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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170810
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】物品供給装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/00 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A47F7/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082850
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】横野 周作
(57)【要約】
【課題】
従来のディスペンサーの固定観念から離れて、全く新しい発想によって、売り場環境の制約を受けず、使い勝手の良い物品供給装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
機能的には、物品保管容器に取り付けて用いることができる計量販売用の物品供給装置であり、構造的には、物品放出部と、前記物品放出部に対して物品保管容器を接続可能とするアタッチメントと、前記物品放出部と物品保管容器が接続された状態で両者を支持する支持部を備えることを特徴とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品保管容器に取り付けて用いることができる
ことを特徴とする計量販売用の物品供給装置。
【請求項2】
物品放出部と、
前記物品放出部に対して物品保管容器を接続可能とするアタッチメントと、
前記物品放出部と物品保管容器が接続された状態で両者を支持する支持部を備える
ことを特徴とする物品供給装置。
【請求項3】
前記アタッチメントは、物品保管容器のサイズ及び/又は種別に応じて交換可能である
ことを特徴とする請求項2に記載の物品供給装置。
【請求項4】
複数種類用意された前記アタッチメントの中には、物品保管容器を受け入れる口が略円形であり、かつ、内周の周方向に所定の間隔で複数の凸部を備えるものが含まれる
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の物品供給装置。
【請求項5】
複数種類用意された前記アタッチメントの中には、物品保管容器を受け入れる口が略円形であり、かつ、内周に雌ネジが切られているものが含まれる
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の物品供給装置。
【請求項6】
前記物品放出部は、上方に膨出部を備え、
前記支持部は、上方に支持枠を備え、
前記支持枠が前記膨出部を抱え込むように支持する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の物品供給装置。
【請求項7】
前記支持部は、支持脚と、物品を受け入れるための受入側開口部と、を有する計量装置の上に載置されるものであり、
前記物品放出部は、物品を放出するための放出口を有し、かつ、該放出口が前記受入側開口部に覆い被さるようにされ、
前記支持脚は、前記放出口と前記受入開口部とが離間する寸法とされている
ことを特徴とする請求項2に記載の物品供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品供給装置、特に、計量販売用に適した物品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、業者向けに販売される大量仕入れ向けに一纏めにされた物品を小売りにて提供するバルク販売が、注目されている。バルク販売を行うに際しては、顧客が所望する量だけを購入できるようにした物品供給装置が用いられる。シリアルディスペンサー、ナッツディスペンサー、キャンディディスペンサー、スナックディスペンサー等のいわゆるバルクディスペンサーと呼ばれる装置である(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“Dry Food Dispenser 5Lt | IDM Dispenser 5 Free Standing - D50-ret”,[online],[令和4年5月13日検索],インターネット,<URL:https://qecdistribution.com.au/dry-food-dispenser-5lt-idm-dispenser-5-free-standing-d50-ret/>
【0004】
また、物品供給装置の中には、バルクディスペンサーから放出される物品を店舗が用意した紙容器(風袋)に収納し、計量後に発行される値付けラベルを容器に貼り付けてレジにて精算するという販売形態に適した物品販売装置として構成されているものもある。
