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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170647
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】コーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/057 20060101AFI20231124BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20231124BHJP
   A47J 31/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A47J31/057
A47J31/36 300
A47J31/00 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082544
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久木野 景介
(72)【発明者】
【氏名】佐倉 茉奈
(72)【発明者】
【氏名】和泉 修壮
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA16
4B104BA21
4B104BA53
4B104BA56
4B104DA11
4B104DA23
4B104EA30
(57)【要約】
【課題】抽出されたコーヒー液の味をより良好なものとすることができるコーヒーメーカーとする。
【解決手段】コーヒーメーカー1において、湯にコーヒー粉が浸された状態としてコーヒー粉からコーヒー液を抽出する抽出容器(第二容器42)を備え、コーヒー液を抽出する際に、抽出容器内(第二容器42)において湯にコーヒー粉が浸された状態において湯とコーヒー粉とを攪拌させるものとし、好適にはコーヒー液を抽出する際に抽出容器(第二容器42)内に蒸気を流入させることによって湯とコーヒー粉とを攪拌させるものとする。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯にコーヒー粉が浸された状態としてコーヒー粉からコーヒー液を抽出する抽出容器を備え、
前記コーヒー液を抽出する際に、前記抽出容器内において前記湯に前記コーヒー粉が浸された状態において前記湯と前記コーヒー粉とを攪拌させる、コーヒーメーカー。
【請求項2】
前記コーヒー液を抽出する際に、前記抽出容器内に蒸気を流入させることによって前記湯と前記コーヒー粉とを攪拌させる請求項1に記載のコーヒーメーカー。
【請求項3】
前記抽出容器内に配置され、前記コーヒー液を透過させることでコーヒー粉をろ過して取り除くフィルターを備え、
前記蒸気によって前記フィルターの下方から前記コーヒー粉を巻き上げるようにして前記抽出容器内の前記コーヒー粉と前記湯とを攪拌させる、請求項2に記載のコーヒーメーカー。
【請求項4】
前記湯に前記コーヒー粉を浸した状態とする際の前記抽出容器への注湯動作では、少なくとも二種類の異なる温度の湯をそれぞれタイミングをずらして前記抽出容器に流入させることによって行う、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコーヒーメーカー。
【請求項5】
前記湯に前記コーヒー粉を浸した状態とする際の前記抽出容器への注湯動作では、比較的高温の第一温度の湯を前記抽出容器に流入させ、前記第一温度の湯の前記抽出容器への注湯が完了した後、比較的低温の第二温度の湯を前記抽出容器に流入させる、請求項4に記載のコーヒーメーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー粉と湯とを用いて自動でコーヒー液を抽出するコーヒーメーカーの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー粉と湯とを用いて自動でコーヒー液を抽出するコーヒーメーカーに関する技術は種々知られている。前記コーヒーメーカーには、例えば、サイフォン式やドリップ式のものがある。
【0003】
また、前記コーヒーメーカーには、コーヒー液を抽出する抽出容器を備えるものが公知となっている(特許文献1参照)。前記コーヒーメーカーでは、抽出容器において湯にコーヒー粉が浸された状態としてコーヒー粉からコーヒー液を抽出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-55980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記コーヒーメーカーでは、コーヒー液を抽出する際の抽出容器内の湯の温度に斑が生じた状態となっている場合がある。このため、抽出されたコーヒー液は、雑味や渋味等を有するものとなることがあり、抽出されたコーヒー液の味をより良好なものとすることが望まれている。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、抽出されたコーヒー液の味をより良好なものとすることができるコーヒーメーカーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るコーヒーメーカーは、湯にコーヒー粉が浸された状態としてコーヒー粉からコーヒー液を抽出する抽出容器を備え、前記コーヒー液を抽出する際に、前記抽出容器内において前記湯に前記コーヒー粉が浸された状態において前記湯と前記コーヒー粉とを攪拌させるものである。
【0008】
本発明に係るコーヒーメーカーによれば、抽出容器内の湯の温度斑を低減させて抽出されたコーヒー液の雑味や渋味等を低減させることができ、抽出されたコーヒー液の味をより良好なものとすることができる。
【0009】
本発明において、前記コーヒー液を抽出する際に、前記抽出容器内に蒸気を流入させることによって前記湯と前記コーヒー粉とを攪拌させると好適である。
【0010】
本構成によれば、抽出容器内の湯の温度斑を低減させて抽出されたコーヒー液の雑味や渋味等を低減させることができ、抽出されたコーヒー液の味をより良好なものとすることができる。
【0011】
本発明において、前記抽出容器内に配置され、前記コーヒー液を透過させることでコーヒー粉をろ過して取り除くフィルターを備え、前記蒸気によって前記フィルターの下方から前記コーヒー粉を巻き上げるようにして前記抽出容器内の前記コーヒー粉と前記湯とを攪拌させると好適である。
