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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170834
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】送電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/60 20160101AFI20231124BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20231124BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/12
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082898
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅一
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD05
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】高感度な異物検出と誤検出の抑制の両立が可能な送電装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の送電装置は、受電装置と非接触で電力伝送を行う。送電装置は、送電コイルと、電流検出回路と、制御回路と、を備える。電流検出回路は、前記送電コイルの電流値を測定する。制御回路は、前記受電装置と前記電力伝送を行っていない待機時の待機時電流を基準値として求め、前記基準値に一定値を加えた値又は前記基準値に一定の比率を加算した値を異物検出の閾値とし、前記待機時に前記電流検出回路で検出した前記電流値が前記閾値以上である場合に、前記送電コイル上に異物があると判定する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電装置と非接触で電力伝送を行う送電装置であって、
送電コイルと、
生成した送電電力を前記送電コイルに供給する送電回路と、
前記送電回路に入力される電流値を測定する電流検出回路と、
前記受電装置と前記電力伝送を行っていない待機時の待機時電流を基準値として求め、前記基準値に一定値を加えた値又は前記基準値に一定の比率を加算した値を異物検出の閾値とし、前記待機時に前記電流検出回路で検出した前記電流値が前記閾値以上である場合に、前記送電コイル上に異物があると判定する制御回路と、
を備える送電装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記基準値の測定を、電源投入後、且つ、前記受電装置への送電開始前に行う、請求項1に記載の送電装置。
【請求項3】
外部トリガを備え、
前記制御回路は、前記待機時であって、前記外部トリガが操作されたときに、前記基準値を求め、前記異物検出の閾値を設定する、請求項1に記載の送電装置。
【請求項4】
閾値設定処理中である情報を表示する表示部を備え、
前記制御回路は、前記待機時の電流値を測定し、前記表示部を制御して、前記閾値設定処理中である情報を前記表示部に表示させるとともに、前記閾値設定処理中に測定した電流値を前記閾値に設定する、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の送電装置。
【請求項5】
受電装置と非接触で電力伝送を行う送電装置であって、
送電コイルと、
生成した送電電力を前記送電コイルに供給する送電回路と、
前記送電回路に入力される電流値を測定する電流検出回路と、
閾値設定処理中である情報を表示する表示部と、
前記受電装置と前記電力伝送を行っていない待機時の電流値を測定し、前記表示部を制御して、前記閾値設定処理中である情報を前記表示部に表示させるとともに、前記閾値設定処理中に測定した電流値を異物検出の閾値に設定する制御回路と、
を備える送電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者が操作するショッピングカートなどのカート(移動台車)に電子機器を搭載して様々なサービスを提供するシステムが考案されている。カートには、電子機器に電力を供給するバッテリが搭載されている。カートに搭載されたバッテリの充電システムとして、収納位置に収納したカートに非接触で給電する非接触電力伝送技術が採用される。例えば給電システムにおいて、カートに受電コイルを設け、収納位置に収納したカートの受電コイルに電力を供給する送電コイルが収納位置に搭載されている。また、このような非接触電力伝送技術は、カート以外の分野においても用いられている。
【0003】
非接触で電力伝送を行う装置において、送電コイルと受電コイルの間に金属異物が挟まったまま電力伝送を行うと、金属異物が発熱するという問題がある。
【0004】
そこで、例えば外部電源からの入力電流を検出して、あらかじめ設定された異物判定用閾値との比較処理を行うことで、金属異物の存在を判定する技術も知られている。また、金属異物の発熱に対する安全性を高めるために、異物判定用閾値をできるだけ小さくして金属異物の検出感度を高くすると、誤検出によって電力伝送が開始しない虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-229265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、高感度な異物検出と誤検出の抑制の両立が可能な送電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の送電装置は、受電装置と非接触で電力伝送を行う。送電装置は、送電回路と、電流検出回路と、制御回路と、を備える。送電回路は、送電コイルを含む。電流検出回路は、前記送電回路の電流値を測定する。制御回路は、前記受電装置と前記電力伝送を行っていない待機時の待機時電流を基準値として求め、前記基準値に一定値を加えた値又は前記基準値に一定の比率を加算した値を異物検出の閾値とし、前記待機時に前記電流検出回路で検出した前記電流値が前記閾値以上である場合に、前記送電コイル上に異物があると判定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る給電システムの構成を示す斜視図。
図2】第1実施形態に係る給電システムのカートの構成を示す斜視図。
図3】第1実施形態に係る給電システムの制御系の構成を示すブロック図。
図4】第1実施形態に係る給電システムの受電装置及び送電装置の構成を示す斜視図。
図5】第1実施形態に係る給電システムの送電装置の処理の一例を示す流れ図。
図6】第1実施形態に係る給電システムの送電装置の処理の一例として、異物検出用閾値の設定処理を示す流れ図。
図7】第1実施形態に係る給電システムの送電装置による送電電流の変化の一例を示す説明図。
図8】第1実施形態に係る給電システムの送電装置による送電電流の変化の一例であって、送電装置毎の待機時電流の一例を示す説明図。
図9】第2実施形態に係る給電システムの受電装置及び送電装置の構成を示す斜視図。
図10】第2実施形態に係る給電システムの制御系の構成を示すブロック図。
図11】第3実施形態に係る給電システムの送電装置の構成を示す斜視図。
図12】第3実施形態に係る給電システムの制御系の構成を示すブロック図。
