(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170842
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
F01N 3/023 20060101AFI20231124BHJP
F01N 3/033 20060101ALI20231124BHJP
F01N 3/035 20060101ALI20231124BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20231124BHJP
F01N 3/24 20060101ALI20231124BHJP
F01N 3/18 20060101ALI20231124BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20231124BHJP
F02D 27/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F01N3/023 A
F01N3/033 C
F01N3/033 Z
F01N3/035 E
F01N3/033 D
F01N13/08 B
F01N3/24 E
F01N3/24 B
F01N3/24 Q
F01N3/18 B
F01N3/20 R
F02D27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082906
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 亮
【テーマコード(参考)】
3G004
3G091
3G092
3G190
【Fターム(参考)】
3G004AA01
3G004BA06
3G004DA01
3G004DA24
3G004EA02
3G091AA02
3G091AA14
3G091AB03
3G091AB13
3G091BA07
3G091BA13
3G091BA14
3G091BA15
3G091BA19
3G091CA22
3G091CA27
3G091EA01
3G091EA32
3G091EA34
3G091EA39
3G091FA06
3G091GB05W
3G091GB06W
3G091GB07W
3G091HA15
3G091HA36
3G091HA37
3G091HA41
3G091HB01
3G091HB07
3G092AA01
3G092AC02
3G092FA15
3G092GA10
3G092GA20
3G092HD05Z
3G092HD09Z
3G092HF05Z
3G190AA03
3G190AA13
3G190CA01
3G190CB24
3G190CB34
3G190CB35
3G190DB02
3G190DC17
3G190EA13
3G190EA14
3G190EA32
(57)【要約】
【課題】フィルタに集中的に酸素を供給する。
【解決手段】車両は、エンジンに接続された排気流路に設けられるフィルタと、前記排気流路における前記フィルタの上流側を大気圧未満の負圧とする負圧機構と、前記排気流路に形成された開口と、前記開口を開閉する弁体とを有し、前記弁体は、前記負圧機構により前記排気流路が負圧になると、前記開口を開放する第1開閉機構と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに接続された排気流路に設けられるフィルタと、
前記排気流路における前記フィルタの上流側を大気圧未満の負圧とする負圧機構と、
前記排気流路に形成された開口と、前記開口を開閉する弁体とを有し、前記弁体は、前記負圧機構により前記排気流路が負圧になると、前記開口を開放する第1開閉機構と、
を備える、車両。
【請求項2】
前記負圧機構は、
1つまたは複数のプロセッサ、および、前記プロセッサに接続される1つまたは複数のメモリを有する制御装置を備え、
前記制御装置は、駆動系を動作させる際とは逆方向に前記エンジンを回転させて、前記排気流路を負圧とする、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記排気流路における前記開口の下流側に設けられ、前記排気流路を開閉する第2開閉機構を備え、
前記第2開閉機構は、前記負圧機構によって前記排気流路を負圧にする際に、前記排気流路を閉鎖する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記フィルタの上流側に設けられる酸素センサを備え、
前記負圧機構は、
前記酸素センサによって検出される酸素濃度が所定の閾値以上になった場合、前記排気流路の圧力を大気圧以上とする、請求項1または2に記載の車両。
【請求項5】
前記排気流路における前記フィルタの上流側に設けられる三元触媒を備える、請求項1または2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンから排気される排気ガスには、煤等の粒子状物質(PM:Particulate Matter)が含まれる。このため、車両には、粒子状物質を取り除くフィルタとして、GPF(Gasoline Particulate Filter)やDPF(Diesel Particulate Filter)が設けられている。このようなフィルタでは、フィルタに形成された孔で粒子状物質を捕捉することにより、排気ガスから粒子状物質を取り除く。フィルタは、使用を継続するに従って粒子状物質によって目詰まりする。
