(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170796
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】飲料サーバ
(51)【国際特許分類】
B67D 1/04 20060101AFI20231124BHJP
B67D 3/04 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B67D1/04 F
B67D3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082828
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】平石 和弘
(72)【発明者】
【氏名】中谷 正樹
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB03
3E082CC01
3E082FF05
(57)【要約】
【課題】飲料容器の姿勢の変化に対して柔軟に対応することが可能な汎用性の高い飲料サーバを提供する。
【解決手段】飲料容器1の口部2に装着されるアダプタ11と、アダプタ11の飲料取出部に接続されたチューブ28を保持しかつ注出機構70を含んだヘッド12とを有する飲料サーバ10において、飲料容器1の口部2の開口方向とヘッド12の注出口12aからの飲料の注出方向とが鉛直面上でなす角度をヘッド傾斜角θbとしたときに、ヘッド傾斜角θbを変更できるように連結機構60にてヘッド12をアダプタ11に対して回転可能に連結し、ヘッド12をアダプタ11に対する回転範囲内の定位置にて固定ボルト62等の拘束手段にて拘束可能とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器の口部を覆うようにして前記飲料容器に装着され、当該飲料容器内にガスを導入するガス導入路と、前記飲料容器内の飲料を前記飲料容器外に露出する飲料の取出部まで導く飲料導出路とが設けられたアダプタと、
前記アダプタの前記取出部に接続された飲料注出用のチューブと、
前記飲料を注出口まで導く飲料注出路を有し、前記飲料注出路の少なくとも一部が前記取出部に接続されたチューブの内部流路によって構成されるヘッドと、
ユーザによって操作される操作部材を含み、当該操作部材の操作に応じて前記飲料の注出状態を切り替える注出機構と、
前記アダプタが装着された飲料容器を注出時の姿勢に保持した状態にて、前記飲料容器の前記口部の開口方向と前記ヘッドの前記注出口からの前記飲料の注出方向とが鉛直面上でなす角度をヘッド傾斜角としたときに、当該ヘッド傾斜角を変更できるように前記ヘッドを前記アダプタに対して回転可能に連結する連結手段と、
前記ヘッドを前記アダプタに対する回転範囲内の定位置にて拘束する拘束手段と、を備えた飲料サーバ。
【請求項2】
前記連結手段は、前記注出時の姿勢にて前記ヘッドが前記アダプタの下方でかつ水平方向に延びる回転軸線を中心として回転できるようにして前記ヘッドと前記アダプタとを連結する請求項1に記載の飲料サーバ。
【請求項3】
前記連結手段は、前記回転軸線の方向に隙間を空けて並ぶようにして前記アダプタに設けられた一対の支持部と、前記支持部間の前記隙間に挿入できるようにして前記ヘッドに設けられた回転部と、前記支持部と前記回転部との間を前記回転軸線の方向に沿って貫くように設けられた支軸と、を備えている請求項2に記載の飲料サーバ。
【請求項4】
前記アダプタを外側から覆うようにして当該アダプタに装着されるカバーをさらに備え、
前記アダプタの前記取出部は前記飲料容器外に管状に突出するように設けられ、
前記チューブは前記アダプタの前記取出部に対して外側から嵌め合わされ、
前記カバーは前記アダプタの互いに異なる範囲を覆う複数のカバー部品を組み合わせて構成され、
前記複数のカバー部品のそれぞれには、前記アダプタの前記取出部と前記チューブとの嵌め合わせ部分を外側から挟むチューブ押え部が設けられている請求項1に記載の飲料サーバ。
【請求項5】
前記注出機構が前記ヘッドに設けられている請求項1に記載の飲料サーバ。
【請求項6】
前記注出機構は、前記操作部材の操作に応じて前記チューブの押し込み量を変化させて前記飲料注出路を開閉するように設けられている請求項5に記載の飲料サーバ。
【請求項7】
前記チューブが前記飲料注出路の全長に亘って延ばされることにより、前記飲料注出路の全長が前記チューブの内部流路によって構成され、前記チューブの先端が前記注出口として機能する請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料サーバ。
【請求項8】
