(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170807
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】可塑化装置、射出成型装置、三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/18 20060101AFI20231124BHJP
B29C 45/47 20060101ALI20231124BHJP
B29C 45/27 20060101ALI20231124BHJP
B29C 45/76 20060101ALI20231124BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20231124BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20231124BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C45/47
B29C45/27
B29C45/76
B29C64/118
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082846
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】丹生山 政人
(72)【発明者】
【氏名】杉田 篤彦
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
4F213
【Fターム(参考)】
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK02
4F206JA07
4F206JF23
4F206JF41
4F206JF47
4F206JQ11
4F206JQ41
4F206JQ81
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL74
(57)【要約】
【課題】均一な可塑化状態が得られる可塑化装置を提供すること。
【解決手段】可塑化装置は、溝が形成された溝形成面を有し、回転軸を中心として回転し、側面には前記溝と連通する供給口が形成されたローターと、前記回転軸が延びる方向において前記溝形成面に対向する対向面を有し、可塑化した材料を外部に流出する連通孔が形成されたバレルと、前記供給口を介して供給された前記材料を加熱する加熱部と、前記ローターを収容する収容部とを備え、前記収容部には、前記供給口に前記材料を供給可能な第1供給経路、および、第2供給経路が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝が形成された溝形成面を有し、回転軸を中心として回転し、側面には前記溝と連通する供給口が形成されたローターと、
前記回転軸が延びる方向において前記溝形成面に対向する対向面を有し、可塑化した材料を外部に流出する連通孔が形成されたバレルと、
前記供給口を介して前記溝に供給された前記材料を加熱する加熱部と、
前記ローターを収容する収容部と、を備え、
前記収容部には、前記供給口に前記材料を供給可能な第1供給経路、および、第2供給経路が形成されている、
可塑化装置。
【請求項2】
前記第1供給経路に連通する第1材料貯留部と、
前記第2供給経路に連通する第2材料貯留部と、を含む、
請求項1に記載の可塑化装置。
【請求項3】
前記第1材料貯留部には、第1材料が貯留され、
前記第2材料貯留部には、第2材料が貯留されており、
前記第1材料と、前記第2材料とは異なる材料である、
請求項2に記載の可塑化装置。
【請求項4】
前記第1供給経路の最小断面積と、前記第2供給経路の最小断面積とは異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の可塑化装置。
【請求項5】
前記第1供給経路および前記第2供給経路の前記供給口側の端部を一端としたときに、
前記第1供給経路および前記第2供給経路における他端は、直接的または間接的に接続されている、
請求項1に記載の可塑化装置。
【請求項6】
前記第1供給経路および前記第2供給経路のうち少なくともいずれかには、
前記材料の供給量を調整する調整部が設けられる、
請求項1~3のいずれか一項に記載の可塑化装置。
【請求項7】
前記調整部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記ローターの回転周期内における位置に基づいて前記調整部を制御する、
請求項6に記載の可塑化装置。
【請求項8】
請求項1~3、または5に記載の可塑化装置と、
前記可塑化装置で可塑化した前記材料を射出するノズル部と、
前記材料を受ける成形型を固定する固定部と、を備える、
射出成型装置。
【請求項9】
前記成形型は、可動型と、固定型とを含み、
前記固定型と前記ノズル部との間に配置され、前記材料の融点よりも高い融点の材質を用いたキャップ部材を備え、
前記キャップ部材は、内側のコア部分と、表面のシェル部分とを有し、
前記コア部分は、複数の空隙を有し、前記シェル部分よりも空隙率が大きい、
請求項8に記載の射出成型装置。
【請求項10】
請求項1~3、または5に記載の可塑化装置と、
前記可塑化装置で可塑化した前記材料を吐出するノズル部と、
前記材料が積層される造形面を有するステージと、を備える、
三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可塑化装置、および当該可塑化装置を備えた射出成型装置、三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成型機を小型化するために、在来のスクリューをローターに置き換えた射出成型機が提案されている。例えば、特許文献1には、螺旋溝が形成されたローターと、ローターの端面と当接して中心に連通孔を有するバレルと、を備える可塑化送出装置が開示されている。当該文献によれば、ペレット状をなす樹脂は、ケーシングに取り付けられたホッパー内に貯溜されており、ここからケーシングを介してローターの螺旋溝の径方向外側端部へと供給される、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の可塑化送出装置では、均一な可塑化状態を得ることが困難であるという課題があった。詳しくは、ローターの1回転において、螺旋溝の外周縁における供給口と、ホッパーに連通した投入口とが重なったときにだけ材料が供給される構成であったため、次に材料が供給されるまでの間に、溶融材料の送出分が減少し、溝内部における材料密度が不均一となっていた。また、当該可塑化送出装置では、可塑化途中における材料の切り替えや、材料の比率の変更は困難であるという課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例又は形態として実現することが可能である。
