。積算機能、合計機能、算出機能、時間帯選択機能、時間平滑化機能、回数平滑化機能、平滑化停止機能及び再実行制御機能は、それぞれ積算部、合計部、算出部、時間帯選択部、時間平滑化部、回数平滑化部、平滑化停止部及び再実行制御部の一例である。
【0037】
制御部58の積算機能は、複数台のポンプ61a~61cにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを求める。
【0038】
制御部58の合計機能は、1日の所定時間帯ごとに、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。また、1日の所定時間帯ごとの積算運転時間としては、所定日数分(例、7日分)の運転データを所定時間帯毎に平均した値を用いてもよい。積算運転回数についても同様に、所定日数分を平均した値を用いてもよい。
【0039】
制御部58の算出機能は、所定時間帯ごとに、合計運転時間と合計運転回数とに基づいて、各ポンプ号機の平均運転時間を算出する。なお、平均運転時間は、合計運転時間を合計運転回数で除算した値である。
【0040】
制御部58の時間帯選択機能は、所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。補足すると、積算運転時間のバラツキを修正するときは、1回の運転時間の平均が長い時間帯(第1時間帯)を選び、複数その時間帯があれば、最低の運転時間が短い時間帯を選ぶことが好ましい。例えば、1回の運転時間が短い時間帯においては、運転時間のバラツキが生じにくく、1回の運転時間が長い時間帯においては運転時間のバラツキが生じ易い傾向がある。この傾向を利用するため、ポンプ装置5に日々の運転傾向を運転テーブルとして記憶させる。制御部58は、この運転テーブルに基づいて、時間平滑化における積算運転回数のばらつきの原因である「1回の運転時間が短い時間帯」を時間平滑化用に選択せず、「1回の運転時間の長い時間帯」(第1時間帯)のみを時間平滑化用に選択する。また、制御部58は、時間平滑化用には「1回の運転時間が長い時間帯」を選択したが、回数平滑化用には「1回の運転時間が短い時間帯」(第2時間帯)を選択するとよい。例えば、商業ビルの場合、夜間はトイレの自動洗浄により、水量は少ないため起動時間は短いが必ず起動する。この場合、積算運転回数が少ないポンプ号機を運転して回数平滑化を行うとよい。
【0041】
制御部58の時間平滑化機能は、第1時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。例えば、時間平滑化機能は、各ポンプ号機の積算運転時間の最大値と最小値との差が所定時間以上の場合に、積算運転時間の最大値に対応するポンプ号機を駆動せず、残りの各ポンプ号機を輪番で駆動してもよい。
【0042】
制御部58の回数平滑化機能は、第2時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。例えば、回数平滑化機能は、各ポンプ号機の積算運転回数の最大値と最小値との差が所定回数以上の場合に、積算運転回数の最大値に対応するポンプ号機を駆動せず、残りの各ポンプ号機を輪番で駆動してもよい。
【0043】
また、制御部58の時間平滑化機能及び回数平滑化機能の各々は、複数台のうちの2台以上のポンプ号機の並列運転中にいずれかのポンプ号機を減台させる場合、直近に増台させたポンプ号機を減台させてもよい。
【0044】
制御部58の再実行制御機能は、合計機能、算出機能及び時間帯選択機能を一定期間ごとに再実行させる。これに伴い、制御部58の再実行制御機能は、時間平滑化機能に用いられる第1時間帯と、回数平滑化機能に用いられる第2時間帯とを一定期間ごとに更新する。補足すると、合計機能及び算出機能は、ある期間の日程で時間帯毎の平均運転時間を算出し、時間選択機能、時間平滑化機能及び回数平滑化機能は、各々の平均運転時間から時間帯を選択して平滑化動作を行う。ここで、再実行制御機能は、算出する平均運転時間と選択する時間帯を、一定期間ごとに再算出、再選択するように合計機能、算出機能及び時間選択機能を再実行させる。これにより、アパート・マンション等の集合住宅であれば、例えば、住民の入れ替わりや、住民の生活リズムの移り変わり等に応じて、多くの水を使用する時間帯が変化した場合に、当該時間帯の変化に応じて、平滑化制御を行う時間帯を変更することができる。また、工場であれば、例えば生産物に水を使用している場合、一定期間での生産物の変更や、その他の理由での使用する水量の変更などといった工場の稼働状況の変化に応じて、平滑化制御を行う時間帯を変更することができる。例えば、空調用に冷却水を使用していれば、季節に応じて水の使用量が変更される。また例えば、空調用に加え、装置の冷却用にも水を使用していれば、装置の稼働状況にも応じて、水の使用量が変更される。従って、平滑化制御を行う第1時間帯及び第2時間帯を定期的に見直して更新(再選択)することは、ポンプ装置5を使用する時間帯の変化に合わせる観点から、有効である。
【0045】
なお、制御装置50を構成する基板の枚数は任意に設計可能であり、各基板が通信器51、入力機器53、インバータ54、インタフェース55、表示機器56、記憶装置57及び制御部58のうちの何れの機器を物理的に装備するのかも任意に設計可能である。また、制御部58の各機能は、一の制御部58が担う構成に限らず、物理的に分離した複数のプロセッサが分担してもよい。
【0046】
次に、本実施形態に係るポンプ装置5及び管理装置1の動作例について
図4乃至
図11を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、煩雑さを避けるため、制御部58の各機能については、適宜、制御部58を動作主体として述べる。
【0047】
(ステップS10)
ポンプ装置5は、
図4に示すように、輪番で各ポンプ号機を運転する。なお、前述した通り、ポンプ1号機、ポンプ2号機及びポンプ3号機は、それぞれポンプ61a、ポンプ61b及びポンプ61cである。このとき、ポンプ装置5の制御部58は、時刻毎にポンプ号機毎に、1回当たりの運転時間、1回当たりの運転回数、積算運転時間及び積算運転回数を含む運転データTa~Tcを記憶装置57に保存する。例えば
図5に示すように、ポンプ1号機の運転データTa、ポンプ2号機の運転データTb、及びポンプ3号機の運転データTcの各々は、時刻毎に、1回当たりの運転時間、1回当たりの運転回数、積算運転時間及び積算運転回数を含んでいる。また、ポンプ装置5は、定期的に、各ポンプ号機の運転データTa~Tcを管理装置1に送信する。管理装置1は、受信した運転データTa~Tcをデータベース14に保存して管理する。
【0048】
(ステップS20)
図4に戻り、ポンプ装置5の制御部58は、各ポンプ号機の積算運転時間を合計する。なお、制御部58は、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した値を運転データTa~Tcと共に、管理装置1に送信してもよい。
【0049】
(ステップS30)
制御部58は、ステップS20で合計した値が閾値を超えたか否かを判定し、超えない場合にはステップS10に戻る。ここで、閾値は、例えば10時間であり、ポンプの試運転に対応する時間を示している。すなわち、ステップS30は、運転時間のばらつきが大きい試運転期間中に平滑化制御を行わないよう、閾値を超えない場合にはステップS10に戻る処理としている。一方、閾値を超えた場合には、ポンプ61a~61cの試運転期間が終了したため、ステップS40に移行する。
【0050】
(ステップS40)
制御部58は、平滑化テーブルの作成又は更新処理を行う。ステップS40は、
図6に示すように、ステップS41~S47を含んでいる。
【0051】
(ステップS41)
制御部58は、現在がテーブル作成時期か否かを判定し、テーブル作成時期の場合(S41:Yes)には、ステップS42に移行する。例えば、試運転期間終了直後で運転テーブル及び平滑化テーブルを作成していない場合には、ステップS42に移行する。また例えば、
図7及び
図8に示す如き、運転テーブルT1及び平滑化テーブルT2を作成済みであるが、
図9に示す如き、所定の作成時期が到来した場合にもステップS42に移行する。所定の作成時期は、例えば、運転テーブルT1及び平滑化テーブルT2の作成日から所定の作成周期(一定期間)が過ぎた場合に、到来したと判定される。
図9中、所定の作成周期は、12週間(3回の1w~4wで表記)である。すなわち、
図9の例では12週間毎に、ステップS42に移行する。また、制御部58は、最初の1wの初日にテーブル作成を行い、最初の1wの2日目から平滑化を行う。但し、作成周期や平滑化の時期は、これに限定されない。例えば、作成周期は、1週間毎としてもよく、月毎の最初の週毎、季節毎(3ヶ月毎)などの決まったルールで規定してもよい。また例えば、最初の1w目に曜日毎のテーブルを毎日作成し、2w目に曜日毎にテーブルを切り替えて平滑化を行い、12週間後の1w目で新テーブル作成及び旧テーブルでの平滑化を行い、2w目で新テーブルでの平滑化を行ってもよい。新テーブル作成は、合計機能、算出機能及び時間帯選択機能を一定期間ごとに再実行させることにより行われる。