【0012】
本構成によれば、抽出容器内においてより確実にコーヒー粉と湯とを攪拌させることができる。
【0013】
本発明において、前記湯に前記コーヒー粉を浸した状態とする際の前記抽出容器への注湯動作では、少なくとも二種類の異なる温度の湯をそれぞれタイミングをずらして前記抽出容器に流入させることによって行うと好適である。
【0014】
本構成によれば、抽出されたコーヒー液の味を細かく調整することができる。
【0015】
本発明において、前記湯に前記コーヒー粉を浸した状態とする際の前記抽出容器への注湯動作では、比較的高温の第一温度の湯を前記抽出容器に流入させ、前記第一温度の湯の前記抽出容器への注湯が完了した後、比較的低温の第二温度の湯を前記抽出容器に流入させると好適である。
【0016】
本構成によれば、抽出されたコーヒー液の味を細かく調整することができる。また、抽出容器内の湯の温度斑を低減させて抽出されたコーヒー液の雑味や渋味等をより確実に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るコーヒーメーカーを示す斜視図。
図2】同じくコーヒーメーカーを示す斜視図。
図3】同じくコーヒーメーカーを示す正面図。
図4】同じくコーヒーメーカーの内部構造を示す背面図。
図5】同じくコーヒーメーカーを制御ブロック図。
図6】同じくコーヒーメーカーを制御ブロック図。
図7】同じくコーヒーメーカーの、(A)第二容器へ注湯する状態を示す模式図、(B)湯にコーヒー粉を浸した状態を示す模式図、(C)コーヒー液をフィルターに透過させてコーヒー液を抽出しつつ第二容器から流出させて第一容器に流入させる状態を示す模式図。
図8】同じくコーヒーメーカーの抽出ユニットの内部構造を示す断面拡大図。
図9】同じくコーヒーメーカーの、(A)第一容器に蒸気を流入させた状態を示す模式図、(B)第一容器と第二容器とに蒸気を流入させた状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔コーヒーメーカーの全体構成〕
次に、図1から図9に示すコーヒーメーカー1について説明する。図1から図9に示すコーヒーメーカー1は、本発明に係るコーヒーメーカーの一実施形態である。なお、説明の便宜上、コーヒーメーカー1に対して、図1から図4に示した矢印のように、前後方向、左右方向、及び上下方向を規定している。もっとも、図1から図4に示した、前後方向、左右方向、及び上下方向については、本発明に係るコーヒーメーカーの前後方向、左右方向、及び上下方向を限定するものではない。また、以下の説明における、前、後、左、右、上、下等の記載は、コーヒーメーカー1を構成する各部が、コーヒーメーカー1が使用される際の所定位置に組み付けられている状態を基準として向きを表している。
【0019】
コーヒーメーカー1は、ユーザーによって操作されることで、コーヒー粉と湯とを用いて自動でコーヒー液を抽出する。コーヒーメーカー1は、浸漬式のコーヒーメーカー1であり、湯にコーヒー粉を浸した後にフィルター44でろ過することによってコーヒー液を抽出する。図1から図3に示すように、コーヒーメーカー1は、本体2と、抽出ユニット40と、を備える。
【0020】
〔本体〕
図1から図3に示すように、本体2は、抽出スイッチ3と吐出スイッチ4と吐出口5と味設定部6とを備え、抽出ユニット40を支持する。本体2は、その筐体内にコーヒーメーカー1がコーヒー液を抽出する動作のための各種の部品を内蔵する。本体2(筐体)は、下部7と後部8と上部9とを備え、下部7の後端部から後部8が上方に延出し且つ後部8の上端部から上部9が前方に延出する構成とされて、側面視概C字状(コ字状)に構成される。本体2の上部9(上部9の左部)には上下方向に貫通する支持孔10が形成されて、本体2は支持孔10において抽出ユニット40を支持する。
【0021】
図1から図3に示すように、抽出スイッチ3は、プッシュスイッチであり、上部9の右部の上面に配置される。なお、抽出スイッチ3は、プッシュスイッチであることに限定されず、例えばタッチパネル等で構成されてもよく、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて適宜なものに設定される。吐出スイッチ4は、レバースイッチであり、上部9の右部の側部に配置される。なお、吐出スイッチ4は、レバースイッチであることに限定されず、例えばタッチパネル等で構成されてもよく、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて適宜なものに設定される。吐出口5は、ユーザーの指示に基づいてコーヒー液を吐出する。吐出口5は、上部9の右部の下面に設けられ、下方に向かって開口する。
【0022】
味設定部6は、上部9の右部の上面に設けられる。味設定部6は、ユーザーによって操作されて、コーヒーメーカー1に各種の動作を行わせ、コーヒーメーカー1の各種の設定等を行うものである。例えば、ユーザーによって味設定部6が操作されることによって、コーヒーメーカー1によって抽出されるコーヒー液の味(例えば、「すっきり」or「濃厚」の選択、または、「酸味が引き立つ」or「苦味が引き立つ」)の選択が行われる。味設定部6は、複数個のタッチスイッチで構成される。なお、味設定部6は、このような構成に限定されず、例えばタッチパネル等で構成されてもよく、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて表示態様やスイッチ操作の構成等については適宜なものに設定される。
【0023】
〔抽出ユニット〕
抽出ユニット40は、コーヒー液を抽出し、且つ、前記抽出したコーヒー液を貯留する。コーヒーメーカー1は、ユーザーによって抽出スイッチ3が操作されると、抽出ユニット40において制御部11に記憶されるプログラムに基づいて自動でコーヒー液の抽出動作を開始し、前記抽出されたコーヒー液を抽出ユニット40に貯留する。そして、ユーザーによって吐出スイッチ4が操作されると、抽出ユニット40に貯留されたコーヒー液を吐出口5から吐出する。抽出ユニット40は、本体2に着脱可能に支持される。図5から図7に示すように、抽出ユニット40は、第一容器41と、第二容器42と、連通部43と、フィルター44と、支持部60と、を備える。
【0024】
