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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170600
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】データ分析装置及びデータ分析方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231124BHJP
   G06Q 10/20 20230101ALI20231124BHJP
【FI】
G05B23/02 T
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082471
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智成
(72)【発明者】
【氏名】上野 貴善
(72)【発明者】
【氏名】岩井田 匡俊
【テーマコード(参考)】
3C223
5L049
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA11
3C223AA15
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB03
3C223FF03
3C223FF04
3C223FF13
3C223FF15
3C223FF16
3C223FF26
3C223FF52
3C223FF53
3C223GG01
3C223HH02
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】保守点検時等の不要な運転データ(時系列データ)の分析結果の取り込みを抑止する。
【解決手段】データ分析装置100は、分析対象システムから得られる時系列データを分析して診断を行う分析部121と、フィルタリングを実行するためのフィルタリング条件を分析部121による時系列データの診断結果が満たしているか否かを判定し、判定の結果に基づいてフィルタリングの実行可否を決定して、時系列データの診断結果を管理する管理部122と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象システムから得られる時系列データを分析して診断を行う分析部と、
フィルタリングを実行するためのフィルタリング条件を前記分析部による前記時系列データの診断結果が満たしているか否かを判定し、判定の結果に基づいて前記フィルタリングの実行可否を決定して、前記時系列データの前記診断結果を管理する管理部と、を備える
データ分析装置。
【請求項2】
前記管理部は、前記診断結果が前記フィルタリング条件を満たしている場合には、前記診断結果の前記フィルタリングを実行する
請求項1に記載のデータ分析装置。
【請求項3】
前記分析部は、クラスタリング技術を用いて前記時系列データをカテゴリに分類する処理を実施し、
前記フィルタリング条件は、前記診断結果において設定周期内の前記時系列データに対する新規カテゴリの発生数が、閾値以上となることである
請求項2に記載のデータ分析装置。
【請求項4】
前記分析部は、クラスタリング技術を用いて前記時系列データをカテゴリに分類する処理を実施し、
前記フィルタリング条件は、前記診断結果において設定周期内の前記時系列データのカテゴリ出現パターンと過去の診断結果におけるカテゴリ出現パターンとの一致率の最大値が、閾値以下となることである
請求項2に記載のデータ分析装置。
【請求項5】
ユーザが前記フィルタリング条件を設定操作可能なユーザインタフェースを備える
請求項3又は4に記載のデータ分析装置。
【請求項6】
前記ユーザインタフェースは、前記フィルタリングの区分を指定するための領域と、前記閾値を指定するための領域を有する
請求項5に記載のデータ分析装置。
【請求項7】
前記管理部は、前記フィルタリングを実行した前記診断結果を、前記時系列データの診断結果が保存される診断結果保存部に保存せずに削除する
請求項2に記載のデータ分析装置。
【請求項8】
前記管理部は、前記フィルタリングを実行した前記診断結果を、前記時系列データの診断結果が保存される診断結果保存部とは別に設けられた第2の診断結果保存部に保存する
請求項2に記載のデータ分析装置。
【請求項9】
分析対象システムから得られる時系列データを分析して診断を行うデータ分析装置によるデータ分析方法であって、
フィルタリングを実行するためのフィルタリング条件を前記診断により得られた前記時系列データの診断結果が満たしているか否かを判定する処理と、
前記判定の結果に基づいて前記フィルタリングの実行可否を決定して、前記時系列データの前記診断結果を管理する処理と、を含む
データ分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ分析装置及びデータ分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、データ分析方法及びデータ分析装置に関する技術として特許文献1に開示された技術がある。特許文献1には、学習データと観測データの乖離度から、プラント又は設備の異常を検知することを特徴に持つデータ分析方法を有するデータ分析装置が開示されている。このデータ分析装置は、クラスタリング技術を用いて分析対象システムの稼働状況を表す時系列データを分析するモデルを周期的に生成する逐次データ分析部と、当該モデルのパラメータ情報と、クラスタリング技術による時系列データの分類結果と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-218725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プラントの保守点検時には、装置類の停止と起動に伴い、運転データの出力が不安定になる。データ分析装置がそのような保守点検時の運転データを取り込んだ場合、その運転データを利用して診断が実行されてしまい、通常時とは異なるカテゴリ情報が生成される場合がある。保守点検時に生成されたカテゴリ情報を取り込んだままにしておくと、通常時に同じカテゴリ情報が発生した場合、異常発生の予兆との区別がつかなくなってしまう。それゆえ、適応共鳴理論のように学習済みモデルを逐次生成(カテゴリ更新)するアルゴリズムにおいて、保守点検時等の運転データでカテゴリ更新をしないことが望ましいが、特許文献1ではこのような問題に言及されていない。
