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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170640
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】撮影治具
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20231124BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231124BHJP
   F16L 21/00 20060101ALN20231124BHJP
【FI】
G03B17/56 Z
G03B15/00 T
F16L21/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082536
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】原田 和眞
(72)【発明者】
【氏名】大利 公彦
【テーマコード(参考)】
2H105
【Fターム(参考)】
2H105EE11
(57)【要約】
【課題】管同士の接合箇所に対してカメラを位置決めする撮影治具を提供する。
【解決手段】撮影治具(1)は、第1管(210)の外周面に当接する周面当接部(11)と、周面当接部に支持されるフレーム軸(12)と、フレーム軸に設けられた回動軸(13)の周りで回動する連結バー(14)と、第1管の受口の端面に当接する当接面(15a)を有する端面当接部(15)と、を備え、当接面はテーパ形状である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1管と該第1管の受口に挿入される第2管との接合箇所を撮影するための撮影治具であって、
前記第1管の外周面に当接する周面当接部と、
前記周面当接部に支持されるフレーム軸と、
前記フレーム軸に設けられた回動軸の周りで回動する連結バーと、
前記受口の端面に当接する当接面を有するとともに、前記連結バーの先端に設けられた端面当接部と、
前記接合箇所を前記第1管の径方向から撮像するようにカメラを支持し、前記フレーム軸に対して固定されている支持部と、を備え、
前記当接面は、前記連結バーに対し前記第1管に近づく方向へ傾斜するテーパ形状である、撮影治具。
【請求項2】
前記テーパ形状は、前記当接面と前記連結バーとが成す角が90°よりも大きい形状である、請求項1に記載の撮影治具。
【請求項3】
前記端面当接部は、当該端面当接部が前記端面に当接した状態で、前記第1管の径方向に延在する照準ピンをさらに備える、請求項1に記載の撮影治具。
【請求項4】
前記支持部は、前記カメラが載置される載置部を有し、
前記載置部には、前記第1管に向かって開口する開口部が形成され、
前記開口部の壁面は、前記カメラから前記第1管に向かって広がる形状を有する、請求項1に記載の撮影治具。
【請求項5】
前記支持部は、
前記カメラが嵌入される嵌入部と、
前記カメラが嵌入された状態において、前記嵌入部が前記カメラの側面と対向する面である対向面に向かって前記カメラを押し込む押込み部と、を備える、請求項1に記載の撮影治具。
【請求項6】
前記嵌入部において前記カメラが嵌入される空間である嵌入空間は、前記カメラが嵌入される方向に沿って小さくなる、請求項5に記載の撮影治具。
【請求項7】
前記周面当接部が前記外周面に当接した状態で、前記周面当接部を前記第1管の軸方向に沿って移動させるため、前記第1管の軸方向に平行な第1ハンドル回動軸および前記第1管の径方向に平行な第2ハンドル回動軸の周りで回動可能なハンドルと、
前記ハンドルが係止することで前記第1ハンドル回動軸の周りでの前記ハンドルの回動を停止させるストッパーと、をさらに備え、
前記ハンドルは、前記第2ハンドル回動軸の周りで回動することで、前記ストッパーに係止する状態と係止しない状態とを切替可能である、請求項1に記載の撮影治具。
【請求項8】
前記周面当接部が前記外周面に当接した状態で、前記周面当接部を前記第1管の軸方向に沿って移動させるため、前記第1管の軸方向に平行な第1ハンドル回動軸の周りで回動可能なハンドルと、
前記ハンドルが係止することで前記第1ハンドル回動軸の周りでの前記ハンドルの回動を停止させるストッパーと、をさらに備え、
前記ハンドルは、前記ストッパーに対する前記ハンドルの係止状態を操作するための操作部を備える、請求項1に記載の撮影治具。
【請求項9】
前記周面当接部が前記外周面に当接した状態で、前記周面当接部は、前記第1管の軸に垂直な面において、
前記第1管の径が所定値未満である場合に当該第1管の側面に当接する第1当接部と、
前記第1管の径が所定値以上である場合に前記第1管の側面に当接する少なくとも2つの第2当接部と、を備え、
前記少なくとも2つの第2当接部は、前記第1当接部の両側に位置し、
前記第1当接部は、前記第2当接部よりも前記第1管の径方向における外側に窪むように形成され、
前記少なくとも2つの第2当接部の間隔は、前記第1管について想定される直径の最小値よりも大きい請求項1に記載の撮影治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管同士の接合箇所を撮影するためのカメラを取り付ける撮影治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道管または下水道管等には、一方の管の受口に他方の管の挿し口を挿入して、受口の内周面と挿し口の外周面との間でシール材を圧縮させた、所謂プッシュオンタイプの管継手構造が採用されている。
【0003】