第一容器41は、コーヒー液を抽出するための湯(湯または蒸気)の基となる水を貯留する。前記第一容器41内への水の貯留は、ユーザーによって行われる。さらに、第一容器41は、抽出されたコーヒー液を貯留する。即ち、第一容器41は、水を貯留する水タンクと、コーヒー液を貯留するサーバー容器と、を兼ねる構成とされる。図1から図3に示すように、第一容器41は、第二容器42及び支持部60の上方(直上)に配置される。第一容器41は、有底筒状の部材であり、筒部とその上端に略半球状の蓋部とが配置されて構成される。第一容器41の筒部は側面視で若干末広がり状に構成される。第一容器41は、本体2に抽出ユニット40が取り付けられた状態において、本体2の上部9の上面から上方に突出する構成とされる。第一容器41は、樹脂素材で構成される。第一容器41は、透明または半透明に構成されて、貯留される水またはコーヒー液等を外部から視認可能に構成される。なお、第一容器41の形状についてはこのような構成に限定されず、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて適宜な形状とすることができる。また、第一容器41は、樹脂素材で構成されることまたは透明または半透明に構成されることに限定されず、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて構成される素材等が選択される。
【0025】
第二容器42は、湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸し、これをフィルター44でろ過することによって、コーヒー液を抽出する。即ち、第二容器42は、コーヒー粉からコーヒー液を抽出する抽出容器として構成される。図1から図3に示すように、第二容器42は、第一容器41及び支持部60の下方(直下)に配置される。第二容器42は、有底筒状の部材であり、筒部とその下端に略半球状の底部とが配置されて構成される。第二容器42の筒部は側面視で若干逆末広がり状に構成される。第二容器42は、本体2に抽出ユニット40が取り付けられた状態において、本体2の上部9の下面から下方に突出する構成とされる。第二容器42は、樹脂素材で構成される。第二容器42は、透明または半透明に構成されて、湯または抽出されるコーヒー液等を外部から視認可能に構成される。なお、第二容器42の形状についてはこのような構成に限定されず、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて適宜な形状とすることができる。第二容器42は、樹脂素材で構成されることまたは透明または半透明に構成されることに限定されず、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて構成される素材等が選択される。
【0026】
第一容器41と第二容器42との位置関係については、第一容器41が第二容器42の直上に配置されることに限定されず、例えば第一容器41が第二容器42の側方に配置されて、第一容器41と第二容器42とが平面視または側面視で互いの一部分のみ重なる構成であってもよく、または、第一容器41と第二容器42とが平面視または側面視で第一容器41と第二容器42とが重ならない構成であっても良いものとする。
【0027】
図5または図7に示すように、連通部43は、上下方向に延出する筒状の部材である。連通部43は、上端の開口部(一方の開口部)が第一容器41内に配置され且つ下端の開口部(他方の開口部)が第二容器42内に配置されて、第一容器41内と第二容器42内とを連通させる。連通部43は、コーヒー液が流通する流路として構成される。第二容器42において抽出されたコーヒー液(ろ過されたコーヒー液)は、連通部43を介して第二容器42から流出して第一容器41に流入する。連通部43は、樹脂素材で構成される。連通部43は、透明または半透明に構成されて、流通するコーヒー液を外部から視認可能に構成される。なお、連通部43は、樹脂素材で構成されることまたは透明または半透明に構成されることに限定されず、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて構成される素材等が選択される。連通部43の形状についてはこのような構成に限定されず、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて適宜な形状とすることができる。
【0028】
図5または図7に示すように、フィルター44は、コーヒー液が透過することによって、コーヒー液に混在するコーヒー粉をろ過して取り除く。フィルター44は、第二容器42内のフィルター台上に配置されて、第二容器42内の空間を上下二つに分割する。フィルター44は、第二容器42内の下方であって連通部43の下方の開口部の上方近傍に配置される。第二容器42内においてフィルター44で分割される空間のうち一方(上方)の空間には連通部43の開口部が配置されず、他方(下方)の空間には連通部43の開口部が配置される。フィルター44は、ユーザーによって第二容器42内に配置され、所定量のコーヒー粉は、ユーザーによって前記フィルター44の上方に配置される。コーヒー液を抽出する際において、第二容器42内においてフィルター44で分割される空間のうち一方(上方)の空間においては、コーヒー液にコーヒー粉が混在した状態となっている。コーヒー液を抽出する際において、第二容器42内においてフィルター44で分割される空間のうち他方(下方)の空間においては、コーヒー液がフィルター44を透過して、コーヒー粉がフィルター44でろ過されてコーヒー液からコーヒー粉が取り除かれた状態となっている。
【0029】
図1から図3に示すように、支持部60は、第一容器41、第二容器42、及び支持部60、を支持する。支持部60は、概平板円盤状に構成される。支持部60は、その上面と第一容器41の下端(第一容器41の開口)とが当接した状態で、パッキンが配置されて水密状に構成される。支持部60の上面に第一容器41が配置された状態で第一容器41内の空間において、水またはコーヒー液等を貯留する。支持部60の上面と第一容器41内とで構成される空間は、密閉空間として構成される。支持部60は、その下面と第二容器42の上端(第二容器42の開口)とが当接した状態で、パッキンが配置されて水密状に構成される。支持部60の下面と第二容器42内とで構成される空間において、コーヒー液が抽出されてろ過される。支持部60の略中央部には、上下方向に貫通する貫通孔が形成される。連通部43は、貫通孔に挿通された状態で支持部60に保持される。支持部60は、本体2に抽出ユニット40が取り付けられた状態において、本体2の上部9内に配置されて、水、湯、蒸気、またはコーヒー液等の流路である流通管(第一流通管101、第二流通管102、第六流通管106、第七流通管107、及び第十三流通管113)に接続される(図4参照)。