【0005】
上記の状況から、保守点検時等の不要な運転データ(時系列データ)の分析結果をフィルタリングできる手法が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様のデータ分析装置は、分析対象システムから得られる時系列データを分析して診断を行う分析部と、フィルタリングを実行するためのフィルタリング条件を分析部による時系列データの診断結果が満たしているか否かを判定し、判定の結果に基づいてフィルタリングの実行可否を決定して、時系列データの診断結果を管理する管理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の少なくとも一態様によれば、保守点検時等の不要な運転データ(時系列データ)の分析結果をフィルタリングすることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るデータ分析装置が適用されたシステムの全体構成例を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る診断グループ管理テーブルの構造の例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る診断データ管理テーブルの構造の例を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る診断結果データ管理テーブルの構造の例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るカテゴリ情報管理テーブルの構造の例を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るフィルタリング設定管理テーブルの構造の例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係るフィルタリング設定画面の第1の例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係るフィルタリング設定画面の第2の例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態に係るデータ分析装置によるデータ分析処理の手順例を示すフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態に係る診断結果フィルタリング機能によるフィルタリング条件判定処理の手順例を示すフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係るカテゴリ数によるフィルタリング判定処理の手順例を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態に係るカテゴリ数によるフィルタリングの具体的な例を示す図である。
図13】本発明の一実施形態に係るカテゴリパターンによるフィルタリング判定処理の手順例を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態に係るカテゴリパターンによるフィルタリングの具体的な例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0010】
[データ分析装置を含むシステムの全体構成]
まず、本発明の一実施形態に係るデータ分析装置が適用されるシステムの例について図1を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るデータ分析装置が適用されたシステムの全体構成例を示す概略図である。図1には、データ分析装置100の構成例も示されている。
【0011】
図1に示すように、データ分析装置100は、ネットワークを介して、現場装置200a,200bと接続されている。現場装置200a,200bは分析対象の制御システムに存在するコンポーネントであり、データ管理基盤としての機能を有するSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)やコントローラといった装置が該当する。また、データ分析装置100は、ネットワークを介して、ユーザ端末300a,300bからアクセスされる。ユーザ端末300a,300bはユーザが利用する端末であり、入力装置及び表示装置を備えたパーソナルコンピュータやタブレットコンピュータなどが該当する。ユーザは、ユーザ端末300の入力装置により、後述する各画面の表示装置への表示、各画面上でのポインタの移動やクリック、テキストの入力等を行うことができる。
【0012】
現場装置200a,200b、及びユーザ端末300a,300bをそれぞれ区別しない場合には、現場装置200、ユーザ端末300と記載する。現場装置200やユーザ端末300の数は、図1で図示する数に限定しない。
【0013】
なお、本実施形態では、分析対象システムの稼働状況を表す時系列の運転データ(時系列データ)を分類する仕組みとして、クラスタリング技術である適応共鳴理論(Adaptive Resonance Theory:ART)を例に説明する。適応共鳴理論とは、複数の時系列データを複数のカテゴリ(クラスタ)に分類する機械学習の一種である。本実施形態では適応共鳴理論を利用するが、他のクラスタリング技術を用いてもよい。
