(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170782
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】コーンバーワッカ
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
E01F13/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082807
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】399039719
【氏名又は名称】東日本電気エンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592141754
【氏名又は名称】株式会社ミツギロン
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】新國 英人
(72)【発明者】
【氏名】春日 達矢
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】森本 典志
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA11
2D101EA05
2D101FA12
2D101FA23
2D101FB13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】安全コーンから抜けにくいコーンバーワッカを提供する。
【解決手段】本発明は、安全コーンAに架け渡すコーンバー100の両端に設けられて、安全コーンAの先端に環装されるコーンバーワッカ10である。コーンワッカ10は、円環形をなすリング部1と、リング部1の径方向の外方へ突出する円筒状の基部2と、リング部1、及び基部2を連結する板状の連結部3とを備え、全体が弾性樹脂により一体成型されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全コーンに架け渡すコーンバーの両端に設けられて、前記安全コーンの先端に環装されるコーンバーワッカであって、
円環形をなすリング部と、
前記リング部の径方向の外方へ突出する円筒状の基部と、
前記リング部、及び前記基部を連結する板状の連結部と
を備え、
全体が弾性樹脂により一体成型されていることを特徴とするコーンバーワッカ。
【請求項2】
前記リング部は、円筒状をなし、外周面に周方向に延びる凸条部を有する請求項1に記載のコーンバーワッカ。
【請求項3】
前記連結部は、前記リング部の軸方向を厚み方向とする板状をなし、幅方向の両端部に前記凸条部の上下方向の厚みより薄い肉薄部を備える請求項2に記載のコーンバーワッカ。
【請求項4】
前記連結部は、平面視における幅方向の両端縁が幅方向の内側に凹む湾凹線からなるとともに、リング部側から基部側に向かって前記基部の外径に等しくなるまで徐々に当該平面視における幅が狭くなる請求項3に記載のコーンバーワッカ。
【請求項5】
前記基部は、リング部側の端縁が底壁により閉塞されており、
前記連結部は、前記底壁から前記リング部まで貫通する貫通孔を有する請求項1に記載のコーンバーワッカ。
【請求項6】
前記連結部は、幅方向の中央に前記肉薄部より厚い肉厚部を備え、
前記肉厚部は、リング部側から基部側に向かって徐々に平面視における幅が狭くなる請求項3に記載のコーンバーワッカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、安全コーンに架け渡して用いるコーンバーの両端に設けられるコーンバーワッカに関し、特に安全コーンからの抜け落ちを抑制する構成を備えたコーンバーワッカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場等の立入り禁止区域では、人が通行する場所との境界に円錐形の安全コーンを並べ、隣接する安全コーン間にいわゆるコーンバーを架け渡して人の立入りを禁止するようにしている。
【0003】
