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  • 特開-水没型ギヤードサーボモータ 図1
  • 特開-水没型ギヤードサーボモータ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170740
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】水没型ギヤードサーボモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20231124BHJP
   H02K 5/12 20060101ALI20231124BHJP
   F16H 55/06 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02K7/116
H02K5/12
F16H55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082719
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】加古川 篤
(72)【発明者】
【氏名】川村 貞夫
【テーマコード(参考)】
3J030
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
3J030AC01
3J030BC01
5H605BB06
5H605CC04
5H605CC08
5H605GG09
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB09
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607CC07
5H607DD03
5H607EE33
5H607EE36
5H607GG01
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】
【課題】ロボットの水中での接触作業が可能となる水没型ギヤードサーボモータを提供する。
【解決手段】シーリング材を用いる必要のない水没型ギヤードサーボモータ1であって、
耐水処理が施されたブラシレスDCモータ2と、
ブラシレスDCモータ2の回転軸22に設けられる減速機3と、
ブラシレスDCモータ2の回転軸22を回転自在に支持する軸受5と、
ブラシレスDCモータ2の少なくとも角度を検出する検出センサ4と、を有し、
検出センサ4は、耐水処理が施され、
減速機3と軸受5は、潤滑油不要で、且つ、浸水可能な材料で形成されてなる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーリング材を用いる必要のない水没型ギヤードサーボモータであって、
耐水処理が施されたブラシレスDCモータと、
前記ブラシレスDCモータの回転軸に設けられる減速機と、
前記ブラシレスDCモータの回転軸を回転自在に支持する軸受と、
前記ブラシレスDCモータの少なくとも角度を検出する検出センサと、を有し、
前記検出センサは、耐水処理が施され、
前記減速機と前記軸受は、潤滑油不要で、且つ、浸水可能な材料で形成されてなる水没型ギヤードサーボモータ。
【請求項2】
前記検出センサは、
前記回転軸に設けられる磁石と、
前記磁石と非接触であると共に、該磁石に対向する位置に配置されている1つのエンコーダICと、を有し、
前記磁石は、防錆処理が施され、
前記エンコーダICは、防水処理が施されてなる請求項1に記載の水没型ギヤードサーボモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水没型ギヤードサーボモータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水中ロボットへの期待が高まっており,AUV(Autonomous Underwater Vehicle)と呼ばれる自律無人潜水機やROV(Remotely operated vehicle)と呼ばれる水中ドローンなどの研究開発が盛んに行われている。これらのロボットの多くには電動のブラシレスDCモータとスクリューを組み合わせたスラスタが利用されており、無限回転させて水流を生み出しながら移動する仕組みとなっている。このスラスタ用モータの磁石部や銅線コイル部には、水没可能とするための防錆処理が施されている(例えば、非特許文献1参照)。そのため、モータ部への浸水を許容でき、OリングやVリングなどのシーリング材を用いる必要がないという利点がある。
【0003】
ところで、このような水没型モータはこれまでにも安価なものが数多く販売されており、以下の利点により利用を拡大してきた。
【0004】
(1)構造がシンプルであるだけでなく、電動モータを直接水に浸して冷却できるため、大きな電流を流すことが可能である。
(2)シーリング材の摩擦ロスがないため、バックドライバビリティが高く、モータ電流から出力トルクを推定しやすいと利点がある。
【0005】
かくして、このような水没型モータに用いられている一般的なブラシレスDCモータは回転子と固定子が接触しないため、それぞれを錆びや電蝕などから防ぐことができれば、簡単に水没化できる。しかしながら、ロータの回転角度を何らかのセンサで検出し、それに合わせた電流を多相のコイルへ適切に流さなければ回転させることができない。これは転流(コミュテーション)と呼ばれ、水中ドローンなどでは一般的にコイルに発生する誘起電圧を利用したセンサレス転流技術が実装されている。水没型モータの多くはドローンのように高速無限回転としての利用が想定されており、このセンサレス転流技術を内蔵したESC(Electric Speed Controller)によって速度制御されるよう設計されている。