【0006】
(適用例)
本願に係る一態様の可塑化装置は、溝が形成された溝形成面を有し、回転軸を中心として回転し、側面には前記溝と連通する供給口が形成されたローターと、前記回転軸が延びる方向において前記溝形成面に対向する対向面を有し、可塑化した材料を外部に流出する連通孔が形成されたバレルと、前記供給口を介して供給された前記材料を加熱する加熱部と、前記ローターを収容する収容部と、を備え、前記収容部には、前記供給口に前記材料を供給可能な第1供給経路、および、第2供給経路が形成されている。
【0007】
本願に係る一態様の射出成型装置は、上記の可塑化装置と、前記可塑化装置で可塑化した材料を射出するノズル部と、前記材料を受ける成形型を固定する固定部とを備える。
【0008】
本願に係る一態様の三次元造形装置は、上記の可塑化装置と、前記可塑化装置で可塑化した材料を吐出するノズル部と、前記材料が積層される造形面を有するステージとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図15】実施形態7に係る三次元造形装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態1
***射出成型装置の概要***
図1は、射出成型装置の斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1に示す、本実施形態の射出成型装置200は、移動可能な台座部90の上に、可塑化装置100を含む基台150を載置した縦型の射出成型装置である。基台150は、長方形状をなしたベース部材であり、台座部90に固定されている。なお、各図には、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸を図示している。基台150における長辺の延在方向をXプラス方向、短辺の延在方向をYプラス方向としている。射出成型装置200の高さ方向をZプラス方向としている。Zプラス方向を上方、Zマイナス方向を下方ともいう。
【0012】
射出成型装置200は、台座部90、可塑化装置100、下型支持部130、位置変更部140、型締装置170、エジェクター部180、制御部190などから構成される。
台座部90は、金属フレームを備えた堅牢な台座であり、その底面の4隅に車輪91を備えている。また、各車輪91近傍の支柱には、ボルト式のストッパー脚92が設けられている。これにより、車輪91により射出成型装置200を所望の位置に移動させた後、ストッパー脚92で確実に固定することができる。
【0013】
可塑化装置100の下方には、上型支持部13が設けられている。上型支持部13は、上型11を固定するためのクランプ機構を備えている。
下型支持部130は、基台150上に可動部141を介して設けられており、下型15を固定するためのクランプ機構を備えている。
図1では、上型11、下型15の取付け前の状態を示しているため、両者を離間した状態で点線で図示しているが、射出成型時においては、型締装置170により上型11と下型15とが型締めされた状態で成形が行われる。なお、上型11と下型15とによる金型セットを成形型10という。また、上型支持部13、下型支持部130は、固定部に相当する。換言すれば、射出成型装置200は、可塑化装置100と、可塑化装置100で可塑化した材料を射出するノズル部60(
図2)と、材料を受ける成形型10を固定する固定部としての上型支持部13、下型支持部130を備える。
【0014】
位置変更部140は、下型支持部130をX軸の延在方向に沿って直線的に移動可能なステージである。位置変更部140は、下型支持部130を支持する可動部141と、可動部141を移動させる電動アクチュエーター142とを有している。好適例では、電動アクチュエーター142は、ボールネジと、ボールネジを回転させるモーターなどから構成される。
【0015】
型締装置170は、型締モーター171の駆動により、上型11を含む可塑化装置100を、Z軸方向に沿って移動させることによって、成形型10の型締め、および、型開きを行う。詳しくは、型締モーター171の駆動力が減速機172を介してボールネジ部173に伝達されることによって、ボールネジ部173に結合された可動盤174が第1支柱部175に沿ってZ方向に移動し、第2支柱部176を介して可動盤174に固定された可塑化装置100をZ方向に移動させる。
これにより、型締めを行う際には、可動盤174をZマイナス方向に移動させることによって、可塑化装置100が下方に移動し、上型11と下型15とが当接する。型開きを行う際には、可動盤174をZプラス方向に移動させることによって、可塑化装置100が上方に移動し、上型11が下型15から離れる。
【0016】
エジェクター部180は、下型15から成型品を取り外すための部位である。エジェクター部180は、可塑化装置100よりもXマイナス側に設けられており、成型後の下型15を搭載した下型支持部130がエジェクター部180の上部に移動してくると、エジェクタピンを駆動して下型15から成型品を取り出す。エジェクター部180は、基台150の下方に設けられている。
【0017】
制御部190は、1以上のプロセッサーと、記憶部と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェイスとを備えるコンピューターによって構成される。記憶部には、型開き、型締め、射出成型および成型品の取り出しに係る順序と内容を規定した成型プログラムや、材料の切替えや、配合率を調整するための材料調整プログラム、付随するデータなどが記憶されている。制御部190は、これらのプログラムを実行することにより、可塑化装置100を含む射出成型装置200全体を統括制御する。
【0018】
***可塑化装置の構成***
図2は、
図1のb-b断面における可塑化装置の断面図である。
図2に示すように、可塑化装置100は、材料貯留部20a,20b、ローター40a、バレル50、ヒーター58、ノズル部60、射出制御機構70などから構成される。
【0019】
可塑化装置100は、材料貯留部20a,20bからローター40aとバレル50との間に供給される材料を、ローター40aとバレル50とヒーター58とによって可塑化して成形材料を生成し、ノズル部60から成形型10(
