(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170836
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】情報伝達方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/10 20060101AFI20231124BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G05D1/10
B64C39/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082900
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】門馬 悠生
(72)【発明者】
【氏名】生越 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小暮 一輝
(72)【発明者】
【氏名】箱嶋 修二
(72)【発明者】
【氏名】小村田 美玖
(72)【発明者】
【氏名】岩間 茂彦
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG17
(57)【要約】
【課題】通信網が被害を受けて情報を第3者に送信することができない状況であっても、所定の情報を第3者に伝達することができる情報伝達方法を提供する。
【解決手段】第1の出発地点に位置する第1の飛行体D1に備えられている第1の記憶部に、伝達すべき所定の情報を記憶しておく。第1の飛行体D1と第2の出発地点に位置する第2の飛行体D2~D4は、情報共有地点Psに集まる。第2の飛行体D2~D4に備えられている第2の近距離無線通信部が、第1の飛行体D1に備えられている第1の近距離無線通信部が送信した第1の記憶部に記憶されている所定の情報を受信する。第2の飛行体D2~D4に備えられている第2の記憶部が、第2の近距離無線通信部が受信した所定の情報を記憶する。第2の飛行体D2~D4は、情報共有地点Psから第2の出発地点またはその他の第3の地点まで飛行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の出発地点に位置する第1の飛行体に備えられている第1の記憶部に、伝達すべき所定の情報を記憶しておき、
前記第1の飛行体に備えられている第1の飛行制御部が、前記第1の出発地点から予め設定されている情報共有地点まで前記第1の飛行体を飛行させるよう制御し、
前記第1の飛行体が前記情報共有地点に到達し、第2の出発地点に位置する第2の飛行体が、前記第2の飛行体に備えられている第2の飛行制御部による制御に基づいて前記情報共有地点に到達すると、前記第2の飛行体に備えられている第2の近距離無線通信部が、前記第1の飛行体に備えられている第1の近距離無線通信部が送信した前記第1の記憶部に記憶されている前記所定の情報を受信し、
前記第2の飛行体に備えられている第2の記憶部が、前記第2の近距離無線通信部が受信した前記所定の情報を記憶し、
前記第2の飛行制御部が、前記情報共有地点から前記第2の出発地点またはその他の第3の地点まで前記第2の飛行体を飛行させるよう制御する
情報伝達方法。
【請求項2】
前記第1の近距離無線通信部と前記第2の近距離無線通信部とが前記情報共有地点で直接通信して、前記第2の近距離無線通信部が、前記第1の近距離無線通信部が送信した前記所定の情報を受信する請求項1に記載の情報伝達方法。
【請求項3】
前記第1の近距離無線通信部が、前記情報共有地点に設けられている中継装置に備えられている第3の近距離無線通信部と通信して、前記第3の近距離無線通信部が前記第1の近距離無線通信部が送信した前記所定の情報を受信し、
前記中継装置に備えられている記憶装置が、前記第3の近距離無線通信部が受信した前記所定の情報を記憶し、
前記第2の近距離無線通信部が前記第3の近距離無線通信部と通信して、前記第2の近距離無線通信部が、前記第3の近距離無線通信部が送信した前記記憶装置に記憶されている前記所定の情報を受信する
請求項1に記載の情報伝達方法。
【請求項4】
前記情報共有地点は、地表から所定の高さを有する空中に設定されている請求項1~3のいずれか1項に記載の情報伝達方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報伝達方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、災害が発生したときの状況を把握するためにドローンが用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大規模災害が発生すると、固定回線網が損傷したり、携帯電話の基地局の倒壊または停電により無線回線網が使用できなくなったりすることがある。すると、特許文献1に記載の技術ではドローンによって災害が発生したときの状況を、固定回線網または無線回線網の通信網を介してサーバ等に送信することができなくなり、被災地の状況を把握することが困難となる。
