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特開2023-170629端子台カバー、電源装置、及び照明装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170629
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】端子台カバー、電源装置、及び照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20231124BHJP
   F21S 8/04 20060101ALI20231124BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231124BHJP
【FI】
F21V23/00 170
F21S8/04 110
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082521
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】藤本 佳史
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】端子台の差込穴への異物の付着を抑制するとともに電線の損傷及び断線を防止することが可能な端子台カバー、電源装置、及び照明装置を提供する。
【解決手段】回動部材73は、一対の支持部71,72に対し、回動軸を中心に回動自在に取り付けられている一対の側板部74,75と、一対の側板部74,75間を接続するとともに、閉位置において、電線9が差し込まれる差込穴620が形成された端子台6の差込面62を覆うカバー部76とを有する。一対の側板部74,75は、第1端部740と、第1端部740に対向するとともに回動部材73が閉位置にある場合に第1端部740よりも固定部材70側に位置する第2端部741と、側板部74,75の回動軸側において第1端部740から第2端部741へ向かってのびる第3端部742と、第2端部741と第3端部742とを接続する、傾斜形状の第4端部743とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子台が配置される固定部材と、
前記端子台を覆う閉位置と前記端子台を露出する開位置との間で回動自在に前記固定部材に取り付けられている回動部材と
を備え、
前記固定部材は、前記端子台を介して互いに対向する一対の支持部を有し、
前記回動部材は、
前記一対の支持部に対し、回動軸を中心に回動自在に取り付けられている一対の側板部と、
前記一対の側板部間を接続するとともに、前記閉位置において、電線が差し込まれる差込穴が形成された前記端子台の差込面を覆うカバー部と
を有し、
前記一対の側板部の少なくとも一方は、
第1端部と、
前記第1端部に対向するとともに前記回動部材が前記閉位置にある場合に前記第1端部よりも前記固定部材側に位置する第2端部と、
前記側板部の前記回動軸側において前記第1端部から前記第2端部へ向かってのびる第3端部と、
前記第2端部と前記第3端部とを接続する、傾斜形状の第4端部と
を有する、端子台カバー。
【請求項2】
前記第4端部を有する前記側板部と、前記側板部を支持する前記支持部とがなす角度は、前記回動部材の回動位置によらず鈍角である、請求項1に記載の端子台カバー。
【請求項3】
前記回動部材が前記閉位置にある場合に、前記第2端部と前記固定部材との間に隙間がある、請求項1又は請求項2に記載の端子台カバー。
【請求項4】
前記一対の支持部の少なくとも一方は、突部を有し、
前記回動部材は、前記閉位置において前記突部に係合する係合部を有する、請求項1又は請求項2に記載の端子台カバー。
【請求項5】
箱形のケースを含む電源部と、
前記ケースの外に配置される端子台と、
請求項1又は請求項2に記載の端子台カバーと
を備える、電源装置。
【請求項6】
光源部と、
箱形のケースを含み、前記光源部に電力を供給する電源部と、
前記ケースの外に配置される端子台と、
請求項1又は請求項2に記載の端子台カバーと
