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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170685
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】点滴検知装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20231124BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
A61M5/168 532
A61M5/172
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082600
(22)【出願日】2022-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】古藤田 眞和
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩二
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066QQ01
4C066QQ45
4C066QQ52
4C066QQ75
4C066QQ82
(57)【要約】
【課題】点滴筒内を落ちる薬液の滴下を検知するとともに、多方向から点滴の滴下の視認性を確保することができる点滴検知装置を提供する。
【解決手段】本発明によれば、点滴検知装置であって、取付部と、センサと、延出部とを備え、前記取付部は、点滴筒に取り付け可能に構成され、前記センサは、点滴を検知可能に構成され、前記延出部は、前記センサを、前記取付部に対して前記点滴筒の長手方向に延出した位置で保持するように構成され、前記点滴筒の周方向における前記延出部により覆われる割合が、当該点滴筒の全周の50%未満となるように構成される、点滴検知装置が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点滴検知装置であって、
取付部と、センサと、延出部とを備え、
前記取付部は、点滴筒に取り付け可能に構成され、
前記センサは、点滴を検知可能に構成され、
前記延出部は、前記センサを、前記取付部に対して前記点滴筒の長手方向に延出した位置で保持するように構成され、
前記点滴筒の周方向における前記延出部により覆われる割合が、当該点滴筒の全周の50%未満となるように構成される、点滴検知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の点滴検知装置であって、
前記延出部の前記点滴筒の周方向に対応する幅が、当該延出部の前記長手方向の長さよりも短い、点滴検知装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の点滴検知装置であって、
前記取付部が、第1挟着部材と第2挟着部材とを備え、
前記センサが、発光部と受光部とを有し、
前記第1挟着部材に設けられる第1延出部と前記第2挟着部材に設けられる第2延出部の2つの前記延出部を備え、
前記第1挟着部材と前記第2挟着部材が前記点滴筒を挟着するよう、これら前記第1挟着部材と前記第2挟着部材とを付勢する付勢部材を備え、
前記第1延出部と前記第2延出部の一方が前記発光部、他方が前記受光部を保持する、点滴検知装置。
【請求項4】
請求項3に記載の点滴検知装置であって、
前記第1挟着部材および前記第2挟着部材が、それぞれ前記長手方向が厚み方向となる薄板状に形成され、
前記第2挟着部材が、前記点滴筒を挟着する方向に前記第1挟着部材を挿入可能な収容部を備え、
前記第1挟着部材が、前記第2挟着部材がスライドするスライド方向および前記長手方向と異なる側面を前記長手方向に亘って切り抜いた第1挟着溝を有し、
前記第2挟着部材が、前記第1挟着部材の前記側面と同じ方向の側面を前記長手方向に亘って切り抜いた第2挟着溝を有し、
前記第1挟着溝における前記第1挟着部材の挿入方向の第1挟着部と前記第2挟着溝における前記第1挟着部材の取り出し方向の第2挟着部とで前記点滴筒を挟着するよう構成され、
前記付勢部材は、前記第1挟着部材の前記挿入方向の外面と前記収容部の底面の間に設けられている、点滴検知装置。