【0052】
(ステップS42)
制御部58は、各ポンプ号機の運転データTa~Tcに基づいて、運転テーブルT1及び平滑化テーブルT2を作成する。
【0053】
まず、制御部58は、運転テーブルT1を作成する。例えば制御部58は、1日の所定時間帯ごとに、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。また、制御部58は、所定時間帯ごとに、合計運転時間と合計運転回数とに基づいて、各ポンプ号機の平均運転時間(=合計運転時間÷合計運転回数)を算出する。また、制御部58は、所定時間帯ごとの平均運転時間の長い順に平均時間順位を付ける。これにより、制御部58は、
図7に示すように、1日の所定時間帯毎に、平均運転時間、合計運転時間、合計運転回数及び平均時間順位を関連付けた運転テーブルT1を作成する。
【0054】
運転テーブルT1の作成後、制御部58は、
図8に示すように、平滑化テーブルT2を作成する。例えば,制御部58は、前述した所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。具体的には例えば、制御部58は、運転テーブルT1内の平均時間順位の高い順に5つの第1時間帯を選択し、当該平均時間順位の低い順に3つの第2時間帯を選択する。なお、第1時間帯の個数(5つ)及び第2時間帯の個数(3つ)は、それぞれ一例であり、これに限定されない。第1時間帯は、時間平滑化制御を行う時刻の範囲であり、
図8中、時間平滑化時刻の名称と、時刻の値の範囲とにより示される。第2時間帯は、回数平滑化制御を行う時刻の範囲であり、回数平滑化時刻の名称と、時刻の値の範囲とにより示される。これにより、制御部58は、1位乃至4位の平均時間順位の各々と、時間平滑化時刻の名称と、時刻の値の範囲とを関連付けて平滑化テーブルT2の1乃至5行目を作成する。但し、平均時間順位「1位」には、有効フラグ「1」(有効)が関連付けられ、平均時間順位「2位」「3位」「4位」には、有効フラグ「0」(無効)が関連付けられる。同様に、制御部58は、22位乃至24位の平均時間順位の各々と、回数平滑化時刻の名称と、時刻の値の範囲とを関連付けて平滑化テーブルT2の4乃至6行目を作成する。また同様に、平均時間順位「24位」には、有効フラグ「1」(有効)が関連付けられ、平均時間順位「22位」には、有効フラグ「0」(無効)が関連付けられる。これにより、制御部58は、
図8に示すように、運転モード、有効フラグ、平均時間順位、名称及び範囲を関連付けた平滑化テーブルT2を作成する。補足すると、ステップS42は、平滑化テーブルT2のうち、運転モードが「自動設定」の場合の平滑化パラメータを設定する処理である。平滑化テーブルT2のうち、運転モードが「手動設定」の場合の平滑化パラメータ(有効フラグと時間平滑化開始/終了時刻、有効フラグと回数平滑化開始/終了時刻)については、操作者の操作に応じて設定可能となっている。いずれにしてもステップS42の終了により、ステップS40を終了し、ステップS50に移行する。
【0055】
一方、ステップS41の判定の結果、テーブル作成時期でない場合(S41:No)にはステップS43に移行する。
【0056】
(ステップS43)
制御部58は、積算運転時間の差及び積算運転回数の差を求める時期か否かを判定する。例えば、平滑化テーブルT2の作成(ステップS42)から1週間毎に差を求める場合、
図9中、ステップS42を実行した1wの初日から2w目の初日、3w目の初日、・・・といった1週間毎の初日か否かを判定する。判定の結果、差を求める時期でない場合(S43:No)にはステップS40を終了してステップS50に移行する。一方、ステップS43の判定の結果、差を求める時期の場合(S43:Yes)にはステップS44に移行する。
【0057】
(ステップS44)
制御部58は、積算運転時間の差及び積算運転回数の差を求める。すなわち、制御部58は、各ポンプ号機の積算運転時間から最大値と最小値を抽出し、両者の時間差(=積算運転時間の最大値-最小値)を計算する。同様に、制御部58は、各ポンプ号機の積算運転回数から最大値と最小値を抽出し、両者の回数差(=積算運転回数の最大値-最小値)を計算する。
【0058】
(ステップS45)
制御部58は、時間差及び回数差を比較する時期か否かを判定する。例えば、前回、差を求めた時期(ステップS44)から1週間毎に差を比較する場合、
図9中、ステップS44を実行した2wの初日から1週間毎の3w目(4w目、・・・)の初日か否かを判定する。判定の結果、差を比較する時期でない場合(S45:No)にはステップS40を終了してステップS50に移行する。一方、ステップS45の判定の結果、差を比較する時期の場合(S45:Yes)にはステップS46-1に移行する。
【0059】
(ステップS46-1)
制御部58は、平滑化テーブルT2に基づく平滑化制御の効果の有無を確認するため、積算運転時間の差又は積算運転回数の差が開いたか否かを求める。例えば、制御部58は、前回(例、2w目の初日)のステップS44で求めた時間差に比べ、今回(例、3w目の初日)のステップS44で求めた時間差が大きいか否かを判定する。同様に、制御部58は、前回のステップS44で求めた回数差に比べ、今回のステップS44で求めた回数差が大きいか否かを判定する。判定の結果、時間差及び回数差が開いていない場合(S46-1:No)には、平滑化制御の効果があるため、ステップS40を終了してステップS50に移行する。一方、ステップS46-1の判定の結果、時間差又は回数差が開いた場合(S46-1:Yes)には、平滑化制御の効果がないため、ステップS46-2を介してステップS47に移行する。
【0060】
(ステップS46-2)
制御部58は、平滑化制御を強める前に、平滑化制御の上限を確認する。例えば、1日の1/4を超える平滑化動作が禁止される現場がある。この場合、上限時刻数は「6」に設定され、上限時刻数の範囲内で時間平滑化及び回数平滑化が分担される。例えば、制御部58は、平滑化制御の時刻数が所定の上限時刻数に到達したか否かを判定する。具体的には、制御部58は、平滑化テーブルT2内の「自動設定」に対応する時間平滑化時刻の有効フラグ「1」の個数と、回数平滑化時刻の有効フラグ「1」の個数とを合計する。また、制御部58は、得られた有効フラグ「1」の個数の合計値に相当する平滑化制御の時刻数が上限時刻数(閾値)に到達したか否かを判定する。判定の結果、上限時刻数に到達した場合(S46-2:Yes)には、これ以上、平滑化制御を強めることができないため、ステップS40を終了してステップS50に移行する。一方、ステップS46-2の判定の結果、上限時刻数に到達していない場合(S46-2:No)には、平滑化制御を強める余地があるため、ステップS47に移行する。
【0061】
(ステップS47)
制御部58は、平滑化制御の効果が無く(S46-1:Yes)、上限時刻数に到達していない場合(S46-2:No)には、平滑化時刻を増やすように平滑化テーブルT2を更新する。例えば、制御部58は、ステップS46-1の判定の結果、時間差が開いた場合には、
図8中、平均時間順位「2位」の時間平滑化時刻に関連付けた有効フラグを「1」に更新する。これにより、時間平滑化制御を行う時刻の範囲が1時間増加するので、時間平滑化制御の効果が増すことを期待できる。同様に例えば、制御部58は、ステップS46-1の判定の結果、回数差が開いた場合には、
図8中、1つの平均時間順位「22位」の時間平滑化時刻に関連付けた有効フラグを「1」に更新する。これにより、回数平滑化制御を行う時刻の範囲が1時間増加するので、回数平滑化制御の効果が増すことを期待できる。
【0062】
具体的には例えば、制御部58は、
図8中、平均時間順位「1位」の時間平滑化時刻と、平均時間順位「24位」の回数平滑化時刻との2時刻で平滑化制御を開始していたとする。
【0063】
しかる後、1回目のステップS46-1にて時間差及び回数差が開いていない場合に、制御部58は、平均時間順位「2位」の時間平滑化時刻と、平均時間順位「22位」の一方の回数平滑化時刻(1:00~2:00)との有効フラグを更に有効にする。これにより、制御部58は、平均時間順位「1位」「2位」の時間平滑化時刻と、平均時間順位「24位」「22位」(の一方)の回数平滑化時刻との4時刻で平滑化制御を継続する。この場合、時間平滑化制御と回数平滑化制御との両者の効果が増すことを期待できる。
【0064】
また、2回目のステップS46-1にて時間差が開き、回数差が開いていない場合に、制御部58は、平均時間順位「3位」の時間平滑化時刻の有効フラグを更に有効にする。これにより、制御部58は、平均時間順位「1位」「2位」「3位」の時間平滑化時刻と、平均時間順位「24位」「22位」(の一方)の回数平滑化時刻との5時刻で平滑化制御を継続する。この場合、回数平滑化制御の効果が増すことを期待できる。
【0065】
