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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170759
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】建具装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/22 20060101AFI20231124BHJP
   E06B 3/36 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E06B7/22 F
E06B3/36
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082759
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】野月 雄太
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014DA05
2E014DB01
2E014DB05
2E036AA02
2E036BA01
2E036DA02
2E036EA02
2E036EB06
2E036EB10
2E036HA02
2E036HB15
(57)【要約】
【課題】 閉鎖性の低下を防ぐ。
【解決手段】 建具装置であって、枠体30には、開閉体の戸尻側の裏面に対向して上下方向へわたる受部31aと、前記開閉体の戸尻側端部に対向する開閉体端部対向面31bとが設けられ、受部31aには、前記開閉体の裏面に対し上下方向へわたって圧接される縦方向弾性気密材35が設けられ、前記開閉体の下端側には、下方へ突出して枠体30の下枠部材34に対し横方向へわたって圧接される下側横方向弾性気密材13が設けられ、開閉体端部対向面31bには、縦方向弾性気密材35の近傍で、下枠部材34に接触するとともに、下側横方向弾性気密材13の端部にも接触するように、弾性を有する補助気密材36が設けられている。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉回動可能に支持された開閉体と、前記開閉体を囲む枠体とを備えた建具装置において、
前記枠体には、前記開閉体の戸尻側の裏面に対向して上下方向へわたる受部と、前記開閉体の戸尻側端部に対向する開閉体端部対向面とが設けられ、
前記受部には、前記開閉体の裏面に対し上下方向へわたって圧接される縦方向弾性気密材が設けられ、
前記開閉体の下端側には、下方へ突出して前記枠体の下枠部材に対し横方向へわたって圧接される下側横方向弾性気密材が設けられ、
前記開閉体端部対向面には、前記縦方向弾性気密材の近傍で、前記下枠部材に接触するとともに、前記下側横方向弾性気密材の端部にも接触するように、弾性を有する補助気密材が設けられていることを特徴とする建具装置。
【請求項2】
前記補助気密材は、前記開閉体の戸尻側の端部と、該端部に対向する前記開閉体端部対向面との間に挟まれるように設けられていることを特徴とする請求項1記載の建具装置。
【請求項3】
戸先側端部を対向させて横幅方向の一方側と他方側に開閉回動可能に支持された第一の開閉体及び第二の開閉体と、これら第一の開閉体及び第二の開閉体を囲む枠体とを備えた建具装置において、
前記第一の開閉体の戸先側には、前記第二の開閉体の戸先側の裏面に対向して上下方向へわたる受部と、前記第二の開閉体の戸先側端部に対向する開閉体端部対向面とが設けられ、
前記受部には、前記第二の開閉体の裏面に対し上下方向へわたって圧接される縦方向弾性気密材が設けられ、
さらに前記受部には、前記縦方向弾性気密材に並設されて前記第二の開閉体の裏面に圧接するとともに、前記枠体の上枠部材又は下枠部材に接触するように、補助気密材が設けられることを特徴とする建具装置。
【請求項4】
前記第一の開閉体の下端側には、下方へ突出して前記枠体の下枠部材に対し横方向へわたって圧接される下側横方向弾性気密材が設けられ、
前記第二の開閉体の下端側には、下方へ突出して前記下枠部材に対し横方向へわたって圧接される下側横方向弾性気密材が設けられ、
前記第一の開閉体の下側横方向弾性気密材と前記第二の開閉体の下側横方向弾性気密材は、対向する端部同士を接触することを特徴とする請求項3記載の建具装置。
【請求項5】
開閉回動可能に支持された開閉体と、前記開閉体を囲む枠体とを備えた建具装置において、
前記枠体を構成する縦枠部材には、前記開閉体の裏面に対向して上下方向へわたる受部と、前記開閉体の横幅方向端部に対向する開閉体端部対向面とが設けられ、
