IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ミライズテクノロジーズの特許一覧

<>
  • 特開-外景導光光学装置 図1
  • 特開-外景導光光学装置 図2
  • 特開-外景導光光学装置 図3
  • 特開-外景導光光学装置 図4
  • 特開-外景導光光学装置 図5
  • 特開-外景導光光学装置 図6
  • 特開-外景導光光学装置 図7
  • 特開-外景導光光学装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001708
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】外景導光光学装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/04 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
B60R1/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102600
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】辻 真俊
(72)【発明者】
【氏名】武田 広大
(72)【発明者】
【氏名】安藤 浩
(57)【要約】
【課題】障害物よって遮られた死角領域の外景を視認者が視認できるようにした装置において、遮光部により視認性が低下するのを抑制する。
【解決手段】外景導光光学装置は、透反射部12と、透反射部の障害物側に所定の間隔を開けて配置された反射部14と、透反射部の反射部とは反対側に設けられ、その反対側から透反射部に入射して反射された外光を遮断する遮光部18とを備える。遮光部は、複数の遮光板16を備え、複数の遮光板は、透反射部の反射部とは反対側に位置する視認者に対し板面が水平となるよう、垂直方向に間隔を開けて配置され、透反射部は、板状で、板面が反射部の反射面と平行となり、かつ、板面が視認者に対向する垂直軸Yに対して所定角度θ1で傾斜している。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障害物よって遮られた死角領域の外景を映す外景導光光学装置であって、
光の一部を反射し一部を透過させる透反射部(12)と、
前記透反射部に対し、所定の間隔を開けて前記障害物側に配置され、前記死角領域から前記透反射部に入射して反射された前記外景の光を、前記透反射部に向けて反射する反射面(14A)を有する反射部(14)と、
前記透反射部の前記反射部とは反対側に設けられ、該反対側から前記透反射部に入射して反射された外光を遮断する遮光部(18)と、
を備え、
前記遮光部は、複数の遮光板(16)を備え、該複数の遮光板は、前記透反射部の前記反射部とは反対側に位置する視認者に対し板面が水平となるように、垂直方向に間隔を開けて配置され、
前記透反射部は、板状で、板面が前記反射部の前記反射面と平行となり、かつ、該板面が前記視認者に対向する垂直軸(Y)に対して所定角度(θ1)で傾斜している、外景導光光学装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外景導光光学装置であって、
前記反射部の前記反射面、及び、該反射面に対向する前記透反射部の板面(12B)には、それぞれ、前記垂直方向の断面が鋸波形状となるよう、複数の段差部(30)が設けられ、
前記反射部の前記反射面、及び、前記透反射部の板面において、前記段差部は、同一形状で、前記鋸波形状の斜面(32)となる対向面が互いに平行となるよう、前記垂直方向に反転され、しかも、該対向面の前記反射面又は前記板面に対する傾斜角度(θ2)は、前記所定角度よりも小さくなっており、
更に、前記死角領域から前記透反射部に入射する前記外景の光の入射経路には、当該光を透過させる透過部(22)が設けられ、
前記透過部は、板状で、前記垂直軸に対し前記透反射部と同じ前記所定角度で傾斜しており、かつ、前記透反射部側の板面(22A)には、前記反射部の前記反射面と同じ前記鋸波形状となる複数の段差部が設けられている、外景導光光学装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の外景導光光学装置であって、
前記遮光部において、前記遮光板の前記透反射部からの突出長さ(Lz)、及び、前記遮光板同士の間隔(P)は、少なくとも、前記透反射部の前記反射部側の板面からの反射光を除去できるように設定されている、外景導光光学装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の外景導光光学装置であって、