図13】第3実施形態に係る給電システムの異物検出用閾値の設定処理の一例を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1実施形態に係る給電システム1及び送電装置35について図1乃至図8を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る給電システム1の構成を示す斜視図であり、図2は給電システム1のカート2の斜視図である。図3は給電システム1の制御系の構成を示すブロック図である。図4は、受電装置23及び送電装置35の構成を示す斜視図である。図5は、送電装置35による送電処理の一例を示し、図6は、送電装置35の送電処理のうち、異物検出用閾値Tの設定処理を示す流れ図である。図7は、送電装置35による送電電流の変化の一例を示す説明図であり、図8は、送電装置35毎による送電電流の変化の一例を示す説明図である。
【0010】
図1及び図3に示すように、給電システム1は、受電装置23と、送電装置35と、を備える。受電装置23は、例えば、カート2に設けられる。送電装置35は、例えば、複数のカート2を収容するカートベース3に複数設けられる。以下の実施形態の説明において、給電システム1は、受電装置23及び送電装置35をカート2及びカートベース3に適用した例を説明する。
【0011】
図1に示すように、給電システム1は、受電装置23を備えるカート2と、複数のカート2を設置するとともに送電装置35を備えるカートベース3と、を備える。給電システム1は、複数の送電装置35を一方向に並べて備えるカートベース3において、受電装置23をそれぞれ備える複数のカート2が、一方向に並べて収納され、複数の送電装置35と複数の受電装置23が所定の間隔で対向配置される。
【0012】
図2に示すカート2は、移動体であり、例えばショッピングカートである。カート2は、フレーム11と、かご部12と、キャスタ151、152と、電子機器21と、バッテリ22が内部に設けられたバッテリボックス223と、受電装置23と、を備える。
【0013】
フレーム11は、異なる複数の方向に延びる複数のフレーム部材が組みつけられて構成される。フレーム11は、かご部12、複数のキャスタ151、152、各種の電子機器21、及び受電装置23をそれぞれ所定箇所に支持する。
【0014】
フレーム11は、例えば、左右一対の縦フレーム部111と、下フレーム部112と、横フレーム部113と、ハンドル部114と、取付フレーム115と、を備える。縦フレーム部111、下フレーム部112及び横フレーム部113は、互いに交差する方向に延びる。
【0015】
縦フレーム部111は、後輪キャスタ152から上方に延びる一対のメインフレーム1111と、メインフレーム1111の後ろ側に設けられた一対のサブフレーム1112と、メインフレーム1111の前側に設けられた一対のサブフレーム1113と、を備える。縦フレーム部111は、かご部12の後方において上下方向に延び、下端部に後輪キャスタ152が配置される。
【0016】
下フレーム部112は、床面に沿って配される複数のフレーム部材を備える。下フレーム部112は、例えば一対のメインフレーム1121と、サポートフレーム1123と、前連結部1124と、サポートフレーム1123の下方に設けられる取付部1125と、を備える。メインフレーム1121は、後輪キャスタ152から前輪キャスタ151に向けて前方に延びる。
【0017】
サポートフレーム1123は横フレーム部113から下方に延び、所定の高さで前方に屈曲し、前方に向けて延び、前端部が上方に向けて屈曲するフレーム部材である。サポートフレーム1123は、例えば前方で湾曲して折り返すU字状のフレーム部材で構成される。サポートフレーム1123は、メインフレーム1121の内側において床面と平行な面に沿って延びる。サポートフレーム1123は、その上側にバスケット置場を構成する。
【0018】
前連結部1124は、カート2の下端の前端部において幅方向に延び、一対のメインフレーム1121の前端を連結する。
【0019】
取付部1125は、上端部がサポートフレーム1123の所定箇所に固定される。取付部1125は、サポートフレーム1123から下方に延び、所定の高さで後方に屈曲し、後方に向けて延びる。取付部1125は、受電装置23を取り付けるフレーム部材である。取付部1125は、メインフレーム1121の内側において床面と平行な面に沿って延び、サポートフレーム1123の下側に受電装置23を支持する支持面を構成する。例えば取付部1125は、カート2がカートベース3に設置された際に、カートベース3に設けられた送電装置35と取付部1125に設けられた受電装置23とが所定の間隔で対向配置される寸法に設定される。
【0020】
横フレーム部113は、左右の縦フレーム部111間に渡されて幅方向に延びる複数本のリンクフレーム1131、1132、1133を備える。
【0021】
ハンドル部114は、カート2の後端部の上方に配置される。ハンドル部114は、縦フレーム部111の上端部に連続して配される。一例として、ハンドル部114は、幅方向に延びる。
【0022】
取付フレーム115は、縦フレーム部111に接続される。取付フレーム115は、例えば、一方の縦フレーム部111の上方に延び、各種電子機器21を支持する。
【0023】
フレーム11において、縦フレーム部111にかご部12が支持され、かご部12の下方に配される下フレーム部112の前端部及び後端部に、前輪キャスタ151及び後輪キャスタ152がそれぞれ設けられる。また、フレーム11において、下フレーム部112の、床面に沿って配されるフレーム部材である取付部1125に、受電装置23が設けられる。また、縦フレーム部111にバッテリボックス223が設けられる。例えば縦フレーム部111の一対のサブフレーム1112にバッテリボックス223が支持される。
【0024】
また、下フレーム部112において一対のメインフレーム1121は、前側の幅方向の間隔が狭くなるように、前方が中央に向けて斜めに延びている。したがって、フレーム11は、カート2の前進方向において前側の幅が狭く、後方の幅が広く、形成される。
【0025】
かご部12は、例えば有孔のパネル部材やメッシュ状のワイヤ部材により、上方に開口する箱状に構成される。かご部12は、商品を収容可能か、又は、商品を収容する買い物かごを載置可能に形成される。かご部12は、縦フレーム部111の前方において、床面から上方に離間した高さに配される。かご部12は、その後端部の左右両側が縦フレーム部111に支持される。
【0026】
前輪キャスタ151及び後輪キャスタ152は、移動方向に回転する車輪153と、車輪153を回転可能に軸支するブラケット部154と、をそれぞれ備える。ブラケット部154はフレーム11に対して回動可能に取り付けられている。キャスタ151、152の車輪153が床面上で回転することによりカート2が移動する。また、キャスタ151、152のブラケット部154が回転することにより、カート2の走行方向が変更可能である。
【0027】
フレーム11及びかご部12の形状と同様に、前方の前輪キャスタ151は後方の後輪キャスタ152よりも左右の幅が狭くなるように配置されている。したがって、カート2は、例えば複数のカート2を前後に連ねて収納する場合に、後ろのカート2のフレーム11が、前のカート2のフレーム11に沿って重なるように収納できる。
【0028】
電子機器21は、利用者に情報を提供するためのタブレット端末などの情報端末、あるいは、利用者が選択した商品の情報を取得する商品リーダである。電子機器21は、例えばバッテリ22に接続され、電子機器21はバッテリ22からの電力によって駆動される。電子機器21は、バッテリ22からの電力によって利用者が所持する携帯端末(例えば、携帯電話機、スマートフォン、デジタルカメラなど)の電子機器を充電するための充電装置などであっても良い。
【0029】