【請求項5】
請求項4に記載の点滴検知装置であって、
前記第1挟着部材と前記第2挟着部材が前記点滴筒を挟着した状態で、前記第1挟着部材の前記取り出し方向の端部が前記第2挟着部材から突出している、点滴検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点滴筒内を落ちる薬液の滴下を検知する点滴検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、点滴筒内の薬液の滴下を、医療従事者が目視で行うことが多く、医療従事者自ら滴下速度を計測する必要があるため手間がかかっていた。また、点滴の終了や薬液を交換するタイミングに気づかない場合があった。そこで、滴下速度、滴下異常または点滴終了を報知する測定器(点滴検知装置)が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、点滴筒の側面壁が着脱自在に嵌合される嵌合凹部と、点滴筒のフランジ部の下面に当接する位置決め当接部とを有する筐体と、点滴液を検出する点滴液検出器と、点滴情報を出力する情報出力器を有する測定器が開示されている。この測定器は、嵌合凹部と位置決め当接部によって点滴筒に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-140467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の点滴検知装置は、薬液が滴下する滴下部にセンサや測定器本体が取り付けられる構造であり、これによって、滴下部の視認性が低下し、特定の方向からでないと、目視にて滴下の確認をすることができなかった。実際の臨床現場では、1人の医療従事者が複数の点滴試行中の患者の管理を行ったり、逆に複数の医療従事者が同一の点滴患者を管理したりすることがある。このような場合、点滴の滴下の検知を点滴検知装置が担いつつも、医療従事者が多方向から目視でも滴下を確認できる必要がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、点滴筒内を落ちる薬液の滴下を検知するとともに、多方向から点滴の滴下の視認性を確保することができる点滴検知装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)点滴検知装置であって、取付部と、センサと、延出部とを備え、前記取付部は、点滴筒に取り付け可能に構成され、前記センサは、点滴を検知可能に構成され、前記延出部は、前記センサを、前記取付部に対して前記点滴筒の長手方向に延出した位置で保持するように構成され、前記点滴筒の周方向における前記延出部により覆われる割合が、当該点滴筒の全周の50%未満となるように構成される、点滴検知装置。
【0008】
(2)(1)に記載の点滴検知装置であって、前記延出部の前記点滴筒の周方向に対応する幅が、当該延出部の前記長手方向の長さよりも短い、点滴検知装置。
【0009】
(3)(1)または(2)に記載の点滴検知装置であって、前記取付部が、第1挟着部材と第2挟着部材とを備え、前記センサが、発光部と受光部とを有し、前記第1挟着部材に設けられる第1延出部と前記第2挟着部材に設けられる第2延出部の2つの前記延出部を備え、前記第1挟着部材と前記第2挟着部材が前記点滴筒を挟着するよう、これら前記第1挟着部材と前記第2挟着部材とを付勢する付勢部材を備え、前記第1延出部と前記第2延出部の一方が前記発光部、他方が前記受光部を保持する、点滴検知装置。
【0010】
(4)(3)に記載の点滴検知装置であって、前記第1挟着部材および前記第2挟着部材が、それぞれ前記長手方向が厚み方向となる薄板状に形成され、前記第2挟着部材が、前記点滴筒を挟着する方向に前記第1挟着部材を挿入可能な収容部を備え、前記第1挟着部材が、前記第2挟着部材がスライドするスライド方向および前記長手方向と異なる側面を前記長手方向に亘って切り抜いた第1挟着溝を有し、前記第2挟着部材が、前記第1挟着部材の前記側面と同じ方向の側面を前記長手方向に亘って切り抜いた第2挟着溝を有し、前記第1挟着溝における前記第1挟着部材の挿入方向の第1挟着部と前記第2挟着溝における前記第1挟着部材の取り出し方向の第2挟着部とで点滴筒を挟着するよう構成され、前記付勢部材は、前記第1挟着部材の前記挿入方向の外面と前記収容部の底面の間に設けられている、点滴検知装置。