図1)内に射出する。なお、
図2において、ローター40aの回転軸を中心線61としている。また、「可塑化」とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0020】
材料貯留部20aは、ホッパーであり、ペレットや粉末等の状態の材料が収容される。本実施形態では、材料貯留部が材料貯留部20aと、材料貯留部20bとの2つ設けられている。なお、材料貯留部20aは第1材料貯留部に相当し、材料貯留部20bは第2材料貯留部に相当する。材料貯留部20bは、中心線61を対称軸として、材料貯留部20aと対象となる位置に設けられている。平面的には、中心線61を中心点(
図1)として、材料貯留部20aを180°回転させた位置に材料貯留部20bが配置されている。
【0021】
材料貯留部20aの下方には、パイプ部21aが設けられている。パイプ部21aは、ケース体81に形成された第1供給経路22aに接続されている。同様に、材料貯留部20bの下方には、パイプ部21bが設けられている。パイプ部21bは、ケース体81に形成された第2供給経路22bに接続されている。換言すれば、第1材料貯留部としての材料貯留部20aは第1供給経路22aに連通し、第2材料貯留部としての材料貯留部20bは第2供給経路22bに連通する。
材料貯留部20aの材料は、第1供給経路22aを通り投入口23aからローター40aとバレル50との間に供給される。同様に、材料貯留部20bの材料は、第2供給経路22bを通り投入口23bからローター40aとバレル50との間に供給される。
【0022】
ローター40aは、スクロールあるいはフラットスクリューとも呼ばれる。ローター40aは、駆動モーター96およびローター減速機97により構成されるローター駆動部98によって、Z軸方向に沿った中心線61を回転軸として回転駆動される。ローター駆動部98によるローター40aの回転は、制御部190により制御される。
【0023】
ローター40aと、ローター減速機97とは、収容部80に収容されている。収容部80は、ケース体81と上部カバー82とを有している。
ケース体81は、ローター40aの周囲及びローター減速機97の周囲を水平方向に囲むように収容する部材である。上部カバー82は、ローター40a及びローター減速機97を上から覆うように、ケース体81の上部に配置される部材である。
駆動モーター96は、その出力軸を中心線61と一致させた状態で、上部カバー82の上部に配置されている。
【0024】
バレル50の中心には、生成された造形材料が流入する連通孔56が形成されている。連通孔56には、後述する射出制御機構70の射出シリンダー71が接続されている。連通孔56には、射出シリンダー71よりも上流部に、逆止弁59が設けられている。
ヒーター58は、加熱部であり、ローター40aの溝形成面42とバレル50の対向面52との間に供給された材料を加熱する。
図2に示すように、本実施形態では、4本のヒーター58が、バレル50内に設けられている。ヒーター58の出力は、制御部190によって制御される。換言すれば、ヒーター58は、ローター40aの供給口44(
図3)を介して供給される材料を加熱する。
【0025】
射出制御機構70は、射出シリンダー71、プランジャー72などから構成される。射出制御機構70は、射出シリンダー71内の成形材料を成形型10(
図1)のキャビティーに射出注入する機能を有している。射出制御機構70は、制御部190の制御下で、ノズル部60からの成形材料の射出量を制御する。
射出シリンダー71は、バレル50の連通孔56に接続された略円筒状の部材であり、
図2における奥行方向(X軸方向)に配置されている。プランジャー72は、射出シリンダー71内に挿入される棒状の部材であり、射出シリンダー71の内部を摺動し、成形材料をノズル部60に圧送する。
【0026】
***ローターの構成***
図3は、ローターの概略構成を示す斜視図である。
図3に示すように、ローター40aは、表面に螺旋状の溝を備えた円板状の部材である。ローター40aにおいてバレル50(
図2)と向い合う面を溝形成面42という。
溝形成面42には、中心線61を中心に渦状の溝45が3条設けられている。溝45は、中心線61近傍から渦状に旋回し、ローター40aの側面43に形成された供給口44に連通している。3本の溝45は、3本の凸条部46を側壁として区画されている。換言すれば、ローター40aは、溝45が形成された溝形成面42を有し、回転軸としての中心線61を中心として回転し、側面43には溝45と連通する供給口44が形成されている。
【0027】
平面的には、3本の溝45における3つの供給口44は、ローター40aの側面43において、中心線61を中心として120度刻みの位置に設けられている。
また、ローター40aの中央部には、円錐状の突起部である滞留抑制部48が設けられている。滞留抑制部48の中心軸は、中心線61と略一致している。滞留抑制部48の先端は、バレル50(
図2)に形成された連通孔56に挿入される。滞留抑制部48により、成形材料を連通孔56に効率良く導くことができる。
【0028】
図4、
図5は、異なる態様のローターの概略構成を示す平面図である。
上記では、ローター40aは3本の溝45を有するものとして説明したが、溝45は1本以上設けられていれば良く、例えば、2本であっても良いし、4本以上設けられることであっても良い。以下、上記と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0029】
図4に示す、ローター40bでは、溝形成面42に中心線61を中心とした渦状の溝45が2条設けられている。2本の溝45における2つの供給口44は、ローター40bの側面43において、中心線61を中心として反対となる位置に設けられている。換言すれば、一方の供給口44と他方の供給口44とは、ローター40bの側面43において、中心線61を中心として180度回転した位置に設けられている。
また、
図5に示す、ローター40cでは、溝形成面42に中心線61を中心とした渦状の溝45が1条設けられている。溝45の供給口44は、ローター40cの側面43に1ヶ所のみ設けられている。
【0030】
***バレルの構成***
図6は、バレルの概略構成を示す平面図である。
図6に示すように、バレル50は、略円形をなしており、ローター40aの溝形成面42と向い合う対向面52を有している。バレル50の中心には、連通孔56が設けられている。連通孔56の中心は、中心線61と略一致している。
対向面52には、連通孔56から外周に向かって渦状に延びる複数の案内溝54が設けられている。