本実施形態において、例えば電子機器21として、タブレット端末211および商品リーダ212を備える例を示す。タブレット端末211は、タッチパネルを設けた表示部を有するコンピュータである。タブレット端末211は、ハンドル部114側に位置する利用者に表示部を向けて設置される。タブレット端末211は、例えば、商品リーダ212によって読み取った商品の情報を表示する。また、タブレット端末211は、商品リーダ212により読取った商品に対する精算処理を行うものであっても良い。
【0030】
商品リーダ212は、商品の情報を読取る装置である。また、商品リーダ212は、読取った商品の情報を表示する表示部を有するものであっても良い。商品リーダ212は、例えば、かご部12に出し入れする商品に添付されたRFIDタグなどを読み取るRFIDタグリーダである。また、商品リーダ212は、商品に添付されたバーコードなどの商品識別情報を読み取るスキャナであっても良い。
【0031】
なお、電子機器21は、タブレット端末211に代えて利用者が所持する携帯端末(スマートフォン、タブレット端末など)を接続するためのインターフェース機器であっても良い。電子機器21としてのインターフェース機器に接続する携帯端末は、上述したタブレット端末211と同様な処理を行うようにしても良い。また、電子機器21としてのインターフェース機器は、携帯端末が具備するバッテリを充電するものであっても良い。なお、電子機器21としてのインターフェース機器は、バッテリ22を内蔵するものであっても良いし、別途設けたバッテリ22に接続するものであっても良い。
【0032】
バッテリボックス223は、フレーム11に設けられる。バッテリボックス223は、例えばかご部12の開閉パネル121の下方に配された一対のサブフレーム1112に固定され、支持されている。バッテリ22は、カート2に搭載される電子機器21に電力を供給する電源装置であり、充電回路221及び二次電池222を備える。バッテリ22は、受電装置23に接続され、受電装置23によって充電される。
【0033】
充電回路221は、受電装置23の切替回路2324から供給される電力を充電用の電力(充電電力)として二次電池222へ供給する。例えば、充電回路221は、切替回路2324から供給された電力を二次電池222の充電に用いる直流電流(充電電力)に変換する。即ち、充電回路221は、切替回路2324からの電力を、二次電池222を充電するための所定の電流値及び電圧値の充電電力に変換して二次電池222に供給する。充電回路221は、受電装置23からの電力によって二次電池222を充電する。
【0034】
二次電池222は、充電回路221から供給される充電電力により充電される。また、二次電池222は、電子機器21に接続され、電子機器21へ電力を供給する。
【0035】
受電装置23は、非接触で伝送される電力を受電し、受電した電力を電子機器21またはバッテリ22へ供給する。なお、受電装置23は、電子機器21に電力を供給する出力端子を備える構成としても良い。この場合、バッテリ22は、電子機器21を介して供給される電力によって充電される構成としても良い。
【0036】
受電装置23は、カート2の下部に設けられる。受電装置23は、例えば、下フレーム部112の下方に配置される。受電装置23は、カートベース3に保管されたときに、カートベース3に設けられた複数の送電装置35のいずれかと対向する。
【0037】
受電装置23は、図4に示すように、例えば、ケーシング230と、受電コイル231と、受電基板と、を備える。
【0038】
ケーシング230は、例えば矩形状の筐体であり、内部に受電コイル231及び受電基板を収容する。ケーシング230は、例えば、下フレーム部112の下方に接続される。具体例として、ケーシング230は、下フレーム部112の取付部1125に固定される。
【0039】
ケーシング230の下面は、カート2が走行する床面に沿う姿勢でカート2に配置される。ケーシング230は、複数のカート2がスタックされて連なってカートベース3に保管された場合に、カート2の進行方向で前後に隣接するカート2の受電装置23のケーシング230と互いに重ならない形状である。また、ケーシング230は、複数のカート2がスタックされて連なってカートベース3に保管された場合に、カート2の進行方向で前後に隣接するカート2の受電装置23と互いに重ならない位置又は干渉しない位置に配置される。
【0040】
受電コイル231は、ケーシング230内に配置される。受電コイル231は、例えば、リッツ線を巻回して形成される平面コイルである。あるいは、受電コイル231は、プリント基板上にコイルパターンである巻線が形成される平面コイルである。受電コイル231は、例えば、電力を受電する受電面が平面状に形成される。受電コイル231の受電面は、カート2が走行する床面に対向して配置される。なお、受電コイル231は、送電装置35と電力伝送ができれば、平面コイルに限定されない。
【0041】
受電コイル231は、受電装置23が送電装置35に対向した場合、送電コイル351と電磁結合する。受電コイル231は、送電装置35の送電コイル351から出力された磁界によって、誘導電流を発生させる。受電コイル231は、例えば、受電共振回路(共振素子)を構成する。
【0042】
ここで、受電共振回路は、例えば、受電共振回路に接続された整流回路2322に交流電力を供給する交流電源として機能する。例えば、電力伝送に磁界共振方式を利用する場合、受電共振回路の共振周波数が、送電装置35の後述する送電コイル351により構成される送電共振回路の共振周波数と同一、或いはほぼ同一となるように構成されることが望ましい。これにより、受電共振回路と送電共振回路とが電磁結合した場合の電力の伝送効率が向上する。なお、受電共振回路は、電力伝送に電磁誘導方式を利用する構成としてもよい。
【0043】
受電基板は、整流回路2322と、電圧変換回路2323と、切替回路2324と、制御回路2326と、を備える。受電基板は、例えば、電子部品や配線パターンが実装されることで、整流回路2322、電圧変換回路2323、切替回路2324、制御回路2326等を含む各種処理回路が構成される。
【0044】
整流回路2322は、受電共振回路から供給される交流電力を整流し、直流電力に変換する。整流回路2322は、例えば複数のダイオードにより構成された整流ブリッジを備える。整流ブリッジの一対の入力端子は、受電共振回路に接続される。整流回路2322は、受電共振回路から供給された交流電力を全波整流することにより、直流電力を一対の出力端子から出力する。整流回路2322は、直流電力を電圧変換回路2323に供給する。
【0045】
電圧変換回路2323は、整流回路2322から出力された直流電圧を所望の直流電圧に変換する。例えば、電圧変換回路2323は、二つ設けられる。一方の電圧変換回路2323を23231とし、他方の電圧変換回路23232として説明する。一方の電圧変換回路23231は、例えば、整流回路2322及び切替回路2324に接続される。一方の電圧変換回路23231は、整流回路2322から供給される直流電力を、充電処理に適した電圧の直流電力に変換する。他方の電圧変換回路23232は、整流回路2322及び制御回路2326に接続される。他方の電圧変換回路23232は、整流回路2322から供給される直流電力を、制御回路2326を動作させる電圧に適した直流電力に変換する。
【0046】
切替回路2324は、電圧変換回路23231及び充電回路221の接続及び切断を切り替える。切替回路2324は、例えば、制御回路2326からの信号に基づいて、電圧変換回路23231及び充電回路221の接続及び切断を切り替える。
【0047】