また、3回目のステップS46-1にて時間差が開き、回数差が開いていない場合に、制御部58は、平均時間順位「4位」の一方の時間平滑化時刻(9:00~10:00)を更に有効にする。これにより、制御部58は、平均時間順位「1位」「2位」「3位」「4位」の時間平滑化時刻と、平均時間順位「24位」「22位」(の一方)の回数平滑化時刻との6時刻で平滑化制御を継続する。この場合、回数平滑化制御の効果が増すことを期待できる。また、6時刻の上限時刻数に到達したので、以後、4回目のステップS46-2からステップS47に移行することはない。
【0066】
いずれにしても、ステップS47の終了後、ステップS40を終了してステップS50に移行する。
【0067】
(ステップS50)
制御部58は、ステップS40で作成又は更新された平滑化テーブルT2に基づいて、時間平滑化の開始時刻か否かを判定する。すなわち、平滑化テーブルT2内の有効フラグ「1」及び「時間平滑化時刻」に関連付けられた範囲「12:00~13:00」に基づいて、現在時刻が時間平滑化の開始時刻「12:00」か否かを判定する。判定の結果、現在時刻が開始時刻でない場合(S50:No)には、ステップS60をスキップして、ステップS70に移行する。一方、ステップS50の判定の結果、現在時刻が開始時刻の場合(S50:Yes)には、ステップS60に移行する。
【0068】
(ステップS60)
ステップS60では、制御部58は、積算運転時間の平滑化制御を行う。すなわち、制御部58は、平滑化テーブルT2内の有効な時間平滑化時刻の範囲「12:00~13:00」(第1時間帯の間)において、各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。係るステップS60は、例えば
図10に示す如き、ステップS61~S68を含んで実行される。
【0069】
(ステップS61)
制御部58は、操作者の操作、流量センサ71a~71cの流量信号、圧力センサ72の圧力信号などに基づいて、起動時又は増台時か否かを判定し、起動時又は増台時の場合(S61:Yes)にはステップS62に移行する。また、否の場合(S61:No)にはステップS66に移行する。
【0070】
(ステップS62)
制御部58は、各ポンプ号機の積算運転時間から最大値と最小値を抽出し、両者の時間差(=積算運転時間の最大値-最小値)を計算する。この時間差は、積算運転時間のばらつきの大きさ(範囲)を示す指標であり、所定時間(閾値)以上の場合には、小さくする必要がある。
【0071】
(ステップS63)
制御部58は、ステップS62で得られた時間差が所定時間以上か否かを判定し、否の場合(S63:No)にはステップS64をスキップしてステップS65に移行する。一方、ステップS63の判定の結果、時間差が所定時間以上の場合(S63:Yes)にはステップS64に移行する。
【0072】
(ステップS64)
制御部58は、積算運転時間が最大値(最大積算運転時間)のポンプ号機を除いて運転を行うようにする。例えば、最大積算運転時間のポンプがポンプ1号機の場合、制御部58は、ポンプ1号機を用いず、ポンプ2号機及びポンプ3号機を用いて交互運転や並列運転を行うようにする。すなわち、制御部58は、ステップS65の運転対象から、最大積算運転時間のポンプ号機を除外する。
【0073】
(ステップS65)
制御部58は、前回運転号機の次号機から起動、増大させるよう、各ポンプ号機を制御する。例えば、ポンプ1号機、ポンプ2号機、ポンプ3号機、ポンプ1号機、ポンプ2号機、ポンプ3号機、・・・の輪番で起動させる場合、前回運転号機がポンプ2号機であれば、その次号機であるポンプ3号機から起動、増大させる。また、前回運転号機がポンプ3号機であれば、その次号機はポンプ1号機であるが、ポンプ1号機がステップS64で除外された場合(S63:Yes)にはスキップして、更なる次号機であるポンプ2号機から起動、増大させる。なお、制御部58は、ポンプ号機と、起動、増大させた順番とを関連付けて記憶しておく。このようなステップS63のYesからステップS65までは、各ポンプ号機の積算運転時間の最大値と最小値との差が所定時間以上の場合に、積算運転時間の最大値に対応するポンプ号機を駆動せず、残りの各ポンプ号機を輪番で駆動する処理の一例である。ステップS65の終了後、ステップS68に移行する。
【0074】
(ステップS66)
一方、起動時及び増台時ではない場合には、制御部58は、操作者の操作、流量センサ71a~71cの流量信号、圧力センサ72の圧力信号などに基づいて、減台時か否かを判定し、減台時の場合(S66:Yes)にはステップS67に移行する。また、減台時でない場合(S66:No)にはステップS68に移行する。
【0075】
(ステップS67)
制御部58は、複数台のうちの2台以上のポンプ号機の並列運転中にいずれかのポンプ号機を減台させる場合、直近に増台させたポンプ号機を減台させる。例えば、制御部58は、増台時とは逆順で減台させ、残り1台のポンプ号機を小水量停止させる。例えば、ポンプ2号機を起動し、ポンプ3号機を増台させた場合には、ポンプ3号機を減台させた後、ポンプ2号機を小水量停止させる。
【0076】
(ステップS68)
制御部58は、平滑化テーブルT2に基づいて、時間平滑化の終了時刻か否かを判定する。すなわち、平滑化テーブルT2内の有効フラグ「1」及び「時間平滑化時刻」に関連付けられた範囲「12:00~13:00」に基づいて、現在時刻が時間平滑化の終了時刻「13:00」か否かを判定する。判定の結果、現在時刻が終了時刻でない場合(S68:No)には、ステップS61に戻り、時間平滑化制御を継続する。一方、ステップS68の判定の結果、現在時刻が終了時刻の場合(S68:Yes)には、ステップS60を終了してステップS70に移行する。
【0077】
(ステップS70)
制御部58は、平滑化テーブルT2に基づいて、回数平滑化の開始時刻か否かを判定する。すなわち、平滑化テーブルT2内の有効フラグ「1」及び「回数平滑化時刻」に関連付けられた範囲「23:00~0:00」に基づいて、現在時刻が回数平滑化の開始時刻「23:00」か否かを判定する。判定の結果、現在時刻が開始時刻でない場合(S70:No)には、ステップS80をスキップして、ステップS10に戻る。一方、ステップS70の判定の結果、現在時刻が開始時刻の場合(S70:Yes)には、ステップS80に移行する。
【0078】
(ステップS80)
ステップS80では、制御部58は、積算運転回数の平滑化制御を行う。すなわち、制御部58は、平滑化テーブルT2内の有効な回数平滑化時刻の範囲「23:00~0:00」(第2時間帯の間)において、各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。係るステップS80は、例えば
図11に示す如き、ステップS81~S88を含んで実行される。
【0079】
(ステップS81)
制御部58は、操作者の操作、流量センサ71a~71cの流量信号、圧力センサ72の圧力信号などに基づいて、起動時又は増台時か否かを判定し、起動時又は増台時の場合(S81:Yes)にはステップS82に移行する。また、否の場合(S81:No)にはステップS86に移行する。
【0080】
(ステップS82)
制御部58は、各ポンプ号機の積算運転回数から最大値と最小値を抽出し、両者の回数差(=積算運転回数の最大値-最小値)を計算する。この回数差は、積算運転回数のばらつきの大きさ(範囲)を示す指標であり、所定回数(閾値)以上の場合には、小さくする必要がある。
【0081】
(ステップS83)
制御部58は、ステップS82で得られた回数差が所定回数(例、2回)以上か否かを判定し、否の場合(S83:No)にはステップS84をスキップしてステップS85に移行する。一方、ステップS83の判定の結果、回数差が所定回数以上の場合(S83:Yes)にはステップS84に移行する。
【0082】
(ステップS84)
制御部58は、積算運転回数が最大値(最大積算運転回数)のポンプ号機を除いて運転を行うようにする。例えば、最大積算運転回数のポンプがポンプ1号機の場合、制御部58は、ポンプ1号機を用いず、ポンプ2号機及びポンプ3号機を用いて交互運転や並列運転を行うようにする。すなわち、制御部58は、ステップS85の運転対象から、最大積算運転回数のポンプ号機を除外する。
【0083】
(ステップS85)
制御部58は、前回運転号機の次号機から起動、増大させるよう、各ポンプ号機を制御する。なお、前述同様に、制御部58は、ポンプ号機と、起動、増大させた順番とを関連付けて記憶しておく。また同様に、ステップS83のYesからステップS85までは、各ポンプ号機の積算運転回数の最大値と最小値との差が所定回数以上の場合に、積算運転回数の最大値に対応するポンプ号機を駆動せず、残りの各ポンプ号機を輪番で駆動する処理の一例である。ステップS85の終了後、ステップS88に移行する。
【0084】
(ステップS86)
一方、起動時及び増台時ではない場合には、制御部58は、操作者の操作、流量センサ71a~71cの流量信号、圧力センサ72の圧力信号などに基づいて、減台時か否かを判定し、減台時の場合(S86:Yes)にはステップS87に移行する。また、減台時でない場合(S86:No)にはステップS88に移行する。