【0014】
適応共鳴理論では、時系列データを利用して、基準となるカテゴリ情報を生成し(学習フェーズ)、その後、学習時に生成したカテゴリ情報と、学習時の時系列データと同じデータ構造を持つ時系列データとを利用して、カテゴリ情報を生成する処理を行う(診断フェーズ)。診断では、学習時のカテゴリに含めることができない時系列データを見つけ出す。学習時のカテゴリに含めることができない時系列データに対しては、新しいカテゴリが生成される。本明細書では、診断時に利用した時系列データを「診断データ」とも呼ぶ。
【0015】
[データ分析装置]
データ分析装置100は、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピューターやワークステーションなどが該当する。データ分析装置100は、ハードウェアモジュール101、OS120、及びソフトウェアモジュール103を含んで構成される。
【0016】
ハードウェアモジュール101は、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等からなる処理部151と、OSやコンピュータプログラムなどが動作するためのメモリ152、現場装置200やユーザ端末300と通信を行うための通信インタフェース(図中、通信I/F)153、大容量のストレージなどの記憶部160などで構成されている。各ブロックは、システムバスを介して相互にデータの送受信が可能に接続されている。
【0017】
記憶部160には、診断グループ管理テーブル161、診断データ管理テーブル162、診断結果データ管理テーブル163、カテゴリ情報管理テーブル164、及びフィルタリング設定管理テーブル165が記憶されている。また、記憶部160には、処理部151が実行するコンピュータプログラムやパラメータ、モデル等が記憶されている。処理部151は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶部160から読み出して実行し、各種演算や制御を行う。
【0018】
本発明によるデータ分析装置は、保守点検時に生成された不要なカテゴリ情報を取り込む前に、取り込むべきか否かを判定する処理を実行することで、不要なカテゴリ情報の取り込みを抑止する。例えば、本実施形態に係るデータ分析装置100は、プラント等の分析対象システムの運転データをデータ収集機能130で収集し、逐次データ分析機能121によって診断を実行する。そして、データ分析装置100は、診断実行後、診断結果を保存する前に、診断結果フィルタリング機能122でこの診断結果をフィルタリング(除去)すべきか否かを判定し、フィルタリングすべきと判定された場合には、診断結果のフィルタリングを実行する。以下では、本実施形態に係るデータ分析装置100によるデータ分析方法について図2図14を参照して詳細に説明する。
【0019】
次に、図2図6を用いて、診断グループ管理テーブル161、診断データ管理テーブル162、診断結果データ管理テーブル163、カテゴリ情報管理テーブル164、及びフィルタリング設定管理テーブル165について説明する。
【0020】
[診断グループ管理テーブル]
図2は、診断グループ管理テーブル161の構造の例を示す図である。
診断グループ管理テーブル161は、診断グループを管理するテーブルである。診断グループ管理テーブル161は、「診断グループID401」、「診断グループ名称402」、「診断周期(分)403」の各フィールドを有する。
【0021】
診断グループID401は、診断グループを一意に識別する識別子である。ユーザが学習データ(時系列データ)等を利用して新たに診断グループを登録するごとに診断グループIDが付与される。例えば、診断グループは、分析対象のシステムや設備単位で設定される。また、学習データとして、例えば過去の正常な運転データを用いることができる。
【0022】
診断グループ名称402は、診断グループの登録時にユーザが入力する、診断グループを表す名称である。一例として、学習データを想起させる名称を診断グループ名称に用いると、ユーザ端末300上にその診断グループ名称が表示され、操作の効率が向上する。
診断周期(分)403は、データ分析装置100が逐次データ分析機能121によって診断を実行する周期であり、ユーザが入力装置を操作して分単位で任意に設定可能である。
【0023】
[診断データ管理テーブル]
図3は、診断データ管理テーブル162の構造の例を示す図である。
診断データ管理テーブル162は、診断データを管理するテーブルである。診断データ管理テーブル162は、「診断データID501」、「診断グループID401」、「日時502」、「診断データ503_0」、・・・、「診断データ503_999」の各フィールドを有する。診断データ503_0、診断データ503_1、・・・、診断データ503_999を区別しない場合には、診断データ503と記載する。
【0024】
診断データID501は、診断データを一意に識別する識別子であり、診断データが追加されるごとに、診断データID501が付与される。一例として、診断データIDは、診断グループ単位で付与される。
日時502は、ユーザ又は現場装置200が診断データ503に対して付与する、診断データ503が発生した日付と時刻に関する情報である。
診断データ503は、現場装置200が出力する時系列データであり、例えば分析対象のシステムのセンサやアクチュエータ等から得られる温度や圧力、流量、電流、電圧といった情報が該当する。
【0025】
[診断結果データ管理テーブル]
図4は、診断結果データ管理テーブル163の構造の例を示す図である。
診断結果データ管理テーブル163は、診断後に分類されるカテゴリを格納するテーブル(診断結果保存部の一例)である。診断結果データ管理テーブル163は、「診断結果ID601」、「診断データID501」、「カテゴリデータID602」の各フィールドを有する。
