(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170838
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】シート材回収方法およびシート材回収装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231124BHJP
B65H 19/30 20060101ALI20231124BHJP
B65H 18/10 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
H01L21/68 N
B65H19/30
B65H18/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082902
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】394016601
【氏名又は名称】日東精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】奥野 長平
【テーマコード(参考)】
3F055
3F064
5F131
【Fターム(参考)】
3F055CA01
3F055CA24
3F055CA28
3F055DA01
3F055FA05
3F064CB01
3F064CB08
3F064DA02
3F064EB13
3F064FA04
5F131AA02
5F131BA53
5F131CA32
5F131CA42
5F131CA46
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA07
5F131EA23
5F131EB01
5F131EB11
5F131EC34
5F131EC37
5F131EC62
5F131EC63
5F131EC68
5F131EC69
5F131EC72
5F131EC76
5F131EC77
(57)【要約】
【課題】巻き取り軸に負担を与えることを回避しつつシート材を容易に巻き取り回収できるシート材回収方法およびシート材回収装置を提供する。
【解決手段】
剥離ライナーSを巻き取る巻き取り部57と、巻き取り部57に配設されており剥離ライナーSを保持する吸着孔69と、剥離ライナーSが吸着孔69で保持された状態で巻き取り部57を回転させて剥離ライナーSを巻き取り部57へロール状に巻き取らせていく巻き取り機構51と、巻き取り部57の径D2を、剥離ライナーSを巻き取り部57へ巻き取らせる状態における巻き取り部の径D1よりも小さくすることによってロール状に巻き取られた剥離ライナーSと巻き取り部57との間に間隙部Vbを形成させる最大径調節機構61と、剥離ライナーSの先端部Stが吸着孔69で保持される状態を解除させる制御部40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して繰り出し供給されるシート材を巻き取り回収するシート材回収方法であって、
巻き取り部に配設されている固定部材に前記シート材の先端を固定させるシート固定過程と、
前記シート材の先端が前記巻き取り部に固定された状態で前記巻き取り部を回転させて前記シート材を前記巻き取り部へロール状に巻き取らせていく巻き取り過程と、
前記巻き取り部の径を、前記巻き取り過程における前記巻き取り部の径よりも小さくすることによって前記巻き取り部と前記シート材との間に間隙部を形成させる間隙形成過程と、
前記シート材の先端が前記巻き取り部に固定されている状態を解除させる固定解除過程と、
ロール状に巻き取られた前記シート材を前記巻き取り部から抜き取り回収する回収過程と、
を備えることを特徴とするシート材回収方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシート材回収方法において、
前記巻き取り部に配設された突出部材を、前記巻き取り部の径方向に突出させることで前記巻き取り部の径を増大させる突出形成過程と、
前記突出形成過程によって前記突出部材が前記巻き取り部の径方向に突出された状態を解除する突出解除過程と、
を備え、
前記巻き取り過程は、
前記突出形成過程によって前記突出部材が前記巻き取り部の径方向に突出された状態で、前記シート材を前記巻き取り部へロール状に巻き取らせていき、
前記間隙形成過程は、
前記突出解除過程により前記突出部材が前記巻き取り部の径方向に突出された状態を解除することで、前記巻き取り部の径を前記巻き取り過程における前記巻き取り部の径よりも小さくする
ことを特徴とするシート材回収方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のシート材回収方法において、
前記固定部材は、前記突出部材に設けられている
ことを特徴とするシート材回収方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のシート材回収方法において、
前記シート固定過程は、
エアー吸引方式または静電気吸引方式によって前記固定部材が前記シート材の先端を吸着することによって、前記シート材の先端を前記固定部材に固定させる
ことを特徴とするシート材回収方法。
【請求項5】
ワークに対して繰り出し供給されるシート材を巻き取り回収するシート材回収装置であって、
前記シート材を巻き取る巻き取り部と、
前記巻き取り部に配設されており前記シート材の先端を固定させるシート固定部材と、
前記シート材の先端が前記シート固定部材に固定された状態で前記巻き取り部を回転させて前記シート材を前記巻き取り部へロール状に巻き取らせていく巻き取り機構と、
前記巻き取り部の径を、前記巻き取り機構で前記シート材を前記巻き取り部へ巻き取らせる状態における前記巻き取り部の径よりも小さくすることによってロール状に巻き取られた前記シート材と前記巻き取り部との間に間隙部を形成させる間隙形成機構と、
前記シート材の先端が前記シート固定部材に固定されている状態を解除させる固定解除機構と、
を備えることを特徴とするシート材回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ(以下、適宜「ウエハ」という)または基板を例とするワークに対して供給された、粘着テープを例とするシート材をロール状に巻き取って回収するためのシート材回収方法およびシート材回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製品を製造する工程において、ウエハや基板を例とするワークに対して、シート材を用いて各種処理が行われる。一例として、ウエハの表面に回路パターン形成処理を行った後、回路パターンを保護するべくウエハの表面に保護用の粘着テープ(保護テープ)を貼り付ける処理を行う。すなわちシート状となっている保護テープを供給用ボビンからウエハへ繰り出し供給し、ウエハの表面に保護テープを貼付ローラで貼り付ける。ウエハの表面に保護テープが貼り付けられた後、ウエハの外形に沿って保護テープを切断することにより、保護テープがウエハの形状に切り抜かれる(例えば、特許文献1を参照)。ウエハに保護テープを貼りつけた後、ウエハの裏面全体を均一に研削して薄型化するバックグラインド処理などが施される。
【0003】
またシート材を用いる処理の他の例として、ウエハに貼りつけられた保護テープをウエハから剥離する場合、シート状となっている剥離用の粘着テープ(剥離テープ)を供給用ボビンからウエハへ繰り出し供給し、保護テープの表面に剥離テープを貼付ローラで貼り付ける。そして、先鋭なエッジ部材で保護テープに貼りつけられた剥離テープを折り返しつつ剥離することによって、剥離テープと保護テープとを一体としてウエハから剥離する(例えば、特許文献2を参照)。
【0004】
従来の構成において、ウエハへ繰り出し供給されたシート材は各種処理が行われた後、ウエハからさらにシート材回収装置へ送り出されて回収される。一例としてウエハに保護テープを貼りつけるテープ貼付装置では、ウエハの外形に沿って切り抜かれた後の不要な保護テープがウエハからシート材回収装置へと送り出される。シート材回収装置には回転可能な巻き取り軸が配設されており、シート材の先端が巻き取り軸に固定された状態で巻き取り軸を回転させることにより、シート材は巻き取り軸によってロール状に巻き取られていく。巻き取り軸に巻き取られた保護テープが一定量以上になると、シート材回収装置において保護テープが切断されて、巻き取り軸に巻き取られている先端側の保護テープとウエハへ供給されている後端側の保護テープとが分離される。そしてロール状となっている先端側の保護テープは、巻き取り軸から手動で抜き取られて回収される。
【0005】
ウエハから保護テープを剥離するテープ剥離装置では、保護テープと一体となっているシート状の剥離テープがウエハからシート材回収装置へと送り出され、シート材回収装置が備える巻き取り軸にロール状に巻き取られる。巻き取り軸に巻き取られた剥離テープが一定量以上になると、シート材回収装置において剥離テープが切断される、そしてロール状となっている先端側の剥離テープは、巻き取り軸から手動で抜き取られて回収される。
【0006】