を備える、照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台カバー、電源装置、及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、体育館及びホールなどの天井の高い建物に設置され、照明空間を上方から照明する、いわゆる高天井用の照明装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された照明装置は、光源ユニットと、光源ユニットを保持する保持部材と、光源ユニットに給電する電源ユニットと、保持部材を回動可能に支持するアームとを備える。
【0004】
電源ユニットは、外部から供給される電力を光源ユニットに必要とされる電力に変換する電力変換回路と、箱形に形成されて電力変換回路を内部に収納するケースと、電力変換回路と電気的に接続されてケースの外表面に取り付けられる端子台と、端子台を覆うカバーとを有する。カバーは、端子台を覆う閉位置と、端子台を露出させる開位置との間で回動可能にケースに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-77957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されたカバーには、端子台の差込穴に差し込まれた電線をカバーの外へ引き出すための開口部が形成されている。この開口部は、端子台の差込穴に対向する位置に形成されており、差込穴が露出した状態となる。そのため、開口部から侵入した粉塵などの異物が差込穴に付着しやすいという課題があった。
【0007】
異物の付着を抑制するためにカバーの開口部を塞いだ場合、カバーが開位置から閉位置へ回動するにつれてカバーとケースとの隙間が狭まり、最終的にカバーとケースとの隙間がなくなる。そのため、電線がカバーとケースとの間に挟まれて損傷又は断線する場合があった。
【0008】
本発明は、端子台の差込穴への異物の付着を抑制するとともに電線の損傷及び断線を防止することが可能な端子台カバー、端子台カバーを備えた電源装置、及び端子台カバーと電源装置とを備えた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願に開示する端子台カバーは、端子台が配置される固定部材と、前記端子台を覆う閉位置と前記端子台を露出する開位置との間で回動自在に前記固定部材に取り付けられている回動部材とを備える。前記固定部材は、前記端子台を介して互いに対向する一対の支持部を有する。前記回動部材は、前記一対の支持部に対し、回動軸を中心に回動自在に取り付けられている一対の側板部と、前記一対の側板部間を接続するとともに、前記閉位置において、電線が差し込まれる差込穴が形成された前記端子台の差込面を覆うカバー部とを有する。前記一対の側板部の少なくとも一方は、第1端部と、前記第1端部に対向するとともに前記回動部材が前記閉位置にある場合に前記第1端部よりも前記固定部材側に位置する第2端部と、前記側板部の前記回動軸側において前記第1端部から前記第2端部へ向かってのびる第3端部と、前記第2端部と前記第3端部とを接続する、傾斜形状の第4端部とを有する。
【0010】
本願に開示する端子台カバーにおいて、前記第4端部を有する前記側板部と、前記側板部を支持する前記支持部とがなす角度は、前記回動部材の回動位置によらず鈍角である。
【0011】
本願に開示する端子台カバーにおいて、前記回動部材が前記閉位置にある場合に、前記第2端部と前記固定部材との間に隙間がある。
【0012】
本願に開示する端子台カバーにおいて、前記一対の支持部の少なくとも一方は、突部を有し、前記回動部材は、前記閉位置において前記突部に係合する係合部を有する。
【0013】
本願に開示する電源装置は、箱形のケースを含む電源部と、前記ケースの外に配置される端子台と、前記端子台カバーとを備える。
【0014】
本願に開示する照明装置は、光源部と、箱形のケースを含み、前記光源部に電力を供給する電源部と、前記ケースの外に配置される端子台と、請求項1に記載の端子台カバーとを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、端子台の差込穴への異物の付着を抑制するとともに電線の損傷及び断線を防止することが可能な端子台カバー、端子台カバーを備えた電源装置、及び端子台カバーと電源装置とを備えた照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る照明装置を上方から見た斜視図である。