【0005】
本発明は、通信網が被害を受けて情報を第3者に送信することができない状況であっても、所定の情報を第3者に伝達することができる情報伝達方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の出発地点に位置する第1の飛行体に備えられている第1の記憶部に、伝達すべき所定の情報を記憶しておき、前記第1の飛行体に備えられている第1の飛行制御部が、前記第1の出発地点から予め設定されている情報共有地点まで前記第1の飛行体を飛行させるよう制御し、前記第1の飛行体が前記情報共有地点に到達し、第2の出発地点に位置する第2の飛行体が、前記第2の飛行体に備えられている第2の飛行制御部による制御に基づいて前記情報共有地点に到達すると、前記第2の飛行体に備えられている第2の近距離無線通信部が、前記第1の飛行体に備えられている第1の近距離無線通信部が送信した前記第1の記憶部に記憶されている前記所定の情報を受信し、前記第2の飛行体に備えられている第2の記憶部が、前記第2の近距離無線通信部が受信した前記所定の情報を記憶し、前記第2の飛行制御部が、前記情報共有地点から前記第2の出発地点またはその他の第3の地点まで前記第2の飛行体を飛行させるよう制御する情報伝達方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の情報伝達方法によれば、通信網が被害を受けて情報を第3者に送信することができない状況であっても、所定の情報を第3者に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る情報伝達方法を概略的に示し、複数の飛行体が災害情報共有地点とは離れた位置に位置している状態を示す概念図である。
【
図2】一実施形態に係る情報伝達方法を概略的に示し、複数の飛行体が災害情報共有地点に集まった状態を示す概念図である。
【
図3】一実施形態に係る情報伝達方法で使用される飛行体の具体的な構成例を示すブロック図である。
【
図4】被災地に位置する飛行体の記憶部に記憶される情報を示す概念図である。
【
図5A】災害関連情報を受信する飛行体の記憶部に記憶される情報であり、災害関連情報を受信する前の状態を示す概念図である。
【
図5B】災害関連情報を受信する飛行体の記憶部に記憶される情報であり、災害関連情報を受信した後の状態を示す概念図である。
【
図6A】一実施形態に係る情報伝達方法で使用される飛行体で実行される処理を示す部分的なフローチャートである。
【
図6B】
図6Aに続く、一実施形態に係る情報伝達方法で使用される飛行体で実行される処理を示す部分的なフローチャートである。
【
図6C】
図6Bに続く、一実施形態に係る情報伝達方法で使用される飛行体で実行される処理を示す部分的なフローチャートである。
【
図7A】第1の飛行体が、災害情報共有地点に設けられている中継装置に災害関連情報を送信する状態を示す概念図である。
【
図7B】第2の飛行体が、中継装置から災害関連情報を受信する状態を示す概念図である。
【
図8】複数の飛行体がリレー形式で情報を伝達する状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態に係る情報伝達方法について、添付図面を参照して説明する。一実施形態は、災害が発生したときに、被災地における災害に関連する情報(以下、災害関連情報)を第3者に伝達すべき所定の情報とする場合を例とする。
【0010】
まず、
図1及び
図2を用いて、一実施形態に係る情報伝達方法を概略的に説明する。
図1において、飛行体の一例であるドローンD1は、例えば土砂崩れが発生した被災地(第1の出発地点)に位置しており、予め設定されている災害情報共有地点Psに向けて飛行する。後述するように、ドローンD1は記憶部(第1の記憶部)を備え、記憶部には災害関連情報が記憶されている。ドローンD2~D4は被災地とは別の地域(第2の出発地点)に位置しており、災害情報共有地点Psに向けて飛行する。
【0011】
ドローンD1を第1の飛行体とすると、ドローンD2~D4は第2の飛行体である。第2の飛行体は1つであってもよい。ドローンD1~D4は、例えば各地域の自治体または消防署等によって管理されている。
【0012】
災害情報共有地点Psを地表に設けてもよいが、災害情報共有地点Psが位置する場所も被災地となることがある。そこで、災害情報共有地点Psを地表から所定の高さを有する空中に設定するのがよい。