図6では、6本の案内溝54が設けられているが、これに限定するものではなく、複数本の案内溝54が設けられていれば良い。換言すれば、バレル50は、回転軸としての中心線61が延びる方向において溝形成面42に対向する対向面52を有し、可塑化した材料を外部に流出する連通孔56が形成されている。なお、案内溝54の一端は連通孔56に接続されていなくてもよい。また、バレル50には案内溝54が形成されていなくてもよい。
【0031】
***ケース体の構成***
図7は、ケース体の概略構成を示す平面図である。
図7に示すように、収容部80のケース体81の略中央には、ローター40aが収納される円形の開口部81aが設けられている。開口部81aのYマイナス方向の側面には、投入口23aが設けられており、投入口23aは第1供給経路22aに連通している。同様に、開口部81aのYプラス方向の側面には、投入口23bが設けられており、投入口23bは第2供給経路22bに連通している。換言すれば、収容部80のケース体81には、ローター40aの供給口44(
図3)に材料を供給可能な第1供給経路22a、および、第2供給経路22bが形成されている。
【0032】
投入口23bは、中心線61を中心として投入口23aから180度回転した位置に設けられている。換言すれば、投入口23aと投入口23bとは、開口部81aを介して向い合うように配置されている。
このような、ケース体81の開口部81aにローター40aがセットされると、ローター40aが1回転する間に、ローター40aの供給口44は、投入口23aと、投入口23bとに相対する。換言すれば、ローター40aが1回転する間に、ローター40aの1つの溝45の供給口44には、第1供給経路22aと第2供給経路22bとから材料が供給されることになる。これにより、ローターの1回転において供給口と投入口とが1回しか重ならなかった従来の可塑化送出装置とは異なり、本実施形態の可塑化装置100によれば、1回転において2回の材料供給が行われるため、ローター40a内部における材料密度を均一化することができる。
【0033】
これは、2本の溝45を有するローター40b、1本の溝45を有するローター40cにおいても同じであり、各溝45には、1回転において2回の材料供給が行われることになる。なお、溝45の数が多い方が、導入される材料量が増えるため、均一な可塑化状態の材料を安定して供給することができる。
【0034】
図2に戻る。
ローター40aの溝45に供給された材料は、ローター40aの回転と、ヒーター58による加熱とによって、ローター40aの溝形成面42とバレル50の対向面52との間において可塑化されながら、ローター40aの回転によってローター40aの中央部へと導かれる。中央部に流入した材料は、バレル50の中心に設けられた連通孔56へと送出され、更に、連通孔56から射出制御機構70へと導かれる。
【0035】
以上、述べた通り、本実施形態の可塑化装置100、射出成型装置200によれば、以下の効果を得ることができる。
可塑化装置100は、溝45が形成された溝形成面42を有し、回転軸としての中心線61を中心として回転し、側面43には溝45と連通する供給口44が形成されたローター40aと、中心線61が延びる方向において溝形成面42に対向する対向面52を有し、可塑化した材料を外部に流出する連通孔56が形成されたバレル50と、供給口44を介して供給された材料を加熱する加熱部としてのヒーター58と、ローター40aを収容する収容部80と、を備え、収容部80のケース体81には、供給口44に材料を供給可能な第1供給経路22a、および、第2供給経路22bが形成されている。
【0036】
これによれば、ケース体81には、第1供給経路22aと第2供給経路22bとが設けられているため、ローター40aが1回転する間に、ローター40aの1つの溝45の供給口44には、第1供給経路22aと第2供給経路22bとから材料が供給されるつまり、1回転において2回の材料供給が行われることになる。
よって、ローターの1回転において供給口と投入口とが1回しか重ならなかった従来の可塑化送出装置とは異なり、本実施形態の可塑化装置100によれば、1回転において2回の材料供給が行われるため、ローター40a内部における材料密度を均一化することができる。さらに、ローター40aは3本の溝45を有しているため、均一な可塑化状態の材料を安定して供給することができる。
従って、均一な可塑化状態の材料を安定供給可能な可塑化装置100を提供することができる。
【0037】
射出成型装置200は、可塑化装置100と、可塑化装置100で可塑化した材料を射出するノズル部60と、材料を受ける成形型10を固定する固定部としての上型支持部13、下型支持部130を備える。
これによれば、射出成型装置200は、可塑化装置100を備えているため、安定供給される均一な可塑化状態の材料を用いて、効率良く射出成型を行うことができる。
従って、成型効率が高く安定性に優れた射出成型装置200を提供することができる。
【0038】
実施形態2
***可塑化装置の異なる態様-1***
図8は、実施形態2に係る可塑化装置の斜視図であり、
図1に対応している。
図9は、ケース体の概略構成を示す平面図であり、
図7に対応している。
上記実施形態では、ケース体81には、第1供給経路22aと第2供給経路22bの2つの供給経路が設けられるとして説明したが、この構成に限定するものではなく、複数の供給経路が設けられることであれば良い。例えば、本実施形態の可塑化装置101では、4つの材料貯留部を備えており、ケース体81には、4つの供給経路が設けられている。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0039】
図8に示すように、本実施形態の可塑化装置101は、前述の材料貯留部20a,20bに加えて、材料貯留部20cと材料貯留部20dとを備えている。平面的には、中心線61を中心点として、材料貯留部20a、材料貯留部20c、材料貯留部20b、材料貯留部20dが90度刻みで配置される。
材料貯留部20cの下方には、材料貯留部20aと同様にパイプ部が設けられており、当該パイプ部は、ケース体81に形成された第3供給経路22cに接続されている。同様に、材料貯留部20dの下方にはパイプ部が設けられており、当該パイプ部は、ケース体81に形成された第4供給経路22dに接続されている。
【0040】
図9に示すように、ケース体81の開口部81aには、中心線61を中心として90度刻みで、投入口23a、投入口23c、投入口23b、投入口23dが設けられる。なお、投入口23cは第3供給経路22cの末端の開口部であり、投入口23dは第4供給経路22dの末端の開口部である。