また、保護テープまたは剥離テープを例とする粘着テープの粘着面に、非粘着性の剥離ライナーが添設されている場合がある。この場合、粘着テープを使用する直前に剥離ライナーを粘着テープから剥離する。粘着テープから剥離された剥離ライナーもまた、剥離ライナー用のシート材回収装置へと送り出され、シート材回収装置が備える巻き取り軸にロール状に巻き取られて手動で回収される。
【0007】
【特許文献1】特開2013-232583号公報
【特許文献2】特開2002-124494号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の構成では次のような問題がある。すなわち、シート材を巻き取り軸に巻回させて回収する場合、シート材に対して繰り出し方向にテンションが付与されつつ、シート材は巻き取り軸の外周に密着するように巻き取られていく。そのため、ロール状に巻き取られたシート材と巻き取り軸との間に作用する摩擦力が大きくなるので、巻き取り軸からロール状のシート材を抜き取り回収することが困難になる。
【0009】
特に、当該摩擦力に抗うべくロール状のシート材を無理に引っ張って抜き取り回収すると、シート材を手動で引っ張る際に巻き取り軸に対して軸方向以外へ大きな力が作用するので、巻き取り軸の軸方向が初期状態の方向から歪むという事態が懸念される。巻き取り軸が歪むとシート材を巻き取る方向が歪むこととなるので、シート材の回収精度および回収効率が低下する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、巻き取り軸に負担を与えることを回避しつつ容易にシート材を巻き取り回収できるシート材回収方法およびシート材回収装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明は、ワークに対して繰り出し供給されるシート材を巻き取り回収するシート材回収方法であって、
巻き取り部に配設されている固定部材に前記シート材の先端を固定させるシート固定過程と、
前記シート材の先端が前記巻き取り部に固定された状態で前記巻き取り部を回転させて前記シート材を前記巻き取り部へロール状に巻き取らせていく巻き取り過程と、
前記巻き取り部の径を、前記巻き取り過程における前記巻き取り部の径よりも小さくすることによって前記巻き取り部と前記シート材との間に間隙部を形成させる間隙形成過程と、
前記シート材の先端が前記巻き取り部に固定されている状態を解除させる固定解除過程と、
ロール状に巻き取られた前記シート材を前記巻き取り部から抜き取り回収する回収過程と、
を備えることを特徴とするものである。
【0012】
(作用・効果)この構成によれば、シート材を巻き取り部へロール状に巻き取らせていく巻き取り過程を行った後、間隙形成過程を行う。間隙形成過程を行うことによって巻き取り部の径が小さくなるので、巻き取り部とシート材との間に間隙部が形成される。間隙部が形成されることにより、ロール状に巻き取られているシート材と巻き取り部の外周との間に発生する摩擦力が大きく低減される。従って、シート材を巻き取り部から抜き取り回収する回収過程において、ロール状となっているシート材を容易に巻き取り部から抜き取ることができる。また摩擦力に抗ってシート材を抜き取るために、操作者が巻き取り部に対して軸方向と異なる方向へ無用な力を付与させるという事態を防止できるので、巻き取り軸が歪んでシート材の回収効率が低下することを回避できる。
【0013】
また、上述した発明において、前記巻き取り部に配設された突出部材を、前記巻き取り部の径方向に突出させることで前記巻き取り部の径を増大させる突出形成過程と、
前記突出形成過程によって前記突出部材が前記巻き取り部の径方向に突出された状態を解除する突出解除過程と、
を備え、
前記巻き取り過程は、
前記突出形成過程によって前記突出部材が前記巻き取り部の径方向に突出された状態で、前記シート材を前記巻き取り部へロール状に巻き取らせていき、
前記間隙形成過程は、
前記突出解除過程により前記突出部材が前記巻き取り部の径方向に突出された状態を解除することで、前記巻き取り部の径を前記巻き取り過程における前記巻き取り部の径よりも小さくすることが好ましい。
【0014】
(作用・効果)この構成によれば、巻き取り部は突出部材を備えており、当該突出部座を巻き取り部の径方向に突出させる突出形成過程を行うことによって巻き取り部の径が増大する。そして突出形成過程によって巻き取り部の径が増大した状態で、シート材を巻き取り部へロール状に巻き取らせる巻き取り過程を行う。
【0015】
巻き取り過程が完了した後、突出解除過程を行う。突出解除過程では、突出部材が前記巻き取り部の径方向に突出された状態を解除する。突出部材が前記巻き取り部の径方向に突出された状態を解除することにより、巻き取り部の径は巻き取り過程における巻き取り部の径よりも小さくなるので、シート材と巻き取り部との間に間隙部が形成される。突出部材を巻き取り部の径方向に進退移動させることによって間隙部を形成できるので、間隙部を形成させる機構を容易に自動化できる。そのため、シート材と巻き取り部との間に発生する摩擦力を低減させつつシート材を回収する際に手動で行う操作を低減することができる。
【0016】
また、上述した発明において、前記固定部材は、前記突出部材に設けられていることが好ましい。
【0017】
(作用・効果)この構成によれば、固定部材は突出部材に設けられているので、単一の部材で突出形成過程とシート固定過程とを実行できる。従って、本発明に係るシート材回収装置の単純化および小型化を容易に実現できる。
【0018】
また、上述した発明において、前記固定過程は、エアー吸引方式または静電気吸引方式によって前記固定部材が前記シート材の先端を吸着することによって、前記シート材の先端を前記固定部材に固定させることが好ましい。
【0019】
(作用・効果)この構成によれば、固定部材はエアー吸引方式または静電気吸引方式によってシート材の先端を吸着するように構成されている。シート材の先端を吸着することによって、固定部材はシート材の先端をより確実に固定できる。また吸着を解除することによって、固定部材にシート材の先端が固定されている状態は迅速かつ確実に解除される。従って、吸引のオンおよびオフを制御するという単純な構成によって、シート固定過程および固定解除過程を迅速かつ精度良く実行できる。
【0020】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとってもよい。
すなわち、本発明は、ワークに対して繰り出し供給されるシート材を巻き取り回収するシート材回収装置であって、
前記シート材を巻き取る巻き取り部と、
前記巻き取り部に配設されており前記シート材の先端を固定させるシート固定部材と、
前記シート材の先端が前記シート固定部材に固定された状態で前記巻き取り部を回転させて前記シート材を前記巻き取り部へロール状に巻き取らせていく巻き取り機構と、
前記巻き取り部の径を、前記巻き取り機構で前記シート材を前記巻き取り部へ巻き取らせる状態における前記巻き取り部の径よりも小さくすることによってロール状に巻き取られた前記シート材と前記巻き取り部との間に間隙部を形成させる間隙形成機構と、
前記シート材の先端が前記シート材固定部材に固定されている状態を解除させる固定解除機構と、
を備えることを特徴とするものである。
【0021】
(作用・効果)この構成によれば、シート材を巻き取り部へロール状に巻き取らせた後、間隙形成機構によって巻き取り部の径を小さくさせる。巻き取り部の径を小さくさせることにより、巻き取り部とシート材との間に間隙部が形成される。間隙部が形成されることにより、ロール状に巻き取られているシート材と巻き取り部の外周との間に発生する摩擦力が大きく低減される。従って、シート材を巻き取り部から抜き取り回収する際に、ロール状となっているシート材を容易に巻き取り部から抜き取ることができる。また摩擦力に抗ってシート材を抜き取るために、操作者が巻き取り部に対して軸方向と異なる方向へ無用な力を付与させるという事態を防止できるので、巻き取り軸が歪んでシート材の回収効率が低下することを回避できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るシート材回収方法およびシート材回収装置によれば、シート材を巻き取り部へロール状に巻き取らせていく巻き取り過程を行った後、間隙形成過程を行う。間隙形成過程を行うことによって巻き取り部の径が小さくなるので、巻き取り部とシート材との間に間隙部が形成される。間隙部が形成されることにより、ロール状に巻き取られているシート材と巻き取り部の外周との間に発生する摩擦力が大きく低減される。従って、シート材を巻き取り部から抜き取り回収する回収過程において、ロール状となっているシート材を容易に巻き取り部から抜き取ることができる。
【0023】
また摩擦力に抗ってシート材を抜き取るために、操作者が巻き取り部に対して軸方向と異なる方向へ無用な力を付与させるという事態を防止できるので、巻き取り軸が歪んでシート材の回収効率が低下することを回避できる。すなわち、巻き取り軸に負担を与えることを回避しつつシート材を巻き取り回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例1に係るシート材回収装置を備える、粘着テープ貼付け装置の基本構成を示す正面図である。
【