【0013】
図2は、ドローンD1~D4が災害情報共有地点Psの近傍に集まった状態を示している。ドローンD1~D4がほぼ同じ時刻に災害情報共有地点Psに集まるように、災害情報共有地点Psに集まる時刻を予め取り決めておいてもよい。ドローンD1~D4は、1日に複数回災害情報共有地点Psに集まってもよい。
【0014】
ドローンD1は、ドローンD2~D4と所定の近距離無線方式に従って互いに無線通信する。典型的には、所定の近距離無線方式はブルートゥース(登録商標)である。ドローンD1は、ドローンD2~D4と同時に無線にて接続される必要はなく、ドローンD2~D4と個別に接続されてもよい。後述するように、ドローンD1は災害関連情報をドローンD2~D4に送信し、ドローンD2~D4は災害関連情報を受信する。
【0015】
災害関連情報を送信したドローンD1は、
図1に示す出発地点に戻るよう飛行する。災害関連情報を受信したドローンD2~D4は、
図1に示す各出発地点に戻るよう飛行する。
【0016】
このように、被災地における災害関連情報を記憶するドローンD1と、他の地域に位置するドローンD2~D4とが災害情報共有地点Psに集まって、ドローンD2~D4は、ドローンD1が送信する災害関連情報を受信する。これにより、通信網が被害を受けて情報を第3者に送信することができない状況であっても、被災地における災害関連情報を伝達することが可能となる。
【0017】
図2において、災害情報共有地点Psの近傍に集まったドローンD1~D4は互いに衝突しないようにすることが必要である。一例として、ドローンD1~D4は、LiDAR(Light Detection And Ranging)と称されるセンサを搭載して、他のドローンに衝突しないように構成されている。ドローンD1~D4が互いに衝突しないようするための構成はLiDARに限定されない。
【0018】
図3を用いて、ドローンD1~D4の具体的な構成例を説明する。任意のドローンをドローンDiと称することとする。ここでは、ドローンD1~D4が
図3に示すドローンDiの構成を有する場合を例とするが、全てのドローンDiが同じ構成である必要はない。
【0019】
図3に示すように、ドローンDiは、制御部1、近距離無線通信部2、GNSS受信部3、各種センサ4、カメラ5、画像処理部6、操作部7、記憶部8、バッテリ9、駆動回路21~24、モータ31~34、プロペラ41~44を備える。ドローンDiがカメラ5及び画像処理部6を備えることは必須ではないが、備えることが好ましい。バッテリ9は、電力を必要とするドローンDi内の各部に電力を供給する。
【0020】
制御部1は、マイクロコンピュータ、またはマイクロコンピュータに搭載されている中央処理装置であるマイクロプロセッサで構成することができる。制御部1は、機能的な構成として、位置算出部11、飛行制御部12、データ入出力部13、モード切替部14、操作応答部15、書込・読出制御部16を有する。
【0021】
GNSS受信部3は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)用の3つ以上の衛星から送信されるGNSS信号を受信する。ドローンDiの平面的な位置を算出するには少なくとも3つの衛星からのGNSS信号を受信する必要がある。ドローンDiの高さ方向の位置を含めてドローンDiの位置を算出するには少なくとも4つの衛星からのGNSS信号を受信する必要がある。
【0022】
位置算出部11は、GNSS受信部3が受信したGNSS信号に基づいてドローンDiの位置情報を算出する。典型的には、GNSSはGPS(Global Positioning System)である。位置算出部11が算出する位置情報は、飛行制御部12及び書込・読出制御部16に供給される。
【0023】
ドローンDiを操作するオペレータは、操作部7を操作することによって、ドローンDiを書込モードと、情報送信モードと、情報受信モードとのうちのいずれかに設定することができる。ドローンD1のオペレータは、ドローンD1を書込モードに設定して記憶部8にドローンD1の位置情報、災害情報共有地点Psの位置情報、災害関連情報を記憶させた後、ドローンD1を情報送信モードに設定する。ドローンD2~D4の各オペレータは、ドローンD2~D4を書込モードに設定して記憶部8(第2の記憶部)にドローンD2~D4の各位置情報、災害情報共有地点Psの位置情報を記憶させた後、ドローンD2~D4を情報受信モードに設定する。
【0024】