制御回路2326は、切替回路2324の動作を制御する。制御回路2326は、処理回路である。制御回路2326は、例えば、プロセッサとメモリとを備える。プロセッサは、演算処理を実行する。プロセッサは、例えば、メモリに記憶されているプログラム及びプログラムで用いられるデータに基づいて種々の処理を行う。メモリは、プログラム及びプログラムで用いられるデータ等を記憶する。制御回路2326は、マイコン、及び/または発振回路等により構成されていてもよい。
【0048】
カート2は、図1図2に示すように、所定の収納位置に設けられたカートベース3に収納される。図1及び図2では、カートベース3には、複数台以上のカート2が入れ子状に連なって収納される。
【0049】
カート2を収納する収納装置としてのカートベース3は、ベース部としてのガイドベース31と、カートゲート32と、ガイドベース31に支持される複数の送電装置35と、を備える。
【0050】
ガイドベース31は所定の収納位置に敷設されるプレート状の支持台311を備える。支持台311は、その上面に、一方向に延びる複数のガイドレール312と、複数のガイドレール312の間に形成される案内溝313と、を有する。また、支持台311は、複数のカート2の収納位置を案内する突起や溝を有する。ガイドベース31は、ガイドレール312及び案内溝313によって前後の車輪153の移動を規定することで、支持台311上のカート2の走行方向を案内する。また、ガイドベース31は複数の送電装置35を等間隔に支持する。
【0051】
カートゲート32は、ガイドベース31の両側部から立設する一対のポール322と、ガイドベース31の両側縁において所定高さに配されて一方向に延びるサイドバー323と、を備える。
【0052】
送電装置35は、例えば、カート2の前方の一対の車輪153が案内されるガイドベース31の一対の案内溝313の間に、複数設けられる。複数の送電装置35は、ガイドベース31の一対の案内溝313の延設方向に並んで配置される。ここで、案内溝313の延設方向とは、ガイドベース31上におけるカート2の進行方向である。換言すると、案内溝313の延設方向とは、ガイドベース31上における複数のカート2のスタック方向である。複数の送電装置35は、カートベース3上にスタックして保管される複数のカート2の受電装置23と対向する。送電装置35は、対向したカート2の受電装置23に対して非接触で電力を伝送する。
【0053】
送電装置35は、図4に示すように、例えば、ケーシング350と、送電コイル351と、送電基板と、ACアダプタ354と、を備える。
【0054】
ケーシング350は、例えば、矩形箱状に形成される。ケーシング350は、内部に、送電コイル351、及び送電基板を収容する。ケーシング350は、カートベース3に収容されたカート2の受電装置23と、所定の間隔を開けて対向する。ケーシング350と受電装置23のケーシング230との間隔は、数mmであり、具体例として、例えば、1mm~10mmである。
【0055】
送電コイル351は、例えば、リッツ線を巻回して形成される平面コイルである。あるいは、送電コイル351は、プリント基板上にコイルパターンである巻線が形成される平面コイルである。送電コイル351は、例えば、電力を送電する送電面が平面状に形成される。
【0056】
送電コイル351の送電面は、カート2が走行する床面に沿って配置される。また、送電コイル351の送電面は、カートベース3に収容され、対向するカート2に設けられた受電コイル231の受電面に沿う。複数の送電装置35の各送電コイル351は、カートベース3に収納される複数のカート2の各受電装置23の受電コイル231と対向する位置に設けられる。
【0057】
送電コイル351は、受電装置23及び送電装置35が対向した場合、受電コイル231と電磁結合する。
【0058】
送電コイル351は、例えば、送電部としての送電共振回路(共振素子)を構成する。
【0059】
ここで、送電コイル351により構成される送電共振回路の共振周波数は、制御回路3528の発振回路の発振周波数と同一、或いはほぼ同一となるように構成されることが望ましい。これにより、受電共振回路と送電共振回路とが電磁結合した場合の電力の伝送効率が向上する。なお、送電共振回路は、電力伝送に電磁誘導方式を利用してもよい。
【0060】
送電基板は、送電回路3522と、電圧変換回路3523と、切替回路3524と、電流センサ3526と、電流検出回路3527、制御回路3528と、を備える。送電基板は、例えば、電子部品や配線パターンが実装されることで、送電回路3522、電圧変換回路3523、切替回路3524、電流センサ3526、電流検出回路3527、制御回路3528等を含む各種処理回路が構成される。
【0061】
送電回路3522は、送電電力を生成し、生成した送電電力を送電コイル351に供給する。例えば、送電回路3522は、制御回路3528の制御に基づき、ACアダプタ354などを介して供給される直流電力をスイッチングすることにより送電電力としての交流電力を生成する。送電コイル351は、送電回路3522から供給される送電電力に応じて受電装置23が受電可能な電力を出力する。送電回路3522は、送電共振回路の共振周波数と同一、あるいは略同一の周波数の交流電力を発生する。送電回路3522は、FET等のスイッチング素子を有する。送電回路3522は、制御回路3528内の発振回路の出力で、オン及びオフが切り替えられる。送電回路3522から出力された電力は、送電コイル351と受電コイル231との間の電磁誘導または磁界共鳴等の電磁結合を利用して、受電装置23に伝送される。
【0062】
電圧変換回路3523は、例えば商用電源に接続するACアダプタ354などを介して供給される直流電源の電圧を所望の直流電圧に変換する。具体例として、電圧変換回路3523は、制御回路3528を動作させる為の電力を生成し、制御回路3528に供給する。
【0063】
切替回路3524は、ACアダプタ354及び送電回路3522の接続及び切断を切り替える。切替回路3524は、制御回路3528からの制御信号に基づいて、ACアダプタ354及び送電回路3522を接続または切断することで、送電装置35から受電装置23への電力の供給状態を切替える。例えば、切替回路3524は、外部の直流電源から供給される電圧の直流電力と、外部の直流電源から供給される直流電力が電圧変換回路3523により降圧された電圧の直流電力とのいずれかを送電回路3522に供給する。切替回路3524は、送電回路3522に供給する直流電力を制御回路3528の制御に基づいて切り替える。
【0064】
電流センサ3526は、送電回路3522に入力される直流電流を検出する。電流センサ3526は、切替回路3524と送電回路3522との間に接続された微小抵抗である。電流センサ3526には、切替回路3524から送電回路3522に伝送される電流に応じた電位(電流検出信号)が生じる。
【0065】
電流検出回路3527は、電流センサ3526で検出した微小な信号を増幅し、制御回路3528に出力する。電流検出回路3527は、例えば、送電回路3522に入力される電流値を測定する。なお、送電回路3522に入力される電流値は、電流センサ3526により、又は、電流センサ3526及び電流検出回路3527により測定される構成であってもよい。
【0066】
制御回路3528は、送電回路3522の動作を制御する。制御回路3528は、処理回路である。制御回路3528は、例えば、プロセッサとメモリとを備える。プロセッサは、演算処理を実行する。プロセッサは、例えば、メモリに記憶されているプログラム及びプログラムで用いられるデータに基づいて種々の処理を行う。メモリは、プログラム及びプログラムで用いられるデータ等を記憶する。制御回路3528は、マイコン、及び/または発振回路等により構成されていてもよい。
【0067】