図2】実施例1に係るシート材回収装置の概略構成を示す斜視図である。(a)は突出状態となっているシート材回収装置の斜視図であり、(b)は埋没状態となっているシート材回収装置の斜視図である。
【
図3】実施例1に係る最大径調節機構の斜視図である。
【
図4】実施例1における、剥離ライナーが添設された保護テープの構成を示す断面図である。
【
図5】実施例1に係る巻き取り部の構成を示す、正面視における縦断面図である。(a)は突出状態における縦断面図であり、(b)は埋没状態における縦断面図である。
【
図6】実施例1に係る装置の動作を示すフローチャートである。(a)は保護テープをウエハに貼りつける動作の概要を示すフローチャートであり、(b)は剥離ライナーを巻き取って回収する動作を示すフローチャートである。
【
図7】実施例1に係るステップS1を説明する図である。
【
図8】実施例1に係るステップS2を説明する図である。
【
図9】実施例1に係るステップS3を説明する図である。
【
図10】実施例1に係るステップS4を説明する図である。
【
図11】実施例1に係るステップT2を説明する斜視図である。
【
図12】実施例1に係るステップT2を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図13】実施例1に係るステップT2を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図14】実施例1に係るステップT3を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図15】実施例1に係るステップT3を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図16】実施例1に係るステップT4を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図17】実施例1に係るステップT4を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図18】実施例1に係るステップT5を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図19】実施例1に係るステップT5を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図20】実施例1に係るステップT6を説明する斜視図である。
【
図21】比較例に係るシート材回収装置の構成を示す斜視図である。
【
図22】比較例に係るシート材回収装置の構成を示す、左側面視における縦断面図である。
【
図23】比較例に係るシート材回収装置の操作を示す、正面視における縦断面図である。
【
図24】比較例に係るシート材回収装置の操作を示す、正面視における縦断面図である。
【
図25】比較例に係るシート材回収装置の操作を示す斜視図である。
【
図26】比較例に係るシート材回収装置の操作を示す、正面視における縦断面図である。
【
図27】比較例に係るシート材回収装置の操作を示す、正面視における縦断面図である。
【
図28】比較例に係るシート材回収装置の操作を示す、正面視における縦断面図である。
【
図29】実施例2に係るシート材回収装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図30】実施例2において、収縮状態となっているシート材回収装置の構成を示す、正面視における縦断面図である。
【
図31】実施例2において、膨張状態となっているシート材回収装置の構成を示す、正面視における縦断面図である。
【
図32】実施例2に係るステップT2を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図33】実施例2に係るステップT2を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図34】実施例2に係るステップT3を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図35】実施例2に係るステップT4を説明する、正面視における縦断面図である。
【
図36】変形例に係るシート材回収装置を説明する、正面視における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0025】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るシート材回収装置を備える、粘着テープ貼付け装置1の基本構成を示す正面図である。なお粘着テープ貼付け装置1を示す図において、各種構成を支持する支持手段、および各種構成を駆動させる駆動手段などについては図示を省略している。
【0026】
粘着テープ貼付け装置1は、半導体ウエハW(以下、単に「ウエハW」と略称する)の表面側に保護テープPTを貼り付けることを目的とする。保護テープPTは、ウエハWの表面に形成された回路パターンを保護する、回路保護用の粘着テープである。実施例1において、ウエハWは本発明におけるワークに相当する。
【0027】
なお、本実施例において「上流」および「下流」とは保護テープPTの繰り出し方向Lに沿うものとして定義される。すなわち「上流」とは保護テープPTの繰り出し方向Lにおいて、後述するテープ供給部3に近い側を意味するものとする。
【0028】
<全体構成の説明>
本実施例に係る粘着テープ貼付け装置1は
図1に示すように、テープ供給部3、テンション機構4、保持テーブル5、テープ貼付けユニット7、テープ切断ユニット9、テープ剥離ユニット11、テープ回収部13、およびライナー回収部15を備えている。
【0029】
テープ供給部3は、供給ボビン19および剥離ローラ21などを備えている。供給ボビン19には原反ロール20が装填されている。原反ロール20には保護テープPTが、剥離ライナー(セパレータ)Sが添設された状態で巻回されている。保護テープPTは
図4に示すように、非粘着性の基材Bと、粘着性を有する粘着層Cとが積層された構成を備えている。そして剥離ライナーSは保護テープPTのうち粘着層Cの側に添設されている。テープ供給部3は、剥離ライナーSが添設されている保護テープPTをウエハWに対して(ウエハWに向けて)繰り出し供給する。実施例1において、保護テープPTおよび剥離ライナーSの各々は本発明におけるシート材に相当する。
【0030】
供給ボビン19は電磁ブレーキ23に連動連結されて適度の回転抵抗がかけられている。電磁ブレーキ23は、剥離ライナーSが添設されている保護テープPTが供給ボビン19から過剰に繰り出し供給されることを防止する。
【0031】
剥離ローラ21は、保護テープPTから剥離ライナーSを剥離するとともに、剥離された剥離ライナーSをライナー回収部15へと案内する。
【0032】
テンション機構4は
図1に示すように、揺動アーム25を振動させるシリンダ27を備えている。揺動アーム25は、固定軸の支軸に遊点ローラ28が軸支されており、自由端側にダンサローラ29を備えている。テンション機構4は、シリンダ27の作動に連動して揺動する揺動アーム25の自由端側のダンサローラ29が下降し、保護テープPTを下方に押し下げることによって、保護テープPTの繰り出し方向Lへテンションを付与するように構成される。
【0033】
保持テーブル5は
図1に示すように、基部17とウエハ保持部31とを備えている。基部17はウエハ保持部31の下部に接続されており、昇降移動を可能とするように構成されている。ウエハ保持部31は、表面側に回路パターンが形成されているウエハWを、回路形成面を上向きにした状態で載置して保持する。
【0034】
ウエハ保持部31の上面には、後述するカッタ刃9cをウエハWの外形に沿って旋回移動させて保護テープPTを切断するために、カッタ走行溝33が形成されている。本実施例ではウエハ保持部31として、ウエハWを吸着保持するチャックテーブルを用いるが、ウエハ保持部31の構成としてはこれに限られない。
【0035】
テープ貼付けユニット7は、保持テーブル5に載置されて吸着保持されたウエハWの回路面に保護テープPTを貼付ける。テープ貼付けユニット7は
図1に示すように、図示しないレールに沿って左右水平に往復移動する可動台34と、可動台34に接続されたブラケットに軸支された貼付けローラ35とを備えている。
【0036】
テープ切断ユニット9は、駆動昇降可能な可動台9aの下部に、保持テーブル5の中心上に位置する縦軸心P周りに駆動旋回可能に支持アーム9bが装備される。また、この支持アーム9bの遊端側に、刃先を下向きにしたカッタ9cが装着されている。テープ切断ユニット9は保持テーブル5の上方に配置されており、テープ切断ユニット9が初期位置から下降して切断位置へ移動することによって、保持テーブル5に設けられているカッタ走行溝33にカッタ9cの刃先が入り込むように各々の位置が調整されている。つまり、支持アーム9bが縦軸心Pを旋回中心として旋回することにより、カッタ9cがウエハWの外周に沿って移動して粘着テープTを切り抜くよう構成されている。
【0037】
テープ剥離ユニット11は、カッタ9cによって切り抜かれてウエハWの表面に貼り付けられた保護テープPT(保護テープPTw)と、保護テープPTwが切り抜かれて不要となった保護テープPTである、不要テープPTnとを分離させる。テープ剥離ユニット11は、第1テンション機構4と協働して粘着テープDTのテンションを維持するガイドローラ46と、ニップローラ47とを備えている。