【0006】
一方、水中でもロボットアームやグリッパなどのように、対象物をマニピュレーションする場合には、無限回転ではなく、一定の角度範囲内での関節動作が必要となる(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献1】住友尚輝,坂上憲光,川村貞夫,“水没型モータによる小型水中ロボットアーム開発” 第36回日本ロボット学会学術講演会,AC1D2-06,2018
【非特許文献2】Sakagami, N., Shibata, M., Hashizume, H., Hagiwara, Y., Ishimaru,K., Ueda, T., Saitou, T., Fujita, K., Kawamura, S., Inoue,T., , Murakami, S., “Development of a HumansizedROV with Dual-arm,” in Proc. the IEEE OCEANS, pp.1-6, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような水没型モータは、一般的な空中ドローンと同様に高速低トルクタイプであり、このような用途では、トルク不足に陥りやすく、回転速度も速すぎる。そのため、高減速比の減速機が必要となる。また、ロボットの関節内部に角度センサを内蔵しなければならないため、減速機の相対運動部分の隙間にシーリング材を入れて浸水を防がなければならない。その結果、防水シーリング材と減速機の両方の摩擦の影響を受け、関節が固くなってしまい、これによって、水中での接触作業が困難となるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、ロボットの水中での接触作業が可能となる水没型ギヤードサーボモータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0011】
請求項1に係る水没型ギヤードサーボモータは、シーリング材を用いる必要のない水没型ギヤードサーボモータ(1)であって、
耐水処理が施されたブラシレスDCモータ(2)と、
前記ブラシレスDCモータ(2)の回転軸(22)に設けられる減速機(3)と、
前記ブラシレスDCモータ(2)の回転軸(22)を回転自在に支持する軸受(5)と、
前記ブラシレスDCモータ(2)の少なくとも角度を検出する検出センサ(4)と、を有し、
前記検出センサ(4)は、耐水処理が施され、
前記減速機(3)と前記軸受(5)は、潤滑油不要で、且つ、浸水可能な材料で形成されてなることを特徴としている。
【0012】
請求項2に係る水没型ギヤードサーボモータは、上記請求項1に記載の水没型ギヤードサーボモータ(1)において、前記検出センサ(4)は、
前記回転軸(22)に設けられる磁石(40)と、
前記磁石(40)と非接触であると共に、該磁石(40)に対向する位置に配置されている1つのエンコーダIC(41)と、を有し、
前記磁石(40)は、防錆処理が施され、
前記エンコーダIC(41)は、防水処理が施されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
請求項1に係る発明によれば、ブラシレスDCモータ(2)に耐水処理が施され、さらに、検出センサ(4)も、耐水処理が施され、減速機(2)と軸受(5)は、潤滑油不要で、且つ、浸水可能な材料で形成されているから、OリングやVリングなどの防水シーリング材を用いなくとも、水没型ギヤードサーボモータ(1)を浸水させることが可能となる。これにより、防水シーリング材が不要となるため、ブラシレスDCモータ(2)の電流から推定したトルクの精度が高くなり、さらに、摩擦ロスも少なくなる。それゆえ、水没型ギヤードサーボモータ(1)をロボットに適用すれば、従来のように、防水シーリング材と減速機の両方の摩擦の影響を受け、ロボットの関節が固くなってしまうという事態を防止することができる。それゆえ、ロボットの水中での接触作業が可能となる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、磁石(40)と1つのエンコーダIC(41)は、非接触であるから、エンコーダIC(41)の防水処理が容易となる。さらに、エンコーダIC(41)は1つで構成されているから、防水が必要なセンサを最小限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る水没型ギヤードサーボモータの斜視縦断面図である。
図2】(a)は同実施形態に係るエンコーダICが配置固定されている側の基板の斜視図、(b)は同実施形態に係るエンコーダICが配置固定されていない側の基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る水没型ギヤードサーボモータを、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0018】
<水没型ギヤードサーボモータの概要説明>
