(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170723
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】人材募集システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20231124BHJP
G06Q 50/10 20120101ALN20231124BHJP
【FI】
G06Q30/06 312
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082679
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】522200100
【氏名又は名称】神原 成晃
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】神原 成晃
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB53
5L049CC11
(57)【要約】 (修正有)
【課題】求職者と募集者の不適合なマッチングを防止する人材募集システムを提供する。
【解決手段】人材募集システムは、労働者に関する労働者情報を記憶する労働者情報記憶部13を有するサーバ1と、労働者を募集する募集情報を表示させる情報表示装置33を有する労働者端末3と、人材募集における求人企業の経営者や担当者により操作される使用者端末4と、を備える。労働者情報は、当該労働者を使用した使用者が当該労働者に対する評価を行った労働者評価情報を含む。情報表示装置は、募集情報の一部を労働者評価情報に応じて変化させて当該労働者に表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
労働者に関する労働者情報を記憶する労働者情報記憶部と、
前記労働者を募集する募集情報を表示させる情報表示装置とを備え、
前記労働者情報は、当該労働者を使用した使用者が当該労働者に対する評価を行った労働者評価情報を含み、
前記表示装置は、前記募集情報の一部を前記労働者評価情報に応じて変化させて当該労働者に表示する、人材募集システム。
【請求項2】
前記労働者評価情報に応じて変化する募集情報の一部は賃金情報である、請求項1に記載の人材募集システム。
【請求項3】
前記使用者に関する使用者情報を記憶する使用者情報記憶部を備え、
前記使用者情報は、当該使用者に使用された労働者が当該使用者に対する評価を行った使用者評価情報を含み、
前記使用者評価情報は前記労働者に開示されることなく、前記使用者評価情報に応じて、雇用を募集するサイトに優先的に表示される、請求項1または請求項2に記載の人材システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人材募集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な職業に関して人材を募集する人材募集システムが存在する。例えば、特許文献1に記載の求人マッチングシステムでは、求人情報の配信、適切な人材の選定補助、実際の契約の雇用契約の締結、更には勤務までを短時間で行うことを可能とすると共に、次回以降の雇用にもつなげるようなシステムが開示されている。
【0003】
また、人材を募集する上で必要になる人材に関する評価を行うシステムやプログラムも開発されている。例えば、特許文献2には、人間の能力や実力に得点を付けて、更生・矯正・教育・出世を支援する人間採点プログラムを提供するプログラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-117375号公報
【特許文献2】特開2007-299356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の人材を募集する人材募集システムにおいて、1つの募集については条件を一律に表示し、募集条件に適合するか否かを求職者が判断する仕組みとなっている。例えば、1つの求人の賃金は、誰がみても同一の賃金として表示されている。このような募集者と求職者のマッチングでは不適合なマッチングが起こりやすいという課題があった。
【0006】
そのような課題に鑑み、本発明の発明者は、求職者である人材に対し以前の使用者からの評価を事前に記憶しておき、当該評価に応じて労働者に表示される募集条件を個別に変動させることで、適切なマッチングを行うことができるという知見を得た。