【0038】
ニップローラ47は、昇降移動を可能とするピンチローラ47aと、モータによって駆動する送りローラ47bによって構成される。テープ剥離ユニット11は、図示しないレールに沿って左右水平に往復移動が可能となるように構成されている。
【0039】
テープ回収部13はテープ剥離ユニット11の下流に配設されており、不要テープDTnを巻き取る巻き取り機構49が巻き取り方向に回転駆動されるようになっている。巻き取り機構49は、図示しないモータによって正逆に回転駆動制御されるように構成されている。
【0040】
なお、粘着テープ貼付け装置1は、さらに制御部40と入力部50とを備えている。制御部40はCPU(中央演算処理装置)などを備えており、粘着テープ貼付け装置1の各種動作を統括制御する。入力部50の例としてはコンソールパネルやキーボードなどが挙げられ、オペレータは入力部50を用いて各種指示を入力できる。入力部50に入力された指示内容は制御部40に送信され、制御部40は当該指示に沿って各種統括制御を行うことができる。
【0041】
<シート材回収装置の構成>
ここで、実施例1におけるシート材回収装置に相当する、ライナー回収部15の構成について説明する。ライナー回収部15は
図2(a)などに示すように、巻き取り機構51と、切断機構53とを備えている。巻き取り機構51は、剥離ライナーSを巻き取り回収するものであり、回転プレート55と、巻き取り部57とを備えている。回転プレート55は図示しないモータによって正逆に回転駆動制御されるように構成されている。巻き取り部57は全体としてz方向に延びる円筒状の部材であり、回転プレート55の中央部に立設されている。巻き取り部57が回転プレート55とともにz方向の軸周りに回転することにより、剥離ライナーSを巻き取り部57の側面に巻き取らせることができる。
【0042】
巻き取り部57の外郭を構成する筒状部材58は中空となっており、曲面状となっている筒状部材58の側面には貫通孔59が形成されている。実施例1では
図2などに示すように、筒状部材58の側面のうち上側に相当する位置に貫通孔59が形成されている。また、巻き取り部57の内部には最大径調節機構61が配設されている。最大径調節機構61は、貫通孔59を通って巻き取り部57の径方向に進退移動可能に構成されている。本実施例では貫通孔59が上向きに形成されているので、最大径調節機構61は
図2などにおける上下方向(符号Gで示す方向)に往復移動するように構成されている。実施例1に係る巻き取り機構51では、最大径調節機構61が貫通孔59を通って巻き取り部57の径方向に進退移動することにより、巻き取り部57の最大径の長さが可変となるように構成されている。
【0043】
最大径調節機構61は
図3に示すように、突出部材63と、シリンダ65と、モータ67とを備えている。シリンダ65は突出部材63およびモータ67に接続されている、シリンダ65は、モータ67の正逆回転に連動して、巻き取り部57の径方向Gへ伸縮動作するように構成されている。すなわち、突出部材63はシリンダ65の伸縮動作に従って、巻き取り部57の径方向Gへ進退移動可能(昇降移動可能)となる。モータ67は
図5(a)などに示すように、筒状部材58の内部に固定配置されている。
【0044】
突出部材63は略直方体の形状を有しており、その上面は曲面となっている。突出部材63は上面において剥離ライナーSと当接し、剥離ライナーSを巻き取り部57に巻回させていく。突出部材63の上面の曲率と、筒状部材58の側面の曲率とは同じであることが好ましい。各々の面の曲率が同じとすることにより、最大径調節機構61を進退移動させて突出部材63の位置を調節することにより、突出部材63の上面と筒状部材58の側面とを精度良く面一とすることができる。
【0045】
シリンダ65が伸張することにより、突出部材63は貫通孔59を通って筒状部材58の外側へと突出し、初期位置から突出位置へと移動する。突出部材63が突出位置へ移動して筒状部材58の側面よりも外側へ突出した状態は
図2(a)または
図5(a)に示されている。突出部材63が突出位置へ移動した状態を以下、「突出状態」とする。
【0046】
シリンダ65が収縮することにより、突出部材63は貫通孔59を通って筒状部材58の内部へと埋没し、突出位置から初期位置へと移動する。突出部材63が初期位置へ移動することにより、突出状態が解除される。また突出部材63が初期位置へ移動することにより、筒状部材58の外周面(側面)と突出部材63の外面(
図3では上面)とが面一となるように、初期位置の高さが調整される。突出部材63が初期位置へ移動して筒状部材58の内部へ埋没した状態は、
図2(b)または
図5(b)に示されている。突出部材63が初期位置へ移動した状態を以下、「埋没状態」とする。
【0047】
突出部材63が突出状態となった場合、巻き取り部57の最大径は
図5(a)において符号D1で示される長さとなる。実施例1では、z方向へ延びる筒状部材58の中心軸Qから突出部材63の上面までの距離が、巻き取り部57の最大径に相当する。そのため、突出部材63が突出状態となった場合、巻き取り部57の最大径の長さD1は、中心軸Qから筒状部材58の外周面までの距離Eよりも長くなる。
【0048】
突出部材63が埋没状態となった場合、巻き取り部57の最大径は
図5(b)において符号D2で示される長さとなる。実施例1では突出部材63が埋没状態となった場合、筒状部材58の側面(外周面)と突出部材63の上面とが面一となる。そのため、突出部材63が埋没状態となった場合、巻き取り部57の最大径の長さD2は、中心軸Qから筒状部材58の外周面までの距離Eと等しくなる。よって、突出状態における巻き取り部57の最大径(長さD1)は、埋没状態における巻き取り部57の最大径(長さD2)より長くなる。このように、実施例1では突出部材63を進退移動させることにより、巻き取り部57の最大径の長さを調節できるように構成されている。符号D1または符号D2で示されている巻き取り部57の最大径は、本実施例における「巻き取り部の径」に相当する。
【0049】
突出部材63の上面には、複数の吸着孔69が形成されている。吸着孔69の各々は突出部材63を上下方向に貫通する貫通孔であり、流路70を介して吸引装置71に接続されている。すなわち吸引装置71が作動することにより、突出部材63は吸着孔69を介して剥離ライナーSを吸着保持するように構成されている。
図3では説明の便宜上、突出部材63に配設されている12個の吸着孔69のうち1つのみが、貫通孔である旨を点線で表示されているとともに、吸引装置71と接続されている。しかし、実際は全ての吸着孔69が突出部材63の底面まで貫通されており、吸引装置71と接続されている。吸引装置71は筒状部材58の内部に配設されている。但し
図12などでは説明の便宜上、吸引装置71は巻き取り部57の外側に記載されている。
【0050】
切断機構53は巻き取り機構51に案内されている剥離ライナーSを幅方向に切断するものであり、カッタホルダ72とカッタ73とを備えている。カッタホルダ72は図示しない駆動機構によって、巻き取り機構51に案内されている剥離ライナーSに近づく方向と当該剥離ライナーSの幅方向との各々に往復移動可能に構成されている。カッタ73はカッタホルダ72の先端に配設されており、カッタホルダ72とともに各方向へ往復移動する。
【0051】
実施例1では、ライナー回収部15の近傍において、剥離ライナーSは幅方向がz方向となるように搬送されている。またライナー回収部15の近傍において、剥離ライナーSの繰り出し方向Mはy方向に平行であるので、剥離ライナーSの面に垂直な方向はx方向となる。すなわち、剥離ライナーSに近接または離間する方向はx方向に相当する。従って、実施例1において、カッタホルダ72はカッタ73とともにx方向およびz方向へ往復移動可能に構成されている。
【0052】
カッタホルダ72がx方向へ移動することにより、切断機構53は退避位置と切断位置との間をx方向へ往復移動する。退避位置は、カッタ73が剥離ライナーSに対して離間している位置である。なお
図1は、切断機構53が退避位置に移動している状態を示している。切断位置は、カッタ73が剥離ライナーSを切断できる程度に、剥離ライナーSに対して近接している位置である。切断機構53が切断位置へ移動している状態でカッタホルダ72をz方向へ移動させることにより、カッタ73は剥離ライナーSを幅方向に切断する。
【0053】
<貼付け動作の概要>
ここで、粘着テープ貼付装置1を用いてウエハWに保護テープPTを貼り付けるための一連の基本動作を説明する。
図6(a)は、保護テープPTをウエハWに貼り付ける工程を説明するフローチャートである。
【0054】
貼付け指令が出されると、まずはワークを保持テーブル5に載置させる。すなわち、所定の収納部に収納されているウエハWは、アライメントステージで位置合わせされた後、図示しないウエハ搬送機構によって保持テーブル5に載置される。保持テーブル5が備えるウエハ保持部31に載置されたウエハWは旋回され、ウエハWの中心が保持テーブル5の中心の上にあるように位置合わせされた状態で吸着保持される。(ステップS1)。
【0055】