前記アダプタには、前記ガスの供給源と前記ガス導入路とを接続するためのガスチューブを接続可能なガス接続部が設けられている請求項1~6のいずれか一項に記載の飲料サーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料容器内の飲料を注出するための飲料サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の飲料を注出するためのシステムとして、金属製の飲料樽に装着されたスピアバルブにディスペンスヘッドを組み付けて飲料流路及びガス流路を開閉し、ディスペンスヘッドから取り出された飲料を別位置のタップ装置に導き、ユーザのタップ操作に応じて飲料の注出、泡付け又は注出停止を切り替えるタイプのディスペンスシステムが周知である。この種のシステムは、料飲店のように消費量が比較的大きい業務用として開発され、飲料樽もそのシステムでの利用に合わせた規格品、専用品として提供されている。一方、近年は、飲料の提供形態、あるいはユーザのニーズ等の多様化に対応して、従来のディスペンスシステムで利用される飲料樽とは異なる適宜の飲料容器、例えば容量が比較的小さく設定された樹脂製の飲料容器等に飲料サーバを適合させる試みがなされている。その種の飲料サーバとしては、PETボトル等の飲料容器に注出用の器具類を直接的に連結する一体型の飲料サーバが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。飲料容器に連結されるヘッドの一部を飲料容器の口部の軸線回りに相対的に回転可能な可動部品として設けることにより、その可動部品に設けられた注出口の位置を水平面内で変更可能とした飲料サーバも提案されている(例えば特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2021-503422号公報
【特許文献2】特表2021-509650号公報
【特許文献3】特開平10-101195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した一体型の飲料サーバの構成に関しては、飲料容器の容量や形状等の仕様、あるいは飲料サーバの使用形態といった事情に応じて種々のバリエーションが存在する。そのため、飲料の注出時、言い換えれば飲料サーバの使用時における飲料容器の姿勢も種々に変化する。例えば、口部が上を向くように飲料容器を立てる場合もあれば、口部を斜め上向き、あるいは斜め下向きとなるように飲料容器を傾けた状態で飲料サーバを使用する場合もある。一方、飲料の注出口は、グラス、ジョッキ等の飲用の容器に飲料を注ぐ必要から、下向きであることが前提となる。したがって、飲料容器の開口方向と注出口の方向との関係も、飲料容器がどのような姿勢に置かれるかに応じて変化する。しかしながら、ボトル等の飲料容器に注出用のヘッド等を連結する一体型の飲料サーバでは、飲料容器の開口方向と注出口の方向との関係が固定的に定められ、その関係を変化させることができない。したがって、飲料注出時の飲料容器の姿勢に対して注出口が適切な向きとなるように、ヘッド等の各種の部品を専用品的に設計する必要がある。このため、飲料サーバの汎用性が損なわれ、多種多様な製品展開を図る上で支障が生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は飲料容器の姿勢の変化に対して柔軟に対応することが可能な汎用性の高い飲料サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る飲料サーバは、飲料容器の口部を覆うようにして前記飲料容器に装着され、当該飲料容器内にガスを導入するガス導入路と、前記飲料容器内の飲料を前記飲料容器外に露出する飲料の取出部まで導く飲料導出路とが設けられたアダプタと、前記アダプタの前記取出部に接続された飲料注出用のチューブと、前記飲料を注出口まで導く飲料注出路を有し、前記飲料注出路の少なくとも一部が前記取出部に接続されたチューブの内部流路によって構成されるヘッドと、ユーザによって操作される操作部材を含み、当該操作部材の操作に応じて前記飲料の注出状態を切り替える注出機構と、前記アダプタが装着された飲料容器を注出時の姿勢に保持した状態にて、前記飲料容器の前記口部の開口方向と前記ヘッドの前記注出口からの前記飲料の注出方向とが鉛直面上でなす角度をヘッド傾斜角としたときに、当該ヘッド傾斜角を変更できるように前記ヘッドを前記アダプタに対して回転可能に連結する連結手段と、前記ヘッドを前記アダプタに対する回転範囲内の定位置にて拘束する拘束手段と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一形態に係る飲料サーバの外観を示す斜視図。
【
図2】飲料注出時の姿勢に保持した状態における飲料サーバの垂直断面図。
【
図3】飲料サーバの要部の外観を拡大して示す斜視図。
【
図5】アダプタを表面側から視た状態を示す斜視図。
【
図6】アダプタを裏面側から視た状態を示す斜視図。
【
図9】
図8のIX-IX線に沿ったアダプタの断面図。
【
図12】
図11のXII-XII線に沿ったパッキンの断面図。
【
図14】
図4のXIV-XIV線に沿った飲料サーバの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一形態に係る飲料サーバの全体構成を示している。飲料サーバ10は、飲料容器の一例としてのボトル1と組み合わされることにより、ボトル1から飲料を注出する用途に供される。ボトル1は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレートの略)樹脂製であって、その容量は家庭的又は個人的な消費、あるいは小規模の料飲店における消費に適するように、多くても数リットル程度に設定される。ただし、より容量が大きい飲料容器に適合するように飲料サーバ10が構成されてもよい。ボトル1に収容される飲料は適宜でよい。図示の例ではビール等の発泡性飲料が想定されている。
【0009】