図2】照明装置を下方から見た斜視図である。
図3】照明装置を図1のIII-III線で切断した断面図である。
図4】端子台カバーが閉状態の電源装置を上方から見た斜視図である。
図5】端子台カバーが回動状態の電源装置を上方から見た斜視図である。
図6】端子台カバーが開状態の電源装置を上方から見た斜視図である。
図7】開状態の端子台カバーを示す左側面図である。
図8】回動状態の端子台カバーを示す左側面図である。
図9】回動状態の端子台カバーを示す左側面図である。
図10】閉状態の端子台カバーを示す左側面図である。
図11】実施形態に係る端子台カバーの理解を助けるための参考例である。
図12】回動部材における第4端部の変形例を示す左側面図である。
図13】閉状態の端子台カバーの変形例を示す斜視図である。
図14】開状態の端子台カバーの変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図1には、本発明の理解を容易にするために、三次元直交座標系(前後、左右、及び上下)を記載する。図2以降においても、図1に示す三次元直交座標系を援用して本実施形態について説明する。
【0018】
図1図14を参照して、実施形態に係る照明装置1について説明する。図1は、実施形態に係る照明装置1を上方から見た斜視図である。図2は、照明装置1を下方から見た斜視図である。図3は、照明装置1を図1のIII-III線で切断した断面図である。
【0019】
本実施形態に係る照明装置1は、例えば、建物の天井に設置される照明装置である。特に、本実施形態に係る照明装置1は、倉庫、工場、体育館、及びホールなどの高い天井の建物に設置される、高天井用の照明装置として用いるのに好適である。好適であることの理由は、後述するように、端子台カバー7を備えることで端子台6への粉塵の付着を軽減し、端子台6周辺の掃除及びメンテナンスのための高所作業の頻度を減らすことができるからである。
【0020】
照明装置1は、光源部2と、電源装置3とを含む。照明装置1は、光源部2と電源装置3とに加え、アーム8を含んでもよい。
【0021】
光源部2は、LED(Light Emitting Diode)ユニット20と、光源カバー21と、放熱部材22とを含む。
【0022】
LEDユニット20は、矩形の基板200の下面に複数のLEDが実装されて構成されている。基板200の下面側には、基板200よりひとまわり大きい矩形の光源カバー21が配置されている。基板200の上面側には、基板200よりひとまわり大きい矩形の放熱部材22が配置されている。LEDユニット20は、光源カバー21と放熱部材22とにより構成される内部空間に収納された状態である。
【0023】
光源カバー21は、ポリカーボネート樹脂などの光透過性を有する樹脂部材により構成される。光源カバー21は、光拡散性を有してもよい。光源カバー21は、LEDユニット20の下面側に配置されている。光源カバー21は、LEDユニット20の基板200とLEDとを覆う。LEDユニット20が発する光は、光源カバー21を透過して下方を照射する。
【0024】
放熱部材22は、金属部材又は樹脂部材などで構成される。放熱部材22は、アルミ又はアルミ合金などの熱伝導率の高い部材で構成されることが好ましい。放熱部材22の下面に、基板200と光源カバー21とが取り付けられている。図示例では、放熱部材22に対して、基板200と光源カバー21とがねじ止めされている。放熱部材22の上面には、複数の放熱フィン220が形成されている。LEDユニット20が発する熱は、放熱部材22を伝導し、放熱フィン220から大気中に放熱される。
【0025】
なお、図示例の光源部2は、扁平な立方体状に形成されたが、光源部2の形状はこれに限定されない。例えば、光源部2は、円盤状に形成されてもよい。
【0026】
アーム8は、金属部材又は樹脂部材などで構成される。アーム8は、略U字形状に形成されている。すなわち、アーム8は、中央部80と、中央部80の両端からのびる一対の脚部81,82とを含む。
【0027】
中央部80は、平面形状に構成され、建物の天井などに取り付けられる。図示例では、アーム8の中央部80に、複数のボルト挿通穴800が形成され、ボルト(図示せず)により中央部80が天井などに取り付けられる。