この種の管継手構造の管では、管同士の接合が適正であるか否かの検査が行われる。例えば、特許文献1には、複数のカメラが取り付けられた環状部を備え、この環状部を管の周囲を囲むように配置することにより、管の軸方向から受口の内部を撮影する管検査用の撮影治具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-50770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、管同士の接合箇所においては、屈曲角が許容範囲内にあるように管同士が接合されている必要性がある。しかしながら、特許文献1の技術では、管の軸方向から撮影するため、接合箇所における屈曲角の検査への適用が困難な場合があった。
【0006】
本発明の一態様は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、管同士の接合箇所に対して径方向にカメラを位置決めし、該接合箇所を撮影することができる撮影治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る撮影治具は、第1管と該第1管の受口に挿入される第2管との接合箇所を撮影するための撮影治具であって、前記第1管の外周面に当接する周面当接部と、前記周面当接部に支持されるフレーム軸と、前記フレーム軸に設けられた回動軸の周りで回動する連結バーと、前記受口の端面に当接する当接面を有するとともに、前記連結バーの先端に設けられた端面当接部と、前記接合箇所を前記第1管の径方向から撮像するようにカメラを支持し、前記フレーム軸に対して固定されている支持部と、を備え、前記当接面は、前記連結バーに対し前記第1管に近づく方向へ傾斜するテーパ形状である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、管同士の接合箇所に対して径方向にカメラを位置決めし、該接合箇所を撮影することができる撮影治具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】撮影治具の全体の構成を示す図である。
図2】周面当接部の構成を示す正面図である。
図3】回動軸、連結バー、および端面当接部の構成を示す側面図である。
図4】支持部の第1の具体例の構成を示す平面図である。
図5図4におけるV-V線端面図である。
図6】撮影治具の使用例を示す図である。
図7】ハンドルの下部の構成を示す図である。
図8】ハンドルの第1の具体例の構成を示す図である。
図9】支持部の第2の具体例の構成を示す平面図である。
図10図9におけるX-X線断面図である。
図11】支持部の第3の具体例の構成を示す平面図である。
図12】支持部の第3の具体例におけるロック部材および解除部材の構成の概略を示す図である。
図13】支持部の第4の具体例の構成を示す平面図である。
図14】支持部の第4の具体例におけるロック部材および解除部材の構成の概略を示す図である。
図15】支持部の第5の具体例の構成を示す平面図である。
図16】支持部の第5の具体例における解除部材の構成の概略を示す図である。
図17】支持部の第5の具体例において、ユーザが操作部を操作した状態を示す図である。
図18】支持部の第6の具体例の構成を示す平面図である。
図19】支持部の第6の具体例におけるロック部の動作を示す側面図である。
図20】ハンドルの第2の具体例の構成を示す図である。
図21】レバーが操作されることによるハンドルの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図1図8を参照して詳細に説明する。ただし、以下の説明は本発明に係る撮影治具の一例であり、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではない。各図に矢印を付して示す3つの方向が、前後方向(軸方向)X、上下方向(径方向)Y、および左右方向(径方向)Zである。
【0011】
(撮影治具1の構成)
図1は、撮影治具1の全体の構成を示す図である。図1において、符号101は斜視図、符号102は上面図である。図1の符号102に示すように、撮影治具1は、第1管210と、第1管210の受口211に挿入される第2管220との接合箇所を撮影するためのものである。図1に示すように、撮影治具1は、周面当接部11と、フレーム軸12と、回動軸13と、連結バー14と、端面当接部15と、支持部16とを備える。
【0012】
周面当接部11は、第1管210の外周面に当接する。図1に示す例では、撮影治具1は、第1管210の管軸212に沿って配置される2つの周面当接部11を備える。ただし、撮影治具1は、管軸212に沿って配置される3以上の周面当接部11を備えていてもよい。周面当接部11の具体的な構成については後述する。
【0013】
フレーム軸12は、周面当接部11に支持される。フレーム軸12は、撮影治具1が備える他の各部が連結される本体部分として機能する。フレーム軸12は、第1管210に沿う四角柱の形状を有する。ただし、フレーム軸12の形状はこれに限らず、例えば円柱の形状を有していてもよい。
【0014】
フレーム軸12は、図1の符号102に示すように、撮影治具1の使用時の平面視において第1管210の管軸212に重畳している。このため、フレーム軸12が撮影治具1の使用時の平面視において管軸212からずれている場合と比較して、ユーザが撮影治具1を第1管210に配置しやすい。
【0015】
回動軸13は、フレーム軸12に設けられている。連結バー14は、回動軸13の周りで回動する。端面当接部15は、連結バー14の先端に設けられている。端面当接部15は、受口211の端面に当接する当接面15aを有する。
【0016】
当接面15aは、連結バー14に対し第1管210に近づく方向へ傾斜するテーパ形状である。回動軸13、連結バー14および端面当接部15の具体的な構成については後述する。
【0017】
支持部16は、第1管210と第2管220との接合箇所を、第1管210の径方向から撮像するようにカメラ110を支持する。支持部16は、フレーム軸12に対して固定されている。具体的には、支持部16は、当接面15aが受口211の端面に当接した状態において、支持部16に支持されたカメラ110が受口211から径方向に離隔した位置に配されるように、フレーム軸12に対して固定されている。支持部16の具体的な構成については後述する。
