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特開2023-170856光学積層体及びこれを用いた画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170856
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】光学積層体及びこれを用いた画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20231124BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20231124BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20231124BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20231124BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G02B5/02 C
G02B1/14
G02B1/18
G02B1/111
G09F9/30 349Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082924
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金田 怜士
(72)【発明者】
【氏名】木▲崎▼ 拓也
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 匠
【テーマコード(参考)】
2H042
2K009
5C094
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA04
2H042BA13
2H042BA20
2K009AA02
2K009BB28
2K009CC09
2K009CC24
2K009CC26
2K009EE05
5C094BA27
5C094BA43
5C094ED12
(57)【要約】
【課題】光学特性及び滑り性に優れた光学積層体及びこれを用いた画像表示装置を提供する。
【解決手段】最表面に凹凸形状を有する光学積層体であって、以下の条件(1)~(3)を同時に満足することを特徴とする、光学積層体。
20,000≦A≦300,000 (1)
300≦B≦800 (2)
10≦C≦180 (3)
ここで、凹凸形状を光学干渉方式または接触方式で計測した凹凸高さの3次元データに基づく画像に対して高速フーリエ変換による周波数解析を行い、空間周波数fを算出した場合において、
A:0<f≦100cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値、
B:100cycle/mm<f≦200cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値、
C:200cycle/mm<f≦300cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最表面に凹凸形状を有する光学積層体であって、
以下の条件(1)~(3)を同時に満足することを特徴とする、光学積層体。
20,000≦A≦300,000 (1)
300≦B≦800 (2)
10≦C≦180 (3)
ここで、凹凸形状を光学干渉方式または接触方式で計測した凹凸高さの3次元データを、凹凸高さを画素値とする第1の画像データに変換し、第1の画像データを高速フーリエ変換により第2の画像に変換し、第2の画像のうち、原点を通り、かつ、正のX軸上及びY軸方向の±20Pixelの範囲の画像のパワースペクトラムのX座標の空間周波数fを算出した場合において、
A:0<f≦100cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値、
B:100cycle/mm<f≦200cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値、
C:200cycle/mm<f≦300cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値
である。
【請求項2】
前記光学積層体の最表面の動摩擦係数が0.3以下であることを特徴とする、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記光学積層体は、透明支持体と、前記透明支持体の少なくとも片方の面に積層された第1の機能層とを有し、最表面の凹凸形状が前記第1の機能層により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記第1の機能層上に、前記第1の機能層の屈折率よりも低い屈折率を有する第2の機能層を備えていることを特徴とする請求項2に記載の光学積層体。
【請求項5】
前記第1の機能層が含フッ素化合物またはシリコーン化合物を含有することを特徴とする、請求項2に記載の光学積層体。
【請求項6】