【0028】
脚部81には、ボルト挿通穴と、ボルト挿通溝810とが形成されている。ボルト挿通穴は、円形の穴である。ボルト挿通溝810は、ボルト挿通穴を中心とした円弧状の溝である。脚部82にも、脚部81と同様に、ボルト挿通穴と、ボルト挿通溝810とが形成されている。
【0029】
放熱部材22には、一対のアーム支持部23,24が形成されている。一対のアーム支持部23,24は、放熱部材22の側面から上方に突出した形状である。アーム支持部23には、円形の穴であるボルト挿通穴230が形成されている。また、アーム支持部23には、ボルト84が固定されている。アーム支持部24にも、アーム支持部23と同様に、ボルト挿通穴230が形成されるとともに、ボルト84が固定されている。
【0030】
脚部81のボルト挿通穴と、アーム支持部23のボルト挿通穴230とに、ボルト83が挿通している。同様に、脚部82のボルト挿通穴と、アーム支持部24のボルト挿通穴230とに、ボルト83が挿通している。2本のボルト83が回動軸となり、光源部2がアーム8に対して回動自在に支持される。これにより、光源部2の照射方向が調整可能である。
【0031】
脚部81のボルト挿通溝810に、アーム支持部23のボルト84が挿通している。同様に、脚部82のボルト挿通溝810に、アーム支持部24のボルト84が挿通している。これにより、光源部2の回動範囲は、2本のボルト84が各ボルト挿通溝810内を移動可能な範囲に制限される。各ボルト84が締まることにより、アーム8に対する光源部2の姿勢が保持される。
【0032】
電源装置3は、放熱部材22の上面側に取り付けられている。電源装置3は、電源部4と、ケース5と、端子台6と、端子台カバー7とを含む。
【0033】
図4は、端子台カバー7が閉状態の電源装置3を上方から見た斜視図である。図5は、端子台カバー7が回動状態の電源装置3を上方から見た斜視図である。図6は、端子台カバー7が開状態の電源装置3を上方から見た斜視図である。
【0034】
電源部4は、電源回路(図示せず)と、ケース5とを含む。ケース5は、箱状に形成され、内部に電源回路を収納している。ケース5は、金属部材などにより構成されている。また、図示は省略されているが、ケース5に排熱用の通気口が形成されていてもよい。ケース5の底面には、前方と後方とにそれぞれ突き出した形状のブラケット50が一体に構成されている。ブラケット50には複数のボルト挿通穴51が形成されている。各ボルト挿通穴51には、ボルト52が挿通される。
【0035】
ケース5内の電源回路は、外部から供給される電力(例えば、商用電源から供給される交流電力)を、光源部2に必要とされる直流電力に変換する電力変換回路である。また、電源回路は、調光信号線を介して外部から伝送される調光信号に応じて、出力電流を増減して、光源部2の光量を調整する機能を有してもよい。電源回路が出力する直流電力は、電線(図示せず)を介して光源部2の基板200へ供給される。この電線は、例えば、ケース5の後面から出て、放熱部材22を貫通して基板200へとのび、基板200と電気的に接続される。
【0036】
ケース5の外には、端子台6が配置されている。端子台6は、電源回路に外部電力を供給する。図示例では、ケース5の前方に端子台6が配置されている。より具体的には、端子台6は、ケース5の前方から突き出した形状のブラケット50上に配置され、ブラケット50にねじ止めされている。端子台6の後面側において、端子台6とケース5内の電源回路とが電気的に接続されている。
【0037】
端子台6は、天面60と、底面61と、天面60と底面61とを接続する4つの側面(右面、左面、前面、及び後面)とを有する。端子台6の前面である差込面62には、電線9(図7などを参照)が差し込まれる差込穴620が形成されている。図示例では、差込面62に6つの差込穴620が左右方向に一列に配置されている。端子台6の天面60には、解除ボタン600が形成されている。図示例では、2つの差込穴620に対して1つの解除ボタン600が、天面60に形成されている。差込穴620のそれぞれには、外部電力供給用の電線9が差し込まれる。差込穴620に差し込まれた電線9は、その状態で保持されるとともに、ケース5内の電源回路と電気的に接続される。解除ボタン600が押下された場合、押下された解除ボタン600と対の関係にある差込穴620に差し込まれた電線9の保持が解除される。