例えば、制御回路3528は、送電回路3522から出力する交流電力の周波数の制御、及び送電回路3522の動作のオン及びオフを制御する。例えば、制御回路3528は、切替回路3524を制御することにより、送電コイル351に磁界を発生させる状態(送電状態)と送電コイル351に磁界を発生させない状態(待機状態)とを切り替える。また、制御回路3528は、送電コイル351に間欠的に磁界を発生させて、送電するタイミングを変更する制御を行うようにしても良い。
【0068】
制御回路3528は、ACアダプタ354から電力が供給され、電源が投入されると、電源投入後の送電部の待機状態(待機時)における待機時電流を電流センサ3526及び/又は電流検出回路3527により測定し、測定した電流値を基準値Aとして設定する。または、制御回路3528は、受電装置23への送電を停止した後の待機状態における待機時電流を電流センサ3526及び/又は電流検出回路3527により測定し、測定した電流値を基準値Aとして設定する。
【0069】
例えば、制御回路3528のプロセッサは、設定した基準値Aをメモリに記憶する。具体例として、制御回路3528は、待機状態と同じ電源電圧で送電部を動作させ、所定の間隔sで所定の回数nだけ送電電流を測定して、平均値を算出し、この平均値Aを基準値Aとして設定する。
【0070】
例えば、図7の時間及び送電電流(電力)の関係を示す説明図のように、送電装置35に電源投入され、送電装置35が待機状態となると、基準値Aと同程度の電流である待機時電流が送電回路3522を流れる。このとき、待機時電流の電流値は所定の範囲内で変動することから、所定の間隔sで所定の回数nだけ電流値を測定し、平均値を算出することで、制御回路3528は、基準値Aを推定する。また、図8の時間及び送電電流(電力)の関係を示す説明図のように、送電装置35の特性のバラツキや送電装置35の設置環境によって、実線(1)~実線(3)で示すように、送電装置35毎の待機時電流(基準値A)が異なる。このため、基準値Aは、送電装置35毎に求められる。ここで、図8中の(1)~(3)は、異なる3台の送電装置35を識別するために便宜的に用いている。また、図8中の(1)A~(3)Aは、待機状態における各送電装置35の電流値(待機時電流、基準値A)を、(1)T~(3)Tは、各送電装置35の異物検出用閾値を示す。
【0071】
なお、制御回路3528のメモリは、予め設定された所定の間隔s及び所定の回数nを記憶する。ここで、所定の間隔sの一例は、0.5秒であり、所定の回数nは複数回であり、例えば10回である。この例では、制御回路3528は、待機時電流を0.5秒間隔で10回測定し、これら測定した電流値の平均値Aを算出し、算出した平均値Aを基準値Aとしてメモリに記憶する。
【0072】
また、制御回路3528は、送電装置35に受電装置23が対向すると、受電装置23が正規の受電装置23であるか否かを確認する認証処理を行う。
【0073】
また、制御回路3528は、送電装置35と受電装置23の間に配される金属異物を検出する異物検出処理を行う。
【0074】
ここで、金属異物とは、少なくとも一部又は全部が金属材料で形成されるものである。また、金属異物は、受電装置23及び送電装置35の間であって、且つ、送電コイル351上に存し、送電コイル351が送電を行うときに発熱するものである。例えば、金属異物の例として、コイン、金属片、アルミニウム等の金属膜が設けられた紙片や樹脂フィルム、クリップ、ヘアピン等、種々のものが挙げられる。
【0075】
例えば、制御回路3528のメモリは、算出した基準値Aが正常であるか否かを判定する所定値である閾値Uを記憶する。制御回路3528は、基準値Aが閾値Uの範囲内であれば、基準値Aが正常と判定し、基準値Aが閾値Uよりも大きい値であれば、基準値Aが異常と判定する。
【0076】
また、制御回路3528は、基準値Aよりも大きい値であって、且つ、金属異物が送電装置35上に存するときに生じると想定される異物検出用閾値Tを算出した基準値Aに基づいて設定する。この制御回路3528による異物検出用閾値Tの設定処理は、待機状態中、例えば、電源投入後であって、且つ、受電装置23への送電開始前に行う。なお、図7に破線で異物検出用閾値Tの一例を示す。
【0077】
制御回路3528は、異物検出用閾値Tの第1設定処理として、例えば、基準値Aが正常と判定した場合に、基準値(平均値)Aに基づいた異物検出用閾値Tを設定する。また、図8中に(1)A~(3)Aで示すように、送電装置35毎に基準値Aが異なることから、図8中に(1)T~(3)Tで示すように、各送電装置35の制御回路3528により、各送電装置35の基準値Aに基づいて、送電装置35毎に実測した基準値Aに基づいて異物検出用閾値Tがそれぞれ設定される。
【0078】
具体例として、制御回路3528は、基準値Aに一定値αを加えた電流値A+αを異物検出用閾値Tとして設定し、メモリに記憶する。また、他の具体例として、制御回路3528は、基準値Aに一定の比率βを加算した電流値を異物検出用閾値Tとして、メモリに記憶する。ここで、基準値Aに一定の比率βを加算した電流値とは、基準値Aに一定の比率βを乗じた値を基準値Aに加算した値(A+A・β)であり、一定の比率βが10%(0.1)である場合には、異物検出用閾値TはA×1.1となる。なお、制御回路3528のメモリは、基準値Aに基づいて異物検出用閾値Tを設定する一定値α及び/又は一定の比率βを記憶する。
【0079】
また、制御回路3528は、例えば、異物検出用閾値Tの第2設定処理として、基準値Aが異常と判定した場合に、制御回路3528は、予め設定された電流値の所定値である固定値Cを異物検出用閾値Tとして設定し、メモリに記憶する。ここで、固定値Cは、基準値Aよりも大きい値であって、且つ、所定のサイズの金属異物が送電装置35上に存するときに生じると想定される電流値である。ここで、所定のサイズの金属異物の一例としては、例えば、20mm角程度の鉄片であるが、この例に限定されず、固定値Cnとして設定される電流値は、検出したい金属異物のサイズや種類に基づいて適宜設定される。一例として、固定値Cは、送電装置35のバラツキや設置条件等によって生じる待機時電流のバラツキを想定した値、即ち、各送電装置35のいずれでも、金属異物を判定可能な値に設定される。図8の例では、想定される送電装置35のうち、待機時電流(基準値A)が最も高い電流値(図8中、(1)A)となる送電装置35で異物を検出できるように、固定値Cは、例えば、(1)Tとなる電流値に設定され、この固定値Cが、全ての送電装置35に用いられる。
【0080】
これらのように、制御回路3528は、異物検出用閾値Tの設定処理として、異物検出用閾値Tを送電装置35毎に算出した基準値Aに基づいて設定するか、又は、基準値Aが異常で使用できない場合に、予め設定された固定値Cを設定する。
【0081】
制御回路3528は、異物検出処理として、第1設定処理又は第2設定処理で設定された異物検出用閾値Tと、電流センサ3526及び/又は電流検出回路3527で検出された電流値とを比較し、異物の検出を行う。例えば、図7に一点鎖線で示すように、金属異物が送電装置35上に配置されると、待機時電流よりも大きな変動値で電流値が変動する。制御回路3528は、電流センサ3526及び/又は電流検出回路3527で検出された電流値が閾値Tを超えた場合であって、且つ、受電装置23の認証がされていない場合等、正常な電流値と異なる場合には、金属異物を検出したと判定する。
【0082】
制御回路3528は、金属異物の検出を判定すると、切替回路3524を制御して、送電コイル351に磁界を発生させない送電停止状態とし、金属異物の過熱を防止する。また、制御回路3528は、金属異物の検出が行われず、且つ、受電装置23を認証したときには、切替回路3524を制御して、送電コイル351に送電電力に相当した磁界を発生させて、受電装置23に送電を行う。
【0083】
なお、図7に示すように、受電装置23の認証が確立後、異物が検出されない場合に、制御回路3528は、送電装置35から受電装置23に電力を伝送し、充電動作に移る。