前記遮光部を構成する前記遮光板は、前記外光を吸収する吸収材にて構成されている、外景導光光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、障害物よって遮られた死角領域の外景を映す外景導光光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、光の一部を反射し一部を透過する半透過ミラーと、光を反射する反射ミラーとを、互いに対向するように配置した死角補助装置が知られている。この装置は、半透過ミラーが視認者側となり、障害物にて遮られた死角領域からの光の一部が半透過ミラーから反射ミラーへ反射されるように配置される。このため、死角領域からの光が、半透過ミラーと反射ミラーとの間で反射され、その光の一部が半透過ミラーから視認者側に透過することにより、視認者が死角領域の外景を視認できるようになる。
【0003】
また、この装置においては、半透過ミラーの視認者側の面に外光が入射して、視認者側に反射されると、視認者は、死角領域の外景を視認し難くなる。そこで、特許文献1に記載の死角補助装置には、半透過ミラーの反射ミラーとは反対側に、視認者側から入射した外光が視認者に向けて反射されることのないよう、その外光の反射経路を遮断する遮光部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許6172512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、特許文献1に記載の死角補助装置においては、遮光部によって、視認者の左右の目で見える像に視差が生じ、その視差によって死角領域の外景の視認性が低下する、という課題が見いだされた。
【0006】
つまり、特許文献1において、遮光部は、視認者から見て、板面が垂直方向となるように配置された複数の遮光板にて構成され、各遮光板は、上記外光の反射経路を板面にて遮断するように、間隔を開けて平行に配置されている。このため、視認者の左右の目では、両眼視差によって、遮光部が異なる形状・位置として知覚される。この結果、視認者の両目像では、左右の目で知覚された遮光部が、外景を覆うように2重に重畳され、外景の視認性が低下するのである。
【0007】
本開示の1つの局面は、半透過ミラーと反射ミラーと遮光部とを備え、視認者が死角領域の外景を視認できるようした装置において、遮光部により視認性が低下するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の1つの態様による外景導光光学装置は、障害物よって遮られた死角領域の外景を映す装置である。外景導光光学装置は、光の一部を反射し一部を透過させる透反射部(12)と、透反射部に対し所定の間隔を開けて障害物側に配置される反射部(14)と、遮光部(18)と、を備える。
【0009】
反射部は、死角領域から透反射部に入射して反射された外景の光を、透反射部に向けて反射する反射面を有する。
遮光部は、透反射部の反射部とは反対側に設けられ、その反対側から透反射部に入射して反射された外光を遮断するものであり、複数の遮光板(16)を備える。この複数の遮光板は、透反射部の反射部とは反対側に位置する視認者に対し、板面が水平となるように、垂直方向に間隔を開けて配置される。
【0010】
また、透反射部は、板状で、板面が反射部の反射面と平行となり、かつ、板面が視認者に対向する垂直軸(Y)に対して所定角度(θ1)で傾斜するように配置される。
このように構成された本開示の外景導光光学装置は、反射部が、視認者が外景を視認するのに妨げとなる障害物側に位置し、障害物にて隠された死角領域からの光が透反射部に入射するように配置すればよい。
【0011】
つまり、このように配置すれば、死角領域からの光が、透反射部と反射部との間で反射されて、その光の一部が透反射部から視認者側に透過することから、視認者は、透反射部を透過した光によって、死角領域の外景を視認することができる。
【0012】
一方、透反射部の反射部とは反対側の面(以下、表面)には、遮光部を構成する複数の遮光板が、板面が水平方向となるよう、垂直方向に間隔を開けて配置されることから、各遮光板の間を通って透反射部に外光が入射する。
【0013】
透反射部の表面に入射した外光の一部は、透反射部の表面にて反射され、残りの一部は透反射部内に入射する.また、透反射部内に入射した外光の一部は、透反射部の反射部側の面(以下、裏面)にて反射されて、透反射部の表面から出射される。
【0014】
また、透反射部内に入射した外光の残りの一部は、透反射部の裏面から反射部に向けて出射され、反射部の反射面にて反射される。そして、反射部の反射面にて反射された外光は、透反射部の裏面から透反射部内に入射し、透反射部の表面から出射される。
【0015】
このように、遮光板の間を通って透反射部の表面に入射した外光は、透反射部の表面、裏面、及び、反射部の反射面にて反射され、その反射光が、透反射部の表面から出射される。
【0016】
これに対し、透反射部及び反射部の板面は、垂直軸に対し所定角度で傾斜していることから、外光の反射光は、外光の入射方向とは異なる方向、つまり、遮光部を構成する遮光板に向けて出射され、各遮光板にて遮光されることになる。