本実施形態に係る水没型ギヤードサーボモータは、OリングやVリングなどの防水シーリング材を用いる必要のないものである。具体的には、図1に示すように、水没型ギヤードサーボモータ1は、ブラシレスDCモータ2と、減速機3と、検出センサ4と、で主に構成されている。以下、各構成について詳しく説明することとする。
【0019】
<ブラシレスDCモータの説明>
ブラシレスDCモータ2は、図1に示すように、モータケース20と、モータケース20の内部に固定されているステータ21と、回転軸22と、回転軸22に嵌められて回転軸22と一体回転するロータ23と、で構成されている。ステータ21は、鉄心にコイルを巻き付けたU相、V相、W相の三相の巻線を備え、ロータ23は、永久磁石を備えている。これにより、U相、V相、W相の三相の巻線に電流が流れると、この電流によって形成される回転磁界によって、ロータ23は回転することとなる。それゆえ、ロータ23に嵌められている回転軸22も回転することとなる。
【0020】
ところで、上記のように構成されるブラシレスDCモータ2は、ステータ21と、ロータ23とが非接触であるため、ステータ21のコイルや、ロータ23の永久磁石に防錆処理を施すだけで、簡単容易に耐水化できることとなる。また、ステータ21は、鉄心にコイルを巻き付けているため、水没型ギヤードサーボモータ1を浸水させると、この鉄心部分が錆びてしまうこととなる。そこで、本実施形態においては、この鉄心部分も錆びないように、防錆処理(例えば、この鉄心部分に防水スプレーを塗布する等)を施している。
【0021】
<減速機の説明>
減速機3は、図1に示すように、回転軸22の前端部22a側(図示左側)に取り付けられた遊星歯車を用いた減速機であって、ブラシレスDCモータ2の出力を所定の減速比で減速して出力するようになっている。具体的に説明すると、減速機3は、図1に示すように、太陽歯車30を有しており、この太陽歯車30が、回転軸22の前端部22a側(図示左側)に圧入されている。そして、この太陽歯車30に複数の遊星歯車(図示せず)が噛み合い、複数の遊星歯車(図示せず)が内歯車(図示せず)に噛み合っている。この内歯車(図示せず)は、減速機ケース31の内部に設けられており、固定されている。そのため、回転軸22の回転によって複数の遊星歯車(図示せず)が太陽歯車30の周りを公転した際、内歯車(図示せず)が固定されているため、複数の遊星歯車(図示せず)の回転が減速されることとなる。それゆえ、この複数の遊星歯車(図示せず)の回転軸に遊星キャリアを連結しておけば、この遊星キャリアの出力軸32から、ブラシレスDCモータ2の出力を所定の減速比で減速して出力できることとなる。なお、減速機ケース31とモータケース20とは、ねじ部材Nによって軸方向に締結されている。
【0022】
ところで、上記のような減速機3を浸水させるにあたっては、内部に水が浸入しないように、外部との隙間にOリングやVリングなどの防水シーリング材を用いる必要がある。しかしながら、本実施形態においては、内部に水が浸入しても問題無いように、減速機3を高分子材料からなる樹脂で形成するようにしている。これにより、内部に水が浸入しても錆びることがなくなり、これによって、耐水化が可能となる。さらに、このようにすれば、太陽歯車30、遊星歯車(図示せず)、内歯車(図示せず)の摺動摩擦が少なくなるため、潤滑油が不要となる。
【0023】
ところで、上記のような減速機3を使用するにあっては、軸受が必要となる。そのため、本実施形態においては、図1に示すように、回転軸22の後方側(図示右側)に、回転軸22を回転自在に支持する軸受5が設けられている。この軸受5は、水が浸入しても問題無いように、セラミックで形成されている。これにより、内部に水が浸入しても錆びることがなくなり、これによって、耐水化が可能となる。さらに、このようにすれば、回転軸22と軸受5との摺動摩擦が少なくなるため、潤滑油が不要となる。
【0024】
<検出センサの説明>
検出センサ4は、図1に示すように、磁石40と、エンコーダIC41と、で構成されている。磁石40は、回転軸22の後端部22bに取り付け固定されており、回転軸22が回転することにより、磁石40も回転することとなる。
【0025】
一方、エンコーダIC41は、図2に示すように、矩形状で樹脂製の基板42の中央部分(図2(a)参照)に配置固定されている。このエンコーダIC41は、磁石40に対向する位置に配置されており、磁石40が作り出す磁界を受けれるようになっている。これにより、回転軸22に取り付け固定された磁石40が回転すると、磁界の向きが変化するため、エンコーダIC41は、この磁界の向きの変化を検出し、ブラシレスDCモータ2の角度位置を検出するようになっている。なお、この検出された角度位置のデータは、図2(b)に示すように、基板42の背面(エンコーダIC41が配置されている面とは反対の面)に配置固定されているコネクタ43を経由して、さらに、図1に示すように、そのコネクタ43に取り付けられているコネクタ6を経由して、ブラシレスDCモータ2を駆動する駆動装置(図示せず)に出力されることとなる。
【0026】