前記第2の機能層が含フッ素化合物またはシリコーン化合物を含有することを特徴とする、請求項3に記載の光学積層体。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の光学積層体を備える、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体及びこれを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
AG(アンチグレア)フィルムは、表面に微細な凹凸形状を有する防眩層を備え、この微細な凹凸が反射光を拡散することにより、外光の映り込みを抑制する。また、防眩層上に低屈折率層(LR)を積層し、更に光学干渉を利用して反射光を抑制するAGLRフィルムも知られており、様々なディスプレイに利用されている。
【0003】
AGフィルム及びAGLRフィルムの防眩性は、主に防眩層表面の凹凸形状によって定まる。従来、防眩層表面の好適な凹凸形状は、ISO 25178に規定される面粗さパラメータや、JIS B 0601に規定される線粗さパラメータを用いて表されることが多い(例えば、特許文献1~3参照)。
【0004】
また、タッチパネル付きディスプレイ用途のAGフィルム及びAGLRフィルムには、防眩性に加え、操作時に指の滑り性が良好であることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5360616号公報
【特許文献2】特許第5382034号公報
【特許文献3】特許第6135131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タッチパネル付きディスプレイ用途の光学積層体に求められる滑り性は、最表面の凹凸形状によって異なる。そこで、光学積層体の滑り性を表す手法として、上述した粗さパラメータを採用し、粗さパラメータに基づいて良好な滑り性を有する光学積層体を設計することが考えられる。
【0007】
しかしながら、上述した従来の粗さパラメータでは、ランダムな凹凸形状や複雑な凹凸形状の全てを表すことができない。例えば、ISO 25178に規定される算術平均高さSaは、面粗さを評価する際に一般的に使用される指標であるが、Sa値が同じであっても、凹凸形状及び滑り性が大きく異なる場合がある。したがって、従来の粗さパラメータは滑り性を表現するのに適していない。
【0008】
本発明は、光学特性及び滑り性に優れた光学積層体及びこれを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光学積層体は、最表面に凹凸形状を有し、以下の条件(1)~(3)を同時に満足することを特徴とするものである。
20,000≦A≦300,000 (1)
300≦B≦800 (2)
10≦C≦180 (3)
ここで、凹凸形状を光学干渉方式または接触方式で計測した凹凸高さの3次元データを、凹凸高さを画素値とする第1の画像データに変換し、第1の画像データを高速フーリエ変換により第2の画像に変換し、第2の画像のうち、原点を通り、かつ、正のX軸上及びY軸方向の±20Pixelの範囲の画像のパワースペクトラムのX座標の空間周波数fを算出した場合において、
A:0<f≦100cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値、
B:100cycle/mm<f≦200cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値、
C:200cycle/mm<f≦300cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値
である。
【0010】
本発明に係る画像表示装置は、上記の光学積層体を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光学特性及び外観及び滑り性に優れた光学積層体及びこれを用いた画像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る光学積層体の一例を模式的に示す断面図
図2】実施形態に係る光学積層体の他の一例を模式的に示す断面図
図3】防眩性の評価方法を示す図
図4】防眩性の評価例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、実施形態に係る光学積層体の一例を模式的に示す断面図である。
【0014】
光学積層体11は、透明支持体2と、透明支持体2の一方面に積層された防眩層3(AG層)とを備える。光学積層体11は、最表面の微細な凹凸で入射光を散乱させて外光の映り込みを抑制する光学フィルムである(「AGフィルム」とも称される)。
【0015】
透明支持体2は、光学積層体11の基体となるフィルムであり、可視光線の透過性に優れた材料により形成される。透明支持体2の形成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンコポリマー、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等の透明樹脂や無機ガラスを利用できる。透明支持体2の厚みは、特に限定されないが、10~200μmとすることが好ましい。
【0016】