このとき、テープ貼付けユニット7、テープ切断ユニット9、およびテープ剥離ユニット11の各々は
図7に示す初期位置に移動している。すなわち、テープ貼付けユニット7は保持テーブル5の右側に移動しており、テープ剥離ユニット11は保持テーブル5の左側に移動している。また、テープ切断ユニット9は保持テーブル5の上方で待機している。
【0056】
なおテープ供給部3において、供給ボビン19に装填されている原反ロール20から、剥離ライナーSが添設されている保護テープPTが下流へと繰り出し供給される。そして、剥離ローラ21によって保護テープPTから剥離ライナーSが剥離される。剥離ライナーSが剥離された保護テープPTは、テープ貼付けユニット7およびテープ剥離ユニット11に案内される。保護テープPTから剥離された剥離ライナーSは、ライナー回収部15へ案内される。
【0057】
ワークを保持テーブル5に載置させた後、
図8に示すように、テープ貼付けユニット7の貼付けローラ35は粘着テープTを下方に押圧しながらウエハW上を前方(
図8では左方向)に転動し、点線で示す初期位置から実線で示す終端位置へと移動する。これによって、保護テープPTがウエハWの表面全体に貼付けられる(ステップS2)。
【0058】
保護テープPTがウエハWに貼り付けられた後、
図9に示すように、上方に待機していたテープ切断ユニット9が下降され、点線で示す初期位置から実線で示す切断位置へと移動する。そしてテープ切断ユニット9が切断位置へ下降することによって、保持テーブル5のカッタ走行溝33においてカッタ9cが保護テープPTに突き刺される。
【0059】
カッタ9cが保護テープPTに突き刺されると、支持アーム9bが縦軸心Pを旋回中心として旋回する。これに伴ってカッタ9cがウエハWの外周縁に摺接しながら旋回移動し、保護テープPTがウエハの外形に沿って切断される(ステップS3)。
【0060】
ウエハWの外形に沿った保護テープPTの切断が終了すると、テープ切断ユニット9は元の待機位置まで上昇される。そして、テープ貼付けユニット7は終端位置から初期位置へと復帰する。テープ貼付けユニット7が初期位置へ復帰するとともに、
図10に示すように、テープ剥離ユニット11が後方(
図10では右方向)へ移動する。すなわちテープ剥離ユニット11は、
図10において点線で示す初期位置から実線で示す終端位置へ右方向に移動する。
【0061】
テープ剥離ユニット11は終端位置へ移動しつつ、保護テープPTのうち、ウエハW上で切り抜き切断されて残った不要テープPTnを巻き上げて剥離する(ステップS4)。なお、保護テープPTのうち、ウエハWの表面に貼り付けられている部分については符号PTwを付して不要テープPTnと区別する。
【0062】
テープ剥離ユニット11が終端位置に達して剥離作業が終了すると、テープ剥離ユニット11は終端位置から初期位置に復帰する。このとき、不要テープTnが下流に繰り出されてテープ回収部13へ案内され、巻き取り機構49によってロール状に巻き取られて回収される。
【0063】
そして不要テープTnが下流に繰り出されるとともに、テープ供給部3に配置されている原反ロール20から一定量の保護テープPTが繰り出される。そして、剥離ローラ21によって保護テープPTから剥離ライナーSが剥離され、一定量の保護テープPTがテープ貼付けユニット7およびテープ剥離ユニット11に案内される。保護テープPTから剥離された一定量の剥離ライナーSは、ライナー回収部15へ案内されて回収される。
【0064】
ステップS4までの各処理が終了すると、保持テーブル5における吸着が解除される。吸着解除の後、保護テープPTwが貼り付けられたウエハWはウエハ搬送機構によって搬送されて図示しないウエハ回収部に回収される(ステップS5)。以上で1回の粘着テープ貼付け処理が完了する。以下、所定枚数のウエハWに対して保護テープPTが貼りつけられるまで、ステップS1からステップS5の工程を繰り返す。
【0065】
<シート材の回収工程の説明>
ここで、保護テープPTから剥離された剥離ライナーSをライナー回収部15で回収させるための一連の工程について説明する。
図6(b)は、剥離ライナーSを回収する工程を説明するフローチャートである。
【0066】
ステップT1(巻き取り部の径を増大)
保護テープPTを貼りつける動作を開始する前に、ライナー回収部15が剥離ライナーSを巻き取ることができるように、剥離ライナーSをライナー回収部15に案内させて固定する操作を行う必要がある。そして実施例1では、剥離ライナーSをライナー回収部15に固定させる前に、巻き取り部57の径を増大させる操作を行う。実施例1では、突出部材63を上昇させることによって巻き取り部57の径を増大させる。すなわち制御部40は、最大径調節機構61が備えるモータ67を回転させる。モータ67が回転することにより、シリンダ65が伸長して突出部材63は埋没位置から突出位置へと上昇移動する。
【0067】
突出部材63が突出位置へと移動することにより、ライナー回収部15の状態は
図2(b)に示される埋没状態から
図2(a)に示される突出状態へと変化する。すなわち、突出部材63が上昇することにより、吸着孔69が形成されている突出部材63の上面が筒状部材58の外側へと突出した状態となる。突出部材63が埋没状態から突出状態へと変化することにより、
図2(a)および
図2(b)に示すように、巻き取り部57の最大径はD2からD1へと増大する。
【0068】
ステップT2(シート材の先端を固定)
突出部材63を突出位置に上昇させて巻き取り部57の径を増大させた後、剥離ライナーSの先端を巻き取り部57に固定させる操作を行う。すなわち
図11に示すように、剥離ローラ21によって保護テープPTから剥離された剥離ライナーSを引き出し、剥離ライナーSの先端部Stをライナー回収部15へと案内させる。剥離ライナーSが搬送される方向は符号Mで示されている。そしてさらに剥離ライナーSを引き出し、
図12に示すように、吸着孔69が形成されている突出部材63の上面に剥離ライナーSの先端部Stを近接させる。
【0069】
突出部材63の上面に剥離ライナーSの先端部Stを近接させた状態で、
図13に示すように、制御部40は吸引装置71を作動させる。吸引装置71は吸着孔69を介してエアーArを吸引することにより、剥離ライナーSの先端部Stと吸着孔69との間の空間を減圧させる。そのため、吸引装置71が作動することにより、剥離ライナーSの先端部Stは突出部材63の上面に吸着保持される。このように、実施例1ではエアー吸引方式によって、剥離ライナーSの先端部Stは巻き取り部57に固定される。剥離ライナーSが巻き取り部57に固定されることにより、テープ供給部3からライナー回収部15へと自動で剥離ライナーSを搬送する経路が形成される。
【0070】
ステップT3(シート材の巻き取り)
剥離ライナーSの先端Stをライナー回収部15に固定させた後、保護テープPTをウエハWに貼りつける操作を開始させるとともに、剥離ライナーSをライナー回収部15で巻き取る操作を開始する。すなわち制御部40は吸引装置71をオンの状態に制御しつつ、回転プレート55をz方向の軸周りに回転させる。
図14に示すように、巻き取り部57の筒状部材58は回転プレート55とともにz方向の軸周りに回転するので、巻き取り部57に固定されている剥離ライナーSは、筒状部材58の側面に沿って巻回されて巻き取られていく。なお
図14は、
図13に示す状態から、巻き取り部57を反時計回りに270°回転させた状態を示している。
【0071】
実施例1に係るライナー回収部15は、ステップT3を開始する前に突出部材63を突出位置へ上昇させており、筒状部材58よりも外側に突出部材63を突出させている。すなわち、ステップT3の開始前において、巻き取り部57の最大径はD1に増大しており、筒状部材58の外径の長さEよりも長くなっている。
【0072】
そのため、最大径がD1に増大されている巻き取り部57を回転させて剥離ライナーSを巻き取らせていくと、少なくとも突出部材63に当接する剥離ライナーSは、筒状部材58の側面から離れて突出部材63の上面(外周面)に巻回されていく。つまり、少なくとも一部の剥離ライナーSは筒状部材58の側面に密着することなく、筒状部材58の側面から離れた状態となる。よって、突出部材63を筒状部材58の外側に突出させて巻き取り部57の最大径を筒状部材58の外径の長さEより長くした状態で剥離ライナーSを巻き取らせていくことにより、剥離ライナーSが巻き取られる周の長さは、筒状部材58の外周の長さと比べて、突出部材63が筒状部材58の外側に突出している部分の長さに応じて長くなる。
【0073】
保護テープPTをウエハWに貼りつける工程を進行させるにつれて、保護テープPTがテープ供給部3から逐次繰り出されていく。保護テープPTが繰り出される量に応じて、剥離ロール21によって保護テープPTから剥離ライナーSが剥離され、剥離ライナーが繰り出し方向Mに沿って逐次搬送される。巻き取り部57は、剥離ライナーSが搬送される速度に応じて適宜回転し、ライナー回収部15へ送り出される剥離ライナーSを巻き取っていく。
【0074】
剥離ライナーSを巻き取る動作を続行していくにつれて、巻き取り部57に巻き取られる剥離ライナーSの量が増えていき、
図15に示すように、ロール状の剥離ライナーSが巻き取り部57に巻回されている状態となる。ロール状となっている剥離ライナーSについては、