ドローンD1における動作を具体的に説明する。ドローンD1のオペレータが書込モードを選択すると、操作応答部15はモード切替部14にドローンD1を書込モードに設定するよう指示する。モード切替部14は、データ入出力部13に近距離無線通信部2が受信した災害関連情報を書込・読出制御部16に供給するよう指示し、かつ、書込・読出制御部16に災害関連情報及び位置算出部11より供給された位置情報を記憶部8に書き込むよう指示する。ドローンD1が災害情報共有地点Psへと飛行する前のドローンD1が通常位置している場所で位置算出部11より供給される位置情報は、ドローンD1の出発地点における位置情報である。
【0025】
災害関連情報は、どのような災害が発生しているかの災害情報、被災地における住民の安否情報、家屋の損壊状況、ライフライン(電気、ガス、水道)の被害状況のうちの少なくとも1つ、または任意の組み合わせである。災害関連情報は、必要な支援物資を示す情報であってもよい。災害関連情報には、ドローンD1を特定するIDが付加されているとよい。ドローンD1のIDをd001とする。
【0026】
ドローンD1のオペレータは、スマートフォン等の他の電子機器に災害関連情報を記憶させておく。電子機器に内蔵されている近距離無線通信部と近距離無線通信部2とが通信することによって、近距離無線通信部2は電子機器が送信する災害関連情報を受信する。近距離無線通信部2が災害関連情報を受信すると、データ入出力部13は災害関連情報を書込・読出制御部16に供給し、書込・読出制御部16は災害関連情報を記憶部8に書き込む。
【0027】
USBメモリに災害関連情報を記憶させておき、制御部1が、USBメモリに記憶されている災害関連情報をドローンD1に設けたUSB端子を介して取り込んで、記憶部8に書き込むように構成されていてもよい。
【0028】
ドローンD1が書込モードに設定されているとき、オペレータが操作部7を操作することによって記憶部8に災害情報共有地点Psの位置情報を書き込むことができる。災害関連情報と同様に、電子機器またはUSBメモリに災害情報共有地点Psの位置情報を記憶させておき、電子機器またはUSBメモリから供給される災害情報共有地点Psの位置情報を記憶部8に書き込んでもよい。
【0029】
操作部7を例えばキーボードとして、オペレータが操作部7を操作することによって記憶部8に災害関連情報、または災害関連情報及び災害情報共有地点Psの位置情報を書き込んでもよい。制御部1が災害情報共有地点Psの位置情報及び災害関連情報を取り込む方法は任意である。
【0030】
以上のようにして、
図4に示すように、ドローンD1の記憶部8には、ドローンD1の出発地点における位置情報(出発地点位置情報)、災害情報共有地点Psの位置情報(災害情報共有地点位置情報)、災害関連情報が記憶される。災害関連情報にはドローンD1のIDであるd001が付加されている。出発地点位置情報は緯度及び経度で特定されていればよい。災害情報共有地点位置情報は少なくとも緯度及び経度で特定されており、緯度、経度、及び地表からの高さで特定されていることが好ましい。
【0031】
ドローンD1が書込モードに設定されているとき、オペレータが操作部7を操作して、制御部1が、カメラ5によって撮影した動画または静止画を記憶部8に書き込むように構成されていてもよい。画像処理部6は、カメラ5によって撮影した動画または静止画を圧縮符号化して書込・読出制御部16に供給し、書込・読出制御部16は圧縮符号化された動画または静止画を記憶部8に書き込む。
【0032】
ドローンD1のオペレータは、出発地点位置情報、災害情報共有地点位置情報、災害関連情報を記憶部8に記憶させたら、操作部7を操作することによって、ドローンD1を情報送信モードに設定する。なお、ドローンD1の出発地点の位置及び災害情報共有地点Psの位置に変化がない場合には、最初の飛行時のみ、記憶部8に出発地点位置情報及び災害情報共有地点位置情報を記憶させればよい。2回目以降の飛行時には、記憶部8に記憶する災害関連情報を更新するだけでよい。
【0033】
ドローンD2~D4における動作を具体的に説明する。ドローンD2~D4の各オペレータが書込モードを選択している状態で、書込・読出制御部16は、ドローンD1と同様に、ドローンD2~D4の各出発地点における位置情報と災害情報共有地点Psの位置情報を記憶部8に書き込む。
図5Aに示すように、ドローンD2~D4の各記憶部8には、ドローンD2~D4の出発地点位置情報及び災害情報共有地点位置情報が記憶される。
【0034】
ドローンD2~D4の各オペレータは、出発地点位置情報及び災害情報共有地点位置情報を記憶部8に記憶させたら、操作部7を操作することによって、ドローンD2~D4を情報受信モードに設定する。同様に、ドローンD2~D4の各出発地点の位置及び災害情報共有地点Psの位置に変化がない場合には、最初の飛行時のみ、記憶部8に出発地点位置情報及び災害情報共有地点位置情報を記憶させればよい。
【0035】