【0084】
これらの例のように、制御回路3528は、メモリに記憶された各種プログラムやパラメータ等の情報に基づいて、各構成の制御や各種処理を行う。
【0085】
ACアダプタ354は、例えば、ケーシング350外に配置され、送電基板に接続される。
【0086】
次に、本実施形態に係る給電システム1の送電装置35の制御方法の一例について、図5及び図6を参照して説明する。図5は送電装置35の送電に関する一連の流れ図であり、図6は、異物検出用閾値設定に関する流れ図である。なお、本実施形態においては、待機時電流にて認証処理と異物検出処理を行う例を示すが、認証用の電流と異物検出用の電流が異なる電流値であってもよい。
【0087】
図5に示すように、送電装置35が電源投入されると、制御回路3528は、先ず、異物検出用閾値Tを設定する設定処理を行う(ACT1)。図6に示すように、異物検出用閾値Tの設定処理として、制御回路3528は、先ず、電流値を取り込み、そして、平均値である基準値Aを算出する(ACT11)。具体例として、制御回路3528は、メモリに記憶された所定の間隔sで所定の回数nだけ、電流値を測定し、測定した電流値から平均値Aを算出し、この平均値Aを基準値Aとして設定し、メモリに記憶する。次に、制御回路3528は、算出した基準値Aとメモリに記憶された閾値Uとを比較し、基準値Aが待機時電流の電流値として正常か否かの判定を行う(ACT12)。
【0088】
基準値Aが正常である場合(ACT12のYes)には、制御回路3528は、基準値Aに一定値αを加えた電流値(A+α)を異物検出用閾値Tとして設定するか、又は、基準値Aに一定の比率βを加算した電流値(A+A・β)を異物検出用閾値Tとして設定し、メモリに記憶する(ACT13)。
【0089】
基準値Aが異常である場合(ACT12のNo)には、制御回路3528は、メモリに記憶された固定値Cを異物検出用閾値Tとして設定し、メモリに記憶する(ACT14)。これらACT11~ACT14の処理により、制御回路3528は、ACT1として異物検出用閾値Tを設定する。
【0090】
次に、制御回路3528は、認証処理が行われるまで、待機状態とし、異物検出処理を行う(ACT2)。例えば、待機状態として、制御回路3528は、待機時電流で送電コイル351から送電を継続する。また、待機状態中に、異物検出処理として、制御回路3528は、電流センサ3526及び/又は電流検出回路3527で検出された電流値及び設定された異物検出用閾値Tを比較する。電流センサ3526及び/又は電流検出回路3527で検出された電流値が異物検出用閾値Tを超えない場合には、金属異物の未検出として、制御回路3528は、待機状態を継続する。なお、電流センサ3526及び/又は電流検出回路3527で検出された電流値が異物検出用閾値Tを超えた場合には、制御回路3528は、金属異物の検出と判定し、例えば、送電を停止する。
【0091】
次に、受電装置23が送電装置35と対向すると、制御回路3528は、正規の受電装置23であるか否かを確認する認証処理を行う(ACT3)。認証処理として、例えば制御回路3528は、負荷変調方式として、例えば受電部でIDに相当する負荷変調を行い、送電側でIDに相当する電流の変化を検出することで、認証を行う。なお、無線通信や赤外線通信等の無線通信手段を用いて送電装置と受電装置のIDの問い合わせと応答によって、制御回路3528にて認証判定を行う方式であってもよい。
【0092】
認証処理において、受電装置が正規の受電装置であると判定した場合(ACT4のYes)には、制御回路3528は、受電装置23に通常送電を行い、二次電池222の充電を開始する(ACT5)。制御回路3528は、ACT5として、充電用の電流値で一定時間の送電を行う。対象の受電装置23でないと判定した場合(ACT4のNo)には、制御回路3528は、通常送電(充電)処理を開始せずに、ACT2の待機状態に戻る。
【0093】
例えば制御回路3528は、ACT5で充電を開始した後、充電終了条件を満たしたか否かを判定する(ACT6)。充電終了条件を満たした場合(ACT6のYes)には、制御回路3528は充電終了として送電を停止し(ACT7)、ACT2の待機状態に戻る。充電終了条件を満たさない場合(ACT6のNo)には、制御回路3528は、充電処理を継続する。ここで、充電終了条件としては、二次電池222が満充電であるか、又は、受電装置23が移動し、送電装置35上に受電装置23が存しない場合である。
【0094】
このように構成された送電装置35及び給電システム1によれば、金属異物を検出する異物検出用閾値Tを、電源投入後等に待機時電流を測定した基準値Aに基づいて設定することができる。ここで、例えば、異物検出用閾値Tは、基準値Aに一定値αを加えた値か、又は、基準値Aに一定の比率βを加算した値である。これにより、送電装置35は、送電装置35毎の待機時の金属異物がない状態における待機時電流に対して、僅かに大きい電流値を異物検出用閾値Tとして設定できる。よって、送電装置35毎の性能や特性のバラツキや送電装置35の設置された環境に関わらず、送電装置35は、高感度な異物検出が可能、且つ、金属異物の誤検出を抑制できる。
【0095】
これは、待機時電流は、送電装置35を構成する部品(例えば、電子部品、コイル等)の特性のばらつきや、送電装置35を設置する場所の周囲環境によって変動する。ここで、送電装置35を設置する場所の周囲環境とは、例えば、送電装置35を設置するカートベース3や床の材質(鉄、アルミ、木材等)等である。しかしながら、送電装置35は、設置後の各送電装置35の電源投入後等の待機状態中における実測値から求めた基準値Aにより異物検出用閾値Tを異物検出処理に用いることから、高感度な異物検出が可能及び金属異物の誤検出を抑制可能となる。
【0096】
また、所定の間隔sで所定の回数n検出した電流値から算出した平均値Aを基準値Aとして設定することで、変動する待機時電流による基準値Aのバラツキを抑制することもできる。即ち、待機状態中において待機時電流が変動することを前提として平均値Aを基準値Aとすることで、異物の誤検出を避けるため、ある程度のマージンを持って異物検出用閾値を設定する必要がない。よって、送電装置35は、異物検出感度を犠牲にすることなく、小さいサイズ等の電流の変化が小さい金属異物を検出することも可能となる。
【0097】
また、送電装置35は、求めた基準値Aを閾値Uと比較して、基準値が正常であるか否かを判定し、異常と判断したときに、固定値Cを異物検出用閾値Tと設定する。これにより、送電装置35は、送電装置35上に金属異物があった場合に、金属異物によって正常よりも高い電流値となった基準値Aに基づいて異物検出用閾値Tを設定することを防止できる。
【0098】
上述した実施形態の送電装置35及び給電システム1によれば、待機時電流から求めた基準値Aに基づいて設定した異物検出用閾値Tを異物検出処理に用いることで、高感度な異物検出と誤検出の抑制の両立が可能となる。
【0099】
なお、送電装置35A及び給電システム1は、上述した実施形態において例示したものに限られない。次に、第2実施形態に係る送電装置35及び給電システム1について、図9乃至図10を用いて説明する。なお、第2実施形態に係る送電装置35A及び給電システム1において、上述した第1実施形態に係る送電装置35及び給電システム1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0100】
図9は、第2実施形態に係る給電システム1の受電装置23及び送電装置35Aの構成を示す斜視図であり、図10は、第2実施形態に係る給電システム1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0101】