前記受部には、閉鎖状態の前記開閉体の裏面に対し上下方向へわたって圧接される縦方向弾性気密材が設けられ、
さらに前記受部には、前記縦方向弾性気密材に並設されて前記開閉体の裏面に圧接するとともに、前記枠体の上枠部材又は下枠部材に接触するように、補助気密材が設けられることを特徴とする建具装置。(図13参照)。
【請求項6】
前記補助気密材は、前記縦方向弾性気密材に接触していることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の建具装置。
【請求項7】
前記補助気密材は、弾性的に収縮させた拡径部を、装着対象物に設けられた貫通状の嵌合孔に挿通し復元させて固定されていることを特徴とする請求項1記載の建具装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば片開きの扉や、両開き扉、親子扉等、一端側を支点にして回動する扉体により開口部を開閉する建具装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、開口部を囲む枠体と、一端側を支点にして回動することで前記開口部を開閉する扉体とを備えた扉装置がある。この扉装置では、前記枠体に設けた上下方向の溝(嵌合凹部)内に、弾性材料からなる気密材を縦方向にわたって設け、この気密材を、閉鎖状態の扉体の裏面や角部分等に圧接するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-85239公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、扉体の上下端部と、該端部に対向する枠部材との間には、扉体の開閉回動を容易にするための隙間がある。このため、この隙間の部分で音漏れを生じて、遮音性能が低下する場合がある。特に、前記扉体の下端側や上端側においては、前記気密材の汚れやへたり、損傷等を生じ易いので、前記隙間が大きくなり、遮音性や気密性、水密性、光もれ等、閉鎖性の低下を生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
開閉回動可能に支持された開閉体と、前記開閉体を囲む枠体とを備えた建具装置において、前記枠体には、前記開閉体の戸尻側の裏面に対向して上下方向へわたる受部と、前記開閉体の戸尻側端部に対向する開閉体端部対向面とが設けられ、前記受部には、前記開閉体の裏面に対し上下方向へわたって圧接される縦方向弾性気密材が設けられ、前記開閉体の下端側には、下方へ突出して前記枠体の下枠部材に対し横方向へわたって圧接される下側横方向弾性気密材が設けられ、前記開閉体端部対向面には、前記縦方向弾性気密材の近傍で、前記下枠部材に接触するとともに、前記下側横方向弾性気密材の端部にも接触するように、弾性を有する補助気密材が設けられていることを特徴とする建具装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、閉鎖性の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る建具装置の一例を示す正面図である。
図2図1における(II)部の拡大図である。
図3図1における(IIIa)部及び(IIIb)部の拡大図である
図4】(a)は図2における(IVa)-(IVa)線に沿う断面図、(b)は図2における(IVb)-(IVb)線に沿う断面図である。
図5図2における(V)-(V)線に沿う断面図である。
図6】縦枠部材の下端側の構造を示す斜視図である。
図7図3における(VII)-(VII)線に沿う断面図である。
図8図3における(VIII)-(VIII)線に沿う断面図である。
図9】第一の開閉体と第二の開閉体の召し合わせ部分の構造を示す斜視図である。
図10図3における(IX)-(IX)線に沿う断面図である。
図11】補助気密材の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図12】補助気密材の他例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図である。
図13図12の補助気密材を示す斜視図である。
図14】本発明に係る建具装置の他例を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明に係る実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本明細書中、「見付け方向」とは、枠体の横幅方向(図1の左右方向)を意味する。また、「見込み方向」とは、「見付け方向」に略直交する方向であって枠体の厚さ方向を意味する。