【0017】
このため、本開示の外景導光光学装置によれば、各遮光板の間から入射した外光が視認者に向けて反射されて、視認者による外景の視認性が低下するのを抑制することができる。
【0018】
また、遮光部を構成する複数の遮光板は、板面が水平方向となるように配置されることから、視認者の両眼視差によって、各遮光板が、視認者の左右の目で異なる形状・位置に知覚されるのを抑制できる。
【0019】
このため、本開示の外景導光光学装置によれば、遮光部を構成する複数の遮光板によって外景の視認性が低下するのを、抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の外景導光光学装置全体の構成を表す概略構成図である。
図2図1に示した外景導光光学装置を上方から見た平面図である。
図3図1に示した外景導光光学装置を右方向から見た側面図である。
図4】遮光板の配置と外光の反射経路との関係を表す説明図である。
図5】外景導光光学装置を介して視認される外景の像を表す説明図である。
図6】特許文献1に記載の装置を介して視認される外景の像を表す説明図である。
図7】第2実施形態の外景導光光学装置を上方から見た平面図である。
図8】第2実施形態の外景導光光学装置を右方向から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本実施形態の外景導光光学装置10は、視認者4が周囲を視認するのに妨げとなる障害物2に取り付けられ、視認者4にとって死角となる死角領域6の外景8を、視認者4が視認できるようにするための装置である。なお、障害物2としては、例えば、自動車において、運転者が車両周囲を視認するのに妨げとなる、運転席側のフロントピラー、を挙げることができる。
【0022】
外景導光光学装置10は、透反射部12と、反射部14と、遮光部18とを備える。
透反射部12は、光の一部を反射し一部を透過させる、板状の半透過ミラーにて構成されている。また、反射部14は、板状の反射ミラーにて構成されており、反射面14Aが透反射部12の一方の板面と対向するよう、透反射部12に対し所定の間隔を開けて平行に配置されている。
【0023】
なお、透反射部12及び反射部14は、特許文献1に記載の半透過平面ミラー及び平面ミラーと同様に構成できることから、ここでは詳細な説明は省略する。また、以下の説明において、視認者4から見て水平方向をx軸方向、垂直方向をy軸方向、前後方向をz軸方向という。
【0024】
透反射部12及び反射部14は、板形状が方形であり、その外周を保持するホルダ20を介して、互いに対向するよう位置決めされている。また、透反射部12及び反射部14は、ホルダ20を介して、反射部14の透反射部12側とは反対側が障害物2側となり、透反射部12の反射部14とは反対側の板面(表面)12A、が視認者4側となるように、障害物2に固定される。
【0025】
透反射部12のx軸方向の長さは、反射部14よりも長くなっている。これは、図2に示すように、死角領域6の外景8からの光L1が、透反射部12の反射部14側の板面(裏面)12Bに入射して反射することにより、透反射部12の裏面12Bと反射部14の反射面14Aとの間で反射されつつ伝搬されるようにするためである。
【0026】
そして、死角領域6の外景8からの光L1は、その伝搬中に透反射部12に入射する度に、一部が透反射部12を透過することから、視認者4は、透反射部12を透過した光L1により、外景8を視認することができるようになる。
【0027】
次に、遮光部18は、図3に示すように、透反射部12の反射部14とは反対側から入射した外光L2が、透反射部12や反射部14にて反射した際、その反射光が視認者4に向けて反射されるのを阻止するためのものである。
【0028】
遮光部18は、光を吸収する吸収材にて構成された複数の遮光板16を備える。この複数の遮光板16は、視認者4に対し板面が水平となるよう、透反射部12の表面12Aに、y軸方向に間隔を開けて配置されている。
【0029】
なお、遮光板16は、全体を光の吸収材にて構成されていてもよく、遮光板16を構成する板に光を吸収する塗料を塗布することにより構成されていてもよい。吸収材としては、例えば、炭素微粒子、炭素繊維、アルマイト、ニッケル、クロム等を利用できる。
【0030】
また、遮光部18は、ホルダ20を介して、透反射部12の表面12Aに設けるようにしてもよく、接着剤等を使って各遮光板16を透反射部12の表面12Aに固定するようにしてもよい。
【0031】
また、透反射部12及び反射部14は、板面が、視認者4に対向する垂直軸Yに対して所定角度θ1で傾斜するように配置される。この傾斜角度θ1は、透反射部12に入射した外光L2が、遮光板16に向けて反射されるように設定されている。
【0032】