【0026】
診断結果ID601は、診断結果を一意に識別する識別子であり、診断実行ごとに付与される。
カテゴリデータID602は、カテゴリデータを一意に識別する識別子であり、診断グループごとに付与される。カテゴリデータは、対象診断グループについて過去に診断した全てのカテゴリ情報を含むデータである。適応共鳴理論では、時系列データを利用して、基準となるカテゴリ情報を生成する。基準となるカテゴリ情報は、適応共鳴理論において利用した時系列データを幾つかのカテゴリに分類した結果である。カテゴリデータIDは、診断グループIDと一対一に対応すると考えてよい。
【0027】
[カテゴリ情報管理テーブル]
図5は、カテゴリ情報管理テーブル164の構造の例を示す図である。
カテゴリ情報管理テーブル164は、診断後に生成されたカテゴリ情報を診断グループごとに管理するテーブルである。カテゴリ情報管理テーブル164は、「カテゴリデータID602」、「診断グループID401」、「日時502」、「カテゴリ701」の各フィールドを有する。
【0028】
カテゴリ701は、適応共鳴理論を実行した際に出力されるカテゴリ情報(例えば、カテゴリ番号を示す情報)であって、診断する時系列データごとに付与される。
【0029】
[フィルタリング設定管理テーブル]
図6は、フィルタリング設定管理テーブル165の構造の例を示す図である。
フィルタリング設定管理テーブル165は、フィルタリング設定を診断グループごとに管理するテーブルである。フィルタリング設定管理テーブル165は、「フィルタリングデータID801」、「診断グループID401」、「フィルタリング区分802」、「閾値803」の各フィールドを有する。
【0030】
フィルタリングデータID801は、フィルタリング対象の時系列データ(診断データ)を一意に識別する識別子である。フィルタリングデータIDは、診断グループごとに付与されると考えてよい。
フィルタリング区分802は、ユーザが選択するフィルタリングの設定区分を表す情報である。本実施形態では、「カテゴリ数」、「カテゴリパターン」の2種類が存在する。
閾値803は、フィルタリング区分に応じて、フィルタリングを実行するかしないかを判断するための閾値である。
【0031】
以上が、記憶部160に記憶されている各管理テーブルの説明である。図1に示したデータ分析装置100の構成の説明に戻る。
【0032】
OS102は、データ分析装置100の動作を統括的に制御する基本ソフトウェア(Operating System)である。
ソフトウェアモジュール103は、データ分析装置100のOS102上で動作するソフトウェアであり、ユーザインタフェース110や診断機能120、データ収集機能130を備える。
ユーザインタフェース110は、ユーザがユーザ端末300を操作して診断機能120を使用するためのインタフェースであり、Webインタフェースなどが該当する。
【0033】
診断機能120は、現場装置200から定期的に取得した時系列データを利用して、周期的にモデルによる診断を行う機能であり、逐次データ分析機能121及び診断結果フィルタリング機能122を備える。
【0034】
逐次データ分析機能121(分析部の一例)は、現場装置200から事前に取得した時系列データ(診断データ)を利用して、分析(診断)を行う機能である。例えば、逐次データ分析機能121は、現場装置200から事前に取得した時系列データを診断データ管理テーブル162に格納し、クラスタリング技術(例えば、適応共鳴理論)を用いて時系列データを分析するモデルを周期的に生成する。また、逐次データ分析機能121は、取得した時系列データに対して診断を実行した結果であるカテゴリ情報を診断結果データ管理テーブル163及びカテゴリ情報管理テーブル164に保存する前に、メモリ152に一時記憶する機能を有する。
【0035】
診断結果フィルタリング機能122(管理部の一例)は、逐次データ分析機能121で分析(診断)を実行した結果である診断結果に対して、ユーザインタフェース110を介して設定されたフィルタリング条件を基に、フィルタリングすべきか否かを判定し、フィルタリングを実行する場合はその診断結果を除去(例えば、データ破棄)する機能である。また、診断結果フィルタリング機能122は、診断グループ(診断グループID401)ごとのフィルタリング区分や閾値を、フィルタリング設定管理テーブル165に格納する機能である。すなわち、診断結果フィルタリング機能122は、診断グループごとにユーザが設定するフィルタリング条件(フィルタリングデータID801に対応づけられる各情報)を管理する。
【0036】
データ収集機能130は、通信I/F153を通じて現場装置200から定期的に時系列データを収集する機能である。収集する周期や収集するデータの種類などは設定ファイルなどを利用してユーザが設定する。また、データ収集機能130は、収集した時系列データを逐次データ分析機能121が利用できる形式でメモリ152や記憶部160に格納する。逐次データ分析機能121は、そのメモリ152や記憶部160に格納された時系列データを読み込むことにより、定期的な適応共鳴理論を実行する。
【0037】
以上のとおり、本発明の一実施形態に係るデータ分析装置(データ分析装置100)は、分析対象システムから得られる時系列データ(例えば、診断データ503)を分析して診断を行う分析部(例えば、診断機能120の逐次データ分析機能121)と、フィルタリングを実行するためのフィルタリング条件(例えば、フィルタリング区分802、閾値803)を上記分析部による時系列データの診断結果(例えば、カテゴリ情報)が満たしているか否かを判定し、判定の結果に基づいてフィルタリングの実行可否を決定して、時系列データの診断結果を管理する管理部(例えば、診断機能120の診断結果フィルタリング機能122)と、を備える。