透明支持体2の表面には、積層する他の層との密着性を向上させるために、表面改質処理を施しても良い。表面改質処理としては、アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処理、スパッタ処理、界面活性剤やシランカップリング剤等の塗布、Si蒸着等を例示できる。
【0017】
防眩層3は、光学積層体11の最表面の微細な凹凸形状を形成する機能層である。
【0018】
防眩層3は、活性エネルギー線硬化型化合物と、有機微粒子及び/または無機微粒子(フィラー)とを含有する塗工液を透明支持体2に塗布し、塗膜を硬化させることによって形成される。
【0019】
活性エネルギー線硬化型化合物としては、例えば、単官能、2官能または3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを使用できる。尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方の総称であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルの両方の総称である。
【0020】
単官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタン、アダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0021】
2官能の(メタ)アクリレートの例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】
3官能以上の(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0023】
また、多官能モノマーとして、ウレタン(メタ)アクリレートも使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させることによって得られるものを挙げることができる。
【0024】
ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
【0025】
上述した多官能モノマーは1種を用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述した多官能モノマーは、塗工液中でモノマーであっても良いし、一部が重合したオリゴマーであっても良い。
【0026】
有機微粒子は、主として防眩層3の表面に微細な凹凸を形成し、外光を拡散させる機能を付与する材料である。有機微粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等の透光性樹脂材料からなる樹脂粒子を使用できる。屈折率や樹脂粒子の分散を調整するために、材質(屈折率)の異なる2種類以上の樹脂粒子を混合して使用しても良い。
【0027】
防眩層形成用組成物に添加する無機微粒子は、平均粒径が10~200nmのナノ粒子であることが好ましい。
【0028】
無機微粒子は、主として防眩層3中の有機微粒子の沈降や凝集を調整するための材料である。無機微粒子としては、シリカ微粒子や、金属酸化物微粒子、各種の鉱物微粒子等を使用することができる。シリカ微粒子としては、例えば、コロイダルシリカや(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基で表面修飾されたシリカ微粒子等を使用することができる。金属酸化物微粒子としては、例えば、アルミナや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタニア、ジルコニア等を使用することができる。鉱物微粒子としては、例えば、雲母、合成雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、層状チタン酸、スメクタイト、合成スメクタイト等を使用することができる。鉱物微粒子は、天然物及び合成物(置換体、誘導体を含む)のいずれであっても良く、両者の混合物を使用しても良い。鉱物微粒子の中でも、層状有機粘土がより好ましい。層状有機粘土とは、膨潤性粘土の層間に有機
オニウムイオンを導入したものをいう。有機オニウムイオンは、膨潤性粘土の陽イオン交換性を利用して有機化することができるものであれば制限されない。鉱物微粒子として、層状有機粘土鉱物を用いる場合、上述した合成スメクタイトを好適に使用できる。合成スメクタイトは、防眩層形成用組成物の粘性を増加させ、樹脂粒子及び無機微粒子の沈降を抑制して、光学機能層の表面の凹凸形状を調整する機能を有する。
【0029】
防眩層形成用組成物を紫外線照射により硬化させるため、重合開始剤を添加しても良い。重合開始剤としては、紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、アシルフォスフィンオキシド等のラジカル重合開始剤に使用することができる。重合開始剤として、例えば、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,2-ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-フェニルアセトフェノン、ジベンゾイル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、p-クロロベンゾフェノン、p-メトキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アセトフェノン、2-クロロチオキサントン等を使用できる。これらのうち1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0030】