図9に示すように、給電システム1は、受電装置23と、送電装置35Aと、を備える。送電装置35Aは、例えば、複数のカート2を収容するカートベース3に複数設けられる。
【0102】
送電装置35Aは、例えば、カート2の前方の一対の車輪153が案内されるガイドベース31の一対の案内溝313の間に、複数設けられる。複数の送電装置35Aは、ガイドベース31の一対の案内溝313の延設方向に並んで配置される。複数の送電装置35Aは、カートベース3上にスタックして保管される複数のカート2の受電装置23と対向する。送電装置35Aは、対向したカート2の受電装置23に対して非接触で電力を伝送する。
【0103】
図9に示すように、送電装置35Aは、例えば、ケーシング350と、送電コイル351と、送電基板と、ACアダプタ354と、スイッチ355と、を備える。
【0104】
スイッチ355は、外部トリガである。図9に示すように、スイッチ355は、ケーシング350の外面側に露出し、外部から操作可能に形成される。スイッチ355は、操作された情報を信号として制御回路3528に出力する。スイッチ355は、例えば、押圧操作によって、信号を制御回路3528に出力するプッシュスイッチである。
【0105】
そして、制御回路3528は、スイッチ355が操作された信号を受信したときに、異物検出用閾値Tを設定する設定処理を行う。なお、スイッチ355の操作時において、操作者は、ケーシング350上に金属異物がないことを確認した上で、スイッチ355を操作する。即ち、制御回路3528は、操作者がスイッチ355を操作したときには、金属異物が送電装置35のケーシング350上に金属異物が存しないことを操作者が確認したと判定し、算出した基準値Aに基づいて異物検出用閾値Tを設定する。このため、スイッチ355の操作を外部トリガとして異物検出用閾値Tを設定する場合に、制御回路3528は、上述したACT12の基準値Aの正常か否かの判定、及び、ACT14の固定値Cを異物検出用閾値Tに設定する処理は行わず、基準値Aを算出(ACT11)後に、基準値Aに基づいて異物検出用閾値Tを設定(ACT12)すればよい。
【0106】
このような構成とすることで、送電装置35Aは、スイッチ355を操作することを異物検出用閾値Tの設定の開始のトリガとすることで、送電装置35Aに受電装置23が対向していないこと、及び、送電装置35A上に金属異物がないことを確認した状態で、異物検出用閾値Tの設定処理を行うことができる。これにより、送電装置35Aは、異物検出用閾値Tを正常な基準値Aに基づいて設定できることから、上述した第1実施形態と同様に、高感度な異物検出と誤検出の抑制の両立が可能となる効果に加えて、確実な閾値設定を行うことができる。
【0107】
なお、送電装置35Aは、異物検出用閾値の設定処理を、電源投入後や受電装置23への送電が停止した後、所定の時間の間、スイッチ355の操作が行われない場合には第1実施形態のACT11~ACT14により行い、所定の時間内にスイッチ355の操作が行われた場合には、第2実施形態のACT11及びACT13により行う構成としてもよい。
【0108】
次に、第3実施形態に係る送電装置35B及び給電システム1について、図11乃至図13を用いて説明する。なお、第3実施形態に係る送電装置35B及び給電システム1において、上述した第1実施形態に係る送電装置35及び給電システム1及び第2実施形態に係る送電装置35A及び給電システム1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0109】
図11は、第3実施形態に係る給電システム1の送電装置35Bの構成を示す斜視図であり、図12は、第3実施形態に係る給電システム1の制御系の構成を示すブロック図であり、図13は、第3実施形態に係る給電システム1の異物検出用閾値の設定処理の一例を示す流れ図である。
【0110】
図11に示すように、給電システム1は、受電装置23と、送電装置35Bと、を備える。受電装置23は、例えば、カート2に設けられる。送電装置35Bは、例えば、複数のカート2を収容するカートベース3に複数設けられる。
【0111】
送電装置35Bは、例えば、カート2の前方の一対の車輪153が案内されるガイドベース31の一対の案内溝313の間に、複数設けられる。複数の送電装置35Bは、ガイドベース31の一対の案内溝313の延設方向に並んで配置される。複数の送電装置35Bは、カートベース3上にスタックして保管される複数のカート2の受電装置23と対向する。送電装置35Bは、対向したカート2の受電装置23に対して非接触で電力を伝送する。
【0112】
図12に示すように、送電装置35Bは、例えば、ケーシング350と、送電コイル351と、送電基板と、ACアダプタ354と、スイッチ355と、表示装置356と、を備える。
【0113】
図11に示すように、ケーシング350は、外面であって、送電コイル351が設けられる領域の一部に、案内部3501を有する。案内部3501は、印刷、凹凸、シール等によって、特定の場所を案内するマークである。案内部3501は、制御回路3528の異物検出用閾値Tの設定処理において、異物検出用閾値Tを求めるための金属製試験片90を配置する位置を案内する。
【0114】
スイッチ355は、外部トリガである。図11に示すように、スイッチ355は、ケーシング350の外面側に露出し、外部から操作可能に形成される。スイッチ355は、操作された情報を信号として制御回路3528に出力する。スイッチ355は、例えば、押圧操作によって、信号を制御回路3528に出力するプッシュスイッチである。
【0115】
表示装置356は、情報を外部に表示又は報知する。図11に示すように、表示装置356は、ケーシング350の外面の一部に露出することで、ケーシング350の外部から情報を視認可能に形成される表示部である。図12に示すように、表示装置356は、制御回路3528に接続され、制御回路3528の指令に基づいて特定の表示又は報知を行う。表示装置356は、例えば、LEDである。表示装置356は、複数の異なる色に発光可能に形成される。表示装置356は、表示する色や、点灯、消灯及び/又は点滅等の表示方法によって、異なる情報を表示する。なお、表示装置356は、LEDに限定されず、ディスプレイやセグメント等であってもよい。
【0116】
制御回路3528は、スイッチ355が操作された信号を受信したときに、ACT1として、異物検出用閾値Tを設定する設定処理を行う。制御回路3528は、異物検出用閾値Tの設定処理を行う場合に、例えば、スイッチ355の操作をトリガに、人為的に金属製試験片90が案内部3501上に配置されたことにより、待機時電流よりも増加した電流値として判定する。そして、制御回路3528は、この検出した電流値、又は、この検出した電流値よりも低く、且つ、待機時電流よりも高い電流値を、異物検出用閾値Tとして設定する。
【0117】
このような異物検出用閾値Tの設定処理における、スイッチ355の操作や金属製試験片90の配置の手順は、制御回路3528の制御方法によって、適宜定められる。例えば、操作者がスイッチ355を操作したとき、又は、スイッチ355を操作した後、所定の時間内に、金属製試験片90を案内部3501上に配置する制御としてもよい。また、例えば、操作者が異物検出用閾値Tの設定処理中であることを表示装置356の表示に基づいて確認し、金属製試験片90を案内部3501上に配置したあとに、スイッチ355を操作してもよい。
【0118】