【0005】
図9は、このような物品販売装置を示したものであり、複数用意された収納部(筒)から、希望する種類の物品に対応した収納部の供給操作部を操作することによって、任意の量の物品を取り出し、はかり売り(計量販売)を行うものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、はかり売り(計量販売)を行うとなると、当然、図9に示されるように計量装置(ロードセル)が必要となり、装置が大型化する。また、複数の商品のディスペンサーが用意される場合には、商品選択に伴う処理や、容器重量の減算(所謂、風袋引き)に伴う処理を行うために店員の補助が必要となり、セルフ販売に向かないものであった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、従来のバルクディスペンサーの固定観念から離れて、全く新しい発想によって、売場環境の制約を受けず、使い勝手の良い物品供給装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の物品供給装置は、機能的特徴として、少なくとも以下の構成を具備するものである。
物品保管容器に取り付けて用いることができることを特徴とする計量販売用の物品供給装置である。
また、本発明の物品供給装置は、構造的特徴として、少なくとも以下の構成を具備するものである。
物品放出部と、前記物品放出部に対して物品保管容器を接続可能とするアタッチメントと、前記物品放出部と物品保管容器が接続された状態で両者を支持する支持部を備えることを特徴とする物品供給装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、売り場環境の制約を受けず、使い勝手の良い物品供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る物品供給装置の外観を示す斜視図であって、支持部の一部を破断させた図である。
図2】本発明の実施形態に係る物品供給装置の外観を示す斜視図であって、計量装置(ホッパースケール)と共に用いられる様子を示した図である。
図3】本発明の実施形態に係る物品供給装置の外観を示す斜視図であって、自立型で用いられる場合を示した図である。
図4】本発明の実施形態に係る物品供給装置の物品放出部の内部構造及び動作を示す説明図であって、(a)は、物品放出が遮断されている状態を、(b)は、物品が放出されている状態を示している。
図5】本発明の実施形態に係る物品供給装置における物品放出部2、アタッチメント3、支持部4の関係を示す分解斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る物品供給装置におけるアタッチメント3の別の例を示すための分解斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る物品供給装置が、物品放出部と物品保管容器が接続された状態で支持されている状態から、両者が接続されたままで、外すことができる状態遷移を示した写真である。
図8】本発明の実施形態に係る物品供給装置と共に用いられる計量装置を示す斜視図である。
図9】従来の物品販売装置(バルクディスペンサー)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る物品供給装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため、部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0012】
(物品供給装置の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る物品供給装置の外観を示す斜視図であって、支持部の一部を破断させた図である。図2は、本発明の実施形態に係る物品供給装置の外観を示す斜視図であって、計量装置(ホッパースケール)の上に据え付けられて用いられる場合を示した図である。図3は、本発明の実施形態に係る物品供給装置の外観を示す斜視図であって、ホッパースケールを伴うことなく、自立型で用いられる場合を示した図である。
【0013】
図1ないし3に示す本発明の実施形態に係る物品供給装置1は、物品保管容器5に取付けて用いられるものである。ここで、物品保管容器5は、文字通り、物品を保管するための容器であるが、仕入れた商品をストックするために物品保管容器5に移し替えるという作業が要求される訳ではなく、このままの格好で卸売りがされる流通容器ということでもあり、物品保管流通容器と捉えることもできる。つまり、販売者は、自身が仕入れたバルク商品の流通容器(通い容器)に、そのまま物品供給装置1を取り付ける格好となる。
【0014】