【0018】
また、撮影治具1は、周面当接部11が第1管210の外周面に当接した状態で、ユーザが撮影治具1を第1管210の軸方向に沿って移動させるためのハンドル17をさらに備える。図1の符号101においてはハンドル17の上部は省略されている。ハンドル17の具体的な構成については後述する。
【0019】
(周面当接部11の構成)
図2は、周面当接部11の構成を示す正面図である。図2には、周面当接部11に当接する複数の径の第1管210の外周面も併せて示している。ただし、図2においては、視認性を考慮して、一部の第1管210についてのみ符号を付している。図2に示すように、周面当接部11は、第1当接部11aおよび第2当接部11bを備える。
【0020】
第1当接部11aは、第1管210の軸に垂直な面において、第1管210の径が所定値未満である場合に第1管210の側面に当接する。第2当接部11bは、第1管210の軸に垂直な面において、第1管210の径が所定値以上である場合に第1管210の側面に当接する。所定値は、想定する第1管210の径の範囲、および第1管210の径ごとの数の比率などに応じて撮影治具1の設計者によって決定されてよく、例えば150mmであってよい。
【0021】
図2に示す例では、周面当接部11は、第2当接部11bを2つ備える。2つの第2当接部11bは、第1当接部11aの両側に位置する。ただし、周面当接部11は、第2当接部11bを少なくとも2つ備えていればよく、3つ以上備えていてもよい。周面当接部11が第2当接部11bを3つ以上備える場合、そのうち少なくとも2つが第1当接部11aの両側に位置していればよい。
【0022】
第1当接部11aは、第2当接部11bよりも第1管210の径方向における外側に窪むように形成されている。さらに、第1当接部11aの両側に位置する第2当接部11bの間隔は、第1管210について想定される直径の最小値よりも大きい。第2当接部11bの間隔よりも小さい径の第1管210は、第2当接部11bの間に入り込み、第1当接部11aに当接する。一方、第2当接部11bの間隔以上の径の第1管210は、第2当接部11bの間に入り込むことなく、第2当接部11bに当接する。
【0023】
このため、周面当接部11によれば、第1管210の径が大きくなるにつれて、第1管210とカメラ110との距離が大きくなる。したがって、第1管210の径の違いに起因する、カメラ110により撮像した画像における第1管210のサイズの違いが低減される。すなわち、第1管210と第2管220との接合箇所を検査する上で適切なサイズで第1管210の画像を撮影できる。
【0024】
(端面当接部15の構成)
図3は、回動軸13、連結バー14、および端面当接部15の構成を示す側面図である。回動軸13は、左右方向に延在する。回動軸13が設けられるフレーム軸12は、上述したとおり、平面視において第1管210の管軸212に重畳している。このため、連結バー14および端面当接部15は、管軸212を含む面内において、回動軸13の周りで回動する。
【0025】
上述したとおり、当接面15aは、連結バー14に対し第1管210に近づく方向へ傾斜するテーパ形状である。具体的には、当接面15aが有するテーパ形状は、当接面15aと連結バー14とが成す角が90°よりも大きい形状である。ここでいう「当接面15aと連結バー14とが成す角」とは、当接面15aと、連結バー14の側面のうち、当接面15aと連結バー14との接続点から回動軸13に向かって伸びる側面と、が成す角である。
【0026】
当接面15aがこのようなテーパ形状を有することで、第1管210の径が変動しても、当接面15aと連結バー14との境界部分が、第1管210の受口211の、端面の外周部分に当接する。したがって、第1管210の径の変動に起因する、当接面15aと受口211の端面とが当接する位置と、回動軸13と、の間における水平方向の距離の変動を低減できる。
【0027】
また、当接面15aと連結バー14とが成す角は、120°以下であってよい。特に、当接面15aと連結バー14とが成す角は、100°以下であってよく、例えば95°であってよい。当接面15aと連結バー14とが成す角がこのような範囲であれば、上述したとおり、第1管210の径の変動に起因する、当接面15aと受口211の端面とが当接する位置と、回動軸13と、の間における水平方向の距離の変動を低減できる。
【0028】
また、図1にも示したように、端面当接部15は、照準ピン15bを備える。照準ピン15bは、端面当接部15が第1管210の端面に当接した状態で、第1管210の径方向に延在する。第1管210の軸方向において、照準ピン15bの位置は、当接面15aの位置と略等しい。照準ピン15bは、平面視において、支持部16の端部よりも第1管210の軸から離隔した位置まで延在する。
【0029】
撮影治具1の使用時には、端面当接部15、特に当接面15aが支持部16の陰に位置する状態となり、ユーザから視認できない場合がある。そのような場合であっても、照準ピン15bが上記の位置まで延在することで、ユーザは照準ピン15bについては視認可能である。
【0030】
このため、ユーザは、照準ピン15bの位置により、第1管210の管軸方向における当接面15aの位置を認識できる。したがって、ユーザは、当接面15aを第1管210の受口211の端面に、容易に当接させることができる。
【0031】
図1に示した例では、照準ピン15bは、左右方向における端面当接部15の両側に延在している。しかし、照準ピン15bは、左右方向における端面当接部15のいずれか一方の側にのみ延在していてもよい。
【0032】
(支持部16の構成)
図4は、支持部16の第1の具体例である、支持部16-1の構成を示す平面図である。図4に示すように、支持部16-1は、載置部16aと、固定爪16b(嵌入部)と、変形爪16c(押込み部)と、を備える。
【0033】