【0038】
ブラケット50上に、電線用の端子台6とともに調光信号線用の端子台が配置されてもよい。調光用の端子台には、調光信号線が差し込まれ、ケース5内の電源回路に対して調光信号を供給する。なお、1つの端子台6に、電線用の差込穴と、調光信号線用の差込穴の両方が形成されていてもよい。
【0039】
端子台カバー7は、固定部材70と、回動部材73とを含む。固定部材70には、少なくとも端子台6が配置される。固定部材70には、端子台6に加えて、電源部4のケース5が配置されてもよい。回動部材73は、端子台6を覆う閉位置と端子台6を露出する開位置との間で回動自在に固定部材70に取り付けられている。図4には、閉位置にある状態の回動部材73が示されている。図6には、開位置にある状態の回動部材73が示されている。図5には、閉位置から開位置へ、又は閉位置から開位置へ回動している途中の状態にある回動部材73が示されている。なお、本実施形態において、回動部材73が閉位置にある状態の端子台カバー7を、閉状態の端子台カバー7と称する場合がある。回動部材73が開位置にある状態の端子台カバー7を、開状態の端子台カバー7と称する場合がある。回動部材73が回動している途中の状態の端子台カバー7を、回動状態の端子台カバー7と称する場合がある。
【0040】
端子台カバー7は、めっき鋼板などの金属部材、又はポリカーボネート樹脂などの樹脂部材で構成される。端子台カバー7は、強度が高く、製造コストが安価で、かつ耐塵性が高い、めっき鋼板で構成されることが好ましい。
【0041】
固定部材70は、板状部材であり、放熱部材22に固定される。図示例では、固定部材70は、ブラケット50とともに複数のボルト52によって放熱部材22に共締めされている。これにより、電源部4のケース5と端子台6とが、ブラケット50と固定部材70を介して、光源部2に取り付けられる。すなわち、固定部材70は、ケース5と端子台6のホルダとして機能する。
【0042】
固定部材70は、端子台6を介して互いに対向する一対の支持部71,72を有する。図示例では、矩形状の固定部材70の2つの端部(右端部及び左端部)から台形状の突片(支持部71,72に相当する)がそれぞれ突出している。これら2つの突片は、上方に曲げ起こされて支持部71,72として構成されている。支持部71には、円形の穴であるボルト挿通穴710が形成されている。支持部72にも、支持部71と同様に、ボルト挿通穴710が形成されている。また、支持部72には、ボルト78が締結されている。
【0043】
回動部材73は、一対の側板部74,75と、カバー部76とを有する。側板部74は、ボルト77によって支持部71に対して回動自在に取り付けられている。側板部75も、ボルト77によって支持部72に対して回動自在に取り付けられている。カバー部76は、側板部74と側板部75との間を接続している。図示例では、めっき鋼板などの金属板が折り曲げられて、回動部材73が構成されている。
【0044】
2つのボルト77は、同軸上に配置され、回動部材73の回動軸となる。回動部材73は、回動軸を中心に閉位置から開位置までの回動範囲を回動自在である。回動部材73が開位置にある場合、カバー部76が端子台6の上方かつ後方に移動するため、端子台6が露出する。特に、端子台6の差込穴620と解除ボタン600とが露出した状態になるため、後述する結線作業の作業性が良好である。
【0045】
回動部材73が閉位置にある場合、カバー部76が端子台6の天面60及び差込面62に対向する。また、端子台6の右面及び左面は、側板部74,75に対向する。また、図3に示されるように、回動部材73の下端部(後述する第2端部741など)は、差込穴620よりも下側に位置する。したがって、端子台6、特に差込穴620は、回動部材73に覆われる。
【0046】
なお、回動部材73が閉位置にある場合に、回動部材73の下端部(後述する第2端部741など)と固定部材70との間に隙間が形成される。この隙間から端子台カバー7の外へと電線9が引き出されることにより、電線9が回動部材73と固定部材70とに挟まれて損傷又は断線することを防止できる。
【0047】
