(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023170879
(43)【公開日】2023-12-01
(54)【発明の名称】先行待機ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/046 20060101AFI20231124BHJP
F04D 13/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F04D29/046 A
F04D13/00 L
F04D13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022082957
(22)【出願日】2022-05-20
(71)【出願人】
【識別番号】319007240
【氏名又は名称】株式会社日立インダストリアルプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔵森 優太郎
(72)【発明者】
【氏名】三橋 佑規
(72)【発明者】
【氏名】秋庭 秀樹
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB13
3H130AB24
3H130AB50
3H130AC10
3H130BA24E
3H130BA36E
3H130DA02Z
3H130DB01Z
3H130DB04Z
3H130DB13Z
3H130DD01Z
3H130EA07D
3H130EA07E
3H130EB01E
3H130EB02E
3H130EC08E
(57)【要約】
【課題】先行待機ポンプにおける軸受の温度上昇を抑制して寿命を延ばす。
【解決手段】先行待機ポンプは、下端部に羽根車が固定された回転軸2と、回転軸2を回転可能に支持するすべり軸受装置5と、を備える。すべり軸受装置5は、回転軸2の径方向外側に配置された軸受9と、軸受9の外周面上に配置されたバックメタル13と、バックメタル13の外周面上に周方向に隙間18を空けて配置された複数の弾性体15と、複数の弾性体15の外周面上に配置された軸受支え14と、を備える。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端部に羽根車が固定された回転軸と、
前記回転軸を回転可能に支持するすべり軸受装置と、を備え、
前記すべり軸受装置は、
前記回転軸の径方向外側に配置された軸受と、
前記軸受の外周面上に配置された軸受保持部材と、
前記軸受保持部材の外周面上に周方向に隙間を空けて配置された複数の弾性体と、
複数の前記弾性体の外周面上に配置された弾性体保持部材と、を備えることを特徴とする先行待機ポンプ。
【請求項2】
前記弾性体は、前記回転軸の軸方向における両端部が中央部よりも径方向の厚さが大きいことを特徴とする請求項1に記載の先行待機ポンプ。
【請求項3】
前記軸受保持部材および前記弾性体保持部材の、前記回転軸の軸方向における両端面にそれぞれ配置された一対のホルダを備え、
前記ホルダには、前記軸方向に貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の先行待機ポンプ。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記隙間を通る空気が通過することを特徴とする請求項3に記載の先行待機ポンプ。
【請求項5】
前記弾性体に、空気が通る孔または溝が形成されており、
前記貫通孔は、前記孔または前記溝を通る空気が通過することを特徴とする請求項3に記載の先行待機ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先行待機ポンプに係り、特に、無潤滑状態で待機運転を行う先行待機ポンプ関する。
【背景技術】
【0002】
近年急速な都市化に伴い、集中豪雨時の都市排水機場への雨水流入は、大量かつ急激なものとなっており、都市型洪水発生のおそれが高くなっている。このような問題を回避するためには、緊急時でも速やかに排水する立軸ポンプが必要である。そこで、雨水が排水機場に流入する以前に、ポンプを先行して空転運転させ、雨水が流入してきたら即座に排水運転を行う、先行待機ポンプの需要が高まっている。
【0003】
この先行待機ポンプにおける軸受は、空転運転時における無潤滑摺動、排水運転時における異物等を含む水潤滑摺動が、繰り返し行われるような環境下において、回転軸を支持する。従来では、空転運転時においても外部注水装置を用いて水潤滑状態を維持し、軸受が焼損するのを防止していた。しかしながら、コストやメンテナンス性の観点から、空転運転時においても外部注水装置を使用せず、無注水軸受を用いるのが現在の主流となっている。
【0004】
無注水軸受は、回転軸を覆うように設置されたスリーブと、一定の間隔を隔てて回転軸及びスリーブを支持する円筒状の軸受と、軸受を支持する軸受ハウジングとを備えている。また、無注水軸受は、スリーブに高強度材料(超硬合金等)が主に用いられ、軸受に摺動性の良い材料(樹脂等)が主に用いられており、無潤滑摺動及び異物摩耗に長時間耐えることができる。