ボトル1は、ケース、ホルダ等の適宜の保持手段に装着されることにより一定の姿勢に保持される。例えば、
図2に示したように、ボトル1はその口部2を上にして斜めに傾いた姿勢で保持される。注出時におけるボトル1の口部2の軸線Xaが水平面Hに対して傾く角度をボトル設置角θaとしたとき、ボトル設置角θaは一例として15°に設定される。ただし、ボトル設置角θaは適宜に変更されてよい。以下では、軸線Xaをボトル1の軸線と、軸線Xaの方向をボトル1の軸線方向とそれぞれ呼ぶことがある。軸線Xaの方向はボトル1の開口方向に相当する。
【0010】
飲料サーバ10は、ボトル1の口部2に装着されるアダプタ11と、アダプタ11に連結されるヘッド12と、アダプタ11とボトル1との連結部分を覆う概略円筒状のカバー13とを備えている。ボトル設置角θaが変化してもヘッド12の注出口12aを適切な方向に向けるため、ヘッド12はアダプタ11に対して回転軸線RXを中心に相対回転可能に連結される。回転軸線RXは、アダプタ11が装着されたボトル1を飲料の注出時の姿勢に保持したとき、概ね水平方向を向くように設定される。ヘッド12がアダプタ11に対して回転可能に連結されることにより、アダプタ11が装着されたボトル1を飲料注出時の姿勢に保持した状態にてボトル1の軸線Xaとヘッド12の注出口12aの軸線Xbとを含む鉛直面(
図2では紙面に相当する。)を仮想し、その鉛直面上にて軸線Xa、Xbがなす角度θbをヘッド傾斜角θbとしたとき、そのヘッド傾斜角θbは、ヘッド12の可動範囲(回転可能な範囲)内で変更可能である。注出口12aの軸線Xbの方向は、注出口12aから飲料が流出する方向であって、注出口12aの注出方向に相当する。
【0011】
図2では飲料の注出時における水平方向を紙面の左右方向と一致させた状態を示しているが、その他の図では、紙面の左右方向が水平方向と必ずしも一致しない場合がある。また、
図2では、注出口12aの注出方向を鉛直方向(紙面上の上下方向)に設定しているが、注出方向は必ずしも鉛直方向に設定されることを要しない。図示のヘッド傾斜角θbは一例であり、ヘッド傾斜角θbはボトル設置角θa及び飲料の望ましい注出方向に応じて適宜に変更されてよい。
【0012】
図3は、カバー13を取り外してアダプタ11及びヘッド12を露出させた状態を拡大して示し、
図4はその拡大部分の断面を示している。アダプタ11はボトル1の口部2を閉じ、かつヘッド12を支持する部品として設けられている。アダプタ11は一例として樹脂成形品である。ただし、アダプタ11はその一部に金属部品を含んでもよい。あるいは、アダプタ11の全体がステンレス鋼等の金属にて形成されてもよい。
【0013】
図5~
図9により詳しく示すように、アダプタ11は、ベース部20と、ベース部20から突出する一対の支持部21とを備えている。ベース部20は、ボトル1の口部2を閉じる蓋として機能する。ベース部20の裏面側(
図6において右側)には雌ねじ部22が形成されている。ボトル1の口部2の雄ねじ部3をベース部20の雌ねじ部22にねじ込むことにより、アダプタ11が口部2に装着される。ベース部20の裏面側には、カバー13を取り付けるための複数個所のねじ穴23が設けられている。
【0014】
図9によく示されているように、ベース部20には、ボトル1内に飲料注出用のガス、例えば炭酸ガス、を導入するガス導入路24と、ボトル1内の飲料をボトル1外に導く飲料導出路25とが設けられている。飲料導出路25はベース部20の中心線に沿って直線的に延ばされる。アダプタ11をボトル1に装着したとき、ベース部20の中心線はボトル1の軸線Xaと一致する。ベース部20の中心線上には、ボトル1側及びその反対側に突出するように管状部26が形成され、飲料導出路25は管状部26を貫くように形成されている。管状部26の両端部は、飲料導出路25に対する接続部26a、26bとして機能する。
図4に示したように、ボトル1側の接続部26aには、ボトル1内の飲料を吸い上げるためのダウンチューブ27が接続される。ボトル1外に突出する接続には、飲料をヘッド12側に導く飲料注出用のチューブ28が接続される。したがって、接続部26bは、ボトル1外に露出する飲料の取出部として機能する。
【0015】
ガス導入路24は、飲料導出路25から偏心した位置に設けられている。ガス導入路24の一端側は、雌ねじ部22の内側にてベース部20の裏面側に開口する。ガス導入路24の他端側は、ベース部20から突出するように設けられたガスポート29に開口する。
図1~
図3に示されているように、ガスポート29には、不図示のガス供給源と接続されたガスチューブ40がチューブ継手41を介して接続される。したがって、ガスポート29はガス接続部の一例として機能する。ガスポート29がアダプタ11に設けられているため、相対回転するヘッド12とアダプタ11との間に跨るようにガスの流路を設ける必要がなく、ガスの流路をシンプルに構成することができる。
【0016】
チューブ継手41は、双方向のガスの通過を許容する構造のものでよい。ガス供給源に戻る方向のガスの流れを阻止する逆止弁の機能をチューブ継手41及びガスポート29のいずれにも設ける必要はない。一方、ベース部20とボトル1の口部2との間には、飲料及びガスのボトル1外への漏れを阻止するためのパッキン42が設けられる。パッキン42は、その全体がシリコンゴム等の弾性材料(又はエラストマー)から構成された一体成形部品である。パッキン42の素材には、Oリング、シールリング等の汎用的なシール部品にて用いられる弾性材料すなわちシール用の素材として一般的に用いられる弾性材料が適宜に採用されてよい。