オペレータが操作部7によってドローンDiを飛行させるよう操作すると、操作応答部15は操作部7による操作に応答して、飛行制御部12に飛行の開始を指示する。書込・読出制御部16は、操作応答部15による制御に基づいて、記憶部8より目的地である災害情報共有地点Psの位置情報を読み出して飛行制御部12に供給する。各種センサ4は、ドローンDiを飛行させるのに必要な、ジャイロセンサ、加速度センサ、気圧センサ(高度センサ)、地磁気センサ等を含む。上記のように、各種センサ4はLiDARのセンサを含んでもよい。
【0036】
飛行制御部12は駆動回路21~24を制御する。駆動回路21~24は、それぞれ、プロペラ41~44を回転させるためのモータ31~34を回転させる。飛行制御部12は、ドローンDiを出発地点から災害情報共有地点Psまで飛行させるよう、ドローンDiの位置情報及び各種センサ4による検出値を用いながら、駆動回路21~24を制御する。
【0037】
ドローンD1~D4が災害情報共有地点Psまで飛行すると、
図2に示すように、ドローンD1~D4は災害情報共有地点Psの近傍に集まる。ドローンD1は情報送信モードに設定されているので、ドローンD1とドローンD2~D4との近距離無線通信が確立すると、ドローンD1の書込・読出制御部16は記憶部8より災害関連情報を読み出し、データ入出力部13は災害関連情報を近距離無線通信部2に供給する。これにより、ドローンD1の近距離無線通信部2(第1の近距離無線通信部)は、ドローンD2~D4の近距離無線通信部2(第2の近距離無線通信部)に災害関連情報を送信する。
【0038】
ドローンD2~D4は情報受信モードに設定されているので、ドローンD1とドローンD2~D4との近距離無線通信が確立すると、ドローンD2~D4の近距離無線通信部2は災害関連情報を受信し、データ入出力部13は災害関連情報を書込・読出制御部16に供給する。書込・読出制御部16は災害関連情報を記憶部8に書き込む。
図5Bに示すように、ドローンD2~D4の各記憶部8には、ドローンD1より送信された災害関連情報が追記される。
【0039】
ドローンD2~D4は、記憶部8にドローンD1が位置する被災地の災害関連情報が記憶された状態で各地域へと戻るから、各地域で被災地の災害関連情報を読み出して被災地における災害の状況を知ることができる。
【0040】
図6A~
図6Cを用いて、ドローンDiで実行される処理を説明する。
図6Aにおいて、ドローンDiの電源がオンされてドローンDiの処理が開始されると、制御部1は、ステップS1にて、ドローンDiが書込モードに設定されているか否かを判定する。モード切替部14は、ドローンDiの電源をオフしたときに設定されているモードを保持している。ドローンDiが書込モードに設定されていれば(YES)、制御部1は、ステップS2にて、ドローンDiが情報送信モードに設定されたか否かを判定する。
【0041】
ステップS2にてドローンDiが情報送信モードに設定されなければ(NO)、制御部1は、ステップS3にて、ドローンDiが情報受信モードに設定されたか否かを判定する。ドローンDiが情報受信モードに設定されなければ(NO)、制御部1は、処理をステップS4に移行させる。
【0042】
ステップS1にてドローンDiが書込モードに設定されていなければ(NO)、制御部1は処理を
図6BのステップS8に移行させる。ステップS2にてドローンDiが情報送信モードに設定されれば(YES)、制御部1は処理を
図6BのステップS11に移行させる。ステップS3にてドローンDiが情報受信モードに設定されれば(YES)、制御部1は処理を
図6CのステップS21に移行させる。
【0043】
制御部1は、ステップS4にて、出発地点位置情報を書き込む操作がなされたか否かを判定する。出発地点位置情報を書き込む操作がなされれば(YES)、制御部1は、ステップS6にて、記憶部8に出発地点位置情報を書き込んで処理をステップS7に移行させる。出発地点位置情報を書き込む操作がなされなければ(NO)、制御部1は、ステップS5にて、災害情報共有地点位置情報または災害関連情報が入力されたか否かを判定する。災害情報共有地点位置情報または災害関連情報が入力されれば(YES)、制御部1は、ステップS6にて、記憶部8に災害情報共有地点位置情報または災害関連情報を書き込んで処理をステップS7に移行させる。
【0044】
ステップS5にて災害情報共有地点位置情報または災害関連情報が入力されなければ、制御部1は、ステップS7にて、ドローンDiの電源がオフされたか否かを判定する。電源がオフされなければ(NO)、制御部1は処理をステップS1に戻す。電源がオフされれば(YES)、制御部1は処理を終了させる。
【0045】
図6Bにおいて、制御部1は、ステップS8にて、ドローンDiが情報送信モードに設定されているか否かを判定する。ドローンDiが情報送信モードに設定されていれば(YES)、制御部1は、ステップS9にて、ドローンDiが書込モードに設定されたか否かを判定する。