かかるコーンバーは、安全コーンの先端に環装するリング部が硬質樹脂製であり、安全コーンに載置するのみの状態でかけ渡されるため、暴風や人の衝突等で安全コーンが倒れると、容易にコーンバーが外れてしまうという問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1では、安全コーンに設けた突起状のストッパーを、コーンバーワッカの内側に設けた凹部に通すようにして、コーンバーの抜け落ちを防止するようにしたコーンシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のコーンシステムは、安全コーンのストッパーをリング部内側の凹部に通したあと、安全コーンを捩じって回転させる手間がかかるという問題や、専用のストッパーを備えない通常の安全コーンは使えないという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、安全コーンに環装する手間がかからず、専用のストッパーを備えない通常の安全コーンを用いることが可能なコーンバーワッカの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた発明は、安全コーンに架け渡すコーンバーの両端に設けられて、前記安全コーンの先端に環装されるコーンバーワッカであって、円環形をなすリング部と、前記リング部の径方向の外方へ突出する円筒状の基部と、前記リング部、及び前記基部を連結する連結部とを備え、全体が弾性樹脂により一体成型されていることを特徴とする。
【0009】
本発明のコーンバーワッカは、弾性樹脂により一体成型したことにより、リング部を拡径すべく安全コーンに押し込むことで、リング部が収縮しようとする力により安全コーンを挟持して、リング部が安全コーンから抜け落ちることを抑制できる。また、連結部が弾性を有するので、安全コーンの傾きに合わせて、リング部を上下に揺動させたり、基部の軸周りに回動させたりできるため、リング部が安全コーンとともに傾動できないことによるリング部の安全コーンに対する弛みを抑制できる。
【0010】
前記リング部は、円筒状をなし、外周面に周方向に延びる凸条部を有することが好ましい。リング部が円筒状をなす場合は、安全コーンに環装する際にリング部が摩擦により捻じれて裏返る虞がある(
図7参照)。外周面に周方向に延びる凸条部を設けることで、リング部が裏返ることを抑制できる。
また、かかる凸条部を設けることで、これに指を掛けてリング部を押し下げることができるので、リング部に深く安全コーンを差し込むことができる。
【0011】
前記連結部は、前記リング部の軸方向を厚み方向とする板状をなし、平面視における幅方向の両端部に前記凸条部の上下方向の厚みより薄い肉薄部を備えることが好ましい。
こうすることで、連結部を厚み方向に折り曲げやすくして、リング部をより軸方向に揺動しやすくできる。
【0012】
前記連結部は、平面視における幅方向の両端縁が幅方向の内側に凹む湾凹線からなるとともに、リング部側から基部側に向かって前記基部の外径に等しくなるまで徐々に当該平面視における幅が狭くなることが好ましい。こうすることで、連結部を基部の軸周りに回動しやすくできる。
【0013】
前記基部は、リング部側の端縁が底壁により閉塞されており、前記連結部は、前記底壁から前記リング部まで貫通する貫通孔を有することが好ましい。こうすることで、さらに連結部を変形しやすくして、リング部の揺動範囲と回動範囲を広げることができる。
【0014】
前記連結部は、幅方向の中央に前記肉薄部より厚い肉厚部を備え、前記肉厚部は、リング部側から基部側に向かって徐々に平面視における幅が狭くなることが好ましい。連結部の幅方向の中央に両側の肉薄部より厚い肉厚部を設ける場合は、当該肉厚部の幅を基部側ほど狭くすることで、肉厚部を設けることにより、連結部が変形し難くなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明のコーンバーワッカによれば、安全コーンからの抜け落ちを効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一の実施形態に係るコーンバーワッカを用いたコーンバーの斜視図である。
【
図2】
図1に示したコーンバーワッカの平面図である。
【
図3】
図1に示したコーンバーワッカの正面図である。
【
図4】
図1に示したコーンバーワッカの右側面図である。
【
図6】
図1のコーンバーワッカを安全コーンに環装した様子を示す部分断面図である。
【
図7】リング部を安全コーンに環装する際に、リング部が摩擦により裏返る様子を示す説明図である。
【
図8】
図1に示したコーンバーワッカの連結部がリング部の回動により捻じれる様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0018】
図1、
図6は、本発明の一の実施形態に係るコーンバーワッカ10を両端に設けたコーンバー100を示している。コーンバー100は、工事現場等の危険区域への人の立入りを防止する等の目的で、隣接して並べられた安全コーンA,Aに架け渡して用いられ、
図1、
図6に示すように、直管状をなすバー9と、バー9の両端に嵌合、螺子止めされる一対のコーンバーワッカ10,10とを備えている。