【0017】
図10~
図12に示すように、パッキン42は、概ね円盤状のシール部43と、シール部43の一方の面から突出する一対のガイド部44と、シール部43の中心線から偏心した位置に設けられた逆止弁部45とを備えている。シール部43の中心線上には貫通孔43aが形成され、シール部43の外周側にはフランジ43bが形成されている。さらに、フランジ43bの一方の面上には、フランジ43bよりも幾らか小径の円筒状の嵌合部43cが設けられている。
【0018】
貫通孔43aはアダプタ11のベース部20に設けられた管状部26を通すために必要な内径を有している。フランジ43bは、アダプタ11の雌ねじ部22の内側に挿入可能で、かつボトル1の口部2の外径と略等しい外径に形成される。また、嵌合部43cは、ボトル1の口部2の内周に適度に弾性変形した状態で嵌り合うように形成されている。したがって、アダプタ11の雌ねじ部22内にパッキン42を装着してその雌ねじ部22をボトル1の雄ねじ部3に締め込むと、フランジ43bがボトル1の口部2の外縁の端面とアダプタ11のベース部20とに全周に亘って密着するように挟まれるとともに、嵌合部43cが口部2の内周と全周に亘って密着する。それにより、口部2とアダプタ11との間が密封され(
図2参照)、ボトル1とアダプタ11との接合箇所からの飲料及びガスの漏れが阻止される。ガイド部44は、アダプタ11をボトル1に装着する際に、口部2内に挿入されてパッキン42の半径方向のずれを抑える。
【0019】
逆止弁部45は、シール部43からアダプタ11側に突出する接続部46と、その接続部46に連なるように設けられてシール部43よりもボトル1側に突出するテーパ部47とを備えている。接続部46及びテーパ部47は、いずれもパッキン42の一部としてシール部43等と一体成形される。したがって、逆止弁部45もその全体が弾性材料製である。
図4から明らかなように、接続部46はアダプタ11のガス導入路24の一端部に密着するようにして嵌め合わされる。したがって、接続部46の内部はガス導入路24に連なる。
【0020】
図10~
図12に示すように、テーパ部47は、ボトル1側に向かうに従って互いに徐々に接近するように傾斜した一対の扁平な壁部47aを有している。したがって、テーパ部47は、ボトル1に向かうに従って徐々に扁平となるようにその形状が変化する。テーパ部47のボトル1側における先端部にて、壁部47a間には、幅が狭い直線状のスリット47bがボトル1内に開口するように設けられている。要するに、テーパ部47は、一対の扁平な弾性体を、一方向からの圧力を受けて開き、他方からの圧力では閉じるように組み合わせたいわゆるリードバルブ状の構造である。パッキン42が装着されたアダプタ11をボトル1に取り付けたとき、スリット47bは雌ねじ部22の内側領域に位置している(
図4参照)。
【0021】
スリット47bは、ガス導入路24の圧力と、ボトル1内の圧力との差に応じて開閉する。すなわち、ガス導入路24の圧力がボトル1内の圧力よりも相対的に高い場合にはスリット47bが開いてガス導入路24とボトル1との間が開通するように壁部47aが弾性変形する。一方、ガス導入路24の圧力がボトル1内の圧力よりも相対的に低い場合にはスリット47bが閉じてガス導入路24とボトル1との間が閉鎖されるように壁部47aが弾性変形する。なお、逆止弁部45の内外の圧力に差がない状態を自然状態としたとき、その自然状態では壁部47aの弾性反発力でスリット47bが閉じるようにテーパ部47が形成されてもよいし、自然状態ではスリット47bが幾らか開くようにテーパ部47が形成されてもよい。後者の場合でも、ボトル1内にガスが導入されてその内圧が大気圧よりも上昇している状態でガス導入路24の圧力が大気圧以下まで低下すれば、ボトル1内の圧力で壁部47aを押し込んでスリット47bが閉じるように逆止弁部45を弾性変形させることが可能である。
【0022】
以上のパッキン42によれば、ガスポート29からガス導入路24にガスが導入されると、その圧力でスリット47bが開くように壁部47aが弾性変形してボトル1内へのガスの導入が可能となる。一方、ガス導入路24のガス圧力が低下する場合、例えばガスポート29からガスチューブ40が取り外される場合、あるいはガス供給源の圧力が低下し、あるいはガス供給源自体が交換される場合には、スリット47bが閉じるように壁部47aが弾性変形してガス導入路24とボトル1内との間が閉鎖される。したがって、ガスポート29からガスチューブ40が取り外される等の理由でガス導入路24の圧力が失われても、ボトル1からガス導入路24へガスが逆流してガスポート29からガスが漏れ出るおそれはない。また、ボトル1をガスによって加圧された状態で維持することが可能である。さらに、加圧状態のボトル1から飲料がガス導入路24に漏れ出るおそれもない。特に、逆止弁部45がガス導入路24よりもボトル1側に位置し、さらにスリット47bがボトル1側の先端に位置しているため、スリット47bが閉じれば、ガス導入路24はもとより逆止弁部45の内部にも飲料が侵入しない。よって、飲料がガス導入路24や逆止弁部45内に残留するおそれを完全に排除できる。
【0023】