【0005】
しかしながら、無潤滑摺動では、発熱量の過大によって軸受が焼損したり、スリーブ及び軸受の熱膨張によってクリアランスが消失してスリーブと軸受が接触したりするおそれがある。また、回転軸のアンバランスや組立時のミスアライメントによってスリーブと軸受が部分的に摺動(片当たり)して、周方向において回転軸が局所的に温度上昇するおそれがある。この場合、局所的な温度上昇に伴って回転軸が曲がり、振動や軸受荷重が増加するなどの問題が生じる。
【0006】
従来、この種のすべり軸受を用いた先行待機ポンプとしては、例えば特許文献1に記載のものがある。
特許文献1の段落0018,0019には、「上記すべり軸受装置11は以下のように構成されている。(同公報の)
図2~
図4に示すように、すべり軸受装置11は、回転軸4を回転自在に保持する軸受体15と、軸受体15の径方向外側に配置された金属製の円筒状のシェル16とを有している。軸受体15はシェル16に嵌め込まれており、軸受体15とシェル16との間には、円筒状の緩衝部材17が設けられている。上記軸受体15は、金属製の円筒状の保持体19と、回転軸4の軸側摺接部4cの外周面に摺接する複数の軸受側摺接部材20(摺接部材)とで構成されている。
図5,
図6に示すように、保持体19は、回転軸4の軸心7の方向における両端面19a,19bにそれぞれ、印籠部21,22(嵌込部)を備えている。保持体19の内周面には、上記両端面19a,19bに貫通する溝23が周方向Aに所定間隔おきに複数形成されている。
図7に示すように、各溝23は、軸心7の方向に直交する断面が一定の幅を有する凹形状に形成されている。軸受側摺接部材20は、溝23に嵌め込まれており、接着剤で溝23に接着されている。軸受側摺接部材20の径方向Bの内端部が保持体19の内周面から軸心7に向かって突出している。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のすべり軸受装置は、段落0028に記載されているように、軸受側摺接部材20(摺接部材)の硬化層32にダイヤモンドの焼結体を用いているが、樹脂を用いた場合も同様に、摺動摩擦により発熱する。
【0009】
しかしながら、特許文献1のすべり軸受装置では、軸受体15およびシェル16は円筒状で、その間に挟み込まれる緩衝部材17も円筒状であるため、シェル16までの熱伝導経路における放熱効果は小さい。
【0010】
そのため、特許文献1のすべり軸受装置の構造では、軸受側摺接部材(軸受)の温度が上がりやすく摩耗が加速してしまう。
【0011】
本発明の目的は、先行待機ポンプにおける軸受の温度上昇を抑制して寿命を延ばすことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記した目的を達成するために、本発明に係る先行待機ポンプは、下端部に羽根車が固定された回転軸と、前記回転軸を回転可能に支持するすべり軸受装置と、を備え、前記すべり軸受装置は、前記回転軸の径方向外側に配置された軸受と、前記軸受の外周面上に配置された軸受保持部材と、前記軸受保持部材の外周面上に周方向に隙間を空けて配置された複数の弾性体と、複数の前記弾性体の外周面上に配置された弾性体保持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、先行待機ポンプにおける軸受の温度上昇を抑制して寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る先行待機ポンプの概略縦断面図である。
【
図2A】第1の実施形態に係る先行待機ポンプのすべり軸受装置を示す縦断面図である。
【
図2B】
図2AにおけるIIB-IIB線に沿う水平断面図である。
【
図2C】第1の実施形態に係る先行待機ポンプのすべり軸受装置における温度上昇を説明するための模式的な斜視図である。
【
図3A】第2の実施形態に係る先行待機ポンプのすべり軸受装置を示す縦断面図である。
【
図4A】従来の先行待機ポンプのすべり軸受装置を示す模式的な斜視図である。
【
図4B】従来の先行待機ポンプのすべり軸受装置における温度上昇を説明するための模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、以下に示す図面において、同一の部材または相当する部材については、同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜のため、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
【0016】
《第1の実施形態》
図1、
図2A~
図2Dおよび
図4A~
図4Cを参照して、第1の実施形態に係るすべり軸受装置5(5a,5bの総称)とそれを用いた先行待機ポンプ1について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る先行待機ポンプ1の概略の全体構成を示している。
図2Aは、第1の実施形態に係るすべり軸受装置5の構造を示す縦断面図である。
図2Bは、
図2AにおけるIIB-IIB線に沿う水平断面図である。
図2Cおよび