図15などにおいて符号SRを付して示している。
【0075】
ステップT3の動作は、巻き取り部57に巻回される剥離ライナーSの量が予め定められた閾値を超えるまで続行される。当該閾値は、巻き取り部57が剥離ライナーSを巻き取ることができる最大容量に応じて適宜定められる。巻き取り部57に巻回される剥離ライナーSの量が閾値を超えた場合、ステップT3からステップT4へと進行する。巻き取り部57に巻回される剥離ライナーSの量は、一例として巻き取り部57の回転数を検知する回転センサや、巻回されている剥離ライナーSのロールSRの厚みを検知するセンサなどによって測定することができる。
【0076】
ステップT4(シート材の切断)
巻き取り部57に巻回される剥離ライナーSの量が閾値を超えた場合、巻き取り部57に蓄積された剥離ライナーSのロールSRをライナー回収部15から除去する必要がある。ロールSRをライナー回収部15から除去するためにステップT4ないしステップT6の工程を行う。
【0077】
ステップT4の工程では、シート材である剥離ライナーSを幅方向に切断する。まず、制御部40は図示しない駆動機構を制御して切断機構53を剥離ライナーSへ近づける方向へ移動させる。すなわち
図16に示すように、切断機構53は点線で示される初期位置から実線で示される切断位置へとx方向に移動する。切断位置へ移動することにより、カッタ73のカッタ刃は正面視において剥離ライナーSと交差する。
【0078】
切断機構53が切断位置へ移動した後、制御部40は駆動機構を制御して切断機構53を剥離ライナーSの幅方向(実施例1ではz方向)へ移動させる。すなわち切断機構53はz方向へ水平移動することにより、カッタ73は剥離ライナーSを幅方向へ切断していく。その結果、
図17に示すように、巻き取り部57に巻き取られている剥離ライナーのロールSRは、テープ供給部3と繋がっている後続の剥離ライナーS(以下、「後続ライナーSd」とする)と分離される。剥離ライナーSを切断してロールSRと後続ライナーSdとを分離させることにより、ステップT4の工程は完了する。
【0079】
ステップT5(巻き取り部の径を減少)
剥離ライナーSを幅方向に切断させた後、巻き取り部57の径を減少させる操作を行う。実施例1では、最大径調節機構61が備える突出部材63を下降させることによって巻き取り部57の径を減少させる。まず、制御部40は吸引装置71を停止させ、吸着孔69を介した剥離ライナーSの先端部Stの吸着保持を解除させる。次に、制御部40はモータ67の回転を制御してシリンダ65を収縮させる。シリンダ65が収縮することにより、突出部材63は
図18に示されるように突出位置から埋没位置へと下降する。吸着孔69を介した先端部Stの吸着保持が解除されているので、吸着孔69が形成されている突出部材63は先端部Stから離れて筒状部材58の内部へと埋没する。
【0080】
ステップT3では、巻き取り部57の最大径が筒状部材58の外径Eよりも長くなっている状態で、剥離ライナーSを巻き取り部57で巻き取っていく。そのため、ステップT3において形成されるロールSRの内周の長さは、筒状部材58の外周の長さよりも長くなっている。突出部材63が突出位置へ上昇している場合、ロールSRの内周は突出部材63によって外側に向かう力Fを受けている。そのため、剥離ライナーSのロールSRは、突出部材63に近い側(
図18では上側)に偏った形状となる。言い換えるとステップT3において、突出部材63から遠い側(
図18では下側)ではロールSRと筒状部材58の外周面とが密着する傾向にある。
【0081】
ここで突出部材63を埋没位置に下降させると、
図18に示すように、突出状態であった突出部材63が存在していた空間が間隙部Vbとなる。また、突出部材63を埋没位置に下降させると、突出部材63によってロールSRを外側へ押圧する力Fが作用しなくなる。そのため、力Fに起因する剥離ライナーSの偏りが解消され、間隙部VbはロールSRと巻き取り部57との間の空間全体に拡がっていく。その結果、
図19に示すように、突出部材63を埋没位置に下降させることによって筒状部材58の外周全体とロールSRの内周全体との間に間隙部Vbが形成される。すなわち突出部材63を埋没位置に下降させることによって、巻き取り部57と剥離ライナーSとが接触する部分の全体に間隙部Vbが形成されるので、剥離ライナーSが接触する筒状部材58の外周全体において、巻き取り部57と剥離ライナーSのロールSRとの間に発生する摩擦力が消滅または大きく低減する。巻き取り部57の径を低減させて巻き取り部57と剥離ライナーSとの間の空間全体に間隙部Vbを形成させることにより、ステップT5の工程は完了する。
【0082】
ステップT6(シート材の回収)
巻き取り部57の径を低減させて巻き取り部57と剥離ライナーSとの間に間隙部Vbを形成させた後、巻き取り部57に巻き取られている剥離ライナーSを回収する。すなわち
図20に示すように、巻き取り部57に巻き取られて蓄積している剥離ライナーSのロールSRを、巻き取り部57の軸方向(実施例1ではz方向)に引き出すことによってロールSRを巻き取り部57から回収する。ロールSRを引き出す方向は、
図20において符号Hを付して示している。
【0083】
巻き取り部57から回収された剥離ライナーSのロールSRは、開閉扉75などを通して粘着テープ貼付け装置1の外部へ取り出すことができる。ロールSRを巻き取り部57から引き出して巻き取り部57とロールSRを分離させる操作は手動で行ってもよいし、作業ロボットなどを用いて自動で行ってもよい。
【0084】
ステップT6の操作を行う時点において、突出部材63は埋没位置に下降しており、巻き取り部57と剥離ライナーSのロールSRとの間のほぼ全域にわたって間隙部Vbが拡がっている。そのため、ロールSRを巻き取り部57から引き出す際に、ロールSRと巻き取り部57(筒状部材58の側面)との間に発生する摩擦力は消滅または大きく低減している。従って、ロールSRと巻き取り部57との間に作用する摩擦力による妨害を受けることなく、操作者は小さい力をz方向に加えることで容易にロールSRを巻き取り部57から引き出すことができる。従って、引き出す操作を行う際に過剰な力を加えることに起因して、巻き取り部57の軸または形状などが歪むことを回避できる。
【0085】
また、ステップT6の操作を行う時点において突出部材63は埋没位置に下降しているので、突出部材63の上面と筒状部材58の外周面とは面一となっている。すなわち、ロールSRを巻き取り部57から引き出す操作において、筒状部材58の外周面から外側に突出部材63が突出する部分がロールSRに干渉するという事態を回避できる。そのため、ロールSRを巻き取り部57から引き出す操作に必要な力をより低減させることができる。
【0086】
ステップT1からT6までの一連の工程により、剥離ライナーSを巻き取り部57で巻き取り、ロール状に巻き取られた剥離ライナーSを回収する操作が完了する。保護テープPTを所定枚数のウエハWに貼りつける操作を続行する場合、ステップT6からステップT1に戻ってステップT1ないしステップT6の操作を繰りかえす。すなわち、突出部材63を再度突出位置へ上昇させる(ステップT1)。そして
図20などに示されている後続ライナーSdを繰り出し方向Mに引き出し、後続ライナーSdの先端部を突出部材63の上面に案内させ、吸引装置71を作動させて当該先端部を突出部材63の上面に固定させる(ステップT2)。以下、ステップT3ないしステップT6の操作を実行して剥離ライナーSを再度回収する。
【0087】
<実施例1の構成による効果>
従来のシート材回収装置においてシート材を巻き取り軸に巻回させて回収する場合、シート材に対して繰り出し方向にテンションが付与されつつ、シート材は巻き取り軸の外周に密着するように巻き取られていく。すなわち、シート材を巻き取る際にシート材と巻き取り軸との間に間隙が形成されず、間隙が形成されない状態でシート材を巻き取り軸から抜き取る作業を行う。その結果、ロール状に巻き取られたシート材と巻き取り軸との間に作用する摩擦力が大きくなるので、巻き取り軸からロール状のシート材を抜き取り回収することが困難になる。また、シート材に付与されるテンションの大きさに応じて、シート材のロールにおいて内側に向かって収縮するする力が作用する。そのため、シート材のロールと巻き取り軸との間に作用する摩擦力はさらに増大することとなる。
【0088】
特に、当該摩擦力に抗うべくロール状のシート材を無理に引っ張って抜き取り回収すると、シート材を手動で引っ張る際に巻き取り軸に対して軸方向以外へ大きな力が作用するので、巻き取り軸の軸方向が初期状態の方向から歪むという事態が懸念される。巻き取り軸が歪むとシート材を巻き取る方向が歪むこととなるので、シート材の回収精度および回収効率が低下する。
【0089】
発明者の鋭意検討により、シート材のロールと巻き取り軸との間に作用する摩擦力に起因する問題を解決するための構成として、まずは以下のような比較例の構成が考えられる。すなわち比較例に係るシート材回収装置100は、
図21に示すように、中空円筒状の巻き取り軸RFと固定ピンJpとを備えている。
【0090】