載置部16aは、カメラ110が載置される台である。載置部16aには、第1管210に向かって開口する開口部16aaが形成されている。
【0034】
図5は、図4におけるV-V線端面図である。図5には、開口部16aaの、左右方向における両側面の形状が表れている。開口部16aaの、前後方向における両側面の形状は、左右方向における両側面の形状と同じである。図5に示すように、開口部16aaの壁面は、カメラ110から第1管210に向かって広がる形状を有する。換言すれば、開口部16aaは、上下方向における上側から下側に向かって広がる形状を有する。このため、カメラ110による撮影時のフラッシュ光が、開口部16aaの壁面により反射されることによる反射光が低減される。したがって、当該反射光がカメラ110により撮影される画像に映り込むことに起因する、検査精度の低下も低減される。
【0035】
固定爪16bは、載置部16aの側部から上側に突出している爪状の部材である。固定爪16bは、先端近傍に、載置部16aに対して略水平方向に延在する返し16baを有する。固定爪16bは、返し16baの下側に、カメラ110の側面と対向する対向面16bbを有する。
【0036】
変形爪16cは、載置部16aの側部から上側に突出している爪状の部材である。変形爪16cは、先端近傍に、載置部16aに対して略水平方向に延在する返し16caを有する。変形爪16cは、返し16caの下側に、カメラ110の側面を対向面16bbに向かって押し込む押込み面16cbを有する。
【0037】
変形爪16cは、載置部16aに対する取り付け箇所に板バネを有する。具体的には、変形爪16cの、載置部16aに対する取り付け箇所は、載置部16aの外縁に沿って3分割されている。両端の部位は載置部16aに対して固定されており、中央の部位が撓んで弾性力を発揮する。
【0038】
支持部16-1の載置部16aにカメラ110を載置する場合、変形爪16cは、板バネの弾性力により、対向面16bbに向かってカメラ110を押し込む。その結果、固定爪16bおよび変形爪16cによりカメラ110が支持される。
【0039】
図4に示す例では、支持部16-1は、3つの固定爪16bおよび2つの変形爪16cを備える。3つの固定爪16bのうち2つは、カメラ110を平面視した場合における、長辺に当接する位置に配されている。残りの1つの固定爪16bは、カメラ110を平面視した場合における、短辺に当接する位置に配されている。また、2つの変形爪16cのうち1つは、カメラ110を平面視した場合における、固定爪16bが当接していない短辺に当接する位置に配されている。残りの1つの変形爪16cは、カメラ110を平面視した場合における、固定爪16bが当接していない長辺に当接する位置に配されている。
【0040】
ただし、支持部16-1が備える固定爪16bの数はこれに限らず、カメラ110を平面視した場合における1つの短辺および1つの長辺のそれぞれに、少なくとも1つの固定爪16bが当接すればよい。また、支持部16-1が備える変形爪16cの数はこれに限らず、カメラ110を平面視した場合における、固定爪16bが当接していない短辺および長辺のそれぞれに、少なくとも1つの変形爪16cが当接すればよい。
【0041】
(ハンドル17の構成)
図6は、撮影治具1の使用例を示す図である。撮影治具1は、例えば図6に示すように、掘削溝230内に第1管210および第2管220を設置した状態で使用される。図6において、符号601および符号602は、掘削溝230の、互いに異なる側からユーザ240が撮影治具1を使用する例を示している。
【0042】
ハンドル17は、支柱17aと把持部17bとを有する。把持部17bは、ユーザ240により把持される部位である。支柱17aは、把持部17bとフレーム軸12とを接続する柱状の部位である。ユーザ240は、把持部17bを把持して撮影治具1を第1管210に沿って移動させる。
【0043】
把持部17bおよび支柱17aは、例えば円柱形状または四角柱形状である。支柱17aは、把持部17bの円柱形状または四角柱形状の側面に接続されている。把持部17bの、支柱17aとの接続箇所は、ユーザ240にとっては把持しにくい箇所となる。
【0044】
このため、ハンドル17において把持部17bは、支柱17aとの接続箇所を変更可能であることが好ましい。例えば、把持部17bを支柱17aに対してスライドさせることが可能であってよい。または、把持部17bを支柱17aの軸の周りで回転させることが可能であってもよい。ハンドル17がこのような構成を有することで、図6に示すように、ユーザ240が掘削溝230のどちら側にいても、把持部17bを容易に把持することが可能となる。
【0045】
図7は、ハンドル17の下部の構成を示す図である。ハンドル17の下部において、支柱17aは、第1ハンドル回動軸17cを介してフレーム軸12に接続されている。第1ハンドル回動軸17cは、第1管210の軸方向に平行な回動軸である。ハンドル17は、第1ハンドル回動軸17cの周りで回動可能である。
【0046】
ハンドル17は、左右いずれにも回動していない状態を0°として、±7.5°および±15°のいずれかに回動した状態を維持することが可能な構成を有する。図7において、符号701は、ハンドル17を左右いずれにも回動していない状態を示す。符号702は、ハンドル17を1方向に7.5°回動した状態を示す。符号703は、ハンドル17が1方向に15°回動した状態を示す。ただし、ハンドル17は、上記とは異なる角度に回動した状態を維持することが可能な構成を有していてもよい。
【0047】
撮影治具1は、ストッパー17dをさらに備える。ストッパー17dは、ハンドル17が係止することで、第1ハンドル回動軸17cの周りでのハンドル17の回動を停止させる。ストッパー17dは、複数の開口17eを有する板状の部材である。
【0048】
図8は、ハンドル17の第1の具体例であるハンドル17-1の構成を示す図である。図8に示すように、ハンドル17-1において、支柱17aには、複数の開口17eのいずれかに嵌入される突起17fが設けられている。突起17fがいずれかの開口17eに嵌入されることで、ハンドル17-1がストッパー17dに係止する。その結果、ハンドル17-1は、上述したいずれかの角度に回動した状態を維持できる。