【0046】
ステップS9にてドローンDiが書込モードに設定されなければ(NO)、制御部1は、ステップS10にて、ドローンDiが情報受信モードに設定されたか否かを判定する。ドローンDiが情報受信モードに設定されなければ(NO)、制御部1は、処理をステップS11に移行させる。
【0047】
ステップS8にてドローンDiが情報送信モードに設定されていなければ(NO)、制御部1は処理を
図6CのステップS19に移行させる。ステップS8にてドローンDiが情報送信モードに設定されていないということは、ドローンDiは情報受信モードに設定されているということである。ステップS9にてドローンDiが書込モードに設定されれば(YES)、制御部1は処理を
図6AのステップS4に移行させる。ステップS10にてドローンDiが情報受信モードに設定されれば(YES)、制御部1は処理を
図6CのステップS21に移行させる。
【0048】
制御部1は、ステップS11にて、ドローンDiに対して飛行指示がなされたか否かを判定する。ドローンDiに対して飛行指示がなされなければ(NO)、制御部1は処理を
図6AのステップS7に移行させる。ドローンDiに対して飛行指示がなされれば(YES)、制御部1は、ステップS12にて、ドローンDiを災害情報共有地点Psまで飛行させるよう制御する。制御部1は、ステップS13にて、ドローンDiが災害情報共有地点Psに到達したか否かを判定する。ドローンDiが災害情報共有地点Psに到達していなければ(NO)、制御部1はステップS12及びS13の処理を繰り返す。
【0049】
ドローンDiが災害情報共有地点Psに到達すれば(YES)、制御部1は、ステップS14にて、他のドローンDiとの通信が確立したか否かを判定する。他のドローンDiとの通信が確立しなければ(NO)、制御部1は、ステップS18にて、ドローンDiが災害情報共有地点Psに到達してから所定の時間が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していなければ(NO)、制御部1は処理をステップS14に戻す。
【0050】
ドローンDiが災害情報共有地点Psに到達してから所定の時間が経過しても他のドローンDiとの通信が確立しないということは、災害情報共有地点Psに他のドローンDiが到達していないということである。ドローンDiは、バッテリ9の残量を出発地点まで確実に戻ることができる程度の残量とした状態で出発地点へと戻る必要がある。そこで、ステップS18にて他のドローンDiとの通信が確立していない状態で所定の時間が経過すれば(YES)、制御部1は、処理をステップS16に移行させる。所定の時間はバッテリ9の容量等を考慮して適宜の時間に設定すればよい。
【0051】
ステップS14にて他のドローンDiとの通信が確立していれば(YES)、制御部1は、ステップS15にて、他のドローンDiに災害関連情報を送信するよう制御して処理をステップS16に移行させる。制御部1は、ステップS16にて、ドローンDiを出発地点まで飛行するよう制御し、ステップS17にて、ドローンDiが出発地点に到達したか否かを判定する。ドローンDiが出発地点に到達していなければ(NO)、制御部1は、ステップS16及びS17の処理を繰り返す。ドローンDiが出発地点に到達していれば(YES)、制御部1は、処理を
図6AのステップS7に戻す。
【0052】
図6Cにおいて、制御部1は、ステップS19にて、ドローンDiが書込モードに設定されたか否かを判定する。ドローンDiが書込モードに設定されれば(YES)、制御部1は処理を
図6AのステップS4に移行させる。ドローンDiが書込モードに設定されなければ(NO)、制御部1は、ステップS20にて、ドローンDiが情報送信モードに設定されたか否かを判定する。ドローンDiが情報送信モードに設定されれば(YES)、制御部1は処理を
図6BのステップS11に移行させる。
【0053】
ステップS20にてドローンDiが情報送信モードに設定されなければ(NO)、情報受信モードの状態が維持されているということである。制御部1は、ステップS21にて、ドローンDiに対して飛行指示がなされたか否かを判定する。ドローンDiに対して飛行指示がなされなければ(NO)、制御部1は処理を
図6AのステップS7に移行させる。ドローンDiに対して飛行指示がなされれば(YES)、制御部1は、ステップS22にて、ドローンDiを災害情報共有地点Psまで飛行させるよう制御する。
【0054】
制御部1は、ステップS23にて、ドローンDiが災害情報共有地点Psに到達したか否かを判定する。ドローンDiが災害情報共有地点Psに到達していなければ(NO)、制御部1はステップS22及びS23の処理を繰り返す。
【0055】