【0003】
そこで、フィルタにおける粒子状物質の堆積量が所定量以上になると、フィルタに対し再生処理が実行される。再生処理は、フィルタに堆積した粒子状物質を燃焼させてフィルタから除去する処理である。例えば、特許文献1には、燃料カット中に、燃料と吸気との混合気を点火することなく排気流路に設けられたフィルタに供給することにより再生処理を実行する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の技術では、再生処理を行う際に、エンジンから排気流路全体に亘って、吸気が通過する。このため、吸気に含まれる酸素によって、排気流路に設けられた触媒が劣化したり、触媒による排気ガスの浄化効率が低下したりするという問題が生じる。
【0006】
このため、フィルタに集中的に酸素を供給する技術の開発が希求されている。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、フィルタに集中的に酸素を供給することが可能な車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一実施の形態に係る車両は、
エンジンに接続された排気流路に設けられるフィルタと、
前記排気流路における前記フィルタの上流側を大気圧未満の負圧とする負圧機構と、
前記排気流路に形成された開口と、前記開口を開閉する弁体とを有し、前記弁体は、前記負圧機構により前記排気流路が負圧になると、前記開口を開放する第1開閉機構と、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フィルタに集中的に酸素を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る第1開閉機構および第2開閉機構を説明する図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】排気流路が負圧である場合の第1開閉機構および第2開閉機構を説明する図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るフィルタ管理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係る制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す具体的な寸法、材料、数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る車両100の構成を示す概略図である。なお、
図1中、破線の矢印は、信号の流れを示す。なお、
図1中、酸素センサ190、圧力センサ192、194から制御装置200への信号の流れを示す矢印を省略する。
【0013】
図1に示すように、車両100は、エンジン110と、スタータモータ112と、駆動用モータ114と、吸気流路120と、排気流路130と、三元触媒140と、GPF150と、マフラ160と、第1開閉機構170と、第2開閉機構180と、酸素センサ190と、圧力センサ192、194と、制御装置200とを含む。
【0014】
車両100は、エンジン110および駆動用モータ114を駆動源として備えるハイブリッド車両である。エンジン110は、ガソリンエンジンである。スタータモータ112は、エンジン110を始動するために用いられる。
【0015】
エンジン110の吸気ポートには、吸気マニホールドが連通される。吸気マニホールドの集合部には、吸気流路120が連通される。吸気流路120は、例えば、配管で構成される。
【0016】
エンジン110の排気ポートには排気マニホールドが連通される。排気マニホールドの集合部には、排気流路130が連通される。排気流路130は、例えば、配管で構成される。エンジン110から排気された排気ガスは、排気流路130を流れる。以下、エンジン110が通常回転している際の排気ガスの流れ方向の上流を単に「上流」という場合がある。また、排気ガスの流れ方向の下流を単に「下流」という場合がある。なお、車両100の駆動系を動作させる際のエンジン110の回転を通常回転と呼ぶ。
【0017】
三元触媒140は、排気流路130に設けられる。三元触媒140は、エンジン110から排出された排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物を除去する。三元触媒140は、例えば、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を含む。
【0018】
GPF150(フィルタ)は、排気流路130における三元触媒140の下流側に設けられる。GPF150は、エンジン110から排出された排気ガス中の粒子状物質(煤)を捕捉する。
【0019】
マフラ160は、排気流路130におけるGPF150の下流側に設けられる。三元触媒140およびGPF150によって浄化された排気ガスは、マフラ160を通じて外部に排気される。
【0020】