このようなケース体81の開口部81aにローター40aがセットされると、ローター40aが1回転する間に、ローター40aの供給口44は、投入口23a、投入口23c、投入口23b、投入口23dに相対する。換言すれば、ローター40aが1回転する間に、ローター40aの1つの溝45の供給口44には、第1供給経路22a、第3供給経路22c、第2供給経路22b、第4供給経路22dから材料が供給されることになる。これにより、本実施形態の可塑化装置101によれば、1回転において4回の材料供給が行われるため、ローター40a内部における材料密度を均一化することができる。
【0041】
なお、上記では、90度刻みに4つの材料貯留部および供給経路を備えるものとして説明したが、複数セット設けられていれば良く、例えば、120度刻みに3つの材料貯留部および供給経路を備える構成であっても良いし、5つ以上の材料貯留部および供給経路を備える構成であっても良い。
【0042】
以上、述べた通り、本実施形態の可塑化装置101、射出成型装置200によれば、以下の効果を得ることができる。
可塑化装置101は、溝45が形成された溝形成面42を有し、回転軸としての中心線61を中心として回転し、側面43には溝45と連通する供給口44が形成されたローター40aと、中心線61が延びる方向において溝形成面42に対向する対向面52を有し、可塑化した材料を外部に流出する連通孔56が形成されたバレル50と、供給口44を介して供給された材料を加熱する加熱部としてのヒーター58と、ローター40aを収容する収容部80と、を備え、収容部80のケース体81には、供給口44に材料を供給可能な第1供給経路22a、第3供給経路22c、第2供給経路22b、第4供給経路22dが形成されている。
【0043】
これによれば、ケース体81には、4つの供給経路が設けられているため、ローター40aの1回転において4回の材料供給が行われることになる。
よって、ローターの1回転において供給口と投入口とが1回しか重ならなかった従来の可塑化送出装置とは異なり、本実施形態の可塑化装置101によれば、1回転において4回の材料供給が行われるため、ローター40a内部における材料密度を均一化することができる。さらに、ローター40aは3本の溝45を有しているため、均一な可塑化状態の材料を安定して供給することができる。
従って、均一な可塑化状態の材料を安定供給可能な可塑化装置101を提供することができる。そして、成型効率が高く安定性に優れた射出成型装置200を提供することができる。
【0044】
実施形態3
***可塑化装置の異なる態様-2***
図10は、ケース体の概略構成を示す平面図であり、
図7に対応している。
実施形態1では、ケース体81には、同じ流路径の第1供給経路22a、第2供給経路22bの2つの供給経路が設けられるとして説明したが、この構成に限定するものではなく、流路径が異なっていても良い。例えば、本実施形態の可塑化装置102では、第1供給経路22aにおける最小断面積と、第2供給経路22eにおける最小断面積とは異なっている。以下、実施形態1と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0045】
まず、第1供給経路22aおよび投入口23aの構成は、実施形態1と同じである。
第2供給経路22eは、ケース体81における表面の開口部の形状は、第1供給経路22aと同じであるが、投入口23eの断面積が、投入口23aの断面積よりも小さくなっている。詳しくは、
図10に示すように、第2供給経路22eは、ケース体81表面の開口部から徐々に細くなり、投入口23eで最も細くなっている。例えば、投入口23eが円形である場合、その直径d2は、投入口23aの直径d1よりも小さくなっている。換言すれば、第1供給経路22aにおける最小断面積と、第2供給経路22eにおける最小断面積とは異なっている。なお、流路径を絞る部分は投入口23eに限定するものではなく、第2供給経路22eにおける少なくとも1ヶ所が絞られていれば良い。
これにより、ローター40aに供給される材料の量は、第1供給経路22aからの供給量よりも、第2供給経路22eからの供給量の方が少なくなる。
【0046】
また、好適例では、材料貯留部20aに貯留される材料と、材料貯留部20bに貯留される材料とを異ならせている。換言すれば、材料貯留部20aには、第1材料が貯留され、材料貯留部20bには、第2材料が貯留されており、第1材料と第2材料とは異なる材料としている。
これにより、第1材料と第2材料との供給比率を変更することができる。
【0047】
以上、述べた通り、本実施形態の可塑化装置102、射出成型装置200によれば、以下の効果を得ることができる。
可塑化装置102において、第1供給経路22aにおける最小断面積と、第2供給経路22eにおける最小断面積とは異なっている。
これによれば、第1供給経路22aと、第2供給経路22eとにおける流路径を異ならせることにより、材料との供給比率を変更することができる。
【0048】
また、可塑化装置102において、材料貯留部20aには、第1材料が貯留され、材料貯留部20bには、第2材料が貯留されており、第1材料と第2材料とは異なる材料としている。これによれば、第1材料と第2材料との供給比率を変更することができる。
【0049】
実施形態4
***可塑化装置の異なる態様-3***
図11は、ケース体の概略構成を示す平面図であり、
図7に対応している。
実施形態1~3では、材料貯留部20aと、材料貯留部20bとを含む2つ以上の材料貯留部を備えるものとして説明したが、この構成に限定するものではなく、材料貯留部が1つであっても、供給経路が複数設けられていれば良い。例えば、本実施形態の可塑化装置103では、材料貯留部は材料貯留部20aを1つ備える構成であるが、供給経路が2つ設けられている。以下、実施形態1と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0050】
本実施形態の可塑化装置103では、図示を省略するが、材料貯留部は材料貯留部20aを1つのみ備える構成としている。そして、
図11に示すように、ケース体81には、第1供給経路22aに通じる入口開口部24が1つだけ設けられている。
図11に示すように、入口開口部24の直下において、供給経路は、第1供給経路22aと、第2供給経路22fとの2つに分岐している。つまり、ケース体81の内部において供給経路が2つに分岐している。なお、供給経路が複数に分岐すれば良く、例えば、3つに分岐しても良いし、4つ以上に分岐しても良い。これによれば、1つの材料貯留部から複数の供給経路に材料を供給することができる。