このように、パッキン42は、ボトル1の口部2とアダプタ11との接合部分からの飲料及びガスの漏れを防ぐシール部品として機能するのみならず、逆止弁部45が一体成形されることにより、ガス導入路24へのガスの逆流や飲料の侵入を防ぐ機能をも担う。したがって、ガスポート29やチューブ継手41には逆止弁機能を付加する必要がない。それにより、部品点数や組み付け工数を削減してコストダウンを図ることが可能である。
【0024】
図5~
図7に戻って、アダプタ11の支持部21は、ベース部20の表側(
図4における左側)に突出するように設けられている。一対の支持部21は回転軸線RXの方向に一定の隙間Gを空けて互いに平行に並ぶように設けられている。支持部21は、アダプタ11が装着されたボトル1を飲料注出時の姿勢に置いたときに、ボトル1の軸線Xaよりも下方に位置するように設けられている。支持部21には回転軸線RXと同軸上に位置するようにして軸受孔30が設けられている。換言すれば、軸受孔30の軸線方向によって回転軸線RXが規定される。
図5及び
図7に示されているように、一方の支持部21(
図5では右側の支持部21)には、軸受孔30から偏心するようにしてボルト孔32が、他方の支持部21にはねじ孔33が設けられている。ボルト孔32及びねじ孔33は互いに同軸であって、かつその軸線は回転軸線RXと平行である。回転軸線RXがアダプタ11の下方に設定されているため、ボトル1を口部2が上向きとなるように傾けて保持した場合に、ヘッド12をその注出口12aが鉛直下方を向いた状態を挟んでアダプタ11の前後に回転させることができる。したがって、注出口12aの回転範囲を適正に設定することができる。
【0025】
支持部21の外周は、軸受孔30よりも下方及びベース部20側の領域において、軸受孔30と同心の円弧を描くように丸められている。一方、支持部21のヘッド12に臨む側面21aは、飲料注出時の姿勢において概ね上下方向に平面的に延ばされている。側面21aをこのような形状に形成することにより、ヘッド12側への支持部21の突出量を減少させてアダプタ11とヘッド12とが干渉する範囲を狭めることができる。
【0026】
図3及び
図4に示すように、ヘッド12は、回転部50と、その回転部50と連結される本体部51と、本体部51を覆うカバー52とを含んでいる。回転部50、本体部51及びカバー52は一例として樹脂成形品であるが、その一部に金属部品を含んでもよいし、全体がステンレス鋼等の金属にて形成されてもよい。
図4から明らかなように、ヘッド12の回転部50及び本体部51には、アダプタ11の接続部26bに接続されたチューブ28が挿入される。チューブ28はヘッド12内を通過して注出口12aまで延ばされる。それにより、チューブ28は、注出口12aまで適度に湾曲するようにしてヘッド12内で保持される。ヘッド12における飲料注出路53は、その全長に亘ってチューブ28の内部流路によって構成され、チューブ28の先端部が注出口12aとして機能する。ただし、飲料注出路53の途中までをチューブ28の内部流路によって構成し、注出口12aまでの飲料注出路53の残部を本体部51に形成してもよい。いずれにしても、飲料注出路53は、その少なくとも一部において、チューブ28の内部流路を含むように構成されていればよい。一方、アダプタ11の接続部26bからヘッド12の注出口12aまでの飲料注出路53の全長をチューブ28の内部流路にて構成した場合には、飲料注出路53内における飲料の流れを乱す要因となる段差や継ぎ目が飲料注出路53内に生じない。それにより、飲料注出の安定性を高めることができる。
【0027】
ヘッド12の回転部50は、フランジ54と、そのフランジ54と一体化された連結部55とを備えている。フランジ54は、アダプタ11の支持部21間の隙間Gに挿入される。連結部55には雄ねじ部55aが設けられている。一方、本体部51には、ナット56が相対回転可能に取り付けられている。ナット56を雄ねじ部55aに対してねじ込むことにより、回転部50と本体部51とが連結される。
【0028】
フランジ54には、支持部21の軸受孔30と同軸に位置することが可能な軸受孔57が形成されている。フランジ54が隙間Gに挿入された状態で、軸受孔30、57を貫くように支軸58が装着されることにより、回転部50と支持部21とが回転軸線RXの回りに相対回転可能に連結される。したがって、支持部21、回転部50及び支軸58の組み合わせにより、アダプタ11とヘッド12とを相対回転可能に連結する連結手段の一例としての連結機構60が構成される。アダプタ11とヘッド12との間は、チューブ28によって飲料の流路が構成される。アダプタ11に対してヘッド12を回転させても、ヘッド傾斜角θbに応じてチューブ28が弾性的に曲げ変形し、ヘッド12の回転に対してチューブ28が妨げとなるおそれはない。連結機構60では、一対の支持部21間に回転部50を配置し、それらを貫くように支軸58を設けているので、支軸58の両端側が支持部21にて支持される。それにより、ヘッド12の連結部分における支持剛性や安定性を高めることができる。
【0029】