具体的な構造として、物品供給装置1は、物品放出部2、アタッチメント3、支持部4とから構成される。物品放出部2は、物品保管容器5から投入される物品を物品供給装置1の外に放出する機能を担うものであって、物品を通過、遮断させるための概略筒状の形状とされている。アタッチメント3は、物品放出部2と物品保管容器5のジョイントとして機能するものである。支持部4は、物品供給装置1を支え、起立させるための手段であり、ホッパースケールに接続される形態のものと、自立させるための形態のものとが存在する。なお、物品保管容器5は、物品供給装置1自体の構成要素ではない。
【0015】
物品放出部2は、樹脂成型等により製造されたものであり、操作者が回転操作を行うための放出操作部21と、放出操作部21の回転に連動して物品放出部2本体内部で回転される遮蔽部22(図1~3において不図示)と、物品供給装置1から物品を外部に放出、若しくは、ホッパースケールに受け渡すための放出口23を備えている。また、本実施形態において、物品放出部2は、後述するアタッチメント挿入スロット24(図1~3において不図示)を有している。
【0016】
図4は、本発明の実施形態に係る物品供給装置の物品放出部の内部構造及び動作を示す説明図であって、(a)は、物品放出が遮断されている状態を、(b)は、物品が放出されている状態を示している。遮蔽部22は、図示されるように、60度間隔で設けられた6枚の仕切り板がプロペラ状に形成されている。材質は、シリコン樹脂とされ、物品に傷を与えたりすることなく、また、防汚性でも優れている。遮蔽部22は、放出操作部21と連動しており、放出操作部21による回転操作に応じて回動するものであるが、60度ごとに停止保持するクリック機構(不図示)が設けられており、放出操作部21、遮蔽部22ともに自由に回転されるものではない。クリック機構として、回転体のボール孔にクリック用ボールを収容し、該ボールをボール孔の奥部に収容した圧縮コイルバネで突出方向に移動付勢するといった既存技術や、より簡便なバネ構造など、適宜のものを採用可能である。
【0017】
図4(a)に示すように、遮蔽部22の6枚の仕切り板のうち2枚が水平状態にあるときは、停止位置であるため、物品保管容器5の口が下を向いていても、物品が放出口23から漏れてしまうようなことはない。このことは、後述する商品補充ないし商品変更に関する作業に際して有利な構成となっている。放出操作部21による回転操作に応じて、遮蔽部22が回転すると、図4(b)に示されるように、仕切り板で仕切られた左側の区画部分に収容されていた物品が順次送られて、放出口23から物品供給装置1の外へ放出される。なお、この例では、左回りで物品を放出させる態様であるが、右回りで物品を放出させる構成としても良い。
【0018】
図5は、本発明の実施形態に係る物品供給装置における物品放出部2、アタッチメント3、支持部4の関係を示す分解斜視図である。アタッチメント3は、物品放出部2と物品保管容器5のジョイントとして機能するものであるが、複数種類のアタッチメント3が用意されている。
【0019】
アタッチメント3には、物品保管容器5と物品放出部2を連通させて接続するための開口が設けられている。また、図示されるように、アタッチメント3は、物品放出部2のアタッチメント挿入スロット24に押し込まれて取り付け及び取り外しができるように構成されている。このようにされている理由は、数多くの種類のある商品に対応して、様々なサイズの口径や口形状の物品保管容器5が存在するところ、それら複数種類の物品保管容器5に対応させるためであって、開口サイズや開口部形状の異なる複数種類のアタッチメント3を用意しておき、交換可能とするためである。
【0020】
ここで、開口部の形状は略円形であって、内周の周方向に所定の間隔で複数の凸部31が設けられ、物品保管容器5のネジに巻き締めできるようにされている(図5においては、全ての凸部31について引出線を描いておらず、一部の図示を省略している。)。所謂ツイストキャップのように、物品保管容器5との接続がなされる。ただし、必須のものではなく、凸部31に代えて、開口部の内周に雌ネジを切って、スクリューキャップの如き構成とすることもできる。実際に接続する物品保管容器5のキャップがツイストキャップかスクリューキャップであるかに応じて、アタッチメント3の開口部の形状を対応させて用意しておくのが好ましいが、全て、凸部31で対応させることも可能である。ただし、物品保管容器5の開口サイズに応じて、アタッチメント3の開口部サイズも複数種類を用意することは必要となる。
【0021】
物品放出部2の上端には、アタッチメント3を差し込むことのできるアタッチメント挿入スロット24が設けられている。このことから、アタッチメント3は、物品放出部2と物品保管容器5を接続させて両者を連通させる役目を果たしている。
【0022】
支持部4は、物品放出部2にアタッチメント3を介して物品保管容器5が接続されている状態で一体化された物品供給装置1の本体を支える役目を担っている。支持部4は、支持枠41と支持脚42とから構成される。支持枠41は、物品放出部2の上方の膨出部(図5におけるアタッチメント挿入スロット24に相当する箇所)の縁を抱えるようにして保持し、支持脚42は、装置全体の支持構造となる。支持脚42は、アルミ押出成形により製造されており、後述するホッパースケール用台座43ないし自立用台座44の係合部に係合される。