図2Dは、本実施形態の効果を説明するための模式的な図である。また、
図4A~
図4Cは、本発明の作用効果を分かり易くするために示す、従来の先行待機ポンプのすべり軸受装置での問題点を説明するための模式的な図である。
【0017】
先ず、
図1を用いて本発明の適用対象となる先行待機ポンプ1について説明する。
図1に示すように、先行待機ポンプ1は、鉛直方向に延伸し回転する回転軸(主軸)2を備える立軸ポンプである。回転軸2の下端部には、羽根車3が固定されている。
【0018】
また、羽根車3の下方から羽根車3の外周部を覆い、さらに上方にまで、ポンプケーシング4が延びている。ポンプケーシング4は、羽根車3の部分を除いてほぼ円筒形に形成されており、中心部を回転軸2が貫通している。ポンプケーシング4の内部は、揚水の流路を形成する。
【0019】
ポンプケーシング4の内部を貫通する回転軸2は、上下方向の複数箇所(
図1では2箇所)において、すべり軸受装置5によって回転可能に支持されている。すべり軸受装置5は、空転運転時においても外部注水装置を使用しない無注水軸受として使用される。
【0020】
図1示す先行待機ポンプ1では、羽根車3の近傍において、一方のすべり軸受装置5aが設けられている。また、先行待機ポンプ1の設置面である床面20よりも下方であって、この先行待機ポンプ1を駆動する駆動モータ6にカップリング7を介して接続される回転軸2の途中に、他方のすべり軸受装置5bが設置されている。
【0021】
すなわち、先行待機ポンプ1は、一方の端部(下端部)に羽根車3が設けられ、他方の端部(上端部)に駆動モータ6が設けられた回転軸2と、羽根車3および回転軸2を内包し、先行待機ポンプ1の駆動時に流体(水)の流路となるポンプケーシング4と、回転軸2をポンプケーシング4に回転可能に支持するすべり軸受装置5とを有している。
【0022】
次に、
図4A~
図4Cを用いて、本実施形態の比較例である従来の先行待機ポンプのすべり軸受装置の問題点について説明する。
図4Aは、従来の先行待機ポンプが備えるすべり軸受装置の模式的な斜視図である。すべり軸受装置は、
図4Aに示すように、回転軸2の径方向外側に配置された軸受9と、軸受9を保持する円筒状の軸受ハウジング(図示省略)とを備えている。回転軸2には、回転軸2の外周面を覆うように該外周面上にスリーブ(摺動層)8が設けられている。軸受9は、円筒状を呈し、スリーブ8と径方向に一定の間隔を隔てて配置されており、スリーブ8が設置された回転軸2を支持する。軸受ハウジング(図示省略)は、円筒状を呈し、軸受9を保持する。そして、スリーブ8の外周面である軸側摺動面11と摺動部材である軸受9の内周面が摺動しながら、回転軸2が回転する。なお、
図4Aでは、スリーブ8と軸受9との間の径方向の間隔は、説明の便宜上、実際よりも大きく描いてある(
図4B、
図2A~
図2C、
図3A、
図3Bでも同様)。
【0023】
上記のように、スリーブ8と軸受9との間には一定の間隔(間隙)があるため、スリーブ8が軸受9と片当り状態となる場合がある。このような片当り状態が継続すると、
図4Bに示すように、スリーブ8の軸受9との片当たり部12を中心に、スリーブ8が局所的に発熱する。
【0024】
そして、
図4Cに示すように、スリーブ8の片当たり部12を中心に発熱した局所熱が回転軸2に伝わり、スリーブ8と回転軸2に、周方向に温度分布が生じる。
図4Bおよび
図4Cにおいて、濃く示される部分ほど温度が高いことを示している(
図2Cおよび
図2Dでも同様)。このため、
図4Bに示すように、熱膨張の差によって回転軸2が曲がるおそれがある。このことは、回転軸2を含む回転体の過大振動の要因となり得る。
【0025】
そこで、本実施形態のすべり軸受装置5では、
図2Aおよび
図2Bに示すように、バックメタル13と軸受支え14との間に、弾性体15が設けられている。この弾性体15は、バックメタル13の外周面上に、周方向に隙間18を空けて複数個配置されている。弾性体15は、例えばゴム製である。バックメタル13は、軸受9の外周面上に配置されており、軸受9を保持する軸受保持部材として機能する。軸受9は、例えば樹脂製である。軸受支え14は、複数の弾性体15の外周面上に配置されており、弾性体15を保持する弾性体保持部材として機能する。軸受支え14は、支持部材を介して、ポンプケーシング4に固定されている。
【0026】
この構成では、複数の弾性体15が、軸受9を保持するバックメタル13の外周面上に周方向に隙間18を空けて配置されているため、摺動部材である軸受9の放熱性が向上する。このため、軸受9の温度上昇を抑制することができる。これにより、軸受9は、摩耗の進行が抑えられて、寿命が延びることになる。
すなわち、本実施形態によれば、先行待機ポンプ1における軸受9の温度上昇を抑制して寿命を延ばすことができる。
また、
図2Cおよび
図2Dに示すように、本実施形態では、
図4Bおよび
図4Cに示す従来例よりも、スリーブ8と回転軸2の片当たり部12付近の温度が低くなる。これにより、熱膨張の差による回転軸2の曲がりが抑えられるため、振動や軸受荷重の増加も抑制される。
【0027】
また、本実施形態では、