【0049】
図8において、符号801は、支柱17aが傾斜していない状態の図であり、符号802は支柱17aが傾斜している状態の図である。ハンドル17-1は、支柱17aをストッパー17dに対して傾斜させることが可能な構成を有する。
【0050】
具体的には、ハンドル17-1は、支柱17aの下端17g(第2ハンドル回動軸)の周りで回動可能である。下端17gは、フレーム軸12に当接する曲面の形状を有する。支柱17aをストッパー17dに対して傾斜させていない状態では、符号801に示すように、ハンドル17-1がストッパー17dに係止した状態となる。支柱17aをストッパー17dに対して傾斜させた状態では、符号802に示すように、ハンドル17-1がストッパー17dに係止していない状態となる。すなわち、ハンドル17-1は、下端17gの周りで回動することで、ストッパー17dに係止する状態と係止しない状態とを切替可能である。
【0051】
第1ハンドル回動軸17cの周りでのハンドル17-1の角度を変更する手順は以下のとおりである。まず、ユーザ240は、支柱17aをストッパー17dに対して傾斜させ、ハンドル17-1がストッパー17dに係止していない状態とする。次に、ユーザ240は、支柱17aをストッパー17dに対して傾斜させたまま、第1ハンドル回動軸17cの周りでハンドル17-1を所望の角度に回動させる。その後、ユーザ240は、支柱17aをストッパー17dに対して傾斜させない状態とする。
【0052】
以上の手順により、図6に示したように、ユーザ240の位置に応じた適切な角度に、第1ハンドル回動軸17cの周りでのハンドル17-1の角度を変更できる。したがって、撮影治具1の利便性が向上する。
【0053】
(撮影治具1によるカメラ110の位置決め方法)
撮影治具1によるカメラ110の位置決め方法は、以下のとおりである。まず、ユーザは、撮影治具1を第1管210の外周面に載置する。このとき、周面当接部11が第1管210の外周面に当接する。またこのとき、ユーザは、端面当接部15が第1管210の受口211の端面よりも前方に位置するようにする。
【0054】
次に、ユーザは、ハンドル17を把持して、撮影治具1を後方へ移動させる。このとき、端面当接部15および連結バー14が回動軸13の周りで回動することで、当接面15aが受口211の端面に当接する。これにより、第1管210と第2管220との接合箇所に対するカメラ110の位置決めが完了する。
【0055】
(撮影治具1の効果)
以上のとおり、撮影治具1においては、周面当接部11を第1管210の外周面に当接させ、端面当接部15の当接面15aを第1管210の受口211の端面に当接させる。当接面15aがテーパ形状を有することで、第1管210の径が変動しても、支持部16により支持されたカメラ110と受口211との位置関係の変動が小さい。したがって、撮影治具1によれば、複数種類の径の第1管210について、カメラ110を第1管210と第2管220との接合箇所に対して適切な位置に位置決めし、該接合箇所を撮影することができる。具体的には、単一の撮影治具1は、例えば75mm以上かつ450mm以下といった、広範囲の径の第1管210に対応することができる。
【0056】
また、撮影治具1によれば、カメラ110により撮影した画像による、管同士の接合の適否の検査精度が向上する。したがって、水道管などの敷設についての効率が向上する。これにより、持続可能な開発目標(SDGs)の、目標6,7などの達成に貢献できる。
【0057】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。実施形態2では、支持部16の、実施形態1とは別の具体例について説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0058】
図9は、支持部16の第2の具体例である、支持部16-2の構成を示す平面図である。図9に示すように、支持部16-2は、載置部16a、側壁16d、抑え部材16e(嵌入部)、およびロック部材16f(押込み部)を備える。
【0059】
側壁16dは、載置部16aに載置されたカメラ110の側部に当接する。側壁16dは、カメラ110を平面視した場合における、1つの長辺およびその両側の短辺に当接する形状を有する。ただし、側壁16dは、必ずしもカメラ110を平面視した場合における長辺および短辺の全体に当接しなくてもよい。
【0060】
抑え部材16eは、載置部16aに載置されたカメラ110の一部を上側から抑える。抑え部材16eは、側壁16dの、カメラ110を平面視した場合における長辺に当接する部位の両端に配されている。
【0061】
図10は、図9におけるX-X線断面図である。図10には、抑え部材16eにおいてカメラ110が嵌入される空間である嵌入空間が示されている。抑え部材16eは、嵌入空間の奥側に、カメラ110の側面と対向する対向面16eaを有する。
【0062】
支持部16-2において、嵌入空間は、カメラ110が挿入される方向に沿って小さくなる。具体的には、図10に示すように、カメラ110が挿入される方向の手前側における嵌入空間の高さをH1とし、奥側における嵌入空間の高さをH2としたとき、H1>H2である。
【0063】
嵌入空間がこのような形状を有することで、ロック部材16fにより嵌入空間に押し込まれるカメラ110は、載置部16aと抑え部材16eとの間で挟持される。したがって、嵌入空間がこのような形状を有しない場合よりも強固にカメラ110を固定できる。
【0064】
ロック部材16fは、抑え部材16eに向かってカメラ110を押し込む。ロック部材16fは、載置部16aの端部から上側へ突出している。ロック部材16fの先端近傍には、載置部16aに対して略水平方向に延在する返しが形成されている。
【0065】