例えば、上記管理部は、診断結果がフィルタリング条件を満たしている場合には、診断結果のフィルタリングを実行する。なお、本発明では、フィルタリング対象外の診断結果を診断結果データ管理テーブルに保存し、フィルタリングした診断結果を削除する形態だけではなく、フィルタリングした診断結果を本来の診断結果とは別に管理する形態なども想定している。
【0038】
このように構成された本実施形態に係るデータ分析装置では、管理部は、フィルタリング条件に基づいて、データ分析後の診断結果に対するフィルタリングの実行可否を決定する。したがって、本実施形態では、時系列データの診断結果がフィルタリング条件を満たしている場合に当該診断結果のフィルタリングを実行するため、フィルタリング条件を満たす、モデル作成に好ましくない影響を与える診断結果(不要な診断結果)の取り込みを抑止することが可能となる。
【0039】
例えば、保守点検時に生成された診断結果(カテゴリ情報)を削除するためには、ユーザがモデルを一から再生成する必要がある。モデルを再生成するには、過去に使用した運転データ(時系列データ)全てを使用してモデルを学習しなければならないため、非常に手間がかかる。しかし、本実施形態では、管理部は、フィルタリング条件を満たすような不要な診断結果(保守点検時などの診断結果)の取り込みを抑止するため、保守点検時などにおいて、モデル再生成のための作業(工数)を軽減することができる。
【0040】
[フィルタリング設定画面]
次に、図7及び図8に、フィルタリング情報を設定するユーザインタフェース110としての、フィルタリング設定画面の例を示す。図7及び図8に示すフィルタリング設定画面900は、ユーザ端末300の表示装置に表示される画面であって、保存ボタン901を備える。また、フィルタリング設定画面900は、図2の診断グループ管理テーブル161に登録されている診断グループの中から選択された診断グループの情報を表示する診断グループ領域910と、図6のフィルタリング設定管理テーブル165に登録されているフィルタリング情報を表示するフィルタリング設定領域920が、それぞれ表示される。図7には、診断グループID401が「001」の例が表示されている。
【0041】
診断グループ領域910は、「グループNo.」、「グループ名称」、「診断周期」を有し、それぞれ診断グループID401、診断グループ名称402、診断周期(分)403と対応する。フィルタリング設定領域920は、「フィルタリング条件」を指定するために、フィルタリング区分選択用のプルダウンメニュー902と、閾値入力用のテキストボックス903を有する。なお、テキストボックス903の代わりに、複数の閾値を選択可能に表示したプルダウンメニューでもよい。
【0042】
図7は、フィルタリング設定画面900の第1の例を示す図である。
図7には、診断グループID「1」において、ユーザがフィルタリング区分のプルダウンメニュー902で「カテゴリ数」を指定したときのフィルタリング設定画面900の例が示されている。図7のように、ユーザが、プルダウンメニュー902で「カテゴリ数」、カテゴリ数の閾値入力用のテキストボックス903に「10」と入力し、保存ボタン901を押下すると、それぞれの情報がフィルタリング設定管理テーブル165のフィルタリング区分802と閾値803に格納される。
【0043】
この図7の例では、診断結果フィルタリング機能122は、診断グループID「1」の診断周期である1分間に、新規カテゴリが閾値として設定した“10個”以上発生すると、自動でフィルタリングを実行し、該当期間の診断結果を診断結果データ管理テーブル163に保存しない。
【0044】
既述のとおり、本実施形態では、分析部(診断結果フィルタリング機能122)は、クラスタリング技術(例えば、適応共鳴理論)を用いて時系列データをカテゴリに分類する処理を実施する。ここで、フィルタリング条件は、例えば、診断結果において設定周期(例えば、1分)内の時系列データに対する新規カテゴリの発生数が、閾値(例えば、10個)以上となることである。
【0045】
図8は、フィルタリング設定画面900の第2の例を示す図である。
図8には、診断グループID「2」において、ユーザがフィルタリング区分のプルダウンメニュー902で「カテゴリパターン」を指定したときのフィルタリング設定画面900の例が示されている。図8図7と同様に、プルダウンメニュー902で「カテゴリパターン」、カテゴリパターンの閾値入力用のテキストボックス903に「90」と入力し、保存ボタン901を押下すると、それぞれの情報がフィルタリング設定管理テーブル165のフィルタリング区分802と閾値803に格納される。
【0046】
この図8の例では、診断結果フィルタリング機能122は、診断グループID「2」の診断周期である60分間に発生したカテゴリパターンと、カテゴリ情報管理テーブル164に格納されている、過去の全ての診断結果のカテゴリパターンとで相関をとる。そして、診断結果フィルタリング機能122は、そのカテゴリパターンの相関の一致率の最大値が、指定したカテゴリパターンの一致率の閾値“90%”未満である場合、自動でフィルタリングを実行し、該当期間の診断結果を診断結果データ管理テーブル163に保存しない。
【0047】
既述のとおり、本実施形態に係るデータ分析装置では、分析部(逐次データ分析機能121)は、クラスタリング技術(例えば、適応共鳴理論)を用いて時系列データをカテゴリに分類する処理を実施する。ここで、フィルタリング条件は、例えば、診断結果において設定周期内の時系列データのカテゴリ出現パターンと過去の診断結果におけるカテゴリ出現パターンとの一致率の最大値が、閾値(例えば、90%)未満となることである。
【0048】
このように本実施形態では、ユーザがフィルタリング条件を設定操作可能なユーザインタフェース(例えば、ユーザインタフェース110によるフィルタリング設定画面900)を備える。例えば、ユーザインタフェースは、フィルタリングの区分を指定するための領域(例えば、プルダウンメニュー902)と、閾値を指定するための領域(例えば、テキストボックス903)を有する。