巻き取り軸RFの外周面には案内溝Dcが巻き取り軸RFの軸方向(ここではz方向)に沿って形成されている。固定ピンJpは一例として金属で構成されており、外側固定部J1と、内側固定部J2と、把持部J3とを備えている。外側固定部J1は、下側の一部が案内溝Dcに嵌合するように構成されている棒状部材である。内側固定部J2は、z方向に沿って巻き取り軸RFの内周面に当接するように構成されている棒状部材である。把持部J3は、全体として円弧状に湾曲している部材であり、外側固定部J1と内側固定部J2とを連結している。操作者は把持部J3を把持して固定ピンJpの操作を行う。
【0091】
外側固定部J1の直径N1は、
図22に示すように案内溝Dcの深さK1よりも長くなるように構成されている。また固定ピンJpにおいて、外側固定部J1と内側固定部J2との間の距離N2は、案内溝Dcが形成されている部分における巻き取り軸RFの厚みK2より僅かに短くなるように構成されている。そのため、固定ピンJpを案内溝Dcに沿って巻き取り軸RFに挿入した場合、外側固定部J1および内側固定部J2は、案内溝Dcが形成されている部分の巻き取り軸RFを、上下方向から把持するように固定する。
【0092】
比較例に係るシート材回収装置100を用いて剥離ライナーSを巻き取り回収する操作は以下の通りである。まずは
図23に示すように、剥離ライナーSの先端部Stを巻き取り軸RFの外周面のうち案内溝Dcが形成されている部分に案内させる。その後、
図24に示すように、外側固定部J1のうち内側固定部J2よりもz方向に突出している部分を、上方から案内溝Dcに嵌合させる。当該嵌合操作により、剥離ライナーSの先端部Stは外側固定部J1によって案内溝Dcに押し当てられる。なお、外側固定部J1の直径N1は案内溝Dcの深さK1よりも長いので、案内溝Dcに外側固定部J1を嵌合させた場合、外側固定部J1の一部が巻き取り軸RFの外周面から外側へ突出する状態となる。言い換えると、y方向について外側固定部J1の一部が巻き取り軸RFの外周面から突出している。
【0093】
外側固定部J1の一部を案内溝Dcに嵌合させた後、案内溝Dcに沿って外側固定部J1がz方向へ摺動するように、巻き取り軸RFに対して固定ピンJpをz方向へ挿入させる。z方向について外側固定部J1の全体が案内溝Dcに嵌合している状態は
図25に示す通りである。
図26に示すように、固定ピンJpをz方向へ挿入することにより、内側固定部J2は巻き取り軸RFの内周面に当接するように挿入される。
【0094】
外側固定部J1と内側固定部J2との間の距離N2は、案内溝Dcが形成されている部分における巻き取り軸RFの厚みK2より僅かに短いので、外側固定部J1は剥離ライナーSの先端部Stを介して巻き取り軸RFを外側から押圧するとともに、内側固定部J2は巻き取り軸RFを内側から押圧する。そのため、剥離ライナーSの先端部Stは固定ピンJpによって巻き取り軸RFに固定される。
【0095】
剥離ライナーSの先端部Stを巻き取り軸RFに固定させた後、巻き取り軸RFを回転させて剥離ライナーSを巻き取り軸RFに巻き取らせる。剥離ライナーSは
図27に示すように、巻き取り軸RFの外周面と外側固定部J1の外周面とにわたって巻回されていき、ロールSRが形成される。
【0096】
固定ピンJpを巻き取り軸RFに挿入して外側固定部J1が巻き取り軸RFの外周面から外側に突出した状態で剥離ライナーSを巻き取る。すなわち、巻き取られる剥離ライナーS周の長さは巻き取り軸RFの筒状部材の周より長くなっている。従って
図27に示すように、外側固定部J1の周囲において、剥離ライナーSのロールSRと巻き取り軸RFの筒状部材の外周面との間に間隙部Vbが形成される。
【0097】
一定量の剥離ライナーSを巻き取った後、固定ピンJpをz方向に引き出して抜き取る。固定ピンJpが抜き取られることにより、
図28に示すように、外側固定部J1が存在していた部分において間隙部Vbが新たに形成される。そして固定ピンJpが抜き取られることによって、剥離ライナーSが巻き取り軸RFに固定されている状態は解除されるので、間隙部Vbは巻き取り軸RFとロールSRとの間の空間全体に拡がっていく。
【0098】
固定ピンJpを抜き取って剥離ライナーSの固定を解除させた後、剥離ライナーSのロールSRを巻き取り軸RFからz方向に抜き取って回収する。巻き取り軸RFとロールSRとの間の空間全体に間隙部Vbが形成されているので、巻き取り軸RFとロールSRとの間に発生する摩擦力を低減できる。
【0099】
このように、比較例に係るシート材回収装置100においても、巻き取り軸とロールSRとの間に発生する摩擦力を低減できるので、剥離ライナーSのロールSRを巻き取り軸RFから抜き取りやすくなる。しかしながら、固定ピンJpを用いる比較例の構成では、剥離ライナーSを巻き取り軸RFに固定させる工程を行う毎に、固定ピンJpを手動で巻き取り軸RFに挿入する操作が必要になる。また、剥離ライナーSが巻き取り軸RFに固定されている状態を解除する毎に、固定ピンJpを手動で抜き取る操作が必要になる。このように比較例では手動で行う操作が多くなるので、シート材を回収する操作が長期化および複雑化する。
【0100】
また、固定ピンJpを手動で抜き差しする操作を繰り返すと、固定ピンJpおよび巻き取り軸RFが劣化しやすくなるという問題も懸念される。一例として、固定ピンJpと巻き取り軸RFとの摩擦によって各々が変形する問題が発生する。また、固定ピンJpの挿入操作または抜き取り操作の際に、巻き取り軸RFに対して軸方向とは異なる方向へ手動による力が加わる。そのため、巻き取り軸RFの軸が歪んで剥離ライナーSの巻き取り精度が低下するという問題が発生する。特に、外側固定部J1と内側固定部J2との間の距離N2は巻き取り軸RFの厚みK2と同じまたは僅かに短いので、固定ピンJpを巻き取り軸RFへ挿入させる際に、巻き取り軸RFに対して軸方向とは異なる方向へ大きな力が加わりやすい。
【0101】
さらに、比較例では固定ピンJpの外側固定部J1で剥離ライナーSの先端部Stを外側から押圧して固定した後、外側固定部J1の外側および巻き取り軸RFの外側にわたって剥離ライナーSを巻回する。すなわち
図27に示すように、固定ピンJpの外側固定部J1は、剥離ライナーSによって上下両側から挟まれている状態となる。
【0102】
剥離ライナーSが伸びやすい材料で構成されている場合、剥離ライナーSの繰り出し方向Mに対して付与されるテンションに起因して、剥離ライナーSは繰り出し方向Mに伸びながら巻回される。そのため、外側固定部J1の両側を挟んでいる剥離ライナーSの各々に対して、伸びている状態から戻ろうとする力である復元力が作用する。
【0103】
その結果、固定ピンJpを抜き取る方向(z方向)とは垂直な方向(巻き取り軸RFの径方向)に、外側固定部J1へ力が作用するため、固定ピンJpをz方向に抜き取ることが困難となる。剥離ライナーSの復元力が外側固定部J1に作用する場合、当該復元力に抗うべく操作者は巻き取り軸RFを強い力で抑えながら固定ピンJpを抜き取ることとなる。その結果、巻き取り軸RFへ軸方向とは異なる力が作用して軸などが歪むという事態が発生しやすくなる。
【0104】
一方、実施例1では最大径調節機構61を用いることにより、巻き取り部57の径を自動で調節する。すなわち突出部材63を巻き取り部57の内部に配設し、突出部材63を巻き取り部57の径方向へ進退移動させることにより、巻き取り部57の径が調節される。具体的には突出部材63を巻き取り部57の筒状部材58よりも外側に突出させ、巻き取り部57の径を増大させた状態で剥離ライナーSを巻き取る操作を行う。巻き取り部57の径を増大させることによって剥離ライナーSの巻回させる周の長さは長くなる。
【0105】
そして、剥離ライナーSを巻き取り部57で巻き取った後、剥離ライナーSが巻き取り部57に固定されている状態を解除するとともに、突出部材63を筒状部材58に埋没させることで巻き取り部57の径を低減させる。巻き取り部57の径を低減させることによって巻き取り部57の周の長さも低減される。すなわち、突出部材63を埋没させた後における巻き取り部57の周の長さは、巻き取り操作によって形成された剥離ライナーSのロールSRの内周の長さよりも短くなる。また、剥離ライナーSが巻き取り部57に固定されている状態が解除されている。その結果、巻き取り部57とロールSRとの間の空間全体にわたって間隙部Vbが拡がっていくので、巻き取り部57とロールSRとの間に発生する摩擦力を消滅または大きく低減させることができる。
【0106】
突出部材63は巻き取り部57の内部から外部へと突出し、突出状態となっている突出部材63の上面に剥離ライナーSが巻回される。すなわち比較例と異なり、実施例1では突出部材63のうち一方の面のみに剥離ライナーSが接触する。また、剥離ライナーSのテンションに起因する復元力は、突出部材63に対して巻き取り部57の径方向(外側から内側へ向かう方向)に作用する。すなわち実施例1において、突出部材63は剥離ライナーSに挟まれる状態となることはなく、また復元力が作用する方向は突出部材63が移動する方向と同じである。従って、剥離ライナーSのテンションによって突出部材63の進退移動が阻害されることはない。よって、剥離ライナーSが伸びやすい材料で構成されていた場合であっても、巻き取り部57の径を調節する操作を精度よく実行できる。
【0107】