【0085】
(ステップS87)
制御部58は、複数台のうちの2台以上のポンプ号機の並列運転中にいずれかのポンプ号機を減台させる場合、直近に増台させたポンプ号機を減台させる。例えば、制御部58は、増台時とは逆順で減台させ、残り1台のポンプ号機を小水量停止させる。例えば、ポンプ2号機を起動し、ポンプ3号機を増台させた場合には、ポンプ3号機を減台させた後、ポンプ2号機を小水量停止させる。
【0086】
(ステップS88)
制御部58は、平滑化テーブルT2に基づいて、回数平滑化の終了時刻か否かを判定する。すなわち、平滑化テーブルT2内の有効フラグ「1」及び「回数平滑化時刻」に関連付けられた範囲「23:00~0:00」に基づいて、現在時刻が回数平滑化の終了時刻「0:00」か否かを判定する。判定の結果、現在時刻が終了時刻でない場合(S88:No)には、ステップS81に戻り、回数平滑化制御を継続する。一方、ステップS88の判定の結果、現在時刻が終了時刻の場合(S88:Yes)には、ステップS80を終了してステップS10に戻る。
【0087】
上述したように第1の実施形態によれば、ポンプ装置5において、制御部58の積算機能は、複数台のポンプ61a~61cにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを求める。制御部58の合計機能は、1日の所定時間帯ごとに、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。制御部58の算出機能は、所定時間帯ごとに、合計運転時間と合計運転回数とに基づいて、各ポンプ号機の平均運転時間を算出する。制御部58の時間帯選択機能は、所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。制御部58の時間平滑化機能は、第1時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。制御部58の回数平滑化機能は、第2時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。
【0088】
従って、平均運転時間の大きい第1時間帯の間に、積算運転時間を平滑化する構成により、各ポンプの積算運転時間の平滑化を効率的に行うことができる。また、平均運転時間の小さい第2時間帯の間に、積算運転回数を平滑化する構成により、各ポンプの積算運転回数の平滑化を効率的に行うことができる。補足すると、ポンプ装置5を設置するビルの用途や、アパートの住民の生活リズムや、工場の稼働状況などが変化しても、ポンプを設定変更することなく、積算運転時間のばらつきを平滑化して、ポンプ装置の長寿命化を図ることができる。
【0089】
また、第1の実施形態によれば、制御部58の時間平滑化機能は、各ポンプ号機の積算運転時間の最大値と最小値との差が所定時間以上の場合に、積算運転時間の最大値に対応するポンプ号機を駆動せず、残りの各ポンプ号機を輪番で駆動してもよい。制御部58の回数平滑化機能は、各ポンプ号機の積算運転回数の最大値と最小値との差が所定回数以上の場合に、積算運転回数の最大値に対応するポンプ号機を駆動せず、残りの各ポンプ号機を輪番で駆動してもよい。この場合、上述した効果に加え、各ポンプ号機を輪番で駆動しつつ、積算運転時間及び積算運転回数の平滑化を行うことができる。
【0090】
また、第1の実施形態によれば、制御部58の時間平滑化機能及び回数平滑化機能の各々は、複数台のうちの2台以上のポンプ号機の並列運転中にいずれかのポンプ号機を減台させる場合、直近に増台させたポンプ号機を減台させてもよい。この場合、上述した効果に加え、直近に増台させ且つ減台させるポンプ号機に比べ、先に起動させたポンプ号機の積算運転時間を長くできるので、積算運転時間の調整を効率的に行うことができる。
【0091】
また、第1の実施形態によれば、制御部58の再実行制御機能は、制御部58の合計機能、算出機能及び時間帯選択機能を一定期間ごとに再実行させてもよい。この場合、上述した効果に加え、マンション等の住民の生活リズムや、工場の稼働状況などの変化に伴ってポンプ装置5を使用する時間帯が変化しても、当該時間帯の変化に応じて、平滑化制御を行う時間帯を変更することができる。
【0092】
(第1の実施形態の変形例)
第1の実施形態では、制御部58は、1日分の平滑化テーブルT2を
図9に示すように作成周期毎に作成して交換したが、これに限定されない。補足すると、ポンプ装置5は、一般的なビルやアパートで使用されたり、工場設備への給水に使用されたりする。一般的なビルやアパートで使用される場合、昼間よく水が使用されたり、夕方よく水が使用されたり、夜間は日中に比べ水が使用されなかったりする。工場設備に給水する場合は1日中ポンプが同じ水量を給水したり(停止せずに給水したり)、日中、夜間で差の無い場合もある。すなわち、ポンプ装置5は、設置された環境により、運転傾向が毎日同じ場合と、毎日変わる場合とがある。運転傾向が毎日同じ場合には、1日分の平滑化テーブルT2を繰り返し使えばよいが、運転傾向が毎日変わる場合には、平滑化テーブルT2も適宜、交換することが好ましい。従って、運転傾向が毎日変わる場合に対し、例えば、制御部58は、1日分の平滑化テーブルT2を毎日作成して交換してもよい。このようにしても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
また、第1の実施形態では、制御部58は、1日分の平滑化テーブルT2を用いたが、これに限定されない。例えば、制御部58は、カレンダー機能を有し、曜日毎に作成した複数の平滑化テーブルT2を曜日毎に切り替えて用いてもよい。具体的には例えば、制御部58は、7日分の平滑化テーブルT2を1日分ずつ用い、8日目は1日目の平滑化テーブルT2を参照するように、7日分の平滑化テーブルT2を繰り返し用いればよい。この場合、制御部58の合計機能は、曜日ごとに、且つ所定時間帯ごとに合計運転時間及び合計運転回数を求める。制御部58の算出機能は、曜日ごとに、且つ所定時間帯ごとに平均運転時間を算出する。制御部58の時間帯選択機能は、曜日ごとに、第1時間帯及び第2時間帯を選択する。制御部58の時間平滑化機能は、曜日ごとに選択された第1時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。制御部58の回数平滑化機能は、曜日ごとに選択された第2時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。このような変形例によれば、第1の実施形態の効果に加え、商業施設における平日と休日といった、曜日毎にポンプの運転傾向が大きく変わる場合にも、曜日ごとの使用傾向に応じて効率的な平滑化を図ることができる。なお、このとき、制御部58の合計機能、算出機能、時間帯選択機能、時間平滑化機能及び回数平滑化機能の各々は、祝日及び振替え休日を日曜日とみなして曜日ごとの動作を行うようにしてもよい。この場合、変形例の効果に加え、商業施設における祝日、振替え休日及び日曜日のようにポンプの使用傾向が類似した場合には日曜日の動作にまとめることができる。従って、平日が祝日の場合や平日が振替え休日の場合などのように、祝日及び振替え休日と平日とを混在させた平均運転時間に基づいて第1時間帯や第2時間帯を選択する場合の、第1時間帯や第2時間帯の精度の低下を抑制することができる。
【0094】
また、第1の実施形態では、点検作業モードについて述べなかったが、これに限定されない。例えば、制御部58は、点検作業モードの実行中、時間平滑化機能及び回数平滑化機能の動作を停止させ、各ポンプ号機を輪番で駆動する通常運転を行う平滑化停止機能を備えてもよい。この場合、第1の実施形態の効果に加え、積算運転時間又は積算運転回数の最大値に対応するポンプ号機であっても、点検作業モード中には駆動させて点検することができる。
【0095】
また、第1の実施形態では、平滑化制御の時刻数を増やす処理の前に、平滑化制御の時刻数が上限時刻数に到達したか否かを判定したが、これに限定されない。例えば、平滑化テーブルT2内の「自動設定」に対応する「時間平滑化時刻」の行数(例、3)と「回数平滑化時刻」の行数(例、3)との合計を上限時刻数(例、6)に制限してもよい。この場合、平滑化テーブルT2内の全ての「時間平滑化時刻」及び「回数平滑化時刻」を有効フラグ「1」(有効)にしても、合計した平滑化制御の時刻数(例、6(=3+3))が上限時刻数(例、6)を超えることがない。従って、このような変形例によれば、第1の実施形態と同様の効果に加え、平滑化制御の時刻数が上限時刻数に到達したか否かの判定を省略することができる。
【0096】
以上のような第1の実施形態の各変形例は、以下の各実施形態に適用して同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、平滑化制御の際に、輪番ではなく、積算運転時間や積算運転回数の小さいポンプ号機を優先的に起動、増大させる形態である。