【0007】
(1)この知見に基づき、本発明に係る人材募集システムは、労働者に関する労働者情報を記憶する労働者情報記憶部と、前記労働者を募集する募集情報を表示させる情報表示装置とを備え、前記労働者情報は、当該労働者を使用した使用者が当該労働者に対する評価を行った労働者評価情報を含み、前記表示装置は、前記募集情報の一部を前記労働者評価情報に応じて変化させて当該労働者に表示する。
【0008】
(2)前記人材募集システムにおいて、前記労働者評価情報に応じて変化する募集情報の一部は賃金情報であってもよい。
【0009】
(3)前記人材募集システムにおいて、前記使用者に関する使用者情報を記憶する使用者情報記憶部を備え、前記使用者情報は、当該使用者に使用された労働者が当該使用者に対する評価を行った使用者評価情報を含み、前記使用者評価情報は前記労働者に開示されることなく、前記使用者評価情報に応じて、雇用を募集するサイトに優先的に表示されるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、求職者である人材に以前の使用者からの評価を事前に記憶しておき、当該評価に応じて労働者に表示される募集条件を個別に変動させることで、適切なマッチングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る人材募集システムの運用形態を示す図である。
【
図2】
図1に示す人材募集システムの機能ブロックを示す図である。
【
図3】
図1に示す人材募集システムにおける労働者端末に表示される人材募集サイトの一覧表示ページを示す図である。
【
図4】
図1に示す人材募集システムにおける労働者端末に表示される人材募集サイトの詳細表示ページを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係る人材募集システムSについて、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、建築業界の人材募集に関する人材募集システムについて説明する。しかし、人材募集システムは、運送業、飲食業等の他の業界の人材募集システムに利用されてもよい。
【0013】
図1は、本実施形態に係る人材募集システムSの運用形態の概念を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る人材募集システムSは、サーバ1と、サーバ1にインターネット2を介して接続する労働者端末3および複数の使用者端末4とを含む。なお、人材募集システムSはサーバ1にデータを有する。
【0014】
本実施形態において、労働者端末3は、労務を提供する労働者である、いわゆる人材募集における求職者により操作される。また、使用者端末4は、労働者を雇用等により使用する使用者である、いわゆる人材募集における求人企業の経営者や担当者により操作される。
【0015】
サーバ1は、従来よく知られるクライアントサーバシステムのサーバ用ホストマシンである。また、労働者端末3および使用者端末4は、従来よく知られる、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォンなどに代表される情報処理装置である。
【0016】
各労働者端末3および各使用者端末4はサーバ1とインターネット2を介して通信することにより、サーバ1に設けられた人材募集用のWEBサイト(「人材募集サイト」とも称する。)に接続可能となっている。人材募集サービスは、サーバ1上で人材の募集と応募に関する、いわゆるマッチングが行われる人材マッチングサービスを提供するクラウドサービスである。
【0017】
図2に示すように、労働者端末3および使用者端末4はサーバ1と連動して、人材マッチングサービスを提供するように機能ブロックを構築する。
【0018】
具体的には、サーバ1は、機能ブロックとして、労働者に関する所定の項目を有する労働者情報を登録するための労働者情報登録部11と、使用者に関する所定の項目を有する使用者情報を登録するための使用者情報登録部12と、労働者情報を記憶する労働者情報記憶部13と、使用者情報を記憶する使用者情報記憶部14と、人材募集に関する所定の項目を有する求人情報を登録するための求人情報登録部15と、求人情報を記憶する求人情報記憶部16とを構築する。なお、サーバ1内の各情報は紐づいている。
【0019】
労働者端末3は、機能ブロックとして、サーバ1の労働者情報登録部11と連動して労働者情報を登録するための労働者情報登録装置31と、使用者の下で労働した際に使用者の評価を入力する使用者評価入力装置32と、求人情報を表示する求人情報表示装置33とを構築する。