ロック部材16fは、弦巻バネ16faを介して載置部16aに取り付けられている。弦巻バネ16faは、載置部16aに向かう方向にロック部材16fを付勢する。また、ロック部材16fに対して載置部16aから離隔する方向の力を加えることで、弦巻バネ16faを変形させ、ロック部材16fを変位させることができる。
【0066】
支持部16-2の載置部16aにカメラ110を載置する場合、ユーザはロック部材16fを載置部16aから離隔させた状態で、カメラ110を抑え部材16eに嵌入する。その状態でロック部材16fを元の位置に戻すことで、弦巻バネ16faの弾性力によりカメラ110が対向面16eaに向かって押し込まれる。
【0067】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。実施形態3では、支持部16の、上記の各実施形態とは別の具体例について説明する。
【0068】
図11は、支持部16の第3の具体例である、支持部16-3の構成を示す平面図である。図11に示すように、支持部16-3は、ロック部材16fの代わりにロック部材16g(押込み部)および解除部材16hを備える点を除いて支持部16-2と同じ構成を有する。
【0069】
ロック部材16gは、ロック部材16fと同様に抑え部材16eに向かってカメラ110を押し込む。解除部材16hは、ロック部材16gによるカメラ110の押込みを解除するための、ユーザによる操作を受け付ける。
【0070】
図12は、ロック部材16gおよび解除部材16hの構成の概略を示す図である。図12に示すように、ロック部材16gは、当接部16ga、支柱16gb、および弦巻バネ16gcを備える。解除部材16hは、ブロック16haおよび弦巻バネ16hbを備える。
【0071】
当接部16gaは、カメラ110に当接する部位である。支柱16gbは、当接部16gaに対して固定されている部位である。弦巻バネ16gcは、一端が支柱16gbに取り付けられ、他端が載置部16aに取り付けられているバネである。弦巻バネ16gcは、ロック部材16fに対する弦巻バネ16faとは逆に、載置部16aから離隔する方向に当接部16gaを付勢する。
【0072】
ブロック16haは、支柱16gbに当接する部位である。弦巻バネ16hbは、一端がブロック16haに取り付けられ、他端がブロック16haとは別の部材に取り付けられているバネである。弦巻バネ16hbの他端は、例えば載置部16aに取り付けられていてよい。弦巻バネ16hbは、支柱16gbに向かう方向にブロック16haを付勢する。
【0073】
支柱16gbの、ブロック16haが当接する箇所には、凹凸部16gdが形成されている。ブロック16haの、支柱16gbに当接する箇所には、凹凸部16hcが形成されている。凹凸部16gdと凹凸部16hcとは、当接部16gaがカメラ110に当接する状態において、互いに噛み合う。
【0074】
支持部16-3によりカメラ110を支持する場合、抑え部材16eの下側にカメラ110を嵌入した状態で、当接部16gaがカメラ110に当接するようにロック部材16gを押し込む。上述したとおり、当接部16gaは、弦巻バネ16gcにより、載置部16aから離隔する方向に付勢されている。しかし、当接部16gaがカメラ110に当接する状態では、弦巻バネ16hbにより付勢されたブロック16haの凹凸部16hcが、支柱16gbの凹凸部16gdと互いに噛み合う。その結果、当接部16gaがカメラ110に当接した状態で変位しなくなる。
【0075】
支持部16-3からカメラ110を取り外す場合、ブロック16haを支柱16gbから離隔する方向に変位させ、凹凸部16gdと凹凸部16hcとの噛み合いを解除する。その結果、弦巻バネ16gcにより付勢された当接部16gaは、カメラ110から離隔する方向に変位し、カメラ110を取り外すことが可能となる。したがって、支持部16-3によれば、ブロック16haを支柱16gbから離隔する方向に変位させるという1つの動作のみで、カメラ110を取り外し可能とすることができる。
【0076】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。実施形態4では、支持部16の、上記の各実施形態とは別の具体例について説明する。
【0077】
図13は、支持部16の第4の具体例である、支持部16-4の構成を示す平面図である。図13において、符号1301は支持部16-4の上面図であり、符号1302は支持部16-4の底面図である。図13に示すように、支持部16-4は、ロック部材16gおよび解除部材16hの代わりにロック部材16i(押込み部)および解除部材16jを備える点で支持部16-3と相違する。
【0078】
ロック部材16iは、ロック部材16fと同様に抑え部材16eに向かってカメラ110を押し込む。解除部材16jは、ロック部材16fによるカメラ110の押込みを解除するための、ユーザによる操作を受け付ける。
【0079】
また、支持部16-4における側壁16dの形状は、支持部16-2および支持部16-2における側壁16dの形状とは異なる。具体的には、支持部16-4における側壁16dは、カメラ110の長辺の全体には当接せず、一部のみに当接する。換言すれば、側壁16dの、カメラ110に対向する領域の一部に隙間がある。
【0080】
支持部16-4からカメラ110を取り外す場合には、側壁16dの隙間からカメラ110の長辺を押して移動させることができる。したがって、より容易にカメラ110を取り外すことができる。
【0081】
図14は、ロック部材16iおよび解除部材16jの構成の概略を示す図である。図14に示すように、ロック部材16iは、当接部16ia、支柱16ib、および弦巻バネ16icを備える。解除部材16jは、ブロック16jaおよび弦巻バネ16jbを備える。
【0082】
ロック部材16iにおいて、当接部16iaおよび弦巻バネ16icは、それぞれロック部材16gにおける当接部16gaおよび弦巻バネ16gcと同じである。支柱16ibは支柱16gbと比較して、凹凸部16gdに対応する部位を有しない点で相違する。