【0030】
〔本体の構成の詳細〕
図4から図6に示すように、本体2は、制御部11と、電源部12と、サブタンク21と、第一ポンプ22と、ヒーター23と、第一弁部24と、第二ポンプ25と、蒸気空間26と、ドレイン27と、大気開放部28、第二弁部29と、安全弁シャフト30と、を備え、前記制御部11等は筐体内に配置される。また、本体2は、水、湯、蒸気、またはコーヒー液等の流路である複数個の流通管101~116を備え、前記複数個の流通管101~116は筐体内に配置される。
【0031】
図6に示すように、制御部11は、コーヒーメーカー1(抽出スイッチ3、吐出スイッチ4、吐出口5(吐出口5の弁)、味設定部6、電源部12、第一ポンプ22、ヒーター23、第一弁部24、第二ポンプ25、第二弁部29、及び安全弁シャフト30等)の各種の動作を制御する。制御部11は、抽出スイッチ3、吐出スイッチ4、吐出口5(吐出口5の弁)、電源部12、第一ポンプ22、ヒーター23、第一弁部24、第二ポンプ25、第二弁部29、及び安全弁シャフト30等に電気的に接続される。
【0032】
図6に示すように、電源部12は、制御部11に電力を供給して、制御部11からコーヒーメーカー1の各部(抽出スイッチ3、吐出スイッチ4、吐出口5、味設定部6、電源部12、第一ポンプ22、ヒーター23、第一弁部24、第二ポンプ25、第二弁部29、及び安全弁シャフト30等)に対し、各種の動作を行うための電力を供給する。電源部12は、コーヒーメーカー1のコンセントケーブル(不図示)を介してコンセントから供給される電力を、コーヒーメーカー1の各部に応じた所定の出力電力に変換する。また、コーヒーメーカー1は、電力を蓄電可能に構成される。
【0033】
図3または図5に示すように、第一流通管101を介して抽出ユニット40(第二容器42)と吐出口5とが連接される。ユーザーによって吐出スイッチ4が操作されて吐出ONの操作がされると、抽出ユニット40(第一容器41)に貯留されたコーヒー液は、第一流通管101を経由し、吐出口5から吐出される。ユーザーによって吐出スイッチ4が操作されて吐出OFFの操作がされると、吐出口5からのコーヒー液の吐出が停止される。なお、ユーザーによって吐出スイッチ4が操作されると、吐出口5から定量のコーヒー液が吐出された後に自動的に吐出OFFとなる構成であっても良いものとする。
【0034】
図4または図5に示すように、第二流通管102を介して抽出ユニット40(第一容器41)とサブタンク21とが連接され、第三流通管103を介してサブタンク21と第一ポンプ22とが連接され、第四流通管104を介して第一ポンプ22とヒーター23とが連接され、第五流通管105を介してヒーター23と第一弁部24とが連接され、第六流通管106を介して第一弁部24と抽出ユニット40(第二容器42)とが連接される。
【0035】
図4または図5に示すように、サブタンク21は、第一容器41に貯留された水が第一容器41から流出して第二容器42に流入する際の水の流路上に配置される。第一容器41に貯留された水の全てがコーヒー粉を浸すための湯として用いられるものではなく、第一容器41に貯留された水のうち一部のものは、サブタンク21に一時的に貯留される。第一ポンプ22は、第一容器41内の水を吸引して第二容器42に供給する。第一ポンプ22は、ユーザーによって抽出スイッチ3が操作されてコーヒー液の抽出動作の開始の操作がされることによって前記水の吸引動作を行う。ヒーター23は、湯沸かしヒーター23(フロースルーヒーター)である。ヒーター23は、第一ポンプ22によって吸引されて第一容器41に貯留された水が経由することによって水を温めて(加熱して)湯にし、または、第一ポンプ22によって吸引されてサブタンク21で一時的に貯留される水が経由することによって水を温めて(加熱して)蒸気を発生させることが可能とされる。第一弁部24は、三方弁であり、ユーザーによって抽出スイッチ3が操作されてコーヒー液の抽出動作の開始の操作がされることによって、第六流通管106側への流路または第十六流通管116側への流路が開状態とされる。
【0036】
図4または図5に示すように、第七流通管107を介して抽出ユニット40(第一容器41)と第二ポンプ25とが連接され、第八流通管108を介して第二ポンプ25と蒸気空間26とが連接され、第九流通管109を介して蒸気空間26とドレイン27とが連接され、第十流通管110を介して蒸気空間26と大気開放部28とが連接される。
【0037】
第二ポンプ25は、第一容器41内の気体を吸引して第一容器41内を減圧する。第二容器42内でコーヒー液を抽出した後、第一容器41内を減圧して連通部43を介して第二容器42内のコーヒー液を吸引して第一容器41に供給する。第二ポンプ25は、ユーザーによって抽出スイッチ3が操作されてコーヒー液の抽出動作が開始されてから所定時間経過後(コーヒー液の抽出が終了した後)自動的に前記吸引動作を行う。蒸気空間26は、第一容器41内の蒸気や水分をコーヒーメーカー1外に流出させる際の蒸気や水分等の流路上に配置される。ドレイン27は、蒸気空間26に溜まった水が第九流通管109を流通して不要な水分として溜められる部分であり、本体2の下部7内に配置される。ドレイン27は、着脱可能に構成され、例えば、ある程度廃水が溜められるとユーザーによって本体2から取り外されて溜められた廃水の処理が行われる。大気開放部28は、蒸気空間26を経由して不要な蒸気や気体等をコーヒーメーカー1外に排気する部分であり、本体2の上端部(本体2の上部9)に開口する。
【0038】
図4または図5に示すように、第十一流通管111を介して第七流通管107(第七流通管107及び第一容器41)と第二弁部29とが連接され、第十二流通管112を介して第二弁部29と蒸気空間26が連接される。第十三流通管113を介して第二容器42と蒸気空間26とが連接される。第十四流通管114を介して第五流通管105と安全弁シャフト30とが連接され、第十五流通管115を介して安全弁シャフト30と蒸気空間26とが連接される。
【0039】
第二弁部29は、閉状態で第一容器41内を密閉空間とする。第一容器41内の内圧を下げたい場合(大気開放させたい場合)には第二弁部29を開状態とする。安全弁シャフト30は、第一容器41内、第二容器42内、及び流通管101~116内の圧力が異常に高い場合に、自動で開状態として第一容器41内、第二容器42内、及び流通管101~116内の内圧を下げる。第一容器41内、第二容器42内、及び流通管101~116内の圧力は圧力センサ(不図示)によって検知されて、圧力センサは異常値等を検知した際にその旨を制御部11に通信する。