次に、このように構成された送電装置35Bによる異物検出用閾値の設定処理(ACT1)の一例を図13の流れ図を用いて説明する。制御回路3528は、電源が投入されると、異物検出用閾値Tの設定を開始する(ACT1)。具体例として、図13に示すように、異物検出用閾値Tの設定処理として、制御回路3528は、先ず、電流値を取り込み、そして、平均値である基準値Aを算出する(ACT21)。具体例として、制御回路3528は、メモリに記憶された所定の間隔sで所定の回数nだけ、待機時電流である電流値を測定し、測定した電流値から平均値Aを算出し、この平均値Aを基準値Aとして設定し、メモリに記憶する。
【0119】
次に、制御回路3528は、表示装置356を制御して、例えば、LEDを所定の色で点灯若しくは点滅させることで、異物検出用閾値Tの設定中であることを外部に報知する(ACT22)。
【0120】
なお、異物検出用閾値Tの設定処理を行う作業者(操作者)は、金属製試験片90を案内部3501上に配置し、スイッチ355を操作する。制御回路3528は、スイッチ355から信号を受信すると、金属製試験片90の設置が完了したと判定し、電流を電流センサ3526及び/又は電流検出回路3527により測定し、異物検出用閾値Tとなる電流値Dを検出する(ACT23)。ここで、電流値Dは、所定の期間t内に検出した電流の最大値であるか、又は、所定の間隔sで所定の回数n検出した電流値から算出した平均値である。なお、制御回路3528のメモリは、予め設定された所定の期間t、所定の間隔s及び/又は所定の回数nを記憶する。また、本実施形態の所定の間隔s及び所定の回数nは、基準値Aを求める所定の間隔s及び所定の回数nと同じであってもよく、また、異なっていても良い。
【0121】
制御回路3528は、求めた電流値Dを異物検出用閾値Tに設定する(ACT23)。そして、制御回路3528は、表示装置356を制御し、異物検出用閾値Tの設定が完了したことを外部に報知する(ACT24)。なお、ここで、制御回路3528は、ACT22における表示装置356の表示方法と異ならせることで、外部に異物検出用閾値Tの設定の完了を報知する。例えば、ACT24において、制御回路3528は、LEDを消灯させてもよいし、LEDの色を変えてもよい。そして、制御回路3528は、ACT2以降の処理を行う。
【0122】
このような構成とすることで、送電装置35Bは、送電装置35B毎に、金属製試験片90に基づいて異物検出用閾値Tを設定できることから、高感度な異物検出と誤検出の抑制の両立が可能となる。
【0123】
金属製試験片90の形状や材質によって、異物検出用閾値Tの目標値を設定できることから、送電装置35は、検出したい金属異物の大きさ等を考慮した異物検出用閾値Tを設定することが可能となる。
【0124】
なお、送電コイル351の形状等によっては、同じ金属異物であっても、送電コイル351上の金属異物の位置によって金属異物の発熱量が変わることがある。即ち、金属異物と送電コイル351の相対位置によって、送電コイル351に流れる電流が異なることがある。このため、案内部3501を表示するケーシング350上の位置を、金属異物によって流れる電流値から設定することで、案内部3501に金属製試験片90を配置したときの閾値を管理できることから、案内部3501を設ける位置により感度の高低を設定することもできる。なお、案内部3501を設ける位置は、送電コイル351の中央となる位置であってもよく、中央からずれた位置であってもよい。具体的には、送電コイル351の中央からずれた、コイル銅線の真上の位置であってもよい。また、金属異物の発熱量が異なる複数箇所に案内部3501を設け、これら複数の案内部3501によって、設定したい異物検出用閾値Tによって、金属製試験片90を配置する位置を選択できる構成としてもよい。
【0125】
なお、例えば、送電装置35Bは、異物検出用閾値Tの設定処理(ACT1)として、基準値Aを求め(ACT21)、その後、ACT12のように、基準値Aが待機時電流の電流値として正常か否かの判定を行う構成としてもよい。このような構成とする場合には、制御回路3528は、基準値Aが正常と判定した場合に、ACT22以降の処理を行い、電流値が異常と判定した場合に、ACT14に示すように、異物検出用閾値Tに固定値Cを設定すればよい。
【0126】
また、例えば、送電装置35Bは、異物検出用閾値の設定処理を、電源投入後や受電装置23への送電が停止した後、所定の時間の間、スイッチ355の操作が行われない場合に第1実施形態のACT11~ACT14により行い、所定の時間内にスイッチ355の操作が行われた場合には、金属製試験片90を用いた異物検出用閾値Tの設定処理を行う構成としてもよい。
【0127】
また、送電装置35Bは、例えば、表示装置356が異物検出用閾値Tの設定処理中の情報を表示しているときに、スイッチ355の異なる操作方法によって入力される信号に基づいて、金属製試験片90を用いた異物検出用閾値Tの設定処理及び上述した第2実施形態の異物検出用閾値Tの設定処理のどちらかを選択可能とする構成としてもよい。例えば、スイッチ355の短い1回の操作に対応する信号が入力されたときに、制御回路3528は、第3実施形態の金属製試験片90を用いた異物検出用閾値Tの設定処理が選択されたと判定し、スイッチ355の短い2回の操作に対応する信号が入力されたときに、第2実施形態の異物検出用閾値Tの設定処理が選択されたと判定する。そして、制御回路3528は、選択された異物検出用閾値Tの設定処理を行う構成としてもよい。
【0128】
即ち、実施形態に係る送電装置は、上述した各実施形態における異物検出用閾値Tの各設定処理のいずれかを行う構成としもてよく、また、全ての設定処理を選択的に行う構成としてもよい。
【0129】
また、上述した各実施形態の例においては、非接触で電力を給電する給電システム1の受電装置23をカート2としてショッピングカートを例に説明した。しかし、受電装置23を搭載するカート2は、ショッピングカートに限るものではなく、例えば、倉庫などで使われるピッキングカート等であってもよい。また、非接触給電を行う給電システム1であれば、受電装置23及び送電装置35は、カート2及びカートベース3以外の構成に適用することもできる。
【0130】
以上説明した少なくともひとつの実施形態の送電装置及び給電システムによれば、待機時電流から求めた基準値Aに基づいて異物検出用閾値Tを設定することで、高感度な異物検出と誤検出の抑制の両立が可能となる。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
1…給電システム、2…カート、3…カートベース、11…フレーム、12…かご部、21…電子機器、22…バッテリ、23…受電装置、31…ガイドベース、32…カートゲート、35、35A、35B…送電装置、90…金属製試験片、111…縦フレーム部、112…下フレーム部、113…横フレーム部、114…ハンドル部、115…取付フレーム、121…開閉パネル、151…前輪キャスタ、152…後輪キャスタ、153…車輪、154…ブラケット部、211…タブレット端末、212…商品リーダ、221…充電回路、222…二次電池、223…バッテリボックス、230…ケーシング、231…受電コイル、311…支持台、312…ガイドレール、313…案内溝、322…ポール、323…サイドバー、350…ケーシング、351…送電コイル、354…ACアダプタ、1111…メインフレーム、1112…サブフレーム、1113…サブフレーム、1121…メインフレーム、1123…サポートフレーム、1124…前連結部、1125…取付部、1131…リンクフレーム、1132…リンクフレーム、1133…リンクフレーム、2322…整流回路、2323…電圧変換回路、2324…切替回路、2326…制御回路、3501…案内部、3522…送電回路、3523…電圧変換回路、3524…切替回路、3526…電流センサ、3527…電流検出回路、3528…制御回路。
図1
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