なお、図3において、傾斜角度θ1は、外光L2の入射方向に対し透反射部12及び反射部14が前傾姿勢となるように設定されているが、後傾姿勢となるように設定されていても、外光L2を遮光板16に向けて反射させることはできる。
【0033】
また、図3において、遮光部18を構成する遮光板16は3つで、図1とは異なる数になっているが、これは、各遮光板16の配置及び各遮光板16と外光L2の光路との関係を説明するためである。
【0034】
つまり、遮光板16は透反射部12の表面12Aに所定の間隔Pを開けて配置されることから、遮光板16の数については、遮光板16の間隔Pと透反射部12のy軸方向の長さに基づき、透反射部12に遮光板16を設置し得る数にすればよい。
【0035】
また、遮光板16の間隔Pは、遮光板16の透反射部12からの突出長さLzと共に、透反射部12の裏面12Bからの反射光を除去できるように設定される。
つまり、図4に示すように外光L2は、透反射部12の表面12A、裏面12B、及び、反射部14の反射面14Aにて順に反射されて、透反射部12の表面12Aから出射される。
【0036】
一方、透反射部12において、表面12Aでの外光L2の反射率Rは、例えば4%となり、裏面12Bでの外光L2の反射率Rは、例えば50%となる。また、反射部14において、反射面14Aでの外光L2の反射率Rは、例えば100%となる。
【0037】
従って、外光L2の光量を100%とした場合、透反射部12の表面12Aで反射される外光L2の光量は、例えば4%となる。また、透反射部12の裏面12Bで反射されて、透反射部12の表面12Aから出射される外光L2の光量は、例えば46%となる。また、反射部14の反射面14Aで反射されて透反射部12に入射し、透反射部12の表面12Aから出射される外光L2の光量は、例えば23%となる。
【0038】
よって、透反射部12の表面12A、裏面12B、及び、反射部14の反射面14Aにて反射されて、透反射部12の表面12Aから出射される外光L2のうち、光量が最も多くなるのは、透反射部12の裏面12Bで反射された外光L2となる。
【0039】
そこで、本実施形態では、少なくとも、透反射部12の裏面12Bで反射された外光L2が、遮光板16にて遮断されるように、遮光部18における各遮光板16の間隔P及び透反射部12からの突出長さLzが設定されている。
【0040】
このため、本実施形態の外景導光光学装置10によれば、透反射部12の表面12Aに入射した外光L2の内、透反射部12の裏面12B及び反射部14の反射面14Aで反射された外光L2を、遮光部18を構成する複数の遮光板16にて遮断することができる。よって、視認者4に向けて反射される外光L2の光量を十分低減させて、その反射光により、視認者4による外景8の視認性が低下するのを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態の外景導光光学装置10においては、遮光部18が、複数の遮光板16にて構成され、各遮光板16は、視認者4から見て板面が水平になるように配置されている。
【0042】
このため、特許文献1に記載のように、複数の遮光板16を、板面がy軸方向になるように配置したときのように、視認者4の両眼視差によって、外景8が見難くなるのを抑制することができる。
【0043】
つまり、複数の遮光板を、板面がy軸方向になるように配置した場合には、図6に示す左目像及び右目像のように、視認者4の両眼視差によって、各遮光板が、視認者の左右の目で異なる形状・位置に知覚される。このため、視認者4の両目像では、左右の目で知覚された遮光部が、外景を覆うように2重に重畳され、外景の視認性が低下する。
【0044】
これに対し、本実施形態では、複数の遮光板16が、視認者4に対し板面が水平となるように配置されていることから、図5に示すように、視認者4の左右の目で視認される各遮光板16の形状・位置はほぼ一致する。
【0045】
よって、本実施形態の外景導光光学装置10によれば、視認者4の両眼視差によって遮光板16が2重に見えるのを抑制することができ、視認者4は、外景8を良好に視認することができるようになる。なお、図5及び図6は、自動車の運転席側のフロントピラーに取り付けられた外景導光光学装置10を、視認者4である運転者が、運転席に着座した状態で見た状態を表している。
【0046】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態の外景導光光学装置10は、第1実施形態と基本構成は同じであり、第1実施形態と異なる点は、下記の点a)~c)である。
【0047】
a)図7に示すように、死角領域6から透反射部12に入射する外景8の光の入射経路に、光を透過させる透過部22が設けられている。なお、透過部22は、光を透過可能な材料、例えば、透明なガラス或いは合成樹脂等、にて構成される。
【0048】
b)図8に示すように、反射部14の反射面14A、この反射面14Aに対向する透反射部12の裏面12Bには、それぞれ、y軸方向の断面が鋸波形状となるよう、複数の段差部30が設けられている。