【0098】
これに伴い、制御部58の時間平滑化機能は、各ポンプ号機の積算運転時間の最大値と最小値との差が所定時間以上の場合に、積算運転時間の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する。また例えば、制御部58の時間平滑化機能は、複数台のうちの2台以上のポンプ号機の並列運転中にいずれかのポンプ号機を減台させる場合、並列運転中の各ポンプ号機のうち、積算運転時間が最大のポンプ号機を減台させる。
【0099】
同様に、制御部58の回数平滑化機能は、各ポンプ号機の積算運転回数の最大値と最小値との差が所定回数以上の場合に、積算運転回数の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する。また例えば、制御部58の回数平滑化機能は、並列運転中のいずれかのポンプ号機を減台させる場合、当該並列運転中の各ポンプ号機のうち、積算運転回数が最大のポンプ号機を減台させる。
【0100】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0101】
次に、以上のように構成されたポンプ装置5の動作例について
図12及び
図13のフローチャートを用いて説明する。
図12及び
図13中、
図11及び
図12の処理とは異なる処理のステップ番号には、末尾又は途中に英大文字「A」を付している。
【0102】
いま、前述同様にステップS10~S50が実行され、ステップS50の判定結果に基づき、ステップS60が実行されるとする。
【0103】
(ステップS60)
ステップS60では、制御部58は、積算運転時間の平滑化制御を行う。ステップS60は、例えば
図12に示す如き、ステップS62~S68を含んで実行される。なお、前述したステップS61は、後述するステップS64A2として実行される。
【0104】
(ステップS62)
制御部58は、各ポンプ号機の積算運転時間から最大値と最小値を抽出し、両者の時間差(=積算運転時間の最大値-最小値)を計算する。
【0105】
(ステップS63)
制御部58は、ステップS62で得られた時間差が所定時間以上か否かを判定し、否の場合(S63:No)には時間平滑化制御をスキップしてステップS64A1に移行する。一方、ステップS63の判定の結果、時間差が所定時間以上の場合(S63:Yes)にはステップS64A2に移行する。
【0106】
(ステップS64A1)
制御部58は、積算運転時間の時間差が小さい場合(S63:No)、通常の輪番で各ポンプ号機を運転する。ステップS64A1の終了後、ステップS68に移行する。
【0107】
(ステップS64A2)
制御部58は、前述したステップS61と同様に、起動時又は増台時か否かを判定し、起動時又は増台時の場合(S64A2:Yes)にはステップS65Aに移行する。また、否の場合(S64A2:No)にはステップS66に移行する。
【0108】
(ステップS65A)
制御部58は、積算運転時間が最小値(最小積算運転時間)のポンプ号機を優先的に起動、増台させるよう、各ポンプ号機を制御する。詳しくは、制御部58は、積算運転時間が小さい順に優先して起動、増台させるよう、各ポンプ号機を制御する。このようなステップS63のYesからステップS65Aまでは、各ポンプ号機の積算運転時間の最大値と最小値との差が所定時間以上の場合に、積算運転時間の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する処理の一例である。ステップS65Aの終了後、ステップS68に移行する。
【0109】
(ステップS66)
一方、起動時及び増台時ではない場合には、制御部58は、前述同様に、減台時か否かを判定し、減台時の場合(S66:Yes)にはステップS67Aに移行する。また、減台時でない場合(S66:No)にはステップS68に移行する。
【0110】
(ステップS67A)
制御部58は、積算運転時間が最大値(最大積算運転時間)のポンプ号機を優先的に減台、小水量停止させるよう、各ポンプ号機を制御する。例えば、制御部58は、並列運転中のいずれかのポンプ号機を減台させる場合、並列運転中の各ポンプ号機のうち、積算運転時間が最大のポンプ号機を減台させる。
【0111】
(ステップS68)
制御部58は、平滑化テーブルT2に基づいて、時間平滑化の終了時刻か否かを判定する。判定の結果、現在時刻が終了時刻でない場合(S68:No)には、ステップS62に戻り、時間平滑化制御を継続する。一方、ステップS68の判定の結果、現在時刻が終了時刻の場合(S68:Yes)には、ステップS60を終了してステップS70に移行する。
【0112】
(ステップS70)
制御部58は、前述同様に、回数平滑化の開始時刻か否かを判定する。判定の結果、現在時刻が開始時刻でない場合(S70:No)には、ステップS80をスキップして、ステップS10に戻る。一方、ステップS70の判定の結果、現在時刻が開始時刻の場合(S70:Yes)には、ステップS80に移行する。
【0113】
(ステップS80)
ステップS80では、制御部58は、積算運転回数の平滑化制御を行う。ステップS80は、例えば
図13に示す如き、ステップS82~S88を含んで実行される。なお、前述したステップS81は、後述するステップS84A2として実行される。
【0114】
(ステップS82)
制御部58は、各ポンプ号機の積算運転回数から最大値と最小値を抽出し、両者の回数差(=積算運転回数の最大値-最小値)を計算する。
【0115】
(ステップS83)
制御部58は、ステップS82で得られた回数差が所定時間以上か否かを判定し、否の場合(S83:No)には回数平滑化制御をスキップしてステップS84A1に移行する。一方、ステップS83の判定の結果、回数差が所定回数以上の場合(S83:Yes)にはステップS84A2に移行する。
【0116】
(ステップS84A1)
制御部58は、ステップS82で得られた回数差が小さい場合(S83:No)、通常の輪番で各ポンプ号機を運転する。ステップS84A1の終了後、ステップS88に移行する。
【0117】
(ステップS84A2)
制御部58は、前述したステップS81と同様に、起動時又は増台時か否かを判定し、起動時又は増台時の場合(S84A2:Yes)にはステップS85Aに移行する。また、否の場合(S84A2:No)にはステップS86に移行する。
【0118】
(ステップS85A)
制御部58は、積算運転回数が最小値(最小積算運転回数)のポンプ号機を優先的に起動、増台させるよう、各ポンプ号機を制御する。詳しくは、制御部58は、積算運転回数が小さい順に優先して起動、増台させるよう、各ポンプ号機を制御する。このようなステップS83のYesからステップS85Aまでは、各ポンプ号機の積算運転回数の最大値と最小値との差が所定回数以上の場合に、積算運転回数の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する処理の一例である。ステップS85Aの終了後、ステップS88に移行する。
【0119】
(ステップS86)
一方、起動時及び増台時ではない場合には、制御部58は、前述同様に、減台時か否かを判定し、減台時の場合(S86:Yes)にはステップS87Aに移行する。また、減台時でない場合(S86:No)にはステップS88に移行する。
【0120】
(ステップS87A)
制御部58は、積算運転回数が最大値(最大積算運転回数)のポンプ号機を優先的に減台、小水量停止させるよう、各ポンプ号機を制御する。例えば、制御部58は、並列運転中のいずれかのポンプ号機を減台させる場合、並列運転中の各ポンプ号機のうち、積算運転回数が最大のポンプ号機を減台させる。
【0121】
(ステップS88)
制御部58は、平滑化テーブルT2に基づいて、回数平滑化の終了時刻か否かを判定する。判定の結果、現在時刻が終了時刻でない場合(S88:No)には、ステップS82に戻り、回数平滑化制御を継続する。一方、ステップS88の判定の結果、現在時刻が終了時刻の場合(S88:Yes)には、ステップS80を終了してステップS10に戻る。
【0122】
上述したように第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、平均運転時間の大きい第1時間帯の間に、積算運転時間を平滑化する構成により、各ポンプの積算運転時間の平滑化を効率的に行うことができる。また同様に、平均運転時間の小さい第2時間帯の間に、積算運転回数を平滑化する構成により、各ポンプの積算運転回数の平滑化を効率的に行うことができる。
【0123】
また、第2の実施形態によれば、制御部58の時間平滑化機能は、各ポンプ号機の積算運転時間の最大値と最小値との差が所定時間以上の場合に、積算運転時間の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する。制御部58の回数平滑化機能は、各ポンプ号機の積算運転回数の最大値と最小値との差が所定回数以上の場合に、積算運転回数の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する。従って、上述した効果に加え、積算運転時間の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する構成により、積算運転時間の平滑化をより一層、効率的に行うことができる。同様に、積算運転回数の小さい順に優先的に各ポンプ号機を駆動する構成により、積算運転回数の平滑化をより一層、効率的に行うことができる。