【0023】
図6は、アタッチメント3の別の例を示す分解斜視図である。図5に示す例では、アタッチメント3がアタッチメント挿入スロット24へ水平方向に差し込まれるのに対して、図6に示す例では、アタッチメント3を物品放出部2に被せ、四隅をネジ止めする構成とされている。図5の例は、アタッチメント交換操作がより簡単であるのに対して、図6の例は、接続がより強固となるという違いがある。
【0024】
図5の例であれ、図6の例であれ、アタッチメント3が接続済みの物品放出部2を支持部4から取り外す場合は上方向に少し移動させてから、水平方向前方へ引き出すことになる。図7は、この様子を示した写真である。物品放出部2と物品保管容器5がアタッチメント3を介して接続された状態で支持枠41に支持されている状態から、物品放出部2と物品保管容器5が接続されたままで、取り外される様子を見て取ることができる。
【0025】
(商品補充ないし商品交換のための作業手順)
商品補充や商品交換の際の物品保管容器5の交換作業の一例について説明する。図7(a)を、丁度商品が全て排出され尽くして空となった状態と想定すると分かり易い。先ず、図7(a)→図7(b)→図7(c)の順で、物品放出部2と物品保管容器5が接続されたままの状態で、支持枠41からアタッチメント3を取り外す。
【0026】
次に、その状態のままで、アタッチメント3の上下を反転させる。すなわち、物品放出部2が上となり、物品保管容器5が下となるように180度回転させる。アタッチメント3の形状(ツイスト用の凸部31かスクリュー用のネジか)に応じて、必要な捻り動作ないし回転操作をして、物品保管容器5からアタッチメント3及び物品放出部2を取り外す。
【0027】
最後に、補充ないし交換用に予め用意された新しい物品保管容器5に、アタッチメント3及び物品放出部2を取り付ける。以降は、物品保管容器5が上で、物品放出部2が下という元の状態となるように上下を反転させる。先に説明したように、放出操作部21及び遮蔽部22は、クリック機構により60度ごとに停止保持され、自由に回転されるものではないため、物品放出部2の放出口23を下向きにしても、物品が漏れ出すことはない。そして、図7(c)→図7(b)→図7(a)の順で、物品放出部2と物品保管容器5が接続されたままの状態で、支持部4の支持枠41にアタッチメント挿入スロット24に相当する箇所の膨出部を載せるように取り付け、商品補充ないし商品交換作業が完了する。
従来のバルクディスペンサーは、例えば、図9に示されるように、供給操作部と収納部(筒)及び蓋部は分離分解できるものの、商品補充時には、上方の蓋部を開放分離させるのみで商品を高い位置から補充する一方で、商品変更時には、供給操作部と収納部を分解し、必要な清掃等を行うことから、バルクディスペンサーには、商品補充や商品変更といったメンテナンス面において、煩雑さが伴うものであった。しかし、本発明の実施形態に係る物品供給装置の構造によれば、商品補充や商品変更のオペレーションが格段に簡便化されることになる。
【0028】
(ホッパースケールに接続される形態での使用態様)
図2は、本発明の実施形態に係る物品供給装置の外観を示す斜視図であって、計量装置(ホッパースケール)と共に用いられる様子を示した図である。物品供給装置1が、物品放出部2、アタッチメント3、支持部4とから構成されることは、既に、説明したとおりである。物品放出部2が、物品保管容器5から投入される物品を物品供給装置1の外に放出する機能を担うものであって、物品を通過、遮断させるための概略筒状の形状とされており、アタッチメント3が、物品放出部2と物品保管容器5のジョイントとして機能するものであることについても、同様に、説明済みである。
【0029】
本使用形態において、物品供給装置1は、支持部4を介して、計量装置6の上に載置されている。具体的に、計量装置6の筐体の後方側にホッパースケール用台座43が被せられ、ないし、嵌め合わされて、ホッパースケール用台座43に設けられた係合部に支持脚42が係合される格好で、物品供給装置1が支えられる構造とされている。この状態で、物品放出部2の放出口23が、計量装置6の図示されない受入側開口部61に覆い被さるようにされつつも、放出口23と受入開口部61とは離間する位置関係となるように、支持脚42のサイズが設定されている。
【0030】
計量装置6は、重心が筐体の後半分に位置するような重量バランスとされている。このため、物品供給装置1が取り付けられた状態で、計量装置6は、筐体の2/3程度の部分だけを棚の上に安定して載置することが可能となるようになっている。図2では図示を省略しているが、既存の普通の棚に、計量装置の前側部分をはみ出した状態で載置されることになる。後述する計量装置6の放出側開口部62(不図示)が棚から前方に飛び出すようにされ、当該放出側開口部62(不図示)の下に、顧客が用意した自前の容器を位置させて、その中に物品が収容される。