【0049】
このような構成を備えた本実施形態に係るデータ分析装置では、ユーザインタフェースを用いてユーザが任意にフィルタリング条件を指定することができる。これにより、例えば、ユーザは分析対象システムの実際の状態(例えば、保守点検期間中など)や自身の経験などの種々の観点から、不要な時系列データの診断結果の取り込みが行われないようにフィルタリング条件を指定することができる。それゆえ、本実施形態では、ユーザの意に沿って、時系列データの診断結果に対するフィルタリングを実行することができる。
【0050】
なお、図7及び図8を用いて、ユーザがフィルタリング条件(フィルタリング区分、閾値)を任意に設定できる構成を示したが、フィルタリング条件を固定としてもよい。この場合、フィルタリング設定画面を使用せず、予めフィルタリング条件(フィルタリング区分、閾値)の各設定(固定値)を、データ分析装置100に組み込んでおく(予め記憶部160に保存)。
【0051】
[データ分析処理]
次に、データ分析装置100によるデータ分析処理について説明する。
図9は、データ分析装置100によるデータ分析処理の手順例を示すフローチャートである。データ分析装置100は、診断グループごとにデータ分析処理を実行する。
【0052】
逐次データ分析機能121は、診断グループ管理テーブル161の診断周期(分)403を確認し、診断処理を実行するタイミングかどうかを判定する(S1)。逐次データ分析機能121は、診断周期(分)403から診断処理の実行タイミングではないと判断した場合(S1のNO)、所定時間が経過後に再度ステップS1の判定処理を行う。
【0053】
次に、診断処理を実行するタイミングの場合(S1のYES)、逐次データ分析機能121は、カテゴリ情報管理テーブル164から、診断グループ管理テーブル161の診断グループID401に該当する診断グループの最新のカテゴリ情報を取得する(S2)。
【0054】
また、逐次データ分析機能121は、データ収集機能130を通じて現場装置200から時系列データ(診断データ)を取得し、取得した診断データを診断データ管理テーブル162の診断データ503に保存する(S3)。なお、ステップS3の時系列データの取得処理は、ステップS2と並行して実行してもよい。
【0055】
次に、逐次データ分析機能121は、ステップS3で取得した診断データ、ステップS2で取得したカテゴリ情報を利用して分析エンジン(本例では適応共鳴理論)を実行し、診断時のカテゴリ情報を生成する(S4)。ここでは、対象の診断データが、既存のカテゴリ情報に該当する診断データである場合には、既存のカテゴリ情報が割り当てられ、既存のカテゴリ情報に該当しない診断データである場合には、新規のカテゴリ情報が生成されて割り当てられる。逐次データ分析機能121は、対象の診断データと割り当てたカテゴリ情報を、メモリ152に一時格納する。
【0056】
次に、診断結果フィルタリング機能122は、診断時のカテゴリ情報に関してフィルタリングを実行するか否かを判定するフィルタリング条件判定処理を実行する(S5)。
【0057】
[フィルタリング条件判定処理]
ここで、上記ステップS5のフィルタリング条件判定処理の詳細について図10を参照して説明する。
図10は、診断結果フィルタリング機能122によるフィルタリング条件判定処理の手順例を示すフローチャートである。
【0058】
まず、診断結果フィルタリング機能122は、フィルタリング設定管理テーブル165からフィルタリング情報を取得する(S11)。
次に、診断結果フィルタリング機能122は、フィルタリング設定管理テーブル165の診断グループID401もしくはフィルタリング区分802から、フィルタリングを実行する条件を判定する(S12)。診断結果フィルタリング機能122は、フィルタリング設定管理テーブル165に該当診断グループの診断グループID401が存在しない場合、フィルタリング設定がOFFであるとみなす。この場合、フィルタリング区分802は存在しない。診断結果フィルタリング機能122は、診断グループ管理テーブル161から該当診断グループの診断グループID401が、フィルタリング設定管理テーブル165に存在しないと判断した場合(S12のOFF)、該当診断グループはフィルタリング対象外とし(S15)、フィルタリング条件判定処理を終了する。
【0059】
ステップS12において、診断結果フィルタリング機能122は、該当診断グループについて、フィルタリング設定管理テーブル165のフィルタリング区分802からカテゴリ数を取得した場合(S12のカテゴリ数)、カテゴリ数によるフィルタリング判定処理を実行する(S13)。ステップS13の処理後、フィルタリング条件判定処理を終了する。
【0060】
[カテゴリ数によるフィルタリング条件判定処理]
ここで、上記ステップS13のカテゴリ数によるフィルタリング条件判定処理の詳細について図11を参照して説明する。
図11は、診断結果フィルタリング機能122における、カテゴリ数によるフィルタリング条件判定処理(S13)の手順例を示すフローチャートである。
【0061】
まず、診断結果フィルタリング機能122は、逐次データ分析機能121が生成した診断時のカテゴリ情報の内で新規に発生したカテゴリ情報の数と、フィルタリング設定管理テーブル165の閾値803から、フィルタリングを実行するか否かを判定する(S21)。診断結果フィルタリング機能122は、フィルタリング設定管理テーブル165の閾値803の数値未満だった場合(S21のNO)、該当診断グループはフィルタリング対象外とし(S23)、カテゴリ数によるフィルタリング条件判定処理を終了する。
【0062】
一方、診断結果フィルタリング機能122は、フィルタリング設定管理テーブル165の閾値803の数値以上だった場合(S21のYES)、該当診断グループをフィルタリング対象とし(S22)、カテゴリ数によるフィルタリング条件判定処理を終了する。