第1供給経路22aは、入口開口部24からYプラス方向に直進し、ケース体81中央の開口部81aにおける投入口23aまで連通する。
【0051】
第2供給経路22fは、入口開口部24からXマイナス方向に向かい、開口部81aの周囲に沿って投入口23fまで連通する。投入口23fは、開口部81aを介して、投入口23aと向い合う位置に設けられている。換言すれば、収容部80のケース体81における第1供給経路22aおよび第2供給経路22fの端部を一端としての投入口23aと、投入口23fとしたときに、第1供給経路22aおよび第2供給経路22fにおける他端としての入口開口部24は、直接的に接続されている。なお、第1供給経路22aと第2供給経路22fとが、入口開口部24で直接接続される構成に限定するものではなく、例えば、入口開口部24近くに一定量の材料を収容可能な材料プール部が設けられており、両者が、当該材料プール部を介して間接的に接続される構成であっても良い。
【0052】
これによれば、ケース体81には、第1供給経路22aと第2供給経路22fとが設けられているため、ローター40aが1回転する間に、ローター40aの1つの溝45の供給口44には、第1供給経路22aと第2供給経路22fとから材料が供給される。つまり、1回転において2回の材料供給が行われることになる。
よって、本実施形態の可塑化装置103によれば、1回転において2回の材料供給が行われるため、ローター40a内部における材料密度を均一化することができる。
【0053】
以上、述べた通り、本実施形態の可塑化装置103、射出成型装置200によれば、以下の効果を得ることができる。
可塑化装置103において、収容部80のケース体81における第1供給経路22aおよび第2供給経路22fの端部を一端としての投入口23aと、投入口23fとしたときに、第1供給経路22aおよび第2供給経路22fにおける他端としての入口開口部24は、直接的に接続されている。
【0054】
これによれば、材料貯留部が材料貯留部20aの1つの構成においても、ケース体81には、第1供給経路22aと第2供給経路22fとが設けられているため、ローター40aが1回転する間に、ローター40aの1つの溝45の供給口44には、第1供給経路22aと第2供給経路22fとから材料が供給される。つまり、1回転において2回の材料供給が行われることになる。さらに、ローター40aは3本の溝45を有しているため、均一な可塑化状態の材料を安定して供給することができる。
従って、均一な可塑化状態の材料を安定供給可能な可塑化装置103を提供することができる。
【0055】
実施形態5
***可塑化装置の異なる態様-4***
図12は、ケース体の概略構成を示す平面図であり、
図7に対応している。
上記実施形態では、ケース体81に複数の供給経路を設ける構成について説明したが、供給経路内に、流路を開閉する調整部を設けても良い。例えば、本実施形態の可塑化装置104では、第1供給経路22aには第1調整部5aが設けられ、第2供給経路22bには第2調整部5bが設けられている。以下、実施形態1と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0056】
図12に示すように、本実施形態の可塑化装置104では、第1供給経路22aには第1調整部5aが設けられ、第2供給経路22bには第2調整部5bが設けられている。なお、第1調整部5a、第2調整部5bが設けられていること以外は、
図7での説明と同じである。
【0057】
第1調整部5aは、シャッター機構であり、ケース体81の入口開口部24aに設けられている。第1調整部5aは、不図示の駆動モーターを含むリニアアクチュエーターを備えており、制御部190からの制御信号に応じて、
図12の矢印方向(Y軸延在方向)にシャッター機構を動作させる。シャッター機能は、全開/全閉だけでなく、途中で止めて流路径を絞ることもできる。第2調整部5bも、第1調整部5aと同じシャッター機構である。なお、調整部を入口開口部に設けることに限定するものではなく、供給経路内におけるいずれかの場所に設けられれば良く、例えば、投入口に設けても良い。換言すれば、第1供給経路22aおよび第2供給経路22bのうち少なくともいずれかには、材料の供給量を調整する調整部が設けられている。
【0058】
例えば、
図12では、第1供給経路22aの第1調整部5aが全開した状態を示しており、入口開口部24aの全体が露出している。他方、第2供給経路22bでは、第2調整部5bが閉じた状態を示しており、入口開口部24bの全体が第2調整部5bで覆われている。好適例では、ローター40aの回転周期に合せて第1調整部5a、第2調整部5bの開閉を行う。詳しくは、ローター40aの供給口44が、第1供給経路22aの投入口23aに来るタイミングで第1調整部5aを開き、それ以外は第1調整部5aを閉じる。つまり、ローター40aの供給口44が、第1供給経路22aの投入口23aと重なるタイミングで選択的に第1調整部5aを開くように制御する。同様に、ローター40aの供給口44が、第2供給経路22bの投入口23bに来るタイミングで第2調整部5bを開き、それ以外は第2調整部5bを閉じる。換言すれば、制御部190は、ローター40aの回転周期内における位置に基づいて第1調整部5a、第2調整部5bを制御する。
【0059】
これにより、ローター40aの供給口44が、第1供給経路22aの投入口23aの位置にないときには、材料が供給されないため、ローター40aとバレル50との間への材料の挟み込みを防ぐことができる。つまり、ローター40aの供給口44が、第1供給経路22aの投入口23aと重なるタイミングで選択的に第1調整部5aを開くことにより、材料詰まりを防止することができる。第2供給経路22bにおいても同様である。
【0060】
また、材料貯留部20aと材料貯留部20bとに、異なる色調の材料を貯留することにより、マーブル模様の成型品を製造することもできる。例えば、材料貯留部20aには赤色材料を貯留し、材料貯留部20bには白色材料を貯留しておく。2条タイプのローター40bを用いて、一方の溝には赤色材料が供給され、他方の溝には白色材料が供給されるように、ローター40bの回転周期に合せて第1調整部5a、第2調整部5bの開閉を行う。これにより、紅白のマーブル模様の可塑材料を生成することができる。また、例えば、材料貯留部20aには成型時にできたランナーなどの廃材を再度ペレット化した再生材料を貯留し、材料貯留部20bには新品材料を貯留しておく。第1調整部5aと第2調整部5bの開閉を調整することにより、再生材料を新品材料に一定の比率で混ぜることができる。これにより、環境負荷の低減と、材料コストの削減とを実現することができる。