【0011】
(5)(4)に記載の点滴検知装置であって、前記第1挟着部材と前記第2挟着部材が前記点滴筒を挟着した状態で、前記第1挟着部材の前記取り出し方向の端部が前記第2挟着部材から突出している、点滴検知装置。
【0012】
本発明によれば、延出部が、センサを取付部に対して点滴筒の長手方向に延出した位置で保持し、点滴筒の周方向における延出部により覆われる割合を、点滴筒の全周の50%未満となるように構成することで、点滴筒内を落ちる薬液の滴下を検知するとともに、多方向から点滴の滴下の視認性を確保することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る点滴検知装置100が点滴筒200に取り付けられた状態を示す外観斜視図である。
図2】一般的な点滴筒200の滴下部Xを明示する図である。
図3】本発明の実施形態に係る点滴検知装置100の分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る点滴検知装置100が点滴筒200に取り付けられた状態の正面図である。
図5】本発明の実施形態に係る点滴検知装置100が点滴筒200に取り付けられた状態の右側面図である。
図6図6Aおよび図6Bは、本発明の実施形態に係る点滴検知装置100が点滴筒200に取り付けられる前の状態の図4の断面線A-Aにおける平面断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る点滴検知装置100が点滴筒200に取り付けられた状態の図4の断面線A-Aにおける平面断面図である。
図8図8Aは、第2実施形態に係る点滴検知装置100の平面図であり、図8Bは、第3実施形態に係る点滴検知装置100の平面図である。
図9図9Aおよび図9Bは、本発明の第4実施形態に係る点滴検知装置100の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では図4の向きを正面(前方向)とし、同図の左右方向を左右方向(スライド方向)、点滴筒200の長手方向を上下方向とする。
【0015】
1.第1実施形態
1.1 点滴検知装置100の全体構成
図1は、本実施形態に係る点滴検知装置100が点滴筒200に取り付けられた状態を示す外観斜視図である。点滴検知装置100は、点滴筒200に取り付けるための取付部1と、点滴を検知するためのセンサ2と、センサ2を保持するための延出部3とを備える。取付部1と延出部3は、例えば樹脂などで製造される。
【0016】
また、本明細書で用いる「滴下部」という用語は、図2に示すように点滴筒200内における、導管201から薬液202の液滴202bが滴下する部分のことを意味する。より具体的には、下端201a~液面202aの間の符号Xを付した部分である。
【0017】
1.1.1 取付部1の構成
図3に示すように取付部1は、第1挟着部材10と、第2挟着部材11と、付勢部材としてのバネ12とを備える。第1挟着部材10および第2挟着部材11は、いずれも直方体形状(上下方向が厚み方向となる薄板状)を有する。第1挟着部材10は、図6A図7では中空である例を示しているが、中実であってもよい。ただし、中空とすることで、発光部20と回路基板5とを電気的に接続するための配線を第1挟着部材10の内部に通すことが可能となる。第2挟着部材11は、第1挟着部材10より大きい寸法を有するとともに、中空に形成されており、左壁部11dと、上壁部11eと、下壁部11fと、前壁部11gと、後壁部11hとを備える。そして、第2挟着部材11は、これらの壁部によって囲われることで第1挟着部材10を収容する収容部11cを備えている。本実施形態において、収容部11cは右方向に向かって開口し、第1挟着部材10を右側から左方向(挿入方向)へ挿入できるよう構成される。第2挟着部材11の前壁部11gにはLED6が備えられている。
【0018】
また、第1挟着部材10は前側の側面が上下方向全体に亘って切り抜かれたU字型の第1挟着溝10aを有し、第1挟着溝10aにおける左側の側面は第1挟着部10bとされる。また、第2挟着部材11は、上壁部11eと下壁部11fの前側が切り抜かれたU字型の第2挟着溝11aを有し、第2挟着溝11aにおける右側の縁部が第2挟着部11bである。取付部1は、これら第1挟着部材10の第1挟着部10bと第2挟着部材11の第2挟着部11bによって、点滴筒200を挟着することができる。