また、防眩層形成用組成物には、滑り性を向上する成分(滑り性向上剤)として、防汚剤、レベリング剤、撥油剤、撥水剤、指紋付着防止剤を添加することが好ましい。これらの添加剤として、含フッ素化合物やシリコーン化合物を好適に使用することができる。最表層となる防眩層3に滑り性を発現する化合物を添加することによって、滑り性を一層向上させることができる。その他、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色材、光安定剤、重合禁止剤、光増感剤等の各種添加剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0031】
更に、防眩層形成用組成物には、必要に応じて、溶剤を添加しても良い。溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、N-メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド等のうち、1種類または2種類以上を混合して使用できる。
【0032】
図2は、実施形態に係る光学フィルムの他の一例を模式的に示す断面図である。
【0033】
光学積層体12は、透明支持体2と、透明支持体2の一方面に積層された防眩層3と、防眩層3の表面に積層された低屈折率層4(AR層)を備える。光学積層体12は、最表面の微細な凹凸による入射光の散乱と光学干渉とを利用して、外光の映り込み及び反射を抑制する光学フィルムである(「AGLRフィルム」とも称される)。
【0034】
低屈折率層4は、下層の防眩層3の屈折率よりも低い屈折率を有し、光学干渉により反射を抑制する機能層である。
【0035】
低屈折率層4は、活性エネルギー線硬化型化合物を含有する組成物を防眩層3の表面に塗布し、塗膜を硬化させることにより形成することができる。低屈折率層4は、屈折率調整のために、低屈折率微粒子を含有しても良い。
【0036】
低屈折率微粒子としては、例えば、LiF、MgF、3NaF・AlFまたはAlF(いずれも、屈折率1.4)、もしくはNaAlF(氷晶石、屈折率1.33)等の微粒子や、内部に空隙を有するシリカ微粒子を好適に使用することができる。内部に空隙を有するシリカ微粒子は、空隙の部分を空気の屈折率(約1)とすることができるので、低屈折率層4の低屈折率化に遊離である。具体的には、多孔質シリカ粒子、シェル(殻)構造のシリカ粒子を用いることができる。尚、低屈折率微粒子は必ずしも必要ではなく、活性エネルギー線硬化型化合物の硬化後の屈折率が防眩層3の屈折率よりも低い場合は、低屈折率微粒子を省略しても良い。
【0037】
活性エネルギー線硬化型化合物としては、防眩層で説明した重合性化合物を使用することができる。また、低屈折率層形成用組成物には、上述した重合開始剤や溶剤を適宜添加しても良い。
【0038】
低屈折率層4は、最表層となる機能層であるため、低屈折率層形成用組成物には、滑り性を向上する成分(滑り性向上剤)として、防汚剤、レベリング剤、撥油剤、撥水剤、指紋付着防止剤を添加することが好ましい。これらの添加剤として、含フッ素化合物やシリコーン化合物を好適に使用することができる。その他、帯電防止剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色材、光安定剤、重合禁止剤、光増感剤等の各種添加剤等を必要に応じて添加しても良い。
【0039】
透明支持体2と防眩層3との間に、ハードコート層、高屈折率層、中屈折率層、帯電防止層、電磁波遮断層、赤外線吸収層、紫外線吸収層、色補正層等の他の機能層が1層以上積層されても良い。
【0040】
上記の防眩層形成用組成物及び低屈折率層形成用組成物の塗工方法は特に限定されず、例えば、スピンコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、スプレーコーター、アプリケーター等を用いて塗工することができる。
【0041】
ここで、本実施形態に係る光学積層体の表面凹凸形状の詳細を説明する。
【0042】
本実施形態に係る光学機能積層体の最表面の凹凸形状は、以下の条件(1)~(3)を同時に満足する。
20,000≦A≦300,000 (1)
300≦B≦800 (2)
10≦C≦180 (3)
ここで、A、B及びCは、光学積層体表面の凹凸高さの測定データから生成した画像データを高速フーリエ変換(以下、「FFT」という)し、変換後の画像(パワースペクトラム画像)の所定範囲から算出した空間周波数fから導き出される値である。Aは、0<f≦100cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値であり、Bは、100cycle/mm<f≦200cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値であり、Cは、200cycle/mm<f≦300cycle/mmの範囲のパワースペクトラム強度の平均値