フランジ54には、回転軸線RXを中心として概ね四半円弧状に延びる溝61が形成されている。溝61は、フランジ54を回転軸線RXの方向に貫通する。回転軸線RXを中心とした溝61の曲率半径は、アダプタ11における軸受孔30とボルト孔32との軸心間の距離に等しい。したがって、アダプタ11とヘッド12とを連結機構60にて連結した場合、溝61はアダプタ11のボルト孔32及びねじ孔33の軸線上に位置する。その状態で、ボルト孔32から溝61を貫いてねじ孔33に固定ボルト62がねじ込まれる。ボルト孔32は固定ボルト62の頭部を通過させることが可能な内径であり、固定ボルト62の頭部はフランジ54と直接に接触し、又はワッシャ等の介在部品を介して接触可能である。固定ボルト62が緩められた状態では、固定ボルト62が溝61内を相対的に移動してヘッド12がアダプタ11に対して相対的に回転し、それに伴ってヘッド傾斜角θb(
図2参照)が変化する。この場合の回転範囲は溝61の範囲に限定される。一方、固定ボルト62を締め込むと、フランジ54が固定ボルト62と一方の支持部21との間で締め付けられてアダプタ11に対するヘッド12の自由な回転が阻止される。これにより、ヘッド12をアダプタ11に対する回転範囲内における定位置に拘束することができる。したがって、固定ボルト62は拘束手段の一例として機能する。
【0030】
ヘッド12の本体部51には、飲料の注出状態、一例として、飲料の注出、泡付け及び注出停止を切り替えるための注出機構70が設けられている。注出機構70は、ユーザによって操作される操作部材の一例としての棒状のハンドル71と、ハンドル71の操作に応じてチューブ28の押し込み量を変化させる押し込み機構72とを備えている。
図13に拡大して示すように、ハンドル71はその基軸部71aが支軸73を介して本体部51に取り付けられることにより、支軸73を中心として回転操作可能である。押し込み機構72は、ハンドル71の基軸部71aに取り付けられた駆動ピン75と、本体部51に対して支軸76を中心として回転可能に取り付けられたフォロワ77と、基軸部71aの溝壁71b内に沿って摺動自在に設けられたスライダ78と、フォロワ77を駆動ピン75に押し付ける弾性反発力を発生するように圧縮された状態で本体部51とフォロワ77との間に配置されたコイルばね79とを備えている。
【0031】
図13は、ハンドル71が
図2及び
図3に示した位置にあるときの駆動ピン75、フォロワ77及びスライダ78を示している。この状態ではフォロワ77の支軸76を中心とした反時計方向の回転が駆動ピン75によって阻止され、スライダ78はフォロワ77に拘束されて摺動範囲の下端側に位置する。このとき、チューブ28はその内部流路が完全に閉じるようにスライダ78にて押し潰される。したがって、飲料は注出されない。つまり、
図2、
図3及び
図13は飲料の注出を停止している状態を示している。チューブ28は自然状態(無負荷状態)の断面形状を実線にて示しているが、実際には
図13に想像線で例示したように、スライダ78によって押し潰されるように変形する。
【0032】
一方、ハンドル71を前方(
図13において左方)に倒すと、駆動ピン75が支軸73を中心に反時計方向に変位し、それに伴って駆動ピン75がフォロワ77から離れて駆動ピン75によるフォロワ77の拘束が解除される。この場合、スライダ78がチューブ28の反発力を受けてフォロワ77を押し除けるように上方に移動し、チューブ28の押し込み量が減少してその内部流路が開通する。その結果、注出口12aから飲料が注出される。また、
図13の位置からハンドル71を後方に倒した場合には駆動ピン75が支軸73を中心に時計方向に変位する。支軸73と駆動ピン75との芯間距離が、支軸76から駆動ピン75とフォロワ77との接触位置までの距離よりも小さいため、駆動ピン75が時計方向に回転すると、フォロワ77は支軸76を中心として反時計方向に幾らか変位する。それにより、スライダ78が注出時よりも小さい範囲で上方に移動し、チューブ28の内部流路が僅かに開通する。その結果、飲料の泡が生成され、生成された泡が注出口12aから注出される。注出機構70はヘッド12側に設けられている。したがって、ヘッド12を回転させるとハンドル71を含む注出機構70の全体がヘッド12と一体に回転し、ヘッド12の注出口12aの向きを調整すると、それに合わせてハンドル71の向きも変化する。よって、ハンドル71の向きを注出口12aの向きに合わせて適正に設定することが可能である。
【0033】
図3及び
図4に戻って、ヘッド12のカバー52は、注出口12a、ナット56及びハンドル71を露出させつつ本体部51のほぼ全体を覆うようにして本体部51に取り付けられる。一方、アダプタ11は、
図1及び
図2に示した通りカバー13にて覆われるが、そのカバー13は、主としてアダプタ11のベース部20を覆うように設けられている。ベース部20の先端側、支持部21及びガスポート29はカバー13外に露出する。それらの露出部分を覆うため、アダプタ11にはさらなるカバー92が取り付けられる。
【0034】
図14に示したように、カバー92は、アダプタ11の互いに異なる範囲、一例として回転軸線RXの方向に関する一方の側と他方の側をそれぞれ覆うようにして組み合わされる一対のカバー部品93を備えている。カバー部品93には、アダプタ11のベース部20から突出する接続部26bを、その外側から覆うチューブ押え部93aが設けられている。カバー部品93を組み付けると、それらのチューブ押え部93aがチューブ28を接続部26bの外周に押し付ける。それにより、チューブ28を接続部26bに拘束する作用が生じてチューブ28が抜け止めされる。アダプタ11に対してカバー92を固定する手段としては、例えば止めねじ等の固定部材を利用する構造、あるいはカバー部品93同士、又はアダプタ11とカバー部品93とを部分的に弾性変形させて結合するスナップフィット構造等が適宜に用いられてよい。なお、