【0019】
また、図6を参照すると、第1挟着部材10の左側外面10cと第2挟着部材11の左壁部11dの内面との間には2つのバネ12が設けられている。図6Aに示すように、点滴筒200を挟まず、バネ12に力が加わっていない場合バネ12により左側から右方向(取り出し方向)へ力が働き、第1挟着部材10の右側面10dは第2挟着部材11から大きく突出し、第1挟着部10bと第2挟着部11bとの間の空間が狭くなっている。
【0020】
次いで、第1挟着部材10の突出している右側面10dを挿入方向へ押し込むと、第1挟着部材10によってバネ12が押し込まれ、第1挟着部10bと第2挟着部11bとの間の空間が広くなる(図6B参照)。バネ12は第1挟着部材10を第2挟着部材11から取り出し方向へ押し出すような付勢力を有するため、これによって第1挟着部10bと第2挟着部11bで点滴筒200を挟着することができる(図7)。好ましくは、点滴筒200を挟着した状態でも、第1挟着部材10の右側面10dが第2挟着部材11から突出するように構成される。
【0021】
本明細書に添付の図面では、2つのバネ12が描かれているが、必ずしも2つである必要はなく、バネ12は少なくとも1つとできる。他の実施形態では、点滴筒200を外れにくくするために、各挟着部10b,11bの点滴筒200との接触面にシリコンなどの弾性体を設けてもよい(図示せず)。
【0022】
1.1.2 延出部3の構成
本実施形態の点滴検知装置100は、図3に示すように第1挟着部材10に設けられる第1延出部30と、第2挟着部材11に設けられる第2延出部31の2つの延出部3を備える。第1延出部30は、センサ2の発光部20を保持し、第2延出部31は、センサ2の受光部21を保持する。図4を参照すると、第1延出部30は、第1挟着部材10の上面から上方向に延出するよう構成される。また、第2延出部31は、第2挟着部材11の上壁部11eの上面から上方向に延出するように構成される。本実施形態において、各延出部30,31は、単体で形成され、それぞれ取付部1に接着、溶着、または嵌め込み等によって固定されている。ただし、延出部31は、対応する取付部1と一体的に形成されていてもよい。
【0023】
図4に示すように第1延出部30と第2延出部31は、点滴筒200の中心線に対して対向して左右方向の一直線上に配置される。第1延出部30の第1対向面30a、および第2延出部31の第2対向面31aは、点滴筒200側の面を指し、互いに対向している。また、第1延出部30の第1対向面30aは、第1挟着部10bの挟着面から上方に向かって連続するように構成される。第2延出部31の第2対向面31aは、第2挟着部11bの挟着面から上方に向かって連続するように構成される。つまり、各対向面30a,31aは、図4に示す正面視において、取付部1に対して垂直である。よって、各対向面30a,31aは、挟着部10b,11bの挟着面とそれぞれ同じ左右方向の位置にある。これによって、延出部3が保持するセンサ2を点滴筒200に近接した位置に配置することができる。
【0024】
延出部3の高さは、好ましくは、センサ2(発光部20と受光部21)の高さが等しくなるように構成される。本実施形態では、第2挟着部材11の上壁部11eの上面が第1挟着部材10の上面よりも上側にあるため、第1延出部30は第2延出部31よりも上下方向に長い寸法を有するように構成される。
【0025】
図5に示すように、延出部3の形状は、点滴筒200の周方向に対応する各延出部30,31の幅Wが、その上下方向の長さHよりも短くなるような棒状に構成される。図示の実施形態において、各延出部30,31の上下方向の長さHに対する幅Wの比(W/H)は、2/17である。なお、各延出部30,31を細長い棒状とするため、この比(W/H)は、1/4以下とすることが好ましく、1/6以下とすることがより好ましく、1/8以下とすることがさらに好ましい。また、この比(W/H)は、例えば、1/20,1/15,1/12,1/10,1/8,1/6,1/1/4,1/3,1/2,2/3,3/4であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0026】