【0061】
また、例えば、第2調整部5bにより流路径を絞ると、
図10での説明と同様に、第1供給経路22aと、第2供給経路22bとにおける流路径を異ならせることができるため、材料の供給比率を変更することができる。この際、第1調整部5a、第2調整部5bの設定は、ローター40aの回転に拘らず固定とする。
【0062】
以上、述べた通り、本実施形態の可塑化装置104、射出成型装置200によれば、以下の効果を得ることができる。
可塑化装置104において、第1供給経路22aおよび第2供給経路22bのうち少なくともいずれかには、材料の供給量を調整する調整部が設けられている。そして、制御部190は、ローター40aの回転周期内における位置に基づいて第1調整部5a、第2調整部5bを制御する。
【0063】
これによれば、ローター40aの供給口44が、第1供給経路22aの投入口23aの位置にないときには、材料が供給されないため、ローター40aとバレル50との間への材料の挟み込みを防ぐことができる。よって、ローター40aの供給口44が、第1供給経路22aの投入口23aと重なるタイミングで選択的に第1調整部5aを開くことにより、材料詰まりを防止することができる。
従って、均一な可塑化状態の材料を安定供給可能な可塑化装置104を提供することができる。なお、第1調整部5a、第2調整部5bは、シャッター機構に限定されず、材料の供給量を調整することができれば、その他の既知の機構を用いることもできる。
【0064】
実施形態6
***可塑化装置の異なる態様-5***
図13は、
図2におけるd部の拡大図である。なお、
図13では、成形型10を図示している。
上記各実施形態において、成形型のメンテナンス性向上などのためにホットランナー75の周囲にキャップ部材85を設けても良い。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0065】
図13に示すように、可塑化装置100のノズル部60は、成形型10のキャビティー95の直上に配置される。成形型10は、固定型としての上型11と、可動型としての下型15とが当接して構成される。換言すれば、成形型10は、固定型としての上型11と、可動型としての下型15とを含む。
上型11には、ホットランナー75の取り付け孔12が設けられている。取り付け孔12は、開口部からZマイナス方向に深くなるに連れて、内径が段階的に縮小して形成されている。取り付け孔12における最深部の端部12aは、内径が次第に縮小する略円錐状に形成される。端部12aの先端は、成形材料が射出されるゲート開口67として機能する。ゲート開口67は、略円形の穴として構成される。
【0066】
ホットランナー75は、上型11の取り付け孔12に配置されており、可塑化装置100から供給される成形材料を加熱した状態でゲート開口67へと導く。
図13に示すように、ホットランナー75は、本体部76、ノズル部60、ヒーター78a,78bなどから構成される。
本体部76は、略円筒状をなしており、ゲート開口67側の端部の内周面には、図示しない雌ねじが形成されている。
【0067】
ノズル部60は、接続部63、フランジ部64、先端部65などから構成される。
接続部63は、略円筒状をなしており、その外周面には、図示しない雄ねじが形成されている。当該雄ねじと、本体部76の雌ねじとが螺合され、接続部63(ノズル部60)が本体部76の内部に固定される。
フランジ部64は、接続部63の外径よりも大きな外径を有する鍔状の部位である。
先端部65は、フランジ部64からゲート開口67側に向かって突出する略円錐状の部位である。接続部63、フランジ部64、先端部65は、一体として構成されている。
【0068】
本体部76およびノズル部60の中心には、流路77が形成されている。流路77は、中心線61に沿って設けられており、成形材料をゲート開口67へと導く機能を有する。
流路77は、ノズル部60の先端部65において、2つに分岐したノズル開口65aと連通する。なお、ノズル開口65aは2つに限らず、3つでも良いし、それ以上の数設けても良い。
このような構造により、ノズル部60周辺をキャビティー95側から観察したときに、先端部65を中心としたリング状の形状となっている。このため、ゲート開口67は、いわゆるリングゲートとも呼ばれるオープンゲート構造で構成されている。オープンゲート構造では、成形材料の硬化時においても流路77が閉塞されず、ゲート開口67が常に開かれた状態となっている。
【0069】
ヒーター78aは、本体部76に埋設されたコイルヒーターであり、ホットランナー75を加熱する。ヒーター78bは、ノズル部60の接続部63の外周を囲うコイルヒーターであり、ノズル部60を加熱する。ヒーター78a,78bの加熱により、流路77を流通する成形材料の溶融状態が維持される。
【0070】
***キャップ部材の構成***
図14は、
図13におけるj部の拡大図である。
図13に示すように、ホットランナー75の周囲には、キャップ部材85が設けられている。詳しくは、キャップ部材85は、ホットランナー75における円筒状の本体部76の周囲を囲う、本体部76よりも一回り太い円筒状のキャップ部材である。キャップ部材85のキャビティー95側は、ノズル部60のフランジ部64の手前まで形成されており、先端は開口している。
【0071】
図14に示すように、キャップ部材85は、内側のコア部分85aと、表面のシェル部分85bとを有している。キャップ部材85は、可塑化される材料の融点よりも高い材質で構成される。好適例では、キャップ部材85の材質は金属を用いる。
コア部分85aは複数の空隙を有しており、シェル部分85bよりも空隙率が大きくなっている。シェル部分85bは、コア部分85aよりも硬く形成されている。つまり、コア部分85aの材料密度は粗く、シェル部分85bの材料密度は密になっている。
【0072】
好適例において、キャップ部材85は、3Dプリンターにより金属を含有した材料で造形した部材を用いる。金属としては、ステンレスが好ましい。なお、ステンレスに限らず、同等の物性を有する金属であれば良い。換言すれば、キャップ部材85は、可塑化される材料の融点よりも高い材質を用いて構成され、上型11とノズル部60との間に配置される。
そして、コア部分85aと、表面のシェル部分85bとにおける粗密の作り分けは、例えば、3Dプリンターの中抜き造形技術を用いることができる。詳しくは、造形プログラムにおいて、コア部分85aの材料密度は粗く、シェル部分85bの材料密度は密となるように設定して3D造形を行う。
【0073】
以上、述べた通り、本実施形態の可塑化装置100、射出成型装置200によれば、以下の効果を得ることができる。