従来のバルクディスペンサーは、図9や非特許文献1に示されるように、3つないし5つといった決まった数のディスペンサーが専用ラックに据え付けられるのが普通であり、ロードセルを備えるか否かに関わらず、既設のラックに設置することは、そもそも困難であった。当然、売場には、スペース的な条件が求められ、また、専用ラックに据え付けられたバルクディスペンサーにホッパースケールを追加する際には、ホッパースケールを支える棚を別に用意する等、ラック自体を改造する必要があり、簡単に後付けできるものではなかった。本発明の実施形態に係る物品供給装置の構造によれば、既設の普通のラックに簡単に設置することが可能である。また、1台だけからでも、導入可能である。
【0031】
計量装置6を複数接続できるコンソール(表示操作部:不図示)を独立して設置することで、計量装置6から送信される号機識別子により商品を特定し、バルク販売における売価を該商品の単価から算出決定することで紙媒体の印字出力でデータ出力を実行する。計量装置6は、電源ONとされた時、或いは所定操作が実行された時に、自装置で必要な情報(例えば商品単価情報)を取得する。ホッパースケールであることから、ロードセルを用いる場合の風袋引き操作を行う必要がなく、セルフ化対応が容易である。顧客は、物品供給装置1の放出操作部21を操作することで、購入する質量、売価などを確認し、適量に達したときに、計量装置6の物品放出操作部66(これについては後述する。)を操作することで、容器に商品を納めることができる。
【0032】
(自立型としての使用態様)
図3は、本発明の実施形態に係る物品供給装置の外観を示す斜視図であって、自立型で用いられる場合を示した図である。物品供給装置1が、物品放出部2、アタッチメント3、支持部4とから構成されることは、既に、説明したとおりである。物品放出部2が、物品保管容器5から投入される物品を物品供給装置1の外に放出する機能を担うものであって、物品を通過、遮断させるための概略筒状の形状とされており、アタッチメント3が、物品放出部2と物品保管容器5のジョイントとして機能するものであることについても、同様に、説明済みである。
【0033】
本使用形態において、物品供給装置1は、支持部4を介して、既設ラック等、普通の棚に載置することが可能である。具体的には、自立用台座44に設けられた係合部に支持脚42が係合される格好で、物品供給装置1が支えられる構造とされている。また、本使用形態において、物品供給装置1には、ホッパースケールが接続されてはいない。代わりに、操作者が回転操作を行うための放出操作部21に傾斜センサやロータリーエンコーダなどの操作検出子(不図示)が内蔵されており、放出操作部21の回転量を計測すると共に操作対象を認識し、計測結果の信号を号機識別子と共にコンソール(不図示)に送信し、バルク販売における売価を該商品の単価から算出決定することで紙媒体の印字出力でデータ出力を実行する。すなわち、量り売りでなく、嵩売りに適した商品の場合には、ホッパースケールがなくとも、本使用形態で十分に対応することが可能である。なお、回転量は計測せず、操作対象の認識だけを行うようにしてもよい。
【0034】
さらに、検出操作子を備えないものであっても良い。ホッパースケールやロータリーエンコーダと組み合わせての使用が有利であることは間違いないものの、本発明の物品供給装置1から排出された物品を別途計量するようにしてもよい。すなわち、本発明の概念から、ロードセルと組み合わせて使用されることが排除されるものではない。ホッパースケール等との融合の他にも、設置場所を選ばない、1台だけでも導入し易い等、構造上、有利な特徴を本発明は備えるものだからである。既に、ロードセルやラベル発行装置が備えられている売場環境において、バルクディスペンサーを新規導入する際には、自立型でロータリーエンコーダ無しのタイプのものであっても十分に意味があるし、従前のバルクディスペンサーの専用ラックを設置する十分なスペースが無い場合に、既設ラックに載置するだけで導入が可能という点も、本発明の有利な点といえる。
【0035】
(計量装置の構成)
本発明の実施形態に係る物品供給装置と組み合わせて用いられる計量装置について説明する。図8は、本発明の実施形態に係る物品供給装置と共に用いられる計量装置を示す斜視図である。計量装置6は、上側に、物品供給装置1から放出される物品を受け入れるための受入側開口部61を有し、下側に、顧客が用意した容器に物品を放出するための放出側開口部62を有する。
【0036】
計量装置6の前面パネルには、複数の表示部が設けられており、重量表示部63、単価表示部64、金額表示部65等から成る。これらの表示部は、独立した7セグで構成されているが、例えば、液晶パネルで構成してもよい。
【0037】