【0049】
c)図7図8に示すように、透過部22は、板状で、板面が、垂直軸Yに対し透反射部12と同じ傾斜角度θ1で傾斜しており、かつ、透反射部12側の板面には、反射部14の反射面14Aと同じ鋸波形状となる複数の段差部30が設けられている。
【0050】
図8に示すように、反射部14及び透反射部12において、鋸波形状となる複数の段差部30は、同一形状であり、鋸波形状の斜面32である対向面が互いに平行となるよう、y軸方向に反転されている。
【0051】
また、透過部22においても、各段差部30は、反射部14及び透反射部12と同一形状であり、反射部14の段差部30と同様、透反射部12の段差部30に対し、y軸方向に反転されている。
【0052】
また、反射部14の反射面14A、透反射部12の裏面12B、透過部22の透反射部12側の面22Aにおいて、各段差部30の斜面32は、所定角度θ2で傾斜している。そして、この斜面32の傾斜角度θ2は、透反射部12,反射部14,及び透過部22の垂直軸Yに対する傾斜角度θ1よりも小さくなっている。
【0053】
このように構成された、本実施形態の外景導光光学装置10においては、外光L2は、透反射部12の表面12Aでは、下方向に反射される。
一方、透反射部12の表面12Aを通過した外光L2は、一部が、透反射部12の裏面12Bの段差部30を通って反射部14側に出射され、残りの一部が段差部30の反射部14との対向面で反射される。
【0054】
また、透反射部12から反射部14に向けて出射された外光L2は、反射部14の反射面14Aで反射され、透反射部12の段差部30を通って透反射部12内に入射する。
このため、透反射部12の裏面12B、及び、反射部14の反射面14Aで反射された外光L2は、透反射部12の裏面12Bに設けられた段差部30を2回通ることになる。
【0055】
この透反射部12の段差部30は、外光L2の光路を変化させるプリズムとして機能し、透反射部12の裏面12B、及び、反射部14の反射面14Aで反射された外光L2は、透反射部12の表面12Aから上方向に出射される。
【0056】
従って、外光L2の反射光は、上下の遮光板16にて遮光されることになり、上記第1実施形態と同様、外光L2の反射光が視認者4に向けて出射されるのを抑制できる。
一方、外景8からの光L1は、透過部22の段差部30を通ることから、透過部22への入射角度に対し、透過部22から透反射部12への出射角度が変化する。しかし、透反射部12の裏面12Bにも段差部30が設けられていることから、透反射部12から出射される外光L1の出射角度は、外景8から透過部22への入射角度と同じ角度となる。このため、透過部22を設けることにより、透反射部12から視認者8に向けて出射される光L1の出射角度が変化することはない。
【0057】
ところで、透反射部12の裏面12Bでは、透過部22から入射した光L1の一部が、反射部14に向けて反射されて、反射部14の反射面14Aと透反射部12の裏面12Bとの間で反射が繰り返される。
【0058】
そして、この反射の繰り返しにより透反射部12から視認者8に向けて出射される光L1に、y軸方向にずれが(以下、縦視差)生じ、視認者8が視線を左右に動かすと、外景8の像が上下に移動したように見える。この縦視差量が大きくなると、視認者8が外景8を視認し難くなる。
【0059】
これに対し、透反射部12の裏面12B及び反射部14の反射面14Aには、y軸方向の断面が鋸波形状となるよう、複数の段差部30が設けられている。そして、各段差部30の斜面の傾斜角度θ2は、透反射部12及び反射部14の垂直軸Yに対する傾斜角度θ1よりも小さい。
【0060】
この結果、透反射部12の裏面12Bと反射部14の反射面14Aとの間で反射されて、透反射部12の表面12Aから出射される光L1の間隔が狭くなり、縦視差量を小さくすることができる。
【0061】
従って、本実施形態の外景導光光学装置10によれば、透反射部12の裏面12B及び反射部14の反射面14Aに複数の段差部30を設けて、y軸方向の断面を鋸波形状にすることにより、縦視差量を小さくし、外景8の視認性を高めることができる。
【0062】
[他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0063】
例えば、上記実施形態では、障害物2は、自動車のフロントピラーであるものとして説明したが、本開示の外景導光光学装置10が取り付けられる障害物としては、視認者4が所定位置から周囲を視認するのに妨げとなる部材であればよい。
【0064】
また、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0065】
12…透反射部、14…反射部、16…遮光板、18…遮光部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8