また、突出部材63の進退移動は自動制御できるので、実施例1の構成では巻き取り部57の径を自動で調節することができる。従って、剥離ライナーSを容易に回収できる回収操作を実現できるとともに、当該回収操作の各工程をより高度に自動化できる。また、巻き取り部57の径を調節する操作を自動化することにより、巻き取り部57に対して操作者が力を加えることを回避できる。よって、巻き取り部57の軸が歪む事態や巻き取り部57が変形する事態が発生することを防止できる。
【0108】
突出部材63には吸着孔69が形成されており、吸着孔69を介して剥離ライナーSの先端部Stを吸着保持する。すなわち、突出部材63は剥離ライナーSを巻き取り部57に固定させる固定部材としても機能するので、ライナー回収部15の構成をより単純化できる。
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例1では突出部材63を巻き取り部57の径方向に進退移動させて突出状態と埋没状態とを切り換えることによって、最大径調節機構61が巻き取り部57の径を調節する構成を例にとって説明した。実施例2では、巻き取り部57Aが備える筒状部材58Aが膨張可能であり、膨張状態と収縮状態とを切り換えることによって最大径調節機構61が巻き取り部57の径を調節する構成を例にとって説明する。なお、実施例2に係る粘着テープ貼付け装置は実施例1に係る装置と基本的に構成は共通する。そのため、実施例1で説明した粘着テープ貼付け装置1と同一構成については同一符号を付すに留め、異なる構成部分について詳述する。実施例1と実施例2は、本発明におけるシート材回収装置に相当する、ライナー回収部15の構成が相違する。
筒状部材58Aの内部空間に対する気体の供給量が上昇すると、筒状部材58Aの内部空間の気圧が上昇する。筒状部材の内圧が上昇すると筒状部材58Aが膨張し、巻き取り部57Aの径が増大する。筒状部材58Aの内部空間に対する気体の供給量が低下すると、筒状部材58Aの内部空間の気圧が低下する。筒状部材の内圧が低下すると筒状部材58Aが収縮し、巻き取り部57Aの径が低減する。
実施例2に係るライナー回収部15Aは、ステップT3を開始する前に巻き取り部57Aを収縮状態から膨張状態に変化させており、巻き取り部57Aの最大径をJ1からJ2に増大させている。巻き取り部57Aを収縮状態にさせて剥離ライナーSを巻き取る場合、剥離ライナーSが巻き取られる周の長さは最大径J1を半径とする円周の長さである。
一方、巻き取り部57Aを膨張状態にさせて剥離ライナーSを巻き取る場合、剥離ライナーSが巻き取られる周の長さは最大径J2を半径とする円周の長さとなる。つまり、巻き取り部57Aの最大径を増大させた状態で巻き取り部57Aを回転させて剥離ライナーSを巻き取らせていくことにより、剥離ライナーSが巻き取られる周の長さも増大する。言い換えると、ステップT3の開始前に巻き取り部57Aの最大径を増大させることにより、ステップT3において剥離ライナーSが巻き取られる周の長さは、収縮状態における筒状部材58Aの外周の長さよりも長くなる。
剥離ライナーSを巻き取る動作を続行していくにつれて、巻き取り部57に巻き取られる剥離ライナーSの量が増えていき、実施例1と同様に、剥離ライナーSのロールSRが巻き取り部57Aの周囲に形成される。
巻き取り部57Aを膨張状態から収縮状態に切り換えると、巻き取り部57Aは中心Qに向かって均一に収縮する。そのため、間隙部Vbは巻き取り部57Aの外周全体にわたって均一に拡がるように形成される。巻き取り部57Aと剥離ライナーSとが接触する部分の全体に間隙部Vbが形成されるので、剥離ライナーSが接触する筒状部材58Aの外周全体において、巻き取り部57Aと剥離ライナーSのロールSRとの間に発生する摩擦力が消滅または大きく低減する。
ステップT1からT6までの一連の工程により、剥離ライナーSをライナー回収部15Aの巻き取り部57Aで巻き取り、ロール状に巻き取られた剥離ライナーSを回収する操作が完了する。保護テープPTを所定枚数のウエハWに貼りつける操作を続行する場合、ステップT6からステップT1に戻ってステップT1ないしステップT6の操作を繰りかえす。
このように、実施例2に係るライナー回収部15Aは、筒状部材58Aの内部に供給する気体の量を制御する最大径調節機構61Aを備えることによって、実施例1に係るライナー回収部15と同様の効果を得ることができる。すなわち気体供給装置80が筒状部材58Aの内部に供給する気体の量を制御して巻き取り部57Aを膨張状態と収縮状態との間で適宜切り換えることにより、巻き取り部57Aの最大径の長さを機械的制御のもとで調節できる。
そして、巻き取り部57Aの最大径が比較的長い状態で剥離ライナーSを巻き取り部57Aで巻き取ることにより、比較的内周の長さが長い剥離ライナーSのロールSRを形成させる。ロールSRを形成させた後、巻き取り部57Aの最大径をロールSRの形成前と比べて短い長さに調節することによって、剥離ライナーSのロールSRと巻き取り部57Aとの間の空間全体にわたって間隙部Vbが形成される。その結果、巻き取り部57とロールSRとの間に発生する摩擦力を消滅または大きく低減させることができるのでロールSRを引き出して巻き取り部57Aから分離させる操作が当該摩擦力によって阻害されることを確実に回避できる。
実施例1において突出部材63を進退移動させる操作と同様に、実施例2において筒状部材58Aの内部に対する気体供給量を調節する操作は、機械的制御のもとで自動的に行うことができる。すなわち巻き取り部57Aの径を調節する操作を手動で行う必要がないので、剥離ライナーSを容易に回収できる回収操作を実現できるとともに、当該回収操作の各工程をより高度に自動化できる。また、巻き取り部57の径を調節する操作を自動化することにより、巻き取り部57に対して操作者が力を加えることを回避できる。よって、巻き取り部57の軸が歪む事態や巻き取り部57が変形する事態が発生することを防止できる。
また、剥離ライナーSのテンションに起因する復元力は、剥離ライナーSから筒状部材58Aに対して、巻き取り部57Aの径方向(外側から内側へ向かう方向)に作用する。そして筒状部材58Aが膨張または収縮する方向も同様に、巻き取り部57Aの径方向である。従って、筒状部材58Aが膨張または収縮する動作は、剥離ライナーSのテンションによって阻害されることはない。よって、剥離ライナーSが伸びやすい材料で構成されていた場合であっても、巻き取り部57の径を調節する操作を精度よく実行できる。
実施例1では巻き取り部57の全周のうち、突出部材63が形成されている部分において最大径がD2からD1に増大する。一方、実施例2では筒状部材58Aの全体を膨張させるので、巻き取り部57Aの全周にわたって巻き取り部57Aの最大径がJ1からJ2へと増大される。よって、巻き取り部57Aに巻き取られて形成される剥離ライナーSのロールSRの形状は、径の長さについて偏りが少ない中空円筒状となる。そのため、剥離ライナーSを巻き取る際に剥離ライナーSに作用するテンションの偏りを低減できるので、ライナー回収部15Aによる剥離ライナーSの巻き取り精度をより向上できる。
(1)各実施例ではシート材回収装置としてライナー回収部15を例示したが、本発明に係るシート材回収装置の構成はテープ回収部13にも適用できる。すなわちテープ回収部13が備える巻き取り機構49が、ライナー回収部15が備える巻き取り機構51と同様の構成を備える。この場合、テープ回収部13において巻き取り機構49が備える巻き取り部の径が増大した状態で不要テープPTnを巻き取った後、巻き取り機構49が備える巻き取り部の径を低減させて巻き取り部と不要テープPTnのロールとの間に間隙部を形成させる。当該間隙部を形成させることにより、不要テープPTnのロールを巻き取り機構49から引き出して回収する工程において、不要テープPTnのロールと巻き取り機構49との間に摩擦力が発生することを回避できる。また、不要テープPTnを回収する工程をより高度に自動化できる。
このような構成であっても、吸着孔69を介して剥離ライナーSの先端部Stを巻き取り部57に固定させつつ、突出位置に移動した突出部材63の外面(上面)と筒状部材58の外周面とにわたって剥離ライナーSを巻回させることにより、剥離ライナーSが巻き取られる周の長さを増大させつつ巻き取り部57に剥離ライナーSを巻き取らせることができる。
(3)実施例1において、突出部材63の数は1つに限ることはなく複数配設してもよい。また複数の突出部材63を巻き取り部57の軸方向(z方向)に並列配置させてもよいし、巻き取り部57の周方向にわたって複数配置させてもよい。一例として、筒状部材58の側面のうち上側に相当する位置と下側に相当する位置とに貫通孔59および突出部材63を配置させてもよい。
(4)各実施例において、吸着孔69はエアー吸引方式によって剥離ライナーSを巻き取り部57に吸着保持する構成に限られない。一例として、静電気を利用して吸着保持を行う、静電気吸引方式によって剥離ライナーSを巻き取り部57に吸着保持してもよい。静電気吸引方式を採用する場合、吸引装置71は一例として吸着孔69に静電気を帯電させる装置を用いることができる。
(5)各実施例において、ステップT1を行うタイミングはステップT2の前に限ることはない。ステップT3を行う前に巻き取り部57の径を増大すればよく、ステップT1の操作はステップT2と同時に行ってもよいし、ステップT2とステップT3との間に行ってもよい。