側板部74は、第1端部740と、第2端部741と、第3端部742と、第4端部743とを有する。第1端部740は、側板部74の各端部のうち、回動部材73が閉位置にある場合に固定部材70に最も近い端部である。すなわち、第1端部740は、側板部74の上端部に相当する。第2端部741は、第1端部740に対向するとともに、回動部材73が閉位置にある場合に第1端部740よりも固定部材70側に位置する。すなわち、第2端部741は、側板部74の下端部の一部に相当する。第3端部742は、側板部74の回動軸(すなわち、ボルト77)側において第1端部740から第2端部741へ向かってのびる。すなわち、第3端部742は、側板部74の後端部の一部に相当する。第4端部743は、第2端部741と第3端部742とを接続する、傾斜形状の斜辺である。すなわち、長方形状の側板部74が有する4つの頂点のうちの1つの頂点がカットされてできた斜辺が、第4端部743である。すなわち、第4端部743は、第2端部741と第3端部742とに対して傾斜した形状である。また、第4端部743は、回動部材73が閉位置にある場合に、前後方向において回動中心に近づくにつれて、上下方向において固定部材70から離れていく形状である。
【0048】
側板部75も、側板部74と同様に、第1端部740と、第2端部741と、第3端部742と、第4端部743とを有する。なお、側板部74と側板部75のいずれか一方にのみ第4端部743が形成されていてもよい。第4端部743は、側板部74と側板部75のうち、少なくとも、電線9が引き出される側の側板部に形成されていることが好ましい。
【0049】
回動部材73が有する各端部のうち、電線9に接触する可能性がある端部は、曲げ加工が施されていてもよい。図示例では、側板部74の下端部(すなわち、第2端部741)と、側板部75の下端部(すなわち、第2端部741)と、カバー部76の下端部とに、それぞれ曲げ加工が施されている。曲げ加工によって各下端部が曲面形状になっているため、曲げ加工しない場合に比べて電線9の損傷又は断線を抑制することができる。
【0050】
側板部75の第3端部742と第4端部743の途中には、窪んだ形状の係合部79が形成されている。回動部材73が閉位置にある場合に、係合部79は、支持部72のボルト78と係合する。係合部79とボルト78とが係合した状態でボルト78が締まることにより、回動部材73が閉位置でロックされる。なお、図示例では、ボルト78が係合部79に係合してロックする構成であるが、単に係合する構成であってもよい。例えば、側板部75に、係合部79に係合可能する突部が形成される。
【0051】
なお、図示例では、側板部75側に係合部79とボルト78とから構成されるロック機構が設けられたが、側板部74側にも同様のロック機構が設けられてもよい。あるいは、側板部74側のみにロック機構が設けられてもよい。
【0052】
次に、照明装置1の施工作業及び結線作業について説明する。作業者は、まず、図1に示される照明装置1のアーム8を、天井の梁などに取り付ける。さらに、作業者は、金属製のワイヤからなる落下防止ワイヤ(図示せず)によって照明装置1と天井の梁とを結合する。作業者は、ボルト78を緩めてロックを解除し、ボルト78と係合部79との係合を解除させる。続いて、作業者は、閉位置にある回動部材73を上方へ回動させて開位置に移動させる。作業者は、回動部材73を開位置に止めた状態で、端子台6の差込穴620に電線9を差し込んで結線する。
【0053】
続いて、作業者は、回動部材73を開位置から下方へ回動させて開位置に移動させる。作業者は、係合部79をボルト78に係合させ、ボルト78を締めることにより、回動部材73を閉位置でロックする。差込穴620に差し込まれた電線9の一端は、回動部材73と固定部材70との間の隙間から端子台カバー7の外へ引き出される。
【0054】