また、「枠内側」とは、枠体の内側を示し、「枠外側」とは、枠体30の外側を示す。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係る建具装置の一例を示す。
この建具装置Aは、横幅方向の一方側と他方側で開閉回動可能に支持された第一の開閉体10及び第二の開閉体20と、これら第一の開閉体10及び第二の開閉体20を四方から囲む枠体30とを備え、両開き(観音開きとも称す)タイプの扉装置を構成している。
【0010】
枠体30は、横幅方向に間隔を置いた左右の縦枠部材31,32と、これら縦枠部材31,32の上端部間にわたる上枠部材33と、縦枠部材31,32の下端部間にわたる下枠部材34とを備え、第一の開閉体10及び第二の開閉体20によって開閉される開口部を四方から囲むようにして、矩形枠状に構成される。
【0011】
縦枠部材31には、閉鎖状態の第一の開閉体10の戸尻側の裏面に対向して上下方向へわたる受部31aと、閉鎖状態の第一の開閉体10の戸尻側端部に対向する開閉体端部対向面31bとが設けられる(図5及び図6参照)。
【0012】
受部31aには、閉鎖状態の第一の開閉体10の裏面(図示例によれば、屋内側の面)に対し上下方向へわたって圧接されるように、縦方向弾性気密材35が設けられる。
縦方向弾性気密材35は、弾性材料(例えば、ゴムやエラストマー樹脂等)からなる中空の長尺状部材である。この縦方向弾性気密材35の下端部は、下枠部材34に接触する。
この縦方向弾性気密材35は、受部31aから開閉体開放方向側(図示例によれば屋外側)へ突出しており、その突出部分を、全閉時における第一の開閉体10の裏面に圧接する。
【0013】
開閉体端部対向面31bの下端側には、平板状の補助気密材36が、接着剤を介して接着固定される。
この補助気密材36は、閉鎖状態の第一の開閉体10の戸尻側の端部と、該端部に対向する開閉体端部対向面31bとの間に挟まれるように位置する。そして、この補助気密材36は、縦方向弾性気密材35の下端側と、下枠部材34と、後述する下側横方向弾性気密材13の戸尻側端部との三部位に接触している(図6参照)。
【0014】
同様にして、他方の縦枠部材32側にも、受部、開閉体端部対向面、縦方向弾性気密材、及び補助気密材等(図示せず)が設けられる。
【0015】
第一の開閉体10は、枠体30内の開口部の一方の片半部側(図示例によれば左半部側)を覆う開閉体本体11と、開閉体本体11から下方へ出没する下側横方向弾性気密材13とを一体的に有する。
【0016】
開閉体本体11は、金属製の表板と裏板をこれらの内側の骨材等により支持してなり、適度な厚みを有する正面視矩形状に形成される。
この開閉体本体11の戸尻側は、枠体30の一方の縦枠部材31に対し、複数のヒンジ15を介して回転自在に支持される。
また、この開閉体本体11の戸先側には、受部12及び開閉体端部対向面11a(図示例によれば、開閉体本体11の戸先面)が構成される。
【0017】
受部12は、開閉体本体11の裏面側にて戸先方向へ突出するとともに、上下方向へわたって延設されており、閉鎖状態の第二の開閉体20の裏面に対向する。
【0018】
この受部12の表面側(図8によれば屋外側)には、上下方向へ連続する溝12aが設けられ、この溝12a内に縦方向弾性気密材41が嵌め合わせられる。
さらに、受部12の表面側において、縦方向弾性気密材41よりも第一の開閉体10側には、上下方向へ連続する平坦部12bが設けられ、この平坦部12bの上端側と下端側に補助気密材51,52が設けられる。
【0019】
縦方向弾性気密材41は、上記した縦方向弾性気密材35と同材料からなる長尺状の部材であり、その上端部と下端部がそれぞれ上枠部材33と下枠部材34に接触する(図7参照)。
この縦方向弾性気密材41は、受部12から開閉体開放方向側(図示例によれば、屋外側)へ突出しており、その突出部分を、全閉時における第二の開閉体20の裏面に対し、上下方向へわたって圧接する(図8参照)。
【0020】
なお、図7中、符号42は、上枠部材33の横方向の溝に嵌め合わせられた横方向弾性気密材である。この横方向弾性気密材42は、第一の開閉体10と第二の開閉体20に跨るように横方向へ連続しており、第一の開閉体10及び第二の開閉体20の上端側の角部分に圧接される。
【0021】
補助気密材51,52は、上記した補助気密材36と同材料からなる平板状の部材であり、受部12の平坦部12bに対し接着材(例えば両面テープや接着剤等)を介して接着固定される(図8参照)。
【0022】