図示の実施形態の延出部3は、取付部1に接地している底面と、センサ2を保持する上面との面積とが異なっており、前方から見ると台形の形状をしている(図4参照)。これは、取付部1と接地する底面積を大きくすることで、強度を高めるためである。よって、本明細書で用いる「棒状」という用語は、底面積と上面積とが等しくない形状も含む。また、本実施形態では、各延出部30,31の横断面は矩形形状となっているが、他の形状(例えば、円形や三角形)であってもよい。
【0027】
また、本実施形態において、第1延出部30および第2延出部31が点滴筒200の周方向を覆う割合は、それぞれ5%未満である。つまり、2つの延出部3が合計で点滴筒200の周方向を覆う割合は、10%未満である。ただし、第1延出部30および第2延出部31の強度を確保するため、第1延出部30および第2延出部31が点滴筒200の周方向を覆う割合は、それぞれ2%以上とすることが好ましい。
【0028】
1.1.3 センサ2の構成
センサ2は、発光部20および受光部21で構成される。本実施形態において、発光部20は第1延出部30に配置され、受光部21は第2延出部31に配置され、よって延出部3の配置と同様に、点滴筒200の中心線に対して対向して左右方向の一直線上に配置される。センサ2は、発光部20から発せられた光を受光部21で受光することで、滴下部Xを滴下する液滴202bの有無を検知することができる。なお、このようなセンサ2は、既知の技術を用いて作製することができるため、その詳細な説明を省略する。また、第1延出部30に受光部21、第2延出部31に発光部20を配置してもよい。このような発光部20および受光部21の配置によって、点滴筒200が挟着されている際には、滴下部Xを挟む構成、言い換えると、点滴の落下軌跡を挟む構成となり、薬液202(液滴202b)の滴下を検知することができる。
【0029】
1.1.4 スイッチ4の構成
第1挟着部材10の左側外面10cと第2挟着部材11の左壁部11dの内面との間に配置された2つのバネ12の間には、スイッチ4が設けられている(図3および図6参照)。第1挟着部材10の突出している右側面10dを押し込むと、第1挟着部材10によってスイッチ4が押し込まれる。次いで、スイッチ4の押圧状況に基づく信号が回路基板5に伝達され、センサ2が作動する。また、センサ2の作動中は、液滴202bの滴下を検知しているときはLED6が点灯し、液滴202bの滴下がなくなったときはLED6の消灯や図示しないアラーム音等によりなくなったことを知らせる。
【0030】
1.1.5 回路基板5の構成
図6Aおよび図6Bに示すように、第2挟着部材11の収容部11cの内部には、バネ12及びスイッチ4とともに、センサ2の作動を制御する回路基板5も配置されており、発光部20および受光部21はそれぞれこの回路基板5に電気的に接続されている。発光部20と受光部21に電気的に接続する配線は、意匠性を高めるため取付部1の内部に配線することが好ましいが、取付部1の外部に配線してもよい(図示は省略)。回路基板5は、既知の技術を用いて作製することができる。また、図示はしないが、センサ2を作動させるための電池も、収容部11cの内部に配置されている。なお、電池は、ボタン電池などの小型のものが好ましい。また、回路基板5や電池は、収容部11cの外部、例えば、第2挟着部材11の上部等に配置してもよい。
【0031】
1.2 点滴検知装置100の取り付け構成
点滴検知装置100を点滴筒200に取り付けるには、まず、第2挟着部材11から突出している第1挟着部材10の右側面10dを押し込む(図6A図6B参照)。この動作により、第1挟着部10bと第2挟着部11bの間の空間が広がる。同時に、第1挟着部材10の左側外面10cによって、第2挟着部材11の左壁部11dの内面との間に設けられたバネ12およびスイッチ4が押し込まれる。ここで、スイッチ4が押圧されることでセンサ2が作動する。
【0032】
次に、第1挟着部10bと第2挟着部11bの間の空間に点滴筒200を入れ、第1挟着部材10の右側面10dの押し込みを解除する(図6B図7参照)。押し込まれていたバネ12は、第2挟着部材11から第1挟着部材10を押し出すような付勢力を有し、第1挟着部10bが点滴筒200に接するまで第1挟着部材10を押し出す。よって、点滴検知装置100を第1挟着部10bと第2挟着部11bにより点滴筒200を挟着することができる。