である。
【0043】
上記A、B及びCの値の算出方法は、以下の通りである。
【0044】
まず、光学積層体の最表面の凹凸高さの3次元データを計測により取得する。凹凸高さの3次元データは、計測面内の位置と凹凸の高さとを含む。最表面の凹凸高さの3次元データは、光学干渉方式または接触方式により計測することができる。取得した3次元データは、凹凸高さを画素値とする画像(第1の画像)に変換する。次に、第1の画像に対してFFTを行って、FFT処理後の画像(第2の画像)を得る。次に、FFT処理後の第2の画像内の所定範囲のパワースペクトラムのX座標を空間周波数fに変換する。得られた空間周波数から、0<f≦100cycle/mmの範囲、100cycle/mm<f≦200cycle/mmの範囲、200cycle/mm<f≦300cycle/mmの範囲におけるパワースペクトラム強度の真数の平均値を算出し、上記A、B及びCの値とする。
【0045】
従来、滑り性を発現させるためには、最表面層にフッ素化合物やシリコーン化合物等の滑り性を向上する成分を含有させることが一般的であるが、滑り性を発現する成分の添加のみでは、滑り性の向上に限界があった。本願発明者らが検討したところ、滑り性には、最表面の材質や含有成分だけでなく、表面凹凸形状も影響していることがわかった。また、本願発明者らが滑り性を向上ができる凹凸形状を検討したところ、空間周波数50cycle/mm付近のパワースペクトラム強度が、滑り性に大きく関係しており、空間周波数50cycle/mm付近のパワースペクトラム強度が高いほど(すなわち、凹凸高さが高いほど)、滑り性が向上することが分かった。
【0046】
滑り性は摩擦係数の大きさによって表すことができる。摩擦係数は、材料が同じである場合、接触面積に比例し、接触面積が大きいほど摩擦係数が大きくなる。ここで、摩擦係数μ=摩擦力F/荷重(垂直荷重)N=接触面積×せん断応力/荷重Nの関係が成り立つ。尚、せん断応力は材質に依存し、荷重は試験条件に依存する。したがって、光学積層体表面に指を置いたときの指紋の稜線と表面の凸部との接触面積と、滑り状態での指のせん断変形による接触面積の変化が滑り性に影響していると考えられる。上記条件(1)~(3)を満たす凹凸形状は、指を接触させて静止した状態と滑り状態とにおいて、指と表面の凸部との接触面積を減少させることができ、この結果、滑り性が向上していると考えられる。
【0047】
光学積層体11及び12の最表面の動摩擦係数は0.3以下であることが好ましい。最表面の動摩擦係数が0.3以下であれば、画像表示装置に対してフリックやスワイプ等の摺動操作を行ったときに、滑らかに指をスライドさせることができ、使用感が良好である。
【0048】
本実施形態に係る光学積層体11及び12は、最表面の凹凸形状が上記条件(1)~(3)を満足することにより、優れた滑り性を有する。また、最表層となる機能層に滑り性を向上させる成分を添加することにより、滑り性を更に向上させることができる。
【0049】
尚、A~Cの値は、防眩層3に添加するフィラーの粒径や添加量、添加剤の量、防眩層3の膜厚、成膜プロセスにおけるフィラーの凝集状態の調整により制御することができる。
【0050】
本実施形態に係る光学積層体11及び12は、液晶パネルや有機ELパネル等の画像表示パネルの最表面に貼合して画像表示装置を構成するのに利用することができる。光学積層体11及び12と画像表示パネルとの間にタッチパネルが設けられても良い。本実施形態に係る光学積層体11及び12は、滑り性に優れるため、画像表示装置の最表面に設ける光学フィルムとして好適である。
【実施例0051】
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
【0052】
(実施例1)
以下のハードコート(HC)組成物を調製した。
【0053】
(HC組成物1:防眩層形成用)
ペイントシェイカーを用い、平均粒径3.5μmの有機微粒子(テクポリマー製、SSX-2035)をトルエンに40分間分散させた後、有機微粒子5.0質量部、下記式で表されるペンタエリスリトールとアクリル酸の縮合物(大阪有機化学工業製、ビスコート#300、以下、「PETA」という)92.0質量部、光重合開始剤(IGM Resins B.V.製、Omnirad 184)の3.0質量部の割合でトルエンに混合した。組成物中の全固形分濃度は、50質量%に調整した。混合物をペイントシェイカーにて50分間攪拌し、HC組成物1とした。
【化1】
【0054】
(HC組成物2:低屈折率層形成用)
PETA(大阪有機化学工業製、ビスコート#300、)45.0質量部、平均粒径75nmのイソプロピルアルコール分散中空シリカ微粒子を固形分で50.0質量部、UV硬化させるための光重合開始剤の光開始剤を3.0質量部、フッ素系防汚剤(信越化学工業製、KY-1203)2.0質量部を添加し、全固形分濃度が3.5質量%となるようイソプロピルアルコールに混合し、混合物をペイントシェイカーにて50分間攪拌し、HC組成物2とした。
【0055】