【0063】
[カテゴリ数によるフィルタリング例]
ここで、カテゴリ数によるフィルタリングの例について図12を参照して具体的に説明する。
図12は、カテゴリ数によるフィルタリングの具体的な例を示す図である。図12の縦軸はカテゴリ番号、横軸は時間を示す。
【0064】
図12に示す例では、「2021/12/23_00:00:00~2021/12/23_01:00:00」におけるある時系列データのカテゴリグラフの例が示されている。フィルタリング設定は、周期30分、カテゴリ増加数の閾値“5個”以上の場合を想定する。前半の「2021/12/23_00:00:00」から「2021/12/23_00:30:00」までの30分間では、新規カテゴリの増加数は1個であったが、後半の「2021/12/23_00:30:00」から「2021/12/23_01:00:00」までの30分間では、新規カテゴリの増加数は5個である。後半の周期では、(新規カテゴリの増加数 5個)≧(閾値 5個)が成立するため、後半のカテゴリ情報はフィルタリングの対象となる。
【0065】
図10のフローチャートの説明に戻る。ステップS12において、診断結果フィルタリング機能122は、該当診断グループについて、フィルタリング設定管理テーブル165のフィルタリング区分802からカテゴリパターンを取得した場合(S12のカテゴリパターン)、カテゴリパターンによるフィルタリング判定処理を実行する(S14)。ステップS14の処理後、フィルタリング条件判定処理を終了する。
【0066】
[カテゴリパターンによるフィルタリング条件判定処理]
ここで、上記ステップS14のカテゴリパターンによるフィルタリング条件判定処理の詳細について図13を参照して説明する。
図13は、診断結果フィルタリング機能122における、カテゴリパターンによるフィルタリング条件判定処理(S14)の手順例を示すフローチャートである。
【0067】
まず、診断結果フィルタリング機能122は、該当診断グループについて、ステップS2(図9)において逐次データ分析機能121によって得られたカテゴリ情報(カテゴリ701)を取得する。そして、診断結果フィルタリング機能122は、該当診断グループについて、カテゴリ情報管理テーブル164のカテゴリ701から取得した過去全てのカテゴリパターンと、逐次データ分析機能121が生成した診断時のカテゴリパターンでそれぞれ相関を算出する(S31)。
【0068】
診断結果フィルタリング機能122は、そのカテゴリパターンの相関の最大値とフィルタリング設定管理テーブル165の閾値803とを比較して、フィルタリングを実行するか否かを判定する(S32)。診断結果フィルタリング機能122は、フィルタリング設定管理テーブル165の閾値803の数値を超過していた場合(S32のNO)、該当診断グループはフィルタリング対象外とし(S34)、カテゴリパターンによるフィルタリング条件判定処理を終了する。
【0069】
一方、診断結果フィルタリング機能122は、フィルタリング設定管理テーブル165の閾値803の数値以下だった場合(S32のYES)、該当診断グループをフィルタリング対象とし(S33)、カテゴリパターンによるフィルタリング条件判定処理を終了する。
【0070】
[カテゴリパターンによるフィルタリング例]
ここで、カテゴリパターンによるフィルタリングの例について図14を参照して具体的に説明する。
図14は、カテゴリパターンによるフィルタリングの具体的な例を示す図である。図14では、カテゴリグラフの例が示されており、縦軸はカテゴリ番号、横軸は時間を示す。
【0071】
図14に示す例では、「2021/12/23_00:00:00~2021/12/23_01:00:00」におけるある時系列データのカテゴリグラフの例が示されている。フィルタリング設定は、周期30分、カテゴリ出現パターンの一致率“90%”未満の場合を想定する。診断結果フィルタリング機能122は、診断結果データ管理テーブル163に保存された過去の診断結果データから、30分ごとにカテゴリ出現パターンを抽出し、対象の時系列データのカテゴリ出現パターンと過去の全てのカテゴリ出現パターンとの相関(一致率)を計算する。
【0072】
前半の「2021/12/23_00:00:00」から「2021/12/23_00:30:00」までの30分間では、カテゴリ出現パターンの一致率の最大値は90%であったが、後半の「2021/12/23_00:30:00」から「2021/12/23_01:00:00」までの30分間では、カテゴリ出現パターンの一致率の最大値は80%である。後半の周期では、(カテゴリ出現パターンの一致率の最大値 80%)<(一致率 90%)が成立するため、後半のカテゴリ情報はフィルタリングの対象となる。
【0073】
図9のフローチャートの説明に戻る。ステップS6において、診断結果フィルタリング機能122は、フィルタリング条件判定処理の結果を確認し、診断時に生成したカテゴリ情報(図中「診断カテゴリ情報」)にフィルタリングを実行するか否かを判定する(S6)。逐次データ分析機能121は、該当診断グループがフィルタリング対象外である場合(S6のNO)、診断結果データ管理テーブル163に生成した診断時のカテゴリ情報を保存する(S8)。すなわち、逐次データ分析機能121は、カテゴリ情報管理テーブル164において該当診断グループに対するカテゴリ情報(カテゴリ701)を保存するとともにカテゴリデータIDを付与し、また、診断結果データ管理テーブル163においてそのカテゴリデータIDと対応づけて診断結果IDを付与する。
【0074】
一方、診断結果フィルタリング機能122は、該当診断グループがフィルタリング対象である場合(S6のYES)、診断時に生成してメモリ152に一時格納したカテゴリ情報をメモリ152から削除する(S7)。すなわち、診断結果フィルタリング機能122は、該当する診断時のカテゴリ情報をカテゴリ情報管理テーブル164に保存せず、診断結果データ管理テーブル163において診断結果IDを付与しない。