【0040】
図4または図5に示すように、第十六流通管116を介して第一弁部24と第七流通管107とが連通される。第七流通管107の一端部は蒸気流通部46と連通されることから、第五流通管105、第一弁部24、第十六流通管116、第七流通管107、及び蒸気流通部46を介して、第一容器41内にヒーター23からの蒸気が流入可能に構成される。第一弁部24は、第六流通管106と第十六流通管116とで湯や蒸気等の流路の切り替え可能に構成される。第一弁部24は、ヒーター23からの湯を第二容器42内に流入させる場合(第二容器42への注湯の場合)には、第六流通管106に湯が流通するように設定される。第一弁部24は、湯とコーヒー粉とを攪拌させる際にヒーター23からの蒸気を第一容器41内に流入させる場合には、第十六流通管116に蒸気が流通するように設定される。
【0041】
〔コーヒー液を抽出する動作について〕
次に、コーヒーメーカー1によって、コ-ヒー液を抽出する動作について説明する。まず、図7(A)に示すように、ユーザーによって抽出スイッチ3が操作されてコーヒー液の抽出動作の開始の操作がされると、第一ポンプ22が作動して、第一容器41に貯留された水は、抽出ユニット40から流出して、第二流通管102を経由し、サブタンク21に流入する。そして、前記サブタンク21に流入した水は、サブタンク21から流出して、第三流通管103を経由し、第一ポンプ22及び第四流通管104を介してヒーター23に流入する。ヒーター23に流入した水は、ヒーター23によって温められて湯になる。さらに、前記ヒーター23によって温められた湯は、ヒーター23から流出して第五流通管105を経由し、第一弁部24及び第六流通管106を介して第二容器42に流入する。所定量の湯が第二容器42内に流入すると第一ポンプ22の動作が停止する。このようにして、第一容器41内の水を流出させ、前記水を湯にして、前記湯を第二容器42内に流入させる(第二容器42への注湯)。第二容器42への注湯動作時においては、第二弁部29は開状態とされる。
【0042】
そして、図7(B)に示すように、第二容器42内(第二容器42内の上部の空間内)において、所定時間、湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態(浸漬状態)とする。前記湯にコーヒー粉を浸した状態とする所定時間は予め設定される。このときにおいても、第二弁部29は開状態とされる。
【0043】
さらに、湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態とする際に、第二容器42内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作を行う。このとき、第一ポンプ22が作動して、サブタンク21に一時的に貯留される水がサブタンク21から流出してヒーター23に流入して、ヒーター23によって温められて蒸気となる。そして、ヒーター23によって温められた蒸気は、ヒーター23から流出して第一容器41に流入して連通部43を介して第二容器42内に流入する。このようにして、第二容器42内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる。所定時間、蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させると第一ポンプ22の動作が停止する。第二容器42内に蒸気を流入させるタイミング(第一ポンプ22が作動するタイミング)及び蒸気の量等は、プログラム等で予め定められている。なお、「湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態とする際に、第二容器42内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作」については、行わない構成であっても良く、または、ヒーター23によって温められた蒸気が第一容器41及び連通部43を介さずにヒーター23から第二容器42内に流入する構成であっても良いものとする。
【0044】
所定の時間湯にコーヒー粉を浸した状態とした後、図7(C)に示すように、コーヒー液をフィルター44に透過させてフィルター44でコーヒー液からコーヒー粉をろ過しながら、第二容器42において抽出したコーヒー液を、連通部43を介して第二容器42から流出させて第一容器41に流入させる。このとき、第一容器41内と第二容器42内との間の圧力差を生じさせて、コーヒー液をフィルター44でろ過しながら連通部43を介して第二容器42から第一容器41に移動させる。前記抽出したコーヒー液を第二容器42から第一容器41に移動させる際には、第二弁部29は閉状態とされ、第一容器41内は密閉状態とされる。以上のようにして、コーヒーメーカー1によってコ-ヒー液を抽出する動作を行う。
【0045】
そして、コーヒーメーカー1では、コーヒー液を第二容器42(抽出容器)から第一容器41(サーバー容器)に移動させる際の、コーヒー液がフィルター44を透過する速度を調整可能に構成される。コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的早い場合には、抽出されたコーヒー液の味は、比較的酸味が強く・比較的あっさりしたものとなる。また、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的遅い場合には、抽出されたコーヒー液の味は、比較的苦味が強く・比較的濃厚なものとなる。したがって、コーヒーメーカー1によれば、抽出されたコーヒー液の味を任意のものに調整することができる。
【0046】
ここで、「第一容器41内と第二容器42内との間の圧力差を生じさせて、コーヒー液をフィルター44でろ過しながら連通部43を介して第二容器42から第一容器41に移動させる」構成として、例えば、第二容器42内に蒸気を流入させて第二容器42内を加圧させて、第二容器42において抽出したコーヒー液を、連通部43を介して第二容器42から第一容器41に移動させるものとする。このとき、第一ポンプ22を作動させて、サブタンク21に一時的に貯留される水をサブタンク21から流出させてヒーター23に流入させてヒーター23によって温めて蒸気として、前記蒸気をヒーター23から流出させて第二容器42に流入させる。このようにして第二容器42内への蒸気の流入により第二容器42内を加圧することで、第二容器42内におけるコーヒー液の抽出、及びコーヒー液の第二容器42から第一容器41への移動が行われる。