ステップS23にてドローンDiが災害情報共有地点Psに到達すれば(YES)、制御部1は、ステップS24にて、他のドローンDiとの通信が確立したか否かを判定する。他のドローンDiとの通信が確立しなければ(NO)、制御部1は、ステップS29にて、ドローンDiが災害情報共有地点Psに到達してから所定の時間が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していなければ(NO)、制御部1は処理をステップS24に戻す。
【0056】
ステップS29にて他のドローンDiとの通信が確立していない状態で所定の時間が経過すれば(YES)、制御部1は、処理をステップS27に移行させる。
【0057】
ステップS24にて他のドローンDiとの通信が確立していれば(YES)、制御部1は、ステップS25にて、他のドローンDiから災害関連情報を受信するよう制御する。続けて、制御部1は、ステップS26にて、受信した災害関連情報を記憶部8に書き込んで処理をステップS27に移行させる。
【0058】
制御部1は、ステップS27にて、ドローンDiを出発地点まで飛行するよう制御し、ステップS28にて、ドローンDiが出発地点に到達したか否かを判定する。ドローンDiが出発地点に到達していなければ(NO)、制御部1は、ステップS27及びS28の処理を繰り返す。ドローンDiが出発地点に到達していれば(YES)、制御部1は、処理を
図6AのステップS7に戻す。
【0059】
以上のようにして、ドローンD1は、飛行制御部12(第1の飛行制御部)による制御に従って、災害関連情報を記憶部8に記憶させた状態で災害情報共有地点Psまで飛行する。ドローンD2~D4は、飛行制御部12(第2の飛行制御部)による制御に従って、災害情報共有地点Psまで飛行する。ドローンD1は災害関連情報をドローンD2~D4に送信し、ドローンD2~D4は災害関連情報を受信することができる。
【0060】
図7A及び
図7Bに示すように、災害情報共有地点Psに中継装置50を設けてもよい。災害情報共有地点Psに中継装置50が設けられていると、ドローンD1~D4がほぼ同じ時刻に災害情報共有地点Psに集まらなくても、ドローンD2~D4はドローンD1が送信する災害関連情報を受信することができる。中継装置50は、近距離無線通信部51(第3の近距離無線通信部)と記憶装置52を備える。災害情報共有地点Psを地表に設ける場合には、中継装置50は地表に設置される。災害情報共有地点Psを空中に設ける場合には、気球または飛行船等の空中で停止することができる飛行体に中継装置50を設置することができる。
【0061】
図7Aに示すように、ドローンD1は中継装置50の近傍まで飛行する。ドローンD1の近距離無線通信部2は近距離無線通信部51に災害関連情報を送信し、記憶装置52は受信した災害関連情報を記憶する。
図7Bに示すように、例えばドローンD2は中継装置50の近傍まで飛行する。ドローンD2の近距離無線通信部2は、記憶装置52より読み出され、近距離無線通信部51より送信された災害関連情報を受信する。
【0062】
図2は、ドローンD1の近距離無線通信部2とドローンD2~D4の近距離無線通信部2とが災害情報共有地点Psで直接通信して、ドローンD2~D4の近距離無線通信部2が、ドローンD1の近距離無線通信部2が送信した災害関連情報を受信する例である。
【0063】
図7A及び
図7Bは次のような例である。ドローンD1の近距離無線通信部2が、災害情報共有地点Psに設けられている中継装置50に備えられている近距離無線通信部51と通信して、近距離無線通信部51が、近距離無線通信部2が送信した災害関連情報を受信する。中継装置50に備えられている記憶装置52が、近距離無線通信部51が受信した災害関連情報を記憶する。ドローンD2~D4の近距離無線通信部2が近距離無線通信部51と通信して、近距離無線通信部2が、記憶装置52に記憶されている災害関連情報を受信する。
【0064】
このように、ドローンD1が災害情報共有地点Psに到達し、それとほぼ同時刻またはドローンD1の到達後の所定の時刻に、ドローンD2~D4が災害情報共有地点Psに到達する。ドローンD2~D4に備えられている近距離無線通信部2は、ドローンD1に備えられている近距離無線通信部2が送信した、ドローンD1に備えられている記憶部8に記憶されている災害関連情報を受信する。
【0065】
図8に示すように、ドローンD1~D4がリレー形式で災害関連情報を伝達することも可能である。第1の災害情報共有地点Ps1で、ドローンD1が災害関連情報を送信して、ドローンD2が災害関連情報を受信する。その後、ドローンD1はドローンD1の出発地点に戻る。ドローンD2は、ドローンD2の出発地点に戻るのではなく、第2の災害情報共有地点Ps2へと飛行する。第2の災害情報共有地点Ps2は、ドローンD2の出発地点とは異なるその他の第3の地点である。