【0020】
労働者情報登録装置31は、労働者端末3を操作することにより所定の項目の労働者情報を登録できる。労働者情報は、労働者情報登録装置31から労働者情報登録部11を介して労働者情報記憶部13に記憶される。
【0021】
使用者評価入力装置32は、労働者端末3を操作することにより使用者評価情報を入力することができる。使用者評価情報は、使用者評価入力装置32から使用者情報登録部12を介して使用者情報記憶部14に記憶される。
【0022】
求人情報表示装置33は、労働者端末3がサーバ1に設けられた求人情報サイトに接続することにより、後述する求人情報を表示することができる。
【0023】
使用者端末4は、機能ブロックとして、サーバ1の使用者情報登録部12と連動して使用者情報を登録するための使用者情報登録装置41と、使用者の下で労働した労働者の評価を入力する労働者評価入力装置42と、求人情報を入力する求人情報登録装置43とを備える。
【0024】
使用者情報登録装置41は、使用者端末4を操作することにより所定の項目の使用者情報を登録できる。使用者情報は、使用者情報登録装置41から使用者情報登録部12を介して使用者情報記憶部14に記憶される。
【0025】
労働者評価入力装置42は、使用者端末4を操作することにより労働者評価情報を入力することができる。労働者評価情報は、労働者評価入力装置42から労働者情報登録部11を介して労働者情報記憶部13に記憶される。
【0026】
求人情報表示登録装置43は、使用者端末4がサーバ1に設けられた求人情報サイトに接続することにより、求人情報登録部15を介して求人情報記憶部16に、後述する求人情報を登録することができる。具体的には、人材募集システムSを利用する使用者は、使用者端末4を操作し、求人を募集する際に求人情報登録装置43から求人情報を入力し、入力された求人情報は、求人情報登録部15を介して求人情報記憶部16に記憶される。
【0027】
求人情報には、募集職種に関する募集職種情報や、労務提供の場所、時間等に関する労務環境情報、労務提供の賃金に関する賃金情報、労務提供の条件に関する労務条件情報を含む。
【0028】
人材募集システムSを利用する労働者は、労働者端末3を操作し、求人情報表示部から、サーバ1の人材募集サイトを介して求人情報記憶部16に記憶された求人情報を閲覧し、希望の求人に応募する。
【0029】
また、人材募集システムSを利用する労働者は、使用者からの募集に応募し、採用されることで使用者の下で労務を提供する。その際、労働者は、採用された使用者の下で労務を提供した経験に基づき、使用者を評価し、その評価結果を労働者端末3の使用者評価入力装置32から使用者評価情報としてサーバ1の使用者情報記憶部14に記憶する。一方、労働者を使用した使用者は、その経験に基づけ、労働者を評価し、その評価結果を使用者端末4の労働者評価入力装置42から労働者評価情報としてサーバ1の労働者情報記憶部13に記憶する。
【0030】
例えば、労働者評価情報として、給与形態(月給/日給月給など)、支払スピード(締め/支払時期など)、雇用形態(正社員/契約社員/臨時社員)などのような雇用条件に加え、給与金額、拘束時間、賃金支払い額満足度(締め支払期間,実務拘束時間、交通費等)、安全管理体制、社内雰囲気等を雇用会社に対する評価項目としてもよい。また、従事した現場に対する評価として、指示者(安全管理者)の采配(適性配置等)、指示者(安全管理者)の安全管理意識、時間管理、管理者(人柄・仕事)、現場環境(整理、整頓、清掃)を評価項目としてもよい。さらに、各評価項目は、5段階評価のような所定の段階評価や、点数(例えば100点満点)評価としてもよい。
【0031】
次に、
図3および
図4を用いて人材募集システムSの求人情報表示装置33による求人情報の表示について説明する。
【0032】
労働者は、労働者端末3を操作し、人材募集サイトを介して求人情報を閲覧する。人材募集サイトでは複数の求人情報の一覧が表示される一覧表示ページや、各求人の詳細が表示される詳細表示ページがある。
【0033】
図3に示すように、人材募集サイトの一覧表示ページでは、複数の求人情報が一覧となり並んでいる。一覧表示ページの各求人情報は、募集職種情報や、労務環境情報、賃金情報、労務条件情報の概要が掲載されている。
【0034】