次に、厚さ60μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム製、TJ40)を透明支持体とし、透明支持体の一方面に、HC組成物1をバーコーターを用いて塗布し、乾燥機で100℃で1分間乾燥させた。高圧水銀UV装置を用い、窒素雰囲気下(酸素濃度500ppm以下)にて、積算露光量が200mJ/cmとなるように塗膜に紫外線を照射し、塗膜を硬化させて防眩層を形成した。尚、HC組成物1の塗工量は、硬化後の膜厚が5μmとなるように調節した。
【0056】
次に、防眩層上に、HC組成物2をバーコーターを用いて塗布し、乾燥機で100℃で1分間乾燥させた。高圧水銀UV装置を用い、窒素雰囲気下(酸素濃度500ppm以下)、積算露光量が200mJ/cmとなるように塗膜西凱旋を照射し、塗膜を硬化させて低屈折率層を形成した。尚、HC組成物2の塗工量は、硬化後の光学膜厚nd(nd=屈折率n×膜厚d(nm))が、550/4nmとなるように調節した。
【0057】
(実施例2)
低屈折率層を形成しなかったことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0058】
(実施例3)
HC組成物1におけるペイントシェイカーによる有機微粒子の分散時間及び塗液の攪拌時間をいずれも70分間としたことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0059】
(実施例4)
HC組成物1におけるペイントシェイカーによる有機微粒子の分散時間を70分間としたことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0060】
(実施例5)
HC組成物1における有機微粒子を平均粒径3.0μmの有機微粒子(テクポリマー製、SSX-103)4.0質量部に変更し、PETAの配合量を93.0質量部に変更したことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0061】
(実施例6)
低屈折率層を形成しなかったことを除き、実施例5と同様に光学積層体を作製した。
【0062】
(実施例7)
HC組成物1の塗工量を、硬化後の膜厚が6.0μmとなるように変更したことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0063】
(実施例8)
低屈折率層を形成しなかったことを除き、実施例7と同様に光学積層体を作製した。
【0064】
(比較例1)
HC組成物1の塗工量を、硬化後の膜厚が4.5μmとなるように変更したことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0065】
(比較例2)
HC組成物1の塗工量を、硬化後の膜厚が8.0μmとなるように変更したことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0066】
(比較例3)
HC組成物1における有機微粒子を平均粒径5.0μmの有機微粒子(テクポリマー製、SSX-105)に変更したことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0067】
(比較例4)
HC組成物1における有機微粒子を平均粒径2.5μmの有機微粒子(テクポリマー製、SSX-102)に変更したことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0068】
(比較例5)
HC組成物1におけるPETAの配合量を90.0質量部とし、有機微粒子(テクポリマー製、SSX-2035)の配合量を7.0質量部としたことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0069】
(比較例6)
HC組成物1におけるPETAの配合量を94.0質量部とし、有機微粒子の配合量を3.0質量部としたことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0070】
(比較例7)
HC組成物1におけるペイントシェイカーによる有機微粒子の分散時間を20分間に変更したことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0071】
(比較例8)
低屈折率層を形成しなかったことを除き、比較例7と同様に光学積層体を作製した。
【0072】
(比較例9)
HC組成物1におけるペイントシェイカーによる有機微粒子の分散時間及び塗液の攪拌時間を80分間に変更したことを除き、実施例1と同様に光学積層体を作製した。
【0073】
(比較例10)
低屈折率層を形成しなかったことを除き、比較例9と同様に光学積層体を作製した。
【0074】
各実施例及び各比較例に係る光学積層体を以下の通り評価した。
【0075】
<評価1:表面凹凸形状>
(3次元データの取得)
Vertscan(菱化システム社製、R3300H Lite)を用いて、光学積層体の最表面の凹凸形状の3次元データを光学干渉方式にて測定した。測定条件は次の通りである。凹凸高さは、測定範囲内で最も低い位置を基準とした。
・カメラ機種:Sony HR-50 1/3
・対物レンズ倍率:5XTI
・鏡筒:1X
・ズームレンズ:1X
・光源:530white
・波長フィルタ:520nm
・測定デバイス:ピエゾ
・測定モード:Phase