閉位置の回動部材73は、端子台6の差込穴620の正面、上方、及び左右を覆う。空気中を浮遊する粉塵は重力によって天井側から下方へ、すなわち照明装置1へ、落下する場合が多い。回動部材73が閉位置にある場合、カバー部76が端子台6の天面60及び差込面62に対向することで、差込穴620への粉塵などの異物の付着が抑制される。異物付着抑制効果は、端子台6周辺の掃除及びメンテナンスが困難な高い天井に設置される照明装置1において特に顕著である。すなわち、差込穴620への異物の付着抑制により、端子台6周辺の掃除及びメンテナンスのための高所作業の頻度を減らすことができる。また、アーム8に対して光源部2が回動され、端子台6の姿勢が傾いた場合であっても、端子台6が回動部材73に覆われるため、差込穴620に対する異物の付着を抑制できる。例えば、図1図3に示される姿勢の光源部2の前端部が上方へ約90度回動した場合であっても、閉位置にある回動部材73のカバー部76が、端子台6の天面60及び差込面62に対向し、差込穴620への異物の付着を抑制する。
【0055】
ここで、図7図10を参照して、回動部材73を閉じる動作を説明する。図7は、開状態の端子台カバー7を示す左側面図である。図8図9は、回動状態の端子台カバー7を示す左側面図である。図10は、閉状態の端子台カバー7を示す左側面図である。図7図10において、差込穴620に差し込まれた電線9の一端が、端子台6の前方から左側へ引き出された状態が示されている。
【0056】
図7に示されるように、回動部材73が開位置にある場合、第4端部743と支持部72とがなす角度d1は、約180度である。図8に示されるように、回動部材73が閉位置に向かって回動していく場合、支持部72と側板部75は、一部が重なり、接している場合がある。図8に示されるように、回動部材73が閉位置に向かって回動していく場合でも、角度d1は、90度以上の鈍角となる。さらに回動部材73が閉位置に向かって回動すると、図9に示されるように、第4端部743は支持部72上へ移動する。この際、第2端部741と支持部72とがなす角度d2も、90度以上の鈍角となる。図10に示されるように、回動部材73が閉位置にある場合、第2端部741と支持部72とがなす角度d2は、約90度であり、鈍角が維持される。
【0057】
回動部材73が閉位置へ回動する際に、電線9が支持部72と側板部75とに挟まれたとしても、傾斜形状の第4端部743が電線9に当接しながら移動することにより、電線9を外に押し出す方向へ力が働き、電線9にせん断力が加わらない。そのため、電線9が支持部72と側板部75とに挟まれて損傷及び断線することを防止できる。また、第4端部743が存在することにより、支持部72と側板部75とのなす角度(角度d1,d2)が常に鈍角となるため、たとえ電線9が支持部72と側板部75とに挟まれたとしても、電線9にせん断力が加わらないため、電線9が損傷及び断線することを防止できる。
【0058】
図11は、本実施形態に係る端子台カバー7の理解を助けるための参考例である。参考例の端子台カバー7-1は、固定部材70-1と回動部材73-1とを備える。回動部材73-1の側板部75-1は、ボルト77-1を中心として閉位置と開位置との間で回動自在に支持部72-1に取り付けられている。
【0059】
参考例の側板部75-1には傾斜形状の第4端部743がない。そのため、回動部材73-1が閉位置へ回動する際に、電線9を外に押し出す方向へ力が働かない。そのため、電線9が支持部72-1と側板部75-1とに挟まれた状態で、回動部材73-1が閉位置へ回動していく。また、回動部材73-1が閉位置へ回動する途中で、支持部72-1と側板部75-2とのなす角度が鋭角になるため、電線9にせん断力が加わり、電線9が損傷及び断線する可能性がある。
【0060】
参考例の端子台カバー7-1において、作業者は、回動部材73-1を閉位置へ回動させる際に電線9が支持部72-1と側板部75-1とに挟まれないように、電線9を保持する必要がある。そのため、作業性が悪い。これに対し、本実施形態に係る端子台カバー7において、たとえ電線9が支持部72と側板部75とに挟まれたとしても、電線9が損傷及び断線することを防止できる。このため、作業者が電線9を保持する必要がなく、作業性が向上する。
【0061】
以上、本発明の実施形態について、図面(図1図10)を参照しながら説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。下記に変形例を説明する。
【0062】
図1図10に示されるように、側板部74,75の各第4端部743は、直線状に傾斜する形状であったが、この形状に限定されない。図12は、回動部材73における第4端部743の変形例である第4端部743aを示す左側面図である。図12に示されるように、側板部75の第4端部743aは、曲線状に傾斜している。曲線状に傾斜した第4端部743aが形成された場合にも、支持部72と側板部75とのなす角度が常に鈍角となるため、電線9の損傷及び断線を防止できる。