【0083】
また、図14に示すように、支柱16ibは、脱離防止部16ieを備える。脱離防止部16ieは、弦巻バネ16icの付勢力によりロック部材16iが載置部16aから脱離することを防止する。支持部16-4においては、載置部16aは、当接部16iaが脱離しないよう、脱離防止部16ieが係止するストッパー(不図示)を有する。上述した支持部16-3においても、脱離防止部16ieに相当する構成要素を支柱16gbが備えていてもよい。
【0084】
解除部材16jにおいて、弦巻バネ16jbは、解除部材16hにおける弦巻バネ16hbと同じである。ブロック16jaは、ブロック16haと比較して、支柱16ibに当接する箇所に凹凸部16hcが形成される代わりに摩擦材16jdが設けられている点で相違する。摩擦材16jdは、樹脂により構成されたクッション材である。樹脂の例としてウレタンまたはゴム材が挙げられる。
【0085】
支持部16-4において、ブロック16jaには摩擦材16jdが設けられているため、凹凸部16hcが形成されているブロック16haよりも耐久性が向上している。また、支持部16-4において、ブロック16jaの摩擦材16jdが摩耗した場合であっても、摩擦材16jdだけを交換することが可能である。
【0086】
また、支持部16-3においては、当接部16gaの固定位置が、凹凸部16gdと凹凸部16hcとが互いに噛み合う位置に限定される。これに対し、支持部16-4においては、支柱16ibと摩擦材16jdとの間の摩擦力により当接部16iaをカメラ110に当接させた状態で固定する。このため、当接部16iaを任意の位置で固定することができる。
【0087】
また、図13に示すように、支持部16-4においては、ロック部材16iと解除部材16jとの接触部位は、載置部16aの下側にのみ露出し、上側には露出しない。このため、ロック部材16iと解除部材16jとの接触部位に砂などが侵入して摩擦材16jdに付着し、摩擦材16jdと支柱16ibとの間の摩擦力が低下することを低減できる。
【0088】
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。実施形態5では、支持部16の、上記の各実施形態とは別の具体例について説明する。
【0089】
図15は、支持部16の第5の具体例である、支持部16-5の構成を示す平面図である。図15において、符号1501は支持部16-5の上面図であり、符号1502は底面図である。図15に示すように、支持部16-5は、解除部材16jの代わりに解除部材16kを備える点でのみ、支持部16-4と相違する。
【0090】
図16は、解除部材16kの構成の概略を示す図である。図16に示すように、解除部材16kは、ブロック16ka、弦巻バネ16kbおよび操作部16keを備える。ブロック16kaは、解除部材16jにおけるブロック16jaと同じである。弦巻バネ16kbは、解除部材16jにおける弦巻バネ16jbと同じである。摩擦材16kdは、摩擦材16jdと同じである。
【0091】
操作部16keは、ブロック16kaの、摩擦材16kdとは逆側に配される取っ手である。図15に示したとおり、操作部16keは、支持部16-5を平面視した場合において視認可能な位置まで延在している。このため、ユーザは、支持部16-5からカメラ110を取り外す操作を容易に行うことができる。
【0092】
図16において、弦巻バネ16kbは、操作部16keの、ブロック16kaとは逆側に配されている。しかし、上述したとおり、図16は解除部材16kの構成の概略を示す図である。このため、弦巻バネ16kbの位置は図16に示す位置に限られない。これは、上述した解除部材16h,16jにおいても同様である。
【0093】
図17は、支持部16-5において、ユーザが操作部16keを操作した状態を示す図である。図17において、符号1701は上面図であり、符号1702は底面図である。図17に示すように、ユーザが操作部16keを載置部16aから離隔する方向に変位させる操作を行うことで、ブロック16kaが支柱16ibから離れる。その結果、当接部16iaがカメラ110に当接した状態が解除される。
【0094】
〔実施形態6〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。実施形態6では、支持部16の、上記の各実施形態とは別の具体例について説明する。
【0095】
図18は、支持部16の第6の具体例である、支持部16-6の構成を示す平面図である。図18に示すように、支持部16-6は、ロック部材16fの代わりにロック部16l(押込み部)を備える点で支持部16-2と相違する。
【0096】
図19は、ロック部16lの動作を示す側面図である。図19に示すように、ロック部16lは、当接部16laと、ロック部回動軸16lbとを備える。当接部16laはカメラ110に当接する部位である。当接部16laは、カメラ110に対向する主面を有する略平板状の形状を有する。当接部16laは、主面が載置部16aの載置面に垂直な状態において、カメラ110に当接する。
【0097】
当接部16laは、ロック部回動軸16lbの周りで回動する。支持部16-6において、載置部16aは、上下方向に延在する長孔16abを備える。ロック部回動軸16lbは、長孔16abに挿入されている。
【0098】
図19の符号1901および符号1902は、ロック部回動軸16lbが長孔16abの上側に位置する状態を示す図である。ロック部回動軸16lbが長孔16abの上側に位置する状態では、当接部16laは、ロック部回動軸16lbの周りで回動することで、主面が載置部16aの載置面に平行な状態と、垂直な状態とを切り替え可能である。
【0099】