上側の補助気密材51は、縦方向弾性気密材41に並設されて第二の開閉体20裏面の戸先寄りに圧接するとともに(図8参照)、枠体30を構成する上枠部材33に接触する(図7参照)。
【0023】
下側の補助気密材52は、補助気密材51と同様に、縦方向弾性気密材41に並設されて第二の開閉体20裏面の戸先寄りに圧接するとともに(図10参照)、枠体30を構成する下枠部材34に接触する(図7参照)。
この補助気密材52は、後述する左右二つの下側横方向弾性気密材13,23の突合せ部分を、その屋外側で横方向へ跨るように、横幅方向の位置が設定される(図10参照)。
【0024】
下側横方向弾性気密材13は、閉鎖状態の第一の開閉体10における開閉体本体11の下端から突出して、下枠部材34に対し横幅方向へわたって圧接される。
この下側横方向弾性気密材13は、弾性材料(例えば、ゴムやエラストマー樹脂等)から略水平方向へわたる長尺状に形成される。
この下側横方向弾性気密材13は、第一の開閉体10下端側の出没機構14(図4(b)参照)により、開閉体本体11の下端から出没する。
また、この下側横方向弾性気密材13は、開閉体本体11から下方へ突出した状態において、両端部を開閉体本体11から横方向へ突出する。
【0025】
出没機構14は、第一の開閉体10の閉鎖動作に連動して下側横方向弾性気密材13を下方へ突出させるように構成される。この出没機構14は、例えば、開閉体本体11の戸尻側端部から突出する操作部が、第一の開閉体10が全閉する際に縦枠部材31に押されることで、下側横方向弾性気密材13を下方へ突出させるようにした機構等とすればよい。
【0026】
下側横方向弾性気密材13の戸尻側端部は、第一の開閉体10の全閉状態にて、縦枠部材31側の補助気密材36に接する(図2及び図6参照)。
同下側横方向弾性気密材13の戸先側端部は、第一の開閉体10及び第二の開閉体20の全閉状態にて、第二の開閉体20側の下側横方向弾性気密材23における戸先側端部に接する(図10参照)。
【0027】
また、第二の開閉体20は、閉鎖時に枠体30内の開口部の他方の片半部側(図示例によれば右半部側)を覆う開閉体本体21と、開閉体本体11から下方へ出没する下側横方向弾性気密材23とを一体的に有する(図10参照)。
【0028】
開閉体本体21は、金属製の表板と裏板をこれらの内側の骨材等により支持してなり、適度な厚みを有する正面視矩形状に形成される。
この開閉体本体21の戸尻側は、枠体30の他方の縦枠部材32に対し、複数のヒンジ15を介して回転自在に支持される。
この開閉体本体21の戸先側には、開閉体本体21との隙間を屋外側から覆い隠すように、上下方向へわたる長尺片状の覆片部22が設けられる。
【0029】
この開閉体本体21の戸先側における屋内側の面は、平坦状の面であり、第一の開閉体10戸先側の縦方向弾性気密材41及び補助気密材51に圧接される(図8及び図10参照)。
【0030】
下側横方向弾性気密材23は、閉鎖状態の第二の開閉体20における開閉体本体21の下端から突出して、下枠部材34に対し横幅方向へわたって圧接される。
この下側横方向弾性気密材23は、下側横方向弾性気密材13と略同様に、弾性材料によって略水平方向へわたる長尺状に形成され、第二の開閉体20下端側の出没機構(図示せず)により、開閉体本体21の下端から出没する。
この下側横方向弾性気密材23は、開閉体本体21から下方へ突出した状態において、両端部を開閉体本体21から横方向へ突出する。
【0031】
したがって、第一の開閉体10及び第二の開閉体20の閉鎖状態において、下側横方向弾性気密材23の戸尻側端部は、縦枠部材32下端側の補助気密材(図示せず)に接触する。そして、第一の開閉体10の下側横方向弾性気密材13と第二の開閉体20の下側横方向弾性気密材23は、対向する端部同士を接触する。
【0032】
<作用効果>
よって、上記構成の建具装置Aによれば、全閉状態において、第一の開閉体10の戸尻側の下端側と枠体30の間(図1の(II)部分)では、開閉体端部対向面31bに固定された補助気密材36が、縦方向弾性気密材35、下枠部材34及び下側横方向弾性気密材13に接触する(図2図4図6参照)。
このため、特に、汚れやへたり損傷等を生じる可能性が高い縦方向弾性気密材35の下端側において、音漏れや、光もれ、空気漏れ、水漏れ等の要因となる隙間が発生するのを防いで、閉鎖性を向上することができる。
第二の開閉体20の戸尻側の下端側と枠体30の間についても、同様の作用効果を得ることができる。
【0033】
また、全閉状態において、第一の開閉体10及び第二の開閉体20の戸先側の上端側(図1の(IIIa)部分)では、補助気密材51が、縦方向弾性気密材41、開閉体本体21、及び上枠部材33に接触する(図7図8及び図9参照)。