【0124】
また、第2の実施形態によれば、制御部58の時間平滑化機能は、複数台のうちの2台以上のポンプ号機の並列運転中にいずれかのポンプ号機を減台させる場合、並列運転中の各ポンプ号機のうち、積算運転時間が最大のポンプ号機を減台させる。また、制御部58の回数平滑化機能は、並列運転中のいずれかのポンプ号機を減台させる場合、当該並列運転中の各ポンプ号機のうち、積算運転回数が最大のポンプ号機を減台させる。従って、上述した効果に加え、積算運転時間や積算運転回数が最大のポンプ号機を減台させる構成により、積算運転時間及び積算運転回数の調整を効率的に行うことができる。
【0125】
<第3の実施形態>
第3の実施形態は、第1又は第2の実施形態の各変形例であり、積算運転時間のばらつきを低減可能な構造を備えたポンプ装置5の形態である。
【0126】
具体的には、
図3に示したポンプ装置5の構成において、流量センサ71a~71cは、複数台のポンプ61a~61cにおける各ポンプ号機に設けられている。ここで、各々の流量センサ71a~71cは、各ポンプ号機から吐出される流体を受けて回転する羽根車の回転に基づいて当該流体の流量を測定する。
【0127】
一方、ポンプ装置5の制御部58は、各ポンプ号機ごとに停止流量を設定する設定機能を含んでいる。また、制御部58は、流量センサ71a~71cの流量信号と当該停止流量とに基づいて、各ポンプ号機を停止制御する。
【0128】
また、ポンプ装置5において、運転テーブルT1及び平滑化テーブルT2の作成/更新処理に関する機能(制御部58の前述した合計機能、算出機能及び時間帯選択機能)が省略されている。但し、ポンプ装置5において、
図8に示す平滑化テーブルT2のうち、手動設定モードに関連付けた行(有効フラグ、時間平滑化開始/終了時刻、回数平滑化開始/終了時刻)は、使用可能となっている。すなわち、制御部58の時間平滑化機能及び回数平滑化機能は、第1又は第2の実施形態と同様に備えている。但し、第3の実施形態においては、時間平滑化制御を行う第1時間帯は、操作者の操作に応じて手動設定される開始時刻及び終了時刻で指定される時間帯であり、平均運転時間の大きい順に選択されたものを意味しない。同様に、第3の実施形態においては、回数平滑化制御を行う第2時間帯は、操作者の操作に応じて手動設定される開始時刻及び終了時刻で指定される時間帯であり、平均運転時間の小さい順に選択されたものを意味しない。
【0129】
他の構成は、第1又は第2の実施形態と同様である。
【0130】
以上のような構成によれば、ポンプ装置5において、流量センサ71a~71cは、複数台のポンプ61a~61cにおける各ポンプ号機に設けられ、各ポンプ号機から吐出される流体を受けて回転する羽根車の回転に基づいて当該流体の流量を測定する。制御部58は、各ポンプ号機ごとに停止流量を設定し、流量センサ71a~71cの流量信号と停止流量とに基づいて、各ポンプ号機を停止制御する。
【0131】
このように、第3の実施形態によれば、各ポンプ号機ごとに羽根車の回転に基づいて実際の流量を測定でき、且つ各ポンプ号機ごとに停止流量を設定できるため、平滑化制御を行わない状態でも、各ポンプの積算運転時間のばらつきが低減されている。従って、各ポンプの積算運転時間の平滑化を効率的に行うことができる。
【0132】
補足すると、各ポンプ号機の流量センサ71a~71cが、各ポンプ号機から吐出される流体を受けて回転する羽根車の回転に基づいて当該流体の流量を測定するので、連続的に変化する流量を羽根車の回転数に応じて検出することができる。言い換えると、流量をアナログ的に検出することができる。
【0133】
一方、比較例として、一定流量を超えた流量でオン(開)し、一定流量以下の流量でオフ(閉)するパドル式の流量センサを用いたポンプ装置について述べる。比較例のポンプ装置では、流量センサが、ポンプから吐出される水を受けることによって可動することで出力をオンまたはオフする。すなわち、比較例のポンプ装置の流量センサは、停止流量以上のときにパドルが可動することによって出力をオフする構造であり、連続的に変化する流量を検出するものではない。
【0134】
他方、一般に、ポンプ装置の流量センサは、ポンプ毎に設けられ、ポンプ毎の吐出し配管に少なくとも1つ備えられている。流量センサが検出する一定以下の流量は、分かり易くいうと蛇口が開いている状態から閉められた状態になることを意味する。ポンプは、通常時計回りに回転する。ポンプは吸込み配管から吸い込んだ水を吐出し配管へ吐き出すが、水を加圧するインペラは時計回転をしている。ポンプ毎の吐出し配管が合流吐出し配管に接続される構造は、完全にシンメトリである場合もあるが、ポンプ設置面積が狭い等の事情でシンメトリにできない場合もある。シンメトリでない場合、ポンプから吐き出された水の流れが異なるため、流量センサの動作に誤差を生み出す。その誤差がポンプ毎の停止までの時間に誤差を生み出し、長い年月をかけて積算運転時間をばらつかせている。
【0135】
ポンプ毎の吐出し配管の接続がシンメトリでない構造に起因した積算運転時間のばらつきは、比較例の如き、一定流量を境にしてオンオフするパドル式の流量センサでは低減できない。これは、シンメトリでない構造で各ポンプから吐出された水流の異なりが、パドル式の流量センサのオンオフ動作に誤差を生じさせ易いためである。
【0136】
これに対し、第3の実施形態によれば、流量センサ71a~71cが実際の流量を測定可能なため、ポンプ号機毎に停止流量を個別に設定することで、実際に蛇口を閉めたときの停止流量の差を補正することができる。この補正を行うと、同じ水の使い方であっても停止までの時間がばらついていた従来の原因を補正できるため、積算運転時間のばらつきを最小限にすることが可能である。
【0137】
なお、第3の実施形態により、シンメトリでない構造に起因したばらつきを補正し、それでもばらつきが大きくなる場合に、第1又は第2の実施形態に述べた平滑化制御を実行すれば、最も効率的にバラツキを抑制できる。以下、この変形例について述べる。
【0138】
(第3の実施形態の変形例)
第3の実施形態では、第1及び第2の実施形態における平滑化制御を実行していないが、これに限定されない。例えば、ポンプ装置5の制御部58は、第1又は第2の実施形態に述べた積算機能、合計機能、算出機能、時間帯選択機能、時間平滑化機能、回数平滑化機能、を含んでもよい。例えば、制御部58の積算機能は、各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを求める。制御部58の合計機能は、1日の所定時間帯ごとに、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。制御部58の算出機能は、所定時間帯ごとに、合計運転時間と合計運転回数とに基づいて、各ポンプ号機の平均運転時間を算出する。制御部58の時間帯算出機能は、所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。制御部58の時間平滑化機能は、例えば
図10又は
図12に示したように、第1時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。制御部58の回数平滑化機能は、例えば
図11又は
図13に示したように、第2時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。このような変形例によれば、第3の実施形態の作用効果に加え、第1又は第2の実施形態の作用効果を得ることができる。従って、前述した通り、最も効率的にバラツキを抑制することができる。
【0139】
<第4の実施形態>
第4の実施形態は、第1乃至第3の実施形態の各変形例であり、平滑化時刻を管理装置1側で求め、管理装置1側から平滑化時刻をポンプ装置5に手動設定する形態である。
【0140】
これに伴い、ポンプ装置5において、運転テーブルT1及び平滑化テーブルT2の作成/更新処理に関する機能(制御部58の前述した合計機能、算出機能及び時間帯選択機能)が省略可能となる。但し、ポンプ装置5において、
図8に示す平滑化テーブルT2のうち、手動設定モードに関連付けた行(有効フラグ、時間平滑化開始/終了時刻、回数平滑化開始/終了時刻)は、使用可能となっている。すなわち、制御部58の時間平滑化機能及び回数平滑化機能は、第1又は第2の実施形態と同様に備えている。
【0141】
一方、管理装置1の制御部16は、管理装置1としての機能に加え、受信機能、合計機能、算出機能、時間帯選択機能、第1送信機能及び第2送信機能を備えている。これら受信機能、合計機能、算出機能、時間帯選択機能、第1送信機能及び第2送信機能は、受信部、合計部、算出部、時間帯選択部、第1送信部及び第2送信部の一例である。