【0075】
このように、管理部(診断結果フィルタリング機能122)は、フィルタリングを実行した診断結果を、診断結果(カテゴリ情報)が保存される診断結果保存部(記憶部160の診断結果データ管理テーブル163)に保存せずに、削除する。これにより、管理部は、不要な診断結果(保守点検時などの診断結果)の取り込みを抑止し、保守点検時などにモデル再生成のための作業を軽減させることに加え、記憶部160に保存される不要な診断結果のデータ量を低減することができる。
【0076】
そして、ステップS7又はステップS8の処理後、逐次データ分析機能121は、ステップS1の判定処理に戻って再度のデータ分析処理の実行タイミングに備える。以上がデータ分析装置100によるデータ分析処理についての説明である。
【0077】
このように、本実施形態に係るデータ分析装置100では、クラスタリング技術による時系列データの分類結果をフィルタリングする機能を備える。
【0078】
[変形例]
なお、本実施形態では、ステップS7において、診断時に生成したカテゴリ情報をメモリ152から削除し診断結果データ管理テーブル163に保存しないようにしたが、代わりに、以下のように処理してもよい。例えば、管理部(診断結果フィルタリング機能122)は、フィルタリングを実行した診断結果を、時系列データの診断結果が保存される診断結果保存部(記憶部160の診断結果データ管理テーブル163)とは別に設けられた第2の診断結果保存部(別テーブル)に保存する。この場合、図示しない管理方法設定テーブルとインタフェースを用いて、フィルタリングした診断結果の管理方法について選択肢(診断結果をメモリ152から削除又は別に管理する)をユーザに提示するとよい。このようにすることで、ユーザの診断結果の管理に対する利便性を向上させることができる。
【0079】
ところで、フィルタリングされた診断結果について、診断した時系列データ自体はフィルタリング後も診断データ管理テーブル162に保持されている。すなわち、診断結果の内容にかかわらず、診断データは非一過性のデータとして記憶部160に記録されている。このため、データ分析装置100は、後から診断データを再度分析して診断結果を再現することは可能である。通常は、全運転データ(例えば、診断グループA~C)に対して診断する。ただし、全運転データの一部(例えば、診断グループB)のみを診断して診断結果を再現することも可能である。診断結果の再現時には、上述したフィルタリング機能をOFFするか、又は、フィルタリング条件を変えて(適宜フィルタリングを適用して)再現、検証してもよい。診断結果を再現する場合、再現対象の時系列データより後に生成されたカテゴリ情報は、再現した診断結果のカテゴリ情報を加味して再生成することができる。診断結果の再現に関して、カテゴリ情報は刻々と変化するため、再現前と再現後ではカテゴリ情報が異なる可能性があることから、再現前と再現後では診断結果の内容も異なる可能性があることに留意する。
【0080】
以上が、データ分析装置100が適用されたシステムの構成についての説明である。
上述した一実施形態では、データ分析対象は、工作機械等を監視する現場装置の他、多数のデバイスが設けられた装置やシステムとすることが可能である。例えば、本発明のデータ分析対象として、鉄道や電力/ガスなどの社会インフラシステムや、製造プラントなどが挙げられる。
【0081】
本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するためにデータ分析装置及びシステム全体の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、上述した実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
【0082】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。また、上述したコンピュータプログラムや情報の保存にクラウド(サーバ)を活用することもできる。
【0083】
また、上述した実施形態に係るデータ分析装置の各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある機能、処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【0084】
また、各フローチャートにおいて、処理結果に影響を及ぼさない範囲で、複数の処理を並列的に実行したり、処理順序を変更したりしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
100…データ分析装置、 110…ユーザインタフェース、 120…診断機能、 121…逐次データ分析機能、 122…診断結果フィルタリング機能、 130…データ収集機能、 151…処理部、 152…メモリ、 153…通信I/F、 160…記憶部、 161…診断グループ管理テーブル、 162…診断データ管理テーブル、 163…診断結果データ管理テーブル、 164…カテゴリ情報管理テーブル、 165…フィルタリング設定管理テーブル、 401…診断グループID、 402…診断グループ名称、 403…診断周期(分)、 501…診断データID、 502…日時、 503…診断データ、 601…診断結果ID、 602…カテゴリデータID、 701…カテゴリ、 801…フィルタリングデータID、 802…フィルタリング区分、 803…閾値、 900…フィルタリング設定画面、 901…保存ボタン、 902…フィルタリング区分選択用のプルダウンメニュー、 903…閾値入力用のテキストボックス、 910…診断グループ領域、 920…フィルタリング設定領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14