図4に示すように、また、詳細表示ページでは、各求人情報の募集職種情報や、労務環境情報、賃金情報、労務条件情報の詳細が表示される。具体的には、募集職種情報として、現場管理、重機オペレータ、内装仕上、解体工、軽作業等の職種が表示され、また、有資格者、職人、見習い等の詳細内容も表示される。また、賃金情報として、年収、月収、日給等の給与形態情報および、その賃金額等の詳細内容が表示される。さらに、労働環境情報として、勤務地や勤務時間等の詳細内容や、労働条件情報として、採用形態、必要資格、福利厚生等の詳細内容が表示される。
【0035】
ここで、人材募集システムSで採用された労働者は、その使用者の下で労務を提供する。使用者は、労務が提供された後に、当該労働者に対して労働者評価情報を労働者評価入力装置42から入力する。入力された労働者評価情報は、労働者情報の一部として労働者情報記憶部13に記憶される。本実施形態において、労働者評価情報として、総合的な5段階評価となっている。しかし、労働者評価情報は、詳細な所定の項目について評価されてもよい。
【0036】
また、労務が提供された後に労働者は、当該使用者に対して、使用者評価情報を使用者情報入力装置から入力する。入力された使用者評価情報は、使用者情報の一部として使用者情報記憶部14に記憶される。本実施形態において、使用者評価情報として、総合的な5段階評価となっている。しかし、使用者評価情報は、詳細な所定の項目について評価されてもよい。
【0037】
人材募集システムSは、労働者評価情報に基づいて、各労働者に表示させる求人情報を個別に変化させる。本実施形態において、人材募集システムSは、労働者端末3に表示される求人情報のうち、賃金情報を各労働者の労働者評価情報に基づいて変化させる。
【0038】
人材募集システムSにおいて、例えば、労働者評価情報が5段階評価の場合に、評価値が1の労働者に対しては賃金が10,000円/日、評価値が2の労働者に対しては賃金が11,000円/日、評価値が3の労働者に対しては賃金が13,000円/日、評価値が4の労働者に対しては賃金が14,000円/日、評価値が5の労働者に対しては賃金が15,000円/日というように、評価が高いほど、賃金が高くなるように求人情報を設定し、求人情報サイトは、各労働者の評価に応じて、表示する賃金が変化するように動作する。
【0039】
また、人材募集システムSは、使用者評価情報に基づいて、各労働者に表示させる求人情報を個別に変化させる。本実施形態において、人材募集システムSは、労働者端末3に表示される求人情報のうち、使用者情報の評価に基づいて求人情報の表示の優先順位を変化させる。
【0040】
人材募集システムSにおいて、例えば、使用者評価情報が5段階評価の場合に、評価値が高いほど、一覧表示ページの上位に表示される。一覧表示ページの表示順位は、評価値以外にも、種々の情報で変化するが、表示順序を決定する要因の1つに評価値情報が組み込まれる。
【0041】
本実施形態において、人材募集システムSは、労働者評価情報に基づいて変化させる募集情報の1つとして賃金情報を変化させる形態について説明した。しかし、人材募集システムSは、労働者評価情報に基づいて、募集情報の他の情報を変化させるようにしてもよい。例えば、賃金情報の他に、労働環境情報や労働条件情報を変化させるようにしてもよい。
【0042】
本実施形態において、人材募集システムSは、使用者評価情報に基づいて変化させる表示優先順位として、一覧表示ページにおいて上位表示される形態について説明した。しかし、表示の優先順位として、表示される機会を変化させる、表示される時間を変化させる等のように他の方法により表示優先順位を変化させてもよい。
【0043】
本実施形態において、建築業界の人材募集に関する人材募集システムについて説明した。しかし、人材募集システムは、運送業、飲食業等の他の業界の人材募集システムに利用されてもよい。
【0044】
本実施形態において、人材募集システムSは、いわゆるクラウドサービスである形態について説明した。しかし、人材募集システムSは、オンプレミスのシステムとして実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、人材募集システムに好適に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
1 サーバ
【0047】
2 インターネット
【0048】
3 労働者端末
【0049】
4 使用者端末
11 労働者情報登録部
12 使用者情報登録部
13 労働者情報記憶部
14 使用者情報記憶部
15 求人情報登録部
16 求人情報記憶部
31 労働者情報登録装置
32 使用者評価入力装置
33 求人情報表示装置
41 使用者情報登録装置
42 労働者評価入力装置
43 求人情報登録装置