図3に示すように、カバー92には、ナット56の端面と僅かな隙間を隔てて対向しつつ円環状に延びるリム部92aが形成されている。リム部92aは、ナット56と干渉することによってアダプタ11に対するヘッド12の回転を制限することが可能である。したがって、ヘッド12を回転範囲内の定位置に固定する固定ボルト62が仮に緩んだ場合でも、ヘッド12がアダプタ11に対して自由自在に回転するおそれはない。
【0035】
なお、アダプタ11とヘッド12とを連結するための支軸58は、カバー部品93と一体化されてもよい。例えば、一方のカバー部品93に支軸58の全部又は一部を一体的に形成し、他方のカバー部品93には、支軸58の先端側を受け止め、あるいは支軸58の残部を担う部分を一体形成することにより、カバー92の装着に伴って支軸58が支持部21及び回転部50を貫いて装着されてもよい。カバー92は、一対のカバー部品93に分割される例に限らず、3又はそれ以上のカバー部品に分割して構成されてもよい。
【0036】
以上に説明したように、本形態の飲料サーバ10によれば、ヘッド傾斜角θbを変更できるようにヘッド12がアダプタ11に対して回転可能に連結される。したがって、飲料注出時におけるボトル設置角θaが変化しても、ヘッド傾斜角θbを適宜に調整することにより注出口12aの向き、すなわち注出口12aからの飲料の注出方向を適正な範囲に設定することができる。そして、固定ボルト62を締め付けることにより、ヘッド12をその注出口12aが適正な方向に向けられた状態に保持することができる。よって、ボトル1の姿勢の変化に対して柔軟に対応することが可能であり、飲料サーバ10の汎用性を高めることができる。
【0037】
本発明は上述した形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。例えば、上記の形態では、溝61内にて固定ボルト62が相対的に移動できる範囲がヘッド12の回転範囲となるが、その回転範囲は図示例に限らず、適宜の角度範囲に設定されてよい。アダプタの構成や形状は、飲料容器の口部を覆うようにして飲料容器に装着可能であって、かつガス導入路と飲料導出路とを有する限りにおいて適宜に変更可能である。飲料容器の口部とアダプタとの間のシール構造もパッキン42による例に限らず、Oリング等の汎用的なシール部品が用いられてよい。パッキン42から逆止弁部45を省略し、パッキン42とは別部品としての逆止弁をガスポート29やチューブ継手41に組み込んでもよい。
【0038】
アダプタとヘッドとの間の連結手段は、図示の連結機構60に限らず、アダプタに対してヘッドが相対回転可能である限りにおいて適宜の変更が可能である。ヘッドの回転軸線上に支軸58のような物理的な軸部品を設けてアダプタとヘッドとを連結する構成であることを必ずしも要しない。例えば、回転軸線の回りの複数個所に溝61と固定ボルト62とによる案内機構を設けることにより、ヘッドを仮想的な回転軸線の回りに相対回転可能に設けてもよい。また、アダプタに対するヘッドの回転は、回転軸線を中心とした円弧状の軌跡に沿ったものであることを必ずしも要しない。楕円状、長円状といった軌跡に沿ってヘッドが動くといった態様も、その動きに回転成分が含まれる限りにおいて、ヘッドをアダプタに対して回転可能に連結する概念に含まれる。さらに、連結手段は、アダプタ11側の一対の支持部21間にヘッド12側の回転部50を配置する例に限らない。例えば、アダプタ側に単一の支持部を設け、その両側にヘッド側の一対の回転部を配置してそれらを回転可能に連結し、あるいはアダプタ側の単一の支持部の片側にヘッド側の単一の回転部を配置して両者を回転可能に連結するといった変形が可能である。
【0039】
ヘッドの回転部と本体部との連結構造は、雄ねじ部55aとナット56とを利用する例に限らず、回転部50と本体部51とがアダプタ11に対して一体的に回転できる限り、適宜に変更されてよい。あるいは、ヘッド内に飲料注出用のチューブを挿通できる限りにおいて、回転部と本体部とが一体に成形されてもよい。
【0040】
注出機構は、飲料注出用のチューブの押し込み量を変化させる例に限らない。例えば、ヘッド側の飲料注出路の一部がチューブの内部流路にて構成され、残部がヘッド内に別途形成された流路によって形成される場合には、そのチューブ外の領域に、流路の断面積を変化させる弁機構を設け、これをハンドル等の操作部材にて操作するものとしてもよい。さらに、注出機構は飲料の注出状態を切り替えることが可能である限り、ヘッド側に設けられることを必ずしも要しない。例えば、アダプタ側にて飲料導出路を開閉し、あるいは飲料取出部を開閉するように注出機構を設けることも可能である。
【0041】
飲料サーバが適用される飲料容器は図示したPETボトルに限らず、飲料を提供するために使用される各種の容器が適用対象とされてよい。飲料容器とアダプタとの連結構造は、ねじ結合による例に限らず、嵌め込み構造その他の各種の連結構造が採用されてよい。
【0042】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する構成要素を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0043】