【0047】
味設定部6は、例えば、「あっさり」、「ふつう」、及び「濃い」の三個のスイッチ(あらかじめ設定される三種類の味)から構成され、ユーザーが抽出スイッチ3を操作する前に前記三個のスイッチのうちいずれか一つを選択することによって、コーヒーメーカー1が抽出するコーヒー液の味の設定が行われる。そして、ユーザーによって抽出スイッチ3が操作されると、コーヒーメーカー1は前記ユーザーによって選択された味に関する情報に基づいてコーヒーを抽出する動作を行う。なお、味設定部6における選択されるコーヒー液の味の種類は、三種類であることに限定されず、二種類または四種類以上であってもよいものとする。
【0048】
ヒーター23は、その出力(ヒーター23による水の加熱する熱の強さ)が一定ではなく可変に構成される。ヒーター23の出力を可変させて第二容器42内への蒸気の流入量を任意のものに変更して、コーヒー液を第二容器42から流出させて第一容器41に流入させる際の、コーヒー液がフィルター44を透過する速度を調整可能に構成される。蒸気の第二容器42内への蒸気の流入量が比較的多い場合には、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的早くなる。蒸気の第二容器42内への蒸気の流入量が比較的少ない場合には、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的遅くなる。このようにして、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的早い場合には、抽出されたコーヒー液の味は、比較的酸味が強く・比較的あっさりしたものとなる。また、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的遅い場合には、抽出されたコーヒー液の味は、比較的苦味が強く・比較的濃厚なものとなる。したがって、コーヒーメーカー1によれば、抽出されたコーヒー液の味を任意のものに調整することができる。
【0049】
第二ポンプ25(ポンプ)は、その出力(第二ポンプ25による吸引の強さ)が一定ではなく可変に構成される。第二ポンプ25の出力を可変させて第二ポンプ25による第一容器41内を吸引する吸引力を任意のものに変更して、コーヒー液を第二容器42から流出させて第一容器41に流入させる際の、コーヒー液がフィルター44を透過する速度を調整可能に構成される。第二ポンプ25による第一容器41内を吸引する吸引力が比較的強い場合には、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的早くなる。または、第二ポンプ25による第一容器41内を吸引する吸引力が比較的弱い場合には、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的遅くなる。このようにして、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的早い場合には、抽出されたコーヒー液の味は、比較的酸味が強く・比較的あっさりしたものとなる。また、コーヒー液がフィルター44を透過する速度が比較的遅い場合には、抽出されたコーヒー液の味は、比較的苦味が強く・比較的濃厚なものとなる。したがって、コーヒーメーカー1によれば、抽出されたコーヒー液の味を任意のものに調整することができる。
【0050】
ヒーター23の出力を可変させて第二容器42内への蒸気の流入量を任意のものに変更し、且つ、第二ポンプ25の出力を可変させて第二ポンプ25(ポンプ)による第一容器41内を吸引する吸引力を任意のものに変更して、コーヒー液を第二容器42から流出させて第一容器41に流入させる際の、コーヒー液がフィルター44を透過する速度を調整可能に構成することもできる。このとき、「第一容器41内と第二容器42内との間の圧力差を生じさせて、コーヒー液をフィルター44でろ過しながら連通部43を介して第二容器42から第一容器41に移動させる」にあたって、ヒーター23と第二ポンプ25とは同時に駆動する構成でも良く、または、ヒーター23と第二ポンプ25とのうちいずれか一方のみを駆動する構成であっても良いものとする。さらに、コーヒー液の味の度合いに応じて、ヒーター23と第二ポンプ25との駆動状態を変更する設定とすることもできる。例えば、コーヒー液の味をもっともあっさりとしたものとしたい場合は、ヒーター23と第二ポンプ25とをいずれも駆動させ、コーヒー液の味を濃い味にしたい場合には、ヒーター23のみを駆動する構成とすることもできる。またこのとき、ユーザーによって味設定部6が操作されることによって、ヒーター23と第二ポンプ25とをいずれも駆動する設定、または、ヒーター23と第二ポンプ25とのうちいずれか一方が駆動する設定とすることもできる。したがって、コーヒーメーカー1によれば、抽出されたコーヒー液の味を任意のものに調整することができる。
【0051】
以上のように、コーヒー液を抽出する際に、第二容器42内において湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉が浸された状態において、湯とコーヒー粉とを攪拌させることから、第二容器42内の湯の温度斑を低減させて抽出されたコーヒー液の雑味や渋味等を低減させることができる。このため、抽出されたコーヒー液の味をより良好なものとすることができる。
【0052】
また以上のように、コーヒー液を抽出する際に、第二容器42内において湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉が浸された状態において、第二容器42内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させることから、第二容器42内の湯の温度斑を低減させて抽出されたコーヒー液の雑味や渋味等を低減させることができる。このため、抽出されたコーヒー液の味をより良好なものとすることができる。なお、第二容器42内において湯とコーヒー粉とを攪拌させるにあたって、蒸気に代えて機械的に湯とコーヒー粉とを攪拌させる構成とすることもでき、また、第二容器42内に空気を流入させて当該空気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる構成とすることもできる。
【0053】
湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態(浸漬状態)とする際の第二容器42への注湯動作では、少なくとも二種類の異なる温度の湯をそれぞれタイミングをずらして第二容器42に流入させることによって行う構成とすることもできる。本実施形態でにおいては、前記少なくとも二種類の異なる温度の湯は、第一温度の湯と第二温度の湯とで構成される。例えば、第一温度は90℃に設定され、第二度湯は60℃に設定される。湯の温度はヒーター23近傍に配置される温度センサ(不図示)によって検出される。第二容器42に注湯される第一温度の湯の量と第二温度の湯の量とは、第二容器42に注湯される総湯量のうち、それぞれ半分ずつの量に設定される。このように、湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態(浸漬状態)とする際の第二容器42への注湯動作では、少なくとも二種類の異なる温度の湯をそれぞれタイミングをずらして第二容器42に流入させることによって行うことから、抽出されたコーヒー液の味を細かく調整することができる。
【0054】
なお、前記少なくとも二種類の異なる温度の湯は、三種類以上の湯の温度で構成されるものであっても良いものとする。第一温度が90℃に設定されること、第二温度湯が60℃に設定されることに限定されるものではなく、仕様に応じて適宜の湯の温度に設定できるものとする。第二容器42に注湯される第一温度の湯の量と第二温度の湯の量とは、第二容器42に注湯される総湯量のうちそれぞれ半分ずつの量に設定されることに限定されず、仕様に応じて適宜の温度に設定できるものとする。ユーザーによって味設定部が操作されることによって、第一温度および第二温度を設定する構成とすることもでき、第二容器42に注湯される第一温度の湯の量および第二温度の湯の量を設定する構成とすることもできる。
【0055】
湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態(浸漬状態)とする際の第二容器42への注湯動作では、比較的高温の第一温度の湯を第二容器42に流入させて、第一温度の湯とコーヒー粉とを混在させて第一温度の湯にコーヒー粉を浸した状態(浸漬状態)とする。第一温度の湯の第二容器42への注湯が完了した後、連続するようにして、比較的低温の第二温度の湯を第二容器42に流入させて、第二温度の湯とコーヒー粉とを混在させて第二温度の湯にコーヒー粉を浸した状態(浸漬状態)とする。このように、湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態(浸漬状態)とする際の第二容器42への注湯動作では、比較的高温の第一温度の湯を第二容器42に流入させ、第一温度の湯の第二容器42への注湯が完了した後、比較的低温の第二温度の湯を第二容器42に流入させることから、抽出されたコーヒー液の味を細かく調整することができる。また、抽出容器内の湯の温度斑を低減させて抽出されたコーヒー液の雑味や渋味等をより確実に低減させることができる。なお、湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態(浸漬状態)とする際の第二容器42への注湯動作では、比較的低温の第二温度の湯を第二容器42に流入させ、第二温度の湯の第二容器42への注湯が完了した後、比較的高温の第一温度の湯を第二容器42に流入させる構成とすることもできる。
【0056】
湯にコーヒー粉が浸された状態とする際の第二容器42への注湯動作が完了(第一温度の湯と第二温度の湯の注湯が完了)した後に、湯とコーヒー粉とを攪拌させる際の第二容器42内に蒸気を流入させる動作が行われる。このように構成されることから、抽出されたコーヒー液の味を細かく調整することができる。また、抽出容器内の湯の温度斑を低減させて抽出されたコーヒー液の雑味や渋味等をより確実に低減させることができる。なお、湯にコーヒー粉が浸された状態とする際の第二容器42への注湯動作の途中(例えば、第二温度の湯の注湯動作の途中)で、湯とコーヒー粉とを攪拌させる際の第二容器42内に蒸気を流入させる動作が行われる構成とすることもできる。このように構成されることから、抽出容器内の湯の温度斑を低減させつつ効率よくコーヒー液の抽出を行うことができる。
【0057】
次に、第一容器41内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる際に、「蒸気が第一容器41に流入して連通部43を介して第二容器42内に流入する」具体的な構成について説明する。
【0058】
〔抽出ユニット〕
図8から図9に示すように、抽出ユニット40は、外筒部45と、蒸気流通部46と、を備える。
【0059】
図8から図9に示すように、外筒部45は、上下方向に延出する筒状の部材であり、第一容器41内に配置される。外筒部45の上端の開口部は、連通部43の上端の開口部の近傍下方に位置する。外筒部45は、その下端の開口部が支持部60に固定されて支持部60に支持される。外筒部45は、連通部43の外側に配置されて、外筒部45と連通部43とで二重筒状に構成される。外筒部45は、樹脂素材で構成される。外筒部45は、透明または半透明に構成され外部から視認可能に構成される。蒸気流通部46は、連通部43の外面と外筒部45の内面とで形成される空間で構成され、湯とコーヒー粉とを攪拌させる際にヒーター23からの蒸気が流通する流路として構成される。蒸気流通部46(蒸気の流通方向の上流側端部)は、支持部60内において第七流通管107の一端部と連通される。なお、外筒部45の形状についてはこのような構成に限定されず、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて適宜な形状とすることができる。また、外筒部45は、樹脂素材で構成されることまたは透明または半透明に構成されることに限定されず、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて構成される素材等が選択される。
【0060】
〔湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作について〕
湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態とする際に、第二容器42内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作を行う。このとき、第一ポンプ22が作動して、サブタンク21に一時的に貯留される水がサブタンク21から流出してヒーター23に流入して、ヒーター23によって温められて蒸気となる。そして、図9(A)に示すように、前記ヒーター23によって温められた蒸気は、ヒーター23から流出して第五流通管105、第七流通管107、及び蒸気流通部46を介して第一容器41に流入して、第一容器41内で充満する。このとき、第二弁部29は開状態とされることによって、前記蒸気流通部46から第一容器41内に流入した蒸気の一部は、蒸気流通部46、第七流通管107、第十一流通管111、第二弁部29、第十二流通管112、蒸気空間26、第十流通管110、及び大気開放部28を介して、コーヒーメーカー1外に排気される。
【0061】
そして、図9(B)に示すように、前記蒸気流通部46から第一容器41内に蒸気が流入してから所定時間経過すると、第二弁部29は閉状態とされて、第一容器41内に流入した蒸気は、連通部43の上端部の開口から連通部43内を流通して、連通部43の下端部の開口から第二容器42内(第二容器42内の下方の空間内)に流入する。即ち、前記蒸気流通部46から第一容器41内に流入した蒸気は、第一容器41に流入した後に、連通部43を経由して第二容器42内に流入する。このように、湯とコーヒー粉とを攪拌させる蒸気が、第一容器41(サーバー容器)に流入した後に連通部43を経由して第二容器42(抽出容器)に流入させて、第二容器42(抽出容器)においてコーヒー液を抽出する途中の段階で、第一容器41(サーバー容器)に蒸気を流入させて第一容器内41(サーバー容器)の温度の低下を防止している。したがって、第一容器41が蒸気によって温められた状態になっていることから、第二容器42から第一容器41に流入させた出来上がったコーヒー液の温度が低下することを防止することができる。なお、湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作において第二弁部29が開閉するタイミングについては、このようなことに限定されるものではなく、例えば、第一容器41内に蒸気が流入されても第二弁部29が閉状態とされてもよく、第二容器42内に蒸気が流入されても第二弁部29が開状態とされてもよく、コーヒーメーカー1の仕様や用途等に応じて適宜なものに設定される。
【0062】
図8または図9に示すように、連通部43の下端部の開口は第二容器42内の他方(下方)の空間に配置されてフィルター44の下方に配置される。このため、蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる際に、連通部43の下方の開口部から流出する蒸気によってフィルター44の下方からコーヒー粉を巻き上げるようにして、第二容器42内のコーヒー粉と湯とを攪拌させることとなる。したがって、第二容器42内においてより確実にコーヒー粉と湯とを攪拌させることができる。なお、湯とコーヒー粉とを攪拌させる際に、フィルター44の上方から蒸気を供給して、第二容器42内のコーヒー粉と湯とを攪拌させる構成とすることもできる。
【0063】
所定時間蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させると、第一ポンプ22の動作が停止する。以上のようにして湯とコーヒー粉とを混在させて湯にコーヒー粉を浸した状態とする際に、第一容器41内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作を行う。なお、第一容器41内に蒸気を流入させるタイミング(第一ポンプ22が作動するタイミング)及び蒸気の量等は、プログラム等で予め定められている。
【0064】
第一ポンプ22の出力を変更することによって、第一容器41内に流入させる蒸気の量(第一容器41内に流入させる時間)を可変可能に構成することもできる。例えば、第一ポンプ22の出力を比較的高くした場合には、第一容器41内に流入させる蒸気の量が比較的多くなり、蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作を比較的強いものとする。また例えば、第一ポンプ22の出力を比較的低くした場合には、第一容器41内に流入させる蒸気の量が比較的少なくなり、蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作を比較的低速で行うものとする。このように構成することによって、抽出されたコーヒー液の味を細かく調整することができる。
【0065】
第一容器41内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作については、ユーザーによって味設定部6が操作されることによって、第一容器41内または第二容器42内に蒸気を流入させるタイミング、時間(長さ)、蒸気の量を調節可能な構成であっても良いものとする。例えば、ユーザーによって選択されて設定されたコーヒー液の味に応じて、第一容器41内または第二容器42内に蒸気を流入させるタイミングを比較的遅く、第一容器41内または第二容器42内に蒸気を流入させる時間を長く、第一容器41内または第二容器42内に蒸気の量を多くする。このように構成することによって、抽出されたコーヒー液の味を任意のものにさらに細かく調整することができる。
【0066】
第一容器41内に蒸気を流入させて蒸気によって湯とコーヒー粉とを攪拌させる動作については、ユーザーによって味設定部6が操作されることによって、第一容器41内または第二容器42内流入させる蒸気の量、または、第一容器41内または第二容器42内流入させる蒸気の温度等を、時間に応じて可変させる構成であっても良いものとする。例えば、ユーザーによって選択されて設定されたコーヒー液の味に応じて、第一容器41内と第二容器42内との間の圧力差を生じさせる際の序盤と中盤においては、第一容器41内または第二容器42内流入させる蒸気の量を少なくする。また例えば、ユーザーによって選択されて設定されたコーヒー液の味に応じて、第一容器41内と第二容器42内との間の圧力差を生じさせる際の終盤においては、第一容器41内または第二容器42内流入させる蒸気の温度を高くする。このように構成することによって、抽出されたコーヒー液の味を任意のものにさらに細かく調整することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 コーヒーメーカー
2 本体
23 ヒーター
41 第一容器(水容器兼サーバー容器)
42 第二容器(抽出容器)
43 連通部
44 フィルター
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9