【0142】
制御部16の受信機能は、ポンプ装置5から、複数台のポンプ61a~61cにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とに関する運転データTa~tcを受信する。ここで、積算運転時間と積算運転回数とに関する運転データとしては、例えば、(a)各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを含む運転データ、及び(b)各ポンプ号機の運転開始時刻及び/又は運転終了時刻を含む運転データ、のいずれとしてもよい。また、上記(b)の場合、制御部16は、一組の運転終了時刻から運転開始時刻を減算して1回の運転時間を算出し、且つ運転開始時刻と運転終了時刻との一組を1回の運転回数として積算する。制御部16は、1回毎の運転時間を積算することで積算運転時間を求めることや、求めた積算運転時間から合計運転時間を求めることが可能である。同様に、制御部16は、1回毎の運転回数を積算することで積算運転回数を求めることや、求めた積算運転回数から合計運転回数を求めることが可能である。第4の実施形態では、上記(a)の場合(各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とを含む運転データTa~tcの場合)を例に挙げて述べる。
【0143】
制御部16の合計機能は、受信した運転データに基づいて、1日の所定時間帯ごとに、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。
【0144】
制御部16の算出機能は、所定時間帯ごとに、合計運転時間と合計運転回数とに基づいて、各ポンプ号機の平均運転時間を算出する。
【0145】
制御部16の時間帯選択機能は、所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。
【0146】
制御部16の第1送信機能は、ポンプ装置5に対し、第1時間帯の間に各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための第1時間帯の開始時刻及び終了時刻を送信する。
【0147】
制御部16の第2送信機能は、ポンプ装置5に対し、第2時間帯の間に各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための第2時間帯の開始時刻及び終了時刻を送信する。
【0148】
他の構成は、第1乃至第3の各実施形態と同様である。
【0149】
次に、以上のように構成されたポンプ装置5及び管理装置1の動作例について
図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0150】
(ステップS10)
ポンプ装置5は、前述同様に、輪番で各ポンプ号機を運転する。また同様に、ポンプ装置5の制御部58は、時刻毎にポンプ号機毎に、1回当たりの運転時間、1回当たりの運転回数、積算運転時間及び積算運転回数を含む運転データTa~Tcを記憶装置57に保存する。
【0151】
(ステップS25)
ポンプ装置5は、定期的に、各ポンプ号機の運転データTa~Tcを管理装置1に送信する。
【0152】
(ステップS27)
管理装置1の制御部16は、受信した運転データTa~Tcをデータベース14に保存して管理する。ステップS27は、ポンプ装置5から、複数台のポンプ61a~61cにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とに関する運転データTa~tcを受信する処理の一例である。
【0153】
(ステップS30B)
管理装置1の制御部16は、当該各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間が閾値を超えたか否かを判定し、超えない場合にはステップS27に戻る。ここで、閾値は、例えば10時間であり、ポンプの試運転に対応する時間を示している。すなわち、ステップS30Bは、運転時間のばらつきが大きい試運転期間中に平滑化テーブルの作成/更新処理を行わないよう、閾値を超えない場合にはステップS27に戻る処理としている。一方、閾値を超えた場合には、ポンプ61a~61cの試運転期間が終了したため、ステップS40に移行する。
【0154】
(ステップS40)
管理装置1の制御部16は、前述同様に、ステップS41~S47を含むステップS40を実行する。ここで、前述したステップS40の説明中、ポンプ装置5の制御部58は、適宜、管理装置1の制御部16に読み替える。なお、ステップS42において、運転テーブルT1を作成する処理は、受信した運転データに基づいて、1日の所定時間帯ごとに、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める処理の一例と、所定時間帯ごとに、合計運転時間と合計運転回数とに基づいて、各ポンプ号機の平均運転時間を算出する処理の一例とを含んでいる。また、ステップS42において、平滑化テーブルT2を作成する処理は、所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する処理の一例を含んでいる。また、ステップS41で所定の作成周期(一定期間)が到来した場合にステップS42に移行し、ステップS42で新テーブル作成を行うことは、合計機能、算出機能及び時間帯選択機能を一定期間ごとに再実行させる処理の一例を含んでいる。また、ステップS47の終了後、ステップS40を終了してステップS48に移行する。
【0155】
(ステップS48)
管理装置1の制御部16は、作成/更新した平滑化時刻をポンプ装置5に送信する。送信する平滑化時刻は、時間平滑化開始時刻の項目及び値、時間平滑化終了時刻の項目及び値、回数平滑化開始時刻の項目及び値、回数平滑化終了時刻の項目及び値、を含んでいる。ステップST48は、ポンプ装置5に対し、第1時間帯の間に各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための第1時間帯の開始時刻及び終了時刻を送信する処理の一例である。また、ステップS48は、ポンプ装置5に対し、第2時間帯の間に各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための第2時間帯の開始時刻及び終了時刻を送信する処理の一例である。
【0156】
(ステップS49-1)
ポンプ装置5の制御部58は、管理装置1から平滑化時刻を受信すると、当該平滑化時刻を平滑化テーブルT2の「時間平滑化開始時刻」、「時間平滑化終了時刻」、「回数平滑化開始時刻」、「回数平滑化終了時刻」の各々の項目に関連付けて設定する。また、ポンプ装置5の制御部58は、平滑化テーブルT2の「時間平滑化開始時刻」、「時間平滑化終了時刻」、「回数平滑化開始時刻」、「回数平滑化終了時刻」の各々の項目に関連付けて、有効を示す有効フラグ「1」を設定する。なお、ポンプ装置5の制御部58は、操作者の操作によって平滑化時刻が入力された場合にも、同様に、平滑化時刻を平滑化テーブルT2に設定(手動設定)する。すなわち、ステップS49-1においては、平滑化テーブルT2に手動設定される平滑化時刻を、管理装置1側から設定している。
【0157】
(ステップS49-2)
定期的又は不定期に、ポンプ装置5の制御部58は、平滑化時刻を設定したか否かを判定する。この判定は、例えば「時間平滑化開始時刻」、「時間平滑化終了時刻」、「回数平滑化開始時刻」、「回数平滑化終了時刻」の各々の項目に関連付けて値が設定されているか否かに基づいて行ってもよく、有効フラグの値が「1」か否かに基づいて行ってもよい。いずれにしても、ステップS49-2の判定の結果、否の場合にはステップS10に戻り、平滑化時刻を設定した場合にはステップS50に移行する。
【0158】
(ステップS50~S80)
ステップS50~S80は、管理装置1から送信されて設定された時間平滑化開始時刻、時間平滑化終了時刻、回数平滑化開始時刻、回数平滑化終了時刻に基づいて、前述同様に実行される。なお、ステップS60における積算運転時間の平滑化制御は、
図10及び
図12のいずれに示したように実行してもよい。同様に、ステップS80における積算運転回数の平滑化制御は、
図11及び
図13のいずれに示したように実行してもよい。
【0159】