【0019】
コーンバーワッカ10は、
図2、乃至
図5に示すように、円環形をなすリング部1と、リング部1の外周面からリング部1の径方向外方へ延出する円筒状の基部2と、リング部1、及び基部2を連結する板状の連結部3とを備え、全体が弾性樹脂により一体成型されている。
【0020】
コーンバーワッカ10を構成する弾性樹脂としては、リング部1が、人力で多少なりとも拡径可能であり、これにより弾性収縮力を生じるものであれば特に限定されず、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、シリコンゴム(SiQ)、天然ゴム等のゴム材料の他、熱可塑性エラストマー(TPE)等のゴム同等材料を適宜に用いることができる。コーンバーワッカ10を一体成型する際には、プレス加工が好ましいが、射出成型や、切削加工により成型してもよい。
【0021】
リング部1は、扁平の円筒形状に形成され、外周面における上下方向(
図3の上下方向)の中央に、全周に亘る凸条部11を備えている。
図6に示すように、凸条部11は、断面が外方へ突出する山形に形成されている。凸条部11の上下には、凸条部11が設けられた部分より肉薄の肉薄部12,12が設けられている。リング部1の内面13は、凹凸のない平滑な円筒形状をなし、これにより、リング部1は、内面13が安全コーンAの表面に密着するので、安全コーンAから抜けにくい。
【0022】
リング部1を安全コーンAに環装させる際には、リング部1の弾性による締め付け力を最大限に発揮させるため、なるべく深くリング部1に安全コーンAを差し込む必要がある。本実施形態のコーンバーワッカ10は、凸条部11に指を掛けることができるので、リング部1を十分に押し下げて、安全コーンAをより深くリング部1に差し込むことができる。
【0023】
また、
図7は、リング部201が扁平円筒状をなす一方で、凸条部11を備えない変形例を示しているが、当該変形例では、リング部201が凸条部11を備えないため、安全コーンAにリング部201を環装する際、摩擦によりリング部201が裏返ってしまう。
図1の実施形態のコーンバーワッカ10に係るリング部1では、
図6に示すように、凸条部11を備えるため、安全コーンAに環装する際のリング部1の裏返りを抑制できる。
【0024】
基部2は、
図2、
図3に示すように、円筒状の側壁21と、リング部1側の端縁を閉塞する底壁22とを備えたキャップ状をなし、側壁21を貫通する螺子孔23を有している。基部2は、
図6に示すように、バー9の端部に嵌合されて、螺子Bにより固定される。螺子Bの頭部は、円形凸条25内側の平坦部24に収容される。
【0025】
連結部3は、
図3に示すように、リング部1の軸方向(
図3の上下方向)を厚み方向とする板状に形成されている。連結部3は、
図2に示すように、幅方向(
図2の上下方向)の両端縁31,31が幅方向の内側へ湾入する湾曲線に形成され、基部2側(
図2の右側)程幅が狭くなる。また、連結部3は、幅方向の中央に設けられる肉厚部32と、肉厚部32の幅方向の外側に設けられる肉薄部33,33とを備えている。肉厚部32は、基部2側程平面視における幅が狭く、肉薄部33は、リング部1の凸条部11の高さ方向の幅よりも薄い。
連結部3がこのような形状を有することにより、リング部1は、連結部3を支点にして上下に揺動しやすく、基部2の軸周りに捻じれやすくなっている。
【0026】
連結部3は、
図5に示すように、底壁22の中心を通るようにして底壁22に連結されており、連結部3の肉厚部32の中心と、底壁22の中心を通るようにして貫通孔4が設けられている。貫通孔4によっても、リング部1は揺動や捻じれが容易になっている。
【0027】
コーンバー100のコーンバーワッカ10を安全コーンAの先端に環装する際には、
図6の2点鎖線で示したリング部1を伸ばすことなく安全コーンAに載置しただけの状態から、凸条部11に指を掛けてハッチングで断面を示した状態まで押し下げる。すると、リング部1は伸びて広がり、その収縮力により、安全コーンAを挟持する。これにより、コーンバーワッカ10の安全コーンAから抜け落ちが防止される。
【0028】
以上、本発明のコーンバーワッカは、上述した実施形態に限らず、例えば、リング部は円筒形でなくともよく、外面の凸条部がなくてもよい。連結部は、板状でなくてもよいし、肉厚部や肉薄部がなくてもよく、平面視における両端縁が湾凹線でなくてもよい。
【符号の説明】
【0029】
100 コーンバー
10 コーンバーワッカ
1 リング部
11 凸条部
2 基部
3 連結部
31 端縁
32 肉厚部
33 肉薄部
4 貫通孔
A 安全コーン