第1開閉機構170は、排気流路130における三元触媒140とGPF150との間に設けられる。第2開閉機構180は、排気流路130におけるGPF150とマフラ160との間に設けられる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る第1開閉機構170および第2開閉機構180を説明する図である。
【0022】
図2に示すように、第1開閉機構170は、開口172と、弁体174とを含む。開口172は、排気流路130におけるGPF150の上流側に形成される。本実施形態において、開口172は、排気流路130における、三元触媒140とGPF150との間に形成される。開口172は、排気流路130内と排気流路130外とを連通する。
【0023】
弁体174は、排気流路130内に設けられる。弁体174の一端側には回転軸176が設けられる。弁体174は、開口172を開閉する。弁体174は、排気流路130内が大気圧以上の正圧である場合、開口172を閉鎖する。一方、弁体174は、排気流路130内が大気圧未満の負圧である場合、外気によって排気流路130内に押圧されて、開口172から離隔する方向に回動する。したがって、弁体174は、排気流路130が負圧になると、開口172を開放することになる。
【0024】
第2開閉機構180は、排気流路130における開口172の下流側に設けられる。本実施形態において、第2開閉機構180は、排気流路130内におけるGPF150の下流側に設けられる。第2開閉機構180は、排気流路130を開閉する。第2開閉機構180は、例えば、バタフライ弁で構成される。第2開閉機構180は、後述する負圧制御部214に開閉制御される。
【0025】
図1に戻って説明すると、酸素センサ190は、GPF150の上流側に設けられる。本実施形態において、酸素センサ190は、三元触媒140の下流側近傍に設けられる。酸素センサ190は、排気流路130における三元触媒140とGPF150との間の酸素濃度を検出する。
【0026】
圧力センサ192は、GPF150の上流側に設けられ、排気流路130における三元触媒140とGPF150との間の圧力を検出する。圧力センサ194は、GPF150の下流側に設けられ、排気流路130におけるGPF150とマフラ160との間の圧力を検出する。
【0027】
制御装置200(負圧機構)は、1つまたは複数のプロセッサ202と、プロセッサ202に接続される1つまたは複数のメモリ204と、を有する。プロセッサ202は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メモリ204は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0028】
制御装置200は、車両100に設けられる各装置(例えば、エンジン110、スタータモータ112、駆動用モータ114、第2開閉機構180、酸素センサ190、圧力センサ192、194等)と通信を行う。制御装置200と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0029】
図3は、本発明の実施形態に係る制御装置200の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図3に示すように、制御装置200は、信号取得部210と、堆積量推定部212と、負圧制御部214と、記憶部220とを有する。なお、信号取得部210、堆積量推定部212、負圧制御部214により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ202によって実行され得る。詳細には、メモリ204に記憶されているプログラムをプロセッサ202が実行することにより、各種処理が実行される。
【0030】
信号取得部210は、圧力センサ192、194の検出値を取得する。また、信号取得部210は、エンジン110が停止中であり、かつ、駆動用モータ114によって車両100が走行中であるか否かの情報を取得する。
【0031】
堆積量推定部212は、圧力センサ192、194の検出値に基づき、GPF150における粒子状物質の堆積量を推定する。具体的に説明すると、堆積量推定部212は、圧力センサ192の検出値と圧力センサ194の検出値との差分を算出する。差分は、GPF150の上流側と下流側との差圧(以下、単に「差圧」という)である。そして、堆積量推定部212は、差圧に基づき、GPF150における粒子状物質の堆積量を推定する。
【0032】
堆積量推定部212は、差圧が閾値圧力以上である場合に、GPF150への粒子状物質の堆積量が閾値量以上となったと推定する。なお、閾値圧力は、差圧と、粒子状物質の堆積量とに基づいて予め決定される。例えば、堆積量が、再生処理において異常燃焼させずに粒子状物質を燃焼できる堆積量の最大値である場合の差圧を閾値圧力に決定する。閾値圧力を示す情報は、記憶部220に保持される。
【0033】
負圧制御部214は、差圧が閾値圧力以上となった場合であって、エンジン110が停止中であり、かつ、駆動用モータ114によって車両100が走行中である場合に、排気流路130におけるGPF150の上流側を大気圧未満の負圧とする。本実施形態において、負圧制御部214は、エンジン110と動力伝達系との間の動力の伝達を遮断して、スタータモータ112を制御し、エンジン110を逆回転させて、排気流路130を負圧とする。なお、逆回転は、通常回転と逆方向の回転である。