図19の符号1903は、ロック部回動軸16lbが長孔16abの下側に位置する状態を示す図である。ロック部回動軸16lbは、当接部16laの主面が載置部16aの載置面に垂直な状態においてのみ、長孔16abの下側に変位可能である。当接部16laは、ロック部回動軸16lbが長孔16abの下側に位置する状態では、長孔16abの周りで回動できない。すなわち、ユーザは、ロック部回動軸16lbを長孔16abの下側に変位させることで、ロック部回動軸16lbの周りにおける当接部16laの角度を固定できる。長孔16abは、例えば、上側から下側に向かうにつれて幅が減少する形状を有していてよい。また、ロック部回動軸16lbは、例えば、長軸が当接部16laの主面に平行な楕円形の断面を有してよい。この場合、楕円形の短軸が長孔16abの下端の幅未満であり、長軸が長孔16abの下端の幅以上かつ上端の幅未満である楕円形であるものとする。また、ロック部16lの構造はこれに限られず、例えばロック部16lまたは長孔16abの側面にリブを設ける等、様々な形態で実現可能である。
【0100】
図19の符号1904は、符号1903において当接部16laがカメラ110に当接している箇所の拡大図である。当接部16laは、傾斜面16lcを有する。傾斜面16lcは、当接部16laの主面が載置部16aの載置面に垂直な状態において、当接部16laの主面の上側に連続している面である。傾斜面16lcは、当接部16laの主面との間で180°よりも小さい角度を成すように傾斜している。
【0101】
当接部16laにおいては、ロック部回動軸16lbが長孔16abの下側に変位することで、傾斜面16lcがカメラ110に当接する。このとき、傾斜面16lcによりカメラ110が抑え部材16eに向かって押し込まれることで、支持部16-6によりカメラ110が支持される。
【0102】
カメラ110を支持部16-6により支持する場合には、ユーザは、カメラ110を載置部16aに載置した状態で、当接部16laをロック部回動軸16lbの周りで回動させて載置部16aに垂直な状態とする。その状態で、ユーザは、ロック部回動軸16lbを長孔16abの上側から下側に変位させる。
【0103】
カメラ110を支持部16-6から取り外す場合には、ユーザは、ロック部回動軸16lbを長孔16abの上側に変位させる。その状態で、当接部16laをロック部回動軸16lbの周りで回動させて主面を載置部16aに水平な状態とする。
【0104】
支持部16-6は、例えば3Dプリンタを使用して、載置部16aと一体成型することが可能である。3Dプリンタを使用して支持部16-6を成形する場合、長孔16abの部位については、全体の成形後に除去可能なサポート材を使用して成形することとなる。この場合、ロック部16lが載置部16aから外れることを防止できる。ただし、支持部16-6の製造方法は、3Dプリンタを使用する方法に限られない。
【0105】
〔実施形態7〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。実施形態7では、ハンドル17の、上記の各実施形態とは別の具体例について説明する。
【0106】
図20は、ハンドル17の第2の具体例である、ハンドル17-2の構成を示す図である。図20に示すように、ハンドル17-2は、ハンドル17-1の構成に加えて、ワイヤ17hおよびレバー17i(操作部)を備える。
【0107】
ハンドル17-2において、ワイヤ17hは、突起17fに接続されている。ハンドル17-2において、突起17fは、支柱17aの内部から突出する状態としない状態とを切替可能である。突起17fは、図示しないバネにより、支柱17aの内部から突出する方向に付勢されている。ワイヤ17hは、突起17fに対し、支柱17aの内部から突出しない方向の張力を与えることが可能である。
【0108】
レバー17iは、ストッパー17dに対するハンドル17-2の係止状態をユーザが操作するためのものである。レバー17iは、ワイヤ17hを介して突起17fに接続されている。レバー17iは、把持部17bの近傍に位置する。
【0109】
図21は、レバー17iが操作されることによるハンドル17-2の動作を示す図である。図21において、符号2101はレバー17iが操作されていない状態を示し、符号2102はレバー17iが操作されている状態を示す。
【0110】
符号2101に示すように、レバー17iが操作されない状態では、突起17fは支柱17aの内部から突出する状態となる。この状態では、突起17fはストッパー17dが有する開口17eのいずれかに嵌入される。このため、ハンドル17-2はストッパー17dに係止する。
【0111】
符号2102に示すように、レバー17iが操作された状態では、支柱17aの内部から突出しない状態となる。この状態では、ハンドル17-2はストッパー17dに係止しない状態となる。
【0112】
ハンドル17-2の角度を変更する場合、ユーザは、最初にレバー17iを操作して、ハンドル17-2がストッパー17dに係止しない状態とする。次に、ユーザは、ハンドル17-2を第1ハンドル回動軸17cの周りで回動させて所望の角度とする。その後、ユーザは、レバー17iの操作を解除して、ハンドル17-2がストッパー17dに係止した状態とする。したがって、ハンドル17-2においては、ユーザはレバー17iを操作することでハンドル17-2の角度を変更できる。
【0113】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1 撮影治具
11 周面当接部
11a 第1当接部
11b 第2当接部
12 フレーム軸
13 回動軸
14 連結バー
15 端面当接部
15a 当接面
15b 照準ピン
16、16-1、16-2、16-3、16-4、16-5、16-6 支持部
16a 載置部
16aa 開口部
16b 固定爪(嵌入部)
16bb、16ea 対向面
16c 変形爪(押込み部)
16e 抑え部材(嵌入部)
16f、16g、16i ロック部材(押込み部)
17、17-1、17-2 ハンドル
17c 第1ハンドル回動軸
17d ストッパー
17g 下端(第2ハンドル回動軸)
17i レバー(操作部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21