・スキャンスピード:4μm/sec
・スキャンレンジ:10μm~-10μm
・有効ピクセル数:0%
・測定範囲:940.8μm×705.6μm、640pixel×480pixel
・XY方向分解能:1pixel 1.47μm
【0076】
(FFT解析)
フリーソフト「ImageJ 1.53h」をWindows(登録商標)10環境下で使用してFFT解析を実施した。手順は次の通りである。
1.3次元データを、高さを画素値とするTIFF画像データに変換した。
2.元の3次元データ値(高さの測定値)を参照してFFTを実施した。FFT処理後の画像サイズは1024pixel×1024pixelとした。
3.FFT処理後の画像に対して、パワースペクトラム強度を実測値に復元する処理を行った。
4.処理後の画像における、原点を通り正のX軸上±20Pixelの範囲を指定し、パワースペクトラム強度を出力した。
5.出力したパワースペクトラムのX座標を、元の3次元データの画素サイズを元に空間周波数fに変換した。
6.算出した空間周波数から、0<f≦100cycle/mm、100cycle/mm<f≦200cycle/mm、200cycle/mm<f≦300cycle/mmの各範囲内のパワースペクトラム強度の真数での平均値(A~Cの値)を算出した。
【0077】
<評価2.光学特性>
光学積層体の光学特性は、以下に示すヘイズ・防眩性・反射率の評価に基づき、下記基準によって評価した。
◎:ヘイズ・防眩性・反射率に評価◎が1つ以上あり、残りの評価が〇
〇:ヘイズ・防眩性・反射率の全ての評価が〇
×:ヘイズ・防眩性・反射率に評価×が1つ以上ある
【0078】
(ヘイズ)
ヘイズは、プラスチックの光学的特性試験方法JIS K 7136のヘイズ試験方法に準拠し、ヘイズメーター(NDH7000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。光学特性の評価基準は次の通りである。
◎:ヘイズが6%以上8%未満
〇:ヘイズが4%以上6%未満、または、8%以上10%未満
×:ヘイズが4%未満または10%以上
【0079】
(防眩性)
図3は、防眩性の評価方法を示す図であり、図4は、防眩性の評価例を示す図である。
【0080】
得られた光学積層体を機能面が表面となるように黒板に光学粘着剤を用いて貼合した。また、機能面に対して垂直に光が当たるように三波長蛍光灯と光学積層体を設置した。視点と機能面に写った三波長蛍光灯の像とを結んだ線が、三波長蛍光灯から機能面に下ろした垂線に対して70°となる方向から光学積層体の表面を観察し、下記基準によって防眩性を評価した。
〇:三波長蛍光灯の概形はわかるが、縁がぼやけてはっきりしない
×:三波長蛍光灯の概形がわからないほどぼやけている、あるいは、縁がはっきり見える
【0081】
(反射率)
得られた光学積層体の機能層表面の入射角5°における分光反射率を、自動分光光度計(U-4100、日立製作所製)を用いて測定し、下記基準によって評価した。測定の際には、TACフィルムの裏面(機能層が形成されていない面)につや消し黒色塗料を塗布し、反射防止の処置を施した。
◎:反射率が0.5%未満
〇:反射率が0.5%以上1%未満
×:反射率が1%以上
【0082】
<評価3.滑り性>
得られた光学積層体の機能層表面の動摩擦係数を、JIS K 7125に準拠して測定した。測定装置及び測定条件は、以下の通りである。
・評価装置:静動摩擦測定器TL201Tt(株式会社トリニティーラボ製)
・測定子オプション:指紋パターン付触覚接触子(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科前野隆司研究室・山形大学大学院理工学研究科の野村未宗研究室提案指紋パターン付)
・解析ソフト:トライボ解析ソフト
・垂直荷重:20g
・摺動速度:10mm/sec
・移動距離:30mm
・データ収集速度:1msec
【0083】
得られた光学積層体を機能面が表面になるように黒板に粘着剤を用いて貼合した。このサンプルを評価装置のステージに固定し、上記条件に従って指紋パターン付触覚接触子と機能面間の摩擦係数の測定・解析を行った。摺動状態の摩擦係数(移動距離10mm~20mm間)の摩擦係数の平均値を算出し、得られた数値を動摩擦係数μkとして、下記基準によって評価した。
〇:μk≦0.3
×:0.3<μk
【0084】
表1に評価結果を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示すように、実施例1~10に係る光学積層体は、A~Cが条件(1)~(3)を満たしており、光学特性及び滑り性の両方に優れていた。
【0087】
一方、比較例1~10に係る光学積層体は、A~Cのうち1つ以上が上記条件を満たしておらず、光学特性及び滑り性の一方または両方の評価が低かった。
【0088】
以上より、上述したA~Cが条件(1)~(3)を同時に満足することによって、光学特性及び滑り性に優れた光学積層体を実現できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、画像表示装置の最表面に設けられる光学フィルムとして利用できる。
【符号の説明】
【0090】
1 光学積層体
2 透明支持体
3 防眩層
4 低屈折率層
図1
図2
図3
図4