【0033】
点滴筒200を挟む位置としては、延出部3が保持するセンサ2の高さが、滴下部Xを挟む位置が好ましい。例えば、取付部1を液面202aより下に対応する点滴筒200の部分に取り付け、発光部20および受光部21が滴下部Xを挟むように取り付ける(図4参照)。
【0034】
取り外す際は、第2挟着部材11から突出している第1挟着部材10の右側面10dを再び押し込み、第1挟着部10bと第2挟着部11bの間の空間を広げる。これにより、点滴筒200を挟着している状態から隙間が生じ、取り外すことができる。また、右側面10dを再び押し込むと、スイッチ4の押圧が解除され、センサ2の作動が終了する。
【0035】
1.3 作用効果
延出部3によって、センサ2を取付部1とは上下方向に異なる位置で保持することができる。加えて、前述のように、延出部3が点滴筒200の周方向を覆う割合を10%未満の棒状に構成することで、前後方向、左斜め前後方向、および右斜め前後方向から滴下部Xの視認性を確保することができる。
【0036】
付勢部材(バネ12)を設け、この付勢力を利用して挟着することで、容易に取り外しすることができる。第1挟着部材10が第1延出部30、第2挟着部材11が第2延出部31を備えることで、発光部20と受光部21を点滴筒200の中心線に対して対向して左右方向の一直線上の位置に保持することができる。また、発光部20と受光部21とを棒状の別々の延出部30,31により保持させることで、発光部20と受光部21とを対向する位置に配置しつつ、視認性を確保することができる。さらに、各延出部30,31を各挟着部材10,11にそれぞれ設けることで、挟着動作に合わせて、センサ2を点滴筒200に近づけることができる。
【0037】
取付部1を薄板状に形成することで、点滴筒200を上下方向に覆う面積が小さくなり、視認性が向上する。第1挟着部材10を第2挟着部材11の収容部11cに収容し、第1挟着部材10をスライドさせて第1挟着部10bと第2挟着部11bの間の空間を調整可能な構成とすることで、様々なサイズの点滴筒200に好適に取り付けることができる。
【0038】
第1挟着部材10の右側面10dが第2挟着部材11から突出していることで、右側面10dを押し込むだけで、点滴筒200に片手で容易に取り外しすることができる。
【0039】
2.第2実施形態
上記第1実施形態では、第1延出部30および第2延出部31が点滴筒200の周方向を覆う割合をそれぞれ5%未満としていた。しかしながら、各延出部30,31が点滴筒200の周方向を覆う割合は、それぞれ10%未満、15%未満、20%未満、25%未満とすることも可能である。つまり、2つの延出部3が合計で点滴筒200の周方向を覆う割合は、20%未満、30%未満、40%未満、50%未満とすることも可能である。各延出部30,31が点滴筒200の周方向を覆う割合を25%未満とする(合計の割合を50%未満とする)ことで、少なくとも前後方向の視認性を確保することができる(図8Aの矢印参照)。ただし、延出部3が点滴筒200の周方向を覆う割合を40%未満、30%未満、20%未満、10%未満と低減することにより、斜め方向からの視認性も確保することができるようになる。視認性の観点からは、延出部3が点滴筒200の周方向を覆う割合は低ければ低いほど良い。
【0040】
ただし、各延出部30,31の強度を確保するため、材質や形状にもよるが、各延出部30,31が点滴筒200の周方向を覆う割合は、それぞれ1%以上とすることが好ましく、2%以上とすることがより好ましい。延出部3が点滴筒200の周方向を覆う割合を低くしつつ、強度を確保する方法としては、第1実施形態のように取付部1と接地する延出部3の底面積を大きくして、台形形状に構成する方法が挙げられる(図4参照)。
【0041】
3.第3実施形態