また、第一の開閉体10及び第二の開閉体20の戸先側の下端側(図1の(IIIb)部分)では、補助気密材52が、縦方向弾性気密材41、開閉体本体21、及び下枠部材34に接触し、さらに、両側の下側横方向弾性気密材13,23が端部同士を接触する(図10参照)。
このため、特に、汚れやへたり損傷等を生じる可能性が高い縦方向弾性気密材41の上下端側において、音漏れや、光もれ、空気漏れ、水漏れ等の要因となる隙間が発生するのを防いで、閉鎖性を向上することができる。
【0034】
なお、製造ばらつき等に起因して、下側横方向弾性気密材13と下側横方向弾性気密材23の間には若干の隙間が生じる可能性があるが、このような場合でも、この隙間の屋内側に位置する補助気密材51によって光もれや音漏れ等を軽減する効果がある(図10参照)。
【0035】
<変形例>
なお、上記実施形態によれば、第一の開閉体10と第二の開閉体20の戸先側間について、補助気密材51,52による上記気密構造を適用したが、他例としては、図14に示すように、開閉体10’の戸先側と縦枠部材31’に対し、補助気密材51,52による上記気密構造を適用することも可能である。
図14に示す建具装置は、開閉回動可能に支持された開閉体10’と、この開閉体10’を囲む枠体30’とを備えた片開式の扉装置である。
【0036】
開閉体10’は、戸尻側が図示しない他方の縦枠部材に枢支されて、戸先側を開閉回動するように構成される。
枠体30’を構成する戸先側の縦枠部材31’には、閉鎖状態の開閉体10’の裏面に対向して上下方向へわたる受部31a’と、開閉体10’の横幅方向端部(図示例によれば戸先側端部)に対向する開閉体端部対向面31b’とが設けられる。
【0037】
受部31a’の表面側には、上記第一の開閉体10の戸先側部分と同様に、溝31a1’及び平坦部31a2’が設けられる。溝31a1’には、上下方向へわたって縦方向弾性気密材41が嵌め合わせられる。平坦部31a2’には、その上端側と下端側に、それぞれ、補助気密材51,52が固定される。
【0038】
上端側の補助気密材51は、縦方向弾性気密材41の上端側に並設されて開閉体10’裏面の戸尻寄りに圧接するとともに、枠体30’を構成する上枠部材(図示せず)に接触する。
【0039】
下端側の補助気密材52は、縦方向弾性気密材41の下端側に並設されて開閉体10’裏面の戸尻寄りに圧接するとともに、枠体30’を構成する下枠部材(図示せず)に接触する。
なお、開閉体10’と縦枠部材31’の間の下端側には、図示を省略するが、上記構成の補助気密材36及び下側横方向弾性気密材13等を設けることも可能である。
【0040】
よって、図14に示す実施形態においても、特に、汚れやへたり損傷等を生じる可能性が高い縦方向弾性気密材41の上下端側において、音漏れや、光もれ、空気漏れ、水漏れ等の要因となる隙間が発生するのを防いで、閉鎖性を向上することができる。
【0041】
なお、図14に示す態様では、縦方向弾性気密材41及び補助気密材51等による気密構造を戸先側に構成したが、他例としては、同様の気密構造を戸尻側に構成することも可能である。
【0042】
また、上記実施態様によれば、補助気密材36(又は51,52)を、上記した開閉体端部対向面又は受部等に対し、接着材を介して接着したが(図11参照)、補助気密材36(又は51,52)の他例としては、図12及び図13に示す補助気密材36’のように、開閉体端部対向面又は受部等に対し嵌合固定するようにしてもよい。
【0043】
補助気密材36’は、矩形平板状の弾性本体部36a’と、この弾性本体部36a’の裏面側に接合された嵌合部36b’とから構成される。
【0044】
弾性本体部36a’は、ゴムやエラストマー樹脂等の弾性材料(例えば、スポンジ状のEPDM)から形成される。
【0045】
嵌合部36b’は、弾性本体部36a’に接合された板状部36b1’と、この板状部36b1’から突出する括れ部36b2’と、この括れ部36b2’の突端側で側面視矢印状(逆三角錐状)に拡径した拡径部36b3’とを一体に有する。
この嵌合部36b’は、弾性本体部36a’よりも硬度の高い弾性材料(例えば、スポンジ状ではないソリッド状のEPDM等)から形成される。
【0046】
一方、開閉体端部対向面等の装着対称物(図12中、二点鎖線で示す部分)には、貫通状の嵌合孔31b1が設けられる。
上記構成の補助気密材36’は、拡径部36b3’を弾性的に収縮させて嵌合孔31b1に挿通し復元させ、括れ部36b2’を嵌合孔31b1に嵌め合わせることで、被冠合面に対ししっかりと固定される(図12(b)参照)。
【0047】