【0034】
また、負圧制御部214は、エンジン110を逆回転させる際、つまり、排気流路130を負圧にする際に、第2開閉機構180を動作させ、排気流路130を閉鎖する。
【0035】
図4は、排気流路130が負圧である場合の第1開閉機構170および第2開閉機構180を説明する図である。
図4中、実線の矢印は、外気の流れを示す。
【0036】
図4に示すように、第2開閉機構180によってGPF150の下流側の排気流路130が閉鎖された状態で、エンジン110が逆回転されると、排気流路130内の気体(排気ガス等)は、エンジン110に吸引される。これにより、排気流路130における第2開閉機構180の上流側が負圧となる。
【0037】
そうすると、第1開閉機構170の弁体174は、外気によって排気流路130内に押圧されて、開口172から離隔する方向に回動する。これにより、開口172は、弁体174によって開放される。こうして、外気は、開口172を通じて排気流路130内に供給される。
【0038】
そして、負圧制御部214は、酸素センサ190によって検出される酸素濃度が所定の閾値以上になった場合、スタータモータ112を制御してエンジン110の逆回転を停止し、排気流路130の負圧を解除する。これにより、排気流路130における三元触媒140とGPF150との間の領域132に外気が貯留される。なお、閾値は、外気に含まれる酸素濃度(例えば、21%)に設定される。閾値を示す情報は、記憶部220に保持される。
【0039】
なお、排気流路130の領域132に貯められた外気は、次回エンジン110が通常回転された際に排気流路130に導かれた排気ガスの流れに同伴されて、GPF150に到達する。これにより、GPF150に対し、再生処理が実行されることになる。
【0040】
[フィルタ管理方法]
図5は、本発明の実施形態に係るフィルタ管理方法の処理の流れを示すフローチャートである。本実施形態において、所定の時間間隔毎に生じる割込によってフィルタ管理方法が繰り返し遂行される。
【0041】
図5に示すように、フィルタ管理方法は、堆積量判定処理S110と、運転状態判定処理S120と、通常回転実行判定処理S130と、負圧開始処理S140と、第2濃度判定処理S150と、負圧解除処理S160とを含む。以下、各処理について詳述する。
【0042】
[堆積量判定処理S110]
堆積量推定部212は、GPF150への粒子状物質の堆積量が閾値量以上となったか否かを判定する。その結果、堆積量が閾値量以上になったと判定した場合には(S110におけるYES)、堆積量推定部212は、運転状態判定処理S120に処理を移す。一方、堆積量が閾値量以上になっていない、つまり、閾値量未満であると判定した場合には(S110におけるNO)、堆積量推定部212は、当該フィルタ管理方法を終了する。
【0043】
[運転状態判定処理S120]
負圧制御部214は、エンジン110が停止中であり、かつ、車両100が駆動用モータ114により走行中であるか否かを判定する。その結果、エンジン110が停止中であり、かつ、車両100が駆動用モータ114により走行中であると判定した場合(S120におけるYES)、負圧制御部214は、通常回転実行判定処理S130に処理を移す。一方、エンジン110が停止中ではない、または、車両100が駆動用モータ114により走行中ではないと判定した場合(S120におけるNO)、負圧制御部214は、当該フィルタ管理方法を終了する。
【0044】
[通常回転実行判定処理S130]
負圧制御部214は、前回負圧解除処理S160を実行してから、エンジン110が通常回転されたか否かを判定する。本実施形態において、負圧制御部214は、信号取得部210によって取得された酸素センサ190の検出値に基づき、排気流路130の領域132の上流側の酸素濃度が閾値以上であるか否かを判定する。その結果、酸素濃度が閾値以上であると判定した場合、つまり、前回負圧解除処理S160を実行してから、エンジン110が通常回転されていないと判定した場合(S130におけるNO)、負圧制御部214は、当該フィルタ管理方法を終了する。一方、酸素濃度が閾値未満であると判定した場合、つまり、前回負圧解除処理S160を実行してから、エンジン110が通常回転されたと判定した場合(S130におけるYES)、負圧制御部214は、負圧開始処理S140に処理を移す。
【0045】
[負圧開始処理S140]
負圧制御部214は、排気流路130を大気圧未満の負圧とする。本実施形態において、負圧制御部214は、エンジン110と動力伝達系との間の動力の伝達を遮断して、スタータモータ112を制御し、エンジン110を逆回転させる。また、負圧制御部214は、第2開閉機構180を制御して、排気流路130を閉鎖させる。これにより、第1開閉機構170の弁体174によって開口172が開放される。これにより、開口172を通じて、外気を排気流路130の領域132に供給することができる。
【0046】
[第2濃度判定処理S150]
負圧制御部214は、信号取得部210によって取得された酸素センサ190の検出値に基づき、排気流路130の領域132の酸素濃度が閾値以上であるか否かを判定する。そして、酸素濃度が閾値未満である場合(S150におけるNO)、酸素濃度が閾値以上となるまで、負圧制御部214は、第2濃度判定処理S150を繰り返す。酸素濃度が閾値以上となったら(S150におけるYES)、負圧制御部214は、負圧解除処理S160に処理を移す。