さらに、エンコーダIC41は、駆動装置(図示せず)を用いてブラシレスDCモータ2を転流(コミュテーション)させる際に必要なオフセット検出を行う事もできる。この点、詳しく説明すると、ブラシレスDCモータ2を転流(コミュテーション)させるにあたって、ロータ23の永久磁石の極数が分かっており、且つ、ステータ21と、ロータ23とが磁気的に釣り合う点で静止しているものとする。この際、駆動装置(図示せず)を用いて、ステータ21が備えているU相、V相、W相の三相の巻線に一定の電気角を持った矩形波電流(もしくは正弦波)を1周期分、或いは、2周期分、又は、3周期分程度のみ入力する。このときのブラシレスDCモータ2の機械角を、エンコーダIC41で読み取れば、電気角と機械角の間のオフセット値を導出することができるため、これを転流に利用することができる。
【0027】
ところで、このオフセット値は、コネクタ43を経由して、さらに、図1に示すように、そのコネクタ43に取り付けられているコネクタ6を経由して、ブラシレスDCモータ2を駆動する駆動装置(図示せず)に出力される。これにより、駆動装置(図示せず)は、このオフセット値に合わせて、U相、V相、W相の原点を正しく設定し直して正弦波で、ブラシレスDCモータ2を駆動する。これによって、ブラシレスDCモータ2は回転することとなる。
【0028】
かくして、1つのエンコーダIC41のみで、ブラシレスDCモータ2の転流(コミュテーション)と、角度制御を行うことができるため、部品を最小限にすることができる。
【0029】
ところで、上記のように構成される検出センサ4を浸水させると、磁石40が錆びてしまい、磁力や磁気の方向が変化してしまう恐れがある。そのため、本実施形態においては、磁石40に防錆処理を施し、エンコーダIC41は、図2(a),(b)に示すように、電気回路が水に濡れてショートしないように、シリコン樹脂Sで覆い防水処理を施している。これにより、検出センサ4を浸水させても、磁石40が錆びてしまい、エンコーダIC41がショートしてしまう事態を防止することができる。なお、磁石40に防錆処理を施すにあたっては、磁石40が磁化する前に防錆処理を施しても良く、磁石40は磁化した後に防錆処理を施しても良い。
【0030】
ところで、上記説明した磁石40と、エンコーダIC41とは、非接触となっている。そのため、エンコーダIC41の防水処理が容易となる。なお、エンコーダIC41が配置固定されている基板42は、モータケース20内に取り付け固定されている。
【0031】
また、エンコーダIC41は、1つのエンコーダIC41のみで、ブラシレスDCモータ2の転流(コミュテーション)と、角度制御を行うことができるため、センサを最小限にすることができ、これによって、防水が必要なセンサを最小限にすることができる。
【0032】
したがって、以上説明した本実施形態によれば、ブラシレスDCモータ2に耐水処理が施され、さらに、検出センサ4も、耐水処理が施され、減速機3と軸受5は、潤滑油不要で、且つ、浸水可能な材料で形成されているから、OリングやVリングなどの防水シーリング材を用いなくとも、水没型ギヤードサーボモータ1を浸水させることが可能となる。これにより、防水シーリング材が不要となるため、ブラシレスDCモータ2の電流から推定したトルクの精度が高くなり、さらに、摩擦ロスも少なくなる。それゆえ、水没型ギヤードサーボモータ1をロボットに適用すれば、従来のように、防水シーリング材と減速機の両方の摩擦の影響を受け、ロボットの関節が固くなってしまうという事態を防止することができる。それゆえ、ロボットの水中での接触作業が可能となり、さらに、水中環境での水没型ギヤードサーボモータ1の角度・角速度・トルク制御が可能となる。なお、水没型ギヤードサーボモータ1をロボットアームに適用すると、手先などの位置・速度・力制御が実現可能となる。
【0033】
また、本実施形態によれば、防水シーリング材が不要となるため、従来に比べ、水没型ギヤードサーボモータ1を大幅に小型化することができる。
【0034】
さらに、本実施形態によれば、水没型ギヤードサーボモータ1を浸水させることによって、防水シーリング材がないため、内部に水が浸入する。これにより、ブラシレスDCモータ2が自然冷却され、ブラシレスDCモータ2に流せる電流の限界値が大幅に増加し、もって、トルクが増大することとなる。
【0035】
またさらに、本実施形態によれば、減速機3が直接水に触れることになるため、減速機3も自然冷却され、もって、減速機3の熱による変形を防止することができる。
【0036】
かくして、このような水没型ギヤードサーボモータ1は、水中で利用可能であるため、多湿環境、多雨環境、キッチン、プール、水を使用する工場など、多岐に渡って利用することができる。
【0037】
<変形例の説明>
なお、本実施形態において示した形状等はあくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、減速機3を高分子材料からなる樹脂で形成するようにしたが、それに限らず、潤滑油不要で、且つ、浸水可能な材料であればどのような材料でも良い。例えば、潤滑油が不要であればステンレス製でも良い。
【0038】
また、本実施形態においては、軸受5をセラミックで形成する例を示したが、それに限らず、潤滑油不要で、且つ、浸水可能な材料であればどのような材料でも良い。例えば、潤滑油が不要であれば金属製でも良い。
【0039】
また、本実施形態においては、エンコーダIC41の防水処理としてシリコン樹脂Sで覆う例を説明したが、防水できればどのようなものでも良く、例えば、エポキシ樹脂でも良い。
【符号の説明】
【0040】
1 水没型ギヤードサーボモータ
2 ブラシレスDCモータ
22 回転軸
3 減速機
4 検出センサ
40 磁石
41 エンコーダIC
5 軸受

図1
図2