本発明の一態様に係る飲料サーバは、飲料容器(1)の口部(2)を覆うようにして前記飲料容器に装着され、当該飲料容器内にガスを導入するガス導入路(24)と、前記飲料容器内の飲料を前記飲料容器外に露出する飲料の取出部(26b)まで導く飲料導出路(25)とが設けられたアダプタ(11)と、前記アダプタの前記取出部に接続された飲料注出用のチューブ(28)と、前記飲料を注出口(12a)まで導く飲料注出路(53)を有し、前記飲料注出路の少なくとも一部が前記取出部に接続されたチューブの内部流路によって構成されるヘッド(12)と、ユーザによって操作される操作部材(71)を含み、当該操作部材の操作に応じて前記飲料の注出状態を切り替える注出機構(70)と、前記アダプタが装着された飲料容器を注出時の姿勢に保持した状態にて、前記飲料容器の前記口部の開口方向(軸線Xaの方向)と前記ヘッドの前記注出口からの前記飲料の注出方向(軸線Xbの方向)とが鉛直面上でなす角度をヘッド傾斜角(θb)としたときに、当該ヘッド傾斜角を変更できるように前記ヘッドを前記アダプタに対して回転可能に連結する連結手段(60)と、前記ヘッドを前記アダプタに対する回転範囲内の定位置にて拘束する拘束手段(62)と、を備えたものである。
【0044】
上記態様の飲料サーバによれば、注出時の飲料容器の姿勢に応じてヘッドを回転させることにより、ヘッド傾斜角を飲料の注出に適した角度に調整することができる。調整後のヘッドの回転を拘束手段にて拘束することにより、ヘッドをその注出口が適正な方向に向けられた状態に保持することができる。したがって、飲料容器の姿勢の変化に対して柔軟に対応することが可能であり、飲料サーバの汎用性を高めることができる。
【0045】
前記連結手段は、前記注出時の姿勢にて前記ヘッドが前記アダプタの下方でかつ水平方向に延びる回転軸線(RX)を中心として回転できるようにして前記ヘッドと前記アダプタとを連結してもよい。この形態によれば、飲料容器の口部に装着されるアダプタに対して、その下方の回転軸線を中心としてヘッドを回転させることができる。したがって、口部を上にして飲料容器を傾けて配置する場合に、注出口を適正な方向に向けられるようにヘッドの回転範囲を設定することができる。
【0046】
前記連結手段は、前記回転軸線の方向に隙間(G)を空けて並ぶようにして前記アダプタに設けられた一対の支持部(21)と、前記支持部間の前記隙間に挿入できるようにして前記ヘッドに設けられた回転部(50)と、前記支持部と前記回転部との間を前記回転軸線の方向に沿って貫くように設けられた支軸(58)と、を備えてもよい。この形態によれば、ヘッド側の回転部に通される支軸の両側をアダプタ側の一対の支持部にて支持することにより、ヘッドの連結部分における支持剛性や安定性を高めることができる。
【0047】
上記態様の飲料サーバは、前記アダプタを外側から覆うようにして当該アダプタに装着されるカバー(92)をさらに備え、前記アダプタの前記取出部は前記飲料容器外に管状に突出するように設けられ、前記チューブは前記アダプタの前記取出部に対して外側から嵌め合わされ、前記カバーは前記アダプタの互いに異なる範囲を覆う複数のカバー部品(93)を組み合わせて構成され、前記複数のカバー部品のそれぞれには、前記アダプタの前記取出部と前記チューブとの嵌め合わせ部分を外側から挟むチューブ押え部(93a)が設けられてもよい。この形態によれば、カバーを利用してアダプタの取出部にチューブを確実に拘束してチューブを抜け止めすることができる。
【0048】
前記注出機構は前記ヘッドに設けられてもよい。その場合、前記注出機構は、前記操作部材の操作に応じて前記チューブの押し込み量を変化させて前記飲料注出路を開閉するように設けられてもよい。これらの形態によれば、ヘッドの回転に伴って注出機構も一体的に変位するため、注出口の向きに合わせて操作部材も適正な方向に向けることができる。
【0049】
前記チューブが前記飲料注出路の全長に亘って延ばされることにより、前記飲料注出路の全長が前記チューブの内部流路によって構成され、前記チューブの先端が前記注出口として機能してもよい。ヘッド側の飲料注出路の全長がチューブの内部流路にて構成されることにより、飲料の流れを乱す要因となる段差や継ぎ目が飲料注出路内から排除され、飲料注出の安定性を高めることができる。
【0050】
前記アダプタには、前記ガスの供給源と前記ガス導入路とを接続するためのガスチューブを接続可能なガス接続部(29)が設けられてもよい。これによれば、相対回転するヘッドとアダプタとに跨ってガスの流路を設ける必要がなく、ガスの流路をシンプルに構成することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 ボトル(飲料容器)
2 口部
10 飲料サーバ
11 アダプタ
12 ヘッド
12a 注出口
21 支持部
24 ガス導入路
25 飲料導出路
26b 接続部(取出部)
28 飲料注出用のチューブ
29 ガスポート(ガス接続部)
42 パッキン
43 シール部
43a 貫通孔
43b フランジ
43c 嵌合部
45 逆止弁部
47 テーパ部
47a 壁部
47b スリット
50 回転部
53 飲料注出路
58 支軸
60 連結機構(連結手段)
61 溝
62 固定ボルト(拘束手段)
70 注出機構
71 ハンドル(操作部材)
92 カバー
93 カバー部品
93a チューブ押え部