上記第1および第2実施形態では、点滴検知装置100が2つの延出部3(第1延出部30,第2延出部31)を備え、発光部20と受光部21とが対向して配置されていた。しかしながら、図8Bに示すように、延出部3を1つだけ設け、1つの延出部3に、上下に間隔を空けて発光部20と受光部21を取り付けてもよい。このような構成であっても、発光部20から発せられ、液滴に反射した光を受光部21で受光することで、液滴202bの滴下を検知することができる。なお、延出部3を1つだけ設ける場合も、延出部3が点滴筒200の周方向を覆う割合を50%未満とすることで、50%を超える角度から滴下部Xを視認することが可能となる。また、延出部3が点滴筒200の周方向を覆う割合は、上記実施形態と同様、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満と低減することにより、より多くの方向からの視認性を確保することができるようになる。
【0042】
4.第4実施形態
図9Aおよび図9Bは、本発明の第4実施形態に係る点滴検知装置100の平面図である。本実施形態における第1挟着部材10と第2挟着部材11は、同じ形状を有している。各挟着部材10,11は、ヒンジ8を介して接続され、対向して配置される。各挟着部材10,11は、グリップ部7と、第1挟着部10bと、第2挟着部11bとを備え、各挟着部10b,11bは、互いに向き合う側面がそれぞれ半円状に切り抜かれて構成されている。また、図示はしないが、本実施形態の点滴検知装置100も付勢部材(バネ)を備えており、各挟着部10b,11bは、互いが近づく方向に付勢されている。なお、本実施形態において回路基板は省略されているが、例えば、グリップ部7に沿って設けることができる。
【0043】
また、本実施形態の点滴検知装置100は、第1実施形態と同様、第1挟着部材10には第1延出部30が設けられ、第2挟着部材11には第2延出部31が設けられている。第1延出部30は発光部20を、第2延出部31は受光部21を保持している。
【0044】
このような構成であっても、2つのグリップ部7を付勢部材の付勢力に抗して互いに近づけることで第1挟着部10bと第2挟着部11bの間の空間を広げることができる(図9A参照)。その空間に点滴筒200を配置することで、点滴筒200を挟着することができる(図9B参照)。
【0045】
5.その他の実施例
上記実施形態の点滴検知装置100を、上下に反転させた構成にしてもよい。具体的には、取付部1を点滴筒200の蓋部分または蓋のすぐ下の部分に取り付け可能とし、延出部3が下方に延出するように構成してもよい(図示せず)。
【0046】
上記実施形態では、取付部1が第1挟着部材10と第2挟着部材11とを備え、2つの挟着部材10,11により点滴筒200を挟着することで点滴検知装置100が取り付けられる構成であった。しかしながら、取付部1の構成はこれに限定されない。例えば、取付部1を1つの部材のみで構成するとともに、粘着力のある部材を用い、当該部材の粘着力により点滴検知装置100を点滴筒200に取り付ける構成としてもよい。また、取付部1に点滴筒200よりもわずかに幅が狭い溝を設け、当該溝に点滴筒200を押し込んで、取付部1の弾性により点滴検知装置100を取り付ける構成とすることも可能である。
【0047】
延出部3(第1延出部30および第2延出部31)は、取付部1に着脱可能に構成されてもよく、また、取付部1に対し折りたたみ可能に構成されてもよい。折りたたみ可能に構成するには、例えば、フレキシブル基板により配線することが考えられる。このような構成とすることで、点滴検知装置100をコンパクトにした状態で持ち運んだり収納したりすることが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 :取付部
2 :センサ
3 :延出部
4 :スイッチ
5 :回路基板
6 :LED
7 :グリップ部
8 :ヒンジ
10 :第1挟着部材
10a :第1挟着溝
10b :第1挟着部
10c :左側外面
10d :右側面
11 :第2挟着部材
11a :第2挟着溝
11b :第2挟着部
11c :収容部
11d :左壁部
11e :上壁部
11f :下壁部
11g :前壁部
11h :後壁部
12 :バネ
20 :発光部
21 :受光部
30 :第1延出部
30a :第1対向面
31 :第2延出部
31a :第2対向面
100 :点滴検知装置
200 :点滴筒
201 :導管
201a :下端
202 :薬液
202a :液面
202b :液滴
X :滴下部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9