図2Eに示すように、弾性体15は、回転軸2の軸方向における位置によって径方向の厚さが変わる構造となっており、軸受9の上下端部に向けて弾性体15が厚くなる構造である。すなわち、弾性体15は、回転軸2の軸方向における両端部(上下端部)が中央部よりも径方向の厚さが大きい。これにより、スリーブ8と軸受9との片当たりによる軸受9の上下端部の面圧を低減でき、軸受9の面圧を平均化できる。
【0028】
軸受9の軸方向における端部の面圧の低減、軸受9の面圧の平均化の効果によって、面圧と比例関係にあるスリーブ8と軸受9の摺動による発熱量が低減され得る。したがって、軸受9の局部的な温度上昇をより抑えることができる。
【0029】
軸受9の摩耗量は面圧に比例するため、軸受9の軸方向における端部の面圧の低減、軸受9の面圧の平均化がなされると、軸受9の局所摩耗をより抑制することができる。
【0030】
《第2の実施形態》
次に、
図3Aおよび
図3Bを参照して、第2の実施形態のすべり軸受装置5について説明する。
図3Aは、第2の実施形態のすべり軸受装置5の構造を示す縦断面図であり、第1の実施形態の
図2Aに対応している。また、
図3Aは、
図3BにおけるIIIA-IIIA線に沿う水平断面図である。
図3Bは、
図3Aにおけるすべり軸受装置5の上面図である。なお、第1の実施形態と共通する部材についての説明は、適宜省略する。
【0031】
本実施形態のすべり軸受装置5は、
図3Aに示すように、バックメタル13および軸受支え14の、回転軸2の軸方向における両端面にそれぞれ配置された一対のホルダ16a,16bを備える。一対のホルダ16a,16bは、プレート状を呈しており、バックメタル13と軸受支え14とを上下から挟持している。そして、一対のホルダ16a,16bには、回転軸2の軸方向に貫通する貫通孔17a,17bがそれぞれ形成されている。
この構成では、一対のホルダ16a,16bに挟まれた部分の内部から貫通孔17a,17bを通って熱が逃げるため、摺動部材である軸受9の放熱性がより向上する。
【0032】
また、本実施形態では、貫通孔17a,17bは、隣り合う2つの弾性体15の間の隙間18を通る空気が通過するように構成されている。具体的には、貫通孔17a,17bは、隙間18の上下(軸方向の両側)に該当する位置にそれぞれ設けられている。
【0033】
この構成では、待機運転時(空転運転時)にスリーブ8と軸受9の摺動による発熱が発生した場合に、隣り合う2つの弾性体15の間の隙間18内にある空気が、スリーブ8と軸受9の摺動による発熱によって温められる。隙間18内の空気は、温められることで発生する上昇気流によって、貫通孔17aから排出される。また、ホルダ16aの貫通孔17aから外へ空気が抜けた後の隙間18には、すべり軸受装置5の下方の空気が、ホルダ16bの貫通孔17bを通過して入る。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、待機運転時(空転運転時)にスリーブ8と軸受9の摺動による発熱が発生した際には、空気の流通による放熱によって、軸受9の温度上昇をより抑えることができる。
【0035】
以上説明した各実施形態によれば、無潤滑状態で待機運転を行う先行待機ポンプにおいて、待機運転時(空転運転時)でも安定して回転軸2を支持可能なすべり軸受装置5とそれを用いた先行待機ポンプ1を実現することができる。
【0036】
なお、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0037】
例えば、弾性体15に、空気が通る孔または溝が形成されていてもよい。この場合、貫通孔17a,17bは、弾性体15の孔または溝を通る空気が通過するように構成されている。具体的には、貫通孔17a,17bは、弾性体15の孔または溝の上下(軸方向の両側)に該当する位置にそれぞれ設けられている。なお、弾性体15の孔または溝は、例えば回転軸2の軸方向に平行に形成されるが、これに限定されるものではなく、傾斜していたり、曲がっていたりしてもよい。また、弾性体15の孔は、多孔質状であってもよい。弾性体15の溝は、弾性体15の表面に例えばフィンが設けられることで形成されてもよい。
この構成では、弾性体15の放熱性が向上することによって、軸受9の温度上昇をより抑えることが可能となる。
【0038】
また、先行待機ポンプ1に使用されるすべり軸受装置5は、回転軸2の長さ等に応じて1箇所であってもよく、2箇所以上であってもよい。
【0039】
また、前記した実施形態では、先行待機ポンプ1が、羽根車3から吐き出される流れが回転軸2を軸とする円すい面内にある斜流ポンプに適用される場合について説明したが、これに限定されるものではない。本発明の先行待機ポンプ1は、羽根車3から吐き出される流れが回転軸2と同心の円筒面内にある軸流ポンプにも適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 先行待機ポンプ
5,5a,5b すべり軸受装置
2 回転軸
3 羽根車
8 スリーブ
9 軸受
13 バックメタル(軸受保持部材)
14 軸受支え(弾性体保持部材)
15 弾性体
16a,16b ホルダ
17a,17b 貫通孔
18 隙間