表示部の他、計量装置6の前面パネルには、物品放出操作部66が設けられている。また、システム構成の図示は省略するが、計量装置6は、CPUと、ROMと、RAMとから成るコンピュータを備え、当該コンピュータが計量部、表示部、通信部等の他のハードウェア要素と協働されるように構成されている。
【0038】
CPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、計量装置6の動作を制御する。例えば、CPUは、物品供給装置1から放出された物品の計量重量を当該客による物品の購入重量として算出する。ROMは、読み出し専用メモリであり、例えば、プログラムをはじめとしてCPUが利用する種々の情報を記憶する。RAMは、読み出し書き込みメモリであり、例えば、ROMから読み出した情報、CPUによって処理(演算、生成、更新等)された情報、上記処理においてCPUによって参照される情報、通信部を介して取得した情報、計量部によって得られた情報等種々の情報を記憶する。例えば、RAMは、計量重量の増減(つまり、物品供給装置1から計量装置6への物品の放出か、計量装置6から顧客が用意した容器への物品の放出か)を判断するための判断用の重量、通信部を介して取得した物品の単価を記憶する。計量部は、計量装置6内に案内された物品の重量を計量する。
【0039】
物品放出操作部66の操作によって、物品供給装置1から計量装置6内に取り込まれた物品が全て放出された場合、計量装置6は、物品購入情報を図示されないコンソールに送信する。計量装置6とコンソールとは1対1での対応とすることも勿論可能ではあるが、1台のコンソールに複数の計量装置6を接続させるようにするのが好ましい。計量装置6から送信される号機識別子により商品を特定し、バルク販売における売価を該商品の単価から算出決定することで紙媒体の印字出力を集中処理とすることができる。号機識別子は、MACアドレスやDIPスイッチなど識別可能な情報であれば良いし、商品識別情報(PLU)を記憶させるようにしても良い。計量装置6は、電源ONとされた時、或いは所定操作が実行された時に、自装置で必要な情報(例えば商品単価情報)につき通信部を介して取得する。このような構成の計量装置6によれば、風袋引き操作は行う必要がなく、セルフ化対応が容易である。充填量と初期の収納物の内容量を入力することによって、在庫管理や品切れのアラート生成も可能となる等、管理の自動化の面でも有利である。
【0040】
(付記)
このように、本発明の物品供給装置とホッパースケールとを組み合わせれば、商品販売装置としての有効性が高まるものであるところ、物品供給装置とホッパースケールとの組み合わせという観点で観念することのできる計量排出装置としての発明や、ホッパースケールと組み合わせ使用する場合の有利な形状という観点で観念することのできる物品排出装置の発明についても、以下に、示しておく。
【0041】
<付記1>
物品を受け入れるための受入側開口部を有する計量装置と、物品補完容器を着脱自在に載置し、かつ、物品を前記受入側開口部へ向けて放出する物品放出部を有する物品供給装置と、を備え、前記物品放出部は、前記受入側開口部上方に物品供給装置支持部を介して設けられていることを特徴とする計量排出装置である。
【0042】
<付記2>
物品補完容器を着脱自在に載置し、かつ、物品を下方へ放出する物品放出部と、支持脚を有する支持部とを、備える物品排出装置であって、前記支持部は、前記物品放出部において物品が落下する直下を避けつつも前記物品排出装置を支持し、かつ、前記支持脚と連結されることで前記物品排出装置を立設していることを特徴とする物品排出装置である。
【0043】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、物品供給装置、特に、計量販売用に適した物品供給装置に関する。
[背景技術]
近年、業者向けに販売される大量仕入れ向けに一纏めにされた物品を小売りにて提供するバルク販売が、注目されている。バルク販売を行うに際しては、顧客が所望する量だけを購入できるようにした物品供給装置が用いられる。シリアルディスペンサー、ナッツディスペンサー、キャンディディスペンサー、スナックディスペンサー等のいわゆるバルクディスペンサーと呼ばれる装置である(例えば、非特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[非特許文献]
[非特許文献1]“Dry Food Dispenser 5Lt | IDM Dispenser 5 Free Standing - D50-ret”,[online],[令和4年5月13日検索],インターネット,<URL:https://qecdistribution.com.au/dry-food-dispenser-5lt-idm-dispenser-5-free-standing-d50-ret/>
また、物品供給装置の中には、バルクディスペンサーから放出される物品を店舗が用意した紙容器(風袋)に収納し、計量後に発行される値付けラベルを容器に貼り付けてレジにて精算するという販売形態に適した物品販売装置として構成されているものもある。