【0063】
図13及び図14は、端子台カバー7の変形例である端子台カバー7bを示す斜視図である。図13は、閉状態にある端子台カバー7bを示す斜視図である。図14は、開状態にある端子台カバー7bを示す斜視図である。
【0064】
端子台カバー7bにおいて、側板部74,75のそれぞれは、前後方向に長い矩形である。ただし、側板部75において、回動軸であるボルト77が設けられた頂点と対向する頂点が切り欠かれて、引出部745bが形成されている。より具体的には、引出部745bは、第2端部741と第5端部744bとに設けられた凹部である。この凹部は、回動部材73が閉位置にある場合に、固定部材70に向けて開放されている。第5端部744bは、第3端部742に対向する前端部である。端子台6の差込穴620に差し込まれた電線9の一端は、引出部745bから端子台カバー7bの外へと引き出される。なお、側板部74と側板部75の少なくとも一方に、引出部745bが形成されていればよい。引出部745bは、側板部74と側板部75のうち、少なくとも、電線9が引き出される側の側板部に形成されていることが好ましい。
【0065】
図14に示されるように、回動部材73が開位置にある場合、側板部74の第2端部741が、支持部71と面一になっている。すなわち、第2端部741と第3端部742とが交わる頂点が、支持部71上に配置され、支持部71上から周囲に飛び出ていない。そのため、回動部材73が開位置から閉位置へ回動する際に側板部74の第2端部741と支持部71とがなす角度は、常に、鈍角となる。したがって、たとえ電線9が支持部71と側板部74とに挟まれたとしても、電線9が損傷及び断線することを防止できる。
【0066】
支持部72と側板部75との位置関係も、支持部71と側板部74との位置関係と同じである。したがって、たとえ電線9が支持部72と側板部75とに挟まれたとしても、電線9が損傷及び断線することを防止できる。
【0067】
端子台カバー7bにおいて、回動部材73が有する各端部のうち、電線9に接触する可能性がある端部は、電線9の損傷及び断線を防止するために曲げ加工が施されていてもよい。
【0068】
なお、ケース5と端子台6とが、一か所に隣接して配置される必要はない。例えば、ケース5と端子台6とが離れて配置され、ケース5内の電源回路と端子台6とが電線により電気的に接続されてもよい。また、1つの端子台6に対して、複数の電源回路が電線により電気的に接続されてもよい。
【0069】
また、固定部材70が一対の支持部71,72を有する構成に限定されず、ケース5が一対の支持部71,72を有する構成であってもよい。この構成の場合、ケース5が固定部材として機能する。すなわち、ケース5の対向する一対の側面部のそれぞれにボルト77,78等が設けられ、ケース5の対向する一対の側面部に対して回動部材73が回動自在に支持される。
【0070】
また、実施形態では、電源装置3と端子台カバー7とが照明装置1に用いられる構成を例示したが、電源装置3と端子台カバー7の用途は照明装置1に限定されない。
【0071】
なお、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。したがって、図示された各構成要素の厚み、長さ、及び大きさ等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、端子台カバー、電源装置、及び照明装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 照明装置
2 光源部
3 電源装置
4 電源部
5 ケース
6 端子台
7,7b 端子台カバー
9 電線
61 底面
62 差込面
70 固定部材
71,72 支持部
73 回動部材
74,75 側板部
76 カバー部
78 ボルト(突部)
79 係合部
620 差込穴
740 第1端部
741 第2端部
742 第3端部
743,743a 第4端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14