上述したように第4の実施形態によれば、管理装置1において、制御部16の受信機能は、ポンプ装置5から、複数台のポンプ61a~61cにおける各ポンプ号機の積算運転時間と積算運転回数とに関する運転データTa~tcを受信する。制御部16の合計機能は、受信した運転データに基づいて、1日の所定時間帯ごとに、各ポンプ号機の積算運転時間を合計した合計運転時間と、各ポンプ号機の積算運転回数を合計した合計運転回数とを求める。制御部16の算出機能は、所定時間帯ごとに、合計運転時間と合計運転回数とに基づいて、各ポンプ号機の平均運転時間を算出する。制御部16の時間帯選択機能は、所定時間帯ごとの平均運転時間のうち、当該平均運転時間の大きい順に少なくとも1つの第1時間帯を選択し、当該平均運転時間の小さい順に少なくとも1つの第2時間帯を選択する。制御部16の第1送信機能は、ポンプ装置5に対し、第1時間帯の間に各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための第1時間帯の開始時刻及び終了時刻を送信する。制御部16の第2送信機能は、ポンプ装置5に対し、第2時間帯の間に各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動させるための第2時間帯の開始時刻及び終了時刻を送信する。
【0160】
一方、ポンプ装置5においては、管理装置1から受信した第1時間帯の開始時刻及び終了時刻に基づいて、第1時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転時間を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。また、ポンプ装置5においては、管理装置1から受信した第2時間帯の開始時刻及び終了時刻に基づいて、第2時間帯の間、各ポンプ号機の積算運転回数を平滑化するように当該各ポンプ号機を駆動する。
【0161】
従って、管理装置1からポンプ装置5に対し、時間平滑化制御の開始時刻及び終了時刻を送信する構成としても、平均運転時間の大きい第1時間帯の間に積算運転時間を平滑化することで、積算運転時間の平滑化を効率的に行うことができる。また、管理装置1からポンプ装置5に対し、回数平滑化制御の開始時刻及び終了時刻を送信する構成としても、平均運転時間の小さい第2時間帯の間に積算運転回数を平滑化することで、積算運転回数の平滑化を効率的に行うことができる。
【0162】
補足すると、ポンプ装置5がカレンダー機能を持つ場合、より効果的に平滑化を行うことができるが、カレンダー機能を正確に維持するためには、ポンプ装置5の電源が遮断されてもカウントし続けるための電池が必要になる。ポンプ装置5の電源が遮断される場合には、メンテナンスや停電がある。メンテナンスであれば、メンテナンス後にカレンダー機能の日時を再調整すればよいが、手間であるため、再調整されないことが多い。停電であれば、人が現場にいないため、カレンダー機能の日時設定のために現場に行く必要があるが、現場に行かずに済ませたい。従って、バックアップ用の電池が取り付けられる。この電池は、ポンプの寿命と同じだけの寿命をもつ必要があり、高価な電池となる。一方、近年、通信技術が発達し、通信装置及び通信費用が安価になったことで、遠隔監視による死活監視を求められる場合が多い。この場合、NTP(network time protocol)サーバ経由で時刻を補正可能であり、カレンダー機能も電池も不要になる。ポンプ装置5の計時機能は、故障時刻の記憶や、決まった時刻に起動停止を行うような制御で使用されてきたが、遠隔操作により代替可能となる。このため、ポンプ装置5の計時機能自体も不要となる。遠隔通信可能なポンプ装置の場合、運転毎に管理装置1に運転時間と運転号機情報を送ってもよく、1時間分、1日分のデータとして定期的に送ってもよい。通信セッションは、回数が少ない方がサーバの能力が低くてよいため、安価な構成にできる点で後者が望ましい。また、クラウドを使用している場合には、アクセス回数が少ない方が管理維持費が安価にできるので、やはり後者が望ましい。管理装置1で、曜日毎に時刻毎の運転時間を記憶し、その情報に基づき、ポンプ装置5に平滑化制御の開始時刻や終了時刻を設定し、平滑化を行う。前述した如き、ポンプ装置5の構造がアシンメトリな機種で管理装置1による平滑化制御の設定機能を使用したい。例えば、平滑化制御の開始/終了時刻の設定に限らず、現場毎に有効フラグを有効化又は無効化したり、状況に応じて自由に設定変更することが望ましい。従って、管理装置1から遠隔操作可能なポンプ装置5であれば、平滑化制御に関するパラメータを管理装置1から設定することで、よりユーザの望む形で平滑化を行うことができる。
【0163】
また、第4の実施形態によれば、管理装置1において、制御部16の再実行制御機能が、制御部16の合計機能、算出機能及び時間帯選択機能を一定期間ごとに再実行させてもよい。この場合、第1の実施形態と同様に、マンション等の住民の生活リズムや、工場の稼働状況などの変化に伴ってポンプ装置5を使用する時間帯が変化しても、当該時間帯の変化に応じて、平滑化制御を行う時間帯を変更することができる。
【0164】
(第4の実施形態の変形例)
第4の実施形態では、ポンプ装置5が各ポンプ号機の積算運転時間及び積算運転回数を含む運転データを送信したが(ステップS25)、これに限定されない。例えば、ポンプ装置5が、各ポンプ号機を運転開始したタイミングで運転開始時刻を管理装置1へ送信し、各ポンプ号機を運転終了したタイミングで運転終了時刻を管理装置1へ送信してもよい。あるいは、ポンプ装置5は、運転開始時刻及び運転終了時刻を一緒に管理装置1へ送信してもよい。いずれにしても、管理装置1は、運転終了時刻と運転開始時刻との差分として1回の運転時間を算出し、一対の運転開始時刻の通知と運転終了時刻の通知とを運転回数1回として積算する。これにより、管理装置1は、積算運転時間及び積算運転回数を求めてもよい。このように変形しても、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0165】
また、第4の実施形態では、ポンプ装置5において、制御部58の合計機能、算出機能及び時間帯選択機能を省略したが、これに限定されない。例えば、ポンプ装置5において、
図8に示す如き、第1及び第2の実施形態における自動設定モードと、第4の実施形態における手動設定モードとを併用する場合には、制御部58の合計機能、算出機能及び時間帯選択機能を省略しない。このように変形しても、平滑化テーブルT2を手動設定する手動設定モードの場合には、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0166】
また、第4の実施形態では、ポンプ装置5が、現在時刻が平滑化制御の時刻であるか否か、積算運転時間が所定時間以上か否か、積算運転回数が所定回数以上か否か、といった判定を実行したが、これに限定されない。例えば、管理装置1が、現在時刻が時間平滑化制御の開始時刻であるか否か、積算運転時間が所定時間以上か否か、といった判定を実行し、それぞれ肯定的な判定結果の場合に、時間平滑化制御モードに変更するようポンプ装置5に通知してもよい。ここでいう時間平滑化制御モードは、起動時又は増台時にはステップS64及びS65(又はS65A)を行い、減台時にはステップS67(又はS67A)を行うモードである。同様に、管理装置1が、現在時刻が回数平滑化制御の開始時刻であるか否か、積算運転回数が所定回数以上か否か、といった判定を実行し、それぞれ肯定的な判定結果の場合に、回数平滑化制御モードに変更するようポンプ装置5に通知してもよい。ここでいう回数平滑化制御モードは、起動時又は増台時にはステップS84及びS85(又はS85A)を行い、減台時にはステップS87(又はS87A)を行うモードである。このように変形しても、第4の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0167】
上記各実施形態及び各変形例では、いくつかの処理を実行する制御部16及び制御部58を説明したが、これは実装の一例に過ぎない。例えば、1つの制御部16及び制御部58に実行されると説明された複数の処理が複数の別々の制御部やプロセッサに亘って実装されることもあり得る。
【0168】
上記本実施形態及び変形例において説明された種々の制御部16は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。同様に、制御部58の機能は、特定の機能を実現する専用回路で実現されてもよい。
【0169】
上記本実施形態及び変形例の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD、Blu-ray(登録商標)Disc等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【0170】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0171】
1・・・管理装置、5・・・ポンプ装置、11・・・操作部、12・・・表示部、13・・・記憶部、14・・・データベース、15・・・通信部、16・・・制御部、50・・・制御装置、51・・・通信器、53・・・入力機器、54・・・インバータ、55・・・インタフェース、56・・・表示機器、57・・・記憶装置、58・・・制御部、60・・・ポンプ部、61a~61c・・・ポンプ、62a~62c・・・開閉弁、63a~63c・・・吸込管、64・・・分岐部、65a~65c・・・逆止弁、66a~66c・・・開閉弁、67a~67c・・・吐出管、68・・・需要管、70・・・アキュームレータ、71a~71c・・・流量センサ、72・・・圧力センサ