可塑化装置100を備えた射出成型装置200において、成形型10は、固定型としての上型11と、可動型としての下型15とを含み、上型11とノズル部60との間に配置され、可塑化される材料の融点よりも高い材質を用いたキャップ部材85とを備え、キャップ部材85は、内側のコア部分85aと、表面のシェル部分85bとを有し、コア部分85aは複数の空隙を有し、シェル部分85bよりも空隙率が大きい。
【0074】
キャップ部材85が設けられていない通常の成型時では、取り付け孔12におけるホットランナー75の周囲には可塑化された材料が充填され、その樹脂がキャップ部材的な役割を担っていたが、ホットランナー75の周囲は常に高温となっているため、充填された樹脂が炭化され易く、定期的なクリーニングが必要であった。
これに対して、ホットランナー75の周囲に金属製のキャップ部材85を設けることにより、クリーニングの頻度を大幅に少なくできるため、成形型10のメンテナンス性を向上することができる。さらに、コア部分85aの材料密度が粗く形成されていることにより、コア部分85aが空気断熱層として機能するため、ホットランナー75と上型11との間における断熱性を高めることができる。これにより、樹脂の炭化を低減することができる。樹脂の炭化が低減されると、成型品への黒点などの不良発生も少なくなる。
従って、メンテナンス性が良く、成型効率が高く安定性に優れた射出成型装置200を提供することができる。
【0075】
実施形態7
***三次元造形装置***
図15は、三次元造形装置の概略構成図である。
上記各実施形態の可塑化装置100~104は、三次元造形装置にも適用することができる。以下、上記実施形態と同じ部位には、同じ付番を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
図15に示す、本実施形態の三次元造形装置300は、可塑化材料からなる造形材料を生成して吐出する可塑化装置100と、造形材料が積層される造形面211を有するステージ210と、ノズル部60とステージ210との相対位置を変更する位置変更部230と、位置変更部230を制御する制御部191などから構成される。
【0077】
ステージ210は、ノズル部60に対向する位置に配置されている。本実施形態では、ノズル部60に対向するステージ210の造形面211は、X,Y方向、すなわち水平方向に平行となるように配置される。三次元造形装置300は、三次元造形時において、ノズル部60の先端からステージ210の造形面211に向けて造形材料を吐出させて層を積層することによって三次元造形物を造形する。換言すれば、三次元造形装置300は、可塑化装置100と、可塑化装置100で可塑化した材料を吐出するノズル部60と、材料が積層される造形面211を有するステージ210と、を備える。
ステージ210には、加熱部としてステージヒーター212が備えられている。ステージヒーター212は、ステージ210上に吐出された造形材料の温度が急激に低下することを抑制する。
【0078】
位置変更部230は、ノズル部60とステージ210との相対位置を変化させる。本実施形態では、ノズル部60の位置が固定されており、位置変更部230は、ステージ210を移動させる。位置変更部230は、3つのモーターの駆動力によって、ステージ210をX,Y,Z方向の3軸方向に移動させる3軸ポジショナーによって構成される。位置変更部230は、制御部191の制御下において、ノズル部60とステージ210との相対的な位置関係を変更する。なお、ノズル部60の移動とは、ノズル部60をステージ210に対して相対的に移動させることを意味する。
【0079】
なお、位置変更部230によってステージ210を移動させる構成の代わりに、ステージ210の位置が固定された状態で、位置変更部230がステージ210に対してノズル部60を移動させる構成であっても良い。
または、位置変更部230によってステージ210をZ方向に移動させ、ノズル部60をX,Y方向に移動させる構成や、位置変更部230によってステージ210をX,Y方向に移動させ、ノズル部60をZ方向に移動させる構成が採用されても良い。これらの構成であっても、ノズル部60とステージ210との相対的な位置関係が変更可能である。
【0080】
以上、述べた通り、本実施形態の三次元造形装置300によれば、以下の効果を得ることができる。
三次元造形装置300は、可塑化装置100と、可塑化装置100で可塑化した材料を吐出するノズル部60と、材料が積層される造形面211を有するステージ210と、を備える。
これによれば、三次元造形装置300は、可塑化装置100を備えているため、安定供給される均一な可塑化状態の材料を用いて、効率良く3D造形を行うことができる。従って、造形効率が高く安定性に優れた三次元造形装置300を提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
5a…第1調整部、5b…第2調整部、10…成形型、11…上型、12…取り付け孔、12a…端部、13…上型支持部、15…下型、20a~20d…材料貯留部、21a,21b…パイプ部、22a…第1供給経路、22b…第2供給経路、22c…第3供給経路、22d…第4供給経路、22e…第2供給経路、22f…第2供給経路、23a~23f…投入口、24…入口開口部、24a,24b…入口開口部、40a~40c…ローター、42…溝形成面、43…側面、44…供給口、45…溝、46…凸条部、48…滞留抑制部、50…バレル、52…対向面、54…案内溝、56…連通孔、58…ヒーター、59…逆止弁、60…ノズル部、61…中心線、63…接続部、64…フランジ部、65…先端部、65a…ノズル開口、67…ゲート開口、70…射出制御機構、71…射出シリンダー、72…プランジャー、75…ホットランナー、76…本体部、77…流路、78a,78b…ヒーター、80…収容部、81…ケース体、81a…開口部、82…上部カバー、85…キャップ部材、85a…コア部分、85b…シェル部分、90…台座部、91…車輪、92…ストッパー脚、95…キャビティー、96…駆動モーター、97…ローター減速機、98…ローター駆動部、100~104…可塑化装置、130…下型支持部、140…位置変更部、141…可動部、142…電動アクチュエーター、150…基台、170…型締装置、171…型締モーター、172…減速機、173…ボールネジ部、174…可動盤、175…第1支柱部、176…第2支柱部、180…エジェクター部、190,191…制御部、200…射出成型装置、210…ステージ、211…造形面、212…ステージヒーター、230…位置変更部、300…三次元造形装置。