【0047】
[負圧解除処理S160]
負圧制御部214は、排気流路130の圧力を大気圧以上とする。本実施形態において、負圧制御部214は、スタータモータ112を制御し、エンジン110の逆回転を停止させる。また、負圧制御部214は、第2開閉機構180を制御して、排気流路130を開放させる。これにより、第1開閉機構170の弁体174によって開口172が閉鎖される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る車両100では、排気流路130が負圧になると、外気(酸素)をGPF150の上流側に供給して、排気流路130の領域132に外気を一時的に貯留することができる。これにより、次回、エンジン110が通常回転されて、排気ガスが排気流路130を流れる際に、排気ガスの流れに伴って、排気流路130の領域132に貯留された外気をGPF150に供給することが可能となる。
【0049】
したがって、車両100は、GPF150に集中的に外気(酸素)を供給することができ、再生処理を行う際に、エンジン110から排気流路130全体に亘って、酸素が通過してしまう事態を回避することが可能となる。これにより、車両100は、酸素による三元触媒140の劣化や、三元触媒140による排気ガスの浄化効率の低下を抑制することができる。
【0050】
また、上記したように、負圧制御部214は、エンジン110を逆回転させるだけといった簡易な構成で、排気流路130の領域132を負圧にする。このため、車両100は、排気流路130の領域132を負圧にするため専用の機構を備えることなく、排気流路130の領域132を負圧にすることが可能となる。
【0051】
また、上記したように、車両100は、第2開閉機構180を備える。これにより、車両100は、排気流路130の領域132の圧力をより低圧にすることが可能となる。したがって、車両100は、排気流路130の領域132に短時間で外気を供給することができる。
【0052】
また、上記したように、負圧制御部214は、酸素センサ190によって検出される酸素濃度が閾値以上になった場合、排気流路130の圧力を大気圧以上とする。これにより、外気が三元触媒140に供給されてしまう事態を回避することができる。したがって、酸素による三元触媒140の劣化を防止することが可能となる。このため、三元触媒140に含まれる貴金属の量を低減することができ、三元触媒140のコストを削減することが可能となる。
【0053】
[変形例]
上記実施形態において、エンジン110を逆回転させることで、排気流路130を負圧にする構成を例に挙げた。しかし、排気流路130を負圧にすることができれば、構成に限定はない。
【0054】
図6は、変形例に係る車両300を説明する図である。
図6に示すように、車両300は、エンジン110と、スタータモータ112と、駆動用モータ114と、吸気流路120と、排気流路130と、三元触媒140と、GPF150と、マフラ160と、第1開閉機構170と、第2開閉機構180と、酸素センサ190と、圧力センサ192、194と、ポンプ310と、制御装置320とを含む。なお、上記車両100と実質的に等しい構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
変形例において、ポンプ310(負圧機構)は、排気流路130の領域132の気体を吸引する。ポンプ310の吸入側は、排気流路130の領域132に接続される。ポンプ310の吐出側は、大気開放される。ポンプ310は、スタータモータ112によって動作する。
【0056】
制御装置320(負圧機構)は、1つまたは複数のプロセッサ322と、プロセッサ322に接続される1つまたは複数のメモリ324と、を有する。プロセッサ322は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含む。メモリ324は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。ROMは、CPUが使用するプログラムおよび演算パラメータ等を記憶する記憶素子である。RAMは、CPUにより実行される処理に用いられる変数およびパラメータ等のデータを一時記憶する記憶素子である。
【0057】
制御装置320は、車両300に設けられる各装置(例えば、エンジン110、スタータモータ112、駆動用モータ114、第2開閉機構180、酸素センサ190、圧力センサ192、194、ポンプ310等)と通信を行う。制御装置320と各装置との通信は、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を用いて実現される。
【0058】
図7は、変形例に係る制御装置320の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、
図7に示すように、制御装置320は、信号取得部210と、堆積量推定部212と、負圧制御部334と、記憶部220とを有する。なお、信号取得部210、堆積量推定部212、負圧制御部334により行われる以下で説明する処理を含む各種処理は、プロセッサ322によって実行され得る。詳細には、メモリ324に記憶されているプログラムをプロセッサ322が実行することにより、各種処理が実行される。