【0066】
第2の災害情報共有地点Ps2で、ドローンD2が災害関連情報を送信して、ドローンD3が災害関連情報を受信する。その後、ドローンD2はドローンD2の出発地点に戻る。ドローンD3は、ドローンD3の出発地点に戻るのではなく、第3の災害情報共有地点Ps3へと飛行する。第3の災害情報共有地点Ps3は、ドローンD3の出発地点とは異なるその他の第3の地点である。
【0067】
第3の災害情報共有地点Ps3で、ドローンD3が災害関連情報を送信して、ドローンD4が災害関連情報を受信する。その後、ドローンD3はドローンD3の出発地点に戻り、ドローンD4はドローンD4の出発地点に戻る。このようにして、ドローンD1が位置する被災地の災害関連情報は、ドローンD2及びD3を介してドローンD4へと送信されて、ドローンD4が位置する地域に伝達される。
【0068】
図8に示すリレー形式での災害関連情報の伝達を実現するために、ドローンD2の記憶部8は、第1の災害情報共有地点Ps1及び第2の災害情報共有地点Ps2の災害情報共有地点位置情報を記憶する。ドローンD3の記憶部8は、第2の災害情報共有地点Ps2及び第3の災害情報共有地点Ps3の災害情報共有地点位置情報を記憶する。
【0069】
ドローンD2の制御部1は、第1の災害情報共有地点Ps1で情報受信モードとなっているドローンD2を、第2の災害情報共有地点Ps2に到達したら情報送信モードに切り替える。ドローンD3の制御部1は、第2の災害情報共有地点Ps2で情報受信モードとなっているドローンD3を、第3の災害情報共有地点Ps3に到達したら情報送信モードに切り替える。
【0070】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
図2に示すようにドローンD1~D4が災害情報共有地点Psの近傍に集まった状態で、ドローンD1~D4が情報送信モードと情報受信モードとを切り替えながら、災害関連情報を共有するように構成されていてもよい。
【0071】
具体的には、ドローンD1を基準のドローンDiとして、第1の処理では、ドローンD1を情報送信モード、ドローンD2~D4を情報受信モードとして、ドローンD1が送信する災害関連情報をドローンD2~D4が受信する。第1の処理の終了後の第2の処理では、ドローンD2を情報送信モード、ドローンD1、D3、D4を情報受信モードとして、ドローンD2が送信する災害関連情報をドローンD1、D3、D4が受信する。
【0072】
第2の処理の終了後の第3の処理では、ドローンD3を情報送信モード、ドローンD1、D2、D4を情報受信モードとして、ドローンD3が送信する災害関連情報をドローンD1、D2、D4が受信する。第3の処理の終了後の第4の処理では、ドローンD4を情報送信モード、ドローンD1~D3を情報受信モードとして、ドローンD4が送信する災害関連情報をドローンD1~D3が受信する。ドローンD1~D4は、以上の第1~第4の処理の終了後に各出発地点に戻るように制御される。
【0073】
上記のように、災害関連情報にドローンDiを特定するIDを付加すれば、ドローンD1~D4は、他のどのドローンDiから受信した災害関連情報であるかを特定することができる。
【0074】
2つのドローンDiが互いに災害関連情報を送受信するとき、一方のドローンDiから他方のドローンDiへと災害関連情報を送信した後に他方のドローンDiから一方のドローンDiへと災害関連情報を送信してもよいし、2つのドローンDiが同時に双方向で災害関連情報を送受信してもよい。1つのドローンDiが送信する災害関連情報を、2つまたはそれ以上のドローンDiが同時に受信することも可能である。複数のドローンDiが互いに災害関連情報を送受信するときの送受信の仕方は限定されない。
【0075】
本発明は、通信網が被害を受けたときに被災地の災害関連情報を第3者に伝達するのに好適ではあるが、第3者に伝達する情報は災害関連情報に限定されるものではなく、任意の情報を第3者に伝達することが可能である。災害情報共有地点は情報共有地点の一例である。
【0076】
本開示は、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の「住み続けられるまちづくりを」の実現に貢献し、公共施設の安心・安全に寄与する事項を含む。
【符号の説明】
【0077】
1 制御部
2,51 近距離無線通信部
3 GNSS受信部
4 各種センサ
5 カメラ
6 画像処理部
7 操作部
8 記憶部
9 バッテリ
11 位置算出部
12 飛行制御部
13 データ入出力部
14 モード切替部
15 操作応答部
16 書込・読出制御部
21~24 駆動回路
31~34 モータ
41~44 プロペラ
50 中継装置
52 記憶装置
D1~D4,Di ドローン(飛行体)
Ps,Ps1~Ps3 災害情報共有地点