図9は、このような物品販売装置を示したものであり、複数用意された収納部(筒)から、希望する種類の物品に対応した収納部の供給操作部を操作することによって、任意の量の物品を取り出し、はかり売り(計量販売)を行うものである。
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
ところで、はかり売り(計量販売)を行うとなると、当然、図9に示されるように計量装置(ロードセル)が必要となり、装置が大型化する。また、複数の商品のディスペンサーが用意される場合には、商品選択に伴う処理や、容器重量の減算(所謂、風袋引き)に伴う処理を行うために店員の補助が必要となり、セルフ販売に向かないものであった。
本発明の実施形態は、上記に鑑みてなされたものであり、従来のバルクディスペンサーの固定観念から離れて、全く新しい発想によって、売場環境の制約を受けず、使い勝手の良い物品供給装置を提供することを課題とするものである。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、物品保管容器5に取り付けて用いることができることを特徴とする計量販売用の物品供給装置1である。
【0044】
上記構成によれば、既存のラックに簡単に設置できるため、バルクディスペンサー導入のハードルを極めて低くすることが可能となる。
【0045】
(2)本実施形態の一態様は、物品放出部2と、前記物品放出部2に対して物品保管容器5を接続可能とするアタッチメント3と、前記物品放出部2と物品保管容器5が接続された状態で両者を支持する支持部4を備えることを特徴とする物品供給装置1である。
【0046】
上記構成によれば、商品補充や商品交換に際して、新たな物品保管容器5と物品放出部2を接続し、再度、支持部4にセットするだけで、販売再開できるので非常に有用である。
【0047】
(3)本実施形態の一態様は、(2)に記載の物品供給装置1において、前記アタッチメント3は、物品保管容器5のサイズ及び/又は種別に応じて交換可能であることを特徴とする。
【0048】
上記構成によれば、様々なサイズの口径や口形状の物品保管容器5に対応させることが可能となる。
【0049】
(4)本実施形態の一態様は、(2)又は(3)に記載の物品供給装置1において、複数種類用意された前記アタッチメントの中には、物品保管容器を受け入れる口が略円形であり、かつ、内周の周方向に所定の間隔で複数の凸部を備えるものが含まれることを特徴とする。
【0050】
上記構成によれば、ツイストキャップ容器に対応させることができる。
【0051】
(5)本実施形態の一態様は、(2)又は(3)に記載の物品供給装置1において、複数種類用意された前記アタッチメントの中には、物品保管容器を受け入れる口が略円形であり、かつ、内周に雌ネジが切られているものが含まれることを特徴とする。
【0052】
上記構成によれば、スクリューキャップ容器に対応させることができる。
【0053】
(6)本実施形態の一態様は、(2)又は(3)に記載の物品供給装置1において、前記物品放出部は、上方に膨出部を備え、前記支持部は、上方に支持枠を備え、前記支持枠が前記膨出部を抱え込むように支持することを特徴とする。
【0054】
上記構成によれば、商品補充や商品交換の作業を円滑に行うことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態に係る物品供給装置1について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態において、物品保管容器は、流通においても使用される通い容器であったが、専用の容器を用意しても本発明の範囲に含まれるものである。既設ラックに設置できる等、本発明の優位性は、なお発揮されるからである。
ただし、通い容器であれ、専用容器であれ、開口が一つしかない容器のその開口部に物品供給装置が接続されるだけで、バルクディスペンサーが実現できるという点は、本発明が有する全く新しい発想であり、有意性である。バルクディスペンサー導入のハードルを限りなく低くした点に、本発明の意義があることは十分に理解されるべきものである。また、その構造的特徴から、本発明は必ずしも計量販売用でなくとも、例えば、飲食店等において、作業従事者が操作する物品供給装置にも適用可能であることが理解されよう。
【符号の説明】
【0056】
1 物品供給装置
2 物品放出部
21 放出操作部
22 遮蔽部
23 放出口
24 アタッチメント挿入スロット
3 アタッチメント
31 凸部
4 支持部
41 支持枠
42 支持脚
43 ホッパースケール用台座
44 自立用台座
5 物品保管容器
6 計量装置
61 受入側開口部
62 放出側開口部
63 重量表示部
64 単価表示部
65 金額表示部
66 物品放出操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9