【0059】
変形例に係る負圧制御部334は、GPF150の上流側と下流側との差圧が閾値圧力以上となった場合であって、エンジン110が停止中であり、かつ、駆動用モータ114によって車両100が走行中である場合に、スタータモータ112を制御し、ポンプ310の動作を開始させて、排気流路130内の気体(排気ガス等)を吸引させる。また、負圧制御部214と同様に、負圧制御部334は、ポンプ310を動作させる際に、第2開閉機構180を動作させ、排気流路130を閉鎖する。これにより、排気流路130における第2開閉機構180の上流側が負圧となる。
【0060】
そうすると、第1開閉機構170の弁体174は、外気によって排気流路130内に押圧されて、開口172から離隔する方向に回動する。これにより、開口172は、弁体174によって開放される。こうして、外気は、開口172を通じて排気流路130内に供給される。
【0061】
そして、負圧制御部334は、酸素センサ190によって検出される酸素濃度が所定の閾値以上になった場合、スタータモータ112を制御して、ポンプ310の動作を停止し、排気流路130の負圧を解除する。
【0062】
以上説明したように、変形例に係る車両300においても、GPF150に集中的に外気(酸素)を供給することができ、再生処理を行う際に、エンジン110から排気流路130全体に亘って、酸素が通過してしまう事態を回避することが可能となる。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
例えば、上記実施形態および変形例では、開口172が、排気流路130における三元触媒140とGPF150との間に形成される場合を例に挙げた。しかし、開口172は、排気流路130におけるGPF150の上流側に形成されればよい。また、開口172は、排気流路130におけるGPF150の下流側に形成されてもよい。この場合、開口172は、排気流路130におけるGPF150の下流側であって、第2開閉機構180の上流側に形成されるとよい。
【0065】
また、上記実施形態および変形例において、車両100、300が、第2開閉機構180を備える場合を例に挙げた。しかし、第2開閉機構180は、必須の構成ではない。
【0066】
また、上記実施形態および変形例において、車両100、300が、酸素センサ190を備える場合を例に挙げた。しかし、酸素センサ190は、必須の構成ではない。酸素センサ190を備えない場合、負圧制御部214、334は、排気流路130を負圧としてから所定時間経過後に、負圧を解除してもよい。
【0067】
また、上記実施形態および変形例において、三元触媒140が、排気流路130におけるGPF150の上流側に設けられる構成を例に挙げた。しかし、三元触媒140は、排気流路130におけるGPF150の下流側に設けられていてもよい。
【0068】
また、上記実施形態におよび変形例において、エンジン110を逆回転させた後、車両100が駆動用モータ114により走行中である間に、エンジン110を通常回転させてもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、スタータモータ112によってエンジン110が逆回転される場合を例に挙げた。しかし、エンジン110は、駆動用モータ114によって逆回転されてもよい。また、他の動力源によって、エンジン110が逆回転されてもよい。
【0070】
また、上記変形例において、スタータモータ112によってポンプ310が動作する場合を例に挙げた。しかし、ポンプ310は、駆動用モータ114によって動作してもよい。また、他の動力源によって、ポンプ310が動作されてもよい。
【0071】
また、上記実施形態および変形例において、車両100、300がハイブリッド車両である場合を例に挙げた。しかし、車両100、300は、駆動源としてエンジン110のみを備える車両であってもよい。この場合、負圧制御部214、334は、アイドリングストップ中等のエンジン110が停止中に、エンジン110を逆回転させたり、ポンプ310の動作を開始させたりするとよい。
【0072】
また、上記実施形態において、エンジン110がガソリンエンジンである場合を例に挙げた。しかし、エンジン110は、ディーゼルエンジンであってもよい。エンジン110がディーゼルエンジンである場合、排気流路130には、GPF150に代えてDPFが設けられる。この場合、DPFが本発明のフィルタとして機能する。
【0073】
また、上記実施形態において、排気流路130の領域132に外気を一時的に貯留後、次回、エンジン110が通常回転された際にGPF150に外気を供給して再生処理を実行する場合を例に挙げた。しかし、次回、エンジン110が通常回転する前にGPF150に外気を供給して再生処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0074】
100 車両
110 エンジン
130 排気流路
140 三元触媒
150 GPF(フィルタ)
170 第1開閉機構
172 開口
174 弁体
180 第2開閉機構
190 酸素センサ
200 制御装置(負圧機構)
214 負圧制御部(負圧機構)
300 車両
310 ポンプ(負圧機構)
320 制御装置(負圧機構)
334 負圧制御部(負圧機構)