なお、図12に示す一例によれば、拡径部36b3’を逆三角錐状に形成することで、嵌合孔31b1への装着作業性及び装着強度等を向上しているが、この拡径部36b3’の他例としては、円錐台状(側面視台形状)や、円柱状、側面視楕円状等、図示例以外の形状にすることが可能である。
【0048】
なお、上記実施形態によれば、補助気密材36,36’,51,52の各々を上下方向において部分的に設けたが、他例としては、この補助気密材を開閉体の下端から上端にわたって連続する長尺状に形成することも可能である。
【0049】
また、上記実施形態によれば、開閉体を開閉回動する扉装置を構成したが、上記建具装置Aの基本構造は、折戸装置や、バランスドア等、窓装置等、開閉回動する開閉体を備えた建具装置に適用することが可能である。
【0050】
また、本発明は上述した具体的構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【0051】
<総括>
以上のとおり、上記実施形態では以下の発明を開示している。
(1)
開閉回動可能に支持された開閉体と、前記開閉体を囲む枠体とを備えた建具装置において、前記枠体には、前記開閉体の戸尻側の裏面に対向して上下方向へわたる受部と、前記開閉体の戸尻側端部に対向する開閉体端部対向面とが設けられ、前記受部には、前記開閉体の裏面に対し上下方向へわたって圧接される縦方向弾性気密材が設けられ、前記開閉体の下端側には、下方へ突出して前記枠体の下枠部材に対し横方向へわたって圧接される下側横方向弾性気密材が設けられ、前記開閉体端部対向面には、前記縦方向弾性気密材の近傍で、前記下枠部材に接触するとともに、前記下側横方向弾性気密材の端部にも接触するように、弾性を有する補助気密材が設けられていることを特徴とする建具装置(図6参照)。
(2)
前記補助気密材は、前記開閉体の戸尻側の端部と、該端部に対向する前記開閉体端部対向面との間に挟まれるように設けられていることを特徴とする(1)に記載の建具装置(図2参照)。
(3)
戸先側端部を対向させて横幅方向の一方側と他方側に開閉回動可能に支持された第一の開閉体及び第二の開閉体と、これら第一の開閉体及び第二の開閉体を囲む枠体とを備えた建具装置において、前記第一の開閉体の戸先側には、前記第二の開閉体の戸先側の裏面に対向して上下方向へわたる受部と、前記第二の開閉体の戸先側端部に対向する開閉体端部対向面とが設けられ、前記受部には、前記第二の開閉体の裏面に対し上下方向へわたって圧接される縦方向弾性気密材が設けられ、さらに前記受部には、前記縦方向弾性気密材に並設されて前記第二の開閉体の裏面に圧接するとともに、前記枠体の上枠部材又は下枠部材に接触するように、補助気密材が設けられることを特徴とする建具装置(図7図9参照)。
(4)
前記第一の開閉体の下端側には、下方へ突出して前記枠体の下枠部材に対し横方向へわたって圧接される下側横方向弾性気密材が設けられ、前記第二の開閉体の下端側には、下方へ突出して前記下枠部材に対し横方向へわたって圧接される下側横方向弾性気密材が設けられ、前記第一の開閉体の下側横方向弾性気密材と前記第二の開閉体の下側横方向弾性気密材は、対向する端部同士を接触することを特徴とする(3)に記載の建具装置(図7及び図10参照)。
(5)
開閉回動可能に支持された開閉体と、前記開閉体を囲む枠体とを備えた建具装置において、前記枠体を構成する縦枠部材には、前記開閉体の裏面に対向して上下方向へわたる受部と、前記開閉体の横幅方向端部に対向する開閉体端部対向面とが設けられ、前記受部には、閉鎖状態の前記開閉体の裏面に対し上下方向へわたって圧接される縦方向弾性気密材が設けられ、さらに前記受部には、前記縦方向弾性気密材に並設されて前記開閉体の裏面に圧接するとともに、前記枠体の上枠部材又は下枠部材に接触するように、補助気密材が設けられることを特徴とする建具装置(図13参照)。
(6)
前記補助気密材は、前記縦方向弾性気密材に接触していることを特徴とする(1)~(5)いずれかに記載の建具装置(図8図10及び図13参照)。
(7)
前記補助気密材は、弾性的に収縮させた拡径部を、装着対象物に設けられた貫通状の嵌合孔に挿通し復元させて固定されていることを特徴とする請求項1記載の建具装置(図12参照)。
【符号の説明】
【0052】
10:第一の開閉体
10’:開閉体
11a:開閉体端部対向面
12:受部
20:第二の開閉体
13,23:下側横方向弾性気密材
30:枠体
31,32:縦枠部材
31a,31a’:受部
31b,31b’:開閉体端部対向面
33:上枠部材
34:下枠部材
35:縦方向弾性気密材
36:補助気密材
A:建具装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14